説明

注出キャップ

【課題】開封時の操作性を向上させることが可能で、しかも未開封であるか否かを外部から容易に判別することができる注出キャップを提供する。
【解決手段】注出部材12に、破断可能な弱化部16を介して接続され注出口11を閉塞する閉塞体17が配設され、該閉塞体には、上方に向けて突出する被係合部18が形成され、オーバーキャップ13は、下降移動可能に配設された天壁部20と、該天壁部から下方に向けて突設され、該天壁部の下降移動時に弱化部若しくは閉塞体を上方から押下して弱化部を破断させる押下部22と、天壁部の下降移動時に閉塞体の被係合部に係合することにより、閉塞体を当該オーバーキャップに保持させる係合部21と、を備え、押下部および閉塞体のうちの少なくとも一方には、他方側に向けて突出して、天壁部の下降移動時に、他よりも先に他方側に当接する先行突起23が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、内容物が収容される容器本体の口部に装着されるとともに、内容物を注出する注出口が形成された注出部材と、注出口を開閉自在に覆うオーバーキャップと、を備え、注出部材に、破断可能な弱化部を介して接続され注出口を閉塞する閉塞体が配設され、オーバーキャップが、閉塞体にキャップ周方向に係合する係合体を備える注出キャップが知られている。
この注出キャップにおいては、オーバーキャップを注出部材に対してキャップ周方向に回転させ、係合体を閉塞体に係合させると、弱化部がキャップ周方向のせん断力により破断されて開封される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭56−40687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の注出キャップでは、例えば、開封時に閉塞体が注出口を通して容器本体内に脱落するおそれがあり、また開封後には閉塞体を注出部材から取り除く必要がある等、開封時の操作性に改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、開封時の操作性を向上させることが可能で、しかも未開封であるか否かを外部から容易に判別することができる注出キャップを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の注出キャップは、内容物が収容される容器本体の口部に装着されるとともに、内容物を注出する注出口が形成された注出部材と、前記注出口を開閉自在に覆うオーバーキャップと、を備える注出キャップであって、前記注出部材に、破断可能な弱化部を介して接続され前記注出口を閉塞する閉塞体が配設され、該閉塞体には、上方に向けて突出する被係合部が形成され、前記オーバーキャップは、下降移動可能に配設された天壁部と、該天壁部から下方に向けて突設され、該天壁部の下降移動時に前記弱化部若しくは閉塞体を上方から押下して前記弱化部を破断させる押下部と、前記天壁部の下降移動時に前記閉塞体の被係合部に係合することにより、前記閉塞体を当該オーバーキャップに保持させる係合部と、を備え、前記押下部および閉塞体のうちの少なくとも一方には、他方側に向けて突出して、前記天壁部の下降移動時に、他よりも先に他方側に当接する先行突起が形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、オーバーキャップの天壁部を下降移動させると、係合部も下降移動して閉塞体の被係合部に係合することにより、閉塞体がオーバーキャップに保持され、また、押下部も下降移動して弱化部若しくは閉塞体を押下し弱化部を破断することにより、閉塞体で閉塞された注出口が開放されて注出キャップが開封される。
このように、注出キャップの開封時に、オーバーキャップの係合部と閉塞体の被係合部とが係合して、閉塞体がオーバーキャップに保持されるので、開封時に閉塞体が注出口を通して容器本体内に脱落することが抑制され、かつ開封後には閉塞体を注出部材から取り除く作業が不要になり、開封時の操作性を向上させることができる。
しかも、オーバーキャップを外部から見れば、天壁部が下降移動しているか否かを確実に視認できるため、この注出キャップが未開封であるか否かを容易に判別することができる。
さらに、押下部および閉塞体のうちの少なくとも一方に先行突起が形成されているので、前述のようにオーバーキャップの天壁部を下降移動させたときに、押下部の下端縁の全域が同時に弱化部若しくは閉塞体を押下するのではなく、押下部の下端縁のうち、まず先行突起により、若しくは先行突起に当接する部分により、弱化部若しくは閉塞体を押下させることで、弱化部において局所的に大きな負荷が加わる負荷集中箇所を生じさせることが可能になる。したがって、前述のようにオーバーキャップの天壁部を下降移動させる過程で、弱化部のうち、まず負荷集中箇所を破断させこの部分を起点とすることで弱化部の全長を容易かつ確実に破断することができる。
