説明

波動式圧迫型循環促進装置用気密袋

【課題】軽量で柔軟性を有し、伸び抵抗性が大きく、かつ、吸汗や汚れを回避できる波動式圧迫型循環促進気密袋及び該気密袋を用いる波動式圧迫型循環促進装置を提供する。
【解決手段】厚さが40〜150μmのフイルムであって、弾性率が1.2〜6.0×10kg/cmであり、かつ、メルトフローレートが0.2〜8.0g/10分であるポリエチレン系樹脂のフィルムを用いた波動式圧迫型循環促進装置用気密袋。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、波動式圧迫型循環促進装置に用いる波動式圧迫型循環促進気密袋及び波動式圧迫型循環促進装置に関する。さらに詳しくは、手足や体内深部の血流や分泌液の流れを促進し、浮腫や血栓の生成を防止する波動式圧迫型循環促進装置に用いる波動式圧迫型循環促進気密袋及び波動式圧迫型循環促進装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
血液や分泌液の循環は心臓による拍動のみならず、歩行や運動などによる筋肉の収縮、弛緩によって液の流れが促進されている。このため、病床での療養や、骨折や手術などで行動を制限されると、手足や体内深部の血流や分泌液の流れが次第に悪くなり、循環器系に障害を起こし、浮腫や血栓の生成により体内各器官に深刻な損傷を起こすことになる。従ってこのような患者には、補助的に外部からの圧迫刺激やマッサージが必要になる。人手を使用せずにできるため、患部に巻いた気密袋に空気の圧入と放出とを繰り返して圧迫刺激を与える波動式圧迫型循環促進装置が多用されている。また、長時間着座のまま仕事をすると、手足を動かすことができない状態が継続するため、一時的な障害として、やはり手足や体内深部の血流や分泌液の流れが次第に悪くなり、循環器系に障害を起こすことが知られている。例えば、長距離飛行のパイロットは、この障害を回避するために、ショックトラウザーと呼ばれる波動式圧迫型循環促進装置を使用するのが効果的である。
従来から使用されている波動式圧迫型循環促進装置は、防水加工され気密性であり、伸張荷重に対して伸び抵抗性の大きい2枚の織布または不織布からなる波動式圧迫型循環促進気密袋(一般にカフと呼ばれている)を使用するものであり、浮腫の症状の現れた患部を巻き囲み、このカフに空気を圧入する加圧と放出による落圧とを繰り返すものであった。カフの布地には感触性の点から伸張性の少ないラシャ布地や織地に防水加工や植毛をしたものが多用されてきた。従来のカフ布地には、例えば、米国ACIメディカル社製ナイロントリコット、エム・シー・メディカル社輸入補強織布材カフ、英国ハントレーヘルスケア社製補強織布材カフ、興国化学社製ポリエステル織布/軟質塩化ビニル複合品、岡本技研社製軟質塩化ビニルにナイロン植毛品などがある。しかしながら、このようなカフ布地は、使用当初は快適な肌触り感を与えるものであるが、吸汗による重量増、持続使用による汚れや悪臭を発生する欠点がある。また、洗浄時の取り扱いの難しさや、剛直性による介護者への負担も難点となっている。さらに、患者が装着したままの状態で長時間経過すると、皺が発生し、この皺によって患部の均一な圧迫ができず、また、この皺の押し跡が皮膚に残り苦痛を与える欠点があった。
さらに加えて、従来の布地によるカフの製作には、積層のための縫製や融着加工の工程が必要であるため、大量生産の阻害要因になってきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、軽量で柔軟性を有し、伸び抵抗性が大きく、かつ、吸汗や汚れを回避できる波動式圧迫型循環促進気密袋及び該気密袋を用いる波動式圧迫型循環促進装置を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果、特定の性質を有するポリエチレン系樹脂フイルムを波動式圧迫型循環促進装置の気密袋に用いることによつて、上記課題を解決できることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
(1)厚さが40〜150μmのフイルムであって、弾性率が1.2〜6.0×10kg/cmであり、かつ、メルトフローレートが0.2〜8.0g/10分であるポリエチレン系樹脂のフイルムを用いたことを特徴とする波動式圧迫型循環促進装置用気密袋、
(2)ポリエチレン系樹脂が線状低密度ポリエチレン系樹脂であることを特徴とする第1項記載の波動式圧迫型循環促進装置用気密袋、
(3)翼状突起及び肋骨状鰭部を有し、ポリエチレン系樹脂のフイルムの軟化温度より高い軟化温度の合成樹脂製の空気圧入用ノズルを熱融着によって取り付けてなることを特徴とする第1項又は第2項記載の波動式圧迫型循環促進装置用気密袋、及び
(4)空気圧入用ノズルを気密袋に取り付けるに際して、合成樹脂製の空気圧入用ノズルと気密袋用フイルムとの間に、空気圧入用ノズルの表面と接する中間層はメルトフローレートが0.2〜8.0g/10分のポリエチレン系樹脂のフイルムであり、気密袋用フイルムと接する中間層はナイロンフイルム又は不織布である複数の中間層を介在させて、合成樹脂製の空気圧入用ノズルと気密袋用フイルムとを熱融着によって取り付けてなることを特徴とする第1項又は第2項記載の波動式圧迫型循環促進装置用気密袋、
