波浪防護構造物
【課題】 鋼材重量等を過度に大きくすることなく効率的に波浪等のエネルギーを吸収できる波浪防護構造物を提供する。
【解決手段】 波浪防護構造物21は、コンクリート土台23を介して基礎地盤27に所定間隔で打ち込まれ、垂直方向に立設する複数の柱状体28と、柱状体28のうち、隣接する柱状体28の各々の間を塞ぐように設置される壁体29とから構成されている。柱状体28はH型鋼よりなり、壁体29は水平方向に伸びる複数の溝型鋼を上下に積み上げて構成されている。柱状体28の各々と壁体29との間には壁体29に加わる力を低減させて柱状体28に伝達させる緩衝材が配置されている。又、壁体29のうち、上下に隣接する溝型鋼の各々の間には、止水効果を発揮する止水材が配置されている。
【解決手段】 波浪防護構造物21は、コンクリート土台23を介して基礎地盤27に所定間隔で打ち込まれ、垂直方向に立設する複数の柱状体28と、柱状体28のうち、隣接する柱状体28の各々の間を塞ぐように設置される壁体29とから構成されている。柱状体28はH型鋼よりなり、壁体29は水平方向に伸びる複数の溝型鋼を上下に積み上げて構成されている。柱状体28の各々と壁体29との間には壁体29に加わる力を低減させて柱状体28に伝達させる緩衝材が配置されている。又、壁体29のうち、上下に隣接する溝型鋼の各々の間には、止水効果を発揮する止水材が配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は波浪防護構造物に関し、特に津波や高潮等の波浪から沿海域に設けられた施設等を保護するための波浪防護構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、波浪防護構造物としては、コンクリート製の堤防が建設されているのが一般的である。又、消波ブロックと防波堤とを組み合せた護岸にて津波を防御しようとしたものもある。更には、予め、津波が到来される箇所を限定し、津波が到来しても安全な高さまで地盤を高くし、その上に石油タンク、工場プラント等の重要施設を建設する場合がある。
【0003】
又、特許文献1に記載されているように鋼矢板等の鋼材を鉛直壁として打設する方法も提案されている。
【特許文献1】特開昭59−61605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の堤防や防波堤を建設する方法では、建設するための用地確保等に莫大な時間と作業用地を必要とする。
【0005】
又、上記のような鋼矢板を鉛直壁として打設する方法では、波エネルギーの高い津波や高潮等から十分に防護しようとする場合、矢板の鋼材強度を大きくする必要がある。そして、鋼材強度を大きくするには例えば鋼材の厚みを大きくしなければならず、その結果、鋼材重量が増し、作業効率が低下する。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、鋼材重量等を過度に大きくすることなく、効率的に波浪等のエネルギーを吸収できる波浪防護構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、基礎地盤上に設置される波浪防護構造物であって、基礎地盤に所定間隔で打ち込まれ、垂直方向に立設する複数の柱状体と、柱状体のうち、隣接する柱状体の各々の間を塞ぐように設置される壁体と、柱状体の各々と壁体との間に設置された緩衝材とを備えたものである。
【0008】
このように構成すると、壁体に津波による力が加わった場合、その力は低減されて柱状体に伝達される。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、緩衝材は止水機能を有するものである。
【0010】
このように構成すると、波浪防護構造物の後方への海水等の浸入が阻止される。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、壁体は、上下に積み上げて構成され、水平方向に伸びるほぼ一定断面の複数の水平部材と、水平部材のうち、上下に隣接する水平部材の各々の間のほぼ全面に設置された止水材とからなるものである。
【0012】
このように構成すると、壁体は水平部材を積み上げることによって形成される。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、柱状体は柱状体フランジ部を壁体の配置方向に平行に設置したH型鋼よりなり、水平部材は、水平部材フランジ部の部分が上下水平方向になるように配置された溝型鋼よりなり、そのウエブ部が柱状体の後方側の柱状体フランジ部の内面に緩衝材を介して当接するように配置されるものである。
【0014】
このように構成すると、柱状体と壁体との接続箇所の前方はH型鋼の前方側のフランジによって覆われる。又、隣接する溝型鋼の各々の水平部同士が止水材を介して設置される。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、緩衝材は、弾性材料よりなり、帯状のシート部と、シート部の両側縁に沿って一体的に接続され、シート部の厚さより大きな直径を有する断面円形状の一対の突起部とからなるものである。
【0016】
このように構成すると、シート部が緩衝効果を発揮し、突起部が止水効果を発揮する。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、止水材は、弾性材料よりなり、帯状のシート部と、シート部の両側縁に沿って一体的に接続され、シート部の厚さより大きな直径を有する断面円形状の一対の突起部とからなるものである。
【0018】
このように構成すると、突起部が止水効果を発揮する。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、壁体は上下に積み上げて構成され、水平方向に伸びる柱状の複数の水平部材と、水平部材の表面を被覆するシート体とからなり、シート体であって、上下に隣接する水平部材の各々が接する部分には、水平方向に伸びる少なくとも1条の突条体が形成されるものである。
【0020】
このように構成すると、シート体に形成された突条体によって隣接する水平部材の間が止水される。
【0021】
請求項8記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の発明の構成において、壁体の波浪が押し寄せる面の表面には、緩衝用シートが被覆されているものである。
このように構成すると、壁体に加わる衝撃が更に緩和されて柱状体に伝達される。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、津波による力が低減されて柱状体に伝達されるため、柱状体及び壁体の強度を低く設定することが可能となる。
【0023】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、後方への海水等の侵入が阻止されるため、より効果的な波浪防護構造物となる。
【0024】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、壁体は水平部材を積み上げることによって形成されるため、水平部材単位に設置できるので作業効率が向上する。又、壁体が破損した場合、破損した水平部材のみを取り替えれば良いため補修等が容易となる。
