説明

波長変換装置及び波長変換方法

【課題】波長整形効果を有する波長変換機能を簡単な構成で実現し、波長変換装置を小型化する。
【解決手段】第1波長変換器40と第2波長変換器80とを備える。第1波長変換器は、光増幅器42、分散フラットファイバ46、及び、波長フィルタ48を有している。また、第2波長変換器は、可変光減衰器82、分散フラットファイバ86、及び、波長フィルタ88を有している。第1波長変換器は、第1波長変換光の中心波長を、入力光の中心波長に対して第1波長シフト量Δλ1だけ変化させる。第2波長変換器は、第2波長変換光の中心波長を、第1波長変換光の中心波長に対して第2波長シフト量Δλ2だけ変化させる。第1波長シフト量Δλ1及び第2波長シフト量Δλ2が、Δλ1×Δλ2<0及び|Δλ1|<|Δλ2|を満たすように設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、波長変換装置及び波長変換方法に関し、特に光通信システムに用いられる全光学的波長変換に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気信号に変換することなく光信号のまま信号処理を行う、すなわち全光学的信号処理を行う技術は、光通信システムにおいて重要である。
【0003】
図9を参照して、従来の差動位相変調(DPSK:Differential Phase Shift Keying)信号再生器について説明する(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
DPSK信号再生器100に入力されたDPSK信号は、2分岐されて一方は遅延干渉計105に送られ、他方はクロック再生器180に送られる。
【0005】
遅延干渉計105は、DPSK信号を強度変調(OOK:On Off Keying)信号に変換する。遅延干渉計105で生成されたOOK信号は、全光波長変換器110に送られる。
【0006】
全光波長変換器110では、波長変換と光信号の振幅の安定化が施される。全光波長変換器110で波長変換された波長変換OOK信号は、位相変調器190に送られる。
【0007】
一方、クロック再生器180では、DPSK信号からクロックを抽出して、光クロックパルス信号を生成する。この光クロックパルス信号は、位相変調器190に送られる。
【0008】
位相変調器190は、高非線形ファイバとして、例えば分散フラットファイバ(DFF)を備えて構成され、波長変換OOK信号と光クロックパルス信号は、分散フラットファイバに入力される。分散フラットファイバを伝播中に生じる相互位相変調(XPM)により、光クロックパルス信号に、波長変換OOK信号の強度変調パターンに一致する位相変調パターンが重畳される。この結果、位相変調器190からは、波長変換されたDPSK信号が出力される。
【0009】
ここで、全光波長変換器110は、光増幅器142、高非線形ファイバとして分散フラットファイバ(DFF)146及び光バンドパスフィルタ148を備えて構成される。この全光波長変換器110の構成及び動作について、図10〜12を参照して説明する。
【0010】
図10は、全光波長変換器の構成を示す模式図である。図11及び図12は、全光波長変換器における波長変換を示す図である。
【0011】
光増幅器142は、入力されたOOK信号(図10中、矢印S141で示す。)を増幅して、増幅信号(図10中、矢印S143で示す。)を生成する(図11(A))。分散フラットファイバ146は、増幅信号S143の波長スペクトル幅を広げてDFF信号(図10中、矢印S147で示す。)を生成する。光バンドパスフィルタ148は、入力されたOOK信号S141の中心波長とは異なる中心波長の波長帯域を有している(図11(B))。このため、光バンドパスフィルタ148の出力である変換OOK信号(図10中、矢印S149で示す。)は、入力OOK信号S141とは、波長が波長シフト量Δλだけ異なるOOK信号に変換されることになる(図11(C))。
【0012】
図12(A)及び(B)を参照して、増幅信号S143の信号強度と、DFF信号S147の波長スペクトル幅の関係について説明する。
【0013】
図12(A)中、IIで示す増幅信号に対して、分散フラットファイバ146における自己位相変調により、図12(B)中、IIで示すDFF信号が得られているとする。ここで、増幅信号の信号強度を大きくする(図12(A)中、Iで示す。)と、DFF信号の波長スペクトル幅は広くなる(図12(B)中、Iで示す)。一方、増幅信号の信号強度を小さくする(図12(A)中、IIIで示す。)と、DFF信号の波長スペクトル幅は狭くなる(図12(B)中、IIIで示す)。
【0014】
また、分散フラットファイバ146では、図12(B)に示すように、平坦な波長スペクトルを得ることができる。これを利用すると、入力信号の強度揺らぎがあっても、DFF信号の強度はほぼ一定となるので、入力信号の強度揺らぎの影響を抑制して、雑音成分を除去することができる。
【0015】
図12(C)は、増幅信号の時間波形を示している。また、図12(D)は、波長変換器の出力となる波長変換OOK信号S149の時間波形を示している。図12(C)にIVで示す雑音成分は、波長変換OOK信号S149の時間波形には含まれない(図12(D))。
【0016】
