説明

注文管理システム

【課題】未会計オーダデータがいかなる理由で取消されたのかを後で容易に知り得るようにする。
【解決手段】オーダファイルに記憶されているオーダデータのなかで決済装置にて会計処理がなされていない未会計オーダデータの取消が指令されると、取消理由の入力を強制する。そして、取消が指令された未会計オーダデータについて取消理由が入力されたことを条件に当該未会計オーダデータを取消処理する。また、取消処理された未会計オーダデータの識別データを当該未会計オーダデータに対して入力された取消理由の情報と関連付けて記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、代金後払い方式の飲食店等において、飲食メニューの注文から会計までを一元的に管理する注文管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ファミリーレストランや居酒屋等の多くの飲食店では、飲食メニューの注文から会計までを一元的に管理することが可能な注文管理システムが構築されている。このシステムは、携帯型のオーダエントリ用端末と、この端末と無線通信が可能な無線部を備えたステーションと、注文伝票を印字発行する伝票発行機と、厨房に設置された厨房端末と、代金の会計場所であるレジに設置された電子式キャッシュレジスタまたはPOS(Point Of Sales)端末等の決済装置とから構成されている。ステーションと、伝票発行機,厨房端末及び決済装置とは、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介して接続されている。
【0003】
このような注文管理システムが構築された飲食店では、接客担当の店員がオーダエントリ用端末を携帯している。そして、客から飲食メニューの注文を受けると、店員はオーダエントリ用端末を操作してその飲食メニューのオーダデータを入力する。そうすると、入力された飲食メニューのオーダデータが端末内で電波に変調されて発信され、無線部を介してステーションに取込まれる。
【0004】
ステーションでは、オーダエントリ用端末から発信された飲食メニューのオーダデータが無線部を介して取込まれると、このオーダデータに基づいて客が注文した飲食メニューの調理指示データが作成され、通信回線を介して厨房端末に伝送される。これにより、厨房端末から印字,表示,音声等の出力手段によって調理担当者に対する調理指示が行なわれる。そこで調理担当の店員は、厨房端末からの調理指示に従い、注文のあった飲食メニューの調理を行なう。
【0005】
また、ステーションでは、入力された飲食メニューのオーダデータに基づいて注文伝票の印字データが作成され、通信回線を介して伝票発行機に伝送される。これにより、伝票発行機から注文伝票が印字発行される。そこで接客担当の店員は、注文伝票の内容に従い、調理された飲食メニューの品を客席に配膳する。
【0006】
また、ステーションには、飲食メニューのオーダデータを記憶管理するためのオーダファイルが設けられている。そして、オーダエントリ端末を介して入力された各客のオーダデータが、卓番号または伝票番号等の検索キーとなるデータと関連付けられて記憶保持される。そこで、会計担当の店員は、飲食を終えた客から注文伝票を受け取ると、決済装置を操作して検索キーとなるデータ、つまりは注文伝票の伝票番号またはその客が着いたテーブルの卓番号を入力する。そうすると、オーダファイルが検索されて、検索キーとなるデータと関連付けられてオーダファイルに記憶保持されている飲食メニューのオーダデータが決済装置に呼出される。そして、決済装置では、このオーダデータに基づいて飲食代金の会計が処理される。
【0007】
このような注文管理システムにおいて、ステーションのオーダファイルに記憶保持されている各オーダデータのうち、注文が確定しているものの未だ会計されていないデータ、つまり未会計のオーダデータを一括して読出し、この一括読出しされた未会計オーダデータの合計を含む未会計情報を出力するようにした技術は、既に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−330481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、客の中には、飲食メニューを注文したものの配膳される前に例えば急用ができて帰ってしまう客がいる。また、飲食代金を支払わずに店を出てしまう客もいる。このような場合、この客に対するオーダデータは会計されないままオーダファイルに残ってしまうこととなる。そこで例えば決済装置を操作して、オーダファイルから未会計のオーダデータを取消すことは、従来から可能であった。
【0009】
