説明

治療計画のための連続的最適化

放射線治療計画のための方法および装置について記載する。本方法は、複数の放射線治療計画パラメータを受信することと、複数の放射線治療計画パラメータを連続的に最適化することとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許
本出願は、2008年10月23日出願の米国特許仮出願第61/107,997号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明の実施形態は、概して、放射線治療計画に関し、より具体的には、放射線治療計画を連続的に最適化することに関する。
【背景技術】
【0003】
従来の放射線手術システムは、放射線治療中(例えば、放射線手術または放射線療法)に、病理解剖学的形態(例えば、腫瘍、病変、血管奇形、神経障害)を治療するために、順方向治療計画または逆方向治療計画を使用する。順方向治療計画では、医学物理学者が、所望の放射線量を腫瘍に適用するために、放射線源(ビーム)をどのように構成するかを判定し、重要構造(critical structure)(すなわち、生命維持に不可欠な臓器)および他の健康な組織によって、どのくらいの放射線が吸収されるかを計算する。逆方向治療計画では、順方向治療計画とは対照的に、医学物理学者が、腫瘍への最小および最大線量、ならびに他の健康な組織への最大線量を個々に特定し、その後、治療計画システムが、特定の線量条件を達成するように、方向、大きさ、総回数、および時には放射線源のビームのエネルギーを選択する。従来の治療計画システムは、例えば、コンピュータX線断層撮影(CTスキャン)といった、診断画像化源から3D画像を取り込むように設計される。CTスキャンは、CTスライスの収集物から生成された、関心体積(例えば、頭蓋骨、または体の他の腫瘍を持った部分)の正確な3次元モデルを提供し、それによって、治療を必要とする体積を、3次元で可視化することができる。VOIは通常、2D画像のピクセルに類似する、ボクセル(体積因子)として表される。
【0004】
逆方向計画中、ソフトウェアパッケージがCTスキャンに取り込まれると、医学物理学者は、投与される放射線量に対して、標的とされるか、または避けられるべき構造を描出するように、CTにおける関心体積(VOI)の広がりを手動で描出する。すなわち、放射線源のビームは、すぐ近くの健康な組織の被爆を避ける一方で、標的を必要とする治療にできるかぎり密接に適合するVOIの中に、放射線量を局在化させるように計算されたシークエンスに位置付けられる。標的(例えば、腫瘍)VOIが定義され、重要な軟部組織体積が特定されると、担当の放射線腫瘍医または医学物理学者は、標的VOIへの最小および最大放射線量、ならびに正常で重要な健康組織への最大線量を特定する。その後ソフトウェアにより、治療計画の最小/最大線量の制約にできるだけ密接に合致するように、放射線治療システムの位置性能に依存して、逆方向治療計画を作成する。
【0005】
図1は、CT画像のスライスを表示する、治療計画システムの図形出力の概念図である。CT画像の図は、治療のために標的とされる病理解剖学的形態だけでなく、病理解剖学的形態付近に位置する重要領域を含む。従来、ユーザは、危険領域周辺の輪郭、および病理解剖学的形態周辺の標的領域の輪郭を生成するように、治療計画システムによって使用されるディスプレイ上に点(例えば、図1の輪郭線上のドットの一部)を手動で描出する。標的領域への特定された最小および最大線量、ならびに重要領域への最大線量に基づき、治療計画システムは、標的領域に対して線量等高線を生成する(例えば、線は等しい線量の点を結合し、例えば、40Gy、50Gyといった絶対単位、あるいは例えば、60%、70%、80%といった最大またはユーザ定義による線量の割合として表される)。理想的には、標的に送達される所望の線量の等高線は、標的領域の輪郭と完全に合致すべきである。ある場合には、治療計画システムによって生成される線量等高線は最適ではなく、図1に図示する通り、重要領域の部分を含み得る。
【0006】
効果的な放射線治療に対する2つの主要な要件は、線量の共形性、および前者ほどではないが均一性である。均一性は、標的(例えば、腫瘍、病変、血管奇形等の病理解剖学的形態)の体積上の放射線量の一様性であり、線量体積ヒストグラム(DVH)によって特徴付けることができる。病理解剖学的形態に対する理想的なDVHは、図2に図示する通り、通常矩形関数とみなされ、線量は病理解剖学的形態の体積全体にわたる処方線量の100パーセントである。重要領域に対する望ましいDVHは、図3に図示する外形を有する可能性があり、重要な解剖学的構造の体積は、できるだけ少量の処方線量を受ける。
【0007】
共形性は、放射線量分布の所望の線量等高線が、重要な隣接構造への損傷を最小限にするように、標的(例えば、腫瘍)の形および範囲に合致(適合)する度合いである。より具体的に言うと、共形性は、標的VOI内の処方(Rx)線量(適用される線量)の尺度である。共形性は、共形性指数(CI)=(≧Rx線量での総体積)/(≧Rx線量での標的体積)を使用して、測定することができる。完全な共形性では、CI=1の結果になる。
【0008】
治療計画過程では、通常、標的適用範囲、線量分布の共形性および均一性、治療時間等の、多くの治療計画の目的を完成させるために、ユーザが治療計画ソフトウェアプログラムを採用する必要がある。治療計画を最適化するために、従来の治療計画ソフトウェアプログラムは、複数の治療計画の目的を単一の数学的費用関数に分類し、費用関数全体を最適化する。単一の費用関数を最適化することによって、治療計画ソフトウェアプログラムは、複数の治療計画の目的を共に、同時に、かつまとめて最適化する。
【0009】
1つの治療計画の目的を別の目的より優先させる、1つの従来の手法では、ユーザは、治療計画の目的のそれぞれに対して重み因子を特定する。しかしながら、目的は、同時にかつまとめて最適化されるため、複数の治療計画の目的の間に結果として生じるトレードオフの限定的制御が存在する。加えて、目的は、同時にかつまとめて最適化されるため、ユーザは、この集団的最適化過程を何度も行わなくてはならない場合があり、最適化を改善するために各最適化の反復後に治療計画を査定し、重み因子および線量の制約等のパラメータを手動で修正する。この手動の反復最適化過程は、時間と、最適化過程を改善するために治療計画パラメータを変更するユーザの経験とを必要とする。加えて、治療計画が患者ごとだけでなく、治療領域(例えば、脳対肺)でも異なるため、治療計画システムでは、治療計画過程を通じて、それぞれ異なる治療計画ごとに、ユーザが手動でパラメータを入力する必要がある。この手動過程には時間が必要とされ、決して最適の治療計画となり得ず、ユーザ入力エラーをもたらす可能性がある。
【0010】
本発明は、添付の図において、限定のためでなく、例示のために示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】CT画像の断面を表示する、治療計画システムの図形出力を示す。
【図2】病理解剖学的形態に対する理想的なDVHである。
【図3】重要領域に対する所望のDVHである。
【図4A】放射線治療送達システムの一実施形態のブロック図である。
【図4B】前立腺腫瘍を治療するためのスクリプトを生成する方法の一例示的実施形態のフロー図である。
【図4C】複数の放射線治療計画パラメータの連続的最適化の方法の一実施形態のフロー図である。
【図4D】個々の最適化ステップの順序付けられたシーケンスを有する、スクリプトを生成する方法の別の実施形態のフロー図である。
【図5A】ユーザが絶対的なモニタユニット(MU)を定義することを可能にする、ユーザインターフェースの一実施形態を示す。
【図5B】ユーザが最適化における各VOIに対して最大線量およびサンプリングパラメータを定義することを可能にする、ユーザインターフェースの一実施形態を示す。
【図5C】シェル構造が望ましい標的体積、および対称または非対称の拡張マージンを定義することを可能にする、ユーザインターフェースの一実施形態を示す。
【図6】ユーザが最適化ステップの順序付けられたシーケンスを定義することを可能にする、ユーザインターフェースの一実施形態を示す。
【図7A】ユーザが個々の最適化ステップのシーケンスを有する、記憶されたスクリプトをロードすることを可能にする、ユーザインターフェースの一実施形態を示す。
【図7B】ユーザが、ロードされているスクリプトの中のVOIの名前を、治療計画に存在するVOI名に合致させることを可能にする、ユーザインターフェースの一実施形態を示す。
【図8】一実施形態に従う、例示的最適化ステップの表である。
【図9】一実施形態に従う、例示的な目的、およびDVHが各目的に対して最適化される方法の表である。
【図10】一ビームごとに3つのボクセルに設定される、重要度サンプリングの一実施形態を示す。
【図11】本発明の特徴が実現される放射線治療を行うように使用することができる、システムの一実施形態を示す。
【図12】治療送達システムの別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図4Aは、ロボットアーム406に載置された直線加速器(LINAC)405(放射線源)と、第2のロボットアーム(図示せず)に載置された治療台410と、画像検出器415Aおよび415Bと、画像源416Aおよび416Bとを含む、放射線治療送達システム400を示している。Accuray Incorporated(California,Sunnyvale)は、図4Aに示すようなシステムを製作および販売している。好ましくは、放射線治療送達システム400は、放射線治療(例えば、放射線手術および/または放射線療法)、すなわち患者内の病変(例えば、腫瘍)の治療または破壊を行うのに使用される。
【0013】
好ましくは、画像化の源416および検出器415は、当業者が理解する通り、治療台410(その上に患者を伴う)の位置の制御、および患者内の標的VOIへのLINAC405からの放射線ビームの標的化を提供するように、画像誘導システムとして働く。好ましくは、ロボットアーム406は、患者の周囲の略球形状として描写される通り、その動作エンベロープ内にほとんど無数の可能性を伴う、LINAC405を位置付けることができる多自由度(例えば、6)を有する。種々の治療計画および衝突問題を解決するために、好ましくは、ロボットアーム406が、そこからLINAC405が標的VOIに向かって放射線ビームを放射することができる有限数の空間ノードに、LINAC405を位置付け、ロボットアーム406が衝突を避けるように、空間ノード間で辿らなくてはならない特定経路(安全経路として知られる)を作成する。空間ノード、およびこれらの空間ノードを相互接続する関連の安全経路の集合は、「作業空間」または「ノードセット」と呼ばれる。図4Aは、それぞれ「+」記号によって表される(一対のみが標識化される)いくつかの空間ノード414を含む、略球状作業空間413を示している。当業者は、様々な形の作業空間を使用してもよいことを理解するであろう。ロボットアームに載置されたLINACを有するシステムが本明細書において使用されるが、当業者は、本明細書に開示される本発明が、例えば、限定するものではないが、Varian Medical Systemsによって製造および販売されるような、ガントリに載置されるLINACといった、他のタイプの放射線手術および放射線療法に適用されることを理解するであろう。
【0014】
まさに記載したような、放射線治療送達システムを利用するために、システムは、標的VOIへ放射線を送達するための治療計画を必要とする。本発明は、放射線治療計画の生成において、放射線治療計画パラメータを連続的に最適化するための、方法および治療計画システムを対象とする。放射線治療計画パラメータは、以下に記載する通り、放射線治療計画の属性である。本明細書のために、パラメータは最適化不可能なパラメータ(例えば、CT画像、ノード位置、標的、重要構造、またはシェル構造)、および最適化可能なパラメータ(例えば、重要構造への平均線量、均一性、または重要構造への最大線量)の2つのカテゴリに分割される。続く明細書では、本発明の徹底した理解を提供するように、特定システム、構成要素、方法の例等、数々の特定の詳細が説明される。しかしながら、当業者には、これらの特定の詳細が、本発明を実施するように用いられる必要はないことは明らかであろう。他の例では、本発明を必要に曖昧にすることを避けるために、よく知られる構成要素または方法については、詳細に記載していない。
【0015】
複数の治療計画の目的が共に分類され、単一の費用関数の中に最適化される、上に記載した従来の最適化過程とは対照的に、本明細書に記載する実施形態は、個々の最適化ステップの順序付けられたシーケンスとして、複数の治療計画の目的を連続的に最適化する。本明細書のために、治療計画の目的は、(i)最適化可能なパラメータ(以下により完全に記載する)、(ii)最適化命令(最適化の方向)、および(iii)目標値(以下により完全に記載する)という3つの事柄を含む。一実施形態では、各治療計画の目的は、単一の最適化パラメータに適用される、線形プログラミングアルゴリズムによって最適化される。最適化過程は、他の計画パラメータの値に関連する制約に従う一方で(これらの制約は、最適化過程全体に適用することができ、または前の最適化ステップを通して達成される他のパラメータの値に関連する場合がある)、順序付けられたシーケンスで、治療計画の目的のそれぞれを最適化することを含む。線形プログラミング最適化は、例えば、連続的最適化を行うシンプレックスアルゴリズムを含むが、それに限定されるものではなく、または当業者によって認識されるであろう通り、種々のアルゴリズムを、連続的最適化を行うために使用することができる。例えば、線形プログラミングアルゴリズムで効果的に最適化することができない、さらなる最適化の目的またはステップには、他のタイプの最適化アルゴリズムを使用することができる。
【0016】
治療計画の目的の例は、定義された線量水準によって標的体積適用範囲を最大化することと、標的体積内で最小線量を最大化することと、重要構造(例えば、健康な組織、臓器、骨構造)に送達される最大または平均線量を、目標値に減少するよう試みることと、送達される総MUを目標値に減少するよう試みることと、標的体積線量の均一性を目標値に増大するよう試みることと、標的体積周辺の線量分布の均一性を目標値に増大するよう試みることとを含むが、それらに限定されない。これらの治療計画の目的のそれぞれは、関連の最適化可能な計画パラメータ(例えば、膀胱への最大線量)、最適化の方向(例えば、最小化する)、および目標値(例えば、5Gy)を有する。代替として、他のタイプの治療計画の目的は、連続的な最適化ステップを使用して成し遂げることができる。このように、各最適化可能なパラメータは、別々にかつ順々に最適化される。
【0017】
本明細書でスクリプトと呼ばれる、最適化ステップの順序付けられたシーケンスはまた、従来の単一の費用関数手法において各目的に対して重み因子を手動で定義する代わりに、治療計画の目的を優先させるように、ユーザによって定義することができる。本明細書に記載するある実施形態を使用して、ユーザの臨床知識を、例えば、ユーザにより確立される優先順序で、治療計画の目的を連続的に最適化することによって、より直接的に治療計画の問題に適用することができる。代替として、ユーザは、例えば、治療計画の目的および制約のいずれかまたは全てを含むこともできる、前立腺を治療するためのスクリプトといった、特定の治療用の所望の配列された順序を既に有する、事前に保存されたスクリプトを利用することができる。そのような実施形態では、ユーザに、特定の患者用にスクリプトをカスタマイズするために、目的および制約を修正する能力を与えることができる。
【0018】
一実施形態では、連続的な最適化の間、治療計画システム(TPS)は、以下でさらに説明する通り、各最適化ステップの結果を追加的制約として次の最適化ステップに適用する。このように、各ステップで最適化される治療計画パラメータは、後続の最適化ステップの結果として低下し得ないものの、本発明の実施形態は、後続の最適化ステップが、最大限事前に設定された量(以下に記載する、緩和値)によって、前に最適化された治療計画パラメータを変更することを可能にする。
【0019】
また、ユーザが、各異なる治療計画用の治療計画過程全体を通して、手動でパラメータを入力する、上記の従来の最適化過程とは対照的に、本発明の実施形態は、スクリプトを実行することによって最適化された治療計画を自動的に生成する能力で、メモリからスクリプトを検索する。ユーザは、特定の患者用にカスタマイズするように、スクリプトのパラメータを修正する能力を有することができる。スクリプトは、最適化ステップまたは目的の順序付けられたシーケンスであり、あるいはTPSによって順序付けられたシーケンスで記憶、ロード、編集、ならびに/または検索、および実行/最適化され得る、1つ以上のパラメータを含むデータ構造である。スクリプトはまた、以下の通り、連続的な最適化過程の各ステップ中に、順守されなくてはならない絶対的な制約等の、他の最適化不可能なパラメータおよび/または他のユーザ入力を含有することもできる。一実施形態では、TPSは、記憶されたスクリプトを取り込み、最適化された治療計画をもたらすスクリプトを自動的に実行する。別の実施形態では、TPSは、記憶されたスクリプトを取り込み、所望される場合には、ユーザが、記憶されたスクリプトを見直し編集することを可能にする。修正されたスクリプトはまた、当業者によって理解されるであろう通り、TPSでメモリに、または外部記憶デバイスに記憶することができる。
【0020】