【0008】
ここで、前記押下部は、筒状若しくは柱状に形成されるとともに、前記天壁部が下降端位置に位置した状態で、前記注出口内に離脱自在に嵌合されてもよい。
【0009】
この場合、押下部が、オーバーキャップの天壁部が下降端位置に位置した状態で、注出口内に離脱自在に嵌合されるので、開封後にオーバーキャップが注出口を閉塞している待機状態での容器本体内の密封性を向上させることができる。
【0010】
また、前記押下部は、筒状に形成され、前記閉塞体には、上方に向けて突出し、前記天壁部の下降移動時に前記押下部内に嵌合される内シール筒部が形成されてもよい。
【0011】
この場合、閉塞体に、オーバーキャップの天壁部の下降移動時に押下部内に嵌合される内シール筒部が形成されているので、内容物が押下部内に進入するのを抑制することが可能になり、オーバーキャップを開けたときに、押下部内から内容物が垂れ落ちるのを抑えることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、開封時の操作性を向上させることが可能で、しかも未開封であるか否かを外部から容易に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態の注出キャップが容器本体に装着されてなる注出容器の一部断面側面図である。
【図2】図1に示す注出キャップのオーバーキャップを斜め上方から見た斜視図である。
【図3】図1の注出キャップを開封した状態の一部を示す拡大断面図である。
【図4】図1の注出キャップにおいて、オーバーキャップを外した状態の一部を示す拡大断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態の注出キャップが容器本体に装着されてなる注出容器の一部を示す半断面図である。
【図6】図5の注出容器において、外容器から注出キャップおよび内容器を取り外した状態の一部を示す半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る注出キャップの第1実施形態を、図1〜図4を参照しながら説明する。
本実施形態に係る注出キャップ1は、内容物が収容される容器本体2の口部2aに装着されるとともに、内容物を注出する注出口11が形成された注出部材12と、注出口11を開閉自在に覆うオーバーキャップ13と、を備えている。
ここで、容器本体2は有底筒状に形成され、オーバーキャップ13は有頂筒状に形成され、これら2、13が共通軸と同軸に配置されている。
以下、この共通軸を軸線Oといい、軸線O方向に沿ってオーバーキャップ13側を上側、容器本体2の底部2f側を下側といい、また軸線Oに直交する方向を径方向といい、軸線Oを中心に周回する方向を周方向という。
【0015】
容器本体2は、上端部を構成する前記口部2aと、有底筒状の胴部2bと、これらの口部2aと胴部2bとの間に位置する被装着部2cと、を備えている。
胴部2bは上方から下方に向かうに従い漸次拡径している。
被装着部2cのうち、胴部2bに上方から連なる部分は、径方向の外側に向けて膨出した膨出部2dとされ、かつ膨出部2dに上方から連なる部分は雄ねじが形成された雄ねじ筒部2eとなっている。口部2aは、雄ねじ筒部2eより小径に形成されている。
【0016】
注出部材12は、有頂筒状の基筒部14と、基筒部14の頂壁部14aの外周縁部から上方に向けて突出する注出筒部15と、を備えている。これらの基筒部14および注出筒部15はそれぞれ前記軸線Oと同軸に配設されている。
基筒部14の頂壁部14aに、前記注出口11が形成されていて、この注出口11は注出筒部15より径方向の内側に位置している。注出口11は、前記軸線Oと同軸に位置している。基筒部14の周壁部14bは二重筒状に形成され、このうちの内筒部分が容器本体2の口部2a内に嵌合され、外筒部分が口部2aに外嵌されている。
【0017】
さらにこの注出部材12には、破断可能な弱化部16を介して接続され注出口11を閉塞する閉塞体17が配設されている。閉塞体17には、上方に向けて突出する被係合部18が形成されている。
閉塞体17は、注出口11内に位置していて、弱化部16は、注出口11の内周縁と閉塞体17の外周縁とを全周にわたって接続している。なお、弱化部16は、頂壁部14aおよび閉塞体17よりも薄く形成されて破断可能となっている。
