説明

泡を発生させる装置および方法

細泡を発生させる装置(1)であって、貫通した孔(5)を有する基板(3)を備え、それぞれの孔が気体流入口(7)および気体流出口(9)を備え、気体流出口の幅が気体流入口の幅よりも大きい装置(1)が開示される。前記装置を製造する方法および細泡を発生させる方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に泡を発生させる装置に関し、より具体的には、細かな泡(以後、細泡)を発生させる装置および該装置の様々な使用に関する。本発明はさらに、前記装置を製造する方法および細泡を発生させる方法を含む。
【背景技術】
【0002】
細泡の形成は、よく研究され、報告されている研究領域である。最近は、マイクロメートルレベルの直径を有する細泡を利用する様々な方法に注目が集まっており、細泡を発生させる様々な装置が提案されている。
【0003】
気泡を形成するのに使用される一般的な技法には、液体流に空気を溶解し、次いでその液体流をノズルから放出して、キャビテーションにより泡を形成する圧縮空気法、液面下に空気流を送り込み、例えば撹拌または剪断力による機械的破壊によって泡を形成する方法、超音波によってキャビテーションを誘起させる方法などがある。
【0004】
水流中に空気を導入し、羽根および空気泡ジェット流を使用した剪断力を利用することによって空気泡を発生させるシステムではしばしば、キャビテーションを発生させるためにより高い回転数を使用する必要がある。しかしながら、パワー消費量の増大および羽根の腐食、またはキャビテーションの発生に起因する振動などの問題が生じる。さらに、このような技法は、大量の細泡を発生させるには適さない。
【0005】
小さな泡が望まれているのは、小泡が、植物栽培、水耕、廃水処理などを含む多くの産業分野で利用されている優れた様々な効果を提供するためである。泡の直径を小さくして、泡の体積に対する泡の表面積を大きくし、それによって泡と周囲の液体との間の接触面積を大きくすることが有効であり、例えば、泡のサイズを小さくすると、質量移動過程をより速やかにすることができる。
【0006】
廃水処理プラントでは、廃水浄化工程の部分として、排水またはスラッジに対して曝気処理を施すことが知られている。一般に、廃水および細菌フロックを含む曝気槽の底の近くに、パイプおよび/またはホースシステムを通して空気を導入する。空気が空気泡として水面まで上昇するときに、その空気中の酸素の一部が廃水に移動し、呼吸している細菌によって消化中に消費され、この消化が、汚水の処理に役立つ。細菌に供給される酸素が多いほど消化過程は効率的になる。したがって、より小さな泡を提供し、それによって消化過程の効率をさらに高めることが望ましい。
【0007】
バイオリアクタおよび発酵槽において、曝気目的で泡を分散させる場合にも同様のことが求められる。特に、酵母製造工業では、成長し、増殖している酵母菌が、呼吸のために酸素の絶え間ない補給を必要とするという要件がある。
【0008】
しかしながら、従来型の細泡発生システム、例えば注入に基づく拡散システムを使用する曝気システムでは、細孔が提供されるときでも、圧力をかけて細孔に空気泡を注入すると、注入中の空気泡の表面張力のために、それぞれの泡の体積が膨張し、それぞれの泡の直径が数ミリメートルまで大きくなる。このような方法で直径の小さな細泡を発生させることは難しい。このような方法に関連した他の問題は、システムの効率を低下させる細孔の目詰まりである。
【0009】
小泡の他の用途は、石油がほとんど残っていない油田または石油が砂の中に閉じ込められている油田の引上げが難しい石油リザーブ(reserve)の抽出である。このような石油を含有しているリザーブに下方から気泡を通すと、重力下で泡が上昇するときに石油を持ち上げ、泡と一緒に石油を運び出す効果が生じる。この泡は水中で形成され、油井またはリザーブ内へポンプで注入され、泡がリザーブを通り抜けるときに、それぞれの泡の気体と水の界面に石油が担持される。したがって、泡が小さいほど、石油の輸送を担う相対的な表面積は大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、現時点で知られている方法よりも都合がよく効率的な方法で細泡を発生させることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一般的な認識では、泡のサイズを小さくするための唯一の要件は、そこを通り抜けると泡が形成される細孔のサイズを小さくすることである。しかしながら、いくつかの理由から、この認識は適切な考えではない。
【0012】
第1の理由は、そこを通り抜けると泡が形成される基板(substrate)材料に泡が「固定され」、ある破壊的な力によって分離するまで泡が膨張し続けることである。この力は例えば、泡ができるときに泡に加わる浮力、慣性力または剪断力である。界面張力は、表面に固定されることによって泡が保持される力を制御する。このように、考慮する必要がある3つの相互作用がある。
− 液体と固体基板の間の相互作用γls[mN/m]
− 液体と気体(すなわち空気)の間の相互作用γlg[mN/m]、および
− 固体基板と気体(すなわち空気)の間の相互作用γsg[mN/m]
【0013】
これらの力の相対的な寄与が、泡の成長の性質および泡が表面から分離する容易さを制御する。
【0014】
上記のことに加えて、泡の成長速度
【0015】
【数1】


は孔のサイズから独立しているが、下式のように表現することができる:
【0016】
【数2】

式(1)
上式で、Fは、孔を通り抜ける気体の流量、rは、泡の半径である。この式は、泡が小さいほど成長速度は速いことを含意しており、このことは、直径30ミクロンの単一の孔を通した泡の急速な成長を示す図1に明らかに示されている。
【0017】
穿孔された材料または焼結材料の表面において泡はほぼ瞬時に形成されることが観察された。気体泡が孔から液体中へ出て行くとき、泡の形状は、図1に示すような半径(r)、高さ(h)の球形のキャップになると仮定される。したがって泡の体積は下式によって与えられる。