記載する通り、TPSはまた、ユーザによって査定することができる、事前作成されたスクリプトを含有することができる。例えば、ユーザは、最適化不可能なパラメータ(例えば、CT画像、CT画像の輪郭VOI)をロードし、最小限のユーザ入力で、最適化された治療計画を作成するように、実行および連続的な最適化用の記憶されたスクリプトをロードすることができる。記憶されたスクリプトは、自動的に実行することができるか、または実行前にユーザによって修正することができる。記憶されたスクリプトに修正がなされようともなされずとも、記憶されたスクリプトを使用して治療計画を策定すると、従来の手法ほど時間がかからず、ユーザ入力エラーの影響を受けなくなるであろう。例えば、記憶されたスクリプトは、経験の浅いユーザに対する例として、またはいずれの経験水準のユーザに対するテンプレートとして機能を果たすことができる。一実施形態では、記憶されたスクリプトは、共同所有の特許出願である、2005年9月30日に出願した、米国特許公開第2007/0078306号A1に記載のウィザード様作業フロー管理システム等の、作業フロー管理システムのテンプレートと併用して使用することができ、同特許は、参照することによって本明細書に組み込まれる。テンプレートは、解剖学的治療関心領域に適用可能な、1つ以上の事前に定義されたパラメータおよび設定(例えば、患者の体内領域で成功した過去の治療に基づく、パラメータおよび設定)を提供することができるのに対して、記憶されたスクリプトは、テンプレートから事前に定義されたパラメータおよび設定を使用して、最適化された治療計画を提供するように実行することができる、最適化ステップまたは目的の順序付けられたシーケンスを提供する。一実施形態では、1つ以上のスクリプトが、TPSの1つ以上のテンプレートの一部として記憶される。特定の関心領域に対する特定のテンプレートをユーザが選択すると、TPSは、領域に対して事前に定義された治療計画パラメータおよび設定だけでなく、対応するスクリプトをも自動的にロードすることができる。TPSは、最適化された治療計画を策定するように、スクリプトを自動的に実行し、あるいは特定の患者用にスクリプトをカスタマイズするように、ユーザがスクリプトおよび/または事前に定義された治療計画パラメータを手動で修正することを可能にすることができる。記憶されたスクリプトを含む、ウィザードユーザインターフェースおよびテンプレートの使用は、治療計画過程を完成させるために必要な時間を減少させ、ユーザエラーを減少させる利点を提供することができ、また、共同所有の特許出願に記載した通り、治療計画作業フローに関与する種々のタスクを単純化する方法を提供することもできる。
【0021】
図4B〜7Bおよび対応する記載は、Accuray Incorporated(California)によって開発されたCYBERKNIFE(登録商標)が一例である、上記のような画像誘導のロボット放射線治療システムを使用して、前立腺腫瘍症例に対する治療計画を最適化する例を提供する。当業者によって理解されるであろう通り、本明細書に記載する実施形態は、他の標的構造/病変に対する治療計画を最適化するように使用することができ、例えば、ガントリを基盤とする(アイソセントリック)強度変調放射線療法(IMRT)システムといった他のタイプの放射線治療システムを使用することができる。
【0022】
前立腺腫瘍用の最適化された放射線治療計画を策定する時、TPSは、診断画像システムから1つ以上の3D画像を取り込み、治療を必要とする体積の3次元視覚化を可能にするように、異なる画像診断法から2つ以上の画像を互いと融合させることができる。TPSは、計画標的体積(PTV)、前立腺、膀胱、直腸、陰茎球、およびPTVシェル構造等、治療中に標的にされるまたは避けられる、1つ以上のVOIに対して輪郭を生成するように使用することができる。シェル構造は、線量分布に影響を与えるように、治療計画の一部として使用することができる。例えば、シェル構造は、標的体積の対称または非対称な拡張に基づき、標的体積の周辺に自動的に生成され得るが、それに限定されない。シェル構造は、標的体積を囲む正常な組織に送達される線量を抑制するように生成される同調構造であり、最大線量の制約に加えて、標的体積の周辺の線量分布の共形性を制限するように使用することができる。例えば、標的体積と接近して(例えば、1mm〜5mmの拡張マージン)生成されるシェル構造に適用される最大線量の制約は、処方等線量の共形性を制限することがあり、標的体積からさらに離れて(例えば、10mm〜30mmまたはそれ以上の拡張マージン)生成されるシェル構造に適用される最大線量の制約は、標的体積の周辺の低線量延長を制限することがある。シェル構造の標的体積および拡張マージンは、連続的な最適化スクリプトの構成要素として保存することができる。一実施形態では、シェル構造を含むスクリプトがロードされる時に、シェル構造が自動的に生成される。代替として、シェル構造は、手動で生成することもできる。ユーザまたはTPSが、1つ以上のVOIの輪郭を生成した後、TPSは、以下の実施形態に記載する通り、放射線治療計画を最適化するように、逆方向計画を行う。
【0023】
放射線治療計画は、解剖学的領域(例えば、患者の前立腺領域)に方向付けられる、1セットの放射線ビームと、例えば、ビーム位置(例えば、ノード)、ビームの方向、ビーム強度、ビーム持続時間またはモニタユニット(MU)、フィールドサイズのような放射線ビームのそれぞれに対するビームパラメータと、VOI、CT画像等の最適化不可能なパラメータと、均一性、共形性、重要構造への最大線量等の最適化可能なパラメータとを含むが、それらに限定されない、多くの異なる属性を備える。
【0024】
放射線治療計画パラメータは、例えば、放射線ビームを介して患者の解剖学的領域に適用される放射線といった、物理的および有形の対象を表すデータであるが、それらに限定されない。一部の治療計画パラメータは最適化可能であり、例えば、1つの最適化可能なパラメータは、全放射線ビームに対するMUの総数であり、別の最適化可能なパラメータは、放射線ビームを向けられる患者の解剖学敵領域内の関心体積(例えば、前立腺、直腸、または膀胱)が受ける放射線の最大または最小線量である。TPSが作用すると、未加工データは、放射線ビームのビームパラメータに対する値に変形され、放射線ビームは、有形および物理的対称であり、患者の解剖学的領域に方向付けられる。例えば、TPSは、未加工データを、いくつかの放射線ビームの量、ビーム配向、ビーム強度、ビームの持続時間、および各放射線ビームのフィールドサイズに変形する。これらの変形された値は、1つ以上の放射線ビームの1セットの構成(本明細書では、最適化された治療計画と呼ばれる)を表し、放射線治療のために、患者の解剖学的領域に方向付けられる。
【0025】
図4Bは、前立腺腫瘍を治療するためのスクリプトを生成する方法420の一例示的実施形態のフロー図である。方法420は、ハードウェア(回路、専用論理等、ソフトウェア(汎用コンピュータシステムまたは専用マシーン上で動くような)、ファームウェア(埋め込み式ソフトウェア等)、またはそれらのいずれの組み合わせを備えることができる、処理論理によって行われる。便宜上、処理論理を以下でTPSと呼んでいるが、それに限定されない。一実施形態では、方法420は、治療計画システムの処理デバイス(例えば、図11の処理デバイス3010)によって行われる。
【0026】
通常、前立腺の症例では、第1次治療計画の目的は、PTV(例えば、前立腺と関連する標的体積)の線量の均一性を最適化し、かつ周辺重要構造への最小線量を最適化することである。治療計画の目的は、本明細書に記載する通り、多かれ少なかれ最適化ステップを含むことができることには留意すべきであり、例えば、前立腺症例では、本開示の利益を有する当業者によって理解されるであろう通り、平均線量、または限定的サブ体積への線量を最小化する必要性が存在する場合がある。治療計画の目的のそれぞれは、最適化ステップのシーケンスを使用して、治療計画パラメータ(例えば、標的および重要領域への最大または最小線量)を連続的に最適化することによって達成することができる。各最適化ステップでは、ユーザは、その治療計画パラメータ、すなわち、目標値(以下でさらに議論する)に対する容認可能な最適化された値を確立するか、またはその治療計画パラメータに対する最適値(以下でさらに議論する)を達成しようとすべきであると示して、値を空白のままにしておくこともできる。治療計画の目的を優先させるために、TPSは本実施形態のユーザ入力に基づいてスクリプトを生成し、各最適化ステップは治療計画の目的に対応することができる。ユーザ入力に応じて、TPSは、治療計画の目的を達成するように、ユーザ定義のまたはTPS生成の好ましい連続的順序で、一連の最適化ステップ、すなわち、第1の目標値(例えば、38Gy)以下の可能性の最も高い最小線量をPTVへ送達する、第1の最適化ステップ(最小線量最適化(OMI)、ブロック422)と、第2の目標値以下である可能性の最も高い平均線量をPTVへ送達するため、均一性を最大化する、第2の最適化ステップ(均一性最適化(OHI)、ブロック424)と、第3の目標値まで直腸への平均線量を減少しようとする、第3の最適化ステップ(平均線量最適化(OME)、ブロック426)と、第4の目標値まで膀胱への平均線量を減少しようとする、第4の最適化ステップ(最大線量最適化(OME)、ブロック428)と、MUの総数を最小化する、第5の最適化ステップ(モニタユニット最適化(OMU)、ブロック430)とを生成し(ブロック422〜430)、実行する(ブロック432)。別の実施形態では、別の最適化ステップは、尿道への平均または最大線量を特定の目標値まで減少しようとする場合がある。スクリプトの最適化ステップが生成されると、TPSは、最適化された治療計画を生成するように、スクリプトの最適化ステップのそれぞれを個々にかつ順々に実行する(ブロック432)。図4Cに示す等、本実施形態に関して図示および記載する通り、最適化ステップ中に使用するための治療計画パラメータは、ユーザによって提供され、メモリまたは両方から取得することができ、TPSは、より多いまたはより少ない治療計画パラメータを最適化することができることは、理解されるであろう。
【0027】
図4Cは、TPSが治療計画を最適化する方法の別の実施形態を示している。TPSは、メモリまたはユーザから、治療計画の複数の放射線治療計画の目的を受信することから開始し(ブロック452)(例えば、標的体積への所望の最小線量、重要構造(例えば、膀胱または直腸)への平均線量、重要構造(例えば、膀胱または直腸)への最大線量、および総MUに対する値)、TPSはまた、ユーザから最適化ステップの順序付けられたシーケンスを受信することができ、ブロック454では、その後TPSは、複数の治療計画パラメータを最適化し、治療計画を生成するように、各治療計画の目的に対する最適化ステップを連続的に実行する。代替として、TPSは、最適化ステップの事前に定義され順序付けられたシーケンスを有するメモリから、スクリプトを検索することができ、ユーザは、治療計画パラメータの残余部を提供する。他のタイプの放射線治療計画パラメータの例は本明細書に記載され、これらは例として使用されるが、限定するものではない。最適化ステップは、例えば、最小線量の最適化(OMI)、線量適用範囲の最適化(OCO)、均一性の最適化(OHI)、最大線量の最適化(OMA)、平均線量の最適化(OME)、共形性の最適化(OCI)、およびモニタユニットの最適化(OMU)を含むことができる。代替として、他の最適化ステップが実施され得る。
【0028】
上記の通り、TPSは、第1の治療計画パラメータ、例えば、標的体積への最小線量に対する値を最適化(OMI)するように、第1の最適化ステップを実行する。本実施形態では、最適化ステップ(例えば、PTVへの最小線量)の結果は、後続の最適化ステップにより、前に最適化された治療計画パラメータ(例えば、PTVへの最小線量)を低下させ得ないように、後続の最適化ステップ(例えば、直腸への平均線量の最適化)への追加的制約(以下により完全に記載する)として機能を果たす。代替として、前立腺では、例えば、膀胱への最大線量の最適化により、直腸への平均線量の前に最適化された最小化を低下させ得ない。しかしながら、以下により完全に記載する通り、最適化されたパラメータは、TPSが後続のステップのために容認可能な最適化に到達するのに役立つように、最大で緩和値によって特定される所与の量までによって、低下することが可能になる場合がある。
【0029】
例えば、最適化過程は、治療計画ごとの最大MU、ノードごとの最大MU、ビームごとの最大MU、1つ以上の標的構造に対する最大線量、1つ以上の重要構造に対する最大線量、および1つ以上の派生構造に対する最大線量(例えば、PTV)といった、最適化制約によって境界を示すことができるが、それらに限定されない。一実施形態では、最適化制約は多制約費用関数の制約である。別の実施形態では、最適化制約は、1つ以上の治療計画の目的(例えば、OMI、OCO、OHI、OMA、OME、OCI、OMU等)を達成するように、1つ以上の最適化ステップの最適化されたパラメータである。最適化可能なパラメータを最適化するために、例えば、最適化ステップ、つまりシェル拡張(すなわち、派生構造の)に対する目標値(例えば、VOI最大線量およびMU限界)、緩和値、収束基準といった、他のユーザ入力を使用することができる。目標値は、最適化可能なパラメータの最適化に起因する、ユーザ定義またはTPS定義の所望の最適化された値である。TPSが目標値を達成すれば、その最適化ステップは完成する。しかしながら、TPSが達成することができる最高値は、その特定のパラメータに対する最適値であり、目標値と異なり得るが、同じである場合がある。故に、TPSは目標値に到達した時に、または最適値に到達した時、すなわち、目標値に到達できない場合に、目標値に最も近い最善の値に到達した時に、最適化ステップを完成することができる。緩和値は、TSPが、それによって、後続の最適化ステップで前に最適化された治療計画パラメータを低下させることができる量である。緩和値は、ユーザ入力に、または前に保存されたスクリプトに由来する場合がある。緩和値は、TPSが、後続の最適化ステップの目標値を達成する、またはそうでなければ後続の最適化ステップを完成するのを促進する。同時にかつまとめて全ての目的を最適化する従来の方法とは異なり、本発明の実施形態は、TPSが順々に治療計画の目的を個々に最適化し、一部の実施形態では、後続の最適化ステップのより良い最適化を可能にするように、定義された緩和値以下によって、前の最適化ステップからの最適化を緩和することを可能にする。前のステップの緩和がなければ、後続のステップの目標は達成されず、有意に改善されることもない。
【0030】
放射線治療計画のパラメータ全てを最適化することはできないが、依然として治療計画の作成に必要であるとみなすことはできる。例えば、治療計画の最適化不可能なパラメータは、CT画像、標的VOI、VOIパラメータ、重要構造(危険臓器(OAR)とも呼ばれる)、ノードのセット、密度モデルパラメータ、または等曲線パラメータを含むが、それらに限定されない。また、他のユーザ入力も、例えば、限定するものではないが、最適化ステップのうちの1つ以上に対する目標値、緩和値、収束基準、絶対的制約、シェル構造の拡張といった、治療計画の作成に使用することができる。
【0031】
TPSはまた、最適化ステップを完成するのを促進するように、ユーザ定義またはTPS定義の収束基準を使用することができる。TPSは、目標値に到達するのに困難を有する場合、当業者によって理解される様々な異なる理由で、例えば、最適化されているパラメータが、特定の時間または反復回数にわたり、定義された量(収束基準)では変更されない時、「十分である」と言うのに収束基準を使用することができる。例えば、TPSは、最適化ステップの現行値が、特定された目標値に到達することなく、または例えば、標的への最小線量といった特定の治療計画パラメータに対する真に最適な出力を生み出すことなく、特定された回数の連続する反復に対して、1万分の1より少ない程度変化する時に、最適化ステップが完成したと示す、収束基準を特定することができる。実際には、収束基準は、最適化ステップが、特定の目標値に到達するように、反復の回数および/または時間の量を減少することによって、どのくらい迅速に最適化された値に到達するかに影響を与えることができる。収束基準の他の例は、当業者には明らかであろう。一実施形態では、TPSが、収束基準に基づき、最適化ステップの実行を終了する(目標値および最適値のどちらにも、まだ到達していないことを意味する)場合、そのパラメータに対する目標値は、依然として後続の最適化ステップに対して同じまま残り、かつ緩和値のみによる分散値を条件とするまま残り、または代替として、目標値は、実際に達成される値に変更され得る。一実施形態では、収束基準は、ユーザインターフェースを介して、最適化ステップごとにオンまたはオフに切り替えることができ、最適化ステップのそれぞれで異なることもでき、能力が各最適化ステップに対する収束基準を個々に変更することを可能にする。例えば、ユーザは、OHIステップに対する収束基準をオンに切り替えることができる(ユーザが、小さな利得のために多くの時間を費やしたくない場合に対して)が、重要構造等の特定の危険臓器ステップに対して、収束基準をオフのままにしておくこともできる。全ての目的を同時にかつまとめて最適化する従来の方法とは異なり、これらの実施形態は、ユーザが、各最適化ステップに対して収束基準を個々に変更することを可能にする。代替として、収束基準は、設定をオンまたはオフにし、スクリプトの中の全ての最適化ステップに対してまとめて同一に設定することができる。
【0032】
またTPSは、メモリから、または他のユーザ入力(例えば、目標値、緩和値、収束基準、絶対的制約、シェル構造拡張)から受信することができる。厳格な制約とも呼ばれる絶対的制約は、連続的最適化中に破ることのできない最大限界であり、連続的最適化のための解空間を限定することができる。絶対的制約は、例えば、治療計画に対する総最大MU(例えば、95000の最大MU)、ビームごとの最大MU(例えば、500)、ノードごとの最大MU(例えば、1000)、1つ以上の標的VOIに対する最大線量(例えば、7600cGy)、1つ以上の重要構造に対する最大線量(例えば、膀胱の中の最大線量は4180cGy)、1つ以上のシェル構造に対する最大線量(例えば、3800cGy)、総最大線量、ビーム形状に関する制約、およびビーム使用法に関する制約であることができるが、それらに限定されない。これらの絶対的制約の一部については、図5Aおよび5Bに関する以下に記載する。シェル構造については、上でより完全に記載する。
【0033】
