治療的ペプチド
本発明は、CEACAM受容体に結合するモラクセラ・カタラーリス外膜タンパク質から単離されたリガンドであって、前記リガンドは、開示された群より選択されるアミノ酸配列、またはこれらの断片、相同体、機能的な同等物、誘導体、縮重、またはヒドロキシル化、スルホン化、もしくはグリコシル化産物、またはその他の二次プロセシング産物からなるリガンドを提供する。また、本発明は、前記リガンドを含む薬物およびワクチン、並びに感染症の治療または予防におけるこれらの使用を提供する。また、新規の治療的な化合物を同定するためのスクリーニング法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療的なペプチドに、および特に、感染症のためのワクチンの調製またはその他の治療の際に、並びに感染症の治療における潜在的な薬学的活性について化合物をスクリーニングする際に有用である治療的なペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、癌胎児抗原関連細胞接着分子(CEACAMs)が、粘膜の病原体のための、特に髄膜炎菌、インフルエンザ菌、およびモラクセラ・カタラーリスなどの呼吸器の病原体のための受容体であることを以前に同定した。CEACAMsは、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーの癌胎児抗原(CEA)ファミリーに属する。CEA遺伝子ファミリーは、表面に発現されたもの(CEA)および分泌されたもの(妊娠特異的糖タンパク質(PSG))のサブファミリーを含む。CEACAM(CEA関連細胞接着分子)20として再定義された膜結合型のサブファミリーは、いくつかの関連した糖タンパク質を含み、その中のCEACAM1は、異なったヒト組織において最も広く発現されている12。本発明者によって既報告の研究では、主に4つの細胞外ドメイン、TM領域および短い(S)または長い(L)細胞質の尾部(分子式:NA1BA2-TM-SまたはL)を含むCEACAM1(以前に、CD66aおよびBGPcと名付けられた)をトランスフェクトしたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)を使用した。加えて、1つまたは複数の細胞外ドメインを含む可溶性の切断された構築物を使用した。以前の研究では、髄膜炎菌およびインフルエンザ菌が主にいくつかのCEACAMのN-ドメインをターゲットすることを証明した7,9,10。このようなターゲティングにより、細胞表面の付着、並びに細胞の侵入に至るのであろう。加えて、細菌は、食細胞およびTおよびBリンパ球上のCEACAMsに結合するであろう9。このような相互作用により、淋菌(N.gonorrhoeae)(密接に髄膜炎菌(N. meningitidis)に関連する)がこれらのリンパ球のCEACAMと結合すると、細菌細胞死8、標的細胞死、またはたとえばTおよびBリンパ球の免疫機能の阻害を引き起こすであろう21,22。
【0003】
CEACAMsは、ナイセリア科の外膜混濁関連Opaタンパク質と長期間結合しており、インフルエンザ菌もモラクセラ・カタラーリスもOpaタンパク質を産生しないので、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)およびインフルエンザ菌にCEACAM結合リガンドが存在することは、本発明の発明者らにとって驚くべき知見であった。明細書において、本発明は、粘膜の、特に呼吸器膜の感染に関して、または耳(特に中耳炎)の感染に関して特に後述するが、本発明は、CEACAM受容体が感染またはその他の受容体結合プロセスに関与する生殖粘膜または尿道などのその他の領域において、または細菌が粘膜の表面から散在されるであろうヒト感染症の他の場所においても、同等の有用性を見いだすことが理解されるはずである。
【0004】
粘膜の病原体の髄膜炎菌(Nm)、インフルエンザ菌(Hi)、およびモラクセラ・カタラーリス(Mx)は、ヒト特異的な生物体であって、上気道に住みつき、ここから、これらが散在して重い感染症を引き起こすのであろう。異なった血清型の髄膜炎菌株は、健康な個体の25%までの上咽頭内に保有されている可能性がある。しかし、多くの被検者では、生物体が粘膜のバリヤーに侵入し、最も迅速かつ進行性の極めて重い疾患のうちの1つを引き起こす。髄膜炎菌の感染症に対する宿主感受性を増大する正確な因子は、完全にはよく理解されていない。さらに、群特異的なワクチンによってもたらされる限定された保護および群Bの多糖体の非免疫原性は、宿主感受性を理解して、髄膜炎菌と戦うために共通の標的として役立ち得るめぼしい被膜下の特徴を同定するための基礎研究の必要性を強調する。本発明者らによる研究は、髄膜炎菌のコロニー形成の分子基礎、ヒト・バリヤー細胞(上皮および内皮)並びに食細胞とのその相互作用の性質の理解をもたらした。近年、主に無害なコロニー形成と、時々であるが、Nmなどの深刻な病原体との間の分化の特徴を理解するために、共生のナイセリア科による粘膜のコロニー形成の基本原理が調査されてきた。加えて、研究により、共生のナイセリア科がNmの潜在的なワクチン抗原のキャリアとして使用することができるかどうかが決定された。
【0005】
健康な個体の75%までが、種インフルエンザ菌に属する株を保有している可能性がある2。Hibワクチンの結果として、西側のタイプbの疾患の発病率には劇的な減少があったが、分類できないHi(NTHi)株によって引き起こされる疾患は、重大な問題として残っている。NTHiは、喉頭蓋炎、中耳炎、蜂窩織炎、肺炎、心内膜炎、菌血症、および髄膜炎を含む局在化した感染、並びに播種性の感染を引き起こす。中耳炎は、小児医学における重大な問題のうちの1つであり、NTHiは、生命の最初の1年間に児童の20%以上の発症の原因となる2,3。また、NTHiは、慢性の閉塞性肺疾患(COPD)および嚢胞性線維症の患者における急性の再発性および持続性の感染症と関係している。何が、これらの患者におけるNTHiによる再発性の感染症または児童の中耳炎の多発性の発症を決定しているのかは、不明なままである2,3,4。
【0006】
モラクセラ・カタラーリス(ヒト気道のもう一つの常在菌)は、たいていHiと共に局在化した感染症の症例から単離される。両生物体は、副鼻腔炎および喘息症状の悪化と関係する5,6。Mxは、児童の中耳炎で3番目に多い共通の原因である(毎年3,000,000〜4,000,000の症例の原因となると推定される)。これはまた、成人において、特にCOPD患者において下気道感染症を引き起こす5。まれに、これは播種感染と関係していた5。HiおよびMxの両者は、持続感染を引き起し、組織侵入によって宿主免疫機構および抗生物質を逃れると考えられている4。Mxのいくつかの外膜タンパクでは、これらの接着性に関して研究されている。しかし、Mxに対する細胞受容体はほとんど同定されておらず、病原性機構の詳細の多くは、調査されていないままである4,5,6。
【0007】
呼吸器粘膜の病原体に第1に要求されるものは、呼吸器の上皮細胞との安定した接触の確立である。これらのヒト向性病原体の標的は、ヒト特異的な分子であり、研究は、インビトロでのヒト組織および器官培養に依存してきた。付着は、細菌の相および抗原により可変の構造によって媒介されることが多い。加えて、病原体の付着は、多面的であり、環境適応は、付着方法に有意な役割を果たしていることがしだいに明らかになってきている。多くの最近の研究により、複雑な細胞ターゲティング機構の種々の段階を定義され始めたが、環境適応または宿主微生物のクロストークの詳細は、まだ記載されていない。
【0008】
本発明の発明者らによる最近の研究では、Nm7-9およびHi10,11が、特定のヒト細胞表面受容体CEACAMsをターゲッティングする、いくつかが異なり、その他が共通の機構を共有することを示した。
【0009】
さらに、本発明者らは、モラクセラ・カタラーリスの臨床分離株も、ヒトCEACAM分子をターゲットすることを最近同定した。加えて、高分子量のモラクセラ属外膜タンパクは、受容体と結合することを今回見いだした。呼吸器の上皮細胞を含む異なった組織におけるCEACAMsの発現12を証明した24。これらの観察は、CEACAMsの特異的なターゲティングが、呼吸器の細菌に特に有利であり、収束進化の結果として生じたのであろうことを意味する。
【0010】
髄膜炎菌によって産生される付着因子の中には、線毛(海馬采)13,14,16、並びに外膜混濁タンパク質、OpaおよびOpc15,16がある。Nm線毛は、複数の繊毛(pilin)サブユニットからなる長い糸状のタンパク質構造である。カプセルは、部分的または完全に外膜リガンドをマスキングして、これらの機能の有効性を減少させるが、線毛がカプセルを横断して、完全にカプセル化された細菌中で機能的なままであるという事実により、これらは、通常カプセルに入った細菌13,14,16において最も重要な付着因子と考えられる。Opaは、抗原性により可変の一群のタンパク質であり、髄膜炎菌(N. meningitidis)並びに淋菌(N. gonorrhoeae)に存在する。髄膜炎菌では、3-4opa遺伝子座位は、4つの表面に曝露されたループを有する関連した膜貫通タンパク質であって、これらのうちの3つが配列変化を受けているタンパク質をコードする16,17。OpC(別の膜貫通タンパク質)は、主に不変異体である15,16。この12年にわたって、本発明の発明者らは、Nm線毛の構造/機能の関係、OpaおよびOpcタンパク質の病原性の可能性を調査して、ナイセリアの混濁タンパク質のための2つのヒト受容体を同定した。さらに、ヒト標的細胞との細菌の相互作用における表面シアル酸の役割並びに細胞毒性におけるLPSおよびその他の因子の役割が、本発明の発明者らによって研究された。
【0011】
本発明は、本発明者らによる、CEACAM受容体と結合するモラクセラ属外膜タンパク質から単離された高分子量リガンドの同定によって生じる。
【0012】
本リガンドは、長時間煮沸したときに約60〜150kDの間の分子量を有する単量体に分解されるという点で、USPファミリーのタンパク質を表すそのSDS-PAGE移動パターンによって特徴づけることができる。
【0013】
本リガンドは、Mx株ATCC25238(MX2)においてUspA1として特徴づけられており、そのアミノ酸配列が決定されている。本リガンドは、受容体結合領域またはドメイン、すなわちペプチドまたは受容体と結合するというペプチドに付随した特徴を決定するために、さらに特徴づけた。
【発明の開示】
【0014】
従って、本発明は、CEACAM受容体結合ドメインを含むリガンドであって、前記リガンドは、図6に示した配列の残基463〜863、527〜668、527〜863、427〜623、427〜668、および427〜863からなる群より選択されるアミノ酸配列、またはこれらの断片、相同体、機能的な同等物、誘導体、縮重、またはヒドロキシル化、スルホン化、もしくはグリコシル化産物、またはその他の二次プロセシング産物からなるリガンドを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
リガンドの用語は、本明細書において、受容体に結合する全体分子および受容体結合特性を保持するように受容体結合ドメインを含むこれらのいずれか一部を意味するために使用される。したがって、「リガンド」は、受容体結合ドメイン、すなわち受容体結合のために必要とされるペプチド領域または領域群のみからなる分子を含む。
【0016】
一つの態様において、本発明は、図6に示した配列の残基463〜863、527〜668、527〜863、427〜623、427〜668、および427〜863からなる群より選択されるアミノ酸配列、またはこれらの断片、相同体、機能的な同等物、誘導体、縮重、またはヒドロキシル化、スルホン化、もしくはグリコシル化産物、またはその他の二次プロセシング産物からなるリガンドを提供する。
【0017】
ハイブリッドタンパク質は、UspA1およびUspA2タンパク質に由来するモザイクエピトープを含むであろうMxに生じるので23、構造的および/または機能的に同等な受容体結合ドメインも、その他のUspA様のタンパク質に存在するであろう。また、このような同等な受容体結合ドメインを含むリガンドも本発明の範囲内である。
【0018】
好ましくは、リガンドまたは受容体結合ドメインは、感染の予防または治療に使用するために適している。
【0019】
また、本発明は、相同体、多型、縮重、およびこれらのスプライスバリアントと共に、本発明のリガンドタンパク質をコードする核酸配列を提供する。
【0020】
本発明のリガンドまたはこれらの組み合わせは、ワクチンまたはその他の感染の予防療法に使用してもよい。
【0021】
ワクチンまたはその他の予防療法は、患者の治療に使用される薬学的に許容されるリガンド標品を提供するための任意の既知のアジュバント、媒体、賦形剤、結合剤、キャリア、防腐剤などを含んでいてもよい。
【0022】
また、本発明は、医薬に使用される薬学的に許容されるリガンド標品を提供する。
【0023】
薬学的に許容されるリガンドの標品は、CEACAM受容体が、たとえば感染症、呼吸器疾患、腫瘍疾患および腫瘍疾患に関連した症状、並びに血管形成の治療または予防に関与するいずれかの疾患の治療または予防に使用してもよい。
【0024】
好ましくは、感染症を治療する場合、感染症は、粘膜のものであるか、または粘膜を介して引き起こされる。
【0025】
最も好ましくは、リガンドは、髄膜炎菌、インフルエンザ菌、およびモラクセラ・カタラーリスのワクチンとして、またはその他の予防または治療のために使用される。理想的には、リガンドは、中耳炎のためのワクチンとして、またはその他の予防もしくは治療において使用される。
