説明

注入装置

【課題】患者にとって取扱の快適さと安全性を向上させ、一方で単純な機構設計であるように注入装置を改良すること。
【解決手段】その相対的運動により活性物質の注入を行う複数の部材を含む注入装置である。カルプーレ/注射器を挿入、固定する収容部(103,203)がハウジング(101,201)内に保持され、収容部(103,203)はキャリッジ(108,208)により駆動され、収容部(103,203)にはカルプーレ/注射器のピストン(111A,111B;211)を押す押し込みロッド(104,204)が移動可能に保持されている。キャリッジ(108,208)に搭載されたローラ(109,209)により偏向された牽引ロープ(114,214)が穿刺行程、注入行程、復帰行程を行うために配置されている。牽引ロープ(114,214)の一端は収容部(103,203)に接続され、他端はハウジング(101,201)に固定された引張スプリング(110,210)に接続されている。ハウジング(101,201)、収容部(103,203)、押し込みロッド(104,204)、キャリッジ(108,208)を自動又は手動で駆動可能な機構により、これらの部材と牽引ロープ(114,214)との反復的な係合とそれに基づく一連の穿刺行程、注入行程、復帰行程を制御する。さらにユーザが少なくとも1つの行程の進行プロファイルを調節可能とする1以上の手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例えば糖尿病のように、世界中に広がった多くの疾病の治療のため、患者たちは独力で、皮下注射器又はカルプーレ(Karpule、carpule)を用いて必要な量の活性(薬効)物質/医薬を自らに注射しなければならない。これをより安全、容易に行うため、注射針の挿入、活性物質の注入、注射針の引き抜きのプロセスの大部分を自動化した多くの注入装置が知られている。
【背景技術】
【0002】
使い捨て皮下注射器用の、注射器に含まれた活性物質を自動的に注入する多くの装置が知られている。例えばWO2007/033638号公報には、従来技術として、簡単な操作で上記プロセスが完全に自動化された注入装置が開示されている。これは2つの部屋を持つアンプルを用い、混合、針挿入及び注入が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2007/033638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、患者にとって取扱の快適さと安全性を向上させ、一方で単純な機構設計であるように注入装置を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する注入装置により達成される。即ち、注入装置は、注射針の付いたカルプーレ又は皮下注射器を収容して駆動し、活性物質を注入するシーケンスをもたらす相対的運動を行う部材を組み込み、そのため該カルプーレ/注射器を挿入し固定できる収容部がハウジング内部に支持され、該収容部はキャリッジによって移動可能であり、該収容部内部には該カルプーレ/注射器のピストンを駆動するための押し込みロッドが移動可能に搭載されており、穿刺行程、注入行程、復帰行程を行うための牽引ケーブルが備えられ、該牽引ケーブルはキャリッジに固定されたローラにより偏向されるとともに、その一端は収容部に接続され、他端は引張スプリングに接続され、該引張スプリングはハウジングに支持され、ハウジング、収容部、押し込みロッド、キャリッジといった自動で又は手動で駆動される装置によってこれらが交互に牽引ケーブルと係合するように制御され、それによって穿刺行程、注入行程、復帰行程が行われる注入装置であって、該駆動される装置は少なくとも1つの行程の進行プロファイルをユーザが調節するための1以上の手段を含む、ことを特徴とする。(形態1)
【0006】
本発明では、従来のようなそれぞれごとに決められた行程時間で連続的な行程プロセスを規定することはせず、ユーザがそれぞれの行程時間(従って例えば注入のような、それぞれの関連するプロセスの速度)を個別に設定することができるとともに、各個別行程の移行(従って、特に動きのシーケンスにおける休止)をも設定できることをその基本とする。
【0007】
好ましい実施形態は、滞留時間と注入時間を調節するための部材の設計に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
注入装置の2つの好ましい実施形態を、以下の図面を参照して説明する。
【図1】(A)本発明に係る第1の実施形態の注入装置のハウジングカバーを外した状態の側面図である。(B)図1の注入装置の開始位置における中央平面での断面図である。
【図2】(A)混合行程(ストローク)を行うプロセスにおける注入装置の側面図である。(B)図2(A)の断面図である。
【図3】(A)穿刺行程(ストローク)のときの注入装置の側面図である。(B)図3(A)の断面図である。
【図4】(A)注入行程(ストローク)のときの注入装置の側面図である。(B)図4(A)の断面図である。
