説明

波長選択スイッチ及び波長選択スイッチ用光学ユニット

【課題】偏向部を容易に取り替えることが可能な波長選択スイッチ及び波長選択スイッチ用光学ユニットを提供する。
【解決手段】本発明に係る波長選択スイッチ用光学ユニット125は、少なくとも一つの入力ポート109と、該入力ポート109から入力された入力光を波長分散させる分散部113と、該分散部113により分散される光を集光する集光素子115と、少なくとも一つの出力ポート110と、入力ポート109、分散部113、集光素子115及び出力ポート110を密閉する筐体101とを備え、筐体101は、集光素子115により集光された光が入射する位置に光学的に透明な透明部が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長選択スイッチ及び波長選択スイッチ用光学ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、サービスエリアの広がりを見せる光ファイバネットワークでは、大量のデータ通信を可能とするため、WDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重)技術が用いられ、それぞれの光ファイバには波長多重された光が伝送されている。このような光信号を分岐または結合するための光スイッチにおいては、多重された波長ごとにスイッチングが行える波長選択スイッチが必要となる。
【0003】
波長選択スイッチは、光信号を入力するための入力ポート、入力ポートにより出射された光束をコリメートするコリメータレンズ、そのコリメート光を波長分散させる分散部(回折格子)、分散された光束を集光する集光レンズ、分散・集光されたそれぞれの波長の光束を任意の出力ポートに入射するようにそれぞれの光束の進路方向を変更する偏向部などを備えるものである。また、上記の例とは逆に複数の光信号を入力する入力ポートからの信号光を多重されたそれぞれの波長に分散させ、選択的にひとつの出力ポートへと結合するような波長選択スイッチも必要となる。
【0004】
それらの波長選択スイッチは、高い信頼性を求められる光通信網の主要デバイスであり長期間に亘り安定に動作することが要求されるため、従来、波長選択スイッチの構成部品は、筐体に組み込まれ、ハーメチックシール(気密封止)されることが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−145887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、波長選択スイッチの構成部品が全て一つの筐体で封止された場合、各構成部品の寿命はそれぞれ異なるにも関わらず、いずれか1つでも故障すると、筐体単位で取り替えなければならない。構成部品の中では、唯一の可動部である偏向部は、他の構成部品に比べ故障する可能性が高い。そのため、波長選択スイッチに故障が生じる場合の多くの原因は偏向部起因の可能性が高く、そのような場合には偏向部を取替え、修理を行うことが考えられる。しかしながら、偏向部が気密封止筐体に入っている場合、もしくは偏向部が気密封止筐体の一部となっている場合には、偏向部を取り外すと光学系の気密封止が開放されてしまい、光学部品へのゴミ付着、湿気にさらされる等の問題が生じるため、偏向部の取り外し、交換は困難であり、したがって、故障した波長選択スイッチは筐体単位で交換することになる。非常にクリーン度が高く、湿気がコントロールされた部屋で偏向部を交換することも考えられるが、偏向部取り外しで発生するゴミ、埃を光学系に付着させることなく作業を行うことは非常に困難である。
【0007】
従って、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、偏向部を容易に取り替えることが可能な波長選択スイッチ及び波長選択スイッチ用光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した諸課題を解決すべく、第1の観点による波長選択スイッチ用光学ユニットは、
少なくとも一つの入力ポートと、
該入力ポートから入力された入力光を波長分散させる分散部と、
該分散部により分散される光を集光する集光素子と、
少なくとも一つの出力ポートと、
前記入力ポート、前記分散部、前記集光素子及び前記出力ポートを密閉する筐体と
を備え、