【0018】
【数3】

式(2)
【0019】
2等分コード(bisecting cord)間には、式(2)を以下のように単一の変数hに変換することを可能にする幾何学的関係が存在する。
【0020】
【数4】

式(3)
【0021】
差圧ΔP=P−Pが一定であるとした場合、泡の体積成長速度dV/dtは、孔を通過する気体の流量Fに等しい。微分恒等式は以下のとおりである。
【0022】
【数5】

式(4)
【0023】
式(4)を使用して、泡の1次成長速度を与えることができる。
【0024】
【数6】

式(5)
【0025】
式(5)の数値解は、図2に示すような泡の半径の成長速度を与える。図2に示す分析は、穿孔された材料または焼結材料の表面で泡がほぼ瞬時に形成するとの観察と一致している。0.01秒のうちに初期条件r=15μmから半径250μm(直径0.5mm)まで成長しており、泡の半径は極めて急速に成長することが分かる。その後、成長速度は比較的に一定である。したがって、式(5)の解も観察と一致する。
【0026】
ヤング−ラプラス(Young−Laplace)の式から、泡の内部の最大圧力ΔPは、泡がその最小半径rにあるときに達成されることが分かっている。
【0027】
【数7】

式(6)
上式で、γは、液/気界面の界面張力である。
【0028】
泡の半径が最小になるのは、泡が、泡が通過する孔と同じ半径の半球であるときであり、したがって、この半球は泡内の最大圧力点を構成し、この最大圧力点は、ブレークスルー圧力(break−through pressure)として知られている。
【0029】
泡があまりに大きくなる前に、泡を基板の表面から液体中へ移す手段および方法を提供することが望ましい。例えば、直径100ミクロン以下、好ましくは直径50ミクロン以下の細泡を発生させることが望ましいことがある。
【0030】
以下の説明から、本発明が、知られている技法に関連した欠陥にどのように対処し、これまで企図されていないか、または知られている構造によっては不可能な多数の追加の利点をどのように提供するのかが明らかになる。
【0031】
本発明の発明者は、泡のブレークスルー圧力に到達したときに空気の流れ(F)を止めることができれば、孔の中の残留圧力は泡を小さなサイズにしか膨張させず、続いて、流れを再開する前に泡を表面から引き離すことができると仮定した。
【0032】
細孔内には、泡を送給する深さδ、半径rの空気だめが形成されることになる。ボイルの法則から、初期状態および泡ブレークスルー(添字「0」)と最終状態(添字「1」)を、下式のように関係付けることができる。
=p 式(7)
【0033】
初期状態および最終状態における体積は下式によって与えられる。
【0034】
【数8】

式(8)
【0035】
潜在的な泡サイズは、式(6)、(7)および(8)を結合することによって決定することができ、単純化は、不完全(depressed)3次式の形態の以下の関係を与える。
2r−(3δr+r)r+3δr=0 式(9)
上式で、δは、孔の長さ/深さ(すなわち基板の厚さ)、rは、泡が形成される孔の半径、rは、最終的な泡のサイズである。
【0036】
式(9)の解は、値rおよびδに明らかに依存する。典型値r=15μm、δ=70μmに対して、式(9)の解はr=30μmを与え、これは、孔のサイズの2倍だが、所望の範囲に含まれる泡である。表1は、平衡に達したときに泡が形成される解の範囲を与える。これらの最終的な値は全て、大量に形成される場合に良好な質量移動を提供するであろうサイズを有する。
【0037】
【表1】

【0038】
本発明の発明者は、泡のブレークスルー点において気体の流れを止める手段を検討した。一般的な多孔要素には数万個の孔があるため、それぞれの孔の中の流れを個別に止めることは、ひどく複雑なことのように思われる。
【0039】
いくつかの代替経路が考えられ、それには以下のものが含まれる。
− 振動気体流またはパルス気体流
− スピーカなどの音波周波数アクチュエータを使用して、圧力の山および谷を生じさせる方法
− 気体が流れるときに孔の後部を開閉する可撓性の膜
− オリフィスプレート(orifice plate)を使用して、成長膨張段階中に流れを絞る方法
【0040】
したがって、本発明の第1の態様によれば、細泡を発生させる装置であって、貫通した孔を有する基板を備え、それぞれの孔が気体流入口および気体流出口を備え、気体流出口の幅が気体流入口の幅よりも大きく、平均気体流入口幅が約2から10ミクロンの範囲にあり、かつ/または平均気体流出口幅が約5から100ミクロンの範囲にあり、かつ/または流入口直径が流出口直径の1/10から1/5である装置が提供される。
【0041】
流出口のサイズが流入口のサイズよりも大きい、流れを絞る目的のオリフィスを使用すると、求めている特性が得られることが分かった。ブレークスルー圧力を超えて泡が膨張すると、オリフィスの絞りによって空気の供給が制限され、そのため、式(1)の流れの項(F)は小さくなり、その結果、泡の成長速度は減速される。このようにすると、同時に大量の細泡を発生させる能力を保持しつつ、同時に泡サイズを最小化する方法が提供される。この装置の複雑さは、細泡を発生させる支配的な技法としてキャビテーションを使用する装置など、知られている装置の複雑さよりもはるかに小さい。
【0042】
この装置に関して、それぞれの孔の断面形状を、円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形および十角形の中から選択された1つの形状とすることができる。もちろん、本発明の機能の達成に際しては、他の幾何形状が等しく有効であることもあることが理解される。いくつかの実施形態では、細泡を発生させる際に円形の断面が特に有効である。
【0043】