【図5】(A)本発明に係る第1の実施形態の注入装置の、アイドリング(休止)行程(ストローク)のときの側面図である。(B)図5(A)の断面図である。
【図6】(A)本発明に係る第1の実施形態の注入装置の、針引き抜き中のときの側面図である。(B)図6(A)の断面図である。
【図7】(A)本発明に係る第1の実施形態の注入装置の、針引き抜きが完了したときの側面図である。(B)図7(A)の断面図である。
【図8】(A)本発明に係る第1の実施形態の注入装置の、機構リセット(最大滞留時間)のときの側面図である。(B)図8(A)の断面図である。
【図9】(A)本発明に係る第1の実施形態の注入装置の、機構リセット(最小滞留時間)のときの側面図である。(B)図9(A)の断面図である。
【図10】(A)本発明に係る第2の実施形態の注入装置のハウジングカバーを外した状態の側面図である。(B)図1の注入装置の開始位置における中央平面1での断面図である。
【図11】(A)本発明に係る第2の実施形態の注入装置の、穿刺行程のときの側面図である。(B)図11(A)の断面図である。
【図12】(A)本発明に係る第2の実施形態の注入装置の、注入行程のときの側面図である。(B)図12(A)の断面図である。
【図13】(A)本発明に係る第2の実施形態の注入装置の、アイドリング行程のときの側面図である。(B)図13(A)の断面図である。
【図14】(A)本発明に係る第2の実施形態の注入装置の、針引き抜き中のときの側面図である。(B)図14(A)の断面図である。
【図15】(A)本発明に係る第2の実施形態の注入装置の、針引き抜きが完了したときの側面図である。(B)図15(A)の断面図である。
【図16】(A)本発明に係る第2の実施形態の注入装置の、最大滞留時間での機構リセットのときの側面図である。(B)図16(A)の断面図である。
【図17】(A)本発明に係る第1の実施形態の注入装置の、最小滞留時間での機構リセットのときの側面図である。(B)図17(A)の断面図である。
【図18】(A)回転式緩衝要素を持つ、本発明に係る第1の実施形態のプラネタリギヤの側面図である。(B)図18(A)の断面図である。(C)プラネタリキャリヤを除いたプラネタリギヤの断面図である。(D)プラネタリキャリヤをブロックした場合の図18(A)の鳥瞰図である。(E)図18(C)に示すプラネタリキャリヤを除いたプラネタリギヤの鳥瞰図である。(F)図18(D)に示すプラネタリキャリヤをブロックした場合の図である。
【図19】(A)2つの回転式緩衝要素を持つ、本発明に係る第2の実施形態のプラネタリギヤの側面図である。(B)第1のブロッキングディスクをロックした図19(A)に示すプラネタリギヤの側面図及び鳥瞰図である。(C)第2のブロッキングディスクをロックした図19(A)に示すプラネタリギヤの側面図及び鳥瞰図である。(D)第1のブロッキングディスクをロックした図19(B)に示すプラネタリギヤの鳥瞰図である。(E)プラネタリキャリヤ/第2のブロッキングディスクを除いた図19(D)に示すプラネタリギヤの鳥瞰図である。(F)図19(A)のB−B平面の断面図である。(G)図19(A)のA−A平面の第1断面図である。(H)図19(A)のA−A平面の第2断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
活性物質を注入するため、2つの室(空間)を持つアンプル111を用いる。この種のアンプル(図1B)は、最初に2つの独立した空間111C,111Dを形成する2つのピストン111A,111Bを持つ。カニューラ112に面する内側の第1の空間111Cには、例えば粉末状のベータフェロンを満たし、外側の第2の空間111Dには、塩化ナトリウム溶液を満たす。
【0010】
押し込みロッド104を外側(遠位)のピストン111Bに向けて押し込むと、塩化ナトリウム溶液が押し込みロッドの力を内側(近位)のピストン111Aに水力学的に伝えるために、内側のピストン111Aもまた最初は移動する。内側のピストン111Aが、アンプル111の外壁に溝状の窪みとして形成されたオーバーフロー流路111Eを通過すると、内側のピストンは停止し、塩化ナトリウム溶液がオーバーフロー流路111Eを通って空間111Cに流れ込み、ベータフェロンと混合される。混合プロセスの後(穿刺行程のあと)、継続的に押し込みロッド104を移動させることにより、注入が行われる。
【0011】
図1Aは開始位置にある注入装置の上面図、図1Bは開始位置にある注入装置の断面図である。
【0012】
すべての部材は、バスタブ状の2つの半容器からなるハウジング101の中に収納されている。可動部材は、針の軸方向に平行に移動できるように注入装置の内部に保持されている。これらの部材は次のように互いに配置構成されている。
【0013】
2つの空間を持つアンプル111は、収容部103に保持(収容)されている。後方端部にコントロールレバー105がヒンジ結合(枢着)された押し込みロッド104は、スプリングで駆動される第1の押しボタン102のロッキングフック102Aに係止されている。収容部103は、スプリングで駆動される第2の押しボタン116のロッキングフック116Aに係止されている。