また治療計画の態様は、最適化ステップの順序付けられたシーケンスの実行からの治療計画の放射線ビームに関する、種々の最適化された治療計画パラメータを含むことができる。これらは、例えば、いくつかの放射線ビーム、各ビームに対するノードおよび配向、各ビームに対するMU、ならびに各ビームに対するフィールドサイズ、あるいはビーム形状またはビーム使用法に関連する他のパラメータを含むことができるが、それらに限定されない。一部の実施形態では、放射線ビームの特性は、治療計画パラメータとして最適化することができ、例えば、TPSは、非ゼロMUを伴うビームの数を最小化し、または総MUを最小化することができるが、それらに限定するものではない。他の実施形態では、非ゼロビームの数を最小化する代わりに、ユーザが、ビームMUのカットオフ値を設定し、その後、そのMU値がこのカットオフ値より下にあるビームなしで、最初から連続的最適化を再実行することができる。非ゼロMUを伴うビームの数を減少させる利点は、ロボット走査時間、すなわち総治療時間が減少することである。
【0034】
一実施形態では、TPSは、ユーザからユーザインターフェースによって治療計画パラメータを受信する。前に記載した最適化不可能なパラメータは、CT画像、収束基準、他のモダリティの画像、絶対的制約、VOI、ノードのセット、コリメータ直径、またはサンプリングパラメータを含む(それらに限定されない)ことができる。VOIは、例えば、病理解剖学的形態等の標的、重要構造、またはシェル構造(本明細書に記載する通り)であることができるが、それらに限定されない。前に記載した最適化可能なパラメータは、治療計画ごと、ノードごと、ビームごとの総MU、1つ以上の標的および派生構造(例えば、PTV)に対する最小線量、ならびに1つ以上の標的または重要構造に対する最大線量を含む(それらに限定されないものの)ことができる。
【0035】
別の実施形態では、TPSは、最適化可能なパラメータ、最適化不可能なパラメータ、および/または他のユーザ入力(例えば、最適化ステップのうちの1つ以上に対する目標値、緩和値、収束基準、絶対的制約、シェル構造拡張)を、同じ患者、異なる患者用の過去の治療計画等のメモリから、あるいは前に記憶されたスクリプトから受信する。TPSは、記憶された入力をロードすることができ、ユーザが記憶された入力を修正することを可能にすることができる。一実施形態では、最適化可能なならびに/あるいは最適化不可能な、パラメータおよび/またはユーザ入力は、ユーザによって事前に定義されるか、または代替として、本明細書に記載する走査を行うTPSの製造業者によって事前に定義される。代替として、パラメータおよびユーザ入力は、例えば、同じ解剖学的関心体積に対する前の治療計画に基づく学習過程によって、またはウィザード様の作業フローマネージャ(上により完全に記載した)からといった、当業者によって理解されるであろう通りの他の方法で定義することができる。
【0036】
最適化ステップ、目標値、1つ以上の絶対的制約、最適化可能なパラメータ、および最適化不可能なパラメータを定義するのに必要な情報を、受信した(ユーザからまたはメモリからのいずれか、あるいは両方の組み合わせ)後、TPSは、第1の治療パラメータを第1の目標値に最適化するように、第1の最適化ステップを実行する。例えば、第1の目標値は、最大線量の制約(最小線量を標的にまで最大化する)以下の標的に送達される、可能性の最も高い最小線量を表すことができる。第1の最適化ステップは、1つ以上の絶対的制約のうちのいずれをも破ることなく、標的に送達される最小線量を最大化する。第1の最適化ステップ(最適化された治療計画パラメータとも呼ばれる)の結果は、後続の最適化ステップに対する追加的制約として機能を果たす。次に、TPSは、第1の最適化ステップからの絶対的制約または追加的制約のうちのいずれをも破ることなく、第2の治療パラメータを第2の目標値に最適化されるように、第2の最適化ステップを実行する。例えば、第2の目標値は、最大線量の制約以下のPTVの中の可能性の最も高い平均線量(均一性を最大化する)、ある割合(例えば、75%)より大きい割合の処方線量を受ける、重要構造(例えば、直腸、膀胱)の最も低い可能性の体積(平均線量を最適化する)、または可能性の最も低い総MU(MUを最適化する)を表すことができるが、それらに限定されない。TPSは、一部の実施形態では、第2の最適化ステップの実行の間に、第2の最適化ステップの実行が、緩和値によって追加的制約を最大限変更することを可能にすることによって、第1の最適化ステップの結果を緩和することができる。第1の最適化ステップの結果が、追加的制約として保持される実施形態では、第2の最適化ステップは、1つ以上の絶対的制約のうちのいずれをも破ることなく、かつ第2の最適化ステップの実行の間に、緩和値より大きく第1の最適化ステップから追加的制約を変更することなく、第2の最適化制約を第2の目標値に最適化する。緩和値が前の最適化ステップの結果(すなわち、結果は固定化された制約)に適用されない場合、後続のステップは、さらなる最適化に対する余地をほとんど有すことができないことは留意されるべきである。一方で、前の最適化ステップの結果に合理的な緩和値を適用すること(すなわち、結果は柔軟な制約)により、前の最適化された治療計画パラメータへの小さな影響を伴う、後続の最適化ステップの連続での完成を促進することができる。当業者によって理解されるであろう通り、1つの最適化ステップの実行は、前の最適化ステップによって課される制約、および/または制約が固定であるか、柔軟であるかによって、より難しくあるいはより容易になり得る。したがって、最適化ステップが行われるシーケンスは、複数の治療計画の目的間のトレードオフを判定する鍵となる因子である場合がある。
【0037】
上記の通り、スクリプトは、最適化ステップの実行の間の連続的最適化だけでなく、後の使用のために最適化ステップを記憶するための、最適化ステップの順序付けられたシーケンスである。図4Dは、スクリプトを生成する方法の一実施形態を示している。図4Dは、個々の最適化ステップの順序付けられたシーケンスを有する、スクリプトを生成する方法460の一実施形態のフロー図である。方法420のように、方法460は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらのいずれかの組み合わせを備えることができる、処理論理(便宜上、TPSと呼ぶ)によって行われる。TPSは、複数の治療計画パラメータ、および最適化された治療計画を生成する複数の最適化ステップを定義するように、例えば、ユーザからユーザインターフェースによって、またはメモリからの入力を受信することから開始する(ブロック462)。ブロック464では、TPSは、TPSで受信された1つ以上の治療計画パラメータから、最適化ステップの順序付けられたシーケンスを有するスクリプトを生成する。一実施形態では、スクリプトは、後の検索のために、メモリの中にまたは外部記憶デバイスへ保存することができる(ブロック466)。別の実施形態では、TPSは、スクリプトによって特定された順序で、最適化ステップのそれぞれを連続的に最適化するように、スクリプトを実行する。
【0038】
図5A〜7Bに関する以下の記述は、連続的最適化に使用することができる、TPSのユーザインターフェースの種々の実施形態について記載している。図5A〜7Bのユーザインターフェースは、上で紹介した前立腺の例に対して例示的値を使用する。当業者によって理解される通り、連続的最適化は、前立腺以外の他の標的に適用することができる。
【0039】
図5Aは、ユーザが、全体治療計画に対する総MU502、ビームごとの最大MU504、およびノードごとの最大MU506を含む、絶対的なMU制約を定義することを可能にする、ユーザインターフェース500の一実施形態を示している。図5Bは、ユーザが、治療計画の中の各VOIに対する最大線量(VOI限界552)だけでなく、各VOIに対するサンプリングパラメータ、例えば、ボクセルサンプリングをも定義することを可能にする、ユーザインターフェース550の一実施形態を示している。以下により完全に記載するサンプリングパラメータは、各VOIがより効率的な最適化のために、どのようにサンプリングされるべきかを特定するのに使用することができるパラメータである。VOI内の全てのボクセルに最適化過程を行う代わりに、これらのボクセルの部分集合のみにて線量を最適化することで、最適化速度を増加することができる。TPSは、例えば、ユーザ入力に応じて、例えば、その中でTPSが、特定されたVOI内の「最も重要な標本点」のみを選択し、いくつの標本点(例えば、1から5)が使用されるべきかを選択する、ボクセルをサンプリングするように、重要度サンプリング560(以下により完全に述べる)を使用することができる。別の実施形態では、重要度サンプリングを使用する代わりに、TPSは、VOI中にわたって標本点を無作為に選ぶことができ、ユーザが、無作為に選ばれた点の全体的な数を選ぶことができる。図5Bのユーザインターフェースはまた、本明細書に記載する通り、ユーザが、ボクセルサンプリングスキップ係数556(例えば、1〜1000)、およびビームごとのボクセルの数558(例えば、1〜5)等、他の最適化可能なおよび最適化不可能なパラメータを特定することを可能にすることができる。加えて、図5Bのユーザインターフェースはまた、ユーザが、連続的最適化のためにいずれか特定のVOIが使用中であるか否かを選ぶ562ことを可能にすることもできる。VOIおよびビームに対する放射線量の外形が、3次元形状の画像(例えば、CT画像)の点から見て定義されるため、VOIおよび放射線量値は、画像に含有されるボクセルに離散化される。故に、続く記載において、最適化過程への入力(例えば、「各ボクセルへの最大線量」)と呼ぶ時は、その特定の画像ボクセルによって記載される離散空間の中の放射線量値について記載している。
【0040】
図5Bは、前立腺、尿道、PTV、膀胱、直腸、陰茎球、ならびに第1のおよび第2のPTVシェル構造(図5Cに関して以下に記載する通り)等、例示的VOI名564を示していることは留意されるべきである。代替として、他のVOIだけでなく、他の最大線量値552も使用することができる。ユーザインターフェース500はまた、境界ボクセルが使用されるべきか否か、例えば、境界のみボックス566が確認されるか否かをも特定することができる。
【0041】
図5Cは、ユーザが、シェル構造(例えば、PTV‐シェル1またはPTV‐シェル2)576が望ましい標的体積、および対称または非対称な拡張マージン577を定義することを可能にする、ユーザインターフェース575の一実施形態を示している。これらのシェル構造576は、標的体積を囲む正常な組織へ送達される線量を抑制するように生成される同調構造であり、最大線量の制約に加えて、標的体積周辺の線量分布の共形性を制限するように使用することができる。
【0042】
連続的な手法を使用すると、TPSは、図5Aおよび5Bに示す制約等の絶対的制約だけでなく、図6に示す通り、治療計画の目的(例えば、OMI、OCO、OHI、OMA、OME、OCI、またはOMU)に対応する最適化ステップの順序付けられたシーケンスをも設定する、スクリプトを生成することができる。スクリプトを実行する時、TPSは、例えば、ユーザ入力によって特定される最適化ステップの重要性に従うように、スクリプトによって特定される順序に従い順々に、各治療計画の目的を個々に最適化する。別の実施形態では、TPSは、達成される特定の最適化ステップに対する相対的障害に従い、最適化ステップの順序を設定する。別の実施形態では、TPSは、治療計画の目的の重要性の順序に合致するように、スクリプトの順序を設定する。代替として、他の基準は、スクリプトの順序を設定するのに使用することができ、例えば、TPSは、最適化ステップの重要性に応じて、かつ相対的障害に応じて、順序を設定することができる。本明細書に記載する通り、最適化ステップは、ビーム形状の性質、ビーム使用法の性質、1つ以上のVOIの性質、治療計画の性質等に適用することができる。
【0043】
図6は、ユーザが最適化ステップ602の順序付けられたシーケンスを定義することを可能にする、ユーザインターフェース600の一実施形態を示す。図6の描写される実施形態では、最適化ステップの順序付けられたシーケンスは、6つのステップ602を含み、各ステップが、治療計画の目的(例えば、OMI、OCO、OME、およびOMU)を含む。本実施形態では、第1の治療計画の目的は、100cGyの緩和値605を伴う3800cGyに到達する目標値線量603で、最小線量をPTVに設定することである。第2の治療計画の目的は、250cGyの緩和値604を伴う5700cGyの目標値線量603を有するまでに、PTVの体積を最大化することである。3つの治療計画の目的により、それぞれ3800、2850、および2850cGyの目標値線量603で、かつ100cGyの緩和値604でそれぞれ、尿道、直腸、および膀胱への平均線量を最小化する。最後の治療計画の目的は、モニタユニットの総数を最小化すること(OMU)である。図6のユーザインターフェースは、種々のVOIに対する最大線量の制約を表示することにも留意すべきである。
【0044】
一実施形態では、ユーザインターフェース600は、治療計画の目的、目標値603、緩和値604、および最適化ステップ602の順序を定義するように、ユーザからのユーザ入力を受信する。最適化ステップのそれぞれが緩和値604を含むが、一部の実施形態では、緩和値のうちのいずれも、第6の最適化ステップにおける緩和値604等、ゼロに設定することができる。別の実施形態では、ユーザインターフェース600は、保存されたスクリプトがメモリからロードされる時には、自動的に追加され、かつユーザインターフェース600は、ユーザが実行前にロードされたスクリプトの最適化ステップを編集することを可能にすることができる。
【0045】
描写する実施形態では、各ステップ602は、設定する時には、ステップ602を最適化ステップの最後で一時停止させ、解除する時には、例えば、ユーザ入力によって、前の最適化ステップが完成した後に、TPSが次の最適化ステップを自動的に開始することを可能にする、一時停止フラグ605を有する。一部の場合には、最適化ステップ602は、最適化ステップを完成するように、それらのそれぞれの目標値603に到達する。他の場合には、最適化ステップ602は、上記の通り、収束基準、または代替として最適値に到達する。
【0046】
類似の病状は、相対的重要性または相対的優先度の同一あるいは類似の順序で、同じ治療計画の目的を使用することができることは留意されるべきである。したがって、スクリプトは、メモリに保存し、続いて、同一または異なる患者の治療計画セッションの間に、メモリから検索することもできる。TPSは、治療計画の開発中に使用するように、ユーザによって選択することができる、1つ以上のスクリプトを記憶することができる。一実施形態では、ユーザによって選択されると、TPSは治療計画用のスクリプトを自動的に生成する。別の実施形態では、TPSはユーザの選択に応じて、メモリから選択されたスクリプトを検索し、ユーザが、選択されたスクリプトの1つ以上の最適化ステップを編集することを可能にすることができる。一実施形態では、スクリプトは、上記の通り、図5A、5B、および6に関して、最大MUの制約、最大線量の制約、自動のシェル構造パラメータ、最適化ステップの順序付けられたシーケンスを含む。代替として、スクリプトは、最大線量より多いまたは少ない制約、ならびに図5A、5B、および6に図示する最適化ステップの順序付けられたシーケンスを含むことができる。
【0047】
図7Aは、ユーザが個々の最適化ステップのシーケンスを有する、記憶されたスクリプトをロードすることを可能にする、ユーザインターフェース700の一実施形態を示す。図7Aのユーザインターフェースは、記憶されたスクリプトをロードすることができる、ダイアログである。描写されるスクリプトは、危険度の低い前期前立腺癌の治療に使用することができる。図7Aのダイアログユーザインターフェースは、記憶されたスクリプトのスクリプト名702(例えば、前立腺不均一性)、スクリプトの説明704、ならびに個々の最適化ステップのシーケンス、MUの最大制約、およびVOIの最大制約を含む、スクリプト概要706を含む。例えば、記憶されたスクリプト702は、図5Aに関して記載した通り、計画に対する絶対的制約(95000個のモニタユニット)、ノード(1000個のモニタユニット)、およびビーム(500個のモニタユニット)を有する。記憶されたスクリプト702はまた、図5Bに関して記載した通り、解剖的な体積(例えば、PTV‐シェル1およびPTV‐シェル2)に対する最大線量をも含む。記憶されたスクリプト702の最適化シーケンスは、図6に示される。このような文脈において、治療計画中、CT画像をロードしVOIの輪郭を描いた後、ユーザは、ロードされるように、記憶されたスクリプト702を選ぶことができる。記憶されたスクリプト702がロードされると、ユーザは、記憶されたスクリプトに関連する1つ以上の最適化ステップを編集するか、またはTPSを使用して、1つ以上のさらなる最適化ステップを追加することができる。ユーザは、メモリに修正されたスクリプトを保存するように、TPSを使用することができる。ユーザはまた、図7Bに関して記載した通り、治療計画におけるVOIを、ロードされたスクリプトの中のVOIに合致させるように、TPSを使用することができる。
【0048】
図7Bは、ユーザが、ロードされているスクリプトの中のVOI651の名前を、本治療計画に存在するVOI名652に合致させることを可能にする、ユーザインターフェース650の一実施形態を示す。ロードされているスクリプトの中のVOI名651が、本治療計画におけるVOIの名前652に合致する時、TPSは、スクリプトを自動的にロードし、かつスクリプトを自動的に実行するか、またはロードされたスクリプトへのさらなる修正を可能にすることができる。一実施形態では、TPSは、ユーザが記憶されたスクリプトを選ぶと、本治療計画におけるVOIの名前652を、VOI名651に自動的に合致させる。別の実施形態では、例えば、名前が自動的には合致しない時、ユーザは、ユーザインターフェース650を使用して、ロードされているスクリプトの中のVOI651を、本治療計画におけるVOI652に手動で合致させることができる。
【0049】
連続的最適化の一実施形態に対する数学的基礎
以下に記載するのは、本発明の実施形態に従う、連続的最適化に対する数学的基礎である。連続的最適化過程の各最適化ステップは、線形費用関数F(x)を最小化することを伴い、式(1)に表す通り、xは、MUにおけるビーム重量を含有するベクトルである。