【0025】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、柱状体と壁体との接続箇所の前方はH型鋼の前方側のフランジによって覆われるため、津波等の衝撃が直接接続箇所に加わらないことになり、設置時の信頼性が向上する。又、上下に隣接する溝型鋼の各々の水平部同士が止水材を介して設置されるため、壁体の安定した設置が容易となる。
【0026】
請求項5記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、シート部が緩衝効果を発揮し、突起部が止水効果を発揮するため、設置状態に応じた設計が容易となる。又、突起部は一対であるため設置状態が安定すると共に、止水効果の信頼性が向上する。
【0027】
請求項6記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、突起部が止水効果を発揮する。又、突起部は一対であるため設置状態が安定すると共に、止水効果の信頼性がより向上する。
【0028】
請求項7記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、突条体によって隣接する水平部材の間が止水されるため、別途止水材を水平部材間に挿入して設置するものに比べて作業効率が向上する。
【0029】
請求項8記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の発明の効果に加えて、壁体に加わる衝撃が更に緩和されて柱状体に伝達されるので、柱状体及び壁体の強度をより低く設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1はこの発明の第1の実施の形態による波浪防護構造物の設置状態を示した概略斜視図である。
【0031】
図を参照して、波浪防護構造物21は、コンクリート土台23上に設置された石油タンク24a,石油タンク24bの周囲を囲うように設置されている。そして、津波や高潮等による海面25の変化から石油タンク24a,石油タンク24bを防護している。
【0032】
図2は図1で示した波浪防護構造物の外観形状を示した正面図であり、図3は図2で示したIII−IIIラインの断面図であり、図4は図2で示したIV−IVラインの断面図である。
【0033】
これらの図を参照して、波浪防護構造物21は、コンクリート土台23を介して基礎地盤27に所定間隔で垂直方向に打ち込まれた柱状体28a〜柱状体28cと、これらの間のスペースを覆うように取り付けられた壁体29a,壁体29bとから構成されている。柱状体28はこの実施の形態にあっては、H型鋼を使用しており、壁体29は溝型鋼を水平方向に配置してこれを上下に積み重ねて構成している。
【0034】
図5は図3で示した“A”部分の拡大図であり、図6は図4で示した“B”部分の拡大図である。
【0035】
これらの図を参照して、柱状体28bはその(柱状体)フランジ部32a,フランジ部32bを壁体29a,壁体29bの配置方向に平行となるように設置されている。そして、壁体29を構成する水平部材31は、上述のように溝型鋼の(水平部材)フランジ部が上下水平方向になるように配置されている。即ち、図6に示されているように、水平部材31bを構成する部分は、上下方向に伸びる垂直部(ウエブ)38bと、垂直部(ウエブ)38bの上端に接続され水平方向に伸びる上方水平部(フランジ部)41bと、垂直部38bの下端に接続され水平方向に伸びる下方水平部(フランジ部)42bとから構成されている。
【0036】
そして、水平部材31bの上方には同一形状の溝型鋼を同一方向に配置した水平部材31xが、水平部材31bの下方には同一形状の溝型鋼を同一方向に配置した水平部材31yが配置されている。水平部材31bの上方水平部41bの上面と水平部材31xの下方水平部42xの下面との間に帯状の止水材44xが配置され、これらはボルト39x及びナット40bによってテーパーワッシャーを介して上下に接続されている。同様に水平部材31bの下方水平部42bの下面と水平部材31yの上方水平部41yの上面との間に同様の止水材44yが挿入され、これらはボルト39b及びナット40yによってテーパーワッシャーを介して接続されている。
【0037】
図7は、図6で示した止水材44の概略形状を示した断面図である。
【0038】
図を参照して、止水材44は、ゴム(CR)等の弾性材料よりなり、帯状のシート部45と、シート部45の両側縁に沿って一体的に接続され、シート部45の厚さより大きな直径Hを有する断面円形状の一対の突起部46a,突起部46bとから構成されている。止水材44はこのような断面形状を有しているため、突起部46a,突起部46bの各々の上方部及び下方部が水平部材31の上方水平部41及び下方水平部42の面に当接することになり、止水効果を発揮する。そして止水材44yは図5に示されているように、水平部材31bの長手方向の長さとほぼ同一の長さに設定されている。従って、上下に積み上げられた水平部材31の各々の間のスペースは止水材44によって止水され、波浪等の後方への侵入を阻止することになる。
【0039】
図5に戻って、水平方向に配置された水平部材31a,水平部材31bの各々は、垂直方向に配置された緩衝止水材(緩衝材)34a,緩衝止水材34bの各々を介して柱状体28bのフランジ部32aの内面とフランジ部32bの内面とに各々当接状態となるように設置される。尚、緩衝止水材34a,緩衝止水材34bの各々は、壁体29の各々のすべての背面に当接するように上下に配置されている。すなわち、柱状体28の地上に出ている範囲にほぼ沿って緩衝止水材34a,緩衝止水材34bの各々が配置されていることになる。
【0040】
図8は図5で示した緩衝止水材34の概略形状を示した断面図である。
【0041】
図を参照して、緩衝止水材34は、ゴム(CR)等の弾性材料よりなり、帯状のシート部47と、シート部47の両側縁に沿って一体的に接続され、シート部47の厚さH1より大きな直径H2を有する断面円形状の一対の突起部48a,突起部48bとから構成されている。ここで、シート部47の厚さH1は2mmに設定され、突起部48の直径H2は10mmに設定されている。ここで、緩衝止水材34の緩衝効果を説明するための実験例を以下に示す。
【0042】
実験に際しては、鉄板等からなる鋼材(以下「被衝突鋼材」と称す)の表面に厚さの異なる複数のゴムシート(CR)よりなる緩衝材を配置し、これに質量300kgの鋼材(以下「衝突鋼材」と称す)を数種類の衝突速度で衝突させて行う。この実験結果を表したのが下記の表である。
【0043】
【表1】
表にあっては、横軸に衝突鋼材の衝突速度を採り、縦軸に被衝突鋼材が受ける衝撃力を採っている。被衝突鋼材に対しては、ゴムシートを配置していないものと、ゴムシートの厚さを2mm、10mm、20mm、40mmとしたものをそれぞれ配置し、計5種類の被衝突物とした。この5種類の対象物に衝突物である衝突鋼材の衝突速度を変えて、その衝撃力を測定した。
【0044】
この実験結果によると、ゴムシートの厚みを2mmとすると緩衝効果を発揮するが、厚みが10mm以上となると緩衝効果はあまり変らないことが判明する。
【0045】
上記の実験結果から、緩衝止水材34にあっては、シート部47の部分が緩衝効果を発揮し、突起部48a,突起部48bの部分が止水効果を発揮することが判明する。尚、シート部47の部分の厚さをあまり大きくすると、壁体29に衝撃を受けたときに緩衝止水材34が変形しボルト35等にせん断荷重がかかる虞がある。そのため、シート部47の厚みは10mm程度が好ましい。