この装置は多孔部材とすることができ、または多孔部材とみなすことができる。この多孔部材は、酸化還元燃料電池、特に酸化還元燃料電池用の再生システムなどの用途で利用することができる。
【0044】
気体流出口の幅を気体流入口の幅よりも1桁大きくすることができる。流出口直径は一般に、所望の泡の直径の半分の直径よりも小さくすることができる。流入口直径は、気体流を絞るのに足る十分に小さなものにすべきである。この効果は、流入口直径が流出口孔の直径の1/10(0.1)から1/5(0.2)であるときに特によく現れる。直径2ミクロンから10ミクロンの範囲の気体流入口幅および直径20ミクロンから50ミクロンの範囲の気体流出口幅が特に有効である。孔があけられた表面を横切る幾何形状の一貫性が、装置の有効な性能にとって決定的に重要であることがあり、したがって、変動が10%以下であることが好ましく、より具体的には、変動が1%未満であることがより望ましいことがある。
【0045】
気体流入口から気体流出口に向かって、孔のテーパを一定とすることができる。液−固界面張力によっては、孔の形状が孔への液体の進入を防ぐことがある。例えば、開いた円錐形の構造を有する疎水性基板が、液体の進入を望ましく防ぐことがある。
【0046】
気体流入口から気体流出口に向かって、孔のテーパを不定とすることができる。
【0047】
基板上の孔密度は400から10000孔/cmの範囲にすることができる。孔密度は、圧力降下と泡の合体との間の釣合いである。孔の詰込み密度が高いときには、泡発生の頻度が高いほど、泡は合体しやすくなる。正方形のピッチを使用するときには、孔密度を1000から2500孔/cmにすると特に有利なことがある。泡の分離を最大にするために食違いピッチ(stagger pitich)も使用した。六角形ピッチおよびその他のピッチが有効であった。もちろん、本発明の機能の達成に際しては、他の幾何学的ピッチが等しく有効であることもあることが理解される。
【0048】
基板の厚さは20から1000ミクロンの範囲にすることができる。空気だめが増大するため、基板の厚さは、最終的な泡の直径に影響を与える。好ましい範囲が50から100ミクロンであることがある。もちろん、本発明の様々な用途においては、他の厚さの基板の方がより適していることがあることが理解される。
【0049】
気体流出口幅は所望の泡サイズの幅の約半分とすることができ、所望の泡サイズは50から100ミクロンの範囲とすることができる。
【0050】
基板は、孔の気体流出口の方に活性表面を有することができる。この活性表面は、泡がその中で分散する液相と接触する表面である。形成中の泡の下に液体が有利に流れ込み、泡を表面から持ち上げ、それによって細泡の発生を強化するため、液相を引きつける活性表面、例えば水性液体の場合には親水性の表面を有することは、小さな泡を発生させるのに有利である。
【0051】
泡が形成される表面が濡れていることが重要なことがある。そのため、活性表面の少なくとも一部分を親水性材料から形成し、または親水性材料で覆うことができる。親水性の表面は、液体が、泡が成長するときに泡の下に「入り込んで」、泡を持ち上げ、したがってより小さな泡を発生させることを可能にする。
【0052】
孔の気体流入口の方の表面の少なくとも一部分を疎水性材料から形成し、または疎水性材料で覆うことができる。それに加えて、またはその代わりに、孔の内部の少なくとも一部分を疎水性材料で覆ってもよい。疎水性材料は濡れず、そのため、装置が、気体圧力がかかった作動状態にないときに、孔内または気体側への液体の進入が妨げられ、最小のブレークスルー圧力要件での迅速な始動を可能にする。
【0053】
基板は細長い部材とすることができる。酸化還元燃料電池内のカソード液の再生などの用途には、細長い部材が特に適していることがある。
【0054】
気体流出口は、活性表面から突き出したリップ(lip)を備えることができる。このリップは、液体流の薄層状の境界層内において出てきた泡をより高く持ち上げ、剪断応力を増大させて、固体基板から泡を分離する役目を果たすことができる。もちろん、基板を可撓性にすることもできる。可撓性の基板は、基板の泡分離能力を向上させることがある。
【0055】
この装置は、焼結ガラス粉末または焼結金属粉末、プラスチック、多孔膜、メッシュ(mesh)、およびドリルまたは穿刺によって孔をあけたシートのうちの1つまたは複数を備えることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、この装置が、ステンレス鋼箔および/またはポリイミドフィルムを備えることが好ましい。これらの材料は、本発明の意図された機能に適した能力/特性を有する薄いシート/基板として容易に形成することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、気体流入口から気体流出口へ向かうテーパの角度がそれぞれの孔の縦軸に対する角度であり、約6°から26°、好ましくは約10°から15°の範囲にある。このような角度は、オリフィスの直径と相まって、泡の形成に使用可能な気体だめを制限することにより、泡サイズの形成の優れた制御を提供する。
【0058】
それぞれの孔が円錐台形であると特に有利なことがある。
【0059】
第2の態様では、本発明が、細泡を発生させる装置を製造する方法であって、
− 基板を用意するステップと、
− 基板の所定の位置に所定の幅の孔をあけるステップと
を含む方法を含む。
【0060】
基板内における孔の位置の選択が、基板表面での泡の合体を防ぐのに重要なことがある。うまく設計された分布パターンは、形成過程中に別の泡が衝突することなく、泡が形成され、液体中へ放出されることを可能にする。孔のランダム分布が、設計された制御のこのレベルを必ず可能にするとは限らない。
【0061】
基板に孔をあけるステップはレーザを使用することを含むことができる。レーザは、孔の位置およびサイズに関して正確な孔を基板にあける方法を提供する。これは、レーザ加工を使用してマスタテンプレートを形成し、次いで電気めっきまたは電着によりスパージ(分散)要素(sparge element)を大量生産することによって実施することができる。