(1)
【0050】
費用関数最小化は、線形プログラミングを使用して行われる。c係数は、単位元またはゼロのいずれかに設定される。アルゴリズムの連続的本質は、最小化手順の間、1つのc係数のみを単位元に、全ての他の係数をゼロに定めることによって達成され、このようにして各項が個々に最適化されることを可能にする。したがって、費用関数は、式(1)に記載する5タイプの項のうちの1つにまで減少され、また一度に1つずつのVOIに適用される(総モニタユニットに適用される、最後の項以外)。始めの4項は、各VOIに対して存在することができ、そのように、例えば、2つのVOIに対しては9項ある場合があり、そのうちの1つだけが、いずれの1つのステップに非ゼロ係数cを有することは留意されるべきである。最適化手順全体は、係数cが各最適化ステップにてゼロと1の間で変化する、一連の最適化ステップとして実行される。費用関数内の5タイプの項について、以下に記載する。
【0051】
各最小化過程は、解が、治療計画の目的を表す上位または下位の制約を破ることができないように制約される。一実施形態では、上位の絶対的制約のみが、最適化の前に定義することができる。これは、いつも初期最適化問題が起こり得、すなわち、全ビーム重量をゼロに定めることで放射線量がゼロとなるため、問題の解がいつも存在し、故に全ての初期の絶対的制約に従うことを意味する。さらなる上位および下位の制約が、各最適化ステップの結果に基づき、問題に追加される。下位の制約のみは、最適化ステップの結果に基づいて定義することができるため、最小化過程の間に、問題が起こり得るままであるのは間違いない。最小化の間に適用される上位および下位の制約の例が、続く表1‐1にまとめられている。
表1−1 最小化の間に適用される制約の例