【0014】
ハウジング101に(一端が)固定された引張スプリング110に結合され、キャリッジ108に搭載されたローラ109により偏向(方向転換)された牽引ケーブル114の端部は、収容部103に作用している。従って引張スプリング110は、収容部103に対し、注入箇所とは反対方向へ引張力を与えている。しかし収容部103は、第2の押しボタン116のロッキングフック116Aに係止されているので、軸方向へスライドできない。
【0015】
ローラ109を介した方向転換により、牽引ケーブル114はキャリッジ108に注入箇所方向の力を与える。しかしキャリッジ108は、駆動スプリング119により注入装置に対して直角方向へ移動可能なようにキャリッジ108に搭載された駆動機構118を介して押し込みロッド104に接しており、押し込みロッド104は第1の押しボタン102のロッキングフック102Aに係止されているので、キャリッジ108はその位置に留まっている。
【0016】
内部に第2の調節スライダ106が移動可能に支承された第1の調節スライダ107が、コントロールレバー105に付属している。調節スライダ106は、押し込みロッド104からキャリッジ108を開放(脱係合)する役目を果たす。調節スライダ106、107はいずれも、針の挿入深さと注入量を調節するための、移動可能に支承されたリミットストップ要素として設計される。これについて以下にさらに詳細に説明する。
【0017】
プルロッド115に接続された引き戻しハンドル117は、この開始位置を形成する役割を持つ。プルロッド115は、引き戻しスプリング120により駆動される。
【0018】
第1の押しボタン102を押すと、ロッキングフック102Aの係合が外れ、押し込みロッド104が開放されて、コントロールレバー105の前端部が収容部103に突き当たって停止するまで穿刺箇所の方向へ移動する。これにより、アンプル111の外側(遠位)のピストン111Bが駆動され、前方へ移動し、混合行程H0を行う。この混合行程により、前述のように塩化ナトリウム溶液とベータフェロンが混合される(図2A,図2B)。ハウジング101の窓から、塩化ナトリウム溶液とベータフェロンの混合をモニタすることができる。
【0019】
一方、コントロールレバー105の自由端は、第1の調節スライダ107の上をスライドし、その上で停止するので、この位置では下方旋回は生じない。そのため、穿刺箇所方向への引張スプリング110の引張力は、キャリッジ108から押し込みロッド104を介して収容部103へ伝えられる。しかし収容部103は、第2押しボタン116のロッキングフック116Aによりそこでフック(係止)されているので、その場所に留まる。
【0020】
第2の押しボタン116が押されると、ロッキングフック116Aの係合が外れ、収容部103が開放される。このため、引張スプリング110の引張力により、押し込みロッド104と収容部103が一緒に穿刺箇所の方向へ移動する。針が挿入され(図3A,図3B)、注入行程(ストローク)H1が行われる(図4A,図4B)。
【0021】
所定の挿入深さに達すると、コントロールレバー105が下方へ旋回する(図4Aの矢印)。第1の調節スライダ107の上面に凹部があるため、下方旋回をさえぎるものがなくなるためである。そのため、押し込みロッド104から収容部103へ力が伝達されなくなり、収容部103はその場に取り残されて押し込みロッド104のみが注入箇所へ移動を続ける。つまり、薬物の注入が発生し、注入行程(ストローク)H2が行われる。
【0022】
キャリッジ108に移動可能に取付けられた駆動要素118が第2の調節スライダ106のランプ106Aに達する(図4B)と、駆動要素118は下方へ引っ張られ、キャリッジ108は押し込みロッド104から外れる。つまりこの時点で注入が完了する(図5B)。
【0023】
図5では、ユーザが自由に位置を変更できるように、ハウジング内において前端と後端の間で第1の調節ねじ(ポジショナ)130で取付けられた歯付ラック140が、その最前端位置で示されており、そこでは滞留時間が最大にセットされる(アイドリング行程HXの最大時間)。
【0024】
注入が完了すると、歯付ラック140は第2の調節スライダ106に衝突し、キャリッジ108は、キャリッジ108に接続された緩衝(制動)要素150と一緒に歯付ラック140に対して穿刺箇所方向へ移動し続ける、アイドリング行程(空ストローク、Leerhub)HXを行う。その間、針は穿刺箇所に留まり続ける。アイドリング行程HX中の歯付ラック140と緩衝要素150との相対的運動により、緩衝要素150が有効に働く。キャリッジ108が第2の調節スライダ106に衝突すると、アイドリング行程HXは完了する。
【0025】
もしも歯付ラック140がその最前端に位置していない場合、歯付ラック140は第2の調節スライダ106により遅い時点で衝突し、緩衝要素150が有効に働く時間もそれに伴いより短くなり、滞留時間(Verweilzeit、アイドリング行程HXの時間)も短くなる。
【0026】