このような特性から、全光波長変換器は、波長変換器に加えて、識別回路としても作用する。
【非特許文献1】松本正行著「ファイバの非線形効果を利用したDPSK信号の3R再生」2006年電子情報通信学会総合大会、B−10−22
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、データレートが40Gbps以上であるような高速光信号に対して、分散フラットファイバを利用して波長変換を行う場合、波長変換量を大きくすると波形整形機能が著しく損なわれる傾向がある。
【0018】
このため、上述した非特許文献1に開示されたDPSK信号再生器では、波長変換器を多段に接続して、各波長変換器では、波形整形機能が劣化しない程度に波長変換量を調節している。具体的には、10nmの波長変換を実現するために、波長変換器を5段接続して、各波長変換器での波長シフト量を2nmとしている。
【0019】
このことから、DPSK信号再生装置の小型化が困難であるとともに、経済性の面でも不利になる。
【0020】
また、データレートが増加すると、光パルスの幅を伝送レートに比例して狭くする必要があり、この場合、分散フラットファイバの分散値も小さく設定する必要がある。分散フラットファイバに要求される適切な分散値は、パルス幅の2乗に比例、すなわち、データレートの2乗に反比例する。このため、データレートが40Gbpsから160Gbpsに4倍に増加すると、分散フラットファイバに要求される分散値は1/16になる。これは、例えば非特許文献1で使用しているファイバの−0.5ps/nm/kmの分散値に対して、−0.03ps/nm/kmという絶対値が極めて小さい分散値が必要になることを意味するが、このような分散値の絶対値が小さい分散フラットファイバの製造は、困難である。
【0021】
そこで、この出願に係る発明者が鋭意研究を行ったところ、2段の波長変換器を用いて、第1波長変換器での波長シフトの方向と、第2波長変換器での波長シフトの方向とを逆方向にし、第2波長変換器での波長シフトの大きさを、第1波長変換器での波長シフトの大きさよりも大きくすることで、波長整形効果を有する波長変換機能を実現できることを見出した。また、波長変換の際に用いる分散フラットファイバの非線形定数を適切に選択することで、第2波長変換器を光増幅器非含有にできることを見出した。
【0022】
この発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、この発明の目的は、簡単な構成で、波長整形効果を有する波長変換機能を実現し、かつ小型化された波長変換装置を提供するとともに、この波長変換装置で実行される波長変換方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上述した目的を達成するために、この発明の波長変換装置は、入力光に対して、波長シフト量Δλの波長シフトを与える波長変換装置であって、第1波長変換器と第2波長変換器とを備えて構成される。
【0024】
第1波長変換器は、光増幅器、第1分散フラットファイバ及び第1波長フィルタを有していて、第1波長変換光の中心波長を、入力光の中心波長に対して第1波長シフト量Δλ1だけ変化させる。ここで、光増幅器は、入力光を増幅して増幅光を生成し、第1分散フラットファイバは、増幅光の波長スペクトル幅を広げて第1ファイバ出力光を生成し、及び、第1波長フィルタは、第1ファイバ出力光の所定の波長帯域を透過させて第1波長変換光を生成する。
【0025】
第2波長変換器は、第2分散フラットファイバ及び第2波長フィルタを有する光増幅器非含有の波長変換器であって、第2波長変換光の中心波長を、第1波長変換光の中心波長に対して第2波長シフト量Δλ2だけ変化させる。ここで、第2分散フラットファイバは、第1波長変換光の波長スペクトル幅を広げて第2ファイバ出力光を生成し、及び、第2波長フィルタは、第2ファイバ出力光の所定の波長帯域を透過させて第2波長変換光を生成する。
【0026】
第1波長シフト量Δλ1及び第2波長シフト量Δλ2は、Δλ1+Δλ2=Δλ、Δλ1×Δλ2<0及び|Δλ1|<|Δλ2|を満たすように設定されている。
【0027】
この発明の波長変換装置の好適な実施形態によれば、第2波長変換器が可変光減衰器を備えるのが良い。可変光減衰器は、第1波長変換光の光強度を減衰させた後、第2分散フラットファイバに送る。
【0028】
また、この発明の波長変換装置は、光増幅器の入力側及び出力側にさらに波長フィルタを備えるのが好ましい。
【0029】
また、上述の目的を達成するために、この発明の波長変換方法は、光増幅器、第1分散フラットファイバ、及び、第1波長フィルタを有していて、入力光の中心波長に対して第1波長シフト量Δλ1だけ変化させた第1波長変換光を生成する第1波長変換器と、第2分散フラットファイバ、及び、第2波長フィルタを有していて、第1波長変換光の中心波長に対して第2波長シフト量Δλ2だけ変化させた第2波長変換光を生成する、光増幅器非含有の第2波長変換器とを備える波長変換装置において、入力光に対して、波長シフト量Δλの波長シフトを与える波長変換方法であって、以下の過程を備えて構成される。
【0030】