【0052】
式(1)の項「最小線量最大化」

は、ユーザ定義の目標値(


より下のVOIの最小線量



の偏差を測定する。この偏差は式(2)によって求められる。

(2)
【0053】
したがって、この項を費用関数内で最小化することにより、既存の制約(例えば、絶対的制約、または緩和値によって適用可能な場合に修正された、前に最適化された治療計画パラメータ)を破ることなく、VOI内の最小線量を目標値(例えば、できるだけ近く)に向かって増加する。この項は、最小線量最適化(OMI)ステップとして実行され、通常、標的VOIに対してのみ適用可能である。
【0054】
OMIステップの後、最適な最小線量は、標的VOIの中の全ボクセルに適用される追加的線量の制約として保持される。上記の通り、前の最適化ステップの結果は、後続の最適化ステップに対する追加的制約となる。この追加的線量の制約は、式(3)によって求められる。

(3)
式中、

は、最適化後のVOIにおける最小ボクセルの線量であり、

は、この最適化ステップに起因する最小偏差であり、

は、ユーザ定義の緩和値である。この追加的線量の制約は、前の最適化ステップによって定義される、VOIの最小線量より下に設定することはできない。これにより、後続の最適化ステップが行われると、標的VOI内の最小線量は、ユーザ定義の緩和値より大きく減少することはできないことが保証される。
【0055】
式(1)の項「最大線量最小化」



は、ユーザ定義の目標値



より上のVOI最大線量(

)の偏差を測定する。この偏差は式(4)によって求められる。

(4)
【0056】
したがって、費用関数内のこの項を最小化することにより、既存の制約を破ることなく、目標値に適用可能なほど近くなるように、VOI内の最大線量を減少させる。この項は、重要構造に適用される時は最大線量最適化(OMA)の最適化ステップとして、自動シェル構造に適用される時は共形性最適化(OCI)の最適化ステップとして実行される。
【0057】
この最適化ステップの後、最適な最大線量は、VOIの中の全ボクセルに適用される追加的線量の制約として保持される。この追加的線量の制約は、式(5)によって求められる。

(5)
式中、

は、最適化後のVOIにおける最大ボクセルの線量であり、は、この最適化ステップに起因する最小偏差であり、

は、ユーザ定義の緩和値である。この新しい線量の制約は、最適化の前に適宜される、または前の最適化ステップによって定義される、VOIの最大線量より上に設定することはできない。これにより、後続の最適化ステップが行われると、VOI内の最大線量は、緩和値より大きく増加することはできないことが保証される。
【0058】
式(1)の項「平均線量最大化」(cmaximize_mean

)は、ユーザ定義の目標値(

)の下の各ボクセルでの線量(

)の合計偏差を測定する。この偏差は式(6)によって求められる。

(6)
【0059】
したがって、費用関数内のこの項を最小化することにより、既存の制約を破ることなく、目標値に適用可能なほど近くなるように、全てのボクセルにわたって合計した総線量(および、故に平均線量)をできるだけ多く増加させる。この項は、適用範囲最適化(OCO)および均一性最適化(OHI)ステップとして実行され、標的VOIに対してのみ利用することができる。適用範囲最適化および均一性最適化の最適化ステップは、それらの目標においてのみ異なる。
【0060】
この最適化ステップの後、最適な適用範囲または均一性は、VOIの中の全ボクセルからの線量の合計に適用される追加的線量の制約として保持される。追加的線量の制約は、式(7)によって求められる。

(7)
式中、

は、最適化ステップに起因する平均線量であり、

は、ユーザ定義の緩和値である。この新しい制約は、前の最適化ステップによって定義される、VOIの最小線量より下に緩和することはできない。一実施形態では、VOI内の最低線量が前のVOI最小線量より大きい場合、新しい値が使用される。これにより、後続の最適化ステップが行われると、VOI内の最小線量は、緩和値より大きく減少することはできないことが保証される。
【0061】
式(1)の項「平均線量最小化」(cminimize_mean

)は、ユーザ定義の目標値(

)より上の各ボクセルでの線量(

)の合計偏差を測定する。この偏差は式(8)によって求められる。

(8)
したがって、費用関数内のこの項を最小化することにより、既存の制約を破ることなく、目標値に適用可能なほど近くなるように、全てのボクセルにわたって合計した総線量、それゆえ、平均線量をできるだけ多く減少させる。この項は、平均線量最適化(OME)ステップとして実行され、重要構造に対して適用可能である。
【0062】
この最適化ステップの後、最適な平均線量は、VOIの中の全ボクセルにわたる合計線量に適用される、追加的線量の制約として保持される。新しい制約は、式(9)によって求められる。


(9)
式中、

は、最適化ステップに起因する平均線量であり、

は、ユーザ定義の緩和値である。ボクセルは、目標値より下の線量値に制約されない。これにより、後続の最適化ステップに対する最適化問題を過度に制約する場合がある。これらの新しい制約は、最適化の前に定義される、または前の最適化ステップによって定義される、VOIの最大線量より上に設定することはできない。一実施形態では、VOI内の最多線量が前のVOI最大線量より低い場合、新しい値が使用される。これにより、後続の最適化ステップが行われると、VOI内の最大線量は、緩和値より大きく増加することはできないことが保証される。
【0063】
式(1)の項「モニタユニット最小化」(cminimize_MU

)は、治療計画に対する総MUを測定し、例えば、限定するものではないがゼロといった目標値を達成するように、総MUを減少しようと試みる。当業者によって理解されるであろう通り、他の目標値を使用することもできる。費用関数内のこの項を最小化することにより、できる限り総MUを減少し、その結果治療時間を削減する。これは、モニタユニット最適化(OMU)の最適化ステップとして実行される。
【0064】
この最適化ステップの後、最適なモニタユニットは、式10によって求められる総MU制約を更新するのに使用される。