【0046】
図5に戻って、上述のように配置された水平部材31a,水平部材31bの各々は、緩衝止水材34a,緩衝止水材34bを介して柱状体28bのフランジ部32a,フランジ部32bにボルト35a及びナット36a並びにボルト35b及びナット36bによって固定されている。そして、緩衝止水材34a,緩衝止水材34bは、上述のようにその長手方向長さが柱状体28のコンクリート土台23からの上方への突き出し長さにほぼ同じとなるように設定されている。これによって、緩衝止水材34a,緩衝止水材34bは緩衝効果と止水効果とを十分に発揮する。即ち、波浪等の衝撃が壁体29に加わった時、その力は水平部材31に直接加わることになるが、その力は緩衝止水材34によって低減されて柱状体28に伝達される。又、緩衝止水材34は柱状体28に沿って上下に連続的に設置されているため、水平部材31と柱状体28のフランジ部32の内面との間の隙間を通して海水等が後方に進出することが阻止される。
【0047】
又、この実施の形態にあっては、水平部材31の柱状体28に対する接続部が柱状体28のフランジ部53によってその前方部が覆われていることになる。これによって波浪等の衝撃が直接接続部に加わることが回避され、緩衝止水材34の緩衝効果と相俟って波浪防護構造物21の強度上の信頼性をより向上する。
【0048】
このように、この実施の形態による波浪防護構造物21にあっては、壁体29に加わる波エネルギーが緩衝止水材34によって緩和されて柱状体28に伝達する。従って、柱状体28及び壁体29を構成する鋼材の重量等を過度に大きくすることなく効率的に波浪等のエネルギーを吸収できることになる。
【0049】
図9はこの発明の第2の実施の形態による波浪防護構造物の概略構造を示した断面図であって、先の実施の形態による図5に対応したものであり、図10は、図6に対応した図である。
【0050】
これらの図を参照して、この実施の形態にあっては、柱状体28の構造は第1の実施の形態によるものと同一であるが、壁体29の構造が異なっている。即ち、壁体29を構成する水平部材31は溝型鋼を用いている点では同一であるが、その表面の全面に厚さ2mmのシート体50が貼り付けられ覆われている。これによって壁体29の前面側は防サビ効果を発揮し、その後方側の部分は緩衝止水材34との間で緩衝効果を更に発揮する。
【0051】
又、図10に示されているように、水平部材31bの上方水平部41bの上面に貼り付けられているシート体50bには、水平部材31の長手方向に沿って水平方向に伸びる断面突起状の突条体51bが一体的に形成されている。一方、水平部材31bの上方に位置する水平部材31xの下方水平部42xの下面を覆うシート体50xにも同様の突条体51xが水平方向に形成されている。これによって水平部材31bの上に水平部材31xを配置して、ボルト39x及びナット40bによってこれらを接続すると、突条体51bがシート体50xに突条体51xがシート体50bに当接状態となる。その結果、水平部材31bと水平部材31xとの間の隙間に対して止水効果が発揮される。
【0052】
尚、図9において示されているように、水平部材31と柱状体28との間には緩衝止水材34が設置されているが、これに代えて図10で示した突条体51のような突起を上下方向にシート体50に一体的に形成しても良い。これによって緩衝効果とある程度の止水効果とを発揮させることは可能である。又、同様に、突条体51の代わりに、先の実施の形態における止水材44を水平部材31の間に挿入するようにしても良い。
【0053】
図11はこの発明の第3の実施の形態による波浪防護構造物の外観形状を示した正面図であって、第1の実施の形態による図2に対応した図である。又、図12は図11で示したXII−XIIラインの断面図であり、図13は図11で示したXIII−XIIIラインの断面図であり、図14は図12で示した“C”部分の拡大図であり、図15は図13で示した“D”部分の拡大図である。
【0054】
これらの図を参照して、波浪防護構造物21を構成する柱状体28の形状等は基本的には第1の実施の形態と同一である。即ち、柱状体28はH型鋼よりなり、所定間隔を置いてコンクリート土台23を介して基礎地盤27に打ち込まれ、上下方向に設置されている。一方、壁体29の構造は第1の実施の形態とは大きく異なっている。即ち、壁体29は隣接する柱状体28の間のスペースをほぼ全面に覆う大きさの板材54により構成されている。板材54の前方側の全面には被覆材55が貼り付けられており、防サビ効果を発揮する。
【0055】
一方、板材54aの背面側と柱状体28bのフランジ部53aの外面との間には緩衝止水材34aが設置され、これらはボルト57a及びナット58aによって固定されている。尚、緩衝止水材34aは第1の実施の形態によるものと同一であり、緩衝効果と止水効果とを発揮するものである。同様に板材54bも緩衝止水材34bを介してボルト57b及びナット58bによって柱状体28bのフランジ部53bに固定されている。又、図15に示されているように、ボルト57b及びナット58bは上下方向に所定間隔で配置され、板材54の柱状体28に対する固定強度と緩衝止水材34の止水効果とを確実に発揮するように取り付けられている。
【0056】
このように構成することによって、波浪等によって板材54に加わった力は、緩衝止水材34によって低減させられ柱状体28に伝達されることになる。これによって、柱状体28及び壁体29を構成する板材54の鋼材等の重量を過度に大きくすることなく、効率的に波浪等のエネルギーを吸収することが可能となる。
【0057】
図16はこの発明の第4の実施の形態による波浪防護構造物の概略形状を示した断面図であって、先の第3の実施の形態による図14に対応した図であり、図17は、図15に対応した図である。
【0058】
これらの図を参照して、壁体29が板材54によって構成されている点は先の実施の形態と同一であるが、板材54aの背面側全面に緩衝材60aが全面的に貼り付けられている点が大きく異なっている。板材54aの柱状体28bへの取付けに際しては、緩衝材60aを介してボルト57a及びナット58aによって固定されている。即ち、先の実施の形態のように別部材としての緩衝止水材34aが取り付けられていない。従って、緩衝止水材の位置合わせ等が不要となり、板材54aの柱状体28bへの取付け作業がより効率化する。又、緩衝材60aは緩衝効果と共に止水効果も有するものであるため、板材54aに加わった波浪等の衝撃を緩和すると共に海水の後方への侵入を阻止することになる。
【0059】
尚、図17に示されているように、ボルト57b及びナット58bは、板材53bの柱状体28bに対する取り付け強度と緩衝材60bの止水効果を発揮させるために上下に所定間隔で取り付けられている。この実施の形態にあっても、緩衝材60を設けることによって、壁体29を構成する板材54の鋼材等の重量を過度に大きくすることなく効率的に波浪等のエネルギーを吸収することが可能となる。又、緩衝材60aは、板材54aの背面側の全面に貼り付け設置されていなくても、柱状体28のフランジ部に当接する部分にある程度の余裕を持たせた広さに貼り付け設置するだけでも良い。
【0060】
図18はこの発明の第5の実施の形態による波浪防護構造物に用いられる緩衝止水材の概略構造を示す断面図であって、先の第1の実施の形態による図8に対応したものである。
