説明

注記情報生成システム及びプログラム

【課題】地図上で一つの注記を付与すべき場所に複数の注記候補が存在する場合に最善の注記を付与するための注記情報を生成する。
【解決手段】検索サーバ2は携帯端末装置5からの検索要求に応じて検索を行って検索結果のリストを携帯端末装置5へ送る。リスト中から選択された検索対象を検索結果情報データベースに保存するとともに、それを含む地図を地図サーバ3から取得し、携帯端末装置5へ送る。地図サーバ3は、一つの注記を付与すべき場所に存在する検索対象毎に検索結果として選択された回数が最多の検索対象を示す情報を注記情報とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図の注記情報を生成するシステム、及びそのシステムをコンピュータにより実現するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置や携帯型電話機などにおいて、地図を電子的に表示してユーザを案内することが行われている。このような地図には、店舗、レストラン、ビル、公園、道路、鉄道などの名称を示す文字列である所謂「注記」が、それらを示す図形や記号とともに表示される。
【0003】
注記を地図上に表示させるための注記情報の生成方法としては、注記情報生成用のデータベースを構築し、これと地図上の住所情報などを用いて地図制作者が手動で注記の配置や文字数を示す注記情報を生成することが一般的である。
【0004】
また、注記の配置を自動的に行うことにより、手動による注記配置の手間を省くことのできる文字列情報選択装置が知られている(特許文献1)。具体的には、視認性などを考慮して予め設定された複数の選択条件を利用して、注記として表示すべき文字列を取捨選択する。その選択条件には文字列の優先順位や文字数などがある。
【0005】
ここで、地図上の一つの場所に複数の注記付与対象物があるにもかかわらず、地図の縮尺などの関係で、一つの場所に一つしか注記を付与できないことがある。特許文献1に記載されている文字列情報選択装置では、このような場合、即ち例えば一つのビル内に複数の店舗や施設が存在する場合、その店舗や施設に一対一に対応付けられ、かつその店舗や施設の内容を示すビル名(クリニックビル、スナックビルなど)を注記情報としているため(段落0077、図3)、ビル内に同種の店舗や施設がない場合、適切な注記情報を生成することはできない。また、同種の店舗や施設があったとしても、単に最も多い種類を示すビル名を注記情報としたのでは、著名な店舗や施設が一つの場合、その注記が表示されないため、それらの場所を知りたいユーザの要求に応えられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−328303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、一つの注記を付与すべき場所(以下、注記付与単位地点と言う)に複数の注記候補が存在する場合に、最善の注記を付与するための注記情報を生成できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、注記付与単位地点に存在する検索対象毎に検索結果として選択された選択回数を格納する検索結果情報格納手段と、該検索結果情報格納手段により格納された選択回数が最多の検索対象を示す情報を注記情報とする注記情報決定手段とを有する注記情報生成システムである。
【0009】
[作用]
本発明によれば、注記付与単位地点に存在する検索対象毎に検索結果として選択された回数が最多の検索対象を示す情報を注記情報とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、注記付与単位地点に注記候補が複数存在する場合に、最善の注記付与するための注記情報を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態の注記情報生成システムを含む地図検索システムを示す図である。
【図2】図1における携帯端末装置のブロック図である。
【図3】図1における検索サーバのブロック図である。
【図4】図1における地図サーバのブロック図である。
【図5】本発明の実施形態の地図検索システムにおける検索動作のフローチャートである。
【図6】図1における地図サーバの注記決定処理のフローチャートである。
【図7】図1における地図サーバの重要注記登録処理のフローチャートである。
【図8】図1における地図サーバの注記選択処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
〈システム構成〉