(10)
式中、opt Xは、この最適化ステップに起因する最小値であり、X Rは、ユーザ定義の緩和値である。これにより、後続の最適化ステップが行われると、総モニタユニットは、略X Rより大きく増加することはできないことが保証される。
【0065】
絶対的制約
初期の最大制約は、最適化過程中にわたって絶対である。一部の例示的な絶対的制約を表1‐2にまとめている。

表1−2 絶対的制約

【0066】
例えば、各ビームに対する、各ノードに対する、ならびに治療計画全体に対する最大MU、標的および重要構造に対する最大線量といった初期の制約は、最適化過程の間に破られるべきではなく、後続のステップ中の前の最適化ステップの結果の保持を確実にするために適用される制約は、緩和することができる。
【0067】
最適化ステップ
本明細書に記載する通り、一実施形態では、スクリプトの各最適化ステップは、単一の治療計画の目的を対応する目標値に最適化するように設計される。プログラムは、目標値にできるだけ近い結果を達成しようとするが、目標値は保証されない。
【0068】
図8は、一実施形態に従う、例示的最適化ステップの表である。図8の表の各項目は、VOIのタイプ801、治療計画の目的802、説明803、およびDVHの例示的グラフ804を含む。DVH804のそれぞれでは、直線805は目標値を表し、直線807は最適化ステップ前の標的DVHを表し、直線806は最適化ステップ後の標的DVHを表し、矢印808は最適化ステップの方向を表す。
【0069】
最適化ステップによって確立される制約および緩和
本明細書に記載する通り、一実施形態では、各最適化ステップの結果は、全ての後続の最適化ステップに対する追加的制約として保持される。各最適化ステップの結果は、新しい制約として変えずに保持することができるか、または結果は、制約として適用される前に緩和することができる。
【0070】
図9は、一実施形態に従う、例示的な目的の表であり、DVHが各目的に対して最適化される方法を示す。図9の表の各項目は、VOIのタイプ901、治療計画の目的902、最適化のDVH903、緩和なしで制約される最適化のDVH904、およびユーザ定義の緩和後に制約される最適化のDVH905を含む。DVHのそれぞれでは、直線906は目標値を表し、直線907は最適化ステップの出発点のDVHを表し、直線908(最適化903では点線、緩和なしの制約904および緩和ありの制約905では実線)は最適化ステップの最後のDVHを表し、矢印909は最適化ステップの方向を表し、直線910は、最適化ステップの開始時に最適化されているパラメータの値を表し、矢印911はユーザ定義の緩和を表す。
【0071】
標的体積(例えば、OMI、OCO、およびOHI)に適用する最適化ステップに対して、新しい制約は、目標値の最小または(最小)線量から緩和値を引いて設定される。目標値より上に線量を制約することにより、標的体積内に望ましくない高線量を保持する場合もあり、後続の最適化ステップに対する問題を過度に制約する場合もある。新しい制約はまた、制約が保持されることを保証するように、前の最適化ステップによって確立された、少なくともその最小線量の制約であるように設定される。より多くの最適化ステップが行われると、最小線量の制約のみが増加することができる。
【0072】
重要構造または自動シェル構造(例えば、OMA、OME、およびOCI)に適用する最適化ステップに対して、新しい制約は、目標値の最大または(最大)線量に緩和値を足した値に縮められる。目標値より下に線量を制約することにより、後続の最適化ステップに対する問題を過度に制約する場合がある。新しい制約はまた、より多くの最適化ステップが行われると、最大制約のみが減少することを保証するように、VOI限界の中に定義される、または前の最適化ステップによって確立された最大線量の制約より下へと縮められる。
【0073】
最適化ステップの順序付け
述べた通り、治療計画の目的の順序をスクリプトのステップにマッピングすることは、最適化過程における重要な要素である。いくつかの手法に従って、治療計画の目的によって、絶対的制約の連続的最適化セットおよび最適化ステップのシーケンスを定義することができる。例えば、一実施形態では、重要構造への線量が腫瘍適用範囲以上の優先度を有する場合、重要構造に対する最大線量の制約は、臨床上の限界に設定することができ、その後、最適化ステップは、重要構造への線量を損なうことなく、腫瘍への線量を最適化するように適用することができる。別の実施形態では、腫瘍適用範囲が重要構造以上の優先度を有する場合、最大線量の制約は、合理的な値で重要構造に設定することができるが、臨床上の限界値より高く、その後腫瘍の線量は最適化され得る。次に、最大線量は最適化することができるか、または重要構造への平均線量は、標的体積の線量分布を損なうことなく、それらの最大線量をできる限り減少させるように最適化することができる。別の実施形態では、治療時間を最小化することが主要な目的である場合、治療計画における総MUに関する絶対的制約を設定することができ、総MUは早期の最適化ステップの間に最適化することができる。しかしながら、シーケンスにおいて早期にMUを最適化する場合、ビーム/ノードごとのMUの制約および/またはシェル構造に関する最大線量の制約は、いくつかのビームの方向のみが選ばれる可能性を避けるように使用することができる。
【0074】
絶対的制約の適切なセットおよび最適化ステップのシーケンスが、典型的な臨床アプリケーションに対して識別されると、スクリプトとして記憶され、将来、類似の臨床症例に適用することができる。各スクリプトは、治療計画システムのユーザインターフェース内で完全に編集可能であることができる。
【0075】
臨床例
以下の例は、1)主目的が線量の均一性および周辺の重要構造への低線量である、前立腺腫瘍の症例、2)主目的が線量適用範囲および脊椎への低線量である、脊椎腫瘍の症例、および3)主目的が線量の共形性および治療時間の制限である、肺腫瘍の症例を含む、仮定の臨床設定における連続的最適化ステップの使用を示している。各記述には最適化ステップを定義する表が付随する。
【0076】
1)サンプルの前立腺症例
本実施形態では、臨床医は前立腺を治療し、PTV内にできるだけ一様に線量を送達することを望んでいる。例えば、臨床医は、最小および最大線量の間に最大限20%を望み、したがって、PTV最大を処方線量より大きい20%に設定する場合がある。直腸および膀胱への最大線量は、各臓器に対する既知の耐量に設定される。臨床医は、正常な組織へ送達される線量を減少するように、PTVから離れた全方向の線量勾配が高いことを必要とする。前に治療した症例から、PTVに近い線量を処方線量に、かつより遠い距離の線量を処方線量の50%に制約することにより、他の治療計画の目的を抑制することなく、優れた共形性を提供することが知られている。このようにして、2つの自動シェル構造がこれらの距離で生成され、処方線量および処方線量値の50%が、最大線量として設定される。最大総MU、ビームごとのMU、およびノードごとのMUは、類似する前に治療した症例において、所望の線量分布および入射線量を達成するように実証された、合理的な値に設定される。
【0077】
いくつかの重要構造が前立腺を囲んでいる。これらのうち、直腸は最も低い線量制限を有し、処方線量が直腸壁に接するべきではないことを意味する。OMIステップの目標値は、直腸壁への最大線量に抵触しない処方線量に設定される。その後に、OHIステップが続き、腫瘍線量の均一性を最大化する。次いで、OMEステップが、直腸および膀胱への線量をさらに減少するように追加される。臨床医が膀胱より上の優先度を与えるため、直腸のステップは第1に行われる。目標値は、合併症の確率と相関すると知られる処方(V75と標識化)の75%より多くを受ける体積を最小化するように、処方線量の75%に設定される。OMEのステップの後に、OMUステップが続き、先行する最適化ステップから達成された計画の質を維持する一方で、可能性の最も低い総MUを達成する。
表2−1 サンプルの前立腺症例

【0078】
2)サンプルの脊椎症例
本実施形態では、臨床医は、脊椎へ送達される線量を抑制する一方で、脊髄腫瘍の最高の適用範囲を得ることを望んでいる。線量の均一性は重要ではなく、PTVの最大線量は大きな値に設定される。脊椎への最大線量は、既知の耐量に設定される。
【0079】
75%の処方線量直線をある距離に制約することにより、脊椎または腫瘍の適用範囲への線量に影響を与えることなく、周辺の正常な組織への線量を低く維持する。自動シェル構造が生成され、処方線量の75%は最大線量として設定される。最大総MU、ビームごとのMU、およびノードごとのMUは、類似する前に治療した症例において、所望の線量分布および入射線量を達成するように実証された、合理的な値に設定される。
【0080】
腫瘍は脊椎の近くに位置し、脊椎が耐えられる線量は処方線量より低い。したがって、OMIステップの目標値は、脊椎への耐えられる最大線量に設定される。その後に、OCOステップが続き、腫瘍線量適用範囲を最大化する。次いで、OMEステップが、脊椎への線量をさらに減少するように追加される。目標値は、脊椎への平均線量を最小化するように、ゼロに設定される。先行する最適化ステップによって達成された治療計画の質を維持しながら、その後にOMUステップが続き、最も可能性の低い総MUを得る。
表2−2 サンプルの脊椎症例

【0081】
3)サンプルの肺症例
本実施形態では、臨床医は、約20%の線量の一様性で、左肺の中の病変を治療することを望んでいる。PTV最大線量は、処方線量より20%大きく設定される。食道および心臓への最大線量は、各臓器に対する既知の耐量に設定される。
【0082】
臨床医は、PTVの優れた適用範囲を達成するために、小さな体積の周辺の肺組織が完全な処方線量を受けることを進んで可能にするため、左肺は最適化から除外される。しかしながら、臨床医は、正常な肺内の平均線量を減少するために、PTVから離れた全方向において、高い線量勾配を必要とする。
【0083】
類似症例の前の計画は、達成可能な最も急な線量勾配が、PTVからの特定の距離に、75%の処方線量直線および50%の処方線量直線を位置付けることを特性とすることができることを示している。このようにして、2つの自動シェル構造がこれらの距離に生成され、初期最大線量は、両方の自動シェル構造に対して処方線量に設定される。最大総MU、ビームごとのMU、およびノードごとのMUは、類似する前に治療した症例において、所望の線量分布および入射線量を達成するように実証されている値に設定される。
【0084】
肺以外の重要構造で、病変に極めて接近しているものはないため、OMIステップの目標は処方線量に設定される。OMIステップの後に、OCOステップが続き、腫瘍適用範囲を最大化する。
【0085】
その後、本症例の主要な目的が、治療時間を最小化することであるため、連続的最適化過程において非常に早期に、OMUステップが置かれる。OMUステップの後に、2つのOCIステップが続き、75%の処方線量直線により近い内部シェル構造、および50%の処方線量直線により近い外部シェル構造上の線量分布の共形性を最適化する。
表2−3 サンプルの肺症例