【0061】
図を参照して、緩衝止水材34は、ゴム(CR)等の弾性材料よりなり、帯状のシート部63と、シート部63の片面の中央部に一体的に接続され、断面が台形形状を有する一条の突起部65とから構成されている。これによって、突起部65が止水効果を発揮すると共にシート部63を中心として緩衝効果を奏することになる。
【0062】
図19はこの発明の第6の実施の形態による波浪防護構造物に用いられる緩衝止水材の概略構造を示す断面図であって、先の第1の実施の形態による図8に対応したものである。
【0063】
図を参照して、緩衝止水材34は、ゴム(CR)等の弾性材料よりなり、帯状のシート部67と、シート部67の一方面の両外縁から所定距離離れた位置の各々に一体的に接続され、断面が台形形状を有する一対の突起部69a,突起部69bと、シート部67の他方面の両外縁から所定距離離れた位置の各々に一体的に接続され、断面が台形形状を有する一対の突起部70a,突起部70bとから構成されている。これによって、突起部69a,突起部69b及び突起部70a,突起部70bが止水効果を発揮すると共にシート部67を中心として緩衝効果を奏することになる。
【0064】
尚、上記の各実施の形態では、柱状体、壁体は特定形状の鋼材を用いて構成しているが、他の形状の鋼材であっても良く、あるいは、コンクリートブロック等の他の材料を用いて構成したものにも同様に適用できる。
【0065】
又、上記の第1及び第2の実施の形態では、水平部材間を止水材又は凸状体を用いて止水しているが、これらを用いずに水平部材同士が直接接するように構成しても良い。
【0066】
更に、上記の第1及び第2の実施の形態では、柱状体を構成するH型鋼の後方側のフランジ部の内面に壁体を取り付けているが、壁体は外面側のフランジの外面に取り付けても良い。同様に、上記の第3及び第4の実施の形態では、柱状体を構成するH型鋼の前方側のフランジ部の外面に壁体を取り付けているが、壁体は内面側のフランジの内面に取り付けても良い。
【0067】
更に、上記の第1及び第2の実施の形態では、水平部材として同一断面の溝型鋼を用いているが、他の型鋼やほぼ同一の断面の他の鋼材を用いても良い。
【0068】
更に、上記の各実施の形態では、緩衝材としてCRゴムを用いているが、EPTや天然ゴム等の他のゴムであっても良く、あるいは、ゴム以外で緩衝効果を奏する材料を用いても良い。又、緩衝材にリサイクル材(ゴムチップ、ガラスくず等)を増量材として配合しても良い。
【0069】
更に、上記の各実施の形態では、緩衝止水材や止水材は特定断面形状を有しているが、他の断面形状のものであっても良い。
【0070】
更に、上記の第2から第4の実施の形態では、壁体の前面部に防サビ用のシート体が貼り付けられているが、これに代えてCRゴム等の衝撃吸収効果を奏する緩衝用シートで前面を被覆しても良い。すると、波浪等の壁体に加わる力がより低減されて柱状体に伝達される。これによって、壁体や柱状体の強度をより低く設定することができる。
【0071】
更に、上記の第5及び第6の実施の形態では、緩衝止水材34の断面形状を図18及び図19に示しているが、図示された形状は他の実施の形態における止水材44の断面形状としても使用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】この発明の第1の実施の形態による波浪防護構造物の設置状態を示した概略斜視図である。
【図2】図1で示した波浪防護構造物の外観形状を示した正面図である。
【図3】図2で示したIII−IIIラインの断面図である。
【図4】図2で示したIV−IVラインの断面図である。
【図5】図3で示した“A”部分の拡大図である。
【図6】図4で示した“B”部分の拡大図である。
【図7】図6で示した止水材44の拡大断面図である。
【図8】図5で示した緩衝止水材34の拡大断面図である。
【図9】この発明の第2の実施の形態による波浪防護構造物の概略構造を示した断面図であって、第1の実施の形態による図5に対応した図である。
【図10】この発明の第2の実施の形態による波浪防護構造物の概略形状を示した断面図であって、第1の実施の形態による図6に対応した図である。
【図11】この発明の第3の実施の形態による波浪防護構造物の外観形状を示した正面図である。
【図12】図11で示したXII−XIIラインの断面図である。
【図13】図11で示したXIII−XIIIラインの断面図である。
【図14】図12で示した“C”部分の拡大図である。
【図15】図13で示した“D”部分の拡大図である。
【図16】この発明の第4の実施の形態による波浪防護構造物の概略構造を示した断面図であって、第3の実施の形態による図14に対応した図である。
【図17】この発明の第4の実施の形態による波浪防護構造物の概略構造を示した断面図であって、第3の実施の形態による図15に対応した図である。
【図18】この発明の第5の実施の形態による波浪防護構造物に用いられる緩衝止水材の概略構造を示す断面図である。
【図19】この発明の第6の実施の形態による波浪防護構造物に用いられる緩衝止水材の概略構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0073】
21…波浪防護構造物
28…柱状体
29…壁体
31…水平部材
32,53…フランジ部
34…緩衝止水材(緩衝材)
38…垂直部
41…上方水平部
42…下方水平部
44…止水材
45,47…シート部
46,48,65,69,70…突起部
50…シート体
51…突条体
54…板材
60…緩衝材
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【技術分野】
【0001】
この発明は波浪防護構造物に関し、特に津波や高潮等の波浪から沿海域に設けられた施設等を保護するための波浪防護構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、波浪防護構造物としては、コンクリート製の堤防が建設されているのが一般的である。又、消波ブロックと防波堤とを組み合せた護岸にて津波を防御しようとしたものもある。更には、予め、津波が到来される箇所を限定し、津波が到来しても安全な高さまで地盤を高くし、その上に石油タンク、工場プラント等の重要施設を建設する場合がある。
【0003】
又、特許文献1に記載されているように鋼矢板等の鋼材を鉛直壁として打設する方法も提案されている。
【特許文献1】特開昭59−61605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の堤防や防波堤を建設する方法では、建設するための用地確保等に莫大な時間と作業用地を必要とする。
【0005】
又、上記のような鋼矢板を鉛直壁として打設する方法では、波エネルギーの高い津波や高潮等から十分に防護しようとする場合、矢板の鋼材強度を大きくする必要がある。そして、鋼材強度を大きくするには例えば鋼材の厚みを大きくしなければならず、その結果、鋼材重量が増し、作業効率が低下する。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、鋼材重量等を過度に大きくすることなく、効率的に波浪等のエネルギーを吸収できる波浪防護構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、基礎地盤上に設置される波浪防護構造物であって、基礎地盤に所定間隔で打ち込まれ、垂直方向に立設する複数の柱状体と、柱状体のうち、隣接する柱状体の各々の間を塞ぐように設置される壁体と、柱状体の各々と壁体との間に設置された緩衝材とを備えたものである。