【0026】
さらなる側面において、本発明のリガンドは、また、一般に脆弱な群および大衆をいくつかの粘膜の病原体から保護するための治療薬として使用するための新規の遮断薬を同定するために使用してもよい。たとえば、リガンドは、この目的のために有用な受容体の類似体を同定するために使用してもよい。
【0027】
それ故、本発明は、また、治療薬として使用するための新規の遮断薬を同定するためのスクリーニングアッセイ法であって、該アッセイ法は、潜在的な治療薬を、これらが本発明のリガンドを模倣する能力について、または本発明のリガンドに対するこれらの相同性についてスクリーニングする工程を含むスクリーニングアッセイ法を提供する。本発明は、上述したスクリーニングアッセイ法によって同定される治療薬をさらに提供する。
【0028】
有効なワクチン成分は、生物活性ペプチド擬態などの本発明によって同定される受容体をターゲッティングする機構の情報を使用して産生してもよい。これらは、粘膜における細菌コロニー形成/侵入を防止すること、並びにブロッキング、オプソニン、および殺菌性であろう抗体を誘発することができる。
【0029】
本発明のリガンドによって同定される細菌に由来する生物活性ペプチド配列は、該分子がこれらのプロセスに関与している癌および発生におけるCEACAMsの役割を研究するために使用することができる。また、これらは、抗癌剤として、および血管形成を制御するか、またはさもなければ治療する可能性を有する。
【0030】
さらなる態様において、本発明は、CEACAM受容体が、疾患を引き起こす病原体の細胞ターゲティングに関与する疾患の治療または予防のための薬物の製造におけるCEACAM受容体結合リガンドの使用であって、前記リガンドは、図6に示した配列の残基463〜863、527〜668、527〜863、427〜623、427〜668、および427〜863からなる群より選択されるアミノ酸配列、またはこれらの断片、相同体、機能的な同等物、誘導体、縮重、またはヒドロキシル化、スルホン化、もしくはグリコシル化産物、またはその他の二次プロセシング産物からなるリガンドである使用を提供する。
【0031】
好ましくは、疾患は、感染症、呼吸器疾患、腫瘍疾患および腫瘍疾患に関連した症状からなる群より選択される。
【0032】
上記した薬物は、病原体が粘膜に感染するか、または粘膜を介して侵入する場合に特に有用性である。
【0033】
本明細書において記載されている薬物は、特にモラクセラ・カタラーリスによって引き起こされる感染症(疾患)の治療または予防に有用である。しかし、本明細書において記載されているリガンドは、髄膜炎菌およびインフルエンザ菌によって引き起こされる疾患などの、CEACAM受容体が関係するいずれの疾患を治療するための薬物の製造にも有用である。
【0034】
特に好ましい実施態様では、疾患は、中耳炎である。
【0035】
また、本発明のリガンドは、齲蝕などのその他の口腔内細菌によって引き起こされる疾患の治療に使用してもよい。
【実施例1】
【0036】
モラクセラ・カタラーリス株は、UspA1タンパク質を経てヒトCEACAM1-Fcに結合する
本研究に使用したモラクセラ・カタラーリス株(Mx)は、臨床分離株(MX3およびMX4)並びにアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC25238、これのクローン培養が、MX2と称された)から購入した参考菌株を含む。
【0037】
受容体重ね合わせアッセイ法は、MxがCEACAM1-Fc受容体構築物に結合することを示す
M.カタラーリス株のCEACAM1との相互作用を評価するために、細菌(c.4〜8×106)をニトロセルロースに適用し、空気乾燥して、3%のBSA-PBST中で非特異的な結合部位をブロックした。ニトロセルロース片をCEACAM1-Fc(1〜2μg ml-1)単独で、またはCEACAM1N-ドメイン抗体YTH71.3の存在下において重ね合わせた。ネガティブ対照としてCD33-Fc(1〜2μg ml-1)を使用した。キメラタンパク質構築物は、前述したように調製した11。キメラ受容体の結合は、西洋わさびペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼに結合させたヤギ抗ヒトFc抗体によって検出した。ブロットは、それぞれジアミノベンジジンおよび過酸化水素またはニトロブルーテトラゾリウムおよび5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート基質によって発色させた。全てのMx株が、CEACAM1-Fcに対して結合したが、CD33-Fcには結合しなかった(図1)。受容体の結合は、モノクローナル抗体YTH71.3の存在下で阻害されたことから、本株は、受容体のN末端ドメインに結合したことを示唆する。従って、全ての株が、CEACAM1のNドメインだけを含む切断されたN-Fc構築物に対して同等によく結合した(図示せず)。
【0038】
M.カタラーリスのCEACAM1-Fc結合タンパク質の同定
Mx(c.3×107)の全細胞可溶化物を、予め加熱処理を伴わないか、または100℃で10分間加熱した後のいずれかで10%のビス‐トリス・ポリアクリルアミドゲル(lnvitrogen)の個々レーンに適用し、180Vで45分間、電気泳動法に供した。ゲルからタンパク質を、標準的なブロッティングを使用してニトロセルロース膜に転写した。ニトロセルロース膜を上記の通りに可溶性キメラ構築物と重ね合わせた。いずれの場合においても、単一タンパク質は、特異的にCEACAM1-Fcに特異的に結合することが観察された。細菌可溶化液を加熱変性なしで適用したときに、CEACAM1結合タンパク質は、200kDa>のみかけの質量で移動したが、可溶化液を最初に加熱したときは、CEACAM1結合タンパク質は約92kDaの質量に減少して移動したので、ゲル上のタンパク質の移動は、MxのUspA1タンパク質を示している(図2)。
【0039】
UspA1に対して生じた抗体は、Mx株のCEACAM1-Fc結合タンパク質に結合するが、同様のタンパク質のUspA2に対するものは、結合しない
ペプチドは、M.カタラーリス株のUspAタンパク質の発行された配列に従って設計した。すなわち、ETNNRQDQKIDQLGYALKEQGQHFNNR(UspA1-ペプチド)およびKDEHDKLITANKTAIDANKAS(UspA2-ペプチド)である。ペプチドは、組み込まれたN末端のシステイン残基を経てKLHに結合し、ウサギ(ウサギにつき200μgペプチド)を免疫するために使用し、14日の間隔でまず最初に完全フロインドアジュバントによって、およびその後に、不完全フロイントアジュバントを使用した。ウサギは、0日および免疫後に14日の間隔で採血した。ポリクローナル抗体は、Amino Link Plusカラム(ピアス)に結合させた適切なペプチドを使用して精製した。ウエスタンブロットの重ね合わせのために、UspA-特異的抗体を1-10μg ml-1の濃度で使用し、アルカリホスファターゼ結合ヤギ抗ウサギ二次抗体で検出した。ブロットは、以前に記載されて通りに発色させた。3種のMx株のSDS-PAGE上のCEACAM1-Fc結合タンパク質の移動は、UspA1-抗体結合タンパク質のものと一致したが、UspA2-抗体結合タンパク質では一致しなかった(図3)。
【0040】
M.カタラーリスのリガンドのCEACAM1-Fcでの共沈殿により、UspA1を同定する
細菌の一晩培養をプロテアーゼ阻害剤カクテル(pic;PMSF 1mM、E641 1μM、ペプスタチンA 1μM、ベスタチン 6nM、およびEDTA 100μM)を含む100mMのオクチルβDグルコピラノシドのPBSB溶液中に懸濁した。試料をずっと一晩4℃で混合した。一方、100μlのセファロースCL-4B(Sigma)に結合したプロテインAを20μgのCEACAM1-FcまたはCD33-Fc(対照として使用した)のいずれかと4℃一晩インキュベートし、その後にPBSBで3回洗浄して全ての結合していない受容体を除去した。不溶性細菌物質を30分間15,000gで遠心分離することによって除去した。可溶性の抽出物を受容体−プロテインAセファロース複合体のいずれかと4℃で2時間インキュベートした(受容体構築物のμgにつき5×108細菌の割合で)。50mMのオクチルβDグルコピラノシドおよびPBSBで広範に洗浄した後、試料を変性条件下でのSDS-PAGE電気泳動法およびウェスタン・ブロッティングによって解析した。
【0041】
CEACAM1-Fcでの共沈実験において、MX4では、c.97kDaの強く染色されるタンパク質を得て、MX3では、c.92kDaの比較的弱く染色されるタンパク質を得た。共沈殿されたタンパク質の質量は、受容体の重ね合わせ実験で観察されるものに対応した(図3に示した)。どちらのタンパク質も、CD33-Fcで共沈殿されなかった。共沈殿されたタンパク質は、これらが抗UspA1ペプチド抗体に結合したので、UspA1タンパク質であることがさらに同定された。加えて、ゲルからの切除に続き、MX4タンパク質をMALDI-TOF質量分析に供した(下記を参照されたい)。
【0042】
MALDI-TOF質量分析によるCEACAM1リガンドの同定
(a)ウェスタンの重ね合わせ試料。MX2およびMX3の全細胞可溶化液を塹壕ゲル中のSDS-PAGEに供し、CEACAM1-Fc結合リガンドに対応するタンパク質バンドをゲルから電気溶出した。試料を濃縮し、第2のゲルの単一のレーンに再び適用して、電気泳動法に供した後に、適切なタンパク質をゲル内(in-gel)トリプシン消化した。生じるペプチドをマトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI-TOF)質量分析によって解析した。MX2のCEACAM結合タンパク質について、生じる質量スペクトルの例を示した(図4a)。得られたペプチド質量は、ProFoundタンパク質同定サイトに入力し、このタンパク質について示したとおりに結果が得られた(図4b、c)。この場合、10個のペプチド質量が、タンパク質の約18%をカバーするM.カタラーリスのUspA1のトリプシンペプチドに対して予測される質量とマッチした(図4d)。推定される2.34のZスコアは、タンパク質がUspA1であることを強く示唆する(Zスコア>1.65は、95位の百分位数以上である;http:/129.85.19.192/profound_bin/webProFound.exe)。加えて、MX2のもう一つの非結合の高分子量のバンドが、同様の解析に続いてUspA2として同定された。同様に、株MX3については、CEACAM1結合および非結合タンパク質は、それぞれUspA1およびUspA2であることが同定された。
【0043】
(b)共沈殿した試料:MX4については、CEACAM1-Fc共沈殿するタンパク質(上記の通りの)も、全分類群検索において、2.27のZスコアでのMALDI-TOFMSによって、UspA1であることが同定された。12のペプチド類がマッチし、タンパク質の21%をカバーした。
【0044】
従って、この研究により、モラクセラ・カタラーリスは、参照および示した臨床株において、高分子量のタンパク質UspA1を経てヒトCEACAM1をターゲットすることが同定された。
【0045】
UspA1および組換えペプチドの酵素切断
(a)UspA1のトリプシンペプチドは、CEACAM1-Fcに結合する
MX2の細菌懸濁液(1010ml-1)を0.1〜1mg/mlの濃度でトリプシン(Sigma)で処理し、37℃で1〜4時間インキュベートした。消化した可溶化液をSDS-PAGE緩衝液中で解離させ、煮沸し、電気泳動法に供した。ニトロセルロースに転写後、ブロットを受容体構築物CEACAM1-Fcまたは親和性精製した抗UspA1ペプチド抗体を重ね合わせた。また、受容体と反応する小さな断片は、抗UspA1-特異的抗体にも結合した(図5)。
【0046】
(b)M.カタラーリス株MX2のUspA2のCEACAM結合ドメインの局在化
MX2細菌懸濁液を1mg/mlのトリプシンで37℃において10分間で処理した。
【0047】
トリプシン処理した試料をSDS-PAGEゲル上い泳動した。染色後、50kDaの領域を一晩電気溶出した。電気溶出したタンパク質を凍結乾燥し、緩衝液に再懸濁し、第2のゲルに適用した。ゲルの一部をニトロセルロース上にブロットし、CEACAMと反応するペプチド・バンドをCEACAM1-Fcを使用するウエスタンブロッティングの重ね合わせによって同定した(図7)。
【0048】
約50kDaおよび約150kDaペプチドに対応するペプチド・バンドをN末端のシーケンシングに供した。N末端の配列は、ALESNVEEGL(50kDac.ペプチド)およびALESNV(150kDac.ペプチド)であった。150kDaのタンパク質は、これらが同じN末端配列を有することから、明らかに50kDaのタンパク質の三量体である。MX2 UspA1のこのペプチドのN末端の配列を図8に示してある。
【0049】
(c)組換えペプチド
図6に示した配列のアミノ酸1〜449から構築されたN末端の組換えMX2ペプチドは、CEACAMを結合しない。これは、図8に示した配列のアミノ酸463〜863からなる、N-末端配列ALESNVEEGLを有する約50kDaのトリプシンペプチドが、CEACAM-結合ドメインを含むことをさらに示す。
【実施例2】
【0050】
粘膜の病原体の複数の病原性決定基上の受容体結合ドメインの同定