先ず、光増幅器で、入力光を増幅して増幅光を生成する。次に、第1分散フラットファイバで、増幅光の波長スペクトル幅を広げて第1ファイバ出力光を生成する。次に、第1波長フィルタで、第1ファイバ出力光の所定の波長帯域を透過させて第1波長変換光を生成する。次に、第2分散フラットファイバで、第1波長変換光の波長スペクトル幅を広げて第2ファイバ出力光を生成する。次に、第2波長フィルタで、第2ファイバ出力光の所定の波長帯域を透過させて第2波長変換光を生成する。
【0031】
このとき、第1波長シフト量Δλ1及び第2波長シフト量Δλ2が、Δλ1+Δλ2=Δλ、Δλ1×Δλ2<0及び|Δλ1|<|Δλ2|を満たすように設定される。
【0032】
この発明の波長変換方法の好適な実施形態によれば、第2波長変換器が可変光減衰器を備え、第2分散フラットファイバは、可変光減衰器において減衰した第1波長変換光の波長スペクトル幅を広げて第2ファイバ出力光を生成するのが良い。
【発明の効果】
【0033】
この発明の変換装置及び波長変換方法によれば、第1波長変換器における第1波長シフト量Δλ1と第2波長変換器における第2波長シフト量Δλ2を、Δλ1×Δλ2<0及び|Δλ1|<|Δλ2|を満たすように設定している。
【0034】
このように設定すると、第2ファイバ出力光は、第1波長変換における波長シフト方向とは、逆の波長領域において、平坦性に優れた波形となり、第2波長フィルタでは、この平坦性に優れた領域を透過させるので、品質に優れた波長変換光が得られる。
【0035】
また、第1波長変換における波長シフト方向とは逆の波長領域において、平坦性に優れた波形となることから、第2波長シフト量Δλ2を大きくすることが可能となる。この結果、例えば10nmの波長シフトを従来5段の波長変換を行っているのに対し、2段の波長変換で行うことができ、装置サイズの小型化や省電力化が達成される。
【0036】
また、第2波長変換器を光増幅器非含有にすることで、2段の波長変換を行うに際し、1台の光増幅器を用いて行う。ここで、光増幅器として一般的なエルビウム添加光ファイバ増幅器(EDFA:Eribium−doped fiber amplifier)は、1台以上の励起光源とその駆動回路、1台以上のアイソレータ、利得媒体である、長さ数10mのエルビウム添加光ファイバなどから構成される。このため、光増幅器の小型化には限界がある。従って、第2波長変換器を光増幅器非含有にすることで、波長変換装置のさらなる小型化や省電力化を達成することができる。
【0037】
また、第2波長変換器に可変光減衰器を設けて、第2分散フラットファイバが、可変光減衰器において減衰した第1波長変換光の波長スペクトル幅を広げて第2ファイバ出力光を生成する構成にすれば、第2分散フラットファイバの非線形定数等が、第1波長変換光の光強度に対して、最適でない場合であっても、第2分散フラットファイバへ入力される際の光強度を最適値に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係については、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
【0039】
(2段階波長変換の原理)
図1を参照して、2段階波長変換の原理について説明する。図1は、2段階の波長変換の原理を説明するための模式図である。
【0040】
ここでは、波長変換装置10への入力光(図中、矢印S11で示す。)は、伝送速度が160Gbpsであり、かつ、パルス幅が2.5psであるRZ(Return to Zero)信号であるものとする。
【0041】
2段階の波長変換を行う波長変換装置10は、第1波長変換器40と第2波長変換器60を備えて構成される。また、波長変換装置10は、第1波長変換器40の入力側に、第1前段波長フィルタ(OBF1:Optical Band−pass Filter 1)20を具えている。この波長変換装置10は、入力光に対して全波長シフト量Δλの波長シフトを行う。
【0042】
第1波長変換器40は、第1光増幅器(P1)42、第2前段波長フィルタ(OBF2)44、第1分散フラットファイバ(DFF1)46及び第1波長フィルタ(OBF3)48を有している。
【0043】
第2波長変換器60は、第2光増幅器(P2)62、第2分散フラットファイバ(DFF2)66及び第2波長フィルタ(OBF4)68を有している。
【0044】
第1前段波長フィルタ20及び第2前段波長フィルタ44は、第1光増幅器42の入力端及び出力端にそれぞれ設けられていて、入力光S11に含まれる自然放出光(ASE)雑音を除去する。
【0045】
ここで、第1前段波長フィルタ20を、透過帯域幅(BW)が3nmである2次スーパーガウシアン形状のフィルタとする。なお、m次スーパーガウシアン形状は、f(t)=exp{−t^(2m)}の関数で表わされる。
【0046】
また、第2前段波長フィルタ44を、透過帯域幅(BW)が3nmであるガウシアン形状のフィルタとする。
【0047】
第1光増幅器42は、第1前段波長フィルタ20を経て第1波長変換器40に入力された入力光(図中、矢印S21で示す。)を所望の光強度に増幅して、第1増幅光(図中、矢印S43で示す。)を生成する。この第1光増幅器42での増幅の際に付加されたASE雑音は、第2前段波長フィルタ44で除去される。
【0048】