【0008】
このように構成すると、壁体に津波による力が加わった場合、その力は低減されて柱状体に伝達される。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、緩衝材は止水機能を有するものである。
【0010】
このように構成すると、波浪防護構造物の後方への海水等の浸入が阻止される。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、壁体は、上下に積み上げて構成され、水平方向に伸びるほぼ一定断面の複数の水平部材と、水平部材のうち、上下に隣接する水平部材の各々の間のほぼ全面に設置された止水材とからなるものである。
【0012】
このように構成すると、壁体は水平部材を積み上げることによって形成される。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、柱状体は柱状体フランジ部を壁体の配置方向に平行に設置したH型鋼よりなり、水平部材は、水平部材フランジ部の部分が上下水平方向になるように配置された溝型鋼よりなり、そのウエブ部が柱状体の後方側の柱状体フランジ部の内面に緩衝材を介して当接するように配置されるものである。
【0014】
このように構成すると、柱状体と壁体との接続箇所の前方はH型鋼の前方側のフランジによって覆われる。又、隣接する溝型鋼の各々の水平部同士が止水材を介して設置される。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、緩衝材は、弾性材料よりなり、帯状のシート部と、シート部の両側縁に沿って一体的に接続され、シート部の厚さより大きな直径を有する断面円形状の一対の突起部とからなるものである。
【0016】
このように構成すると、シート部が緩衝効果を発揮し、突起部が止水効果を発揮する。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、止水材は、弾性材料よりなり、帯状のシート部と、シート部の両側縁に沿って一体的に接続され、シート部の厚さより大きな直径を有する断面円形状の一対の突起部とからなるものである。
【0018】
このように構成すると、突起部が止水効果を発揮する。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、壁体は上下に積み上げて構成され、水平方向に伸びる柱状の複数の水平部材と、水平部材の表面を被覆するシート体とからなり、シート体であって、上下に隣接する水平部材の各々が接する部分には、水平方向に伸びる少なくとも1条の突条体が形成されるものである。
【0020】
このように構成すると、シート体に形成された突条体によって隣接する水平部材の間が止水される。
【0021】
請求項8記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の発明の構成において、壁体の波浪が押し寄せる面の表面には、緩衝用シートが被覆されているものである。
このように構成すると、壁体に加わる衝撃が更に緩和されて柱状体に伝達される。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、津波による力が低減されて柱状体に伝達されるため、柱状体及び壁体の強度を低く設定することが可能となる。
【0023】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、後方への海水等の侵入が阻止されるため、より効果的な波浪防護構造物となる。
【0024】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、壁体は水平部材を積み上げることによって形成されるため、水平部材単位に設置できるので作業効率が向上する。又、壁体が破損した場合、破損した水平部材のみを取り替えれば良いため補修等が容易となる。
【0025】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、柱状体と壁体との接続箇所の前方はH型鋼の前方側のフランジによって覆われるため、津波等の衝撃が直接接続箇所に加わらないことになり、設置時の信頼性が向上する。又、上下に隣接する溝型鋼の各々の水平部同士が止水材を介して設置されるため、壁体の安定した設置が容易となる。
【0026】
請求項5記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、シート部が緩衝効果を発揮し、突起部が止水効果を発揮するため、設置状態に応じた設計が容易となる。又、突起部は一対であるため設置状態が安定すると共に、止水効果の信頼性が向上する。
【0027】
請求項6記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、突起部が止水効果を発揮する。又、突起部は一対であるため設置状態が安定すると共に、止水効果の信頼性がより向上する。
【0028】
請求項7記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、突条体によって隣接する水平部材の間が止水されるため、別途止水材を水平部材間に挿入して設置するものに比べて作業効率が向上する。
【0029】
請求項8記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の発明の効果に加えて、壁体に加わる衝撃が更に緩和されて柱状体に伝達されるので、柱状体及び壁体の強度をより低く設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1はこの発明の第1の実施の形態による波浪防護構造物の設置状態を示した概略斜視図である。
【0031】
図を参照して、波浪防護構造物21は、コンクリート土台23上に設置された石油タンク24a,石油タンク24bの周囲を囲うように設置されている。そして、津波や高潮等による海面25の変化から石油タンク24a,石油タンク24bを防護している。
【0032】
図2は図1で示した波浪防護構造物の外観形状を示した正面図であり、図3は図2で示したIII−IIIラインの断面図であり、図4は図2で示したIV−IVラインの断面図である。
【0033】
これらの図を参照して、波浪防護構造物21は、コンクリート土台23を介して基礎地盤27に所定間隔で垂直方向に打ち込まれた柱状体28a〜柱状体28cと、これらの間のスペースを覆うように取り付けられた壁体29a,壁体29bとから構成されている。柱状体28はこの実施の形態にあっては、H型鋼を使用しており、壁体29は溝型鋼を水平方向に配置してこれを上下に積み重ねて構成している。
【0034】
図5は図3で示した“A”部分の拡大図であり、図6は図4で示した“B”部分の拡大図である。
【0035】
これらの図を参照して、柱状体28bはその(柱状体)フランジ部32a,フランジ部32bを壁体29a,壁体29bの配置方向に平行となるように設置されている。そして、壁体29を構成する水平部材31は、上述のように溝型鋼の(水平部材)フランジ部が上下水平方向になるように配置されている。即ち、図6に示されているように、水平部材31bを構成する部分は、上下方向に伸びる垂直部(ウエブ)38bと、垂直部(ウエブ)38bの上端に接続され水平方向に伸びる上方水平部(フランジ部)41bと、垂直部38bの下端に接続され水平方向に伸びる下方水平部(フランジ部)42bとから構成されている。