髄膜炎菌およびインフルエンザ菌は、CEACAM上の重複する部位に結合するリガンドを経て、ヒトCEACAM分子をターゲットする。本発明のMxリガンドも、Nドメインをターゲットする。これらの観察は、いくつかの粘膜の病原体のリガンド上における同様の特徴が、受容体のターゲッティングに関与するであろうという興奮させる可能性を指し示す。
【0051】
CEACAMsとNmおよびHiとの相互作用は、表面に発現された可変ドメインの構造的な特徴による影響を受けるので、これは、これらが受容体と結合することができる空間配置の際に同様の重要なアミノ酸を含むであろうこと、およびこれらは、さもなければ可変性のタンパク質で保存されているであろうを示唆する。実際に、本発明者らの研究およびその他の研究では、Opa(HV1およびHV2)の2つの高頻度の可変性のループがCEACAMのターゲッティングに関与するであろうことを示唆する9,18。リガンドと受容体の間に生じ得る相互作用の決定基を同定することができる1つの強力な技術は、ファージディスプレイであり、これは、ミモトープ(mimotopes)(結合ドメインを模倣するランダムな配列)19並びにアプタマ(リガンド結合を阻害する本来の構造により密接に関連した配列)20を同定するために使用することができる。
【0052】
また、本発明により、CEACAMsに結合するMxリガンド・ドメインを、その他のCEACAMに結合する粘膜の病原体の擬態として作用させること、およびこのリガンドの構造的な特徴は、CEACAMNドメインをターゲティングするためのNmおよびHiリガンドに必要とされる顕著な特徴を同定する助けとすることが、非常に実現し得るものとなる。Mxドメインに対する抗体は、同じか、類似するか、または密接に配置された受容体の領域をターゲットする能力を有するその他のリガンドを同定する可能性を有し得る。
【0053】
MX2 UspA1の最小のCEACAM1結合ドメインの同定は、タンパク質工学および組換えDNA技術の既知の方法を使用して行われる。組換えペプチド類は、受容体と結合するMX2のドメインを検出するために、上記した受容体の重ね合わせアッセイ法によってインビトロでスクリーニングすることができる。His-タグの付いたペプチドにより、ニッケル・カラムで分離し、His-タグを必要に応じて切断し、さらなる調査のための抗体を得るためにウサギおよびマウスに免疫するために使用することができる。
【0054】
生物に適用するために適した長さのペプチドは、免疫学的な刺激特性、並びに受容体結合のブロッキングなどのその他の機能を検査することによって決定してもよい。
【実施例3】
【0055】
リガンド相互作用のために必要とされる受容体の顕著な特徴
CEACAMのNドメインは、Opaタンパク質の相互作用に十分であるので、本発明の発明者らは、CEACAMNドメインの粘着性エピトープを調査するためにもファージディスプレイ技術を使用する。受容体上のリガンド結合領域/群についての知識は、本発明の発明者らにより、受容体のアラニン・スキャニング突然変異誘発によって研究されており、この研究が容易になった。この場合はまた、リガンドの重ね合わせアッセイ法を、受容体配列を有するキメラ・ファージのバイオ・パニング(親和性濃度)について利用できる。
【0056】
本発明者らの研究では、異なったOpaタンパク質が、これらの抗原性が変化するにもかかわらず、一次接着のために受容体上の共通の特徴を必要とすることがすでに示されているので、受容体類似体は、産生されるOpaタイプとは独立して、複数の株をブロックする可能性を有して一般的に必要である9。CEA抗原は、腸粘膜からそぎ落され、CEACAMsをターゲットすることも知られている大腸菌株の接着を妨げるのであろう点に注意することも関心がもたれる。これは、先天性免疫、対、腸内の病原体の機構として提唱されている。12従って、これらの受容体類似体は、治療薬として作用する。
【実施例4】
【0057】
組換えCEACAM結合モラクセラ・カタラーリスUspA1ペプチドの産生
概要:
図9に示したプライマーを使用して、UspA1に沿っていくつかの断片のPCR増幅を行った。組換えペプチド類は、後述するように得た。第1のラウンドでは、円形の、非常にCEACAM1に結合した組換えペプチドは、プライマーP4およびP8によって増幅されるDNAによってコードされるが、P1およびP5の間の領域によってはコードされなかったことが判明した。さらに、組換えP4-P7はCEACAM1に結合したが、P6-P8は結合しなかった。P4およびP7領域内のさらなるプライマーを使用した。領域D-7は、CEACAM結合を保持した。断片4-7の配列を図10に示してある。
【0058】
組換えUspA1ペプチドの一般的なクローニング、発現、および精製ストラテジー
UspA1断片1-5は、pBAD系を使用して作製した。必要なPCR産物をpBADベクターにTAクローン化し、増幅のためにTOP10大腸菌株を使用した。残りの手順は、アラビノースを使用してpBADを誘導したことを除き、図11に示したとおりであった。断片4-7をpBADおよびpQE30(図11)系を使用して作製し、同様のCEACAM結果であった。残りの断片は、図11のストラテジーを使用して作製した。
【0059】
ベクターおよびpQE30発現系
ベクターpQE30(図12)を大腸菌株M15と組み合わせて使用した。M15は、リプレッサーをコードするプラスミドpREP4を含み、pQE30内にクローン化されたDNAの転写を制限する。1mMの濃度にIPTGを添加すると、このリプレッサーのコードが防られ、したがってpQE30内のクローン断片の転写が妨げられる。
【0060】
クローニング・ストラテジー
PCR増幅産物は、最初にpCR2.1内にライゲートした。これにより、アンプリマー(amplimer)を制限消化(BamHl/Pstl)によって回収することができる安定な宿主が提供され、遺伝子断片のそれぞれの末端の切断が確実になる。pQE30も同じように消化して、ゲル精製によって回収し、これにより、両方の制限部位の切断も確実になった。消化されたpQE30およびUspA1アンプリマー(amplimer)をT4DNAリガーゼにより16℃で一晩ライゲートし、CaCl2コンピテント大腸菌M15に形質転換した。形質転換体をアンピシリン(100μg/ml)およびカナマイシン(25μg/ml)を補ったLB寒天に対して選択した。4〜8個のコロニーを拾い、抗生物質を有するLBブロス中で培養した。3〜4mlの培養からの細菌を遠心分離によって収集し、アルカリ溶解ミニプレップ法に供した。精製したベクターは、uspA1挿入物を検査するために、上記のように消化した。適切な大きさの挿入物を有するpQE30を含む細菌を50ミリリットルの培養で増殖させて、IPTGで誘導した(下記を参照されたい)。次いで、組換えタンパク質生産をスクリーニングするために、ウエスタンブロット法を使用した。加えて、ベクターをシーケンスして、挿入物がDNAの適切な領域であったことを決定し、シーケンスに何らかの誤りがないかを調べた。
【0061】
発現および精製
pQE30/uspA1構築物を含むM15は、LB(100μg/mlのアンピシリンおよび25μg/mlカナマイシンを補ったもの)ブロス中で、OD600=0.5まで振盪しながら培養した後、1mMの濃度にIPTGを添加した。培養液をさらに3〜4時間インキュベートし、細菌を遠心分離によって回収した。細菌ペレットを緩衝液B(8Mの尿素、50mMのトリス、10%のエタノール、2%のTween、5mMのイミダゾール、pH7)中で1〜3時間可溶化し、膜物質を20,000gで20分間遠心することによって除去した。上清は、ロータリー型ミキサーで1〜2時間ニッケル樹脂と共にインキュベートし、ポリプロピレン・カラムを通した。保持された樹脂を5〜10mlの緩衝液Bで洗浄し、結合したタンパク質を100mMのイミダゾールを補った0.5mlの緩衝液Bの溶出によって溶出した。溶出されたタンパク質をSDS-PAGEによって点検した後、尿素およびその他の塩類を除去するために透析した。
【0062】
組換え断片
A:断片1-5および4-8
pBADシステムによって産生されるこれらの断片は、1-5がCEACAM1に結合しないが、4-8は結合することを示した。
【0063】
B:pQE30系を使用して産生した断片4-8、4-8T、4-7、および6-8
断片4-8は、産生された最初のrUspA1断片であり、ブロット重ね合わせアッセイ法において高親和性でCEACAM1に結合することが見いだされた。全長4-8のrUspA1ペプチドに加えて、切断されて、より小さなタンパク質を観察した。このペプチド(4Tと示した)もCEACAM1に結合し、4-8よりも低いレベルで発現されるように見えた(図13)。pQE30/4-Tの配列解析により、ミスマッチ(CAAからTAA)により、残基Q624(図10を参照されたい)で終止コドンを生じることを見いだした。
【0064】
第2のCEACAM結合部位が6-8において生じたという可能性を除外するために、ペプチド4-7および6-8を作製した。4-Tペプチドから予測されるように、4-7は、CEACAM結合を示したが(図13)、6-8は示さなかった(図14)。
【0065】
C:pQE30系によって産生される断片D-8およびD-7
rUspA1断片D-8(図15)およびD-7(図示せず)は、CEACAM1に結合することを見いだした。
【0066】
組換えペプチド4-7の生物活性
M.のカタラーリス株MX1およびインフルエンザ菌株Rdは、CEACAM1をトランスフェクトしたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に結合する。これらの結合は、M.カタラーリスUspA1組換えペプチド4-7で遮断することができるが、対照ペプチドではできない(図17)。
【0067】
参照:
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本発明の態様は、ここで、図面に対して参照がなされている非限定の例として、単に記載してある:
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】CEACAM1-Fc(1μg.ml-1)可溶性の受容体構築物の単独での(白い、左側のバー)、またはCEACAM1 N-ドメイン特異的抗体YTH71.3の存在下における(灰色の、中心のバー)、ニトロセルロースに固定された3つのMx株に対する相対的な結合レベルを示すグラフである。CD33Fc断片の結合は、いずれの場合においてもごくわずかであった(黒い、右側のバー)。株1、2、3:それぞれMX2(ATCC25238)、MX3、MX4(臨床分離株)。結合は、ドットブロットの重ねあわせで決定し、反応の強度をNIH Scion Imageプログラムを使用する濃度測定解析によって定量した。
【図2】解離していないか(加熱していない、レーン1)、または10分(レーン2)間煮沸した後に分離した株MX2タンパク質のウエスタンブロットを示す。ブロットをCEACAM1-Fc(1μg.ml-1)と重ね合わせて、受容体の結合を西洋わさびペルオキシダーゼ結合抗ヒトFc抗体およびその基質によって検出した。
【図3】株MX2、3、4の変性した細胞全体可溶化液のウエスタンブロット(それぞれ、レーン1〜3)をCEACAM1-Fc(1μg.ml-1;a)、抗UspA1ペプチド抗体(10μg.ml-1;b)、および抗UspA2ペプチド抗体(10μg.ml-1;c)と重ね合わせたものを示す。3つの株において、CEACAM1-Fc結合タンパク質と抗UspA1結合タンパク質が同様の移動プロフィールであることに留意されたい。c.250kDa(アルカリホスファターゼアッセイ法における高い検出感度のために、この場合検出される)の解離してないタンパク質の残遺物は、CEACAM1-Fcと結合する。これらは、おそらく合成ペプチド内に含まれるエピトープが未変性タンパク質中で完全には曝露されていなかったが、複雑な変性により次第に曝露されるので、抗ペプチド抗体によってわずかに認識されるだけである。抗UspA2抗体は、煮沸後に解離しないままである(UspA2タンパク質を示す性質)みかけの質量>200kDaのタンパク質と結合する。
【図4a】電気泳動溶出に続くMX2のCEACAM1結合タンパク質のトリプシンペプチドの質量スペクトルを示す(4a)。
【図4b】ProFoundタンパク質同定データベースへのデータ入力の概要を(4b)に示してある。
【図4c】上位10の同定されたタンパク質の表および確率値を(4c)に示してある。
【図4d】1位にランクされた候補、この場合Zスコアが2.34のUspA1の詳細を(4d)に示してあり、マッチしたペプチドの数、タンパク質内のこれらの位置、詳細、カバーされるタンパク質の%、およびこのときにマッチしないペプチドのリストを示している。
【図5】MX2のUspA1のトリプシン分解断片のウエスタンブロット解析を示す。A:二次抗体を使用する対照ブロット(BおよびCにおいて使用するヤギ抗ヒトFcおよびヤギ抗ウサギIgの混合物)。B:CEACAM1-Fcおよびヤギ抗ヒトFcを重ね合わせたブロット。C:UspA1ペプチド(ETNNHQDQKIDQLGYALKEQGQHFNNR)に対して生じた親和性精製したウサギ抗体(図6を参照されたい)および抗ウサギIgを重ね合わせたブロット。*=分子量マーカーのレーン-左上に示した。二重矢印によって示したペプチドは、CEACAM1-Fc(B)並びに抗UspA1ペプチド抗体(C)と強く反応する。最も低いMWのペプチドに対する抗UspA1ペプチド抗体の結合(鏃)により、このCEACAM-結合断片を、MX2(図6を参照されたい)のUspA1のN-199〜K-863内に含まれるC末端の断片として同定する。