前記筐体は、前記集光素子により集光された光が入射する位置に光学的に透明な透明部が形成されている波長選択スイッチ用光学ユニットである。
【0009】
また、前記透明部は、前記集光素子からの光束に対して傾いていることが好ましい。
【0010】
また、前記透明部は、前記筐体に形成された封止窓であることが好ましい。
【0011】
また、前記透明部は、前記筐体に形成されたプレートであり、前記入力ポート、前記分散部、前記集光素子及び前記出力ポートは、前記プレート上に配置されていることが好ましい。
【0012】
また、前記プレートは、石英からなることが好ましい。
【0013】
また、前記波長選択スイッチ用光学ユニットは、前記筐体の外側に設けられ、光を偏向する偏向部を取り付けるための取付部材を備えることが好ましい。
【0014】
また、第2の観点による波長選択スイッチは、
前記波長選択スイッチ用光学ユニットと、
前記筐体の外側に取り付けられ、前記集光素子により集光される光を前記集光素子に向けて偏向する偏向部と、
を備えた波長選択スイッチである。
【0015】
また、第3の観点による波長選択スイッチは、
筐体の外側に設けられ、光を偏向する偏向部を取り付けるための取付部材を備える前記波長選択スイッチ用光学ユニットと、
前記偏向部と、を備え
前記偏向部は、前記筐体の外側に取り付けられ、前記集光素子により集光される光を前記集光素子に向けて偏向する波長選択スイッチである。
【0016】
また、前記偏向部は、光束が通過する部位が透明部材で構成されたパッケージに、光偏向機能を有した素子がマウントされて構成され、前記筐体の前記透明部に前記パッケージの透明部材が取り付けられていることが好ましい。
【0017】
また、前記筐体の前記透明部と前記偏向部の透明部材とは、使用波長において光学的に透明な接着剤で取り付けられていることが好ましい。
【0018】
また、前記偏向部は、前記筐体にねじ止めされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
上記のように構成された本発明にかかる波長選択スイッチ及び波長選択スイッチ用光学ユニットによれば、偏向部は筐体の外側に取り付けられている。これにより、使用者は、光学部材の気密封止を保ったまま偏向部を容易に取り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る概略的な波長選択スイッチの構成図である。
【図2】図2は、図1に示される波長選択スイッチの波長選択スイッチ用光学ユニットの構成図である。
【図3】図3は、図1に示される波長選択スイッチの変形例である。
【図4】図4は、図1に示される波長選択スイッチの変形例である。
【図5】図5は、本発明の第2の実施形態に係る概略的な波長選択スイッチの構成図である。
【図6】図6は、図5に示される波長選択スイッチの波長選択スイッチ用光学ユニットの構成図である。
【図7】図7は、図5に示される波長選択スイッチの変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る概略的な波長選択スイッチの構成図である。本実施形態の波長選択スイッチ11は、筐体101と、筐体101内に組み立てられた光学系103と、筐体101の外側に着脱可能に取り付けられた偏向部105とを有すものである。
【0023】
筐体101は、偏向部105の取付部分に設けられた光学的に透明な封止窓107を有し、密閉構造になっている。封止窓107は、光学面127を有する。また、封止窓107は、例えば、ガラスで構成され、筐体101の封止窓107以外の部分は、例えば、金属で構成されている。そして、筐体101全体は、例えば、ハーメチックシールされ、優れた気密性が実現されている。
【0024】
光学系103は、少なくとも1つの入力ポート109と、少なくとも1つの出力ポート110と、マイクロレンズアレイ111と、分散部113と、集光素子115と、ミラー117とを有する。光学系103の構成要素は、プレート119上に取り付けられるものであり、プレート119は、例えば、金属や石英からなるものである。プレート119は高温、低温中での光学部品の相対的な位置ずれを抑制することができる線膨張の小さな材質から構成されるとなお良い。なお、図1において、入力ポート109および出力ポート110を含む3つのポートが図示されているが、ポートの個数は3つに限定されない。
【0025】