第1分散フラットファイバ(DFF1)46は、自己位相変調(SPM)効果により、第2前段波長フィルタ44を経て送られた第1増幅光(図中、矢印S45で示す。)の波長スペクトル幅を広げて第1ファイバ出力光(図中、矢印S47で示す。)を生成する。
【0049】
第1波長フィルタ48は、第1ファイバ出力光S47の所定の波長帯域を透過させて第1波長変換光(図中、矢印S49で示す。)を生成する。ここでは、第1波長フィルタ48を、透過帯域幅(BW)が3nmであるガウシアン形状のフィルタとしている。また、透過帯域幅(BW)の中心波長λ1を、入力光の中心波長λ0に対して、第1波長シフト量Δλ1(=λ1−λ0)だけ変化させている。
【0050】
図2を参照して、第1波長変換器40における波長スペクトルについて説明する。図2は、第1波長変換器40における波長スペクトルの計算結果を示す図である。ここで、第1分散フラットファイバを、長さ1km、分散−0.15ps/nm/km、及び非線形定数10km−1−1の分散フラットファイバとし、第1光増幅器42の出力パワーを23dBmとしている。図2では、横軸に、第1波長変換器40に入力される入力光S21の中心波長λ0を基準とした相対波長(nm)を取って示し、縦軸に、光強度(dBm)を取って示している。
【0051】
第1分散フラットファイバ46の出力である第1ファイバ出力光S47は、入力光S21に対して、波長スペクトル幅が広がっている。なお、第1ファイバ出力光S47の中心波長は、入力光とほぼ一致している。
【0052】
ここでは、第1波長シフト量Δλ1を1nmとして、入力光S21の中心波長λ0に対して、長波長側に波長シフトさせている。すなわち、第1波長フィルタ48(第1波長変換光S49)の中心波長λ1は、λ1=λ0+1で与えられる。
【0053】
図3は、入力光S21と第1波長変換光S49のアイパターンを示す図である。図3(A)は、入力光S21のアイパターンを示し、図3(B)は、第1波長変換光S49のアイパターンを示している。
【0054】
図3(A)と図3(B)を比較すると、図3(B)に示す第1波長変換光S49は、図3(A)に示す入力光S21と比べて、非対称な形状となっているが、パルス幅が狭くなっている。
【0055】
このパルス幅が狭くなっていることにより、第2波長変換器60において、より効率的かつ質の良い波長変換光を得ることができる。例えば、データレートが160Gbpsの場合、入力光のパルス幅は2〜3psのとき、第1波長変換光S49のパルス幅は、1〜1.5psに設定される。
【0056】
第2光増幅器62は、第2波長変換器60に入力された第1波長変換光S49を所望の光強度に増幅して、第2増幅光(図1中、矢印S63で示す。)を生成する。第2分散フラットファイバ66は、自己位相変調(SPM)効果により、第2増幅光S63の波長スペクトル幅を広げて第2ファイバ出力光(図1中、矢印S67で示す。)を生成する。
【0057】
第2波長フィルタ68は、第2ファイバ出力光S67の所定の波長帯域を透過させて第2波長変換光(図1中、矢印S69で示す。)を生成する。ここでは、第2波長フィルタ68は、透過帯域幅(BW)が1.3nmであるガウシアン形状のフィルタとしている。
【0058】
また、透過帯域幅(BW)の中心波長λ2を、第1波長変換光S49の中心波長λ1に対して、第2波長シフト量Δλ2(=λ2−λ1)だけ変化させている。
【0059】
この波長変換装置10は、第1波長変換器40と第2波長変換器60の2段の波長変換により、全波長シフト量Δλに対応する波長シフトを実現する。すなわち、Δλ1+Δλ2=Δλとなる。
【0060】
また、第1波長シフト量Δλ1と第2波長シフト量Δλ2の一方を正とし、他方を負として、Δλ1×Δλ2<0を満たすように設定する。この実施形態では、第1波長シフト量Δλ1が正(Δλ1>0)、すなわち、長波長側への波長シフトとしている。従って、第2波長シフト量Δλ2を負(Δλ2<0)、すなわち、短波長側への波長シフトとする。また、第2波長変換器60での波長シフトの大きさ(|Δλ2|)を、第1波長変換器での波長シフトの大きさ(|Δλ1|)よりも大きくする(|Δλ1|<|Δλ2|)。
【0061】
図4を参照して、第2波長変換器60における波長スペクトルについて説明する。図4は、第2波長変換器60における波長スペクトルの計算結果を示す図である。ここで、第2分散フラットファイバ66を、第1分散フラットファイバ46と同一の構成とし、第2光増幅器62の出力パワーを26dBmとしている。図4では、横軸に、第1波長変換器40に入力される入力光S21の中心波長λ0を基準とした相対波長(nm)を取って示し、縦軸に、光強度(dBm)を取って示している。なお、ここでは、入力される160Gbpsのパルス幅と、第2波長変換光S69のパルス幅がほぼ等しくなるように、第2波長フィルタを、帯域幅1.3nmのガウシアン形状としている。
【0062】
第2分散フラットファイバ66の出力である第2ファイバ出力光S67は、第1波長変換光S49に対して、波長スペクトル幅が広がっている。ここで、第2ファイバ出力光S67のスペクトル形状は、入力される第1波長変換光S49の非対称性を反映して非対称となっている。第2ファイバ出力光S67の波長スペクトルを見ると、相対波長が負の領域、すなわち、第1波長変換器40における波長シフト方向(長波長側)とは、逆の波長領域(短波長側)において、非常に平坦性に優れた波形となっていることがわかる。図4に示すスペクトルでは、長波長側(相対波長が正の領域)では、強度(dBm)の変動が大きい。これに対し、短波長側(相対波長が負の領域)では、強度の変動は小さく、少なくとも、相対波長−10nm程度までは平坦な形状になっている。