【0062】
第3の態様では、本発明が、細泡を発生させる方法であって、
− 請求項1から25のいずれかに記載の(または本明細書に定義された)装置を用意するステップと、
− それらの孔に液体を供給するステップと、
− それぞれの孔の気体流入口から孔の中に気体を送給するステップと
を含む方法を予見する。
【0063】
いくつかの実施形態では、孔を横切って液体を供給して、液体の流れを生じさせることが好ましい。これによって、結果として生じる泡のサイズを大幅に小さくすることができる。液体流によって提供される形成中の泡の粘性抗力は、気体と液体の間の浮力よりもかなり大きな力である。この粘性抗力は、界面張力による接着により迅速に打ち勝ち、そのため、より小さな泡が形成される。
【0064】
以上に記載した泡を発生させる装置は様々な用途を有し、特に有効な用途は、例えば酸化還元燃料電池用のカソード液再生システムでのこの装置の使用である。
【0065】
間接燃料電池または酸化還元燃料電池では、酸化剤(および/または場合によっては燃料)が、電極のところでは直接に反応せず、その代わりに還元型(燃料では酸化型)の酸化還元対(redox couple)と反応して、酸化還元対を酸化させ、この酸化された種がカソードに送給される。
【0066】
酸化還元対を酸化させるこのステップにはいくつかの制約がある。カソードを流れるカソード液の流量が低下するとエネルギー生産速度が低下するため、酸化還元対の酸化はできるだけ迅速に行われるべきである。酸化還元対の酸化が可能な限り完全でない場合、すなわち酸化還元対のかなりの割合が酸化されずに残っている場合にも、エネルギー生産速度は低下する。カソード液中に存在する酸化還元対を迅速かつ完全に酸化させる装置を提供することは、酸化ステップが実施されるときに消費されるエネルギーが比較的に小さくなることを保証することが必要であり、これが保証されない場合には燃料電池の全体的な発電性能が低下することから難題である。さらに、酸化還元対の酸化に使用する装置はできるだけコンパクトであるべきであり、その燃料電池が、可搬式用途または自動車用途で使用することが意図されているときには特にそうあるべきである。
【0067】
これらの相反する要件の釣合いをとる必要があることから、特に自動車用途および熱と電力の組合せにおいて、電池性能は非効率になる。
【0068】
細泡を発生させるこの装置は多孔部材とみなすことができる。
【0069】
酸化還元燃料電池の動作では、カソードと流体連通した状態で、カソード液を電池のカソード領域に流すことができる。電池の動作中に、酸化還元メディエータ(mediator)対はカソードで少なくとも部分的に還元され、カソードでのそのような還元の後に、酸化剤との反応によって少なくとも部分的に再生される。酸化還元メディエータ対のこの少なくとも部分的な再生は再生ゾーンで実施される。具体的には、多孔部材の活性表面を貫流する酸化剤と多孔部材に向かってまたは多孔部材に隣接して流れるカソード液との界面の面積は大きい。酸化還元メディエータ対の再生はこの時点で始まり、酸化剤を同伴したカソード液がこの再酸化ゾーンを通過するときに継続する。
【0070】
好ましい一配置では、多孔部材の活性表面の少なくとも一部分に対してカソード液チャネルの内部を露出するため、チャネル壁の少なくとも一部分が開いている。
【0071】
この多孔部材は、少なくとも部分的に還元された酸化還元対が少なくとも部分的に再生される、すなわち少なくとも部分的に酸化することを可能にする十分な量の酸化剤が貫流することを許す任意の多孔質材料から形成することができる。
【0072】
したがって、第4の態様によれば、本発明は、酸化還元燃料電池用のカソード液再生システムであって、チャンバ(chamber)と、電池のカソード領域から還元された酸化還元メディエータ対を受け取ってチャンバへ入れる第1の入口ポートと、酸化された酸化還元メディエータ対を電池のカソード領域に供給する第1の出口ポートと、酸化剤の供給を受け取る第2の入口ポートと、気体、水蒸気および/または熱を前記チャンバから排出する第2の出口ポートと、第1の入口ポートと流体連通したカソード液チャネルと、活性表面を有する請求項1から25のいずれかに記載の(または本明細書に定義された)装置とを備え、カソード液チャネルが、活性表面に隣接してまたは活性表面に向かってカソード液の流れを導くように配置されているカソード液再生システムを企図する。
【0073】
この装置は、平均直径が5から100ミクロン、好ましくは20から50ミクロンの孔を備えることができる。
【0074】
「カソード領域」は、膜電極アセンブリのカソード側によって片側が境界された電池の部分を言う。その代わりに、またはその上に、「カソード領域」を、電池の動作中に流れているカソード液の少なくとも一部が膜電極アセンブリのカソード側と接触する電池の部分と考えることもできる。
【0075】
同様に、「アノード領域」は、膜電極アセンブリのアノード側によって片側が境界された電池の部分を言う。
【0076】
細泡発生装置(多孔部材)の性能を強化するために、装置を貫流する酸化剤の表面積が最大になるように装置を特に形成し、または改変することができる。例えば、小さな/細かな気泡の放出を促進するように、細孔(孔)の位置およびサイズを制御することができる。さらに、多孔部材に向かってまたは多孔部材を通り過ぎて流れるカソード液/液体の流れは、小泡が成長するだけの時間が経過する前に小泡を放出させる。新しいカソード液が多孔部材の活性表面と接触することを可能にするため、泡が迅速に除去されることは有利である。
【0077】
平均泡サイズ直径は一般に1から1000ミクロンの範囲にある。形成される泡のサイズは小さいことが好ましく、例えば直径150ミクロン以下または直径1から100ミクロンであることが好ましく、直径25から50ミクロンであることが最も好ましい。これらの好ましい範囲に収まる平均直径を有する泡の流れを得るためには、標的泡直径の1/3から1/10の直径を有する細孔を形成すべきである。