滞留時間が最小値にセットされた場合、歯付ラック140はアイドリング行程HXの完了後にキャリッジ108に衝突し、キャリッジ108及び緩衝要素150に対して移動することはない。緩衝要素150は何の働きもせず、滞留時間にも影響を与えない。
【0027】
今や、キャリッジ108は第2の調節スライダ106に当接して停止している。第2の調節スライダ106は、第1の調節スライダ107を介してハウジング101に形状結合(ありつぎ状の結合)によって保持されているので、引張スプリング110(これはハウジング101に固定されている)の引張力はローラ109を介して収容部103に働き、収容部を引き戻し、その結果針を穿刺箇所から引き抜く(図6A,図6B)復帰行程(ストローク)H3が行われる。
【0028】
プルロッド115に接続された引き戻しハンドル117を折りたたみ、プルロッド115を引っ張ることにより、キャリッジ108と他のすべての部材要素はその開始位置に引き戻される(図8A,図8B)。
【0029】
キャリッジ/緩衝要素を開始位置に引き戻すプロセスの間、歯付ラック140(の遠位端)は調節ねじ130の前面の第1の制限停止(リミットストップ)面130Aにぶつかる。キャリッジ108は緩衝要素150とともに穿刺箇所から離れ続けるが、歯付ラック140は調節ねじ130によりその位置にとどまっている。つまり、歯付ラック140はキャリッジ108/緩衝要素150に対して相対移動し、選択した開始位置に戻っていく。
【0030】
面130Aの位置は、調節ねじ130により変更でき、それによりキャリッジ108/緩衝要素150に相対移動する歯付ラック140の距離が調節される。
【0031】
図8A/8Bは、最大の滞留時間を与える調節ねじ130の位置を示す。図9A/9Bは、最小の滞留時間を与える調節ねじ130の位置を示す。これらの位置の間で、滞留時間は連続的に調節できる。
【0032】
機構が開始位置に戻ると、カルプーレは取り外し可能となる。
【0033】
注入量と針の挿入深さは次のように調節できる。
第1の調節スライダ107が、軸方向に移動可能なようにハウジング101に搭載され、本実施形態では2つのロッキング位置(10mmと12mm、実施形態では10mmにセット)がある。これらのロッキング位置は穿刺行程H1に対応している。なぜなら、調節レバー107の軸方向位置は、コントロールレバー105が押し込みロッド104を収容部103から開放するまでの移動距離を規定するからである(図2A)。
【0034】
第1の調節スライダ107の内部には、第2の調節スライダが、同様に軸方向に移動可能なように搭載され、この実施形態では4つのロッキング位置(1.0、0.75、0.5、0.25;この実施形態では1.0mmにセット)がある。これらのロッキング位置は注入行程H2に対応している。なぜなら、調節スライダ106の軸方向の位置は、押し込みロッド104がキャリッジ108から開放され(図5A,5B)、針の引き戻しが発生するまでの移動距離を規定するからである。
【0035】
例えば、もしも針の挿入深さが12mmにセットされた場合、第1の調節スライダ107は、図示の状態に比べて2mm穿刺位置に向かった、ハウジング101上の新しいロッキング位置まで移動するであろう。第2の調節スライダ106は、第1の調節スライダ107とともに、位置1.0にインターロックされるので、それもまた2mm穿刺位置に向かって移動する。つまり、異なる針の挿入深さをセッティングしても、セットした注入量には何の影響も与えない。同様に、注入量を調節しても、針の挿入深さには何の影響も与えない。穿刺行程H1及び注入行程H2のセッティングは、互いに独立している。
【0036】
図10〜17に示す第2の典型的実施形態も、第1の典型的実施形態で説明したような注入装置を用いるものであるが、カルプーレを用いるものではなく、皮下注射器を用いるものである。つまり、混合行程が発生しない場合である。この典型的実施形態の基本的コンセプトは、注入時間及び/又は滞留時間を患者自身がセットできるというものである。
【0037】
第1の典型的実施形態で説明した部材の設計及び相互作用はその機能において第2の実施形態と同一であるので、以下においては追加の部材の機能についてのみ説明する。
【0038】
注入行程の時間設定:
第1の押しボタン202を押すと、ロッキングフック202Aが動いて係合からはずれ、収容部203が開放される:これにより、引張スプリング210の働きで、押し込みロッド204及び収容部203が一体となって穿刺箇所に向かって移動する。針が挿入され(図11A,11B)、穿刺行程が完了する。
【0039】
穿刺行程が完了すると、ガイド手段222の内側の細穴(スロット)を介して(スプリング223により)収容部の方向に力が伝えられるロッキング機構221が旋回し、収容部203のくぼみにはまり込む。このロッキング機構は第1の調節スライダ207の内部で支承されているので、選択された針の注入深さとは独立している。収容部203は、ロッキング機構221により、挿入位置に固定されている。
【0040】
所望の挿入深さに達すると、コントロールレバー205が下方に向かって旋回する(図12Aの矢印)。第1の調節スライダ207の上部表面のくぼみによって、移動を阻止されていた状況(凹みのない位置)から、開放されるからである。
