説明

注出容器

【課題】胴部2が方向性を有する容器体Aに対して中栓Cの向きを自由に変えることができて注出方向などの選択が自由であり、さまざまな種類の使用者に対応でき、また、それに伴う液漏れ等の不都合を確実に防止した注出容器を提案する。
【解決手段】容器体口頸部3上端部に嵌着した枠体Bを介して注出口付の中栓Cを回転可能に嵌着し、枠体Bの存在により中栓Cとの間の充分な液密性と円滑な摺動性を図った。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は注出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
注出容器として、注出口を備えた中栓と、該中栓を被覆して装着するカバーキャップとを容器体に被着し、装着する中栓の位置合わせを行うことにより容器体の向きと容器体内容物の注出方向との位置決めを行う如く工夫したものが知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記注出容器は、容器本体と、中栓と、カバーキャップとを備えている。容器本体は、口部の外周下部に螺条を備え、外周上部に外方に凸に形成した第2係止部を設けている。中栓は、注出口を備えた注出筒と、周壁筒とを底壁から立設し、周壁筒上端から外方に広がる鍔部を延設し、更に、鍔部外周縁から周状の外壁を垂設し、鍔部上面に筒状の中栓衝合部を立設し、鍔部下面からは周状の内壁が垂設されている。また、外壁の一部から前記第2係止部と係合する第1係止部を垂設している。カバーキャップは、頂壁周縁部から内周下部に螺条を設けたスカート壁を垂設し、スカート壁内の頂壁中央から、スカート壁より長く、中栓の周壁筒内に嵌合する第1内周壁を垂設し、更に、その外側に間隔をあけて第2内周壁,第3内周壁を順次垂設している。また、上記カバーキャップは中栓の保持手段を有する。保持手段は、スカート壁内の周状の突起を、中栓の外壁から外方に広がる突片に、アンダーカット係合して係合部を形成することにより、カバーキャップ内に中栓が保持される形態を採っている。
【0004】
そして、中栓を保持したカバーキャップを、その螺条を容器本体の螺条に螺合させて螺動下降させると、前記第1係止部と容器本体の第2係止部とが各々の端面で当接することによって、中栓の回転は阻止され、容器本体に対する中栓の位置決めが行われる。次いで更に螺動下降させると、第3内周壁下端が鍔部を押圧して中栓は更に下降するが、第1係止部と第2係止部とは当接により回転しないで下降し、容器本体の口部上端が鍔部下面の外壁と内壁との間に嵌着し、中栓が容器体に所定の向きで嵌着固定される。
【特許文献1】特開2000-255609 号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した如き従来の注出容器は、容器本体に対して中栓が所定の方向を向く様に固定されており、特に容器本体胴部が楕円形状などの方向性を備えたものの場合にはその傾向が顕著である。容器本体に対して中栓が特定方向を向くように固定されていれば、例えば、楕円筒状胴部に対して中栓のノズル注出方向が長径方向となる如く固定されていれば胴部の短径部分を掴んでの液の注出を行えるため、注出操作がより便利となる。
【0006】
しかしながら、これらの注出容器はその大きさも様々であり、また、使用者の手の大きさも様々であり、人によっては短径部分を掴むより長径部分を掴むほうが掴み易いという場合も生じる。本発明はこの様な点を考慮してなされたもので、胴部が方向性を有する容器体に対して中栓の向きを自由に変えることができて注出方向等の選択が自由であり、様々な種類の使用者に対応でき、また、それに伴う液漏れ等の不都合を確実に防止した注出容器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の注出容器は容器体と、枠体と、中栓と、カバーキャップとを備えており、容器体に対する中栓の向きを自由に変更することができる如く構成したものである。
【0008】
容器体は合成樹脂等により形成されたもので、胴部より口頸部を起立した形態のものが採用され、胴部が一定の方向性を備えたものが採用される。一定の方向性を備えた胴部としては、逆にどの方向からみても変化のない形状以外のものであり、真円形以外が該当する。例えば横断面形状が楕円状,台形状をなすもの,或いは一側面に凹部を設けた形状等が対象となる。
【0009】
枠体は合成樹脂等により形成されたもので、容器体に対して円滑且つ液密に中栓が回転できる如く両者間に介在させたもので、容器体口頸部内周に液密に嵌合させた内周壁の上端より下面を口頸部上に液密に当接した頂板を延設し、頂板外周縁より口頸部外周に回転を防止して嵌合させた外周壁を垂設している。枠体は容器体口頸部に対して固定された状態であるため、より安定した液密性を得られる。一方中栓に対しては充分な広さの摺動面を現出できるため、そちら側に関してもより安定した液密性を得られる。枠体と口頸部とのシールに関しては、面接触でも充分なシール性を得られるが、垂直面である内周壁と水平面である頂板とに、それぞれ対向面に圧接するシール突条を突設すれば、その効果はより絶大となる。また、容器口部にキズ等が生じた場合でも、枠体により液密性は保持される。