(5)連結式気密袋の仕切壁流入口の仕切壁の融着幅が3〜8mmであり、且つ、連結口端部の突出部の周囲の長さが前記融着幅の1.2倍以上であることを特徴とする第1項又は第2項記載の波動式圧迫型循環促進装置用気密袋、及び
(6)第1項、第2項、第3項、第4項又は第5項記載の気密袋を有することを特徴とする波動式圧迫型循環促進装置、を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明波動式圧迫型循環促進気密袋に用いるポリエチレン系樹脂は、柔軟であり、吸湿性がなく、気密性に優れ、引裂強度、耐伸張性、変形応力に対する反撥復元性のよいものを好適に使用することができる。さらに、超音波または高周波熔接性に優れたものを好適に使用することができる。
本発明に用いるポリエチレン系樹脂は、ポリエチレン、又は、エチレンとα−オレフィンとの共重合物を50重量%以上含有するポリエチレン系樹脂を使用することができる。
本発明に用いるポリエチレン系樹脂は、好ましくは、低密度ポリエチレン(LDPE)、中結晶化度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、又は、これらの混合物を使用することができる。
本発明に用いるポリエチレン系樹脂は、比較的短い分岐鎖のα−オレフィンを含有することによって、好適な凝集強度と柔軟性かつ強靭性を付与することができる。本発明に用いるポリエチレン系樹脂は、C4〜C8のα−オレフィンを0〜20重量%含有共重合してなる線状低密度ポリエチレン系樹脂を使用することができる。特に好ましくは、1〜12重量%含有共重合してなる線状低密度ポリエチレン系樹脂を使用することができる。
本発明に用いるポリエチレン系樹脂に含有共重合することのできるC4〜C8のα−オレフィンとしては、例えば、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などを特に好適に使用することができる。
本発明に用いるポリエチレン系樹脂は、本発明の目的を達成できるものであれば、エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPR)、エチレン・酢酸ビニル共重合体ゴム、ポリブチレンゴム、エチレン・アクリル酸エステル共重合体ゴム、水素添加スチレン・ブタジエン共重合ゴム(水添SBR)、水素添加スチレン・イソプレンゴム、ウレタンゴムなどを共用することができる。また、エチレン・α−オレフィン共重合体でプラストマーと称されるゴム状挙動を示す共重合体も共用することができる。
本発明に用いるポリエチレン系樹脂は、本発明の目的を達成できるものであれば、公知の樹脂用添加剤を使用することができる。例えば、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、クレーなどの無機質フィラーを樹脂100重量部に対して50重量部以下の量を含有することができる。これらの無機質フィラーを樹脂に添加することによって、焼却の際の発熱を抑制でき焼却炉の損傷を防ぐことができる利点がある。
また、本発明に用いるポリエチレン系樹脂と相溶性のある抗菌剤や芳香物質などを混練添加またはフイルムに塗布して使用することができる。
本発明に用いることのできる抗菌剤は、無機系抗菌剤としては、例えば、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、珪酸塩などを担体として銀、銅、亜鉛などの金属イオンを定着させた化合物や、ピリチオン亜鉛錯体、オキシキノリン銅などのキレート剤を使用することができる。混練添加用には、通常、靴下、冷蔵庫用ガスケット、台所などに使用される有機系抗菌防カビ剤を使用することができる。例えば、沃素プロピルブチルカルバゾール、ベンツイミダゾール、イソチアゾリン系(オクチノリン)、ピリジン系、ハロアルキルチオ系(チオフタルイミド)、ピリチオン系などを使用することができる。
本発明に用いることのできる芳香剤は、通常、ゴムや合成ラテックスなどに添加される香料または芳香剤を特に制限することなく使用することができる。軟質塩化ビニルやポリオレフィンに添加される芳香剤を特に好適に使用することができる。例えば、フランス国ローヌ・プーラン社製アロマセットA、PE、PP、Cuir系、ドイツ国ハーマン&ライマー社製Plast−odor 28450C、28330Cなどを好適に使用することができる。
【0006】
本発明に用いるポリエチレン系樹脂は、弾性率が、1.2〜6.0×10kg/cmであるものを使用することができる。好ましくは、1.5〜5.0×10kg/cmであるものを使用することができる。1.2×10kg/cm未満では、柔らか過ぎて使用することができない。また、6.0×10kg/cmを超えると、硬過ぎて肌を傷めるので使用することができない。弾性率は、モデュラスとも呼ばれる材料力学的特性値であって、室温において測定材料の変形歪と応力との比をもって示すことができる数値であって、気密袋に急激な応力が加わった場合に塑性変形するか否かを推量する目安にすることができる。