【0063】
このことは、第2波長フィルタ68の中心波長λ2を、Δλ1×Δλ2<0の条件を満足するように設定することにより、品質に優れた第2波長変換光S69が得られることを示している。また、第1波長シフト量Δλ1に比べて、第2波長シフト量Δλ2を大きくできるので、効率的に波長変換を行えることがわかる。
【0064】
すなわち、Δλ1=1nm及びΔλ2=−10nmの2段階の波長変換で、全体として、Δλ=Δλ1+Δλ2=−9nmの波長シフトが可能になる。
【0065】
図5は、第1波長変換光と第2波長変換光のアイパターンを示す図である。図5(A)は、第1波長変換光S49のアイパターンを示し、図5(B)は、第2波長変換光S69のアイパターンを示している。
【0066】
第2波長変換光S69では波形劣化は見られず、第2波長変換光S69は、極めて良好なアイ開口を示している。この結果、データレートが160Gbpsの場合に、分散フラットファイバの分散値が−0.15ps程度であっても、優れた波形整形効果を示す。
【0067】
一般に、分散フラットファイバ(DFF)中での非線形光学効果の程度は、ファイバの伝播損失及び分散の影響を考慮しなければ、DFFの長さLと、非線形定数γと、入力される光信号のピーク電力Pの積で規格化される。
【0068】
例えば、第1及び第2分散フラットファイバを、長さ1km、分散−0.15ps/nm/km、及び非線形定数10km−1−1としたとき、第1波長変換器40での波長シフトΔλ1を1nmとするために、第1分散フラットファイバ46への入力光の光強度を23dBmとしている。また、第2波長変換器60での波長シフトΔλ2を−10nmとするために、第2分散フラットファイバ66への入力光の光強度を、26dBmとしている。
【0069】
第1及び第2分散フラットファイバ46及び66に入力される光の光強度を、それぞれ23dBm及び26dBmとするために、図1に示した波長変換装置では、第1及び第2分散フラットファイバ46及び66の前段に、それぞれ第1光増幅器42及び第2光増幅器62を設けている。
【0070】
(実施形態)
図6を参照して、この発明の波長変換装置について説明する。図6は、この発明の波長変換装置の一実施形態を説明するための模式図である。
【0071】
光増幅器として一般的なエルビウム添加光ファイバ増幅器(EDFA)は、1台以上の励起光源とその駆動回路、1台以上のアイソレータ、利得媒体である、長さが数10mのエルビウム添加光ファイバなどから構成される。光増幅器の小型化には限界があるため、波長変換装置の小型化を図るには、波長変換装置が備える光増幅器の個数を減らすのが有効である。
【0072】
そこで、この実施形態の変換波長装置では、第2波長変換器を、光増幅器非含有としている。
【0073】
この実施形態の波長変換装置12は、第1波長変換器40と第2波長変換器80を備えて構成される。また、波長変換装置12は、第1波長変換器40の入力側に、第1前段波長フィルタ(OBF1)20を具えている。この波長変換装置12は、入力光に対して全波長シフト量Δλの波長シフトを行う。
【0074】
ここでは、波長変換装置12への入力光(図中、矢印S11で示す。)は、伝送速度が160Gbpsであり、かつ、パルス幅が2.5psであるRZ信号であるものとする。
【0075】
第1波長変換器40は、第1光増幅器(以下、単に光増幅器と称する。)42、第2前段波長フィルタ(OBF2)44、第1分散フラットファイバ(DFF1)46及び第1波長フィルタ(OBF3)48を有している。
【0076】
第2波長変換器80は、可変光減衰器(VOA)82、第2分散フラットファイバ(DFF2)86及び第2波長フィルタ(OBF4)88を有している。
【0077】
第1前段波長フィルタ20及び第2前段波長フィルタ44は、光増幅器42の入力端及び出力端にそれぞれ設けられていて、入力光S11に含まれる自然放出光(ASE)雑音を除去する。
【0078】
ここでは、第1前段波長フィルタ20を、透過帯域幅(BW)が3nmである2次スーパーガウシアン形状のフィルタとしている。また、第2前段波長フィルタ44を、透過帯域幅(BW)が3nmであるガウシアン形状のフィルタとしている。
【0079】
光増幅器42は、第1前段波長フィルタ20を経て第1波長変換器40に入力された入力光(図中、矢印S21で示す。)を所望の光強度に増幅して、第1増幅光(図中、矢印S43で示す。)を生成する。この光増幅器42での増幅の際に付加されたASE雑音は、第2前段波長フィルタ44で除去される。
【0080】
第1分散フラットファイバ(DFF1)46は、自己位相変調(SPM)効果により、第2前段波長フィルタ44を経て送られた第1増幅光(図中、矢印S45で示す。)の波長スペクトル幅を広げて第1ファイバ出力光(図中、矢印S47で示す。)を生成する。
【0081】
第1波長フィルタ48は、第1ファイバ出力光S47の所定の波長帯域を透過させて第1波長変換光(図中、矢印S49で示す。)を生成する。ここでは、第1波長フィルタ48は、透過帯域幅(BW)が3nmであるガウシアン形状のフィルタである。また、透過帯域幅(BW)の中心波長λ1を、入力光の中心波長λ0に対して、第1波長シフト量Δλ1(=λ1−λ0)だけ変化させている。