【0010】
中栓は、枠体を介して容器体に嵌合させたもので、注出口を備えている。また、容器体に対して回転可能に設けたものであり、枠体外周壁の外周に抜け出しを防止して回転可能に嵌合筒を嵌合させるとともに、嵌合筒上端より内方へ延設したフランジ部の下面を枠体の頂板上に液密かつ摺動可能に当接し、更に、フランジ部内周縁より垂設した垂壁部を枠体内周壁と液密摺動可能に嵌合させている。上方への抜け出しを防止するための手段としては、口頸部との間に回転可能な凹凸係合を設けると良く、口頸部外周に突設した突部或いは突条の下面に嵌合筒内周下部に突設した突条を回転可能に係合させることにより現出できる。枠体との間の液密性は面接触であってもシール突条を設けても良く、シール突条を設ける場合は垂壁部と枠体内周壁との間及び/又はフランジ部と枠体頂板との間に設けると良い。
【0011】
注出口は、ノズルや注出筒の形態として構成すると良く、容器体口頸部上端開口を閉塞する底壁などの閉塞壁部を垂壁部から延設してその部分に注出口を開口する。注出口を構成するノズルや注出筒なども方向性を備えたものが採用される。具体的には垂壁部から延設した底壁に下端を開口した円筒形状の注出筒で、その先端部を斜めに切り欠いて方向性を付与したものが挙げられる。
【0012】
また、枠体には周方向多数の縦突条を縦設して構成した第1縦突条群を設け、中栓には同様の第2縦突条群を設け、各縦突条群を相互に乗り越え可能に係合させ、中枠の回転が目的位置で的確に止まる如く構成するとよい。第1突条群及び第2突条群を設ける位置としては、前者が外周壁外面、後者が嵌合筒内面に設けると良い。
【0013】
カバーキャップは、中栓を被覆して着脱可能に嵌合係止したもので、係止状態としては中栓に対して螺着したものが好ましいが、その場合、螺着最終状態でそれ以上の螺合が進まない様に、例えば、カバーキャップ頂壁と中栓の頂部であるフランジ部とが当接係止する如く構成すると良い。カバーキャップと中栓との間も面接触或いはシール突条等により液密性を付与して容器体内へ気密性を付与すると良い。
【0014】
本発明の第1の手段として、方向性を備えた胴部2より口頸部3を起立した容器体Aと、口頸部3上端部に抜け出しを防止して嵌着した枠体Bを介して回転可能に嵌着した注出口付の中栓Cとを備える注出容器であって、前記枠体Bは、口頸部3内周に液密に内周壁10を嵌合させるとともに、内周壁10の上端より延設した頂板11の下面を口頸部3上に液密に当接し、且つ、頂板11外周縁より垂設した外周壁12を口頸部3外周に回転を防止して嵌合させてなり、上記中栓Cは、外周壁12の外周に抜け出しを防止して回転可能に嵌合筒21を嵌合させるとともに、嵌合筒21上端より内方へ延設したフランジ部22の下面を頂板11上に液密かつ摺動可能に当接し、且つ、フランジ部22内周縁より垂設した垂壁部23を内周壁10と液密摺動可能に嵌合させた。
【0015】
また、第2の手段として、前記第1の手段に於いて、前記外周壁12に周方向多数の縦突条を縦設して構成した第1縦突条群16を設けるとともに、前記嵌合筒21の内周面に周方向に多数の縦突条を縦設して構成した第2突条群29を設け、各縦突条群16,29相互を乗り越え可能に係合させた。
【発明の効果】
【0016】
本発明の注出容器は、中栓を容器体に対して自由に回転することができるため、必要に応じて中栓の注出方向を変えて使用することができ、手の大きさによって掴み易い方向に中栓を回転させることができる。また、枠体の存在で充分な液密性,円滑な摺動性を図ることができる。また、嵌合筒を掴んで中栓の回転を容易に行える。
【0017】
また、前記外周壁12に周方向多数の縦突条を縦設して構成した第1縦突条群16を設けるとともに、前記嵌合筒21の内周面に周方向た多数の縦突条を縦設して構成した第2突条群29を設け、各縦突条群16,29相互を乗り越え可能に係合させた場合には、中栓Cを回転させる際に任意の回転位置で容易に止めることができ、行き過ぎることがなく、また、手にクリック感を生じる為操作を心地よく行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1乃至図3は本発明注出容器の一例を示し、該注出容器1は、容器体Aと、枠体Bと、中栓Cと、カバーキャップDとを備えている。
【0020】
容器体Aは、筒状の胴部2より縮径した円筒状の口頸部3を起立して構成しており、合成樹脂を用いてブロー成形により形成している。また、容器体Aの胴部2の横断面形状は前後に長い楕円筒状をなしている。口頸部3は、上方から第1外周面3a,第2外周面3b,第3外周面3cの3つの外周面を備え、第1外周面3aから第3外周面3cへ順次径を大きく構成している。また、その縦幅は、第2外周面3bが一番短く、次いで第1外周面3a、第3外周面3cの順になっており、第1外周面3aの下部には廻り止めを構成する周方向多数の縦リブ4を突設している。また、第2外周面3bの上部には係合突条5を周方向環状に突設している。更に、第3外周面3cには螺条6を周設している。