被係合部18は、筒状に形成され、閉塞体17における径方向の中央部に前記軸線Oと同軸に配設されている。また、被係合部18の外周面には、その全周にわたって連続して延びる被係合溝18aが形成されている。なお、被係合溝18aは、被係合部18の外周面における上下方向の中間部に形成されている。また、被係合部18の上端部の外径は、上方から下方に向かうに従い漸次大きくなっている。
【0018】
オーバーキャップ13は、下降移動可能に配設された天壁部20と、天壁部20から下方に向けて突設され、天壁部20の下降移動時に弱化部16若しくは閉塞体17を上方から押下して弱化部16を破断させる押下部22と、天壁部20の下降移動時に閉塞体17の被係合部18に係合することにより、閉塞体17を当該オーバーキャップ13に保持させる係合部21と、を備えている。
【0019】
係合部21および押下部22はそれぞれ、天壁部20から下方に向けて突出し、かつ前記軸線Oと同軸に位置する筒状に形成されている。
係合部21の下端部内に、被係合部18の上端部が挿入されている。また、係合部21の下端部の内径は、上方から下方に向かうに従い漸次大きくなっている。
押下部22は、図3に示されるような、天壁部20が下降端位置に位置した状態で、注出口11内に離脱自在に嵌合される位置に配設されている。図示の例では、押下部22は天壁部20の外周縁部に配設されている。
【0020】
そして本実施形態では、押下部22には、その下端縁から下方に向けて突出して、天壁部20の下降移動時に、該押下部22の下端縁のうち他よりも先に閉塞体17若しくは弱化部16に当接する先行突起23が形成されている。先行突起23は、係合部21の下端よりも下方に位置している。
ここで、閉塞体17には、上方に向けて突出し、天壁部20の下降移動時に押下部22内に嵌合される内シール筒部24が形成されている。内シール筒部24は、閉塞体17の外周縁部に配設されている。
【0021】
さらに、オーバーキャップ13は、注出部材12の注出筒部15内に着脱自在に嵌合された外シール筒部25を備えている。外シール筒部25の上部は、注出筒部15内から上方に突出している。この外シール筒部25と天壁部20の外周縁とが、環状の連結部26を介して連結されている。なお、天壁部20の上面は、外シール筒部25の上端縁よりも下方に位置している。
連結部26は、径方向の外端回りに径方向の内端が上下動するように回動自在に形成されている。連結部26は、外シール筒部25における上下方向の中間部に接続されている。
【0022】
また、オーバーキャップ13は、外シール筒部25の上端から下方に向けて延在し、この外シール筒部25、注出部材12、容器本体2の被装着部2cを一体に径方向の外側から覆い、胴部2bの上端に至る周壁部27を備えている。
【0023】
周壁部27は、外シール筒部25の上端から下方に向けて延在し、この外シール筒部25、および注出部材12、並びに容器本体2の被装着部2cのうち雄ねじ筒部2eより上方に位置する部分を径方向の外側から覆う被覆部28と、被覆部28に下方から連なり容器本体2の雄ねじ筒部2eに螺着された雌ねじ筒部29と、雌ねじ筒部29に下方から連なり、容器本体2の膨出部2dに下方から係合する爪部30を有するピルファープルーフ部31と、を備えている。
雌ねじ筒部29とピルファープルーフ部31との接続部分は、貫通孔32aが周方向に間隔をあけて複数形成されて構成された容易破断部32となっている。なお、貫通孔32aに代えて容易破断部32を薄肉部で形成してもよい。
爪部30は、径方向の内側に折返されて上方に向けて延びるように形成されていて、この折返しの先端部が容器本体2の膨出部2dに下方から係合している。
【0024】
さらに本実施形態では、オーバーキャップ13に、天壁部20を上方から覆う蓋板体33が離脱自在に配設されている。この蓋板体33によって、例えば、天壁部20が不用意に押下されて注出キャップ1が予期せず開封されたり、あるいは埃等がオーバーキャップ13内に進入したりすること等が抑えられる。
蓋板体33は、外周縁部が外シール筒部25の上端縁に配置された頂板34と、頂板34から下方に向けて突設されるとともに、外シール筒部25において連結部26との接続部分より上方に位置する上端部内に嵌合された嵌合筒35と、を備えている。なお、蓋板体33は、オーバーキャップ13に接着されて配設されてもよい。
【0025】
頂板34には、図2に示されるように、周方向に間隔をあけて一対の破断容易ライン36が形成されている。各破断容易ライン36は、頂板34に複数の貫通穴36aが形成されて構成され、頂板34においてその外周縁から内側に向けて真直ぐに延在している。なお、貫通孔36aに代えて破断容易ライン36を薄肉部で形成してもよい。