本発明に用いるポリエチレン系樹脂は、メルトフローレートが、0.2〜8.0g/10分であるものを使用することができる。好ましくは、0.2〜6.0g/10分であるものを使用することができる。最も好ましい範囲は、0.3〜5.0g/10分であるものを使用することができる。0.2g/10分未満では、溶融流動性が低過ぎて熱溶着加工ができない。8.0g/10分を超えると、溶融流動性が高過ぎて熱溶着加工時に破損したり、偏肉のため、その後の使用時に破裂するので使用することができない。
本発明に用いるポリエチレン系樹脂のメルトフローレートは、一般に、M.F.R.と略称され、溶融流動速度とも呼ばれる材料樹脂の溶融流動特性値であって、ポリマーのレオロジーのパラメーターとして最も広く使われているものである。温度を一定にした短い毛管(L/D=3.8)に溶融ポリマーを通し、10分間の流出グラム量によって決定することができる。ASTM−D 1238(190℃の一定温度において2kgの荷重をかける測定方法)によって測定することができる。
【0007】
本発明に用いるポリエチレン系樹脂フイルムは、厚さが40〜150μmであるものを使用することができる。好ましくは、60〜120μmであるものを使用することができる。40μm未満では、薄過ぎて熱溶着加工時に破損するほか、繰り返し加圧、落圧や折り曲げ等によって破損するので使用することができない。150μmを超えると、厚過ぎて硬く加圧、落圧での形状追随性が不良であり、また、熱溶着加工が偏肉によって困難になり、肌合いも良くない上に皮膚と摺動する縁部が患者に苦痛を与えるので使用することができない。
本発明に用いるポリエチレン系樹脂フイルムは、公知のフイルム成形方法を特に制限することなく使用して作製することができる。例えば、Tダイフイルム成形法、インフレーションフイルム成形法、カレンダー成形法、複合されたフイルム・シート製造のための共押出しフイルム・シート技術、ラミネーションフイルム成形法などを使用して所定の厚みのフイルムを作製することができる。
本発明に用いるポリエチレン系樹脂フイルムは、1枚であってもよく、また、本発明の目的に適合するものであれば、異種のフイルム複数層による積層体を使用することもできる。
【0008】
以下に、図面を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、図面は本発明の一態様を示すものであって、本発明はこれらによりなんら限定されるものではない。
図1及び図2によって本発明波動式圧迫型循環促進気密袋を、及び図3によって本発明波動式圧迫型循環促進気密袋の使用状況の一例を説明する。
本発明に用いる波動式圧迫型循環促進気密袋A及び連結型波動式圧迫型循環促進気密袋A’は、気密袋の外側フイルム3、及び気密袋の内側フイルム4よりなり、空気圧入用ノズル1を有する気密袋(カフ)を使用することができる。
本発明に用いる気密袋は、外側フイルム3と内側フイルム4に同一のポリエチレン系樹脂フイルムを使用することができ、また、外側フイルム3と内側フイルム4には異種のフイルムを使用することができる。内側フイルム4に本発明に用いるポリエチレン系樹脂フイルムを使用し、外側フイルム3には、内側フイルム4より強度の大きい本発明に用いるポリエチレン系樹脂フイルムを重ね合して作製した気密袋を使用することができる。さらに、本発明の目的を達成できるものであれば、内側フイルム4に本発明に用いるポリエチレン系樹脂フイルムを使用し、内側フイルムより強度の大きい異種材料の外側フイルムを使用することができる。このような複合フイルムによる気密袋は、同種、同一厚みのフイルムを重合して作製した気密袋より内側患部にかかる圧力を強くすることができる。
本発明に用いる気密袋は、これを患部に巻き付け、又は、円筒状波動式圧迫型循環促進気密袋の内部空間部Bに患者の肢体Eを挿入し、未膨脹状態の波動式圧迫型循環促進気密袋C内に、空気を圧入し、膨脹状態の波動式圧迫型循環促進気密袋Dにすることによって、患部に圧迫刺激を加え、続いて空気を放出して落圧し、これを繰り返し行うことによって、血液や分泌液の循環を促進するものであって、空気の圧入、放出に際して、気密袋内の圧力が時系列的に波動状に上昇、下降の変化をすることから波動式と称されている。
本発明に用いる気密袋は、加圧により膨脹可能な気密性の袋体であって、全体連通したものでもよく、複数の分離された袋体が連結したものであってもよい。
また、平面状に全周を気密化した気密袋であってもよく、この平面状の気密袋を環状にして両端縁を結合し、断面がドーナッツ状に形成された中空円筒状気密袋にしたものであってもよい。前者であれば、患部の肢体に巻きつけて固定して使用することができる。後者であれば、中空円筒状波動式圧迫型循環促進気密袋の内部空間部Bに患者の肢体Eを挿入することができる。後者の方式であれば、肢体円周各部分を均一に加圧でき、また、複数の分離された気密袋を連結したカフを使用する場合には、加圧と落圧の繰り返しによる圧迫刺激は、血行などの循環をさらに効果的にするために、複数の分離された気密袋に時間差をつけて加圧と落圧とを移動させ繰り返すことができる。例えば、図3に示すように、気密袋加圧進行方向Fを心臓方向に向けて移動させ、循環を促進することができる。