しかしながら従来のこの種の注文管理システムにおいては、オーダファイルから取消された未会計オーダデータの件数や金額等を集計することにより取消し履歴を管理することは行なわれていたものの、その履歴情報からは未会計のオーダデータがいかなる理由により取消されたのかを店舗管理者が知ることは困難であった。このため、例えば会計担当の店員が知り合いの客から代金を徴収しなかったり、代金を受取ったものの処理上は未収としてその代金を着服したりする不正を働いても、未会計オーダデータの取消履歴からはその不正を発見するのが困難であった。
【0010】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、オーダファイルから未会計のオーダデータを取消す際にはその取消理由の入力が必須であり、未会計オーダデータがいかなる理由で取消されたのかを後で容易に知り得、未会計オーダデータの取消が生じる不正の発生抑制効果を奏し得る注文管理システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、入力されたオーダデータを記憶するオーダファイルを有した注文管理装置例えばステーションと、オーダファイルから呼出したオーダデータについて会計処理する決済装置例えばPOS端末を備えた注文管理システムにおいて、オーダファイルに記憶されているオーダデータのなかで決済装置にて会計処理がなされていない未会計オーダデータの取消を指令する取消指令手段を設ける。また、未会計オーダデータの取消が指令されると、取消理由の入力を強制する理由入力強制手段を設ける。そして、取消オーダ処理手段は、取消が指令された未会計オーダデータについて取消理由が入力されたことを条件に当該未会計オーダデータを取消処理する。また、取消オーダ記憶手段は、取消処理された未会計オーダデータの識別データを当該未会計オーダデータに対して入力された取消理由の情報と関連付けて記憶する。
【発明の効果】
【0012】
かかる手段を講じた本発明によれば、オーダファイルから未会計のオーダデータを取消す際にはその取消理由の入力が必須であり、未会計オーダデータがいかなる理由で取消されたのかを後で容易に知ることができる。したがって、未会計オーダデータの取消が生じる不正の発生抑制効果を奏し得るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
なお、この実施の形態は、ファミリーレストラン等のような代金後払い方式の飲食店に構築された注文管理システムに本発明を適用した場合である。
【0014】
図1は本実施の形態における注文管理システムの全体構成を示すブロック図であり、図中符号1はそれぞれオーダエントリ用端末を示している。各オーダエントリ用端末1は、接客担当の店員がそれぞれ携帯可能な小型の端末であり、客から注文を受けた飲食メニューのオーダデータを入力するのに供せられるものである。オーダエントリ用端末1には無線回路が内蔵されており、ステーション3に接続された無線部2との間で無線を利用してデータ通信を行えるようになっている。無線部2は、店舗の事務室等に置かれたステーション3と主に客席で使用される各オーダエントリ用端末1との間のデータ伝送の中継を担うべく、例えば客席の天井部に取り付けられている。
【0015】
ステーション3は、客の注文から調理,会計までを一元的に管理するコンピュータ機器であり、本システムの注文管理装置として機能する。このステーション3には、LAN等の通信回線4を介して、厨房端末5,伝票発行機6及びPOS端末7がオンラインで接続されている。
【0016】
厨房端末5は、厨房の調理担当者に対して客が注文した飲食メニューの調理指示を印字,表示,音声等の出力手段によって行なうものである。伝票発行機6は、客が注文した飲食メニューの品目名,価格や合計品目数及び合計金額等の注文明細データが印字された注文伝票を客毎に発行するものである。各注文伝票には、それぞれ固有の伝票番号が印刷されている。POS端末7は、客が注文した飲食メニューの代金支払いに対する会計処理を行なうもので、本システムの決済装置として機能する。
【0017】
ステーション3が有するハードディスク等の不揮発性記憶部には、メニューファイル8,オーダファイル9及び監査ファイル10が形成されている。メニューファイル8は、各飲食メニューの品目を識別するために品目毎に設定されたメニューコードに対応して、そのメニュー品目名,価格等のメニューデータを予め記憶したものである。
【0018】