【0078】
泡の迅速な除去は、多孔部材の表面を親水性材料で覆うか、または多孔部材の活性表面を親水性材料から形成することにより多孔部材の表面を親水性にすることによっても促進される。多孔部材の活性表面に親水性材料が存在することによって、形成された泡は、疎水性表面からよりも容易に放出される。このような材料は、46ダイン/cmよりも大きな表面エネルギーを有することが好ましく、ヒドロキシル基などの親水基を含むことができる。このような材料の一例がアセテートレーヨンである。それに加えて、またはその代わりに、許容可能な親水特性は、金属表面を処理することによっても得ることができる。このような処理された金属表面には、焼鈍し処理したオーステナイト系ステンレス鋼、レーザ被覆またはプラズマ被覆したステンレス鋼、酸化物または窒化物によって改質された表面コーティングなどがある。
【0079】
酸化剤の貫流を妨げるため、すなわちカソード液の酸化速度が低下するため、多孔部材へのカソード液の進入は好ましくないことがあることが理解される。この問題を解決するため、多孔部材を疎水性の材料から形成し、カソード液チャネルに対して露出した表面に親水性のコーティングを施すことができる。多孔部材を形成することができる疎水性材料の例には、ポリテトラフルオロエチレン、ハロゲン化有機ポリマー、シリコーンポリマー、およびポリテン、ポリプロピレンなどの炭化水素ポリマーなどがある。それに加えて、またはその代わりに、細孔の最大サイズを、酸化剤が多孔部材内を貫流していないときであっても、カソード液の表面張力が、カソード液が多孔部材に進入することを防ぐような十分に小さいものにすることもできる。
【0080】
多孔部材の細孔、特に多孔部材の活性表面の細孔は、当業者に知られている任意の技法を使用して形成することができる。好ましい実施形態では、細孔が、レーザ加工または電鋳によって形成される。
【0081】
カソード液中の酸化還元対が少なくとも部分的に再生される限り、カソード液チャネルおよび多孔部材はどのように配置してもよい。
【0082】
1つの配置では、多孔部材が細長い部材である。好ましい一実施形態では、多孔部材が実質的に円筒形または管形である。本発明の燃料電池では1つまたは複数の多孔部材を使用することができる。
【0083】
あるいは、カソード液チャネルは、多孔部材の周囲に巻きつけた管として、または多孔部材と同軸のチャネルとして、または多孔部材の周囲の環として提供することができる。このような配置では、チャネル壁の実質的に全長に沿って、またはチャネル壁の長さの一部分に沿ってチャネル壁を開いて、カソード液チャネルの内部を多孔部材の活性表面の部分に対して露出させることができる。酸化剤は、多孔部材の内部に正圧で供給して、酸化剤が多孔部材の外面を貫流し、カソード液チャネルに入るようにする。
【0084】
代替配置では、多孔部材の中にカソード液チャネルが形成される。カソード液チャネルは直線状とし、または螺旋形とすることができる。これらの配置では、多孔部材の内面に多孔部材の活性表面が提供され、酸化剤は、多孔部材を内側へ貫流し、内部の活性表面を通り抜け、カソード液チャネルに入る。
【0085】
ある種の実施形態、最も好ましくは、多孔部材の周囲の全体ではないにしても多孔部材の周囲の大部分に沿って、カソード液チャネルの内部が多孔部材の活性表面に対して露出した実施形態では、活性表面に対するカソード液の露出を最大にし、したがって酸化還元対の酸化を最大にするために、燃料電池の再生ゾーンがカソード液回転手段を備えることが好ましい。チャネル内をカソード液が螺旋状に流れるように、この回転手段は、オフセットされた液体流入口を備えることができる。それに加えて、またはその代わりに、この回転手段は、例えば渦巻状の突起によってチャネル内に回転流を生じさせる進路変更部材を備えることができる。
【0086】
他の配置では、再生ゾーンが、チャンバの1つまたは複数の壁を画定する全体に平らな多孔部材を備える。カソード液チャネルを出たカソード液流が、多孔部材の活性表面の少なくとも一部分に向かって導かれ、その部分を通り過ぎて流れることが保証されるように、カソード液チャネルの開端を配置する。これは、カソード液チャネルの開端を平らな多孔部材に実質的に隣接して配置し、またはカソード液チャネルの開端を多孔部材の方に向けて、多孔部材からわずかに離して配置することによって達成することができる。
【0087】
再生ゾーンを通過するカソード液の流量は比較的に大きいことが好ましい。好ましい一実施形態では、多孔部材の活性表面と接触し、または多孔部材の活性表面に隣接して多孔部材の活性表面を通り過ぎるときのカソード液の流量が少なくとも約0.2m/秒である。特に好ましい実施形態では、多孔部材の活性表面と接触し、または多孔部材の活性表面に隣接して多孔部材の活性表面を通り過ぎるときのカソード液の流量が約0.5から約1.5m/秒である。
【0088】
多孔部材(装置)を通してカソード液内へ空気を分散させるとカソード液中に泡が導入され、あぶくが形成されることもある。この空気(酸化剤)の細泡は、酸素の移動および液体触媒/メディエータ系の所望の酸化を促進する大きな表面積を提供する。
【0089】
所与の反応量を得るのに接触体積がより小さくて済み、そのため、より小さくより可搬性に優れた再生器を構築することができるため、この装置は、再生システムにおいて有利に使用することができる。
【0090】
第5の態様によれば、本発明は、細泡を発生させる際の請求項1から25のいずれかに記載の装置の使用を提供する。
【0091】
第6の態様によれば、本発明は、酸化還元燃料電池のカソード液再生システムでの請求項1から25のいずれかに記載の装置の使用を含む。
【0092】
第7の態様によれば、本発明は、酸素の小泡で汚水を処理する際の請求項1から25のいずれかに記載の装置の使用を企図する。
【0093】
第8の態様によれば、本発明は、酸素の小泡で酵母菌を成長させ、増殖させる際の請求項1から25のいずれかに記載の装置の使用を予見する。