【図6】MX2 UspA1タンパク質のアミノ酸配列を示す。ウサギの抗血清を生じさせるために使用するUspA1-特異的なペプチドを太字で示した。CEACAM-結合領域は、MX2のUspA1の下線付きC末端断片に含まれる。
【図7】CEACAMsと反応するトリプシンペプチド分離を示す。M.カタラーリス株MX2を37℃で10分間1mg/mlのトリプシンで処理した。トリプシン処理した試料をSDS-PAGEに供した。染色後、50kDaの領域を一晩電気溶出(electroeluted)させた。電気溶出されたタンパク質を凍結乾燥し、緩衝液に再懸濁し、第2のゲルに適用した。ゲルの一部をニトロセルロース上にブロットし、CEACAMと反応するペプチドのバンドをCEACAM1-Fc(ブロット)を使用するウエスタンブロットに重ね合わせることによって同定した。
【0069】
'*':N末端のシーケンシングのためのペプチド・バンドを意味する。
【図8】MX2 UspA1タンパク質のトリプシンペプチドのアミノ酸配列を示す。示した50kDaのトリプシンペプチド(アミノ酸463〜863)は、CEACAMおよびUspA1ペプチド(アミノ酸753-780下線付き)に対する抗血清に結合する。c.50kDaのCEACAM結合ペプチドのN末端の配列は、アミノ酸462のトリプシン切断部位の後に生じる「ALESNVEEGL」である。
【図9】組換えペプチドの発現のためにuspA1遺伝子断片を作製するために使用したプライマーの位置の図示を示す。CEACAM1結合部位は、プライマ^P4およびP7によって増幅されるDNAによってコードされ、この領域の全体にわたるさらなるプライマー(文字A〜I)を設計し、使用した。
【図10】組換え断片4〜7の配列を示す。下線付き領域は、CEACAM1反応性のトリプシンペプチドのN末端領域である。断片4〜7の予測された分子量は、c.26kDaである。His-標識した断片の予測されたMW:c.28kDa。切断されたペプチドの位置は、「T」によって示してある。(図13を参照されたい)。
【図11】pQE30システムによって例示した、組換えUspA1ペプチドのための一般的なクローニング、発現、および精製ストラテジーを示す図である。
【図12】ベクターpQE30のマープである。
【図13】ブロットの重ね合わせにおける、組換え4〜8(レーン3)、4T(レーン4)、および4〜7(レーン5)ポリペプチドに対するCEACAM1-Fcの結合を示す。レーン1は、トレポネーマの(Treponemal)対照組換えペプチドを含み、レーン2は、4〜8の構築物を含む非誘導M15の可溶化液を含んだ。
【図14】抗Hisタグ抗体(上)およびCEACAM1-Fc(下)との組換えペプチドの反応性を示すウエスタンブロットを示す。レーン2〜4は、6〜8のペプチドを含み、レーン1は、対照として4〜8を含んだ。ペプチドの予測される移動位置を右上に示した。両ペプチドとも抗His抗体に結合する。しかし、4〜8は、CEACAM1-Fcと結合するが、6〜8は結合しない。
【図15】D-8ポリペプチドは、CEACAM1-Fc(レーン1)に結合するが、対照(レーン2)として使用するCD33-Fcには結合しないことを示す。このペプチドの起源は、抗Hisタグ抗体との反応性によって確認した(レーン3)。
【図16】rUspA1断片の相対的なサイズおよび位置を示す模式図である。組換え4〜7を細菌ブロッキングのために使用した−図17を参照されたい。
【図17】CHO-CEACAM1トランスフェクタントをペプチド類の非存在下で(A)または組換え対照ペプチド(トレポネーマのペプチド、B)またはUspA1 r4〜7ペプチド(株MX2に対応する配列、CおよびD)示した濃度でインキュベートし、細菌を2時間添加したものを示す。この培養の終了後、結合していない細菌を洗いながし、結合した細菌を抗M.カタラーリス・ポリクローナル抗血清およびTRITC結合二次抗体によって検出した。1μg/mlで、異種M.カタラーリス株(MX1)の有意な阻害が得られ、10μg/mlで、インフルエンザ菌の結合は、M.カタラーリスUspA1組換えペプチドによって有意に阻害された。
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療的なペプチドに、および特に、感染症のためのワクチンの調製またはその他の治療の際に、並びに感染症の治療における潜在的な薬学的活性について化合物をスクリーニングする際に有用である治療的なペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、癌胎児抗原関連細胞接着分子(CEACAMs)が、粘膜の病原体のための、特に髄膜炎菌、インフルエンザ菌、およびモラクセラ・カタラーリスなどの呼吸器の病原体のための受容体であることを以前に同定した。CEACAMsは、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーの癌胎児抗原(CEA)ファミリーに属する。CEA遺伝子ファミリーは、表面に発現されたもの(CEA)および分泌されたもの(妊娠特異的糖タンパク質(PSG))のサブファミリーを含む。CEACAM(CEA関連細胞接着分子)20として再定義された膜結合型のサブファミリーは、いくつかの関連した糖タンパク質を含み、その中のCEACAM1は、異なったヒト組織において最も広く発現されている12。本発明者によって既報告の研究では、主に4つの細胞外ドメイン、TM領域および短い(S)または長い(L)細胞質の尾部(分子式:NA1BA2-TM-SまたはL)を含むCEACAM1(以前に、CD66aおよびBGPcと名付けられた)をトランスフェクトしたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)を使用した。加えて、1つまたは複数の細胞外ドメインを含む可溶性の切断された構築物を使用した。以前の研究では、髄膜炎菌およびインフルエンザ菌が主にいくつかのCEACAMのN-ドメインをターゲットすることを証明した7,9,10。このようなターゲティングにより、細胞表面の付着、並びに細胞の侵入に至るのであろう。加えて、細菌は、食細胞およびTおよびBリンパ球上のCEACAMsに結合するであろう9。このような相互作用により、淋菌(N.gonorrhoeae)(密接に髄膜炎菌(N. meningitidis)に関連する)がこれらのリンパ球のCEACAMと結合すると、細菌細胞死8、標的細胞死、またはたとえばTおよびBリンパ球の免疫機能の阻害を引き起こすであろう21,22。
【0003】
CEACAMsは、ナイセリア科の外膜混濁関連Opaタンパク質と長期間結合しており、インフルエンザ菌もモラクセラ・カタラーリスもOpaタンパク質を産生しないので、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)およびインフルエンザ菌にCEACAM結合リガンドが存在することは、本発明の発明者らにとって驚くべき知見であった。明細書において、本発明は、粘膜の、特に呼吸器膜の感染に関して、または耳(特に中耳炎)の感染に関して特に後述するが、本発明は、CEACAM受容体が感染またはその他の受容体結合プロセスに関与する生殖粘膜または尿道などのその他の領域において、または細菌が粘膜の表面から散在されるであろうヒト感染症の他の場所においても、同等の有用性を見いだすことが理解されるはずである。
【0004】
粘膜の病原体の髄膜炎菌(Nm)、インフルエンザ菌(Hi)、およびモラクセラ・カタラーリス(Mx)は、ヒト特異的な生物体であって、上気道に住みつき、ここから、これらが散在して重い感染症を引き起こすのであろう。異なった血清型の髄膜炎菌株は、健康な個体の25%までの上咽頭内に保有されている可能性がある。しかし、多くの被検者では、生物体が粘膜のバリヤーに侵入し、最も迅速かつ進行性の極めて重い疾患のうちの1つを引き起こす。髄膜炎菌の感染症に対する宿主感受性を増大する正確な因子は、完全にはよく理解されていない。さらに、群特異的なワクチンによってもたらされる限定された保護および群Bの多糖体の非免疫原性は、宿主感受性を理解して、髄膜炎菌と戦うために共通の標的として役立ち得るめぼしい被膜下の特徴を同定するための基礎研究の必要性を強調する。本発明者らによる研究は、髄膜炎菌のコロニー形成の分子基礎、ヒト・バリヤー細胞(上皮および内皮)並びに食細胞とのその相互作用の性質の理解をもたらした。近年、主に無害なコロニー形成と、時々であるが、Nmなどの深刻な病原体との間の分化の特徴を理解するために、共生のナイセリア科による粘膜のコロニー形成の基本原理が調査されてきた。加えて、研究により、共生のナイセリア科がNmの潜在的なワクチン抗原のキャリアとして使用することができるかどうかが決定された。
【0005】
健康な個体の75%までが、種インフルエンザ菌に属する株を保有している可能性がある2。Hibワクチンの結果として、西側のタイプbの疾患の発病率には劇的な減少があったが、分類できないHi(NTHi)株によって引き起こされる疾患は、重大な問題として残っている。NTHiは、喉頭蓋炎、中耳炎、蜂窩織炎、肺炎、心内膜炎、菌血症、および髄膜炎を含む局在化した感染、並びに播種性の感染を引き起こす。中耳炎は、小児医学における重大な問題のうちの1つであり、NTHiは、生命の最初の1年間に児童の20%以上の発症の原因となる2,3。また、NTHiは、慢性の閉塞性肺疾患(COPD)および嚢胞性線維症の患者における急性の再発性および持続性の感染症と関係している。何が、これらの患者におけるNTHiによる再発性の感染症または児童の中耳炎の多発性の発症を決定しているのかは、不明なままである2,3,4。
【0006】
モラクセラ・カタラーリス(ヒト気道のもう一つの常在菌)は、たいていHiと共に局在化した感染症の症例から単離される。両生物体は、副鼻腔炎および喘息症状の悪化と関係する5,6。Mxは、児童の中耳炎で3番目に多い共通の原因である(毎年3,000,000〜4,000,000の症例の原因となると推定される)。これはまた、成人において、特にCOPD患者において下気道感染症を引き起こす5。まれに、これは播種感染と関係していた5。HiおよびMxの両者は、持続感染を引き起し、組織侵入によって宿主免疫機構および抗生物質を逃れると考えられている4。Mxのいくつかの外膜タンパクでは、これらの接着性に関して研究されている。しかし、Mxに対する細胞受容体はほとんど同定されておらず、病原性機構の詳細の多くは、調査されていないままである4,5,6。
【0007】
呼吸器粘膜の病原体に第1に要求されるものは、呼吸器の上皮細胞との安定した接触の確立である。これらのヒト向性病原体の標的は、ヒト特異的な分子であり、研究は、インビトロでのヒト組織および器官培養に依存してきた。付着は、細菌の相および抗原により可変の構造によって媒介されることが多い。加えて、病原体の付着は、多面的であり、環境適応は、付着方法に有意な役割を果たしていることがしだいに明らかになってきている。多くの最近の研究により、複雑な細胞ターゲティング機構の種々の段階を定義され始めたが、環境適応または宿主微生物のクロストークの詳細は、まだ記載されていない。
【0008】
本発明の発明者らによる最近の研究では、Nm7-9およびHi10,11が、特定のヒト細胞表面受容体CEACAMsをターゲッティングする、いくつかが異なり、その他が共通の機構を共有することを示した。
【0009】
さらに、本発明者らは、モラクセラ・カタラーリスの臨床分離株も、ヒトCEACAM分子をターゲットすることを最近同定した。加えて、高分子量のモラクセラ属外膜タンパクは、受容体と結合することを今回見いだした。呼吸器の上皮細胞を含む異なった組織におけるCEACAMsの発現12を証明した24。これらの観察は、CEACAMsの特異的なターゲティングが、呼吸器の細菌に特に有利であり、収束進化の結果として生じたのであろうことを意味する。
【0010】
髄膜炎菌によって産生される付着因子の中には、線毛(海馬采)13,14,16、並びに外膜混濁タンパク質、OpaおよびOpc15,16がある。Nm線毛は、複数の繊毛(pilin)サブユニットからなる長い糸状のタンパク質構造である。カプセルは、部分的または完全に外膜リガンドをマスキングして、これらの機能の有効性を減少させるが、線毛がカプセルを横断して、完全にカプセル化された細菌中で機能的なままであるという事実により、これらは、通常カプセルに入った細菌13,14,16において最も重要な付着因子と考えられる。Opaは、抗原性により可変の一群のタンパク質であり、髄膜炎菌(N. meningitidis)並びに淋菌(N. gonorrhoeae)に存在する。髄膜炎菌では、3-4opa遺伝子座位は、4つの表面に曝露されたループを有する関連した膜貫通タンパク質であって、これらのうちの3つが配列変化を受けているタンパク質をコードする16,17。OpC(別の膜貫通タンパク質)は、主に不変異体である15,16。この12年にわたって、本発明の発明者らは、Nm線毛の構造/機能の関係、OpaおよびOpcタンパク質の病原性の可能性を調査して、ナイセリアの混濁タンパク質のための2つのヒト受容体を同定した。さらに、ヒト標的細胞との細菌の相互作用における表面シアル酸の役割並びに細胞毒性におけるLPSおよびその他の因子の役割が、本発明の発明者らによって研究された。
【0011】
本発明は、本発明者らによる、CEACAM受容体と結合するモラクセラ属外膜タンパク質から単離された高分子量リガンドの同定によって生じる。
【0012】