そして、周壁部27の被覆部28のうち外シール筒部25の前記上端部と径方向で対向する上端部分、外シール筒部25の前記上端部、および嵌合筒35はそれぞれ、頂板34のうち一対の破断容易ライン36で挟まれた帯状部分34aが位置する周方向位置で、周方向に開口するような平面視C字状に形成されている。これにより、オーバーキャップ13に、頂板34の前記帯状部分34aの下側を径方向の外側に開放する開放口13aが形成されている。
【0026】
次に、この注出キャップ1の作用について説明する。
【0027】
まず、オーバーキャップ13の径方向の外側から開放口13aを通して、頂板34の前記帯状部分34aの下側に指を進入させることで、破断容易ライン36を破断させつつ前記帯状部分34aを押し上げることによって、蓋板体33をオーバーキャップ13から除去し、天壁部20を外部に露出させる。
次に、天壁部20を押下して、連結部26をその径方向の外端回りに径方向の内端が下降するように回動させることで、図3に示されるように、天壁部20を下降移動させる。
この際、係合部21も下降移動して、その下端部が、閉塞体17の被係合部18の上端部を下方に乗り越えて被係合溝18aに係合することで、閉塞体17がオーバーキャップ13に保持される。また、押下部22も、その径方向の内側に内シール筒部24を進入させながら下降移動し、その下端縁で弱化部16若しくは閉塞体17を押下し弱化部16を破断することにより、閉塞体17で閉塞された注出口11が開放されて注出キャップ1が開封される。このとき押下部22の下端部は、注出口11内に液密状態で嵌合される。
そして、オーバーキャップ13および容器本体2を前記軸線O回りに相対的に緩み側に回転させ、オーバーキャップ13を、爪部30を容器本体2の膨出部2dに下方から係合させた状態で容器本体2に対して上昇させることにより、容易破断部32が破断され、図4に示されるように、ピルファープルーフ部31が容器本体2に残存されたまま、オーバーキャップ13のうちピルファープルーフ部31を除く全体を、閉塞体17とともに上昇させて注出部材12および容器本体2から離脱することにより注出口11を開口させる。
【0028】
以上説明したように、本実施形態による注出キャップ1によれば、開封時に、オーバーキャップ13の係合部21と閉塞体17の被係合部18とが係合して、閉塞体17がオーバーキャップ13に保持されるので、開封時に閉塞体17が注出口11を通して容器本体2内に脱落することが抑制され、かつ開封後には閉塞体17を注出部材12から取り除く作業が不要になり、開封時の操作性を向上させることができる。
しかも、オーバーキャップ13を外部から見れば、天壁部20が下降移動しているか否かを確実に視認できるため、この注出キャップ1が未開封であるか否かを容易に判別することができる。
【0029】
ここで、押下部22に先行突起23が形成されているので、前述のように天壁部20を下降移動させたときに、押下部22の下端縁の全域が同時に弱化部16若しくは閉塞体17を押下するのではなく、押下部22の下端縁のうち、まず先行突起23により、弱化部16若しくは閉塞体17を押下させることで、弱化部16において局所的に大きな負荷が加わる負荷集中箇所を生じさせることが可能になる。したがって、前述のようにオーバーキャップ13の天壁部20を下降移動させる過程で、弱化部16のうち、まず負荷集中箇所を破断させこの部分を起点とすることで弱化部16の全長を容易かつ確実に破断することができる。
【0030】
さらに本実施形態では、押下部22が、オーバーキャップ13の天壁部20が下降端位置に位置した状態で、注出口11内に離脱自在に嵌合されるので、開封後にオーバーキャップ13が注出口11を閉塞している待機状態での容器本体2内の密封性を向上させることができる。
また、閉塞体17に、オーバーキャップ13の天壁部20の下降移動時に押下部22内に嵌合される内シール筒部24が形成されているので、内容物が押下部22内に進入するのを抑制することが可能になり、オーバーキャップ13を開けたときに、押下部22内から内容物が垂れ落ちるのを抑えることができる。
【0031】
次に、本発明に係る注出キャップの第2実施形態を、図5および図6を参照しながら説明する。
【0032】
本実施形態に係る注出キャップ3の注出部材51は、容器本体4の口部4aに装着される装着筒部材52と、該装着筒部材52の上端部に連結され、注出口11および注出筒部15が形成された本体部材53と、を備えている。
【0033】