本発明に用いる気密袋に圧入する空気圧は、20〜200×133.3Paにすることができる。施療中の患者が急速に下肢を屈折した場合には、加圧膨脹時に重なると気密袋の内圧は2.5倍程度になり得るので、本発明に用いる気密袋は、耐え得る圧力を500×133.3Pa程度にしておく必要がある。
本発明に用いる加圧と落圧とよりなる1サイクルの時間は、患者の状況に合わせて設定することができるが、通常は5〜120秒で行うことができる。
加圧と落圧に要する時間の配分は、1:03〜1:5で操作され、かつ、上肢及び下肢の加圧時間比は典型的には1:2である。
【0009】
本発明に用いる気密袋は、ポリエチレン系樹脂フイルム2枚、又は、複数枚を重合して、空気圧入用ノズル取り付け部分を除き、気密袋の全周及び分離された気密袋の分離壁2、連結型の場合の気密袋の分離壁2及び連結流入口用仕切壁20を、流入口を除き、接着、または、熱融着することができる。開口のまま残した空気圧入用ノズル取り付け部分に、図4に示すように、空気圧入用ノズル1を挿入し、空気圧入用ノズル取り付け部分の気密袋の外側フイルム3、及び気密袋の内側フイルム4と共に空気圧入用ノズル1を接着、または、熱融着して気密化することができる。気密袋端縁封止部5の全部を気密化して気密袋内部6空間を有する平面状の気密袋を作製することができる。複数の分離された気密袋を連結したカフを使用する場合には、全ての気密袋の分離壁2を熱融着して気密化し、それぞれの気密袋に空気圧入用ノズル1を取り付けることができる。気密袋の分離壁2又は連結流入口用仕切壁20の熱融着幅は3〜8mm、また、連結型気密袋の仕切壁の連結口端部21は、曲率半径2〜6mmの円、又は弧状、若しくは、90°以上の鈍角をもって形成された多角形であって、しかも端壁から突き出た部分の周囲の長さは、連結流入口用仕切壁20の幅の少なくとも1.2倍以上、好ましくは、1.5以上にすることにより、連結流入口用仕切壁20及び仕切壁の連結口端部21における破損を防ぐことができることを見出した。
本発明に用いる気密袋は、前記平面状の気密袋を環状にして両端縁を結合し、断面がドーナッツ状に形成された中空円筒状気密袋にすることができる。前記平面状の気密袋の両端縁の結合は、公知の方法を特に制限することなく使用することができる。例えば、縫製、接着、融着、面テープ22、23などによって結合することができる。
本発明気密袋に用いる接着は、ポリエチレン系樹脂フイルムの接着に用いることのできる公知の方法を特に制限することなく使用することができる。ホットメルト系接着剤を特に好適に使用することができる。
本発明気密袋に用いる熱融着は、ポリエチレン系樹脂フイルムの熱融着に用いることのできる公知の方法を特に制限することなく使用することができる。例えば電熱加熱、超音波加熱、高周波電磁波加熱などを使用することができる。高周波ウエルダーを特に好適に使用することができる。
【0010】
本発明に用いる線状低密度ポリエチレンは、LLDPEと略称されるものであって、長鎖分岐をもたず架橋鎖が少なく、直鎖状の結合が主要な骨格を形成する低密度のポリエチレンである。靭性、耐衝撃性、低脆性温度、柔軟性、加工性、フイルムの透明性、耐薬品性、水に対する低透過性、安定性、優れた電気的性質などが特徴である。LLDPEは遷移金属触媒を使用して、通常のラジカル法高圧ポリエチレンより、はるかに低い圧力(2MPa程度)及び温度(100℃程度)で製造することができる。融点、結晶化度、密度が小さく熱融着加工を容易に行うことができる。通常LLDPEの密度は、0.890〜0.940g/cmであって、用途によって、0.890〜0.915g/cmや0.915〜0.940g/cmのものを使用することができる。また、通常LLDPEの融点は、105〜115℃程度であり、結晶化度は、45〜55%程度であり、共重合していない通常のLLDPEの短鎖枝分かれは炭素原子1000個あたり15〜25個程度である。
本発明に用いる線状低密度ポリエチレン樹脂は、本発明の目的を達成することのできるものであれば、公知の線状低密度ポリエチレン樹脂を特に制限することなく使用することができる。
本発明に用いる線状低密度ポリエチレン系樹脂は、比較的短い分岐鎖のα−オレフィンを含有することによって、好適な凝集強度と柔軟性かつ強靭性を付与することができる。本発明に用いる線状低密度ポリエチレン系樹脂は、C4〜C8のα−オレフィンを0〜20重量%、特に好ましくは、1〜12重量%含有共重合してなる線状低密度ポリエチレン系樹脂を使用することができる。α−オレフィンを20重量%以上含有するエチレン共重合体はプラストマーと呼ばれ、伸張性と柔軟性が大き過ぎる。本発明に用いる線状低密度ポリエチレン系樹脂に含有共重することのできるC4〜C8のα−オレフィンとしては、例えば、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などを特に好適に使用することができる。