本リガンドは、長時間煮沸したときに約60〜150kDの間の分子量を有する単量体に分解されるという点で、USPファミリーのタンパク質を表すそのSDS-PAGE移動パターンによって特徴づけることができる。
【0013】
本リガンドは、Mx株ATCC25238(MX2)においてUspA1として特徴づけられており、そのアミノ酸配列が決定されている。本リガンドは、受容体結合領域またはドメイン、すなわちペプチドまたは受容体と結合するというペプチドに付随した特徴を決定するために、さらに特徴づけた。
【発明の開示】
【0014】
従って、本発明は、CEACAM受容体結合ドメインを含むリガンドであって、前記リガンドは、図6に示した配列の残基463〜863、527〜668、527〜863、427〜623、427〜668、および427〜863からなる群より選択されるアミノ酸配列、またはこれらの断片、相同体、機能的な同等物、誘導体、縮重、またはヒドロキシル化、スルホン化、もしくはグリコシル化産物、またはその他の二次プロセシング産物からなるリガンドを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
リガンドの用語は、本明細書において、受容体に結合する全体分子および受容体結合特性を保持するように受容体結合ドメインを含むこれらのいずれか一部を意味するために使用される。したがって、「リガンド」は、受容体結合ドメイン、すなわち受容体結合のために必要とされるペプチド領域または領域群のみからなる分子を含む。
【0016】
一つの態様において、本発明は、図6に示した配列の残基463〜863、527〜668、527〜863、427〜623、427〜668、および427〜863からなる群より選択されるアミノ酸配列、またはこれらの断片、相同体、機能的な同等物、誘導体、縮重、またはヒドロキシル化、スルホン化、もしくはグリコシル化産物、またはその他の二次プロセシング産物からなるリガンドを提供する。
【0017】
ハイブリッドタンパク質は、UspA1およびUspA2タンパク質に由来するモザイクエピトープを含むであろうMxに生じるので23、構造的および/または機能的に同等な受容体結合ドメインも、その他のUspA様のタンパク質に存在するであろう。また、このような同等な受容体結合ドメインを含むリガンドも本発明の範囲内である。
【0018】
好ましくは、リガンドまたは受容体結合ドメインは、感染の予防または治療に使用するために適している。
【0019】
また、本発明は、相同体、多型、縮重、およびこれらのスプライスバリアントと共に、本発明のリガンドタンパク質をコードする核酸配列を提供する。
【0020】
本発明のリガンドまたはこれらの組み合わせは、ワクチンまたはその他の感染の予防療法に使用してもよい。
【0021】
ワクチンまたはその他の予防療法は、患者の治療に使用される薬学的に許容されるリガンド標品を提供するための任意の既知のアジュバント、媒体、賦形剤、結合剤、キャリア、防腐剤などを含んでいてもよい。
【0022】
また、本発明は、医薬に使用される薬学的に許容されるリガンド標品を提供する。
【0023】
薬学的に許容されるリガンドの標品は、CEACAM受容体が、たとえば感染症、呼吸器疾患、腫瘍疾患および腫瘍疾患に関連した症状、並びに血管形成の治療または予防に関与するいずれかの疾患の治療または予防に使用してもよい。
【0024】
好ましくは、感染症を治療する場合、感染症は、粘膜のものであるか、または粘膜を介して引き起こされる。
【0025】
最も好ましくは、リガンドは、髄膜炎菌、インフルエンザ菌、およびモラクセラ・カタラーリスのワクチンとして、またはその他の予防または治療のために使用される。理想的には、リガンドは、中耳炎のためのワクチンとして、またはその他の予防もしくは治療において使用される。
【0026】
さらなる側面において、本発明のリガンドは、また、一般に脆弱な群および大衆をいくつかの粘膜の病原体から保護するための治療薬として使用するための新規の遮断薬を同定するために使用してもよい。たとえば、リガンドは、この目的のために有用な受容体の類似体を同定するために使用してもよい。
【0027】
それ故、本発明は、また、治療薬として使用するための新規の遮断薬を同定するためのスクリーニングアッセイ法であって、該アッセイ法は、潜在的な治療薬を、これらが本発明のリガンドを模倣する能力について、または本発明のリガンドに対するこれらの相同性についてスクリーニングする工程を含むスクリーニングアッセイ法を提供する。本発明は、上述したスクリーニングアッセイ法によって同定される治療薬をさらに提供する。
【0028】
有効なワクチン成分は、生物活性ペプチド擬態などの本発明によって同定される受容体をターゲッティングする機構の情報を使用して産生してもよい。これらは、粘膜における細菌コロニー形成/侵入を防止すること、並びにブロッキング、オプソニン、および殺菌性であろう抗体を誘発することができる。
【0029】
本発明のリガンドによって同定される細菌に由来する生物活性ペプチド配列は、該分子がこれらのプロセスに関与している癌および発生におけるCEACAMsの役割を研究するために使用することができる。また、これらは、抗癌剤として、および血管形成を制御するか、またはさもなければ治療する可能性を有する。
【0030】
さらなる態様において、本発明は、CEACAM受容体が、疾患を引き起こす病原体の細胞ターゲティングに関与する疾患の治療または予防のための薬物の製造におけるCEACAM受容体結合リガンドの使用であって、前記リガンドは、図6に示した配列の残基463〜863、527〜668、527〜863、427〜623、427〜668、および427〜863からなる群より選択されるアミノ酸配列、またはこれらの断片、相同体、機能的な同等物、誘導体、縮重、またはヒドロキシル化、スルホン化、もしくはグリコシル化産物、またはその他の二次プロセシング産物からなるリガンドである使用を提供する。
【0031】
好ましくは、疾患は、感染症、呼吸器疾患、腫瘍疾患および腫瘍疾患に関連した症状からなる群より選択される。
【0032】
上記した薬物は、病原体が粘膜に感染するか、または粘膜を介して侵入する場合に特に有用性である。
【0033】
本明細書において記載されている薬物は、特にモラクセラ・カタラーリスによって引き起こされる感染症(疾患)の治療または予防に有用である。しかし、本明細書において記載されているリガンドは、髄膜炎菌およびインフルエンザ菌によって引き起こされる疾患などの、CEACAM受容体が関係するいずれの疾患を治療するための薬物の製造にも有用である。
【0034】
特に好ましい実施態様では、疾患は、中耳炎である。
【0035】
また、本発明のリガンドは、齲蝕などのその他の口腔内細菌によって引き起こされる疾患の治療に使用してもよい。
【実施例1】
【0036】
モラクセラ・カタラーリス株は、UspA1タンパク質を経てヒトCEACAM1-Fcに結合する
本研究に使用したモラクセラ・カタラーリス株(Mx)は、臨床分離株(MX3およびMX4)並びにアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC25238、これのクローン培養が、MX2と称された)から購入した参考菌株を含む。
【0037】
受容体重ね合わせアッセイ法は、MxがCEACAM1-Fc受容体構築物に結合することを示す
M.カタラーリス株のCEACAM1との相互作用を評価するために、細菌(c.4〜8×106)をニトロセルロースに適用し、空気乾燥して、3%のBSA-PBST中で非特異的な結合部位をブロックした。ニトロセルロース片をCEACAM1-Fc(1〜2μg ml-1)単独で、またはCEACAM1N-ドメイン抗体YTH71.3の存在下において重ね合わせた。ネガティブ対照としてCD33-Fc(1〜2μg ml-1)を使用した。キメラタンパク質構築物は、前述したように調製した11。キメラ受容体の結合は、西洋わさびペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼに結合させたヤギ抗ヒトFc抗体によって検出した。ブロットは、それぞれジアミノベンジジンおよび過酸化水素またはニトロブルーテトラゾリウムおよび5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート基質によって発色させた。全てのMx株が、CEACAM1-Fcに対して結合したが、CD33-Fcには結合しなかった(図1)。受容体の結合は、モノクローナル抗体YTH71.3の存在下で阻害されたことから、本株は、受容体のN末端ドメインに結合したことを示唆する。従って、全ての株が、CEACAM1のNドメインだけを含む切断されたN-Fc構築物に対して同等によく結合した(図示せず)。
【0038】
M.カタラーリスのCEACAM1-Fc結合タンパク質の同定
Mx(c.3×107)の全細胞可溶化物を、予め加熱処理を伴わないか、または100℃で10分間加熱した後のいずれかで10%のビス‐トリス・ポリアクリルアミドゲル(lnvitrogen)の個々レーンに適用し、180Vで45分間、電気泳動法に供した。ゲルからタンパク質を、標準的なブロッティングを使用してニトロセルロース膜に転写した。ニトロセルロース膜を上記の通りに可溶性キメラ構築物と重ね合わせた。いずれの場合においても、単一タンパク質は、特異的にCEACAM1-Fcに特異的に結合することが観察された。細菌可溶化液を加熱変性なしで適用したときに、CEACAM1結合タンパク質は、200kDa>のみかけの質量で移動したが、可溶化液を最初に加熱したときは、CEACAM1結合タンパク質は約92kDaの質量に減少して移動したので、ゲル上のタンパク質の移動は、MxのUspA1タンパク質を示している(図2)。
【0039】
UspA1に対して生じた抗体は、Mx株のCEACAM1-Fc結合タンパク質に結合するが、同様のタンパク質のUspA2に対するものは、結合しない
ペプチドは、M.カタラーリス株のUspAタンパク質の発行された配列に従って設計した。すなわち、ETNNRQDQKIDQLGYALKEQGQHFNNR(UspA1-ペプチド)およびKDEHDKLITANKTAIDANKAS(UspA2-ペプチド)である。ペプチドは、組み込まれたN末端のシステイン残基を経てKLHに結合し、ウサギ(ウサギにつき200μgペプチド)を免疫するために使用し、14日の間隔でまず最初に完全フロインドアジュバントによって、およびその後に、不完全フロイントアジュバントを使用した。ウサギは、0日および免疫後に14日の間隔で採血した。ポリクローナル抗体は、Amino Link Plusカラム(ピアス)に結合させた適切なペプチドを使用して精製した。ウエスタンブロットの重ね合わせのために、UspA-特異的抗体を1-10μg ml-1の濃度で使用し、アルカリホスファターゼ結合ヤギ抗ウサギ二次抗体で検出した。ブロットは、以前に記載されて通りに発色させた。3種のMx株のSDS-PAGE上のCEACAM1-Fc結合タンパク質の移動は、UspA1-抗体結合タンパク質のものと一致したが、UspA2-抗体結合タンパク質では一致しなかった(図3)。
【0040】
M.カタラーリスのリガンドのCEACAM1-Fcでの共沈殿により、UspA1を同定する
細菌の一晩培養をプロテアーゼ阻害剤カクテル(pic;PMSF 1mM、E641 1μM、ペプスタチンA 1μM、ベスタチン 6nM、およびEDTA 100μM)を含む100mMのオクチルβDグルコピラノシドのPBSB溶液中に懸濁した。試料をずっと一晩4℃で混合した。一方、100μlのセファロースCL-4B(Sigma)に結合したプロテインAを20μgのCEACAM1-FcまたはCD33-Fc(対照として使用した)のいずれかと4℃一晩インキュベートし、その後にPBSBで3回洗浄して全ての結合していない受容体を除去した。不溶性細菌物質を30分間15,000gで遠心分離することによって除去した。可溶性の抽出物を受容体−プロテインAセファロース複合体のいずれかと4℃で2時間インキュベートした(受容体構築物のμgにつき5×108細菌の割合で)。50mMのオクチルβDグルコピラノシドおよびPBSBで広範に洗浄した後、試料を変性条件下でのSDS-PAGE電気泳動法およびウェスタン・ブロッティングによって解析した。
【0041】
CEACAM1-Fcでの共沈実験において、MX4では、c.97kDaの強く染色されるタンパク質を得て、MX3では、c.92kDaの比較的弱く染色されるタンパク質を得た。共沈殿されたタンパク質の質量は、受容体の重ね合わせ実験で観察されるものに対応した(図3に示した)。どちらのタンパク質も、CD33-Fcで共沈殿されなかった。共沈殿されたタンパク質は、これらが抗UspA1ペプチド抗体に結合したので、UspA1タンパク質であることがさらに同定された。加えて、ゲルからの切除に続き、MX4タンパク質をMALDI-TOF質量分析に供した(下記を参照されたい)。
【0042】
MALDI-TOF質量分析によるCEACAM1リガンドの同定