【0086】
上記実施形態は、前立腺、脊椎、および肺の症例に対する特定の値ならびに目的について記載しているが、他の実施形態では、他の値および目的を使用することができることに留意すべきである。
【0087】
ビーム削減
連続的最適化は、腫瘍に向かって略2,000から6,000の候補ビーム(例えば、選ばれたコリメータサイズの数に応じて)を標的にすることができる。通常、連続的最適化により、非ゼロMUを有する略100から400ビームによる治療計画をもたらされる。全体の治療時間を減少させるために、ビームの数を減少させるように、ビーム削減を行うことができる。ビーム削減により、最適化過程からそのMUがユーザ特定のカットオフを下回るそれらのビームを除去され、残りのビームのみを使用して随意に再最適化される。数千から数百の候補ビームの削減により、著しくより短い最適化および治療時間をもたらす。ビーム削減により、治療計画に有意には貢献しないそれらのビームを効率的に除外し、現行の腫瘍体積および重要構造に効果的ではないと判明した、それらのビームのみを随意で再最適化する。合理的なMUカットオフ値のために、治療計画は、より少ない総MUを有することができる、より少ないビームを使用することができ、線量分布の無視できるほどの壊変を経験する場合がある。
【0088】
概して、再最適化は、同じ絶対的制約および最適化ステップを使用して行われる。しかしながら、残りのビームが、現行の腫瘍体積および重要構造に対して幾何的に効果的であると仮定すると、同じビームもまた、わずかに異なる最適化パラメータ(最大線量限界、MU限界、目標値等)とよく働くはずである。再び、合理的なMUカットオフ値に対して、絶対的制約および最適化ステップを微調整し、線量分布に小さな調整を行うように、候補ビームのより小さなセットを伴う結果となる、短い最適化時間を活用することが可能となる。一実施形態では、小さなカットオフ値は第1に、計画の品質を損なうのを避けるように使用することができ、その後、計画の品質が、無視することができるほどの変化を有するようであるが、第1のカットオフ値では残りのビームが多くありすぎる場合、最適化は、増加したカットオフ値で再実行することができる。この付加的手法は少し時間が長くかかるが、多すぎるビーム(ビームセットを再設定することなく、保持することができない)を減少させるのを避けることができる。当業者によって理解されるであろう通り、他の構成も可能である。
【0089】
自動コリメータ選択
一実施形態では、連続的最適化は、自動コリメータ選択アルゴリズムを使用する。自動コリメータ選択アルゴリズムは、連続的最適化中の使用のために、2つまたは3つの固定コリメータサイズを選ぶ。この選択は、標的体積の寸法に基づき、幾何学的ヒューリスティックを使用して行うことができる。均一性または共形性に対するユーザの好みにより、ヒューリスティックがそれぞれより大きなまたはより小さなコリメータサイズを選ぶであろうか否かを判定する。他の実施形態では、自動コリメータ選択アルゴリズムは、連続的最適化の間、種々のサイズのコリメータと使用することができる。
【0090】
実際、線量を制限する危険臓器が標的体積に近い時に、共形性の選択肢はしばしば有用である。一実施形態では、TPSは、コリメータ選択過程における開始点を提供するように設計される。幾何学的ヒューリスティックは、最適計画解(すなわち、2つまたは3つのコリメータサイズのいずれの可能な組み合わせで達成可能な最低費用項)をもたらすとは全く保証できない。したがって、この選択は、特定の計画の問題についての臨床的理解に基づき、注意深く評価されるべきである。
【0091】
重要度サンプリング
一実施形態では、連続的最適化は、重要度サンプリング(例えば、図5Aの560)を使用する。Accuray Incorporated(California)から市販されているMULTIPLAN(登録商標)System等の治療計画システムは、線量計算に使用されるものと同じグリッドから、最適化のための点をサンプリングすることができる。通常は、このサンプリングは、ビームの数およびタイプ、ならびにコリメータの数、タイプ、およびサイズとは独立し、ユーザは、スキップ係数(例えば、図5Aの556)を使用することによって、点の密度を制御することができる。例えば、2つのうちのスキップ係数は、スキップ係数が1つに設定される時に結果をもたらす完成セットと比較すると、所与のVOIに対するサンプリング点の総数の略半数をもたらす。
【0092】
重要度サンプリングは、どのOARまたはシェル構造の点が、OARまたはシェル構造に対して境界最大制約になりそうかを判定するよう試みることによって、最適化の目的のためにサンプリング点の割当に異なる手法を取る。例として、線形プログラムが、一セットの制約{x<5,x<7.2,x<4.5}を有する場合、制約x<4.5は、他の制約の全てに優先するため境界制約である。重要度サンプリングの基本前提は、ビーム(例えば、図10のビームn1001)からのMU係数ごとの最高cGYを伴う、OARまたは自動シェル構造の中のボクセルは、OARまたは自動シェル構造を通過するビームからの線量に最も影響を受ける点となるということである。定義による標的は、高度に一様な線量を必要とし、最小線量制約を有するため、重要構造または自動シェル構造のみがこの方法を使用することができ、全ての点が、ある最小境界制約の一部である場合がある。
【0093】
「最も重要な」点の選択の方法は、図10に示す描写された実施形態を考慮することによって実証することができる。重要度サンプリングのビームごとのボクセル(例えば、558)が3に設定される場合では、アルゴリズムは、各ビーム(例えば、ビームn1001およびm1002)に対する最高の線量係数を有する、3つのボクセル1003および1004(線量体積1006内)を抽出するであろう。全ビームに対するボクセル1003および1004の一覧は連結し、多重ビームからサンプリングされたいずれの同一点(例えば、ボクセル1005)は除去される。重要度サンプリングは、図10では、ビームごとに3つのボクセルに設定される。図10に図示するビームの重複により、2つのビームに対して5つのボクセルがもたらされる。斜線が付された円は、図示するビーム1001および1002両方に対してサンプリングする時に含まれる、ボクセル1003および1004を示す。サンプリングされるボクセルの総数は、ビームの総数と厳密には比例していない。要約すれば、重要度サンプリングは、1)ビームごとのボクセルの数(例えば、1〜5に限定)の入射を可能にし、2)重要構造(または境界のみボックス566が確認される場合はそれらの境界)およびシェル構造にのみ適用され、3)いずれのビームからの比較的少ないMUごとの線量を受ける、VOI上の制約点を含まず、4)VOI上の他の点が、同じ最大線量の境界によってより厳密に制約される時に、ほとんど線量を受けない点が冗長であるため、最適化に関する「重要な」最大制約を維持する。
【0094】
治療計画システム
本明細書に記載する実施形態は、治療立案の方法として、またはTPSを含む治療計画システムとして実施することができる。一実施形態では、一部分以上のTPSは、「ウィザード」または「ウィザード様」のユーザインターフェースに関与し、TPSは、治療計画の1つ以上の複雑なタスクを通してユーザを誘導する。TPSは、治療計画過程を開始するように、ウィザードまたはウィザード様のユーザインターフェースを提供することができる。例えば、一実施形態では、ウィザードユーザインターフェースは、治療計画を連続的に最適化するために、3D画像を取り込み、VOIの輪郭を描く等、治療計画過程を通してユーザを誘導するように、段階的なダイアログに関与することができる。特に連続的最適化に対して、ウィザードインターフェースは、最適化ステップ、最適化ステップのシーケンス、1つ以上の絶対的制約、目標値、緩和値等を定義するように、ユーザ入力を取得するのに使用することができる。一実施形態では、ウィザードは、2005年9月30日出願の米国特許第2007/0078306 A1号に記載の通り、治療計画用の作業フローにユーザを誘導する。当業者によって理解されるであろう通り、他のタイプのTPSす使用することもできる。
【0095】
一実施形態では、本明細書に記載する通り、ユーザは、患者の特定の治療領域に対する治療計画を策定するように、ウィザードユーザインターフェースを使用することができる。別の実施形態では、本明細書に記載する通り、ユーザは、後の使用のために記憶された1つ以上のスクリプトを策定するように、ウィザードユーザインターフェースを使用することができる。別の実施形態では、ユーザは、現行の治療計画を策定する時に保存されたスクリプトを選択するように、ウィザードユーザインターフェースを使用することができる。保存されたスクリプトは、解剖学的な治療の関心体積に適用可能な、1つ以上の事前に定義された治療計画パラメータを提供することができる。例えば、一実施形態では、治療計画立案の間、ユーザは、放射線治療のために、ユーザインターフェース上の体内図に表される、患者の体内領域を選ぶことによって等、ウィザードユーザインターフェースにおいて放射線治療のために標的とされる、解剖学的領域を特定することができる。選ばれた体内領域に基づき、好適な計画テンプレートのライブラリは、事前に適宜された計画パラメータを伴い更新することができる。テンプレート用の治療計画パラメータは、特定の体内領域(例えば、脳、脊椎、肺)に対して成功した過去の治療に基づく場合がある。治療計画パラメータは、工場(例えば、TPSの製造業者)によって事前に定義されるか、ユーザによって事前に定義され記憶されるか、または同じ治療部位に対する前の計画からのシステムによって、学習過程から事前に定義されることができる。1つのかかる治療計画パラメータは、治療計画の共形性、DVH、および送達時間を最適化するのに最も適するノードセット(または部分集合)であることができる。ユーザは、治療計画の最適化を開始する前に、記憶されたスクリプトの事前に定義されたパラメータ値を再検討し、修正し、受け入れることができる。ユーザはまた、事前に定義された治療計画パラメータを修正し、後の使用のために新しいスクリプト名の下、それらを保存することができる。ウィザードユーザインターフェースおよび保存されたスクリプトの、単体または組み合わせてのいずれかでの使用は、治療計画過程を完成するのに必要とされる時間を削減する利点を提供し、ユーザエラーを減少させることができ、また、治療計画作業フローにおいて関与される種々のタスクを単純化する方法を提供することもできる。
【0096】
一実施形態では、TPSは、Windows Server2003製品プラットフォーム(代替として、他のオペレーティングシステムプラットフォームを使用することもできる)上で実施され、Accuray Incorporated(California)によって開発されたCYBERKNIFE(登録商標)システムおよび第3者の画像システムと統合するように設計される。一実施形態では、TPSは、医用画像の分布及び観察用のDigital Imaging and Communications in Medicine(DICOM)標準(例えば、DICOMRT標準)に完全に準拠し、TPSは、これらのユーティリティで事前に構成され、さらなるソフトウェアを全く必要としない。
【0097】
別の実施形態では、TPSは、ユーザ定義の最小/最大線量の制約に基づき線量分布を最適化するために、種々のタイプのアルゴリズムを含む。これらのアルゴリズムのうちの1つは、最大線量の制約より上および最小線量の制約より下に偏差を最適化する、反復アルゴリズムであることができる。反復計画アルゴリズムは第1に、1セットの放射線ビームを生成し、初期の線量分布計算を行い、続いて、1つ以上の放射線ビームを改変することによって、初期線量分布の計算を向上させるよう試みる。これらのアルゴリズムのうちの他の1つは、シンプレックスアルゴリズムであることができ、最小/最大線量の制約を条件とするMUの数を最小化することを伴う。反復アルゴリズムまたはシンプレックスアルゴリズムのいずれかの使用は、スクリプトによって事前に設定されるか、またはユーザによって定義されることができる、別の治療計画パラメータである。一実施形態では、両方のアルゴリズムの組み合わせを使用することができる。例えば、計画の最適化は、必要とされる最小MUを判定するように、シンプレックスアルゴリズムで開始し、その後に反復アルゴリズムが続くか、またはその逆であってもよい。
【0098】
一実施形態では、治療計画過程は、順方向および逆方向治療計画技術の両方の態様に関与し、それによって、順方向および逆方向治療計画技術の強みを組み合わせる。例えば、操作者は、順方向計画の一部としてアイソセントリックビーム形状、または非アイソセントリックおよびアイソセントリックビーム形状の混合を利用し、続いて、逆方向計画の間に等線量輪郭のトポロジを直接修正することができる。操作者は、放射線放出点、標的領域への距離、配向、および放射線量の重量の点から見て、治療計画における使用のために各ビームを制御することができる。代替として、各ビームの特性は、選ばれたテンプレートの治療計画パラメータに従い、事前に設定することができる。TPSは、操作者が、順方向計画過程の一部として使用されるように、1セットの放射線ビーム(および関連経路、放出点、および線量の重量)を、および逆方向計画の一部として使用されるように、別セットのビームを特定することを可能にすることができる。逆方向計画用に準備されるビームのセットは、治療計画システムにより自動的に生成される、制約点の1つ以上のエンベロープを利用することによって、最適化することができる。
【0099】
図11は、本発明の特徴が実施される放射線治療を行うように使用することができる、システムの一実施形態を示す。以下に記載し図11に示す通り、システム1000は、診断画像化システム2000、治療計画システム3000、および治療送達システム4000を含む。
【0100】
診断画像化システム2000は、後続の医療診断、治療計画立案および/または治療送達に使用することができる、患者の中のVOIの医療診断画像を作成することが可能な、いずれのシステムであることができる。例えば、診断画像化システム2000は、CTシステム、磁気共鳴画像(MRI)システム、陽電子放出断層撮影(PET)システム、超音波(US)システム等であることができる。議論を容易にするために、診断画像化システム2000について、時にはCT−X線画像診断法と関連させて、以下で議論する場合がある。しかしながら、上記のような他の画像診断法もまた使用することができる。
【0101】
診断画像化システム2000は、画像ビーム(例えば、X線、超音波、高周波等)を生成する画像源2010と、画像源2010により生成されたビームを検出し受信する画像検出器2020とを含むか、または画像源(例えば、MRIまたはPETスキャン)からのビームにより刺激された二次ビームまたは放出を含む。一実施形態では、診断画像化システム2000は、2つ以上の診断X線源、および2つ以上の対応する画像検出器を含む。例えば、2つのX線源は、画像化される患者の周辺に配置し、互いから角度分離(例えば、90度、45度等)で固定し、X線源とは反対に置くことができる、画像検出器に向かって患者を介して狙うことができる。また、各X線画像源によって照射されるであろう、単一の大型画像検出器、または複数の画像検出器を使用することもできる。当業者によって理解されるであろう通り、画像源および画像検出器の他の数ならびに構成を使用することもできる。
【0102】
画像源2010および画像検出器2020は、画像化操作を制御し、画像データを処理するように、デジタル処理システム2030に連結される。診断画像化システム2000は、デジタル処理システム2030、画像源2010、および画像検出器2020間で、データならびにコマンドを転送するためのバスまたは他の手段2035を含む。デジタル処理システム2030は、1つ以上の汎用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、デジタル信号プロセッサ(DSP)等の専用プロセッサ、またはコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等の他のタイプの処理デバイスを含むことができる。デジタル処理システム2030はまた、メモリ、記憶デバイス、ネットワークアダプタ等の他の構成要素(図示せず)を含むことができる。デジタル処理システム2030は、例えば、DICOMフォーマットのような標準フォーマットで、デジタル診断画像を生成するように構成することができる。他の実施形態では、デジタル処理システム2030は、他の標準または非標準デジタル画像フォーマットを生成することができる。デジタル処理システム2030は、例えば、直接リンク、ローカルエリアネットワーク(LAN)リンク、またはインターネット等の広域ネットワーク(WAN)リンクであることができる、データリンク1500上で治療計画システム3000へ診断画像ファイル(例えば、前述のDICOMフォーマットファイル)を伝送することができる。加えて、システム間を転送される情報は、遠隔診断または治療計画構成等のシステムに接続する通信媒体にわたって、入れることができるか、または引き出したりすることができるかのいずれかである。遠隔診断または治療計画において、ユーザは、システムユーザと患者との間に物理的分離が存在するにもかかわらず、治療するために本発明の実施形態、または治療計画を利用することができる。
【0103】
治療計画システム3000は、画像データを受信し処理する処理デバイス3010を含む。処理デバイス3010は、1つ以上の汎用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、DSP等の専用プロセッサ、またはコントローラ、FPGA等の他のタイプの処理デバイスに相当する場合がある。処理デバイス3010は、例えば、複数の治療計画パラメータを連続的に最適化し、治療計画用のスクリプトを生成し、ウィザードユーザインターフェースによってユーザを誘導し、ユーザが記憶されたスクリプトを選択することを可能にする等、本明細書で議論するTPS操作を行うための命令を実行するように構成することができる。
【0104】
治療計画システム3000はまた、処理デバイス3010によって実行されるように情報および命令を記憶するために、バス3055によって処理デバイス3010に連結される、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含むことができるシステムメモリ3020、または他の動的記憶デバイスを含むことができる。システムメモリ3020はまた、処理デバイス3010によって、命令の実行の間に一時変数または他の中間情報を記憶するために使用することができる。システムメモリ3020は、処理デバイス3010用の静的情報および命令を記憶するためにバス3055に連結される、読み取り専用メモリ(ROM)および/または他の静的記憶デバイスを含むことができる。一実施形態では、システムメモリ3020は、連続的最適化.処理デバイスによって実行される時、連続的最適化に関して本明細書に記載の操作を行う、その上に記憶される命令を有する、機械で読み取り可能な記憶媒体である。
【0105】
治療計画システム3000はまた、記憶デバイス3030を含むことができ、情報および命令を記憶するためにバス3055に連結される、1つ以上の記憶デバイス(例えば、磁気ディスクドライブまたは光学ディスクドライブ)に相当する。記憶デバイス3030は、連続的最適化アルゴリズム等、本明細書で議論する治療計画ステップを行うための命令を記憶するために使用することができる。
【0106】
処理デバイス3010はまた、ユーザへ情報(例えば、VOIの2次元または3次元表示)を表示するために、ブラウン管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)等のディスプレイデバイス3040に連結することができる。キーボード等の入力デバイス3050は、処理デバイス3010に情報および/またはコマンド選択を通信するために、処理デバイス3010に連結することができる。1つ以上の他のユーザ入力デバイス(例えば、マウス、トラックボール、またはカーソル方向キー)はまた、処理デバイス3010用のコマンドを選び、ディスプレイ3040上でのカーソル移動を制御するように、方向情報を通信するのに使用することができる。
【0107】
治療計画システム3000は治療計画システムの一例のみを表し、多くの異なる構成およびアーキテクチャを有することができ、治療計画システム3000より多くの構成要素またはより少ない構成要素を含むことができ、本発明と共に採用することができることは理解されるであろう。例えば、一部のシステムはしばしば、周辺機器用バス、専用キャッシュバス等の複数のバスを有する。治療計画システム3000はまた、DICOM取り込みを補助するように、MIRIT(Medical Image Review and Import Tool)を含むことができ(そのため、画像は融合することができ、標的は異なるシステム上に描出され、その後、計画立案および計線量計算のために治療計画システムに取り込むことができる)、ユーザが治療計画を策定し、種々の画像診断法(例えば、MRI、CT、PET等)のうちのいずれか1つ上で線量分布を眺めることを可能とする画像融合能力を拡大する。治療計画システムのさらなる詳細は、当業者によって理解されるであろうため、より詳細な議論は提供されない。
【0108】
治療計画システム3000は、治療送達の前に治療計画システムから書き出す必要はなくてもよいように、そのデータベース(例えば、記憶デバイス3030の中に記憶されるデータ)を、治療送達システム4000等の治療送達システムと共有することができる。治療計画システム3000は、データリンク1500に関して上で議論した通り、直接リンク、LANリンク、またはWANリンクであることができるデータリンク2500を介して、治療送達システム4000にリンクすることができる。データリンク1500および2500が、LANまたはWAN接続として実現される時に、診断画像化システム2000、治療計画システム3000、および/または治療送達システム4000のうちのいずれかは、システムが互いに物理的に遠隔であることができるように、分散的場所にあることができることは留意されるべきである。代替として、診断画像化システム2000、治療計画システム3000、および/または治療送達システム4000のうちのいずれかは、1つ以上のシステムにおいて互いに統合することができる。
【0109】
治療送達システム4000は、治療計画に従い処方された放射線量を標的体積に投与するように、療法用および/または外科用放射線源4010を含む。治療送達システム4000はまた、放射線源に対して患者を位置付けるように、上記の診断画像との登録または相関のために、患者の体積(標的体積を含む)の治療中の画像を捕捉する、画像システム4020を含むことができる。治療送達システム4000はまた、放射線源4010を制御するデジタル処理システム4030、画像システム4020、および治療台4040等の患者補助デバイスを含むことができる。デジタル処理システム4030は、1つ以上の汎用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、DSP等の専用プロセッサ、またはコントローラ、FPGA等の他のタイプの処理デバイスを含むことができる。デジタル処理システム4030はまた、メモリ、記憶デバイス、ネットワークアダプタ等の他の構成要素(図示せず)を含むことができる。デジタル処理システム4030は、バス4045、または他のタイプの制御および通信インターフェースによって、放射線源4010、画像システム4020、ならびに治療台4040に連結することができる。
【0110】
一実施形態では、図12に示す通り、治療送達システム4000は、Accuray Incorporated(California)によって開発されたCYBERKNIFE(登録商標)システム等の、ロボートをベースとした画像誘導放射線治療システム(例えば、放射線手術を行うため)であることができる。図12では、放射線源4010は、患者の周辺の操作体積(例えば、球)において、多くの角度から送達されるビームで、病理解剖学的形態(標的領域または体積)を照射するように、直線加速器(LINAC)4051を位置付けるために、多(例えば、5以上)自由度を有するロボットアーム4052の端部に載置されるLINAC4051によって表される。治療は、単一のアイソセンタ(収束の点)、複数のアイソセンタを伴う、または非アイソセントリック手法によるビーム通路を取り込むことができる(すなわち、ビームは、病理解剖学標的体積との交差のみを必要とし、必ずしも標的内の単一点、すなわちアイソセンタに集束しない)。治療は、単一セッション(モノフラクション)、または治療計画の間に判定されるような少数のセッションのいずれかで送達することができる。治療送達システム4000により、一実施形態では、放射線ビームは、術前治療計画段階の間に、標的体積の術中の位置を標的体積の位置に登録するように、患者を強固な外部フレームに固定することなく、治療計画に従って送達することができる。
【0111】
図12では、画像システム4020は、X線源4053および4054、ならびにX線画像検出器(撮像装置)4056および4057によって表されている。一実施形態では、例えば、2つのX線源4053および4054は、通常、2つの異なる角度の位置(例えば、90度、45度等で分離)から患者を通って画像X線ビームを投影するように整列し、それぞれの検出器4056および4057に向かって治療台4050上の患者を通って狙うことができる。別の実施形態では、各X線画像源によって照らされるであろう単一の大型撮像装置を使用することができる。当業者によって理解されるであろう通り、画像源および撮像装置の他の数ならびに構成を使用することもできる。
【0112】
デジタル処理システム4030は、治療送達システム4000内に治療台4050上の患者を整列させ、かつ標的体積に対して放射線源を位置付けるように、画像システム4020から獲得された画像を、術前治療計画画像に登録するアルゴリズムを実施することができる。
【0113】
治療台4050は、Accuray Incorporatedによって開発されたROBOCOUCH(登録商標)治療台等、多自由度(例えば、5以上)を有する位置決めシステム4060の別のロボットアームに連結することができる。カウチアームは、回転自由度5および実質的に垂直な直線自由度1を有することができる。代替として、カウチアームは、回転自由度6および実質的に垂直な直線自由度1、または回転自由度少なくとも4を有することができる。カウチアームは、柱または壁に垂直に載置するか、あるいは台座、床、または天井に水平に載置することができる。代替として、治療台4050は、Accuray Incorporated(California)によって開発されたAXUM(登録商標)治療台、または当業者によって理解されるであろうような他のタイプの治療台等、別の機械メカニズムの構成要素であることができる。
【0114】
代替として、治療送達システム4000は、例えば、ガントリを基盤とする(アイソセントリック)の強度変調放射線療法(IMRT)システムといった、別のタイプの治療送達システムであることができる。ガントリを基盤とするシステムでは、放射線源(例えば、LINAC)は、患者の軸方向のスライスに対応する面で回転するように、ガントリ上に載置される。その後、放射線は、回転の円形面上のいくつかの位置から送達される。IMRTでは、放射線ビームの形は、患者への残りのビーム入射が事前に定義された形を有するように、複数部分のビームを遮断することを可能にする多分割コリメータによって定義される。結果生じるシステムは、標的に線量分布を送達するように、アイソセンタで互いに交差する任意の形状である、放射線ビームを生成する。IMRT計画立案では、最適化アルゴリズムは、処方された線量制約に最適に合致するように、主なビームの部分集合を選び、患者が各部分集合にさらされるべき時間の量を判定する。特定の一実施形態では、ガントリを基盤とするシステムは、Oリングを有することができ、LINACがジンバル式ヘッドアセンブリ上に載置される。
【0115】
他の実施形態では、例えば、スウェーデンのElektaから市販されているGAMMAKNIFE(登録商標)等の定位固定フレームシステムといった、また別のタイプの治療送達システム4000を使用することができる。かかるシステムにより、治療計画の最適化アルゴリズム(球充填アルゴリズムとも呼ばれる)は、提供された線量制約に最も合致するように、アイソセンタを形成するビームの一群に割り当てられた選択および線量の重要性を判定する。
【0116】
本明細書に記載の方法および装置は、医療診断画像化および治療でのみ使用するように限定されないことは留意されるべきである。代替の実施形態では、本明細書の方法および装置は、工業用の画像化および材料の非破壊検査(例えば、自動車産業のモータブロック、航空産業の機体、建設産業の溶接、および石油産業のドリルコア)、ならびに地震測量等の医療技術分野以外に適用して使用することができる。かかる応用では、例えば、「治療」は概して、放射線ビームの適用を指す場合がある。
【0117】
本発明の実施形態は、本明細書に記載する通り種々のステップを含む。本発明のステップは、ハードウェア構成要素によって行うことができるか、または機械で実行可能な命令に統合することができ、命令を伴いプログラムされた汎用プロセッサまたは専用プロセッサに、ステップを行わせるように使用することができる。代替として、ステップは、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせによって行うことができる。