α−オレフィンを20重量%以上含有するエチレン共重合体は、その伸張性と柔軟性によりプラストマーと呼ばれ、このプラストマーは、変性用ゴムと同様に弾性率や破裂強度の改善のためにブレンド使用することができる。また、本発明に用いる線状低密度ポリエチレン系樹脂又はエチレンと前記α−オレフィンとの線状低密度共重合体樹脂に通常の低密度ポリエチレン、中結晶化度ポリエチレンを混合して、所望の風合い及び弾性率の気密袋を作製することができる。
【0011】
本発明気密袋に用いる空気圧入用ノズル1は、一定の硬度を有し、また、熱融着加工に際して熱融解や、変形を起こさないものを使用することができる。本発明に用いるポリエチレン系樹脂フイルムより加熱軟化抵抗性の高いものを使用する必要がある。加熱軟化抵抗性はビカット軟化温度(JIS K 7206)又は熱機械分析(TMA)(JIS K 7196)によって軟化温度を測定することにより比較することができる。
本発明気密袋に用いる空気圧入用ノズル1は、ポリエチレン系樹脂フイルムより加熱軟化抵抗性(軟化温度)の高い熱可塑性合成樹脂製のノズルを好適に使用することができる。ポリプロピレン、高密度ポリエチレン又はポリペンテン樹脂製のものを特に好適に使用することができる。
本発明気密袋に用いる空気圧入用ノズル1は、ポリエチレン系樹脂フイルムとの熱融着に好都合な形状のものを使用することができる。例えば、図4及び図5に示すように、空気圧入用ノズル1に翼状突起7及び肋骨状鰭部8を設けることができる。
本発明気密袋に用いる空気圧入用ノズル1に用いる翼状突起7は、ノズル筒部9に取り付ける平板状の小片であって、該ノズルを気密袋に融着固定する際に安定して取り付けることができ、確実に気密化することができる。翼状突起7は、空気圧入用ノズル1を射出成形により作製する際に一体成形することができる。
本発明気密袋に用いる空気圧入用ノズル1に用いる肋骨状鰭部8は、ノズル筒部9と翼状突起7とに複合して取り付ける肋骨状であり鰭状の小片であって、ノズルに付けた翼状突起7の肉厚方向に対して衝立状又は柱状の形状にして設けることができる。肋骨状鰭部8は、空気圧入用ノズル1を気密袋にシール用フイルム10及び不織布11とともに本発明気密袋に融着固定する際に安定して確実に気密化することができる。空気圧入用ノズル1を射出成形により作製する際に一体成形することができる。
【0012】
図4及び図5に示すX、Y線は、空気圧入用ノズル取り付け部分断面部の位置を示すものであって、図4は溶着前、図5は溶着後の状態を示している。図4に示す肋骨状鰭部8は押圧熱融着に際して、融解するように作製したものを使用することができ、図5に示すように、肋骨状鰭部8は融着前の形状は消失し、融着一体化することができる。
本発明気密袋に用いる空気圧入用ノズルは、本発明以外の熱可塑性樹脂製の気密袋に使用することができる。例えば、熱可塑性樹脂製の空気枕、空気クッションマット、ライフジャケットなどの気密袋に使用することができる。
本発明気密袋に用いる空気圧入用ノズル1の取り付け方法は、本発明気密袋の気密性を確実にするために最も重要である。図5に示すように、ノズル取り付け部分に空気圧入用ノズルを挿入する際に、空気圧入用ノズル1のノズル筒部9に設けた前記翼状突起7及び肋骨状鰭部8の上に重ねて、メルトフローレートが0.2〜8.0g/10分のポリエチレン系樹脂のフイルムを使用することができる。好ましくは、0.2〜6.0g/10分であるものを使用することができる。最も好ましい範囲は、0.3〜5.0g/10分であるものを使用することができる。0.2g/10分未満では、溶融流動性が低過ぎて熱溶着加工ができない。8.0g/10分を超えると、溶融流動性が高過ぎて熱溶着加工時に破損したり、偏肉のため、その後の使用時に破裂するので使用することができない。
本発明気密袋に用いるポリエチレン系樹脂フイルムと同質のシール用フイルムを特に好適に使用することができる。ポリエチレン系樹脂のシール用フイルム10短尺片をノズルの両側に各1枚貼付することができる。このシール用フイルム10短尺片は、前記翼状突起7及び肋骨状鰭部8を覆うことのできる長さのものを使用することができる。さらに、気密袋に用いるポリエチレン系樹脂フイルムとの熱融着に際して、自体は融解せず、かつ、ポリエチレン系樹脂フイルムとの融着親和性が特に優れた中間層を、このシール用フイルム10短尺片の上に重ねて使用することができる。該中間層には、ナイロンフイルム又は不織布を特に好適に使用することができる。ナイロンフイルム又は不織布11の短尺片をノズルの両側に各1枚貼付することができる。ナイロンフイルム又は不織布は、気密袋に用いるポリエチレン系樹脂フイルムとの熱融着に際して、自体は融解せず、かつ、ナイロンフイルムはポリエチレン系樹脂フイルムとの融着親和性が特に優れ、不織布11短尺片は両側のポリエチレン系樹脂フイルムとの融着の際、ポリエチレン系樹脂が該不織布の微細孔に侵入し固着する利点がある。
本発明に用いるナイロンフイルムは、本発明の目的を達成できるものであれば、公知のナイロンフイルムを特に制限することなく使用することができる。