オーダファイル9は、オーダエントリ用端末1を介して入力された飲食メニューのオーダデータを順次記憶するものである。このオーダファイル9に記憶される1レコードのデータ構造を図2に示す。図示するようにオーダファイル9に記憶されるレコードは、伝票番号,卓番号,人数及び注文担当者コードの各データと、客が注文した飲食メニューのメニューコード,価格,点数,金額等からなるオーダデータと、合計点数,合計金額,オーダ時刻及び処理区分の各データとから構成されている。伝票番号は、1単位(1人または1グループ)の客に対して発行された注文伝票の識別番号である。卓番号は、当該客が着いているテーブル(卓)の識別番号である。なお、客がグループ客であり、複数のテーブルに分かれて着いている場合には何れか1つの代表的なテーブルの番号とする。処理区分は、当該レコードの状態を識別する値であり、本実施の形態では、処理区分が“0”の場合は未会計を示し、”1”の場合は会計済を示し、“9”は取消済を示すものとする。
【0019】
監査ファイル10は、未会計のまま取り消されたオーダデータ等を順次記憶するものである。この監査ファイル10に記憶される1レコードのデータ構造を図3に示す。図示するように監査ファイル10に記憶されるレコードは、監査区分,伝票番号,会計担当者コード,注文担当者コード,合計点数,合計金額,オーダ時刻,取消理由コード及び取消時刻等の各データで構成されている。監査区分は、当該レコードの種類を識別する値であり、本実施の形態では、監査区分が“1”の場合は、未会計オーダデータの取消レコードを示すものとする。
【0020】
図4はPOS端末7の要部構成を示すブロック図である。このPOS端末7は、制御部本体としてCPU(Central Processing Unit)11を搭載している。また、プログラム等の固定的データが格納されたROM(Read Only Memory)12、各種データを書換え可能に記憶するための種々のメモリエリアが形成されるRAM(Random Access Memory)13、現在の日付及び時刻を計時する時計部14、通信回線4を介して接続されたステーション3との間のデータ通信を制御する通信インターフェイス15、ドロワ16に対して開放指令信号を出力するI/Oポート17、キーボード18から操作キーに対応したキー信号を取込むキーボードコントローラ19、オペレータ用表示器20の画面表示を制御する表示コントローラ21、客用表示器22の画面表示を制御する表示コントローラ23、レシート・ジャーナルプリンタ24によるレシート印字及びジャーナル印字動作を制御するプリンタコントローラ25等を備えている。そしてCPU11と、ROM12,RAM13,時計部14,通信インターフェイス15,I/Oポート17,キーボードコントローラ19,表示コントローラ21,表示コントローラ23及びプリンタコントローラ25とを、アドレスバス,データバス等のバスライン26で接続している。
【0021】
キーボード18には、数値を入力するための置数キーの他、乗算キー,クリアキー,現計キー,確認キー,取消キー,直前取消キー等の各種ファンクションキーが配設されている。
【0022】
また、図5に示すように、予め一意に定められた連続番号である取消理由コードに対応して、未会計のオーダデータを取消す際の取消理由項目が設定された取消理由テーブル(取消理由記憶手段)30を、ROM12またはRAM13で記憶している。
【0023】
かかる構成のPOS端末7は、通常の会計処理の他、図6の流れ図に示す未会計取消処理をCPU11が実行するようにプログラム構成されている。この処理は、POS端末7の点検業務メニューの1つとして未会計取消業務が設定されており、この未会計取消業務の実行が指令されたことに応じて開始される。
【0024】
先ずCPU11は、ST(ステップ)1として未会計オーダデータの収集処理を行なう。すなわち、オーダファイル9を有するステーション3に対して未会計オーダデータの要求コマンドを送信する。そうすると、ステーション3では、オーダファイル9の検索が実行されて、処理区分が“0”のオーダデータレコードが一括して読み出される。そして、この一括して読出されたオーダデータレコードが通信回線4を介してPOS端末7に伝送される。そこでCPU11は、ステーション3から受信したオーダデータレコードを未会計オーダデータとして収集する。
【0025】
次にCPU11は、ST2としてこの未会計オーダデータに含まれる各項目のデータにより、図7に示すように伝票番号,注文担当者名,合計点数,合計金額,オーダ時刻等を一覧とした未会計オーダリスト41を作成する。そして、この未会計オーダリスト41の画面40をオペレータ用表示器20に表示させる(未会計リスト表示手段)。
【0026】