【0036】
そして、水平部材31bの上方には同一形状の溝型鋼を同一方向に配置した水平部材31xが、水平部材31bの下方には同一形状の溝型鋼を同一方向に配置した水平部材31yが配置されている。水平部材31bの上方水平部41bの上面と水平部材31xの下方水平部42xの下面との間に帯状の止水材44xが配置され、これらはボルト39x及びナット40bによってテーパーワッシャーを介して上下に接続されている。同様に水平部材31bの下方水平部42bの下面と水平部材31yの上方水平部41yの上面との間に同様の止水材44yが挿入され、これらはボルト39b及びナット40yによってテーパーワッシャーを介して接続されている。
【0037】
図7は、図6で示した止水材44の概略形状を示した断面図である。
【0038】
図を参照して、止水材44は、ゴム(CR)等の弾性材料よりなり、帯状のシート部45と、シート部45の両側縁に沿って一体的に接続され、シート部45の厚さより大きな直径Hを有する断面円形状の一対の突起部46a,突起部46bとから構成されている。止水材44はこのような断面形状を有しているため、突起部46a,突起部46bの各々の上方部及び下方部が水平部材31の上方水平部41及び下方水平部42の面に当接することになり、止水効果を発揮する。そして止水材44yは図5に示されているように、水平部材31bの長手方向の長さとほぼ同一の長さに設定されている。従って、上下に積み上げられた水平部材31の各々の間のスペースは止水材44によって止水され、波浪等の後方への侵入を阻止することになる。
【0039】
図5に戻って、水平方向に配置された水平部材31a,水平部材31bの各々は、垂直方向に配置された緩衝止水材(緩衝材)34a,緩衝止水材34bの各々を介して柱状体28bのフランジ部32aの内面とフランジ部32bの内面とに各々当接状態となるように設置される。尚、緩衝止水材34a,緩衝止水材34bの各々は、壁体29の各々のすべての背面に当接するように上下に配置されている。すなわち、柱状体28の地上に出ている範囲にほぼ沿って緩衝止水材34a,緩衝止水材34bの各々が配置されていることになる。
【0040】
図8は図5で示した緩衝止水材34の概略形状を示した断面図である。
【0041】
図を参照して、緩衝止水材34は、ゴム(CR)等の弾性材料よりなり、帯状のシート部47と、シート部47の両側縁に沿って一体的に接続され、シート部47の厚さH1より大きな直径H2を有する断面円形状の一対の突起部48a,突起部48bとから構成されている。ここで、シート部47の厚さH1は2mmに設定され、突起部48の直径H2は10mmに設定されている。ここで、緩衝止水材34の緩衝効果を説明するための実験例を以下に示す。
【0042】
実験に際しては、鉄板等からなる鋼材(以下「被衝突鋼材」と称す)の表面に厚さの異なる複数のゴムシート(CR)よりなる緩衝材を配置し、これに質量300kgの鋼材(以下「衝突鋼材」と称す)を数種類の衝突速度で衝突させて行う。この実験結果を表したのが下記の表である。
【0043】
【表1】
表にあっては、横軸に衝突鋼材の衝突速度を採り、縦軸に被衝突鋼材が受ける衝撃力を採っている。被衝突鋼材に対しては、ゴムシートを配置していないものと、ゴムシートの厚さを2mm、10mm、20mm、40mmとしたものをそれぞれ配置し、計5種類の被衝突物とした。この5種類の対象物に衝突物である衝突鋼材の衝突速度を変えて、その衝撃力を測定した。
【0044】
この実験結果によると、ゴムシートの厚みを2mmとすると緩衝効果を発揮するが、厚みが10mm以上となると緩衝効果はあまり変らないことが判明する。
【0045】
上記の実験結果から、緩衝止水材34にあっては、シート部47の部分が緩衝効果を発揮し、突起部48a,突起部48bの部分が止水効果を発揮することが判明する。尚、シート部47の部分の厚さをあまり大きくすると、壁体29に衝撃を受けたときに緩衝止水材34が変形しボルト35等にせん断荷重がかかる虞がある。そのため、シート部47の厚みは10mm程度が好ましい。
【0046】
図5に戻って、上述のように配置された水平部材31a,水平部材31bの各々は、緩衝止水材34a,緩衝止水材34bを介して柱状体28bのフランジ部32a,フランジ部32bにボルト35a及びナット36a並びにボルト35b及びナット36bによって固定されている。そして、緩衝止水材34a,緩衝止水材34bは、上述のようにその長手方向長さが柱状体28のコンクリート土台23からの上方への突き出し長さにほぼ同じとなるように設定されている。これによって、緩衝止水材34a,緩衝止水材34bは緩衝効果と止水効果とを十分に発揮する。即ち、波浪等の衝撃が壁体29に加わった時、その力は水平部材31に直接加わることになるが、その力は緩衝止水材34によって低減されて柱状体28に伝達される。又、緩衝止水材34は柱状体28に沿って上下に連続的に設置されているため、水平部材31と柱状体28のフランジ部32の内面との間の隙間を通して海水等が後方に進出することが阻止される。
【0047】
又、この実施の形態にあっては、水平部材31の柱状体28に対する接続部が柱状体28のフランジ部53によってその前方部が覆われていることになる。これによって波浪等の衝撃が直接接続部に加わることが回避され、緩衝止水材34の緩衝効果と相俟って波浪防護構造物21の強度上の信頼性をより向上する。
【0048】
このように、この実施の形態による波浪防護構造物21にあっては、壁体29に加わる波エネルギーが緩衝止水材34によって緩和されて柱状体28に伝達する。従って、柱状体28及び壁体29を構成する鋼材の重量等を過度に大きくすることなく効率的に波浪等のエネルギーを吸収できることになる。
【0049】
図9はこの発明の第2の実施の形態による波浪防護構造物の概略構造を示した断面図であって、先の実施の形態による図5に対応したものであり、図10は、図6に対応した図である。
【0050】
これらの図を参照して、この実施の形態にあっては、柱状体28の構造は第1の実施の形態によるものと同一であるが、壁体29の構造が異なっている。即ち、壁体29を構成する水平部材31は溝型鋼を用いている点では同一であるが、その表面の全面に厚さ2mmのシート体50が貼り付けられ覆われている。これによって壁体29の前面側は防サビ効果を発揮し、その後方側の部分は緩衝止水材34との間で緩衝効果を更に発揮する。
【0051】
又、図10に示されているように、水平部材31bの上方水平部41bの上面に貼り付けられているシート体50bには、水平部材31の長手方向に沿って水平方向に伸びる断面突起状の突条体51bが一体的に形成されている。一方、水平部材31bの上方に位置する水平部材31xの下方水平部42xの下面を覆うシート体50xにも同様の突条体51xが水平方向に形成されている。これによって水平部材31bの上に水平部材31xを配置して、ボルト39x及びナット40bによってこれらを接続すると、突条体51bがシート体50xに突条体51xがシート体50bに当接状態となる。その結果、水平部材31bと水平部材31xとの間の隙間に対して止水効果が発揮される。
【0052】