【0082】
ここでは、第1波長シフト量Δλ1を1nmとして、入力光S21の中心波長λ0に対して、長波長側に波長シフトさせている。すなわち、第1波長フィルタ48(第1波長変換光S49)の中心波長λ1は、λ1=λ0+1で与えられる。
【0083】
可変光減衰器(VOA:Variable Optical Attenuator)82は、第1波長変換光の光強度を、第2分散フラットファイバでの非線形光学効果に好適な強度に減衰させて、可変減衰光(図6中、矢印S83で示す。)を生成した後、第2分散フラットファイバ86に送る。なお、第1波長変換光の光強度を減衰する必要が無い場合は、可変光減衰器82での減衰量を0としても良い。また、可変光減衰器82を設けない構成としても良い。
【0084】
第2分散フラットファイバ86は、自己位相変調(SPM)効果により、可変減衰光S83の波長スペクトル幅を広げて第2ファイバ出力光(図6中、矢印S87で示す。)を生成する。
【0085】
第2波長フィルタ88は、第2ファイバ出力光S87の所定の波長帯域を透過させて第2波長変換光(図6中、矢印S89で示す。)を生成する。ここでは、第2波長フィルタ88は、透過帯域幅(BW)が1.3nmであるガウシアン形状のフィルタとしている。
【0086】
また、透過帯域幅(BW)の中心波長λ2を、第1波長変換光S49の中心波長λ1に対して、第2波長シフト量Δλ2(=λ2−λ1)だけ変化させている。
【0087】
この波長変換装置12は、第1波長変換器40と第2波長変換器80の2段の波長変換により、全波長シフト量Δλに対応する波長シフトを実現する。すなわち、Δλ1+Δλ2=Δλとなる。
【0088】
また、第1波長シフト量Δλ1と第2波長シフト量Δλ2の一方を正とし、他方を負として、Δλ1×Δλ2<0を満たすように設定する。この実施形態では、第1波長シフト量Δλ1が正(Δλ1>0)、すなわち、長波長側への波長シフトとしている。従って、第2波長シフト量Δλ2を負(Δλ2<0)、すなわち、短波長側への波長シフトとする。また、第2波長変換器80での波長シフトの大きさ(|Δλ2|)を、第1波長変換器40での波長シフトの大きさ(|Δλ1|)よりも大きくする(|Δλ1|<|Δλ2|)。
【0089】
すなわち、Δλ1=1nm及びΔλ2=−10nmの2段階の波長変化で、全体として、Δλ=Δλ1+Δλ2=−9nmの波長シフトが可能になる。
【0090】
以上説明したように、この実施形態の波長変換装置によれば、第1波長変換器における第1波長シフト量Δλ1と第2波長変換器における第2波長シフト量Δλ2を、Δλ1×Δλ2<0及び|Δλ1|<|Δλ2|を満たすように設定している。
【0091】
このように設定すると、第2ファイバ出力光は、第1波長変換における波長シフト方向とは、逆の波長領域において、平坦性に優れた波形となり、第2波長フィルタでは、この平坦性に優れた領域を透過させるので、品質に優れた波長変換光が得られる。
【0092】
また、第1波長変換における波長シフト方向とは逆の波長領域において、平坦性に優れた波形となることから、第2波長シフト量Δλ2を大きくすることが可能となる。この結果、例えば10nmの波長シフトを従来5段の波長変換を行っているのに対し、2段の波長変換で行うことができる。
【0093】
さらに、2段の波長変換を行うに際し、1台の光増幅器を用いて行うので、装置サイズの小型化や省電力化を達成することができる。
【0094】
上述した実施形態は、単なる一例であって、何らこの条件に限定されるものではない。例えば、第1及び第2前段波長フィルタと、第1及び第2波長フィルタの透過帯域の形状及び幅は、入力される光パルスの幅などに応じて、任意好適に設定すれば良い。また、第1波長シフト量及び第2波長シフト量についても、所望の波長シフト量Δλに合わせて、Δλ1+Δλ2<Δλ、Δλ1×Δλ2<0及び|Δλ1|<|Δλ2|を満たす好適な組合せを採用すれば良い。
【0095】
また、可変光減衰器82は、その本体が、最も長い辺の長さが5〜6cm又はそれ以下の直方体程度の大きさであり、本体に入出力インタフェースとしてピグテイルファイバが取り付けられて構成される。可変光減衰器は、一般的なEDFAに比べて小型であり、可変光減衰器の体積は、一般的なEDFAの5%以下になると考えられる。このため、可変光減衰器を、第2波長変換器に設けた場合であっても、波長変換装置の装置サイズに与える影響は無視できる。
【0096】
(実施例1)
第1及び第2分散フラットファイバ46及び86を、長さ1km、分散−0.15ps/nm/km、及び非線形定数10km−1−1としたとき、第1波長変換器40での波長シフトΔλ1=1nmとするには、光増幅器42により、第1分散フラットファイバ46に入力される光信号の光強度を23dBmとすればよい。一方、第2波長変換器80での波長シフトΔλ2=−10nmとするには、第2分散フラットファイバ86への入力光の光強度が、26dBmであることが要求される。しかし、第1分散フラットファイバ46に入力される光信号の光強度を23dBmとしたとき、第1波長変換光S49の光強度は、約17dBmであり、第2分散フラットファイバへの入力として要求される光強度に対して約9dB不足している。すなわち、第1波長変換光S49の光強度は、要求される光強度の1/8程度になってしまう。