次にCPU11は、ST3として未会計取消処理の終了が指示されるか、ST4として未会計オーダリスト41のなかの何れかの伝票番号が入力されるのを待機する。ここで、キーボード18の置数キーにより伝票番号に相当する桁数の数値データが入力され、確認キーが操作された場合には、CPU11は、ST5として数値データが未会計オーダリスト41に存在する伝票番号のいずれか1つと一致するか否かを判断する。ここで、一致しない場合には、伝票番号の入力エラーとし、ST3,ST4の判断処理に戻る。
【0027】
これに対し、数値データが未会計オーダリスト41に存在する伝票番号のいずれか1つと一致した場合には、CPU11は、取消を行なう未会計オーダデータの伝票番号が指令されたものとみなす(取消指令手段)。そしてST6として、図8に示すように、その未会計オーダデータの伝票番号,注文担当者名,合計点数,合計金額及びオーダ時刻とともに、取消理由テーブル30に設定されている取消理由コードと取消理由項目の対応表である理由名称リスト51を含む理由コード入力画面50をオペレータ用表示器20に表示させる。しかる後、ST7として取消中止が入力されるか、ST8として理由コードが入力されるのを待機する(理由入力強制手段)。
【0028】
ここで、キーボード18の直前取消キーが操作入力された場合には、取消中止が指令されたので、CPU11は、ST2の処理に戻り、オペレータ用表示器20の画面を未会計オーダリスト画面40に戻す。
【0029】
これに対し、置数キーによりいずれかの理由コードに一致する数値データが入力され、確認キーが操作されると、CPU11は、数値データを取消理由コードとして取得する。そして、ST9として図3に示すデータ構造の取消監査レコードを生成する。すなわち、監査区分は“1”とする。伝票番号,注文担当者コード,合計点数,合計金額,オーダ時刻は、当該未会計オーダデータの該当項目データとする。会計担当者コードは、POS端末7のオペレータがサンイオン時に入力した担当者コードとする。取消理由コードは、理由コード入力画面50でキー入力された数値データとする。取消時刻は、時計部14にて計時されている現在時刻とする。
【0030】
上記取消監査レコードを生成したならば、CPU11は、ST10としてこの取消監査レコードをRAM13に一時記憶する。しかる後、ST2の処理に戻り、オペレータ用表示器20の画面を未会計オーダリスト画面40に戻す。
【0031】
一方、オペレータ用表示器20に未会計オーダリスト画面40が表示されている状態において、キーボード18の現計キーが操作されると、CPU11は、終了入力有りと判断する。この場合、CPU11は、ST11としてRAM13に記憶している取消監査レコードをステーション3に送信して、この会計取消処理を終了する。
【0032】
一方、この取消監査レコードを受信したステーション3においては、図9に示すように、ST21として当該取消監査レコードの伝票番号をキーとしてオーダファイル9を検索する。そして、ST22として当該伝票番号を含む未会計オーダデータレコードを取得したならば、ST23としてこのレコードの処理区分を、未会計を示す“0”から取消し済を示す“9”に更新する(取消オーダ処理手段)。また、ST24として当該取消監査レコードを監査ファイル10に追加格納する(取消オーダ記憶手段)。
【0033】
このように構成された本実施の形態の注文管理システムが構築された飲食店においては、各接客担当の店員はオーダエントリ用端末1をそれぞれ携帯して接客する。そして、客から飲食メニューの注文を受けると、オーダエントリ用端末1を操作してそのオーダデータを入力する。そうすると、入力された飲食メニューのオーダデータが端末1内で電波に変調されて発信され、無線部2を介してステーション3に取込まれる。
【0034】
ステーション3では、オーダエントリ用端末1から発信された飲食メニューのオーダデータが無線部2を介して取込まれると、このオーダデータに基づいて客が注文した飲食メニューの調理指示データが作成され、通信回線4を介して厨房端末5に伝送される。これにより、厨房端末5から印字,表示,音声等の出力手段によって調理担当者に対する調理指示が行なわれる。そこで調理担当の店員は、厨房端末からの調理指示に従い、注文のあった飲食メニューの調理を行なう。
【0035】
また、ステーション3では、上記飲食メニューのオーダデータに基づいて注文伝票の印字データが作成され、通信回線4を介して伝票発行機6に伝送される。これにより、伝票発行機6から注文伝票が印字発行される。そこで接客担当の店員は、注文伝票の内容に従い、調理された飲食メニューの品を客席に配膳する。
【0036】
また、ステーション3では、上記注文伝票の伝票番号と関連付けられて上記オーダデータがオーダファイル9に格納される。この際、当該オーダデータに付加された処理区分は、未会計を示す“0”となっている。
【0037】