装着筒部材52は、容器本体4の口部4aに螺着された雌ねじ筒部54と、雌ねじ筒部54に下方から連なり、容器本体4の膨出部4dに下方から係合する爪部55を有するピルファープルーフ部56と、雌ねじ筒部54より小径に形成されるとともに該雌ねじ筒部54から上方に向けて延在し容器本体4より上方に突出する上側部分48と、を備えている。
【0034】
雌ねじ筒部54とピルファープルーフ部56との接続部分は、貫通孔57aが周方向に間隔をあけて複数形成されて構成された容易破断部57となっている。なお、貫通孔57aに代えて容易破断部57を薄肉部で形成してもよい。
爪部55は、径方向の内側に折返されて上方に向けて延びるように形成されていて、この折返しの先端部が容器本体4の膨出部4dに下方から係合している。
【0035】
本体部材53は、装着筒部材52の上側部分48の上端部に装着された連結部58と、連結部58から上方に向けて突設されるとともに注出口11および注出筒部15を有する注出部59と、を備えている。連結部58および注出部59は一体に形成されている。
【0036】
連結部58は、有頂筒状をなしており、その周壁は、下側に位置して装着筒部材52の上側部分48の上端部内に嵌合された下側周壁58aと、下側周壁58aより外径が大きく上側部分48の上端開口縁上に配置された上側周壁58bと、を備えている。なお、下側周壁58aおよび上側周壁58bの各内径は互いに同等になっている。
連結部58の頂壁は、前記軸線Oと同軸に位置する環状に形成され、その開口周縁部から筒状の注出部59が前記軸線Oと同軸に位置されて上方に向けて突設されている。
連結部58の頂壁と注出部59との接続部分には、連結部58の内側に開口する吸気孔46が形成されている。
【0037】
閉塞体17は、注出筒部15の内周面に弱化部16を介して接続されている。この閉塞体17において、押下部22に下方から対向する部分には、上方に向けて突出する先行突起17aが形成されている。本実施形態では、先行突起17aは、閉塞体17において、被係合部18より径方向の外側に位置し、弱化部16に径方向の内側から近接する部分に形成されている。押下部22の下端縁と先行突起17aとの間の上下方向の隙間は、係合部21の下端縁と閉塞体17の上面との間の上下方向の隙間より小さくなっている。
【0038】
本実施形態に係る注出キャップ3のオーバーキャップ60は、連結部58の頂壁にヒンジ部61を介して連結されていて、注出口11および注出筒部15を開閉自在に覆っている。また、このオーバーキャップ60の外シール筒部25は、注出筒部15に着脱自在に外嵌されて、外シール筒部25の上部は、注出筒部15から上方に突出している。オーバーキャップ60の周壁部62は、外シール筒部25の上端から下方に向けて延在し、この外シール筒部25および注出部59を径方向の外側から一体に覆い、下端開口縁が連結部58の頂壁上に位置している。周壁部62の上端部において、前記軸線Oを径方向に挟んだヒンジ部61の反対側に位置する部分に、径方向の外方に向けて操作片47が突設されている。なお、オーバーキャップ60および本体部材53は一体に形成されている。
【0039】
本実施形態に係る注出キャップ3は、さらに、注出部材51内に配設されるとともに注出口11と容器本体4内とを連通する連通口63が形成された弁座体64と、連通口63を上方から開閉自在に閉塞する弁板70を有する弁体65と、を備えている。
【0040】
弁座体64は、連結部58の周壁内に嵌合された嵌合筒66と、嵌合筒66より小径に形成されるとともに、前記軸線Oと同軸に配置され容器本体4内に連通する連通筒67と、連通筒67における上下方向の中間部に径方向の内側に向けて突設されて内側が連通口63とされた円環状の弁座板68と、を備えている。嵌合筒66には、上下方向に延びるスリット(不図示)が周方向に間隔をあけて複数形成されている。なお、前記スリットに代えて、嵌合筒66の外周面、あるいは嵌合筒66の外周面および上端縁に溝を形成してもよい。
【0041】
弁体65は、弁座体64の連通筒67内において弁座板68より上方に位置する部分に嵌合された基筒部69と、弁座板68上に配置されて連通口63を上方から閉塞する弁板70と、基筒部69と弁板70とを連結する弾性変形可能な連結片71と、基筒部69において弁座体64の連通筒67より上方に位置する部分に径方向の外側に向けて突設された弾性変形可能な空気弁72と、を備えている。
【0042】
基筒部69の上端部は、注出部59の下端部に接続されている。連結片71は、周方向に間隔をあけて複数配設されている。なお、連結片71を1つだけ設けて弁板70をいわゆる一点弁としてもよい。空気弁72はフランジ状に形成され、その径方向の外端が連結部58の頂壁の下面の開口周縁部に当接している。この空気弁72により、連結部58の頂壁に形成された吸気孔46が本体部材53の内側から開閉される。