尚、図9において示されているように、水平部材31と柱状体28との間には緩衝止水材34が設置されているが、これに代えて図10で示した突条体51のような突起を上下方向にシート体50に一体的に形成しても良い。これによって緩衝効果とある程度の止水効果とを発揮させることは可能である。又、同様に、突条体51の代わりに、先の実施の形態における止水材44を水平部材31の間に挿入するようにしても良い。
【0053】
図11はこの発明の第3の実施の形態による波浪防護構造物の外観形状を示した正面図であって、第1の実施の形態による図2に対応した図である。又、図12は図11で示したXII−XIIラインの断面図であり、図13は図11で示したXIII−XIIIラインの断面図であり、図14は図12で示した“C”部分の拡大図であり、図15は図13で示した“D”部分の拡大図である。
【0054】
これらの図を参照して、波浪防護構造物21を構成する柱状体28の形状等は基本的には第1の実施の形態と同一である。即ち、柱状体28はH型鋼よりなり、所定間隔を置いてコンクリート土台23を介して基礎地盤27に打ち込まれ、上下方向に設置されている。一方、壁体29の構造は第1の実施の形態とは大きく異なっている。即ち、壁体29は隣接する柱状体28の間のスペースをほぼ全面に覆う大きさの板材54により構成されている。板材54の前方側の全面には被覆材55が貼り付けられており、防サビ効果を発揮する。
【0055】
一方、板材54aの背面側と柱状体28bのフランジ部53aの外面との間には緩衝止水材34aが設置され、これらはボルト57a及びナット58aによって固定されている。尚、緩衝止水材34aは第1の実施の形態によるものと同一であり、緩衝効果と止水効果とを発揮するものである。同様に板材54bも緩衝止水材34bを介してボルト57b及びナット58bによって柱状体28bのフランジ部53bに固定されている。又、図15に示されているように、ボルト57b及びナット58bは上下方向に所定間隔で配置され、板材54の柱状体28に対する固定強度と緩衝止水材34の止水効果とを確実に発揮するように取り付けられている。
【0056】
このように構成することによって、波浪等によって板材54に加わった力は、緩衝止水材34によって低減させられ柱状体28に伝達されることになる。これによって、柱状体28及び壁体29を構成する板材54の鋼材等の重量を過度に大きくすることなく、効率的に波浪等のエネルギーを吸収することが可能となる。
【0057】
図16はこの発明の第4の実施の形態による波浪防護構造物の概略形状を示した断面図であって、先の第3の実施の形態による図14に対応した図であり、図17は、図15に対応した図である。
【0058】
これらの図を参照して、壁体29が板材54によって構成されている点は先の実施の形態と同一であるが、板材54aの背面側全面に緩衝材60aが全面的に貼り付けられている点が大きく異なっている。板材54aの柱状体28bへの取付けに際しては、緩衝材60aを介してボルト57a及びナット58aによって固定されている。即ち、先の実施の形態のように別部材としての緩衝止水材34aが取り付けられていない。従って、緩衝止水材の位置合わせ等が不要となり、板材54aの柱状体28bへの取付け作業がより効率化する。又、緩衝材60aは緩衝効果と共に止水効果も有するものであるため、板材54aに加わった波浪等の衝撃を緩和すると共に海水の後方への侵入を阻止することになる。
【0059】
尚、図17に示されているように、ボルト57b及びナット58bは、板材53bの柱状体28bに対する取り付け強度と緩衝材60bの止水効果を発揮させるために上下に所定間隔で取り付けられている。この実施の形態にあっても、緩衝材60を設けることによって、壁体29を構成する板材54の鋼材等の重量を過度に大きくすることなく効率的に波浪等のエネルギーを吸収することが可能となる。又、緩衝材60aは、板材54aの背面側の全面に貼り付け設置されていなくても、柱状体28のフランジ部に当接する部分にある程度の余裕を持たせた広さに貼り付け設置するだけでも良い。
【0060】
図18はこの発明の第5の実施の形態による波浪防護構造物に用いられる緩衝止水材の概略構造を示す断面図であって、先の第1の実施の形態による図8に対応したものである。
【0061】
図を参照して、緩衝止水材34は、ゴム(CR)等の弾性材料よりなり、帯状のシート部63と、シート部63の片面の中央部に一体的に接続され、断面が台形形状を有する一条の突起部65とから構成されている。これによって、突起部65が止水効果を発揮すると共にシート部63を中心として緩衝効果を奏することになる。
【0062】
図19はこの発明の第6の実施の形態による波浪防護構造物に用いられる緩衝止水材の概略構造を示す断面図であって、先の第1の実施の形態による図8に対応したものである。
【0063】
図を参照して、緩衝止水材34は、ゴム(CR)等の弾性材料よりなり、帯状のシート部67と、シート部67の一方面の両外縁から所定距離離れた位置の各々に一体的に接続され、断面が台形形状を有する一対の突起部69a,突起部69bと、シート部67の他方面の両外縁から所定距離離れた位置の各々に一体的に接続され、断面が台形形状を有する一対の突起部70a,突起部70bとから構成されている。これによって、突起部69a,突起部69b及び突起部70a,突起部70bが止水効果を発揮すると共にシート部67を中心として緩衝効果を奏することになる。
【0064】
尚、上記の各実施の形態では、柱状体、壁体は特定形状の鋼材を用いて構成しているが、他の形状の鋼材であっても良く、あるいは、コンクリートブロック等の他の材料を用いて構成したものにも同様に適用できる。
【0065】
又、上記の第1及び第2の実施の形態では、水平部材間を止水材又は凸状体を用いて止水しているが、これらを用いずに水平部材同士が直接接するように構成しても良い。
【0066】
更に、上記の第1及び第2の実施の形態では、柱状体を構成するH型鋼の後方側のフランジ部の内面に壁体を取り付けているが、壁体は外面側のフランジの外面に取り付けても良い。同様に、上記の第3及び第4の実施の形態では、柱状体を構成するH型鋼の前方側のフランジ部の外面に壁体を取り付けているが、壁体は内面側のフランジの内面に取り付けても良い。
【0067】
更に、上記の第1及び第2の実施の形態では、水平部材として同一断面の溝型鋼を用いているが、他の型鋼やほぼ同一の断面の他の鋼材を用いても良い。
【0068】
更に、上記の各実施の形態では、緩衝材としてCRゴムを用いているが、EPTや天然ゴム等の他のゴムであっても良く、あるいは、ゴム以外で緩衝効果を奏する材料を用いても良い。又、緩衝材にリサイクル材(ゴムチップ、ガラスくず等)を増量材として配合しても良い。
【0069】
更に、上記の各実施の形態では、緩衝止水材や止水材は特定断面形状を有しているが、他の断面形状のものであっても良い。
【0070】
更に、上記の第2から第4の実施の形態では、壁体の前面部に防サビ用のシート体が貼り付けられているが、これに代えてCRゴム等の衝撃吸収効果を奏する緩衝用シートで前面を被覆しても良い。すると、波浪等の壁体に加わる力がより低減されて柱状体に伝達される。これによって、壁体や柱状体の強度をより低く設定することができる。
【0071】