【0041】
その結果、押し込みロッド204に力が伝達されなくなる。
【0042】
図11Aは、最大の注入時間をセッティングした、すなわち、歯付ラック241が穿刺行程の終了と同時に、第2の調節スライダ206のリミットストップ206Bに接している状況を示す、注入装置の図である。
【0043】
もしも注入時間をより小さい値にセットした場合、歯付ラック241はより遅い時間にリミットストップ206Aにぶつかるであろう。
【0044】
押し込みロッド204が収容部203から開放された後、収容部203はその位置にとどまり、押し込みロッド204は穿刺位置に向かって移動を継続する。歯付ラック241が第2の調節スライダ206のリミットストップ206Bにぶつかったときから、それは押し込みロッド204ないし緩衝要素251に対して相対的に静止する。ここで歯付ラック241と緩衝要素251の相対運動が生じ、したがって注入行程は緩衝要素251により減速される。したがって注入時間は緩衝要素251が有効に働いている距離に依存し、この距離は患者が調節ねじ231により調節することができる。薬剤が注入され、注入行程が行われる。
【0045】
キャリッジ208に移動可能に支承されている駆動機構(運行要素)218が調節スライダ206のランプ206Aに届くと(図12B)、駆動機構218が下方に引っ張られ、そのためキャリッジ208が押し込みロッド204から開放される。即ち、この時点において注入が完了する(図13B)。
【0046】
滞留時間の設定:
図13Bでは、歯付ラック240は最も先端の位置、即ち、滞留時間が最大にセットされた位置に示されている。注入が完了すると、歯付ラック240は第2の調節スライダ206とぶつかり、キャリッジ208は緩衝要素250とともに歯付ラック240に対して挿入位置に向かって移動を継続する。アイドリング行程HX中の歯付ラック240と緩衝要素250との相対移動により、緩衝要素250が有効に働く。キャリッジ208が第2の調節スライダ206にぶつかると、アイドリング行程HXは完了する。
【0047】
もしも歯付ラック240が最前端位置にない(滞留時間が短い)とき、それは第2の調節スライダ206により遅い時点でぶつかり、緩衝要素250が働く時間が短くなり、したがって滞留時間も短くなる。
【0048】
滞留時間を最大にセットすると、歯付ラック240はキャリッジ208にアイドリング行程HXが完了した後にはじめてぶつかり、キャリッジ208及び緩衝要素250に対する相対的移動はせず、緩衝要素250は全く働かず、滞留時間には影響しない。
【0049】
アイドリング行程の最後に、キャリッジ208の傾斜部がガイド手段222のランプ(傾斜部)222Aにぶつかり、収容部203と調節スライダ206との間のロッキング機構を開放する(図14A)。
【0050】
キャリッジ208は、第2の調節スライダ206に対して静止している。第2の調節スライダ206は、第1の調節スライダ207を介して、ハウジング201に形状結合を介して保持されているので、引張スプリング210(ハウジング201に固定されている)はローラ209を介して収容部203に対してそれを引っ張り戻すように作用し、したがって針を穿刺位置から引っ張り出し(図15A,15B)、復帰行程H3が行われる。
【0051】
プルロッド215に接続した引き戻しハンドル217を折り返してプルロッド215を引き出すことにより、キャリッジ208と他のすべての部材要素が開始位置に引き戻される(図16A,16B)。
【0052】
キャリッジ208/緩衝要素250及び押し込みロッド204/緩衝要素251を開始位置に引き戻すプロセスにおいて、歯付ラック240は調節ねじ230の面230Aにぶつかり、歯付ラック251は調節ねじ231の面231Aにぶつかる。キャリッジ208/緩衝要素250又は押し込みロッド204/緩衝要素251が穿刺箇所から離れ続ける間、歯付ラック240は調節ねじ230によってその位置にとどまり、歯付ラック241は調節ねじ231によってその位置にとどまる。即ち、歯付ラック240/241は緩衝要素250/251に対して移動しつつ、選択された開始位置に戻る。
【0053】
リミットストップ面230A/231の位置は調節ねじ230/231によって変更できる。歯付ラック240/241の緩衝要素250/251に対する移動距離は、患者が調節することができる。
【0054】
図16A/16Bは、調節ねじ230/231を、最も滞留時間/注入時間が長くなるように配置した場合の図である。
【0055】
図17A/17Bは、調節ねじ230/231を、最も滞留時間/注入時間が短くなるように配置した場合の図である。この2つの位置の間で、滞留時間(アイドリング行程HXの継続時間)及び注入時間(注入行程H2の継続時間)を、互いに独立して連続的に調節できる。
【0056】
機構が開始位置に戻ったあと、シリンジ211を取り外すことができる。
【0057】