【0094】
第9の態様によれば、本発明は、二酸化炭素の小泡で飲料を炭化する際の請求項1から25のいずれかに記載の装置の使用を提供する。
【0095】
第10の態様によれば、本発明は、石油を含有しているリザーブを小泡が通り抜けるときに、それぞれの小泡の気体と液体の界面に石油が担持されるような態様で、石油を含有しているリザーブから石油を取り出す際の請求項1から25のいずれかに記載の装置の使用を含む。
【0096】
次に、添付図面に示した本発明の様々な実施形態を、添付図面を参照して、単なる例として、より具体的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】伝統的な形状の孔から出てきた気体泡の略図である(先行技術)。
【図2】固定送給流(7μl/秒)および直径30μmの孔サイズでの泡の成長を示すグラフである。
【図3】本発明の一実施形態を、円錐形の孔を通した泡の形成の略図(側面図)および記述式の形で示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に従って形成された装置の平面図である。
【図5】レーザ入口(気体流出口)から見た基板に形成された孔の平面図である。
【図6】レーザ出口(気体流入口)から見た基板に形成された孔の平面図である。
【図7】静水中での細泡の形成を示す写真である。
【図8】生じさせた液体による細泡の形成を示す写真である。
【図9】ポリオキソメタラート(polyoxometalate)中での本発明を使用した泡の形成を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0098】
図3を参照すると、円錐形の孔を通した泡の形成の略図(側面図)および記述式が示されている。本発明の発明者は、円錐台として形成された孔によって流れを絞るオリフィスを使用すると、本発明に基づく求めている特性が得られることを見出した。ブレークスルー圧力を超えて泡が膨張すると、オリフィスの絞りによって空気の供給が制限され、そのため、式(1)の流れの項(F)は小さくなり、成長速度は減速される。図3に、ブレークスルー点の略図が、オリフィスを通過する流量および泡の成長速度に対する記述式とともに示されている。それらの式中の記号は以下のとおりである。
F=気体の流量=泡の体積の変化率=dV/dt
=気体流入口の孔の半径
=泡の半径
=気体流出口の孔の半径
=流入口の気体圧力
=泡の内圧
ΔP=オリフィスの圧力降下
ΔP=泡の内外の圧力降下=内圧−外圧
ΔP=液体流の圧力降下
=液体流の特性寸法
R=パイプ流の半径
d=パイプ流の直径
=オリフィスの流量係数(discharge coefficient)
t=時間
dU/dy=液体の歪み速度(rate of strain)=速度プロファイル
=オリフィスの断面積
ρ=気体密度
γ=界面張力
τ=粘性剪断応力
μ=液体の粘度
π=3.1415927
【0099】
実用的なスパージ(分散)プレート(装置)として本発明を具体化するため、上記の設計式を使用して、円錐台にあけた入口および出口のサイズならびに結果として生じる空気の流量を計算した。典型的な値を下表2に示す。
【0100】
【表2】

【0101】
本発明の発想を立証するための試験片を、レーザドリリング技法を使用して70μmの316ステンレス鋼箔から形成した。ドリリング技法の一部として、レーザ入口側、すなわち孔の気体流出口側に4μmのリップを形成した。気体流出口側の周囲のこのリップは、液体流の薄層状の境界層内において泡をより高く持ち上げ、剪断応力を増大させて、固体基板から泡を分離するため、有利である。
【0102】
図3は、細泡を発生させる装置の側面図を示す。この装置は、全体が(1)で示されており、貫通した少なくとも1つの孔(5)を有する細長い基板(3)を備え、孔(5)は、気体流入口(7)および気体流出口(9)を備え、気体流出口(9)の幅は気体流入口(7)の幅よりも大きい。
【0103】
孔(5)の構造は円錐形であり、孔(5)は、気体流入口(7)から気体流出口(9)まで延びる傾斜した壁(11)を有する。この実施形態では、勾配(孔のテーパ)が一定である。図3の略図では、壁(11)が、孔(5)の縦軸に対して15°傾いている。
【0104】
空気が孔(5)を通過すると、孔(5)の気体流出口(9)側に泡(13)が形成される。
【0105】
図4を参照すると、図の装置(1)の平面図が示されている。装置(1)は、316ステンレス鋼から形成された基板(3)を備える。基板(3)は36個の孔(5)を備え、孔(5)のサイズはそれぞれ50ミクロンである。この図の尺度は一様ではない。孔(5)は6×6の正方形のパターンに配置されている。
【実施例】
【0106】
レーザドリルによって孔をあけたステンレス鋼板の10mm×10mmの切片を使用して、本発明の実用的な実施形態を試験した。この切片をアクリルブロックに取り付け、アクリルブロックに対してシールし、調節された空気を供給した。試験片の入口孔および出口孔をSEMを使用して調べた。図5および6を参照されたい。気体入口(流入口)孔は3.3μm、気体出口(流出口)孔は19.1μmであった。
【0107】
この試験板を水平に取り付けた。試験板の送給部(小孔)に250ミリバールの空気圧を与え、表面を覆うために蒸留水を加えた。泡の形成が観察され、その写真を撮影した。泡は表面に集積し、合体した。蒸留水の洗浄瓶を使用して孔を横切る水流を生じさせた。この場合も泡の形成が観察され、その写真を撮影した。水流を生じさせるとはるかに細かな泡が観察された。
【0108】
これらの実験を、還元されたポリオキソメタラート(0.3M溶液)を使用して繰り返した。
【0109】
相対的な拡大縮小を使用した図7および8に示した写真から、水流を生じさせたときの泡の直径は50μm程度であると推定された。図7では、水面で水泡が壊れており、水面よりも上に微小な水滴を見ることができる。図8ではさらに、1mmの表面泡を見ることができる。