入力ポート109は、波長多重された光を波長選択スイッチ11に入力するためのものである。また、出力ポート110は、入力ポート109から入射した光が、波長毎に経路が切り替えられた後、信号光として出射させるためのものである。入力ポート109及び出力ポート110は、光ファイバ又は光導波路などにより形成されるものである。そして、本願においては、当該光ファイバ又は光導波路の先端近傍を、特に、入力ポート109または出力ポート110として説明する。少なくとも1つの入力ポート109と少なくとも1つの出力ポート110とを組み合わせて、ポートアレイを形成することができ、組み合わせ方により、単ポートの入力ポート及び多ポートの出力ポートを有するポートアレイ、多ポートの入力ポート及び単ポートの出力ポートを有するポートアレイ及び多ポートの入力ポート及び多ポートの出力ポートを有するポートアレイを実現することができる。なお、図1では、光ファイバ又は光導波路のうち、先端近傍である入力ポート109または出力ポート110のみを図示している。実際には、図示された入力ポート109および出力ポート110からは、それぞれ光ファイバ又は光導波路が延出している。そして、当該光ファイバ又は光導波路は、ファイバアレイ、光導波路として、筐体101の外部に延出される。ここで、筐体101に形成されたファイバアレイを通すための貫通孔と、ファイバアレイとは、隙間がない状態で、配置されている。このため、ファイバアレイが筐体外部に延びているにもかかわらず、筐体101内部は、密閉状態が保たれている。
【0026】
マイクロレンズアレイ111は、入力ポート109及び出力ポート110と対になるマイクロレンズがアレイ状に配置されているものである。マイクロレンズアレイ111は、入力ポート109から入射された入力光を平行光束に変換するとともに、光偏向部105から帰ってきた光を出力ポート110に収束させる。
【0027】
分散部113は、マイクロレンズアレイ111により平行にされた光を、波長毎に分散するためのものであり、例えば、透過型の分散素子(グレーティング)で構成される。なお、分散部113としては、リットマン−メトカルフ型の構成を有する分散素子を用いても良い。また、本実施形態では透過型の分散素子を用いたが、これに限られるものではなく、反射型回折格子、Grism、スーパープリズム等を用いることもできる。
【0028】
集光素子115は、例えば集光レンズであり、分散部113により波長毎に分散された光(分散光)を、偏向部105上の波長毎の所定の位置に集光させる。集光素子115には、集光ミラー、回折形集光素子等も用いることができる。
【0029】
ミラー117は、集光素子115からの光を反射させて、プレート119及び封止窓107を経て偏向部105に導くものである。そのため、プレート119が金属で形成されている場合は、プレート119には、ミラー117と封止窓107との間の光路を形成するための孔が設けられる。なお、プレート119が光学的に透明な部材、例えば石英で形成されている場合は、プレート119に光路用の孔を形成することを省略できる。なお、集光素子115からの光の進行方向上に偏向部105が設けられているため、ミラー117が必要になるが、本実施形態はこの態様に限定されるわけではない。集光素子115からの光の進行方向上に偏向部105が設けられている場合には、ミラー117を省略することができる。
【0030】
偏向部105は、ミラー117により反射された各分散光を所定の出力ポート110に入射させるために、分散光の光路を偏向するものである。本実施形態では、光学系103からの光は、封止窓107を透過して偏向部105に入射され、偏向部105により向きが偏向され、再び光学系103に戻ることになる。つまり、光学系103と偏向部105との間の光路は、封止窓107を透過して形成されることになる。光学系103に戻った光は、ミラー117、集光素子115、分散部113、マイクロレンズアレイ111を順々に通って波長に対応する出力ポート110に入射されることになる。
【0031】
偏向部105は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーアレイや反射型の液晶表示パネルであるLOCS(Liquid crystal on silicon)である。偏向部105がMEMSミラーアレイである場合、偏向部105は、波長に対応する複数のマイクロミラーがアレイ状に配置されているものである。各マイクロミラーは、ケーブル121からの電力供給により駆動され、これにより、ミラー自体の傾きを変え、波長毎に光の進行方向を変更する。