したがってこれらの実施形態では、緩衝要素の適切な設計により注入行程の継続時間を調節するため、ユーザが対応する歯付ラックの位置を変えて、行程の一部を緩衝しないようにし、残りの部分を緩衝するようにすることで、行程における緩衝作用時間を調節することが可能となる。
【0058】
代替的に、行程の継続時間を変えるため、緩衝特性をユーザが調節できるような緩衝要素を用いることができる。
【0059】
行程の所望のプロセス特性(速度プロファイル)を生じるような手段の組み合わせも同様に用いることができる。
【0060】
例えば注入行程の速度/継続時間をユーザが規定するように調節するためのこのような代替的方法を実施するため、上記の実施形態において、市販の回転式緩衝要素を用いることができる。
【0061】
例えば、ドイツ実案DE202006017578.3U1に記載された回転式緩衝要素を用いることが有利である。後者によれば、基本的な緩衝をセットすることができ、さらにユーザの個々の要請に基づく行程の進行プロファイルをより柔軟に適用することができる。
【0062】
もしもそれぞれの行程の継続時間の所望のバリエーションが、DE202006017578.3U1による回転式緩衝要素が有する基本的な緩衝作用の適用範囲により達成可能であれば、もし適切ならば対応する調節ねじによる歯付ラックの調節は不要となり、それは最大の行程継続時間を達成する位置に置いておけばよい。
【0063】
図18、19は,緩衝要素の2つの典型例が示されている。ここでは、行程決定部材としての歯付ラックと1つ(又は2つ)の回転式緩衝要素との係合は、回転式緩衝要素のオン/オフスイッチとしてロッキング要素を用いて設計されたプラネタリギヤ(遊星歯車機構)によって行われている。部材はハウジング311、411内に支持及び/又は保持されている。
【0064】
図18A〜18Fに示す第1の典型的実施形態は以下のように設計される。
【0065】
プラネタリギヤ300の環状(リング)ギヤ301とプラネタリキャリヤ302は、シャフト303に回転可能に支持されている。サンギヤ305はシャフト303にプレスばめ固定されており、シャフト303に接続された回転式緩衝要素304の駆動部として作用する。
【0066】
プラネタリキャリヤ302は、3つの遊星ギヤ(プラネットギヤ)310に3つの軸309を介して(相対位置)固定的に接続されている。これらは噛み合いながらサンギヤ305の周りを回転する。環状ギヤ301は歯付ラック306により駆動される。ブロッキングスライド307はプラネタリキャリヤ302の歯に係合することにより、回転を止めることができる。ブロッキングスライド307の位置により、各ギヤは次のようなモードで回転する。
【0067】
−プラネタリキャリヤ302がブロックされていない場合(図18C、E)
ブロッキングスライド307はプラネタリキャリヤ302をブロックしていない。環状ギヤ301が回転すると、遊星ギヤ310がサンギヤ305の周りを回転し、それによってプラネタリキャリヤ302が回転する。サンギヤ305は回転せず、回転式緩衝要素304も回転しない。これは空回り(アイドリング)が発生していることを意味し、即ち歯付ラック306と連結している注入装置の行程は緩衝されず、最大速度で、つまり最短時間で進行する。
【0068】
−プラネタリキャリヤ302がブロックされている場合(図18A,B,D,F)
ブロッキングスライド307がプラネタリキャリヤ302に係合している。環状ギヤ301は歯付ラック306の直線運動により回転する。環状ギヤ301は遊星ギヤ310を駆動する。プラネタリキャリヤ302がその位置に固定されているので、各遊星ギヤ310はサンギヤ305の周りを回転することができない。したがって遊星ギヤ310はサンギヤ305を駆動する。それ(サンギヤ)はシャフト303を介して回転式緩衝要素304に接続されているため、それ(回転式緩衝要素)は駆動される。これは緩衝作用が発生することを意味し、歯付ラック306と連結している注入装置の行程はより遅い速度、より長い時間で進行する。
【0069】
連続して配列された異なる緩衝力の2つの緩衝要素がこのように用いられると、複数の組み合わせが可能となる。
1)2つのブロッキングスライドのどちらも下げられていない場合→空回り、行程は緩衝されない。
2)1つのブロッキングスライドのみが下げられている場合→その回転式緩衝要素のみが緩衝作用し、選択した回転式緩衝要素により行程が緩衝される。
3)両方のブロッキングスライドが下げられている場合→両方の回転式緩衝要素が作用し、行程は最大に緩衝される。
【0070】
図19A−19Hに示す第2の実施例は、第1の実施例を拡張したものであり、以下のように構成される。
【0071】
2つのシャフト403Aと403Bを用いる。第1のシャフト403Aは、第1の回転式緩衝要素404Aの駆動軸である。第1のシャフト403Aに第1のブロッキングディスク408Aが例えばプレスばめで固定される。環状ギヤ401は第1のシャフト403Aの周りを自由に回転する。さらに、サンギヤ405が第1のシャフト403Aに固着されている。駆動は、歯付ラック406が環状ギヤ401を駆動することにより行われる。
【0072】