本発明に用いる不織布11は、本発明の目的を達成できるものであれば、公知の不織布を特に制限することなく使用することができる。
このようにポリエチレン系樹脂シール用フイルム10短尺片及びナイロンフイルム又は不織布11の短尺片を積層貼付した翼状突起及び肋骨状鰭部の付いた空気圧入用ノズル1を、ノズル取り付け部分に挿入することができる。この際、気密袋ノズル取り付け部分のポリエチレン系樹脂フイルムの気密袋端縁封止部5が翼状突起7及び肋骨状鰭部8を覆うように配置することができる。この状態で気密袋ノズル取り付け部分の、気密袋の外側フイルム3、及び気密袋の内側フイルム4と共に外側の上下から押圧熱融着することができる。これにより、肋骨状鰭部8は融解し、気密袋ノズル取り付け部分のポリエチレン系樹脂フイルムは、前記ポリエチレン系樹脂シール用フイルム10短尺片及びナイロンフイルム又は不織布11の短尺片とともに翼状突起7に完全融着することができる。この方法によって気密袋空気圧入用ノズル1を取り付けることにより、気密袋の加圧、落圧、連結管引っ張り、患者の体の動きなどによる外力でノズルの脱落や気密袋ノズル取り付け部分が破損するのを強固に防止することができる。
本発明気密袋に用いる空気圧入用ノズルの取り付け方法は、本発明以外の熱可塑性樹脂製の気密袋に使用することができる。例えば、熱可塑性樹脂製の空気枕、空気クッションマット、ライフジャケットなどの気密袋に使用することができる。
【0013】
本発明の波動式圧迫型循環促進装置は、本発明の波動式圧迫型循環促進気密袋を用い、これを効果的に作動させる器具類又は手段を有することができる。本発明の波動式圧迫型循環促進装置は、本発明波動式圧迫型循環促進気密袋A又は連結型波動式圧迫型循環促進気密袋A’の他に、公知の波動式圧迫型循環促進装置に用いる器具類又は手段を特に制限することなく使用することができる。例えば、空気加圧器、波動式圧迫型循環促進気密袋の空気圧入用ノズル1との連結管、空気圧入と放出の切り換え弁、圧力計及び圧力調整手段、加圧及び落圧時間の調整手段、制御パネルなどを装備することができる。本発明の波動式圧迫型循環促進装置の機能は、制御パネルにより手動で設定、調整することができる。また、これらの機能を総合的に制御するために、コンピュータープログラムを組み込んだマイクロコンピューターを装備することができる。
本発明の波動式圧迫型循環促進装置は、これに用いる波動式圧迫型循環促進気密袋を患部に巻き付け、又は、円筒状波動式圧迫型循環促進気密袋の内部空間部B内に、患者の肢体Eを挿入し、この気密袋内に、空気の圧入、放出を繰り返し行い、患部に圧迫刺激を加えることによって、血液や分泌液の循環を促進するための装置として使用することができる。
【0014】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
1)風合いテスト
本発明の気密袋用に用いるポリエチレン系樹脂フイルムの風合いテストは、図6に示す方法によって判定した。気密袋用試験フイルム12は、幅30mm、長さ205mmに裁断した長方形のものを輪にして、末端5mmを重ねて気密袋用試験フイルム接合部14で結合した。この輪を水平面上に静置すると、輪の中央部の上方からかかる試験フイルムの荷重と輪の曲げ抵抗強度が釣り合う形状で平衡維持される。この時の輪の中央部高さ(Hmm)を測定する。通常柔軟な材質のフイルムでは、中央部高さは、気密袋用試験フイルム立上り部13の高さより低くなる。この輪の中央部高さは、試験用フイルムを実際に気密袋に使用したときに患者に与える肌合い、風合いを評価するための重要な指標であり、気密袋用試験フイルムの風合い高さHとして表示する。実際に患者に装着した結果と対比すると、苦痛、不快感、擦り痛みなどは、風合い高さHが32mm以下であれば苦情が発生しないことが知られている。
2)結果の判定方法
実施例及び比較例では、前記風合いテストによる風合い高さHが30mm以下であることを合格基準とした。
実施例及び比較例での結果の不具合点の判定は、次の6態様によって評価した。
A:装着時に四肢に馴染まず、気密袋の端や縁により肌の摺動部が摩擦されて痛む。
B:患者の体動や四肢の屈折の際に、気密袋の一部に折れ筋が発生することがあり、気密袋全体が均一に加圧されず、圧力の伝達や波動の調節が円滑に行われない。
C:落圧後でも、加圧時の歪や、屈伸時の伸びが残存し元に戻らない。
D:四肢の屈伸や座位をとる際に、気密袋が破裂したり、隣接する気密袋や流入口のシールが破れることがある。
E:加圧用ノズルの融着部周辺が、急速な圧力変動時に破裂することがある。
G:極めて稀にEの現象による破断の発生があったが、本発明に用いるノズル取り付け方法を使用することによって、破断は全く発生しなくなった。
3)測定方法
添加物量の単位PHRは、樹脂100重量部に対する添加物重量部を示す。
配合物含有樹脂のメルトフローレートは、全てベースポリマー樹脂のメルトフローレートであり、ベースポリマーが複数樹脂の混合物である場合には混合樹脂のメルトフローレートである。
配合物含有樹脂の弾性率は、配合物フイルムの弾性率である。
ベースポリマー樹脂のメルトフローレートは、ASTM−D 1238によって測定した。