【0032】
偏向部105は、筐体101の外側に取り付けられているものである。偏向部105は、例えば、筐体101に取り付けられる取付部材123に接着固定されたり、ねじにより固定される。この時、偏向部105は固定部123なしに直接筐体101に取り付けられてもかまわない。
【0033】
このように本実施形態では、偏向部105は、筐体101の外側に取り付けられ、筐体101内の光学系103と偏向部105との間の光路は、光学的に透明な封止窓107を透過して形成されている。つまり、波長選択スイッチ11を構成する偏向部105は、筐体101の外側に位置し、筐体101の気密封止を保ったままでの取り外しが可能であるため、偏向部105が故障した場合、光学系への湿気、埃によるダメージに考慮することなく偏向部105を取り替えることができる。また、偏向部105の取り付けを失敗したような場合にも、一度取り外し、再度調整、固定が可能となる。偏向部105のみの取替及び調整が可能であるため、波長選択スイッチ11の他の構成部品を廃棄する必要がない。つまり、本実施形態における波長選択スイッチ11は、コスト面や環境面で優れている。
【0034】
更に、偏向部105はねじ止めにより取付部材123に固定することができるので、波長選択スイッチ11の使用者は、容易に偏向部105を取り外して、取り替えることができる。
【0035】
なお、取付部材123は、筐体101と独立していても、また、図2のように、筐体101に予め取り付けられ、光学系103を内包する筐体101と共に波長選択スイッチ用光学ユニット125を形成していてもよい。
【0036】
また、図3に示されるように、取付部材123を介さずに、偏向部105を封止窓107に取り付けることもできる。偏向部105は、光を偏向させるためのデバイスを埃などから保護するためのカバーガラス等で封止されていることが多いので、この保護ガラスと筐体101を気密封止している封止窓107とを光学的に透明な接着剤により接合することで、筐体101に固定することができる。
【0037】
なお、本実施形態において、図1を参照すると、封止窓107の光学面127は、光学系103からの光束に対して、垂直になるように図示されているが、本実施形態は、この態様に限定されるわけではない。例えば、光学面127を光学系103からの光束に対して傾けることもできる。光学面127を光学系103からの光束に対して垂直に配置した場合、光学面127での反射光は、入力ポート109から封止窓107に到る光の光路を逆に通って入力ポート109または出力ポート110に迷光として入射する可能性がある。このような場合、光信号のSN比(信号雑音比)の低下やクロストークの増大を招くことになる。そこで、光学面127を光学系103からの光束に対して傾けることにより、反射光の方向を変え、反射光が入力ポート109や出力ポート110に入射することを防ぐことができる。
【0038】
上述の実施形態では、光学系103をプレート119に固定するような構成になっていたが、これに限られるものではなく、図4のような変形例も考えられる。図4に示した構成では、光学系103は、筐体101もしくは、封止窓107上に固定されている。その他の構成は図1の例と同様である。このような構成にすることにより、プレート119を省略することができ、部品点数の削減により低コスト化が期待できる。図4では偏向部105を、取り付け部材123を介して取り付けているが、図3で示したように封止窓107に直接取り付けてもかまわない。
【0039】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る概略的な波長選択スイッチ構成図である。本実施形態の波長選択スイッチ21は、筐体201と、筐体201内に組み立てられた光学系203と、偏向部205とを有するものである。光学系203(少なくとも1つの入力ポート209と、少なくとも1つの出力ポート210と、マイクロレンズアレイ211と、分散部213と、集光素子215と、ミラー217を含む)と偏向部205とは、図1の光学系103(少なくとも1つの入力ポート109と、少なくとも1つの出力ポート110と、マイクロレンズアレイ111と、分散部113と、集光素子115と、ミラー117とを含む)と偏向部105と同じ機能を有するので、説明は省略する。