第2のシャフト403Bは第2の回転式緩衝要素404Bの駆動軸として働く。第2のブロッキングディスク408Bが第2のシャフト403Bに固着されている。3つの遊星ギヤ410が3つの軸409により回転自在に結合されており、第2のブロッキングディスク408Bはプラネタリキャリヤとして作用する。遊星ギヤ410は環状ギヤ401により駆動され、各ギヤはブロッキング装置のブロッキングスライド407A,407Bの位置にしたがって駆動される。
【0073】
これにより次のような機能が発揮される。
−第1のブロッキングディスク408Aがブロックされている場合(図19C)。
ブロッキング装置は、その第1のブロッキングスライド407Aにより第1のブロッキングディスク408Aをブロックし、第1のシャフト403Aの回転をブロックする。環状ギヤ401は歯付ラック406の直線運動により回転し、それにより遊星ギヤ410が回転する。
【0074】
第1のシャフト403Aが回転できないので、サンギヤ405はその位置にとどまる。したがって遊星ギヤ410はサンギヤ405の周りを回転でき、それによってプラネタリキャリヤ/第2のブロッキングディスク408Bを回転させる。それ(第2のブロッキングディスク408B)は第2のシャフト403Bを介して第2の回転式緩衝要素404Bに接続されているので、第2の回転式緩衝要素404Bが駆動される。緩衝作用が第2の回転式緩衝要素404Bによって発生する。(第2のブロッキングディスク408Bは何の効果も与えることなく回転する。)
【0075】
−第2のブロッキングディスク408Bがブロックされている場合(図19B,D,E)。
ブロッキング装置は、第2のブロッキングスライド407Bにより第2のブロッキングディスク408Bをブロックし、第2のシャフト403Bの回転をブロックする。環状ホイール401は歯付ラック406の直線運動により回転し、それにより遊星ギヤ410が回転する。プラネットキャリヤ(=第2のブロッキングディスク408B)はその位置に固定されているので、遊星ギヤ410はサンギヤ405の周りを回転することができない。したがって遊星ギヤ410はサンギヤ405を回転させる。それ(サンギヤ405)は第1のシャフト403Aを介して第1の回転式緩衝要素404Aに接続されているので、それ(第1の回転式緩衝要素404A)が駆動される。行程の緩衝作用が第1の回転式緩衝要素404Aによって発生する。(第1のブロッキングディスク408Aは何の効果も与えることなく回転する。)
【0076】
図17及び18に示された部材「歯付ラック306,406/プラネタリギヤセット300,400/回転式緩衝要素304,404A,404B」は、図1〜16に示した2つの典型例に係る注入装置において示された部材「歯付ラック140,240,241/緩衝要素150,250,251」の代わりに用いることができる。
【0077】
ブロッキングスライドをハウジング外にある駆動手段に適切な方法で接続することにより、緩衝要素をユーザが例えばよりゆっくりとした注入行程を得るために駆動又は選択することができる。
【0078】
こうして患者は、自分用の注入装置の行程の進行プロファイルを個別に設定するための調節オプションを与えられる。
【符号の説明】
【0079】
101、201 ハウジング
102,202 第1の押しボタン
102A,202A ロッキングフック
103,203 収容部
104、204 押し込みロッド
105,205 コントロールレバー
107,207 第1の調節スライダ
106,206 第2の調節スライダ
106A,206A ランプ
206B リミットストップ
108,208 キャリッジ
109,209 ローラ
110,210 (引張)スプリング
111 カルプーレ(アンプル)
211 シリンジ
112,212 (皮下注射用)カニューレ
114,214 牽引ケーブル
115,215 プルロッド
116 第2の押しボタン
116A ロッキングフック
117,217 引き戻しハンドル
118、218 駆動機構
119、219 駆動スプリング
120、220 引き戻しスプリング
221 収容部のためのブロッキング機構
222 ブロッキング機構のためのガイド手段
222A ランプ
223 スプリング
130,230 第1の調節ねじ(ポジショナ)
231 第2の調節ねじ(ポジショナ)
130A,230A 第1のリミットストップ面
231A 第2のリミットストップ面
140、240 第1の歯付ラック
241 第2の歯付ラック
150,250 第1の緩衝要素
251 第2の緩衝要素
300,400 プラネタリギヤ
301,401 環状ギヤ
302,402 プラネタリキャリヤ
303,403A,403B シャフト
304,404A,404B 回転式緩衝要素
305,405 サンギヤ
306,406 歯付ラック
307,407A,407B ブロッキングスライド
408A,408B ブロッキングディスク
309,409 軸(キャリアのピニオンシャフト)
310,410 プラネタリギヤ(ピニオンギヤ)
311,411 ハウジング
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】