【0097】
非線形光学効果の程度は、長さL、非線形定数γ、及び、入力される光信号のピーク電力P0の積で規格化される。
【0098】
そこで、第2分散フラットファイバとして、長さLが1kmであり、かつ、非線形定数γが、第1分散フラットファイバ46の8倍の80km−1−1であるファイバを用意する。この長さLが1kmであり、非線形定数γが80km−1−1の分散フラットファイバに、17dBmの光強度の光を入力すると、非線形定数γが10km−1−1の分散フラットファイバに26dBmの光を入力した場合と同様の非線形光学効果を得ることができる。
【0099】
図7(A)は、第1波長変換光S49のアイパターンを示し、図7(B)は、第2波長変換光S89のアイパターンを示す図である。このとき、可変光減衰器82の減衰量は0としている。図7(B)に示されるように、第2波長変換光S89では波形劣化は見られず、第2波長変換光S89は、極めて良好なアイ開口を示している。このように、データレートが160Gbpsの場合に、分散フラットファイバの分散値が−0.15ps程度であっても、優れた波形整形効果が得られる。
【0100】
(実施例2)
第2分散フラットファイバの非線形定数γを、第1波長変換器の特性に合わせて、最適化することは困難な場合がある。その場合、第1波長変換光の光強度を可変光減衰器で所望の強度に減衰させた後、第2分散フラットファイバに送る。
【0101】
例えば、第2分散フラットファイバ86として、非線形定数γが80km−1−1よりも大きいもの、例えば、非線形定数γが100km−1−1であるものを選択する。
【0102】
ここで、第1波長変換器40の構成を実施例1と同様に構成すると、第1波長変換光の光強度は約17dBmであり、第2分散フラットファイバ86で所望の非線形光学効果を得られる光強度より1dB程度大きくなる。そこで、可変光減衰器82では、第1波長変換光の光強度を1dB程度減衰させて、最適な光強度となるように微調整する。
【0103】
このように、可変光減衰器82を第2分散フラットファイバ86の前段に設けることで、第2分散フラットファイバ86の非線形定数を、最適化することが困難な場合であっても、第2分散フラットファイバ86に入力される光強度を最適に設定することが可能になる。
【0104】
分散フラットファイバ中での非線形光学効果の程度は、ファイバの伝播損失及び分散の影響を無視すると、ファイバの長さLと、非線形定数γと、入力される光信号のピーク電力Pの積で規格化されるので、入力される光信号の光強度が同じ場合、非線形光学効果の程度は、非線形定数γとファイバの長さLとの積で規格化されることになる。従って、所望の非線形定数γ、ここではγ=100km−1−1の分散フラットファイバの入手が困難な場合は、長さLを長くしてもよい。
【0105】
例えば、長さLが1kmで、非線形定数γが100km−1−1の分散フラットファイバと、長さLが2kmで、非線形定数γが50km−1−1の分散フラットファイバとは、同様の非線形光学効果を示すことになる。
【0106】
なお、分散フラットファイバの長さLを2倍にしたときに、分散と非線形光学効果の相互作用(SPM−GVD効果)を同等に保つため、波長分散Dを1/2にする必要がある。このとき、第2分散フラットファイバを、長さL=2km、波長分散D=−0.075ps/nm/km及び非線形定数γ=50km−1−1にすればよい。
【0107】
また、分散フラットファイバの非線形光学効果が、非線形定数γと長さLとピーク電力Pの積で規格化されることを利用すれば、第1分散フラットファイバの長さLを短くすることにより、第1波長変換に必要な光強度を大きくすることができる。例えば、第1分散フラットファイバの長さLを0.5kmとすると、第1波長変換に必要な光強度は、2倍となり、およそ26dBmになる。この結果、第1波長変換光の光強度が大きくなり、例えば、第2分散フラットファイバとして非線形定数γの小さなものを用いることができる。なお、第1分散フラットファイバの長さを2分の1にした場合、SPM−GVD効果を同等に保つためには、波長分散Dを2倍にする必要がある。
【0108】
そこで、第1分散フラットファイバとして、例えば、非線形定数γ1=10km−1−1で、長さL1=0.375km、分散D1=−0.4ps/nm/kmのファイバを選択する。また、第2分散フラットファイバとして、非線形定数γ2=35km−1−1で、長さL2=1km、分散D2=−0.15ps/nm/kmのファイバを選択する。
【0109】
光増幅器により増幅され、第1分散フラットファイバに入力される光信号の強度を27dBmとし、可変光減衰器での減衰量を1dBとする。このときの、アイパターンを図8に示す。
【0110】
図8(A)は、第1波長変換光S49のアイパターンを示し、図8(B)は、第2波長変換光S89のアイパターンを示す。図8に示されるように、第2波長変換光S89では波形劣化は見られず、第2波長変換光S89は、極めて良好なアイ開口を示している。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】2段階の波長変換の原理を説明するための模式図である。