【0040】
筐体201は、その一部を光学的に透明なプレート219とするものであり、当該プレート上に組み立てられる光学系203を密閉するものである。プレート219は、例えば、石英からなるものである。
【0041】
入力ポート209から入射された入力光は、マイクロレンズアレイ211、分散部213及び集光素子215を通り、ミラー217により反射される。ミラー217により反射された光は、プレート219を透過して偏向部205に導かれ、偏向部205により向きが偏向され、再びミラー217(光学系203)に戻ることになる。つまり、光学系203と偏向部205との間の光路は、プレート219を透過して形成されることになる。光学系203に戻った光は、ミラー217、集光素子215、分散部213、ミラーアレイ211、出力ポート210を順々に通って出力光として出射されることになる。
【0042】
プレート219は、光学系203と偏向部205との間の光路が通る領域部分に、反射防止膜(図示せず)を設けることができる。これにより、プレート219で反射した不要光が光学系203のミラー217等を経由して入力ポート209、出力ポート210に入射する光量を軽減し、クロストーク、S/N低下の問題を防止することができる。
【0043】
第1の実施形態と同様、偏向部205は、筐体201の外側に着脱可能に取り付けられているものである。偏向部205は、例えば、プレート219の外側に取り付けられる取付部材223に接着固定またはねじ止めされる。このとき、偏向部205は取り付け部223なしに直接筐体201に取り付けられてもかまわない。
【0044】
このように本実施形態では、偏向部205は、筐体201の外側に取り付けられ、筐体201内の光学系203と偏向部205との間の光路は、光学的に透明なプレート219を透過して形成されている。つまり、波長選択スイッチ21を構成する偏向部205は、筐体201の外側に位置し、筐体201の気密封止を保ったままでの取り外しが可能であるため、偏向部205が故障した場合、光学系への湿気、埃によるダメージに考慮することなく偏向部205を取り替えることができる。したがって偏向部205の取り付けを失敗したような場合にも、一度取り外し、再度調整、固定が可能となる。偏向部205のみの取替及び調整が可能であるため、波長選択スイッチ21の他の構成部品を廃棄する必要がない。つまり、本実施形態における波長選択スイッチ21は、コスト面や環境面で優れている。更に、筐体201内の光学系203と、筐体201外の偏向部205との間の光路を実現するために、光学系203を取り付けるためのプレート219が有効に使用される。よって、第1の実施形態で記載されるような透明な封止窓の設置を省くことができるので、容易に波長選択スイッチを製造することができる。さらに、プレート219に石英等、線膨張の小さなガラスを用いることにより、高温時、低温時の相対的な光学部品の位置ずれ抑制し、信頼性をより向上できる。
【0045】
また、偏向部205はねじ止めにより取付部材223に固定された場合、波長選択スイッチ21の使用者は、容易に偏向部205を取り外して、取り替えることができる。
【0046】
なお、取付部材223は、筐体201と独立していても、また、図6のように、筐体201に予め取り付けられ、光学系203を含む筐体201と共に波長選択スイッチ用光学ユニット225を形成していてもよい。
【0047】
また、図7に示されるように、取付部材223を介さずに、偏向部205をプレート219に取り付けることもできる。偏向部223は、光を偏向させるためのデバイスを埃などから保護するためのカバーガラス等で封止されていることが多いので、この保護ガラスとプレート219とを光学的に透明な接着剤により接合することで、プレート219に固定することができる。
【0048】
なお、本実施形態において、図5を参照すると、プレート219の光学面227は、光学系203からの光束に対して、垂直になるように図示されているが、本実施形態は、この態様に限定されるわけではない。例えば、光学面227の光路通過部分を部分的に、研磨により光学系203からの光束に対して傾けることもできる。光学面227を光学系203からの光束に対して垂直に配置した場合、光学面227での反射光は、入力ポート209からミラー217に到る光の光路を逆に通って入力ポート209、または出力ポート210に迷光として入射する可能性がある。このような場合、光信号のSN比(信号雑音比)の低下やクロストークの増大を招くことになる。そこで、光学面227を光学系203からの光束に対して傾けることにより、反射光の方向を変え、反射光が入力ポート209や出力ポート210に入射されることを防ぐことができる。