POS端末7を操作する会計担当の店員は、飲食を終えた客から注文伝票を受け取ると、POS端末7を操作して検索キーとなるデータ、つまりは注文伝票の伝票番号を入力する。そうすると、オーダファイル9が検索されて、検索キーとなるデータ(伝票番号)と関連付けられてオーダファイル9に記憶保持されているオーダデータがPOS端末7に呼出される。そして、POS端末7では、このオーダデータに基づいて飲食代金の会計処理が行なわれる。これにより、オーダファイル9に記憶保持されている当該オーダデータの処理区分は、会計済を示す“1”に更新される。
【0038】
ところで、飲食メニューを注文したものの配膳される前に例えば急用ができて帰ってしまった客がいたり、飲食代金を支払わずに店を出てしまった客がいたりして、オーダファイル9に記憶保持されている各オーダデータのうち未会計のオーダデータを取消す必要が生じた場合、本実施の形態では、POS端末7からこの未会計オーダデータを取消すことが可能である。
【0039】
すなわち、未会計オーダデータの取消を行なう担当者は、POS端末7のキーボード18を操作して業務メニューの中から点検業務を選択し、さらにこの点検業務メニューの中から未会計取消業務を選択して、その実行を指令する。そうすると、ステーション3のオーダファイル9に記憶保持されている飲食メニューのオーダデータのなかから処理区分が“0”のオーダデータつまりは未会計のオーダデータが読み出され、POS端末7に伝送される。そして、この未会計のオーダデータに基づいて未会計オーダリスト41が作成され、オペレータ用表示器20に表示される。
【0040】
この未会計オーダリスト41の一表示画面例を図7に示す。今、伝票番号[0188]の未会計オーダデータを取消すものとすると、担当者は、置数キーにて伝票番号[0188]を置数し、確認キーを押下する。そうすると、図8に示す内容の理由コード入力画面50が表示される。そこで担当者は、該当する取消理由の理由コードを置数キーで置数し、確認キーを押下する。例えば、飲食メニューを注文したものの配膳される前に帰ってしまった客のオーダデータを取消す場合には、理由名称「キャンセル分」に対応した理由コード[02]を入力する。また、飲食代金を支払わずに店を出てしまった客のオーダデータを取消す場合には、理由名称「未収分」に対応した理由コード[01]を入力する。
【0041】
上記理由コードを入力することにより、当該POS端末7では、監査区分が“1”の取消監査レコードが生成される。この取消監査レコードには、取消を行なうオーダデータの識別データである伝票番号の他、そのオーダデータの合計金額及び合計点数や、キー入力された取消理由コードや、取消を行なった担当者を特定する会計担当者コード及び取消時刻等が記憶されている。
【0042】
その後、担当者が現計キーを押下して、未会計取消処理の終了を指令すると、POS端末7からステーション3に上記取消監査レコードが伝送される。これにより、ステーション3においては、オーダファイル9に記憶保持されている各オーダデータのうち、当該取消監査レコード中の伝票番号と一致するオーダデータの処理区分が取消し済を示す“9”に更新される。また、上記取消監査レコードが監査ファイル10に書き込まれて保存される。
【0043】
このように本実施の形態によれば、未会計のオーダデータを取消す際には、取消理由の入力をオペレータに強制するように構成している。そして、取消理由が入力されると、取消済となったオーダデータの伝票番号,合計点数,合計金額,オーダ時刻,注文担当者コード等と関連付けられて、取消理由を特定するコードと取消を行なった担当者を特定する会計担当者コード及び取消時刻等の取消管理情報が監査ファイル10にて自動的に記憶保存されるようになっている。したがって、監査ファイル10のデータを点検することにより、取消された未会計オーダデータ毎に上述した取消管理情報を得られるので、未会計オーダデータを取消した時刻及び担当者と、その取消理由を容易に特定することができる。これにより、例えば会計担当の店員が知り合いの客から代金を徴収しなかったり、代金を受取ったものの処理上は未収としてその代金を着服したりする不正を行なおうとしても、その不正により生じる未会計オーダデータの取消作業の際に、取消し理由を入力しなければならないので取消し難くなり、不正の発生抑制効果を奏し得るものとなる。
【0044】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
例えば前記実施の形態では、キーボード18の置数キーと確認キーを操作して伝票番号や取消理由コードを入力するようにしたが、これらの入力方法はこれに限定されるものではなく、いかなる方法で入力してもよいものである。例えば、オペレータ用表示器20をタッチパネルとし、未会計オーダリスト41から未会計オーダデータの伝票番号をタッチ操作することによって入力可能とし、また、理由名称リスト51から該当する取消理由項目の理由コードをタッチ操作することによって入力可能とてもよい。