図1に本発明の実施形態の注記情報生成システムを含む地図検索システムを示す。この地図検索システムは、インターネットなどのネットワーク1、ネットワーク1に接続される検索サーバ2及び地図サーバ3、及び基地局4経由でネットワーク1に接続される携帯端末装置5からなる。
【0013】
なお、便宜上携帯端末装置5を1台図示したが、実際には多数の携帯端末装置5がネットワーク1に接続されることは言うまでもない。また、検索サーバ2と地図サーバ3とがイントラネットや専用線で接続される場合もある。
【0014】
検索サーバ2は情報検索用画面の作成機能、携帯端末装置5からの検索要求に応じて検索を実行する機能などを備えており、地図サーバ3は地図情報を作成する機能、検索サーバ2や携帯端末装置5からの要求に応じて地図情報を提供する機能などを備えている。
【0015】
携帯端末装置5は携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、PND(Personal Navigation Device)などからなり、内蔵するROM(Read Only Memory)に所定のアプリケーションプログラム(以下、アプリと言う)を格納することで、検索サーバ2の検索用画面を表示部に表示して情報検索を行ったり、地図サーバ3から提供される地図情報を表示部に表示したりすることができる。
【0016】
〈携帯端末装置の構成〉
図2は携帯端末装置5のブロック図である。この携帯端末装置5は制御部51、操作部52、表示部53、及び無線通信部54を備えている。
【0017】
制御部51は携帯端末装置5の各部を制御するためのコントローラであり、CPU(Central Processing Unit)511と、ROM512と、RAM(Random Access Memory)513とを備えている。CPU511はROM512に記憶されたプログラムをRAM513にロードして実行することで、後述する種々の処理を実現する。
【0018】
操作部52は、この携帯端末装置5をユーザが操作するための各種ボタンからなる。表示部53は、この携帯端末装置5の動作状態や、操作部52からユーザが入力した情報などを表示するための液晶表示装置などからなる。無線通信部54は基地局4との間で無線通信を行うための回路である。
【0019】
〈検索サーバの構成〉
検索サーバ2は、図3に示すように、制御部21、通信部22、及び記憶部23を備えている。
【0020】
制御部21はCPU211、ROM212、及びRAM213を含み、この検索サーバ全体の制御などを行う。CPU211は、ROM212に記憶されたプログラムをRAM213にロードして実行することで、後述する種々の処理を実現する。また、図示を省略したがカウンタを備えている。
【0021】
通信部22はネットワーク1を介して地図サーバ3と通信を行い、ネットワーク1及び基地局4を介して携帯端末装置5と通信を行う。記憶部23はHDD(ハードディスク装置)からなり、検索対象情報DB(データベース)231、及び検索結果情報DB232が設けられている。
【0022】
検索対象情報DB231には検索対象に関する情報が予めキーワード、位置(緯度、経度)、URL(Uniform Resource Locator)などとともに格納されている。検索結果情報DB232には、ユーザが携帯端末装置5を用いて検索し、検索結果のリストの中から選択し、地図を表示した検索対象を示す情報と、前述したカウンタの値である選択された回数とが関連付けられ、注記付与単位地点毎に保存される。
【0023】
即ち検索結果情報DB232に保存される検索結果情報のデータ構造は、注記付与単位地点ID、位置(緯度、経度)、検索対象名、選択された回数からなる。注記付与単位地点ID、位置(緯度、経度)、及び検索対象名は予め登録されている。選択された回数は検索対象が選択される度にインクリメントされるカウンタの値である。
【0024】
ここでは、「焼肉チェーンaa有楽町店」と「映画館bb」とが同じ「ccビル」内に存在しており、それぞれが選択された回数が125、95、80である状態を示している。位置(緯度、経度)は「ccビル」の位置を示している。
【0025】
〈地図サーバの構成〉
地図サーバ3は、図4に示すように、制御部31、通信部32、及び記憶部33を備えている。
【0026】
制御部31はCPU311、ROM312、及びRAM313を含み、この地図サーバ全体の制御などを行う。CPU311は、ROM312に記憶されたプログラムをRAM313にロードして実行することで、後述する種々の処理を実現する。
【0027】
通信部32はネットワーク1を介して検索サーバ2と通信を行い、ネットワーク1及び基地局4を介して携帯端末装置5と通信を行う。記憶部33はHDDからなり、地図情報DB331が設けられている。
【0028】