【0043】
ここで、本実施形態に係る注出キャップ3が装着される容器本体4は、内容物が収容されるとともに内圧の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器5と、該内容器5が取り外し可能に内装されるとともに弾性変形可能な外容器6と、を備えた二重容器となっている。
【0044】
外容器6の上端部は、上側に位置する外上筒部6aと、下側に位置し外上筒部6aよりも大径に形成された外下筒部6bと、を備えている。
外下筒部6bの外周面には、注出部材51の雌ねじ筒部54が螺合する雄ねじ部8が形成されており、この外下筒部6bに注出部材51の雌ねじ筒部54が螺着されている。すなわち、注出部材51が装着される容器本体4の口部4aは、外下筒部6bを備えている。また、外下筒部6bの外周面において雄ねじ部8の下側に位置する部分には、径方向の外方へ向けて膨出するとともに周方向に沿って延びる膨出部4dが形成されている。
【0045】
内容器5の上端部は、上側に位置する内上筒部5bと、下側に位置し内上筒部5bよりも小径に形成された内下筒部5cと、を備えている。
内容器5の上端部には、内上筒部5bから下方に向けて突出するとともに内下筒部5cから径方向の外方に向けて突出する支持リブ5aが、周方向に間隔をあけて複数形成されており、これら支持リブ5aの下端は、外容器6の外上筒部6aの上端開口縁に当接されている。また、内下筒部5cの外周面において支持リブ5aの下側に位置する部分には、径方向の外方に向けて突出するガイド突起5dが、周方向に間隔をあけて複数形成されており、これらガイド突起5dは、外容器6の外上筒部6aに径方向の内方から当接している。内上筒部5bは、弁座体64と装着筒部材52の上側部分48とにより径方向に挟み込まれて注出キャップ3に固着されている。
【0046】
次に、この注出キャップ3の作用について説明する。
【0047】
天壁部20を押下して図6に示されるように下降移動させると、係合部21も下降移動して、その下端部が閉塞体17の被係合部18に係合することで、閉塞体17がオーバーキャップ60に保持される。この際、押下部22も下降移動し、その下端縁が閉塞体17の先行突起17aを押下することで、弱化部16のうち、先行突起17aに近接する部分に局所的に大きな負荷が加わり、まずこの部分を破断させて起点とすることで、押下部22の下降移動に伴い、弱化部16の全長が破断される。これにより注出キャップ3が開封される。
そして、操作片47を操作してオーバーキャップ60を注出口11から離間するようにヒンジ部61回りに回動させると、係合部21と被係合部18とが係合していることから、閉塞体17も注出部材51から離脱されて注出口11が開口される。
【0048】
次に、注出口11が下方を向くように注出キャップ3および容器本体4を傾けた状態で、外容器6をスクイズ変形(弾性変形)させると、内容器5が外容器6とともに変形して減容される。この減容変形に伴い内容器5の内圧が正圧となり、この正圧によって弁体65の連結片71が弾性変形し弁板70が弁座板68から離間し連通口63が開放される。これにより、内容器5の内部と注出口11とが連通され、内容器5内の内容物が、注出口11を通って注出される。
【0049】
その後、内容器5の内圧が低下すると、連結片71が復元変形し弁板70が弁座板68上に着座し連通口63が閉塞され、内容器5の内部と注出口11との連通が遮断されて内容器5が密封され、さらに前述したスクイズ変形を解除すると、外容器6は復元変形しようとする。このとき、外容器6と内容器5との間に発生した負圧が、弁座体64と装着筒部材52の上側部分48との間を通して、弁体65の空気弁72に作用することにより、この空気弁72が連結部58の頂壁の下面から下方に離間し、吸気孔46から外気が、弁座体64と上側部分48との間を通して、外容器6と内容器5との間に吸入される。そして、外容器6と内容器5との間の内圧が、外気の吸入により大気圧まで上昇すると、空気弁72が復元変形し、吸気孔46が本体部材53の内側から閉塞される。このように、外容器6と内容器5との間に外気が吸入されることにより、内容器5の減容形状が保持される。
【0050】
この状態から、再び外容器6をスクイズ変形させると、空気弁72により吸気孔46が本体部材53の内側から閉塞されていることから、外容器6と内容器5との間の内圧が正圧となり、この正圧によって内容器5が減容変形されて内容物が注出される。