更に、上記の第5及び第6の実施の形態では、緩衝止水材34の断面形状を図18及び図19に示しているが、図示された形状は他の実施の形態における止水材44の断面形状としても使用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】この発明の第1の実施の形態による波浪防護構造物の設置状態を示した概略斜視図である。
【図2】図1で示した波浪防護構造物の外観形状を示した正面図である。
【図3】図2で示したIII−IIIラインの断面図である。
【図4】図2で示したIV−IVラインの断面図である。
【図5】図3で示した“A”部分の拡大図である。
【図6】図4で示した“B”部分の拡大図である。
【図7】図6で示した止水材44の拡大断面図である。
【図8】図5で示した緩衝止水材34の拡大断面図である。
【図9】この発明の第2の実施の形態による波浪防護構造物の概略構造を示した断面図であって、第1の実施の形態による図5に対応した図である。
【図10】この発明の第2の実施の形態による波浪防護構造物の概略形状を示した断面図であって、第1の実施の形態による図6に対応した図である。
【図11】この発明の第3の実施の形態による波浪防護構造物の外観形状を示した正面図である。
【図12】図11で示したXII−XIIラインの断面図である。
【図13】図11で示したXIII−XIIIラインの断面図である。
【図14】図12で示した“C”部分の拡大図である。
【図15】図13で示した“D”部分の拡大図である。
【図16】この発明の第4の実施の形態による波浪防護構造物の概略構造を示した断面図であって、第3の実施の形態による図14に対応した図である。
【図17】この発明の第4の実施の形態による波浪防護構造物の概略構造を示した断面図であって、第3の実施の形態による図15に対応した図である。
【図18】この発明の第5の実施の形態による波浪防護構造物に用いられる緩衝止水材の概略構造を示す断面図である。
【図19】この発明の第6の実施の形態による波浪防護構造物に用いられる緩衝止水材の概略構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0073】
21…波浪防護構造物
28…柱状体
29…壁体
31…水平部材
32,53…フランジ部
34…緩衝止水材(緩衝材)
38…垂直部
41…上方水平部
42…下方水平部
44…止水材
45,47…シート部
46,48,65,69,70…突起部
50…シート体
51…突条体
54…板材
60…緩衝材
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎地盤上に設置される波浪防護構造物であって、
前記基礎地盤に所定間隔で打ち込まれ、垂直方向に立設する複数の柱状体と、
前記柱状体のうち、隣接する柱状体の各々の間を塞ぐように設置される壁体と、
前記柱状体の各々と前記壁体との間に設置された緩衝材とを備えた、波浪防護構造物。
【請求項2】
前記緩衝材は、止水機能を有する、請求項1記載の波浪防護構造物。
【請求項3】
前記壁体は、
上下に積み上げて構成され、水平方向に伸びるほぼ一定断面の複数の水平部材と、
前記水平部材のうち、上下に隣接する水平部材の各々の間のほぼ全面に設置された止水材とからなる、請求項1又は請求項2記載の波浪防護構造物。
【請求項4】
前記柱状体は、柱状体フランジ部を前記壁体の配置方向に平行に設置したH型鋼よりなり、
前記水平部材は、水平部材フランジ部の部分が上下水平方向になるように配置された溝型鋼よりなり、そのウエブ部が前記柱状体の後方側の柱状体フランジ部の内面に前記緩衝材を介して当接するように配置される、請求項3記載の波浪防護構造物。
【請求項5】
前記緩衝材は、弾性材料よりなり、帯状のシート部と、前記シート部の両側縁に沿って一体的に接続され、前記シート部の厚さより大きな直径を有する断面円形状の一対の突起部とからなる、請求項2記載の波浪防護構造物。
【請求項6】
前記止水材は、弾性材料よりなり、帯状のシート部と、前記シート部の両側縁に沿って一体的に接続され、前記シート部の厚さより大きな直径を有する断面円形状の一対の突起部とからなる、請求項3記載の波浪防護構造物。
【請求項7】
前記壁体は、上下に積み上げて構成され、水平方向に伸びる柱状の複数の水平部材と、前記水平部材の表面を被覆するシート体とからなり、
前記シート体であって上下に隣接する前記水平部材の各々が接する部分には、水平方向に伸びる少なくとも1条の突条体が形成される、請求項1又は請求項2記載の波浪防護構造物。
【請求項8】
前記壁体の波浪が押し寄せる面の表面には、緩衝用シートが被覆されている、請求項1から請求項7のいずれかに記載の波浪防護構造物。
【請求項1】
基礎地盤上に設置される波浪防護構造物であって、
前記基礎地盤に所定間隔で打ち込まれ、垂直方向に立設する複数の柱状体と、
前記柱状体のうち、隣接する柱状体の各々の間を塞ぐように設置される壁体と、
前記柱状体の各々と前記壁体との間に設置された緩衝材とを備えた、波浪防護構造物。
【請求項2】
前記緩衝材は、止水機能を有する、請求項1記載の波浪防護構造物。
【請求項3】
前記壁体は、
上下に積み上げて構成され、水平方向に伸びるほぼ一定断面の複数の水平部材と、
前記水平部材のうち、上下に隣接する水平部材の各々の間のほぼ全面に設置された止水材とからなる、請求項1又は請求項2記載の波浪防護構造物。
【請求項4】
前記柱状体は、柱状体フランジ部を前記壁体の配置方向に平行に設置したH型鋼よりなり、
前記水平部材は、水平部材フランジ部の部分が上下水平方向になるように配置された溝型鋼よりなり、そのウエブ部が前記柱状体の後方側の柱状体フランジ部の内面に前記緩衝材を介して当接するように配置される、請求項3記載の波浪防護構造物。
【請求項5】
前記緩衝材は、弾性材料よりなり、帯状のシート部と、前記シート部の両側縁に沿って一体的に接続され、前記シート部の厚さより大きな直径を有する断面円形状の一対の突起部とからなる、請求項2記載の波浪防護構造物。
【請求項6】
前記止水材は、弾性材料よりなり、帯状のシート部と、前記シート部の両側縁に沿って一体的に接続され、前記シート部の厚さより大きな直径を有する断面円形状の一対の突起部とからなる、請求項3記載の波浪防護構造物。
【請求項7】
前記壁体は、上下に積み上げて構成され、水平方向に伸びる柱状の複数の水平部材と、前記水平部材の表面を被覆するシート体とからなり、
前記シート体であって上下に隣接する前記水平部材の各々が接する部分には、水平方向に伸びる少なくとも1条の突条体が形成される、請求項1又は請求項2記載の波浪防護構造物。
【請求項8】
前記壁体の波浪が押し寄せる面の表面には、緩衝用シートが被覆されている、請求項1から請求項7のいずれかに記載の波浪防護構造物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−184759(P2008−184759A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17345(P2007−17345)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(000106955)シバタ工業株式会社 (81)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(000106955)シバタ工業株式会社 (81)
【Fターム(参考)】
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