【0118】
本発明の実施形態は、コンピュータプログラム製品またはソフトウェアとして提供することができ、それらは、本明細書に記載の操作の方法を行うように、コンピュータシステム(または他の電子デバイス)をプログラムするのに使用することができる、その上に記憶される命令を有する、機械で読み取り可能な記憶媒体を含むことができる。機械で読み取り可能な媒体は、機械(例えば、コンピュータ)によって読み取り可能な形状(例えば、ソフトウェア、処理アプリケーション)で、情報を記憶または伝送するためのいずれのメカニズムを含む。機械で読み取り可能な記憶媒体は、磁気記憶媒体(例えば、フロッピーディスク)、光学記憶媒体(例えば、CDROM)、磁気−光学記憶媒体、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消却プログラム可能メモリ(例えば、EPROMおよびEEPROM)、フラッシュメモリ、または電子命令を記憶するのに好適な他のタイプの媒体を含むことができるが、それらに限定されない。機械で読み取り可能な伝送媒体は、電気、光学、音響、または他のタイプの電子命令を伝送するのに好適な媒体を含むことができるが、それらに限定されない。
【0119】
本発明の実施形態はまた、分散型コンピュータ環境にて実践することが可能であり、機械で読み取り可能な記憶媒体は、1つより多いコンピュータシステム上に記憶され、および/または1つより多いコンピュータシステムによって実行される。加えて、コンピュータシステム間を転送される情報は、遠隔診断または監視システム等のコンピュータシステムに接続する通信媒体にわたって、出し入れのいずれかを行うことができる。遠隔診断または監視において、ユーザは、ユーザと患者との間に物理的分離が存在するにもかかわらず、患者を診断または監視するように、本発明の実施形態を利用することができる。加えて、治療送達システムは、治療計画システムから遠隔にあることができる。
【0120】
前述の明細書では、本発明について、それらの特定の例示的実施形態を参照しながら記載した。しかしながら、添付の特許請求の範囲に記載通りの、本発明のより広い精神および範囲から逸脱することなく、種々の修正および変更をなすことができることは明らかであろう。したがって、本明細書および図面は、限定の意味ではなくむしろ、説明的意味とみなされるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより実施される方法であって、
治療計画システムにて、複数の放射線治療計画パラメータを受信することであって、前記複数の放射線治療計画パラメータが、放射線ビームを介して解剖学的領域に適用される放射線の特性を表す、受信することと、
前記解剖学的領域に方向付けられる、複数の放射線ビームの最適化された治療計画を取得するように、前記治療計画システムを使用して、前記複数の放射線治療計画パラメータを連続的に最適化することと、を含む、方法。
【請求項2】
連続的に最適化することは、
前記複数の治療計画パラメータのうち第1のパラメータを最適化するように、第1の最適化ステップを行うことと、
前記第1の最適化ステップの結果を、追加的制約として第2の最適化ステップに適用することと、
前記複数の治療計画パラメータのうちの第2パラメータを最適化するように、前記第2の最適化ステップを行うことと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
連続的に最適化することは、スクリプトによって特定される順に、前記複数の治療計画パラメータを、連続的かつ個々に最適化することを含み、前記スクリプトは、最適化ステップのシーケンスである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の治療計画パラメータは、最適化費用関数の複数の最適化制約を備え、連続的かつ個々に最適化することは、
前記複数の最適化制約のうちの第1の最適化制約を第1の目標値に最適化するように、前記スクリプトの第1の最適化ステップを実行することと、
前記第1の最適化ステップの結果を、後続の最適化ステップに対する追加的制約として適用することと、
前記追加的制約を破ることなく、前記複数の最適化制約のうちの1つ以上の追加的最適化制約を最適化するように、前記スクリプトの1つ以上の後続の最適化ステップを実行することと、を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
連続的かつ個々に最適化することは、前記1つ以上の後続の最適化ステップの実行の間に、緩和値によって前記第1の最適化ステップの前記結果を最大限緩和することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
連続的かつ個々に最適化することは、1つ以上の絶対的制約のうちのいずれかを破ることなく、前記最適化ステップのそれぞれを連続的に最適化することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の最適化ステップは、標的関心体積(VOI)に適用され、前記1つ以上の後続の最適化ステップのうちの少なくとも1つは、重要構造(critical structure)に適用される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記スクリプトをメモリに保存することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記スクリプトの前記複数の最適化ステップのそれぞれが、治療計画の目的に対応し、
連続的かつ個々に最適化することは、
患者の前立腺の少なくとも一部分を含有する計画標的体積(PTV)に適用される、前記複数の最適化ステップのうちの第1のステップを定義することであって、前記第1の最適化ステップは、第1の治療計画の目的を達成するように、前記PTVへの最小線量を最適化すること(OMI)を含む、定義することと、
前記PTVに適用される、前記複数の最適化ステップのうちの第2のステップを定義することであって、前記第2の最適化ステップは、第2の治療計画の目的を達成するように、前記PTVの均一性を最適化すること(OHI)を含む、定義することと、
直腸の少なくとも一部分を含有する第1の関心体積(VOI)に適用される、前記複数の最適化ステップのうちの第3のステップを定義することであって、前記第3の最適化ステップは、第3の治療計画の目的を達成するように、前記第1のVOIの平均線量を最適化すること(OME)を含む、定義することと、
膀胱の少なくとも一部分を含有する第2のVOIに適用される、前記複数の最適化ステップのうちの第4のステップを定義することであって、前記第4の最適化ステップは、第4の治療計画の目的を達成するように、前記第2のVOIの平均線量を最適化すること(OME)を含む、定義することと、
個々かつ順々に、前記第1、第2、第3、および第4の最適化ステップを連続的に実行することと、を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記連続的に最適化することの間に破られ得ない、1つ以上の絶対的制約を定義することをさらに含み、
前記1つ以上の絶対的制約は、以下、
前記治療計画のための最大モニタユニット(MU)、
ビームごとの最大MU、および
ノードごとの最大MU、のうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
連続的かつ個々に最適化することは、
前記解剖学的領域に標的体積の少なくとも一部分を含有する、計画標的体積(PTV)を少なくとも部分的に囲む、第1のシェル構造に対する最大線量を定義することと、
前記PTVを少なくとも部分的に囲む、第2のシェル構造に対する最大線量を定義することであって、前記第1のシェル構造に対する前記最大線量は、前記第2のシェル構造に対する前記最大線量より少ない、定義することと、をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の最適化ステップの制約は、1つ以上の絶対的制約を含み、前記第2の最適化ステップの制約は、前記第1の最適化ステップの結果と、前記絶対的制約とを含み、前記第3の最適化ステップの制約は、前記第1の最適化ステップの前記結果と、前記第2の最適化ステップの結果と、前記絶対的制約とを含み、前記第4の最適化ステップの制約は、前記第1および第2の最適化ステップの前記結果と、前記第3の最適化ステップの結果と、前記絶対的制約とを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の最適化ステップの制約は、1つ以上の絶対的制約を含み、前記第2の最適化ステップの制約は、前記絶対的制約と、後続の最適化ステップの実行の時に、第1の緩和値以下逸脱し得る、前記第1の最適化の結果とを含み、前記第3の最適化ステップの制約は、前記絶対的制約と、後続の最適化ステップによる実行の時に、第1の緩和値逸脱し得る、前記第1の最適化ステップの前記結果と、後続の最適化ステップによる実行の時に、第2の緩和値以下逸脱し得る、前記第2の最適化の結果とを含み、前記第4の最適化ステップの制約は、前記絶対的制約と、後続の最適化ステップによる実行の時に、第1の緩和値以下逸脱し得る、前記第1の最適化ステップの前記結果と、後続の最適化ステップによる実行の時に、第2の緩和値以下逸脱し得る、前記第2の最適化ステップの前記結果と、第3の緩和値以下逸脱し得る、前記第3の最適化ステップの結果とを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記スクリプトの前記複数の最適化ステップのそれぞれが、治療計画の目的に対応し、
連続的かつ個々に最適化することは、
患者の脊椎付近の計画標的体積(PTV)に適用される、前記複数の最適化ステップのうちの第1のステップを定義することであって、前記第1の最適化ステップは、第1の治療計画の目的を達成するように、前記PTVへの最小線量を最適化すること(OMI)を含む、定義することと、
前記PTVに適用される、第2の最適化ステップを定義することであって、前記第2の最適化ステップは、第2の治療計画の目的を達成するように、前記PTVの適用範囲を最適化すること(OCO)を含む、定義することと、
脊椎の少なくとも一部分を含有する第1の関心体積(VOI)に適用される、第3の最適化ステップを定義することであって、前記第3の最適化ステップは、第3の治療計画の目的を達成するように、前記第1のVOIの平均線量を最適化すること(OME)を含む、定義することと、
第4の治療計画の目的を達成するために、前記治療計画におけるモニタユニット(MU)の総数を最適化するように、第4の最適化ステップを定義することと、
個々にかつ順々に、前記第1、第2、第3、および第4の最適化ステップを連続的に最適化することと、を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項15】
前記スクリプトの前記複数の最適化ステップのそれぞれが、治療計画の目的に対応し、連続的かつ個々に最適化することは、
患者の肺付近の計画標的体積(PTV)に適用される、第1の最適化ステップを定義することであって、前記第1の最適化ステップは、第1の治療計画の目的を達成するように、前記PTVへの最小線量を最適化すること(OMI)を含む、定義することと、
前記PTVに適用される、第2の最適化ステップを定義することであって、前記第2の最適化ステップは、第2の治療計画の目的を達成するように、前記PTVの適用範囲を最適化すること(OCO)を含む、定義することと、
第3の治療計画の目的を達成するために、前記治療計画におけるモニタユニット(MU)の総数を最適化するように、第3の最適化ステップを定義することと、
前記PTVを少なくとも部分的に囲む第1のシェル構造に適用される、第4の最適化ステップを定義することであって、前記第4の最適化ステップは、第4の治療計画の目的を達成するように、前記第1のシェル構造の共形性を最適化すること(OCI)を含む、定義することと、
前記PTVを少なくとも部分的に囲む第2のシェル構造に適用される、第5の最適化ステップを定義することであって、前記第5の最適化ステップは、第5の治療計画の目的を達成するように、前記第2のシェル構造の共形性を最適化すること(OCI)を含み、前記第1のシェル構造に対する前記最大線量は、前記第2のシェル構造に対する前記最大線量より少ない、定義することと、
個々にかつ順々に、前記第1、第2、第3、第4、および第5の最適化ステップを連続的に最適化することと、を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項16】
コンピュータにより実施される方法であって、
複数の放射線治療計画パラメータを定義するように、治療計画システムにて入力を受信することであって、前記複数の放射線治療計画パラメータは、放射線ビームを介して解剖学的領域に適用される放射線の特性を表す、受信することと、
前記治療計画システムを使用して、前記複数の放射線治療計画パラメータからスクリプトを生成することであって、前記スクリプトは、前記解剖学的領域に方向付けられる、複数の放射線ビームの最適化された治療計画を取得するように、複数の最適化ステップの順序付けられたシーケンスを備える、生成することと、を含む、方法。
【請求項17】
後の検索のために、メモリに前記スクリプトを保存することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記スクリプトを生成することは、メモリからスクリプトをロードすることをさらに含み、前記保存されたスクリプトは、1つ以上の事前に定義された最適化ステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記スクリプトを生成することは、前記ロードされたスクリプトに関連付けられる、前記1つ以上の事前に定義された最適化ステップのうちの少なくとも1つを編集することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記1つ以上の事前に定義された最適化ステップは、1つ以上の過去の放射線治療計画に基づく、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記1つ以上の事前に定義された最適化ステップは、前記スクリプトを生成する治療計画システムの製造業者によって事前に定義される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記1つ以上の最適化ステップは、前記解剖学的関心体積に対する前の放射線治療計画に基づく学習過程によって事前に定義される、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記スクリプトを生成することは、メモリからスクリプトをロードすることをさらに含み、前記保存されたスクリプトは、1つ以上の事前に定義された最適化ステップと、1つ以上の事前に定義された最適化不可能な入力とを備え、前記最適化不可能な入力は、1つ以上の関心体積(VOI)を備え、各々がVOI名およびVOIタイプを有し、前記1つ以上の事前に定義された最適化ステップは、各VOIに対して最小または最大線量の制約を備える、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記スクリプトを生成することは、メモリから保存されたスクリプトをロードすることをさらに含み、前記保存されたスクリプトは、前記スクリプトの前記複数の最適化ステップを定義する、複数の事前に定義された最適化ステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記複数の最適化ステップは、ビーム形状またはビーム使用法のうちの少なくとも1つに適用される、1つ以上の最適化ステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記スクリプトによって特定される前記順に、前記複数の最適化ステップのそれぞれを連続的に最適化するように、前記スクリプトを実行することをさらに含み、前記実行することは、前記治療計画システムによって行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
前記実行することは、
第1の目標値に向かって第1の制約を最適化するように、第1の最適化ステップを行うことと、
前記第1の最適化ステップの結果値を、追加的制約として第2の最適化ステップに適用することであって、前記追加的制約は、後続の最適化ステップにおいて、最大で緩和値まで緩和されてもよい、適用することと、
第2の目標値に向かって第2の制約を最適化するように、第2の最適化ステップを行うことであって、前記第2の最適化ステップは、前記追加的制約を最大で前記緩和値まで緩和してもよい、行うことと、を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記緩和値、ならびに前記第1および第2の目標値を定義するように、ユーザインターフェースを介して、前記治療計画システムにてユーザ入力を受信することをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記複数の最適化ステップの前記順序付けられたシーケンスを定義するように、ユーザインターフェースを介して、前記治療計画システムにてユーザ入力を受信することをさらに含む、請求項16に記載の方法。v
【請求項30】
達成される特定の最適化ステップに対して、ユーザ定義される相対的障害に応じて、前記複数の最適化ステップの前記順序付けられたシーケンスを定義するように、ユーザインターフェースを介して、前記治療計画システムにてユーザ入力を受信することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項31】
前記複数の最適化ステップのそれぞれが、治療計画の目的に対応し、前記方法は、
前記複数の最適化ステップの重要性に応じて、かつ達成される特定の最適化ステップに対する前記相対的障害に応じて、前記複数の最適化ステップの前記順序付けられたシーケンスを定義するように、ユーザインターフェースを介して、前記治療計画システムにてユーザ入力を受信することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項32】
コンピュータにより実施される方法であって、
治療計画システムを使用してスクリプトを生成することであって、前記スクリプトは、放射線治療計画の一部として標的体積および周辺領域に適用される、複数の最適化ステップの順序付けられたシーケンスであり、前記複数の最適化ステップは、放射線ビームを介して、前記患者の前記標的体積および前記周辺領域に適用される、放射線の特性を表す、生成することと、
前記治療計画システムを使用して前記スクリプトを実行することであって、前記スクリプトを実行することは、多制約最適化費用関数の線形プログラミング最適化を行うことを含み、前記線形プログラミング最適化を行うことは、前記多制約最適化費用関数の制約を個々に最適化するように、前記順序付けられたシーケンスで、前記複数の最適化ステップのそれぞれを行うことを含み、前記多制約最適化費用関数は、前記標的体積および前記周辺領域に方向付けられるように、複数の放射線ビームの最適化された治療計画を表す、実行することと、を含む、方法。
【請求項33】
前記スクリプトの前記実行中に破られ得ない1つ以上の絶対的制約を定義するように、前記治療計画システムにてユーザ入力を受信することと、
前記複数の最適化ステップのそれぞれに対して目標値を定義するように、前記治療計画システムにてユーザ入力を受信することであって、前記順序付けられたシーケンスで前記複数の最適化ステップのそれぞれを前記行うことは、
前記標的体積に適用される線量の代表である第1の目標値に、前記多制約最適化費用関数の第1の制約を最適化するように、第1の最適化ステップを行うことであって、前記第1の最適化ステップは、前記1つ以上の絶対的制約のうちのいずれをも破ることなしに、前記標的体積に送達される前記最小線量を最大化し、前記第1の最適化ステップの前記結果は、後続の最適化ステップに対する追加的制約として保持される、行うことと、
前記1つ以上の絶対的制約または前記追加的制約のうちのいずれをも破ることなく、前記多制約最適化費用関数の第2の制約を、第2の目標値に最適化するように、後続の最適化ステップを行うことと、を含むことを、さらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記順序付けられたシーケンスで前記複数の最適化ステップのそれぞれを前記行うことは、前記後続の最適化ステップを行う間に、前記治療計画システムを使用して、前記第1の最適化ステップの前記結果を緩和することを含み、前記結果を緩和することは、前記治療計画システムが、前記後続の最適化ステップを行う間に、緩和値によって前記追加的制約を最大限変更することを可能にする、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記1つ以上の絶対的制約は、
各ビームに対する最大モニタユニット(MU)、
各ノードに対する最大MU、
前記放射線治療計画に対する最大MU、
前記放射線治療計画のおける標的関心体積(VOI)に対する最大線量、または
前記放射線治療計画のおける別のVOIに対する最小線量、
のうちの少なくとも1つを備える、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記複数の最適化ステップは、前記標的体積に適用される第1の最適化ステップと、前記標的体積の前記周辺領域の中の重要構造に適用される第2の最適化ステップとを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記複数の最適化ステップは、前記標的体積に適用される第1の最適化ステップと、前記標的体積を少なくとも部分的に囲む、シェル構造に適用される第2の最適化ステップとを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記多制約最適化費用関数の前記制約のそれぞれが、治療計画の目的に対応し、前記治療計画の目的のそれぞれは、
前記治療計画システムによる、前記標的体積の最小線量最適化(OMI)、
前記治療計画システムによる、前記標的体積の適用範囲最適化(OCO)、
前記治療計画システムによる、前記標的体積の均一性最適化(OHI)、
前記治療計画システムによる、前記標的体積付近にある重要構造の最大線量最適化(OMA)、
前記治療計画システムによる、前記標的体積付近にある重要構造の平均線量最適化(OME)、
前記治療計画システムによる、前記標的体積を少なくとも部分的に囲む、シェル構造の共形性最適化(OCI)、または
前記治療計画システムによって前記標的体積に適用される、モニタユニット最適化(OMU)、
のうちの少なくとも1つである、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
治療計画システムによって実行される時、前記治療計画システムに方法を行わせる、その上に記憶される命令を有する、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体であって、
前記治療計画システムにて、複数の放射線治療計画パラメータを受信することであって、前記複数の放射線治療計画パラメータが、放射線ビームを介して解剖学的領域に適用される放射線の特性を表す、受信することと、
前記解剖学的領域に方向付けられる、複数の放射線ビームの最適化された治療計画を取得するように、前記治療計画システムを使用して、前記複数の放射線治療計画パラメータを連続的に最適化することと、を備える、媒体。
【請求項40】
連続的に最適化することは、
前記複数の治療計画パラメータのうちの第1のパラメータを最適化するように、第1の最適化ステップを行うことと、
前記第1の最適化ステップの結果を、追加的制約として第2の最適化ステップに適用することと、
前記複数の治療計画パラメータのうちの第2パラメータを最適化するように、前記第2の最適化ステップを行うことと、を含む、請求項39に記載のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体。
【請求項41】
連続的に最適化することは、スクリプトによって特定される順に、前記複数の治療計画パラメータを、連続的かつ個々に最適化することを含み、前記スクリプトは、最適化ステップのシーケンスである、請求項39に記載のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体。
【請求項42】
治療計画システムによって実行される時、前記治療計画システムに方法を行わせる、その上に記憶される命令を有する、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体であって、
複数の放射線治療計画パラメータを定義するように、前記治療計画システムにて入力を受信することであって、前記複数の放射線治療計画パラメータは、放射線ビームを介して解剖学的領域に適用される放射線の特性を表す、定義することと、
前記治療計画システムを使用して、前記複数の放射線治療計画パラメータからスクリプトを生成することであって、前記スクリプトは、前記解剖学的領域に方向付けられる、複数の放射線ビームの最適化された治療計画を取得するように、複数の最適化ステップの順序付けられたシーケンスを備える、生成することと、を備える、媒体。
【請求項43】
後の検索のために、メモリに前記スクリプトを保存することをさらに含む、請求項42に記載のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体。
【請求項44】
前記スクリプトを生成することは、メモリから保存されたスクリプトをロードすることをさらに含み、前記保存されたスクリプトは、前記スクリプトの前記複数の最適化ステップを定義するように、複数の事前に定義された最適化ステップを含む、請求項42に記載のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体。
【請求項45】
前記スクリプトによって特定される前記順に、前記複数の最適化ステップのそれぞれを連続的に最適化するように、前記スクリプトを実行することをさらに含み、前記実行することは、
第1の目標値に向かって第1の制約を最適化するように、第1の最適化ステップを行うことと、
前記第1の最適化ステップの結果値を、追加的制約として第2の最適化ステップに適用することであって、前記追加的制約は、後続の最適化ステップにおいて、最大で緩和値まで緩和されてもよい、適用することと、
第2の目標値に向かって第2の制約を最適化するように、第2の最適化ステップを行うことであって、前記第2の最適化ステップは、前記追加的制約を最大で前記緩和値まで緩和してもよい、行うことと、を含む、請求項42に記載のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体。
【請求項46】
放射線治療計画を生成する、治療計画システムであって、
前記放射線治療計画の複数の放射線治療計画パラメータを受信する、インターフェースデバイスであって、前記複数の放射線治療計画パラメータが、放射線ビームを介して解剖学的領域に適用される放射線の特性を表す、インターフェースデバイスと、
前記解剖学的領域に方向付けられる、複数の放射線ビームの最適化された治療計画を取得するように、前記複数の放射線治療計画パラメータを連続的に最適化する前記インターフェースに連結される、処理デバイスと、を備える、治療計画システムを備える、システム。
【請求項47】
前記治療計画システムから、前記最適化された放射線治療計画を受信するように連結される、治療送達システムをさらに備え、前記治療計画システムは、前記最適化された放射線治療計画に従い、放射線ビームを適用する放射線源を備える、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記放射線源は、直線加速器(LINAC)である、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
前記LINACは、5以上の自由度を有するロボットアームに載置される、請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
前記LINACは、ジンバル式ヘッドアセンブリに載置される、請求項48に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図4D】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公表番号】特表2012−506724(P2012−506724A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533197(P2011−533197)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/055341
【国際公開番号】WO2010/047878
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
2.フロッピー
【出願人】(505172824)アキュレイ インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】