【0049】
本発明を諸図面や実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0050】
例えば、各部材、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0051】
上述の本発明の第1及び第2の実施形態においては、光学系は、少なくとも1つの入力ポートと、少なくとも1つの出力ポートと、マイクロレンズアレイと、分散部と、集光素子と、ミラーとを有するものとして説明したが、本発明の光学系は更なる構成要素を含むことができる点に留意すべきである。例えば、光学系は、シリンドリカルレンズ、光の光路を調整する光路調整板などを有することができる。マイクロレンズアレイは、必ずしも配置しなくても構わない。また、入力ポートから入力される光束が、平行光束であるならば、必ずしも、マイクロレンズアレイ等のコリメート素子により、光束を平行にしなくても構わない。
【符号の説明】
【0052】
11、21 波長選択スイッチ
101、201 筐体
103、203 光学系
105、205 偏向部
107 封止窓
109、209 入力ポート
110、210 出力ポート
111、211 マイクロレンズアレイ
113、213 分散部
115、215 集光素子
117、217 ミラー
119、219 プレート
121、221 ケーブル
123、223 取付部材
125、225 波長選択スイッチ用光学ユニット
127、227 光学面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの入力ポートと、
該入力ポートから入力された入力光を波長分散させる分散部と、
該分散部により分散される光を集光する集光素子と、
少なくとも一つの出力ポートと、
前記入力ポート、前記分散部、前記集光素子及び前記出力ポートを密閉する筐体と
を備え、
前記筐体は、前記集光素子により集光された光が入射する位置に光学的に透明な透明部が形成されている波長選択スイッチ用光学ユニット。
【請求項2】
前記透明部は、前記集光素子からの光束に対して傾いている請求項1に記載の波長選択スイッチ用光学ユニット。
【請求項3】
前記透明部は、前記筐体に形成された封止窓である請求項1または2に記載の波長選択スイッチ用光学ユニット。
【請求項4】
前記透明部は、前記筐体に形成されたプレートであり、
前記入力ポート、前記分散部、前記集光素子及び前記出力ポートは、前記プレート上に配置されている請求項1または2に記載の波長選択スイッチ用光学ユニット。
【請求項5】
前記プレートは、石英からなる請求項4に記載の波長選択スイッチ用光学ユニット。
【請求項6】
前記筐体の外側に設けられ、光を偏向する偏向部を取り付けるための取付部材を備える請求項1から5に記載の波長選択スイッチ用光学ユニット。
【請求項7】
請求項1から5に記載の波長選択スイッチ用光学ユニットと、
前記筐体の外側に取り付けられ、前記集光素子により集光される光を前記集光素子に向けて偏向する偏向部と、
を備えた波長選択スイッチ。
【請求項8】
請求項6に記載の波長選択スイッチ用光学ユニットと、
前記偏向部と、を備え
前記偏向部は、前記筐体の外側に取り付けられ、前記集光素子により集光される光を前記集光素子に向けて偏向する波長選択スイッチ。
【請求項9】
前記偏向部は、光束が通過する部位が透明部材で構成されたパッケージに、光偏向機能を有した素子がマウントされて構成され、前記筐体の前記透明部に前記パッケージの透明部材が取り付けられている請求項7または請求項8に記載の波長選択スイッチ。
【請求項10】
前記筐体の前記透明部と前記偏向部の透明部材とは、使用波長において光学的に透明な接着剤で取り付けられている請求項9に記載の波長選択スイッチ。
【請求項11】
前記偏向部は、前記筐体にねじ止めされている請求項7から10に記載波長選択スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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