地図情報DB331には、家屋、公園、道路、鉄道などの地物のベクトル情報が格納されているベクトル情報テーブル331a、道路のノード及びリンクを示す情報が格納されているノード/リンク情報テーブル331b、地物の属性(名称を含む)を示す属性情報が格納されている属性情報テーブル331c、及び注記情報が格納されている注記情報テーブル331dが設けられている。
【0029】
〈検索動作〉
以上の構成を有する地図検索システムの動作について、図5に示すフローチャートを用いて説明する。
【0030】
まず携帯端末装置5は、ユーザの操作に応じて検索サーバ2に接続要求を送信する(ステップS1)。この接続要求には携帯端末装置5のROM512に格納されている装置IDが含まれている。
【0031】
検索サーバ2は接続要求を受信すると、検索用画面を記憶部23から読み出し、携帯端末装置5へ送信する(ステップS11)。携帯端末装置5は検索用画面を受信し、表示部53に表示する(ステップS2)。
【0032】
携帯端末装置5では、ユーザが操作部52から検索用画面内のキーワード入力欄に所望のキーワードを入力し、所定のボタンを押下することで検索指示を入力すると、キーワードを含む検索指示を検索サーバ2へ送信する(ステップS3)。
【0033】
検索サーバ2は検索指示を受信し(ステップS12)、検索指示に含まれているキーワードを用いて検索対象情報DB231にアクセスし、キーワードに関連する情報のリストを検索結果として読み出し、携帯端末装置5へ送信する(ステップS13)。
【0034】
携帯端末装置5は検索結果のリストを受信し、表示部53に表示する(ステップS4)。次いで、ユーザが操作部52を用いて、表示部53に表示されているリストの中から所望の検索結果を選択する指示を入力すると、携帯端末装置5は、選択された検索結果を検索サーバ2へ通知する(ステップS5)。
【0035】
検索サーバ2は選択された検索結果の通知を受信すると(ステップS14)、地図サーバ3から、選択された検索結果の施設や店舗を含む地図情報を取得し、携帯端末装置5へ送信する(ステップS15)。次いで、選択された検索対象を示す情報に選択された回数を関連付けて検索結果情報DB232に保存する(ステップS16)。携帯端末装置5は地図情報を受信し、表示部53で表示する(ステップS6)。ここで、ステップS15とS16の順序を反対にしてもよい。また、携帯端末装置5が地図サーバ3から直接地図情報を取得してもよい。
【0036】
このように、検索結果情報DB232には、ユーザが携帯端末装置5を用いて検索し、検索結果のリストの中から選択した検索対象を示す情報と、その検索対象が選択された回数と関連付けられ、注記付与単位地点毎に保存される。
【0037】
即ち図3に示したデータ構造の例の場合、「焼肉チェーンaa有楽町店」が「ccビル」に存在する場合、ステップS3でユーザがキーワードとして「焼肉チェーンaa」を入力し、ステップS4で「焼肉チェーンaa」の店舗のリストが表示され、ステップS5でユーザが「焼肉チェーンaa有楽町店」を選択し、それを含む地図が携帯端末装置5の表示部53に表示されると、「焼肉チェーンaa有楽町店」が選択された回数がインクリメントされる。
【0038】
〈注記決定処理〉
図6は、地図サーバ3が検索サーバ2の検索結果情報DB232に保存されている情報を用いて、注記付与単位地点毎の注記を決定する処理のフローチャートである。この処理は、地図情報DB331を定期的或いは不定期に更新する際に実行される。また、この図のフローは注記付与単位地点毎に実行される。
【0039】
地図サーバ3は、検索サーバ2の検索結果情報DB232から、注記付与単位地点に存在する各検索対象が選択された回数を検索対象毎に読み出す(ステップS21)。この回数を計算する期間は、前回の地図情報DB331の更新時から現時点迄、或いは直近の一定期間(例.一カ月、半年)など任意に定めてよい。
【0040】
次いで検索対象が複数か否かを判定する(ステップS22)。検索対象が複数でない、即ち一つの場合(ステップS22:NO)は、その検索対象を示す情報を注記情報とし、処理を終了する(ステップS23)。一方、検索対象が複数の場合(ステップS22:YES)は、選択された回数が最多の検索対象を示す情報を注記情報とし(ステップS24)、処理を終了する。
【0041】
例えば図3に示したデータ構造の例のように、「焼肉チェーンaa有楽町店」、「映画館bb」が「ccビル」に存在する場合、検索結果として「焼肉チェーンaa有楽町店」が選択された回数の方が「映画館bb」や「ccビル」が選択された回数より多ければ「焼肉チェーンaa有楽町店」或いは「焼肉チェーンaa」が注記情報となる。
【0042】
〈重要注記登録処理〉