配合物フイルムの弾性率は、引張試験機[島津製作所製「オートグラフAGS−500」]によって測定した。
【0015】
実施例1
フイルム厚さが125μm、メルトフローレートが1.1g/10分であり、弾性率が4.2×10kg/cmである、ブテン−1を6.5重量%共重合含有する線状低密度ポリエチレン(LLDPE)フイルム[林一二(株)上郡工場製「試作ハイシボフイルム」]を使用して、風合いテストを行った。風合い高さHは27.0mmであった。このフイルム2枚を、下肢用実型に適合するように裁断した。分離された3個の袋体を連結した気密袋になるように、先に記した本発明波動式圧迫型循環促進気密袋の作製方法によって、下肢用連結型を作製した。
即ち気密袋の分離壁2により分割された3室よりなり、各室はそれぞれ連結流入口用仕切壁20によって内部で区分けされている。翼状突起7及び肋骨状鰭部8を設けたポリプロピレン樹脂製の空気圧入用ノズル1を、各室に、熱融着によって取り付け、全ての気密袋の分離壁及び連結口を除く仕切壁を高周波ウエルダーで熱融着して気密化し平面状の気密袋を作製した。分離された3個の袋体を連結する気密袋の分離壁2の熱融着幅は6mm、また、仕切壁の連結口端部21は曲率半径2mmの弧状周長9.4mm、即ち弧状周長が連結流入口用仕切壁20の熱融着幅の1.56倍になるようにした。この平面状の気密袋を環状にして両端縁を面テープで結合して下肢用円筒状気密袋を作製した。この下肢用円筒状気密袋の各室のノズルに、本発明の波動式圧迫型循環促進装置の空気圧入用連結管を接続した。この下肢用の円筒状気密袋の中の空間部に下肢を挿入して面テープで締め付け強さを調整し、加圧と落圧の繰り返しテストを行った。気密袋に空気を圧入する加圧は100×133.3Pa、加圧と落圧とよりなる1サイクルの時間は20秒、分離された3個の袋体の下端から、順次上方に加圧時期が移行するようにプログラムを設定し、この行程を繰り返して、合計7日間連続加圧と落圧を行った。装着試験後、不具合点は見出されなかった。
結果を実施例2、3、4、5、6、7、8、9とともに第1表に示す。
【0016】
実施例2
フイルムの厚さを60μmに代えた以外は、実施例1と同じ条件で行った。
実施例3
メルトフローレートが2.0g/10分であり、弾性率が3.8×10kg/cmである、酸化チタン3PHRを含有し、ブテン−1を10重量%共重合含有する線状低密度ポリエチレン(LLDPE)の厚さ120μmフイルムを使用したこと以外は、実施例1と同じ条件で行った。
実施例4
メルトフローレート3.0g/10分であり、弾性率が3.2×10kg/cmである、ブテン−1の代わりにヘキセン−1を9重量%共重合含有する線状低密度ポリエチレン(LLDPE)の厚さ125μmフイルムを使用したこと以外は、実施例1と同じ条件で行った。
実施例5
メルトフローレートが1.1g/10分であり、弾性率が3.3×10kg/cmある、エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPR)5PHRを含有し、ブテン−1を6.5重量%共重合含有する線状低密度ポリエチレン(LLDPE)の厚さ140μmフイルムを使用したこと以外は、実施例1と同じ条件で行った。
実施例6
メルトフローレートが1.1g/10分であり、弾性率が2.8×10kg/cmである、水素添加スチレン・ブタジエン共重合ゴム(水添SBR)10PHRを含有し、ブテン−1を5.0重量%共重合含有する線状低密度ポリエチレン(LLDPE)の厚さ140μmフイルムを使用したこと以外は、実施例1と同じ条件で行った。
実施例7
メルトフローレートが1.8g/10分であり、弾性率が2.4×10kg/cmである、クレー10PHRを含有し、低密度ポリエチレン(LDPE)と線状低密度ポリエチレン(LLDPE)との混合樹脂(重量部比40対60)の厚さ54μmフイルムを使用したこと以外は、実施例1と同じ条件で行った。
【0017】
実施例8
メルトフローレートが1.2g/10分であり、弾性率が3.1×10kg/cmである、実施例1のLLDPEとオクテン−1を20重量%共重合含有するLLDPEとを6:4に混合したベースポリマーに酸化チタン5PHRを添加した厚さ110μmフイルムであって、コモノマーの平均含有量は12重量%であるものを使用したこと以外は、実施例1と同じ条件で行った。
実施例9
メルトフローレートが0.4g/10分であり、弾性率が1.7×10kg/cmである、実施例1のLLDPEとLDPEとを3:7に混合したベースポリマーに炭酸カルシウム15PHRを添加した厚さ80μmフイルムであるものを使用したこと以外は、実施例1と同じ条件で行った。
【0018】
比較例1
メルトフローレートが6.0g/10分であり、弾性率が8.3×10kg/cmである、高密度ポリエチレン(HDPE)の厚さ160μmのフイルムを使用したこと以外は、実施例1と同じ条件で行った。
結果を比較例2、3、4、5、6、7とともに第2表に示す。
比較例2
メルトフローレート5.5g/10分であり、炭酸カルシウム15PHRを含有する、ポリプロピレンの厚さ155μmのフイルムを使用したこと以外は、実施例1と同じ条件で行った。