(a)ウェスタンの重ね合わせ試料。MX2およびMX3の全細胞可溶化液を塹壕ゲル中のSDS-PAGEに供し、CEACAM1-Fc結合リガンドに対応するタンパク質バンドをゲルから電気溶出した。試料を濃縮し、第2のゲルの単一のレーンに再び適用して、電気泳動法に供した後に、適切なタンパク質をゲル内(in-gel)トリプシン消化した。生じるペプチドをマトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI-TOF)質量分析によって解析した。MX2のCEACAM結合タンパク質について、生じる質量スペクトルの例を示した(図4a)。得られたペプチド質量は、ProFoundタンパク質同定サイトに入力し、このタンパク質について示したとおりに結果が得られた(図4b、c)。この場合、10個のペプチド質量が、タンパク質の約18%をカバーするM.カタラーリスのUspA1のトリプシンペプチドに対して予測される質量とマッチした(図4d)。推定される2.34のZスコアは、タンパク質がUspA1であることを強く示唆する(Zスコア>1.65は、95位の百分位数以上である;http:/129.85.19.192/profound_bin/webProFound.exe)。加えて、MX2のもう一つの非結合の高分子量のバンドが、同様の解析に続いてUspA2として同定された。同様に、株MX3については、CEACAM1結合および非結合タンパク質は、それぞれUspA1およびUspA2であることが同定された。
【0043】
(b)共沈殿した試料:MX4については、CEACAM1-Fc共沈殿するタンパク質(上記の通りの)も、全分類群検索において、2.27のZスコアでのMALDI-TOFMSによって、UspA1であることが同定された。12のペプチド類がマッチし、タンパク質の21%をカバーした。
【0044】
従って、この研究により、モラクセラ・カタラーリスは、参照および示した臨床株において、高分子量のタンパク質UspA1を経てヒトCEACAM1をターゲットすることが同定された。
【0045】
UspA1および組換えペプチドの酵素切断
(a)UspA1のトリプシンペプチドは、CEACAM1-Fcに結合する
MX2の細菌懸濁液(1010ml-1)を0.1〜1mg/mlの濃度でトリプシン(Sigma)で処理し、37℃で1〜4時間インキュベートした。消化した可溶化液をSDS-PAGE緩衝液中で解離させ、煮沸し、電気泳動法に供した。ニトロセルロースに転写後、ブロットを受容体構築物CEACAM1-Fcまたは親和性精製した抗UspA1ペプチド抗体を重ね合わせた。また、受容体と反応する小さな断片は、抗UspA1-特異的抗体にも結合した(図5)。
【0046】
(b)M.カタラーリス株MX2のUspA2のCEACAM結合ドメインの局在化
MX2細菌懸濁液を1mg/mlのトリプシンで37℃において10分間で処理した。
【0047】
トリプシン処理した試料をSDS-PAGEゲル上い泳動した。染色後、50kDaの領域を一晩電気溶出した。電気溶出したタンパク質を凍結乾燥し、緩衝液に再懸濁し、第2のゲルに適用した。ゲルの一部をニトロセルロース上にブロットし、CEACAMと反応するペプチド・バンドをCEACAM1-Fcを使用するウエスタンブロッティングの重ね合わせによって同定した(図7)。
【0048】
約50kDaおよび約150kDaペプチドに対応するペプチド・バンドをN末端のシーケンシングに供した。N末端の配列は、ALESNVEEGL(50kDac.ペプチド)およびALESNV(150kDac.ペプチド)であった。150kDaのタンパク質は、これらが同じN末端配列を有することから、明らかに50kDaのタンパク質の三量体である。MX2 UspA1のこのペプチドのN末端の配列を図8に示してある。
【0049】
(c)組換えペプチド
図6に示した配列のアミノ酸1〜449から構築されたN末端の組換えMX2ペプチドは、CEACAMを結合しない。これは、図8に示した配列のアミノ酸463〜863からなる、N-末端配列ALESNVEEGLを有する約50kDaのトリプシンペプチドが、CEACAM-結合ドメインを含むことをさらに示す。
【実施例2】
【0050】
粘膜の病原体の複数の病原性決定基上の受容体結合ドメインの同定
髄膜炎菌およびインフルエンザ菌は、CEACAM上の重複する部位に結合するリガンドを経て、ヒトCEACAM分子をターゲットする。本発明のMxリガンドも、Nドメインをターゲットする。これらの観察は、いくつかの粘膜の病原体のリガンド上における同様の特徴が、受容体のターゲッティングに関与するであろうという興奮させる可能性を指し示す。
【0051】
CEACAMsとNmおよびHiとの相互作用は、表面に発現された可変ドメインの構造的な特徴による影響を受けるので、これは、これらが受容体と結合することができる空間配置の際に同様の重要なアミノ酸を含むであろうこと、およびこれらは、さもなければ可変性のタンパク質で保存されているであろうを示唆する。実際に、本発明者らの研究およびその他の研究では、Opa(HV1およびHV2)の2つの高頻度の可変性のループがCEACAMのターゲッティングに関与するであろうことを示唆する9,18。リガンドと受容体の間に生じ得る相互作用の決定基を同定することができる1つの強力な技術は、ファージディスプレイであり、これは、ミモトープ(mimotopes)(結合ドメインを模倣するランダムな配列)19並びにアプタマ(リガンド結合を阻害する本来の構造により密接に関連した配列)20を同定するために使用することができる。
【0052】
また、本発明により、CEACAMsに結合するMxリガンド・ドメインを、その他のCEACAMに結合する粘膜の病原体の擬態として作用させること、およびこのリガンドの構造的な特徴は、CEACAMNドメインをターゲティングするためのNmおよびHiリガンドに必要とされる顕著な特徴を同定する助けとすることが、非常に実現し得るものとなる。Mxドメインに対する抗体は、同じか、類似するか、または密接に配置された受容体の領域をターゲットする能力を有するその他のリガンドを同定する可能性を有し得る。
【0053】
MX2 UspA1の最小のCEACAM1結合ドメインの同定は、タンパク質工学および組換えDNA技術の既知の方法を使用して行われる。組換えペプチド類は、受容体と結合するMX2のドメインを検出するために、上記した受容体の重ね合わせアッセイ法によってインビトロでスクリーニングすることができる。His-タグの付いたペプチドにより、ニッケル・カラムで分離し、His-タグを必要に応じて切断し、さらなる調査のための抗体を得るためにウサギおよびマウスに免疫するために使用することができる。
【0054】
生物に適用するために適した長さのペプチドは、免疫学的な刺激特性、並びに受容体結合のブロッキングなどのその他の機能を検査することによって決定してもよい。
【実施例3】
【0055】
リガンド相互作用のために必要とされる受容体の顕著な特徴
CEACAMのNドメインは、Opaタンパク質の相互作用に十分であるので、本発明の発明者らは、CEACAMNドメインの粘着性エピトープを調査するためにもファージディスプレイ技術を使用する。受容体上のリガンド結合領域/群についての知識は、本発明の発明者らにより、受容体のアラニン・スキャニング突然変異誘発によって研究されており、この研究が容易になった。この場合はまた、リガンドの重ね合わせアッセイ法を、受容体配列を有するキメラ・ファージのバイオ・パニング(親和性濃度)について利用できる。
【0056】
本発明者らの研究では、異なったOpaタンパク質が、これらの抗原性が変化するにもかかわらず、一次接着のために受容体上の共通の特徴を必要とすることがすでに示されているので、受容体類似体は、産生されるOpaタイプとは独立して、複数の株をブロックする可能性を有して一般的に必要である9。CEA抗原は、腸粘膜からそぎ落され、CEACAMsをターゲットすることも知られている大腸菌株の接着を妨げるのであろう点に注意することも関心がもたれる。これは、先天性免疫、対、腸内の病原体の機構として提唱されている。12従って、これらの受容体類似体は、治療薬として作用する。
【実施例4】
【0057】
組換えCEACAM結合モラクセラ・カタラーリスUspA1ペプチドの産生
概要:
図9に示したプライマーを使用して、UspA1に沿っていくつかの断片のPCR増幅を行った。組換えペプチド類は、後述するように得た。第1のラウンドでは、円形の、非常にCEACAM1に結合した組換えペプチドは、プライマーP4およびP8によって増幅されるDNAによってコードされるが、P1およびP5の間の領域によってはコードされなかったことが判明した。さらに、組換えP4-P7はCEACAM1に結合したが、P6-P8は結合しなかった。P4およびP7領域内のさらなるプライマーを使用した。領域D-7は、CEACAM結合を保持した。断片4-7の配列を図10に示してある。
【0058】
組換えUspA1ペプチドの一般的なクローニング、発現、および精製ストラテジー
UspA1断片1-5は、pBAD系を使用して作製した。必要なPCR産物をpBADベクターにTAクローン化し、増幅のためにTOP10大腸菌株を使用した。残りの手順は、アラビノースを使用してpBADを誘導したことを除き、図11に示したとおりであった。断片4-7をpBADおよびpQE30(図11)系を使用して作製し、同様のCEACAM結果であった。残りの断片は、図11のストラテジーを使用して作製した。
【0059】
ベクターおよびpQE30発現系
ベクターpQE30(図12)を大腸菌株M15と組み合わせて使用した。M15は、リプレッサーをコードするプラスミドpREP4を含み、pQE30内にクローン化されたDNAの転写を制限する。1mMの濃度にIPTGを添加すると、このリプレッサーのコードが防られ、したがってpQE30内のクローン断片の転写が妨げられる。
【0060】
クローニング・ストラテジー
PCR増幅産物は、最初にpCR2.1内にライゲートした。これにより、アンプリマー(amplimer)を制限消化(BamHl/Pstl)によって回収することができる安定な宿主が提供され、遺伝子断片のそれぞれの末端の切断が確実になる。pQE30も同じように消化して、ゲル精製によって回収し、これにより、両方の制限部位の切断も確実になった。消化されたpQE30およびUspA1アンプリマー(amplimer)をT4DNAリガーゼにより16℃で一晩ライゲートし、CaCl2コンピテント大腸菌M15に形質転換した。形質転換体をアンピシリン(100μg/ml)およびカナマイシン(25μg/ml)を補ったLB寒天に対して選択した。4〜8個のコロニーを拾い、抗生物質を有するLBブロス中で培養した。3〜4mlの培養からの細菌を遠心分離によって収集し、アルカリ溶解ミニプレップ法に供した。精製したベクターは、uspA1挿入物を検査するために、上記のように消化した。適切な大きさの挿入物を有するpQE30を含む細菌を50ミリリットルの培養で増殖させて、IPTGで誘導した(下記を参照されたい)。次いで、組換えタンパク質生産をスクリーニングするために、ウエスタンブロット法を使用した。加えて、ベクターをシーケンスして、挿入物がDNAの適切な領域であったことを決定し、シーケンスに何らかの誤りがないかを調べた。
【0061】
発現および精製
pQE30/uspA1構築物を含むM15は、LB(100μg/mlのアンピシリンおよび25μg/mlカナマイシンを補ったもの)ブロス中で、OD600=0.5まで振盪しながら培養した後、1mMの濃度にIPTGを添加した。培養液をさらに3〜4時間インキュベートし、細菌を遠心分離によって回収した。細菌ペレットを緩衝液B(8Mの尿素、50mMのトリス、10%のエタノール、2%のTween、5mMのイミダゾール、pH7)中で1〜3時間可溶化し、膜物質を20,000gで20分間遠心することによって除去した。上清は、ロータリー型ミキサーで1〜2時間ニッケル樹脂と共にインキュベートし、ポリプロピレン・カラムを通した。保持された樹脂を5〜10mlの緩衝液Bで洗浄し、結合したタンパク質を100mMのイミダゾールを補った0.5mlの緩衝液Bの溶出によって溶出した。溶出されたタンパク質をSDS-PAGEによって点検した後、尿素およびその他の塩類を除去するために透析した。
【0062】
組換え断片
A:断片1-5および4-8
pBADシステムによって産生されるこれらの断片は、1-5がCEACAM1に結合しないが、4-8は結合することを示した。
【0063】
B:pQE30系を使用して産生した断片4-8、4-8T、4-7、および6-8
断片4-8は、産生された最初のrUspA1断片であり、ブロット重ね合わせアッセイ法において高親和性でCEACAM1に結合することが見いだされた。全長4-8のrUspA1ペプチドに加えて、切断されて、より小さなタンパク質を観察した。このペプチド(4Tと示した)もCEACAM1に結合し、4-8よりも低いレベルで発現されるように見えた(図13)。pQE30/4-Tの配列解析により、ミスマッチ(CAAからTAA)により、残基Q624(図10を参照されたい)で終止コドンを生じることを見いだした。
【0064】
第2のCEACAM結合部位が6-8において生じたという可能性を除外するために、ペプチド4-7および6-8を作製した。4-Tペプチドから予測されるように、4-7は、CEACAM結合を示したが(図13)、6-8は示さなかった(図14)。
【0065】
C:pQE30系によって産生される断片D-8およびD-7
rUspA1断片D-8(図15)およびD-7(図示せず)は、CEACAM1に結合することを見いだした。
【0066】
組換えペプチド4-7の生物活性
M.のカタラーリス株MX1およびインフルエンザ菌株Rdは、CEACAM1をトランスフェクトしたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に結合する。これらの結合は、M.カタラーリスUspA1組換えペプチド4-7で遮断することができるが、対照ペプチドではできない(図17)。
【0067】
参照:
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21. Boulton I. C. & Gray-Owen S. D. 2002 Nat Immunol 3 (3): 229-36.