【図3A】

【図3B】

【図4A】

【図4B】

【図5A】

【図5B】

【図6A】

【図6B】

【図7A】

【図7B】

【図8A】

【図8B】

【図9A】

【図9B】

【図10A】

【図10B】

【図11A】

【図11B】

【図12A】

【図12B】

【図13A】

【図13B】

【図14A】

【図14B】

【図15A】

【図15B】

【図16A】

【図16B】

【図17A】

【図17B】

【図18A】

【図18B】

【図18C】

【図18D】

【図18E】

【図18F】

【図19A】

【図19B】

【図19C】

【図19D】

【図19E】

【図19F】

【図19G】

【図19H】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射針の付いたカルプーレ(111)又は皮下注射器(211)を収容して駆動し、
活性物質を注入するシーケンスをもたらす相対的運動を行う部材を組み込み、
そのため該カルプーレ/注射器(111,211)を挿入し固定できる収容部(103,203)がハウジング(101,201)内部に支持され、該収容部(103,203)はキャリッジ(108,208)によって移動可能であり、
該収容部(103,203)内部には該カルプーレ/注射器のピストン(111A,111B,211)を駆動するための押し込みロッド(104,204)が移動可能に搭載されており、
穿刺行程、注入行程、復帰行程を行うための牽引ケーブル(114,214)が備えられ、該牽引ケーブルはキャリッジ(108,208)に固定されたローラ(109,209)により偏向されるとともに、その一端は収容部(103,203)に接続され、他端は引張スプリング(110,210)に接続され、
該引張スプリングはハウジング(101,201)に支持され、
ハウジング(101,201)、収容部(103,203)、押し込みロッド(104、204)、キャリッジ(108,208)といった自動で又は手動で駆動される装置によってこれらが交互に牽引ケーブル(114,214)と係合するように制御され、それによって穿刺行程、注入行程、復帰行程が行われる注入装置であって、
該駆動される装置は少なくとも1つの行程の進行プロファイルをユーザが調節するための1以上の手段を含む、ことを特徴とする注入装置。
【請求項2】
前記牽引ケーブル(114,214)は、前記注入行程のあとの前記復帰行程において、前記キャリッジ(108,208)及び前記ローラ(109,209)によって前記カルプーレ/注射器を収容した前記収容部(103,203)を引張り、そして前記穿刺箇所から注射針を引き抜く注入装置であって、
該注入行程と該復帰行程との間の該カルプーレ/注射器が動かない時間、即ち注射針が挿入箇所に留まったままである時間(アイドリング行程HX)が、少なくとも1つの第1の手段でハウジング(101,201)において調節可能であることを特徴とする、請求項1に記載の注入装置。
【請求項3】
前記押し込みロッド(104、204)と前記収容部(103,203)とを接続する装置であり、前記穿刺行程を行うために該押し込みロッド(104、204)を該収容部(103,203)に係合し、前記注入行程を行うためにそれを脱係合する装置を備える注入装置であって、
該収容部(103,203)内での該押し込みロッド(104、204)の運動の開始時と終了時の間の時間、即ち該注入行程(H2)の時間が、少なくとも1つの第2の手段により調節可能であることを特徴とする、請求項1に記載の注入装置。
【請求項4】
前記第1及び/又は第2の手段は、移動可能に支持された歯付ラック(140,240,241)を含むことを特徴とする、請求項2又は3に記載の注入装置。
【請求項5】
前記第1及び/又は第2の手段は、関連する歯付ラック(140,240,241)により駆動可能な1以上の緩衝要素(150,250,251)を含むことを特徴とする、請求項2又は3に記載の注入装置。
【請求項6】
前記緩衝要素(150,250,251)が効果を及ぼす時間は、2つの端部の間における前記関連する歯付ラック(140,240,241)の移動を生じさせるポジショナ(130,230,231)により、関連する前記行程(HX,H2)の一部を介して前記ハウジングにおいて調節可能であることを特徴とする、請求項4又は5に記載の注入装置。
【請求項7】
前記緩衝要素は、前記ハウジングにおいて調節可能な緩衝特性を有することを特徴とする、請求項6に記載の注入装置。
【請求項8】
前記緩衝要素は、そのシャフトに歯付ラック(140,240,241)によって駆動される歯車を有する回転式緩衝要素(304,404A,404B)であることを特徴とする、請求項5に記載の注入装置。
【請求項9】
回転式緩衝要素とその歯付ラックとの間に歯車機構を有することを特徴とする、請求項8に記載の注入装置。
【請求項10】
前記歯車機構はプラネタリギヤ(300)であり、
そのサンギヤ(305)は前記回転式緩衝要素(304)のシャフト(303)に固定結合され、
その環状ギヤ(301)は該シャフト(303)を中心に自由回転可能で内側に遊星ギヤが回転するとともに、前記歯付ラックと噛み合い、
そのプラネタリキャリヤ(302)は該シャフト(303)を中心に自由回転し、ユーザによって駆動されるブロッキングスライド(307)と係合可能であり、
該ブロッキングスライドは該プラネタリキャリヤ(302)の回転を阻止する、
ことを特徴とする請求項9に記載の注入装置。
【請求項11】
2つの回転式緩衝要素(404A,404B)が互いに同軸に配置されたシャフト(403A,403B)にそれぞれ支持され、第1のシャフト(403A)は第1のブロッキングディスク(408A)及びサンギヤ(405)に固定結合され、環状ギヤ(401)は該第1のシャフト(403A)を中心として自由回転し、第2のシャフト(403B)は第2のブロッキングディスク(408B)を形成するよう設計されたプラネタリキャリヤと固定結合され、ユーザが調節可能なブロッキング要素が該2つのブロッキングディスク(408A、408B)のうちの1つを選択的に回転停止できる、ことを特徴とする請求項10に記載の注入装置。
【請求項12】
カルプーレ(111)を用いる場合、前記穿刺行程の前に混合行程が行われることを特徴とする、請求項1に記載の注入装置。

【公表番号】特表2010−528736(P2010−528736A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510683(P2010−510683)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004412
【国際公開番号】WO2008/148518
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(507240266)バイエル シェリング ファルマ アクティエンゲゼルシャフト (2)
【Fターム(参考)】