比較例3
メルトフローレートが1.1g/10分であり、エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPR)5PHRを含有し、ブテン−1を6.5重量%共重合含有する線状低密度ポリエチレン(LLDPE)の厚さ30μmフイルムを使用したこと以外は、実施例1と同じ条件で行った。
比較例4
メルトフローレートが2.0g/10分であるエチレン・酢酸ビニル(6重量%含有)共重合体の厚さ30μmフイルムを使用したこと以外は、実施例1と同じ条件で行った。
比較例5
メルトフローレートが8.5g/10分である軟質塩化ビニル(フタル酸ジオクチルDOP、60PHR含有)の厚さ120μmフイルムを使用したこと以外は、実施例1と同じ条件で行った。
比較例6
厚さ150μmのポリエステル・ナイロン混紡平織布を使用したこと以外は、実施例1と同じ条件で行った。
比較例7
厚さ135μmのアクリル酸エチル樹脂フイルムを使用したこと以外は、実施例1と同じ条件で行った。
【0019】
【表1】



【0020】
【表2】



【0021】
【発明の効果】
本発明により、軽量で柔軟性を有し、伸び抵抗性が大きく、かつ、吸汗や汚れを回避できる波動式圧迫型循環促進気密袋及び該気密袋を用いる波動式圧迫型循環促進装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、波動式圧迫型循環促進気密袋の斜視図である。
【図2】図2は、連結型波動式圧迫型循環促進気密袋の平面図である。
【図3】図3は、波動式圧迫型循環促進気密袋の使用状況の一例を示す。
【図4】図4は、空気圧入用ノズル取り付け部分の断面図である。
【図5】図5は、空気圧入用ノズル取り付け部分の溶着断面図である。
【図6】図6は、気密袋用フイルムの風合いテストの一例を示す。
【符号の説明】
A 波動式圧迫型循環促進気密袋
A’ 連結型波動式圧迫型循環促進気密袋
B 円筒状波動式圧迫型循環促進気密袋の内部空間部
C 未膨脹状態の気密袋
D 膨脹状態の気密袋
E 患者の肢体
F 気密袋加圧進行方向
H 風合い高さ
X、Y 空気圧入用ノズル取り付け部分断面部
1 空気圧入用ノズル
2 気密袋の分離壁
3 気密袋の外側フイルム
4 気密袋の内側フイルム
5 気密袋端縁封止部
6 気密袋内部
7 翼状突起
8 肋骨状鰭部
9 ノズル筒部
10 シール用フイルム
11 不織布
12 気密袋用試験フイルム
13 気密袋用試験フイルム立上り部
14 気密袋用試験フイルム接合部
20 連結流入口用仕切壁
21 仕切壁の連結口端部
22、23 面テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さが40〜150μmのフイルムであって、弾性率が1.2〜6.0×10kg/cmであり、かつ、メルトフローレートが0.2〜8.0g/10分であるポリエチレン系樹脂のフイルムを用いたことを特徴とする波動式圧迫型循環促進装置用気密袋。
【請求項2】
ポリエチレン系樹脂が線状低密度ポリエチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の波動式圧迫型循環促進装置用気密袋。
【請求項3】
翼状突起及び肋骨状鰭部を有し、ポリエチレン系樹脂のフイルムの軟化温度より高い軟化温度の合成樹脂製の空気圧入用ノズルを熱融着によって取り付けてなることを特徴とする請求項1又は2記載の波動式圧迫型循環促進装置用気密袋。
【請求項4】
空気圧入用ノズルを気密袋に取り付けるに際して、合成樹脂製の空気圧入用ノズルと気密袋用フイルムとの間に、空気圧入用ノズルの表面と接する中間層はメルトフローレートが0.2〜8.0g/10分のポリエチレン系樹脂のフイルムであり、気密袋用フイルムと接する中間層はナイロンフイルム又は不織布である複数の中間層を介在させて、合成樹脂製の空気圧入用ノズルと気密袋用フイルムとを熱融着によって取り付けてなることを特徴とする請求項1又は2記載の波動式圧迫型循環促進装置用気密袋。
【請求項5】
連結式気密袋の仕切壁流入口の仕切壁の融着幅が3〜8mmであり、且つ、連結口端部の突出部の周囲の長さが前記融着幅の1.2倍以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の波動式圧迫型循環促進装置用気密袋。
【請求項6】
請求項1、2、3、4又は5記載の気密袋を有することを特徴とする波動式圧迫型循環促進装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2004−254771(P2004−254771A)
【公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−46393(P2003−46393)
【出願日】平成15年2月24日(2003.2.24)
【出願人】(591060223)コ−ケンメディカル株式会社 (2)
【出願人】(594200699)株式会社プリモ (2)
【Fターム(参考)】