22. Chen T. et al., 2001 J Leukoc Biol 70 (2): 335-40.
23. Lafontaine, E. R. , et al., 2000 J Bacteriol 182: 1364-1373.
24. Virji, M. 2001 Trends in Microbiology, 9: 258-259.
本発明の態様は、ここで、図面に対して参照がなされている非限定の例として、単に記載してある:
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】CEACAM1-Fc(1μg.ml-1)可溶性の受容体構築物の単独での(白い、左側のバー)、またはCEACAM1 N-ドメイン特異的抗体YTH71.3の存在下における(灰色の、中心のバー)、ニトロセルロースに固定された3つのMx株に対する相対的な結合レベルを示すグラフである。CD33Fc断片の結合は、いずれの場合においてもごくわずかであった(黒い、右側のバー)。株1、2、3:それぞれMX2(ATCC25238)、MX3、MX4(臨床分離株)。結合は、ドットブロットの重ねあわせで決定し、反応の強度をNIH Scion Imageプログラムを使用する濃度測定解析によって定量した。
【図2】解離していないか(加熱していない、レーン1)、または10分(レーン2)間煮沸した後に分離した株MX2タンパク質のウエスタンブロットを示す。ブロットをCEACAM1-Fc(1μg.ml-1)と重ね合わせて、受容体の結合を西洋わさびペルオキシダーゼ結合抗ヒトFc抗体およびその基質によって検出した。
【図3】株MX2、3、4の変性した細胞全体可溶化液のウエスタンブロット(それぞれ、レーン1〜3)をCEACAM1-Fc(1μg.ml-1;a)、抗UspA1ペプチド抗体(10μg.ml-1;b)、および抗UspA2ペプチド抗体(10μg.ml-1;c)と重ね合わせたものを示す。3つの株において、CEACAM1-Fc結合タンパク質と抗UspA1結合タンパク質が同様の移動プロフィールであることに留意されたい。c.250kDa(アルカリホスファターゼアッセイ法における高い検出感度のために、この場合検出される)の解離してないタンパク質の残遺物は、CEACAM1-Fcと結合する。これらは、おそらく合成ペプチド内に含まれるエピトープが未変性タンパク質中で完全には曝露されていなかったが、複雑な変性により次第に曝露されるので、抗ペプチド抗体によってわずかに認識されるだけである。抗UspA2抗体は、煮沸後に解離しないままである(UspA2タンパク質を示す性質)みかけの質量>200kDaのタンパク質と結合する。
【図4a】電気泳動溶出に続くMX2のCEACAM1結合タンパク質のトリプシンペプチドの質量スペクトルを示す(4a)。
【図4b】ProFoundタンパク質同定データベースへのデータ入力の概要を(4b)に示してある。
【図4c】上位10の同定されたタンパク質の表および確率値を(4c)に示してある。
【図4d】1位にランクされた候補、この場合Zスコアが2.34のUspA1の詳細を(4d)に示してあり、マッチしたペプチドの数、タンパク質内のこれらの位置、詳細、カバーされるタンパク質の%、およびこのときにマッチしないペプチドのリストを示している。
【図5】MX2のUspA1のトリプシン分解断片のウエスタンブロット解析を示す。A:二次抗体を使用する対照ブロット(BおよびCにおいて使用するヤギ抗ヒトFcおよびヤギ抗ウサギIgの混合物)。B:CEACAM1-Fcおよびヤギ抗ヒトFcを重ね合わせたブロット。C:UspA1ペプチド(ETNNHQDQKIDQLGYALKEQGQHFNNR)に対して生じた親和性精製したウサギ抗体(図6を参照されたい)および抗ウサギIgを重ね合わせたブロット。*=分子量マーカーのレーン-左上に示した。二重矢印によって示したペプチドは、CEACAM1-Fc(B)並びに抗UspA1ペプチド抗体(C)と強く反応する。最も低いMWのペプチドに対する抗UspA1ペプチド抗体の結合(鏃)により、このCEACAM-結合断片を、MX2(図6を参照されたい)のUspA1のN-199〜K-863内に含まれるC末端の断片として同定する。
【図6】MX2 UspA1タンパク質のアミノ酸配列を示す。ウサギの抗血清を生じさせるために使用するUspA1-特異的なペプチドを太字で示した。CEACAM-結合領域は、MX2のUspA1の下線付きC末端断片に含まれる。
【図7】CEACAMsと反応するトリプシンペプチド分離を示す。M.カタラーリス株MX2を37℃で10分間1mg/mlのトリプシンで処理した。トリプシン処理した試料をSDS-PAGEに供した。染色後、50kDaの領域を一晩電気溶出(electroeluted)させた。電気溶出されたタンパク質を凍結乾燥し、緩衝液に再懸濁し、第2のゲルに適用した。ゲルの一部をニトロセルロース上にブロットし、CEACAMと反応するペプチドのバンドをCEACAM1-Fc(ブロット)を使用するウエスタンブロットに重ね合わせることによって同定した。
【0069】
'*':N末端のシーケンシングのためのペプチド・バンドを意味する。
【図8】MX2 UspA1タンパク質のトリプシンペプチドのアミノ酸配列を示す。示した50kDaのトリプシンペプチド(アミノ酸463〜863)は、CEACAMおよびUspA1ペプチド(アミノ酸753-780下線付き)に対する抗血清に結合する。c.50kDaのCEACAM結合ペプチドのN末端の配列は、アミノ酸462のトリプシン切断部位の後に生じる「ALESNVEEGL」である。
【図9】組換えペプチドの発現のためにuspA1遺伝子断片を作製するために使用したプライマーの位置の図示を示す。CEACAM1結合部位は、プライマ^P4およびP7によって増幅されるDNAによってコードされ、この領域の全体にわたるさらなるプライマー(文字A〜I)を設計し、使用した。
【図10】組換え断片4〜7の配列を示す。下線付き領域は、CEACAM1反応性のトリプシンペプチドのN末端領域である。断片4〜7の予測された分子量は、c.26kDaである。His-標識した断片の予測されたMW:c.28kDa。切断されたペプチドの位置は、「T」によって示してある。(図13を参照されたい)。
【図11】pQE30システムによって例示した、組換えUspA1ペプチドのための一般的なクローニング、発現、および精製ストラテジーを示す図である。
【図12】ベクターpQE30のマープである。
【図13】ブロットの重ね合わせにおける、組換え4〜8(レーン3)、4T(レーン4)、および4〜7(レーン5)ポリペプチドに対するCEACAM1-Fcの結合を示す。レーン1は、トレポネーマの(Treponemal)対照組換えペプチドを含み、レーン2は、4〜8の構築物を含む非誘導M15の可溶化液を含んだ。
【図14】抗Hisタグ抗体(上)およびCEACAM1-Fc(下)との組換えペプチドの反応性を示すウエスタンブロットを示す。レーン2〜4は、6〜8のペプチドを含み、レーン1は、対照として4〜8を含んだ。ペプチドの予測される移動位置を右上に示した。両ペプチドとも抗His抗体に結合する。しかし、4〜8は、CEACAM1-Fcと結合するが、6〜8は結合しない。
【図15】D-8ポリペプチドは、CEACAM1-Fc(レーン1)に結合するが、対照(レーン2)として使用するCD33-Fcには結合しないことを示す。このペプチドの起源は、抗Hisタグ抗体との反応性によって確認した(レーン3)。
【図16】rUspA1断片の相対的なサイズおよび位置を示す模式図である。組換え4〜7を細菌ブロッキングのために使用した−図17を参照されたい。
【図17】CHO-CEACAM1トランスフェクタントをペプチド類の非存在下で(A)または組換え対照ペプチド(トレポネーマのペプチド、B)またはUspA1 r4〜7ペプチド(株MX2に対応する配列、CおよびD)示した濃度でインキュベートし、細菌を2時間添加したものを示す。この培養の終了後、結合していない細菌を洗いながし、結合した細菌を抗M.カタラーリス・ポリクローナル抗血清およびTRITC結合二次抗体によって検出した。1μg/mlで、異種M.カタラーリス株(MX1)の有意な阻害が得られ、10μg/mlで、インフルエンザ菌の結合は、M.カタラーリスUspA1組換えペプチドによって有意に阻害された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CEACAM受容体結合ドメインを含むリガンドであって、前記リガンドは、図6に示した配列の残基463〜863、527〜668、527〜863、427〜623、427〜668、および427〜863からなる群より選択されるアミノ酸配列、またはこれらの断片、相同体、機能的な同等物、誘導体、縮重、またはヒドロキシル化、スルホン化、もしくはグリコシル化産物、またはその他の二次プロセシング産物からなるリガンド。
【請求項2】
請求項1に記載のリガンドと、1つまたは複数の薬学的に許容されるアジュバント、媒体、賦形剤、結合剤、キャリア、または防腐剤とを含む薬物。
【請求項3】
感染の治療または予防のための、請求項2に記載の薬物の使用。
【請求項4】
CEACAM受容体が関係するいずれかの疾患の治療または予防のための、請求項2に記載の薬物の使用。
【請求項5】
感染症、呼吸器疾患、腫瘍疾患、および腫瘍疾患に関連した症状、並びに血管形成の治療または予防のための、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記感染症が、粘膜のものであるか、または粘膜を介して引き起こされる、請求項3〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記感染症が、髄膜炎菌、インフルエンザ菌、またはモラクセラ・カタラーリスによって引き起こされる、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
中耳炎の予防または治療のための、請求項2に記載の薬物の使用。
【請求項9】
治療薬として使用するための新規の遮断薬の同定のためのスクリーニングアッセイ法であって、潜在的な治療薬を、これらが請求項1に記載のリガンドを模倣する能力について、または請求項1に記載のリガンドに対するこれらの相同性についてスクリーニングすることを含む方法。
【請求項10】
請求項1に記載のリガンドと、1つまたは複数の薬学的に許容されるアジュバント、媒体、賦形剤、結合剤、キャリア、または防腐剤とを含むワクチン。
【請求項11】
感染症を、その必要のある個体において治療するまたは防止する方法であって、請求項2に記載の薬物の有効な量を投与することを含む方法。
【請求項13】
添付の図面の図6に関連しており、かつこれによって例示される実質的に先に記載したリガンド。
【請求項14】
請求項13のリガンドを含む、実質的に先に記載した薬物。
【請求項15】
CEACAM受容体が疾患を引き起こす病原体の細胞ターゲティングに関与する疾患の治療または予防のための薬物の製造におけるCEACAM受容体結合リガンドの使用であって、前記リガンドは、図6に示した配列の残基463〜863、527〜668、527〜863、427〜623、427〜668、および427〜863からなる群より選択されるアミノ酸配列、またはこれらの断片、相同体、機能的な同等物、誘導体、縮重、またはヒドロキシル化、スルホン化、もしくはグリコシル化産物、またはその他の二次プロセシング産物を含む使用。
【請求項16】
前記疾患が、感染症、呼吸器疾患、腫瘍疾患および腫瘍疾患に関連した症状、並びに血管形成からなる群より選択される、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記病原体が粘膜に感染するか、または粘膜を介して侵入する、請求項15または16に記載の使用。
【請求項18】
前記疾患を引き起こす病原体が、髄膜炎菌、インフルエンザ菌、およびモラクセラ・カタラーリスからなる群より選択される、請求項15〜17のいずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
前記疾患が中耳炎である、請求項18に記載の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CEACAM受容体結合ドメインを含む全体のUspA1リガンドであって、前記リガンドは、配列番号2の残基427〜623、またはCEACAM受容体結合のために必要とされるこれらの断片を含むリガンド。