図7は、地図サーバ3が検索サーバ2の検索結果情報DB232に保存されている情報を用いて重要注記情報を注記情報テーブル331dに登録する処理のフローチャートである。この処理は、地図情報DB331を定期的或いは不定期に更新する際に実行される。また、この図のフローは注記付与単位地点毎、かつ検索対象毎に実行される。
【0043】
地図サーバ3は、検索サーバ2の検索結果情報DB232から、注記付与単位地点に存在する検索対象が選択された回数を検索対象毎に読み出す(ステップS31)。この回数を計算する期間は、前回の地図情報DB331の更新時から現時点迄、或いは直近の一定期間(例.一カ月、半年)など任意に定めてよい。
【0044】
読み出された回数の値が予め定められた閾値以上の場合(ステップS32:YES)は、その検索対象を示す情報を重要注記情報として、注記情報テーブル331dに登録する(ステップS33)。読み出された回数の値が閾値未満の場合(ステップS32:NO)は処理を終了する。
【0045】
例えば図3に示したデータ構造の例の場合、閾値が100であれば、「焼肉チェーンaa有楽町店」が重要注記情報として登録される。閾値が90であれば、「焼肉チェーンaa有楽町店」、「映画館bb」が重要注記情報として登録される。閾値が150であれば、登録される重要注記情報は存在しない。ただし、各注記付与単位地点から少なくとも一つは必ず登録されるように、閾値を自動的に設定してもよい。
【0046】
〈注記選択処理〉
図8は、地図サーバ3が、近接する注記が地図上で重なる場合に一つの注記を選択する処理を示すフローチャートである。
【0047】
CPU311は地図情報DB331から注記付与単位地点毎に注記情報テーブル331dから注記情報を読み出し、地図上の配置位置を求める(ステップS41)。ここで、注記付与単位地点毎の注記の配置位置を示す情報は予め地図情報DB331に格納されている。
【0048】
次に配置位置が重なる注記情報が他に有るか否かを判定し(ステップS42)、有る場合(ステップS42:YES)は、それらの注記情報の中から、選択された回数が最多の検索対象を示す情報を注記情報として選択する(ステップS43)。無い場合(ステップS42:NO)は処理を終了する。
【0049】
例えば「ccビル」の図形に付与する注記である「焼肉チェーンaa有楽町店」の文字群と、「ddビル」の図形に付与する注記である「ddビル」の文字群とが重なる場合、検索結果情報DB232に保存されている選択回数同士を比較し、選択回数が多い方の注記情報を選択する。三つ以上の注記が重なる場合は選択回数が最多の注記情報を選択する。
【0050】
以上詳細に説明したように、本発明の実施形態の地図検索システムによれば、注記付与単位地点毎に付与する注記を、その地点に存在する検索対象に対する検索結果の統計である検索回数に基づいて、検索回数が最多の検索対象を示す情報を注記情報とするので、注記付与単位地点に複数の検索対象が存在する場合に最善の注記を付与することができる。
【0051】
また、予め注記付与単位地点毎に重要注記情報を選択された回数に関連付けて登録しておけば、重要注記情報の内、選択された回数が最多の検索対象を示すものをその注記付与単位地点の注記情報とすることができるため、注記情報を決定する処理が簡単になる。
【0052】
さらに、地図上で近接する複数の注記付与単位地点の注記を重ねずに配置できない場合に、選択された回数が最多の検索対象を示す注記のみを地図上に配置することにより、注記の重なりを防止して、最善の注記のみを表示することができる。
【符号の説明】
【0053】
2…検索サーバ、3…地図サーバ、5…携帯端末装置、21,31…制御部、231…検索対象情報DB、232…検索結果情報DB、331…地図情報DB。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注記付与単位地点に存在する検索対象毎に検索結果として選択された選択回数を格納する検索結果情報格納手段と、
該検索結果情報格納手段により格納された選択回数が最多の検索対象を示す情報を注記情報とする注記情報決定手段とを有する注記情報生成システム。
【請求項2】
請求項1に記載された注記情報生成システムにおいて、
前記検索結果情報納手段により格納された選択回数を基に、注記付与単位地点毎に選択回数が予め定められた閾値以上の検索対象を示す情報を重要注記情報とする重要注記情報決定手段を有することを特徴とする注記情報生成システム。
【請求項3】
コンピュータを請求項1又は2に記載された注記情報生成システムの各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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