【図2】第1波長変換器における波長スペクトルの計算結果を示す図である。
【図3】入力光及び第1波長変換光のアイパターンを示す図である。
【図4】第2波長変換器における波長スペクトルの計算結果を示す図である。
【図5】第1波長変換光及び第2波長変換光のアイパターンを示す図である。
【図6】波長変換装置を説明するための模式図である。
【図7】第1及び第2波長変換光のアイパターンを示す図(1)である。
【図8】第1及び第2波長変換光のアイパターンを示す図(2)である。
【図9】従来のDPSK信号再生器を説明するための模式図である。
【図10】全光波長変換器の構成を示す模式図である。
【図11】全光波長変換器における波長変換を示す図(1)である。
【図12】全光波長変換器における波長変換を示す図(2)である。
【符号の説明】
【0112】
10、12 波長変換装置
20 第1前段波長フィルタ(OBF1)
40 第1波長変換器
42 第1光増幅器(P1)
44 第2前段波長フィルタ(OBF2)
46 第1分散フラットファイバ(DFF1)
48 第1波長フィルタ(OBF3)
60、80 第2波長変換器
62 第2光増幅器(P2)
66、86 第2分散フラットファイバ(DFF2)
68、88 第2波長フィルタ(OBF4)
82 可変光減衰器(VOA)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力光に対して、波長シフト量Δλの波長シフトを与える波長変換装置であって、
前記入力光を増幅して増幅光を生成する光増幅器、前記増幅光の波長スペクトル幅を広げて第1ファイバ出力光を生成する第1分散フラットファイバ、及び、前記第1ファイバ出力光の所定の波長帯域を透過させて第1波長変換光を生成する第1波長フィルタを有していて、前記第1波長変換光の中心波長を、前記入力光の中心波長に対して第1波長シフト量Δλ1だけ変化させる第1波長変換器と、
前記第1波長変換光の波長スペクトル幅を広げて第2ファイバ出力光を生成する第2分散フラットファイバ、及び、前記第2ファイバ出力光の所定の波長帯域を透過させて第2波長変換光を生成する第2波長フィルタを有していて、前記第2波長変換光の中心波長を、前記第1波長変換光の中心波長に対して第2波長シフト量Δλ2だけ変化させる、光増幅器非含有の第2波長変換器と
を備え、
前記第1波長シフト量Δλ1及び前記第2波長シフト量Δλ2が、Δλ1+Δλ2=Δλ、Δλ1×Δλ2<0及び|Δλ1|<|Δλ2|を満たす
ことを特徴とする波長変換装置。
【請求項2】
前記第2波長変換器が、可変光減衰器を備え、
該可変光減衰器は、前記第1波長変換光の光強度を減衰させた後、前記第2分散フラットファイバに送る
ことを特徴とする請求項1に記載の波長変換装置。
【請求項3】
前記光増幅器の入力側及び出力側にさらに波長フィルタを備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の波長変換装置。
【請求項4】
光増幅器、第1分散フラットファイバ、及び、第1波長フィルタを有していて、入力光の中心波長に対して第1波長シフト量Δλ1だけ変化させた第1波長変換光を生成する第1波長変換器と、
第2分散フラットファイバ、及び、第2波長フィルタを有していて、前記第1波長変換光の中心波長に対して第2波長シフト量Δλ2だけ変化させた第2波長変換光を生成する光増幅器非含有の第2波長変換器と
を備える波長変換装置において、入力光に対して、波長シフト量Δλの波長シフトを与える波長変換方法であって、
前記光増幅器で、前記入力光を増幅して増幅光を生成する過程と、
前記第1分散フラットファイバで、前記増幅光の波長スペクトル幅を広げて第1ファイバ出力光を生成する過程と、
前記第1波長フィルタで、前記第1ファイバ出力光の所定の波長帯域を透過させて第1波長変換光を生成する過程と、
前記第2分散フラットファイバで、前記第1波長変換光の波長スペクトル幅を広げて第2ファイバ出力光を生成する過程と、
前記第2波長フィルタで、前記第2ファイバ出力光の所定の波長帯域を透過させて第2波長変換光を生成する過程と
を備え、
前記第1波長シフト量Δλ1及び前記第2波長シフト量Δλ2が、Δλ1+Δλ2=Δλ、Δλ1×Δλ2<0及び|Δλ1|<|Δλ2|を満たす
ことを特徴とする波長変換方法。
【請求項5】
前記第2波長変換器が可変光減衰器を備え、
前記第2分散フラットファイバは、前記可変光減衰器において減衰した第1波長変換光の波長スペクトル幅を広げて第2ファイバ出力光を生成する
ことを特徴とする請求項4に記載の波長変換方法。

【図1】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−139534(P2010−139534A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312966(P2008−312966)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成19年度独立行政法人情報通信研究機構「λユーティリティ技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受けるもの)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】