【0110】
図9に示した写真から、POMを用いた測定は、直径75μmから100μm程度のより大きな泡を示した。しかしながら、POMの不透明な性質のため、表面の泡だけを観察することができ、それらの泡は、水を用いた実験と一致していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細泡を発生させる装置であって、貫通した孔を有する基板を備え、それぞれの孔が気体流入口および気体流出口を備え、前記気体流出口の幅が前記気体流入口の幅よりも大きく、平均気体流入口幅が約2から10ミクロンの範囲にあり、かつ/または平均気体流出口幅が約5から100ミクロンの範囲にあり、かつ/または流入口直径が流出口直径の1/10から1/5である装置。
【請求項2】
それぞれの孔の断面形状が、円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形および十角形の中から選択された1つの形状である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
多孔部材である、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記気体流出口の幅が前記気体流入口の幅よりも1桁大きい、請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記孔のテーパが、前記気体流入口から前記気体流出口に向かって一定である、請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記孔のテーパが、前記気体流入口から前記気体流出口に向かって不定である、請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記基板上の孔密度が400から10000孔/cmの範囲にある、請求項1から6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記基板が正方形のピッチを有し、前記基板上の孔密度が1000から2500孔/cmの範囲にある、請求項1から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記基板の厚さが約20から1000ミクロンの範囲にある、請求項1から8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記基板の厚さが約50から100ミクロンの範囲にある、請求項1から9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記気体流入口幅が、気体流出口幅の約0.1から0.2倍の範囲にある、請求項1から10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記平均気体流出口幅が約20から50ミクロンの範囲にある、請求項1から11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記気体流出口および/または気体流入口の幅の変動が、前記基板の全長を横切って10%以下、好ましくは1%未満である、請求項1から12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記気体流出口幅が所望の泡サイズの幅の約半分であり、好ましくは、所望の泡サイズが50から100ミクロンの範囲にある、請求項1から13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記基板が、前記孔の前記気体流出口の方に活性表面を有する、請求項1から14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
前記活性表面の少なくとも一部分が親水性材料から形成されており、または親水性材料で覆われている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記孔の前記気体流入口の方の表面の少なくとも一部分が疎水性材料から形成されており、または疎水性材料で覆われている、請求項1から16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
前記孔の内部の少なくとも一部分が疎水性材料で覆われている、請求項1から17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
前記基板が細長い部材である、請求項1から18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
前記気体流出口が、前記活性表面から突き出したリップを備える、請求項15から19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
焼結ガラス粉末または焼結金属粉末、プラスチック、多孔膜、メッシュ、およびドリルまたは穿刺によって孔をあけたシートのうちの1つまたは複数を備える、請求項1から20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
ステンレス鋼箔および/またはポリイミドフィルムを備える、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
それぞれの孔の断面形状が円形であり、前記気体流入口および気体流出口の幅が前記気体流入口および気体流出口の直径である、請求項1から17のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
前記気体流入口から前記気体流出口へ向かうテーパの角度がそれぞれの孔の縦軸に対する角度であり、約6°から26°、好ましくは10°から15°の範囲にある、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