【請求項2】
請求項1に記載のリガンドであって、前記リガンドは、残基463〜863、527〜668、527〜863、427〜623、427〜668、および427〜863からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるリガンド。
【請求項3】
請求項1または2に記載のリガンドであって、前記リガンドは、1つまたは複数の薬学的に許容されるアジュバント、媒体、賦形剤、結合剤、キャリア、または防腐剤とを含む薬物。
【請求項4】
感染の治療または予防のための、請求項3に記載の薬物の使用。
【請求項5】
CEACAM受容体が、該疾患を引き起こす病原体の細胞のターゲティングに関係する疾患の治療または予防のための、請求項2に記載の薬物の使用。
【請求項6】
感染症、呼吸器疾患、腫瘍疾患、および腫瘍疾患に関連した症状、並びに血管形成の治療または予防のための、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記感染症が、粘膜のものであるか、または粘膜を介して引き起こされる、請求項4〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
前記感染症が、髄膜炎菌、インフルエンザ菌、またはモラクセラ・カタラーリスによって引き起こされる、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
中耳炎の予防または治療のための、請求項3に記載の薬物の使用。
【請求項10】
治療薬として使用するための新規の遮断薬の同定のためのスクリーニングアッセイ法における請求項1に記載のリガンドの使用であって、潜在的な治療薬を、これらが前記リガンドを模倣する能力について、または前記リガンドに対するこれらの相同性についてスクリーニングすることを含む使用。
【請求項11】
請求項1に記載のリガンドと、1つまたは複数の薬学的に許容されるアジュバント、媒体、賦形剤、結合剤、キャリア、または防腐剤とを含むワクチン。
【請求項12】
感染症を、その必要のある個体において治療するまたは防止する方法であって、請求項2に記載の薬物の有効な量を投与することを含む方法。
【請求項13】
添付の図面の図6に関連しており、かつこれによって例示される実質的に先に記載したリガンド。
【請求項14】
請求項13のリガンドを含む、実質的に先に記載した薬物。
【請求項15】
CEACAM受容体結合ドメインを含む全体のUspA1リガンドの使用であって、前記リガンドは、配列番号2の残基463〜863、527〜668、527〜863、427〜623、427〜668、および427〜863からなる群より選択されるアミノ酸配列、またはCEACAM結合能を保持するこれらの断片もしくは機能的な同等物の使用。
【請求項16】
前記疾患が、感染症、呼吸器疾患、腫瘍疾患および腫瘍疾患に関連した症状、並びに血管形成からなる群より選択される、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記病原体が粘膜に感染するか、または粘膜を介して侵入する、請求項15または16に記載の使用。
【請求項18】
前記疾患を引き起こす病原体が、髄膜炎菌、インフルエンザ菌、およびモラクセラ・カタラーリスからなる群より選択される、請求項15〜17のいずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
前記疾患が中耳炎である、請求項18に記載の使用。
【請求項1】
CEACAM受容体結合ドメインを含むリガンドであって、前記リガンドは、図6に示した配列の残基463〜863、527〜668、527〜863、427〜623、427〜668、および427〜863からなる群より選択されるアミノ酸配列、またはこれらの断片、相同体、機能的な同等物、誘導体、縮重、またはヒドロキシル化、スルホン化、もしくはグリコシル化産物、またはその他の二次プロセシング産物からなるリガンド。
【請求項2】
請求項1に記載のリガンドと、1つまたは複数の薬学的に許容されるアジュバント、媒体、賦形剤、結合剤、キャリア、または防腐剤とを含む薬物。
【請求項3】
感染の治療または予防のための、請求項2に記載の薬物の使用。
【請求項4】
CEACAM受容体が関係するいずれかの疾患の治療または予防のための、請求項2に記載の薬物の使用。
【請求項5】
感染症、呼吸器疾患、腫瘍疾患、および腫瘍疾患に関連した症状、並びに血管形成の治療または予防のための、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記感染症が、粘膜のものであるか、または粘膜を介して引き起こされる、請求項3〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記感染症が、髄膜炎菌、インフルエンザ菌、またはモラクセラ・カタラーリスによって引き起こされる、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
中耳炎の予防または治療のための、請求項2に記載の薬物の使用。
【請求項9】
治療薬として使用するための新規の遮断薬の同定のためのスクリーニングアッセイ法であって、潜在的な治療薬を、これらが請求項1に記載のリガンドを模倣する能力について、または請求項1に記載のリガンドに対するこれらの相同性についてスクリーニングすることを含む方法。
【請求項10】
請求項1に記載のリガンドと、1つまたは複数の薬学的に許容されるアジュバント、媒体、賦形剤、結合剤、キャリア、または防腐剤とを含むワクチン。
【請求項11】
感染症を、その必要のある個体において治療するまたは防止する方法であって、請求項2に記載の薬物の有効な量を投与することを含む方法。
【請求項13】
添付の図面の図6に関連しており、かつこれによって例示される実質的に先に記載したリガンド。
【請求項14】
請求項13のリガンドを含む、実質的に先に記載した薬物。
【請求項15】
CEACAM受容体が疾患を引き起こす病原体の細胞ターゲティングに関与する疾患の治療または予防のための薬物の製造におけるCEACAM受容体結合リガンドの使用であって、前記リガンドは、図6に示した配列の残基463〜863、527〜668、527〜863、427〜623、427〜668、および427〜863からなる群より選択されるアミノ酸配列、またはこれらの断片、相同体、機能的な同等物、誘導体、縮重、またはヒドロキシル化、スルホン化、もしくはグリコシル化産物、またはその他の二次プロセシング産物を含む使用。
【請求項16】
前記疾患が、感染症、呼吸器疾患、腫瘍疾患および腫瘍疾患に関連した症状、並びに血管形成からなる群より選択される、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記病原体が粘膜に感染するか、または粘膜を介して侵入する、請求項15または16に記載の使用。
【請求項18】
前記疾患を引き起こす病原体が、髄膜炎菌、インフルエンザ菌、およびモラクセラ・カタラーリスからなる群より選択される、請求項15〜17のいずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
前記疾患が中耳炎である、請求項18に記載の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CEACAM受容体結合ドメインを含む全体のUspA1リガンドであって、前記リガンドは、配列番号2の残基427〜623、またはCEACAM受容体結合のために必要とされるこれらの断片を含むリガンド。
【請求項2】
請求項1に記載のリガンドであって、前記リガンドは、残基463〜863、527〜668、527〜863、427〜623、427〜668、および427〜863からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるリガンド。
【請求項3】
請求項1または2に記載のリガンドであって、前記リガンドは、1つまたは複数の薬学的に許容されるアジュバント、媒体、賦形剤、結合剤、キャリア、または防腐剤とを含む薬物。
【請求項4】
感染の治療または予防のための、請求項3に記載の薬物の使用。
【請求項5】
CEACAM受容体が、該疾患を引き起こす病原体の細胞のターゲティングに関係する疾患の治療または予防のための、請求項2に記載の薬物の使用。
【請求項6】
感染症、呼吸器疾患、腫瘍疾患、および腫瘍疾患に関連した症状、並びに血管形成の治療または予防のための、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記感染症が、粘膜のものであるか、または粘膜を介して引き起こされる、請求項4〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
前記感染症が、髄膜炎菌、インフルエンザ菌、またはモラクセラ・カタラーリスによって引き起こされる、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
中耳炎の予防または治療のための、請求項3に記載の薬物の使用。
【請求項10】
治療薬として使用するための新規の遮断薬の同定のためのスクリーニングアッセイ法における請求項1に記載のリガンドの使用であって、潜在的な治療薬を、これらが前記リガンドを模倣する能力について、または前記リガンドに対するこれらの相同性についてスクリーニングすることを含む使用。
【請求項11】
請求項1に記載のリガンドと、1つまたは複数の薬学的に許容されるアジュバント、媒体、賦形剤、結合剤、キャリア、または防腐剤とを含むワクチン。
【請求項12】
感染症を、その必要のある個体において治療するまたは防止する方法であって、請求項2に記載の薬物の有効な量を投与することを含む方法。
【請求項13】
添付の図面の図6に関連しており、かつこれによって例示される実質的に先に記載したリガンド。
【請求項14】
請求項13のリガンドを含む、実質的に先に記載した薬物。
【請求項15】
CEACAM受容体結合ドメインを含む全体のUspA1リガンドの使用であって、前記リガンドは、配列番号2の残基463〜863、527〜668、527〜863、427〜623、427〜668、および427〜863からなる群より選択されるアミノ酸配列、またはCEACAM結合能を保持するこれらの断片もしくは機能的な同等物の使用。
【請求項16】
前記疾患が、感染症、呼吸器疾患、腫瘍疾患および腫瘍疾患に関連した症状、並びに血管形成からなる群より選択される、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記病原体が粘膜に感染するか、または粘膜を介して侵入する、請求項15または16に記載の使用。
【請求項18】
前記疾患を引き起こす病原体が、髄膜炎菌、インフルエンザ菌、およびモラクセラ・カタラーリスからなる群より選択される、請求項15〜17のいずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
前記疾患が中耳炎である、請求項18に記載の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2006−516952(P2006−516952A)
【公表日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−540969(P2004−540969)
【出願日】平成15年10月1日(2003.10.1)
【国際出願番号】PCT/GB2003/004273
【国際公開番号】WO2004/031236
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(300002942)ザ ユニバーシティ オブ ブリストル (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年10月1日(2003.10.1)
【国際出願番号】PCT/GB2003/004273
【国際公開番号】WO2004/031236
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(300002942)ザ ユニバーシティ オブ ブリストル (10)
【Fターム(参考)】
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