【0021】
枠体Bは合成樹脂を用いて射出成形により形成したもので、容器体口頸部3内周に嵌合させた内周壁10の上端より口頸部3上面に下面を圧接した頂板11を延設し、頂板11の外周縁より口頸部3の第1外周面3aに嵌合する外周壁12を垂設している。内周壁10の内面及び頂板11の下面にはそれぞれ環状の第1シール突条13及び第2シール突条14を突設しており、それぞれ口頸部3内周面及び口頸部3上面に圧接して液密性を図り、二重シール構造としている。また、外周壁12の内面には周方向多数の縦リブ15を突設し、第1外周面3aの縦リブ4と各々係合させて廻り止め機構を形成している。また、外周壁12外面上端部には周方向に多数の縦突条を縦設して構成した第1縦突条群16を設けている。
【0022】
中栓Cは合成樹脂を用いて射出成形により形成したもので、容器体Aに対して回転可能に装着している。また、枠体Bの外周壁12の外周に抜け出しを防止して回転可能に嵌合させた嵌合筒21を備えている。嵌合筒21はその内周下端部に突設した係合突条20を第2外周面3bの係合突条5下面に回転可能に係合させて上方への抜け出しを防止している。また、嵌合筒21上端より内方へ延設したフランジ部22の下面を頂板11上に液密かつ摺動可能に当接し、更に、フランジ部22内周縁より垂設した垂壁部23を枠体Bの内周壁10と液密摺動可能に嵌合させている。垂壁部23の下端縁からは口頸部3を閉塞する底壁24を延設し、底壁24中央部に開口した透孔25の周縁より上方へ、注出口としての注出筒26を立設している。注出筒26の先端部は斜めに切り欠いて図1の向かって左側に倒して液の注出を行う如く構成している。また、フランジ部22下面には環状の第3シール突条27を突設し、その部分の液密性を図っている。更に嵌合筒21の内周面に周方向多数の縦突条を縦設して構成した第2突条群29を設け、前記第1縦突条群16と乗り越え可能に係合させている。
【0023】
カバーキャップDは合成樹脂を用いて射出成形により形成したもので、口頸部3の第3外周面3cに螺着させた周壁30の上端縁より頂壁31を延設している。頂壁31の中央部は、中栓Cの頂板11より上方へ突出した注出筒26を収納するために、上方へ隆起した隆起部32に形成している。そして、周壁30の内周に周設した螺条33を口頸部3外周の螺条6と螺合させ、頂壁31の下面から垂設したシール筒34を垂壁部23内周に密嵌させている。この場合も頂壁31裏面に突設した環状の第4シール突条35をフランジ部22上面に圧接して液密性を図っており、さらに、シール筒34の上端部外周面を垂壁部23の内周面上端部に圧接して液密性を図っている。
【0024】
注出容器1を使用する場合には、図1の状態からカバーキャップDを螺脱し、容器体Aを傾ければ、収納腋が注出筒26より注出される。また、必要に応じて中栓Cを回転させて同様に液を注出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明注出容器の縦断面図である。(実施例1)
【図2】本発明注出容器の要部拡大断面図である。(実施例1)
【図3】本発明注出容器の枠体の斜視図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0026】
2…胴部,3…口頸部,10…内周壁,11…頂板,12…外周壁,16…第1縦突条群,
21…嵌合筒,22…フランジ部,23…垂壁部,29…第2縦突条群,A…容器体,
B…枠体,C…中栓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方向性を備えた胴部2より口頸部3を起立した容器体Aと、口頸部3上端部に抜け出しを防止して嵌着した枠体Bを介して回転可能に嵌着した注出口付の中栓Cとを備える注出容器であって、前記枠体Bは、口頸部3内周に液密に内周壁10を嵌合させるとともに、内周壁10の上端より延設した頂板11の下面を口頸部3上に液密に当接し、且つ、頂板11外周縁より垂設した外周壁12を口頸部3外周に回転を防止して嵌合させてなり、上記中栓Cは、外周壁12の外周に抜け出しを防止して回転可能に嵌合筒21を嵌合させるとともに、嵌合筒21上端より内方へ延設したフランジ部22の下面を頂板11上に液密かつ摺動可能に当接し、且つ、フランジ部22内周縁より垂設した垂壁部23を内周壁10と液密摺動可能に嵌合させたことを特徴とする注出容器。
【請求項2】
前記外周壁12に周方向多数の縦突条を縦設して構成した第1縦突条群16を設けるとともに、前記嵌合筒21の内周面に周方向た多数の縦突条を縦設して構成した第2突条群29を設け、各縦突条群16,29相互を乗り越え可能に係合させてなる請求項1記載の注出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−137489(P2007−137489A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−335649(P2005−335649)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】