それぞれの孔が円錐台形である、請求項23または請求項24に記載の装置。
【請求項26】
細泡を発生させる装置を製造する方法であって、
− 基板を用意するステップと、
− 前記基板の所定の位置に所定の幅の孔をあけるステップと
を含む方法。
【請求項27】
前記基板に孔をあける前記ステップがレーザを使用することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
細泡を発生させる方法であって、
− 請求項1から25のいずれかに記載の装置を用意するステップと、
− 前記孔に液体を供給するステップと、
− それぞれの孔の前記気体流入口から前記孔の中に気体を送給するステップと
を含む方法。
【請求項29】
前記孔を横切って前記液体を供給して、前記液体の流れを生じさせる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
酸化還元燃料電池用のカソード液再生システムであって、チャンバと、前記電池のカソード領域から還元された酸化還元メディエータ対を受け取って前記チャンバへ入れる第1の入口ポートと、酸化された酸化還元メディエータ対を前記電池のカソード領域に供給する第1の出口ポートと、酸化剤の供給を受け取る第2の入口ポートと、気体、水蒸気および/または熱を前記チャンバから排出する第2の出口ポートと、前記第1の入口ポートと流体連通したカソード液チャネルと、活性表面を有する請求項1から25のいずれかに記載の装置とを備え、前記カソード液チャネルが、前記活性表面に隣接してまたは前記活性表面に向かってカソード液の流れを導くように配置されているカソード液再生システム。
【請求項31】
前記装置が、平均直径約5から100ミクロンの孔を備える、請求項30に記載のカソード液再生システム。
【請求項32】
前記装置が、平均直径約20から50ミクロンの孔を備える、請求項30または請求項31に記載のカソード液再生システム。
【請求項33】
前記活性表面の少なくとも一部分が親水性材料から形成されており、または親水性材料で覆われている、請求項30から32のいずれかに記載のカソード液再生システム。
【請求項34】
前記活性表面を除く前記装置の少なくとも一部分が疎水性材料から形成されている、請求項30から33のいずれかに記載のカソード液再生システム。
【請求項35】
細泡を発生させる際の請求項1から25のいずれかに記載の装置の使用。
【請求項36】
酸化還元燃料電池のカソード液再生システムでの請求項1から25のいずれかに記載の装置の使用。
【請求項37】
酸素の小泡で汚水を処理する際の請求項1から25のいずれかに記載の装置の使用。
【請求項38】
酸素の小泡で酵母菌を成長させ、増殖させる際の請求項1から26のいずれかに記載の装置の使用。
【請求項39】
二酸化炭素の小泡で飲料を炭化する際の請求項1から25のいずれかに記載の装置の使用。
【請求項40】
石油を含有しているリザーブを小泡が通り抜けるときに、それぞれの小泡の気体と液体の界面に石油が担持されるような態様で、石油を含有している前記リザーブから石油を取り出す際の請求項1から25のいずれかに記載の装置の使用。
【請求項41】
細泡を発生させる装置であって、本明細書に実質的に定義され、図3から9に関し、図3から9に示された装置。
【請求項42】
細泡を発生させる装置を製造する方法であって、本明細書に実質的に定義され、図3から9に関し、図3から9に示された方法。
【請求項43】
細泡を発生させる方法であって、本明細書に実質的に定義され、図3から9に関し、図3から9に示された方法。
【請求項44】
酸化還元燃料電池用のカソード液再生システムであって、本明細書に実質的に定義され、図3から9に関し、図3から9に示されたシステム。
【請求項45】
細泡を発生させる際の請求項1から25のいずれかに記載の装置の使用であって、本明細書に実質的に定義され、図3から9に関し、図3から9に示された使用。
【請求項46】
酸化還元燃料電池のカソード液再生システムでの請求項1から25のいずれかに記載の装置の使用であって、本明細書に実質的に定義され、図3から9に関し、図3から9に示された使用。
【請求項47】
酸素の小泡で汚水を処理する際の請求項1から25のいずれかに記載の装置の使用であって、本明細書に実質的に定義され、図3から9に関し、図3から9に示された使用。
【請求項48】
酸素の小泡で酵母菌を成長させ、増殖させる際の請求項1から25のいずれかに記載の装置の使用であって、本明細書に実質的に定義され、図3から9に関し、図3から9に示された使用。
【請求項49】
二酸化炭素の小泡で飲料を炭化する際の請求項1から25のいずれかに記載の装置の使用であって、本明細書に実質的に定義され、図3から9に関し、図3から9に示された使用。
【請求項50】
石油を含有しているリザーブを小泡が通り抜けるときに、それぞれの小泡の気体と液体の界面に石油が担持されるような態様で、石油を含有している前記リザーブから石油を取り出す際の請求項1から25のいずれかに記載の装置の使用であって、本明細書に実質的に定義され、図3から9に関し、図3から9に示された使用。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−521112(P2013−521112A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555493(P2012−555493)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【国際出願番号】PCT/GB2011/050411
【国際公開番号】WO2011/107795
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(512227074)アカル エネルギー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】