【0051】
そして、内容器5の内容物がなくなったときに、装着筒部材52および容器本体4を前記軸線O回りに相対的に緩み側に回転させ、装着筒部材52を、爪部55を容器本体4の膨出部4dに下方から係合させた状態で容器本体4に対して上昇させることにより、容易破断部57が破断されてピルファープルーフ部56が容器本体4に残存されたまま、注出キャップ3のうちピルファープルーフ部56を除く全体が、内容器5とともに上昇されて外容器6から離脱される。
【0052】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0053】
例えば前記各実施形態では、係合部21および押下部22をそれぞれ筒状に形成したが、押下部22に直接係合部21を形成してもよく、また押下部22は柱状若しくは板状等であってもよい。
また、オーバーキャップ13、60の連結部26は、外シール筒部25と天壁部20との間に周方向に間隔をあけて複数配設してもよい。
さらに、天壁部20の上面は、外シール筒部25の上端縁と面一に位置させてもよい。
また、前述の第2実施形態の注出キャップ3では、内容器5の内圧変動により弁体65の連結片71が弾性変形して、弁板70が作動され連通口63が開閉されるとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、弁板70は、例えば内容物の自重や流動圧により作動することとしてもよい。
さらに、前述の第1実施形態の注出キャップ1のように、オーバーキャップ13に開放口13aを形成しなくてもよいし、蓋板体33を配設しなくてもよい。
また、前記各実施形態では、注出キャップ1、3の開封時に、まず、先行突起23、17aにより弱化部16の一部を破断した後に、押下部22の他の下端縁により弱化部16の残りの部分を破断するように構成しているが、先行突起23、17aにより弱化部16の一部を破断した後、オーバーキャップ13、60を開けるときに、弱化部16の残りの部分を破断するように構成することも可能である。
【0054】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
開封時の操作性を向上させることが可能で、しかも未開封であるか否かを外部から容易に判別することができる。
【符号の説明】
【0056】
1、3 注出キャップ
2、4 容器本体
2a、4a 口部
11 注出口
12、51 注出部材
13、60 オーバーキャップ
16 弱化部
17 閉塞体
18 被係合部
20 天壁部
21 係合部
22 押下部
23、17a 先行突起
24 内シール筒部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体の口部に装着されるとともに、内容物を注出する注出口が形成された注出部材と、
前記注出口を開閉自在に覆うオーバーキャップと、
を備える注出キャップであって、
前記注出部材に、破断可能な弱化部を介して接続され前記注出口を閉塞する閉塞体が配設され、
該閉塞体には、上方に向けて突出する被係合部が形成され、
前記オーバーキャップは、
下降移動可能に配設された天壁部と、
該天壁部から下方に向けて突設され、該天壁部の下降移動時に前記弱化部若しくは閉塞体を上方から押下して前記弱化部を破断させる押下部と、
前記天壁部の下降移動時に前記閉塞体の被係合部に係合することにより、前記閉塞体を当該オーバーキャップに保持させる係合部と、
を備え、
前記押下部および閉塞体のうちの少なくとも一方には、他方側に向けて突出して、前記天壁部の下降移動時に、他よりも先に他方側に当接する先行突起が形成されていることを特徴とする注出キャップ。
【請求項2】
請求項1記載の注出キャップであって、
前記押下部は、筒状若しくは柱状に形成されるとともに、前記天壁部が下降端位置に位置した状態で、前記注出口内に離脱自在に嵌合されることを特徴とする注出キャップ。
【請求項3】
請求項2記載の注出キャップであって、
前記押下部は、筒状に形成され、
前記閉塞体には、上方に向けて突出し、前記天壁部の下降移動時に前記押下部内に嵌合される内シール筒部が形成されていることを特徴とする注出キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−86888(P2012−86888A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237562(P2010−237562)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】