【0045】
また、前記実施の形態では、各種取消理由項目に対応してそれぞれ一意の取消理由コードを設定し、この取消理由コードを入力することによって取消理由を入力するように構成したが、取消理由を操作者が直接入力するようにしてもよい。
【0046】
また、前記実施の形態では、未会計オーダデータの取消をPOS端末7から行なう場合を示したが、これに限定されるものではない。例えば、オーダエントリ用端末1や厨房端末5から行うようにしてもよい。あるいは、ステーション3に接続された通信回線4上にパソコン等の機器を接続し、この機器を介して未会計オーダデータの取消を行うようにしてもよい。
【0047】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施の形態である注文管理システムの全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施の形態においてステーションが有するオーダファイルに保存される1レコードのデータ構造を示す模式図。
【図3】同実施の形態においてステーションが有する監査ファイルに保存される1レコードのデータ構造を示す模式図。
【図4】同実施の形態におけるPOS端末の要部構成を示すブロック図。
【図5】同実施の形態においてPOS端末が有する取消理由テーブルのデータ構造を示す模式図。
【図6】同実施の形態においてPOS端末のCPUが実行する未会計取消処理の主要な手順を示す流れ図。
【図7】同実施の形態においてPOS端末で未会計取消処理が実行されているときにその表示部に表示される未会計オーダリスト画面の一例を示す平面図。
【図8】同実施の形態においてPOS端末で未会計取消処理が実行されているときにその表示部に表示される理由コード入力画面の一例を示す平面図。
【図9】同実施の形態においてステーションが実行する取消監査レコード受信処理の主要な処理手順を示す流れ図。
【符号の説明】
【0049】
1…オーダエントリ用端末、2…無線部、3…ステーション、7…POS端末、8…メニューファイル、9…オーダファイル、10…監査ファイル、11…CPU、30…取消理由テーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたオーダデータを記憶するオーダファイルを有した注文管理装置と、
前記オーダファイルから呼出したオーダデータについて会計処理する決済装置とを備えた注文管理システムにおいて、
前記オーダファイルに記憶されているオーダデータのなかで前記決済装置にて会計処理がなされていない未会計オーダデータの取消を指令する取消指令手段と、
この取消指令手段により未会計オーダデータの取消が指令されると、取消理由の入力を強制する理由入力強制手段と、
前記取消指令手段により取消が指令された未会計オーダデータについて取消理由が入力されたことを条件に当該未会計オーダデータを取消処理する取消オーダ処理手段と、
この取消オーダ処理手段により取消処理された未会計オーダデータの識別データを当該未会計オーダデータに対して入力された取消理由の情報と関連付けて記憶する取消オーダ記憶手段と、
を具備したことを特徴とする注文管理システム。
【請求項2】
前記オーダファイルに記憶されているオーダデータのなかで前記決済装置にて会計処理がなされていない未会計オーダデータのリストを表示部に表示させる未会計リスト表示手段、をさらに具備し、
前記取消指令手段は、前記表示部に表示された未会計オーダデータのリストの中から取消すべき未会計オーダデータを選択する手段であることを特徴とする請求項1記載の注文管理システム。
【請求項3】
予め一意に定められた取消理由コードに対応して取消理由の情報を設定記憶する取消理由記憶手段、をさらに具備し、
前記理由入力強制手段は、前記取消指令手段により未会計オーダデータの取消が指令されると、前記取消理由記憶手段により記憶された取消理由コードとそれに対応する取消理由の情報とを表示部に表示させ、何れかの取消理由コードが選択入力されるのを待機することを特徴とする請求項1記載の注文管理システム。
【請求項4】
前記取消指令手段及び前記理由入力強制手段を前記決済装置が具備し、
前記取消オーダ処理手段及び前記取消オーダ記憶手段を前記注文管理装置が具備したことを特徴とする請求項1記載の注文管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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