説明

洗剤粒子

【課題】耐ケーキング性、及び界面活性剤のシミ出し抑制等の保存安定性に優れた洗剤粒子、および該洗剤粒子を含有する洗剤組成物を提供する。
【解決手段】ベース洗剤粒子(a)100質量部に対して、平均粒子径1〜80μmの層状粘土鉱物(b)1〜25質量部、及び表面改質剤(c)を含有してなり、該ベース洗剤粒子(a)の表面上に該層状粘土鉱物(b)を含有する中間層が形成され、該中間層上に該表面改質剤(c)が添加されてなる洗剤粒子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗剤粒子及び洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末状の洗剤組成物は、長期間の保存において洗剤組成物の粒子同士が結合して、固化状態となるケーキングを生じることがあるが、その要因の一つとして界面活性剤のシミ出しが挙げられる。界面活性剤は、常温においては一般に液体であることから、粉末状の洗剤組成物からシミ出すことにより、洗剤組成物の粒子間の付着力が増加して、粒子の流動特性が低下し、ケーキングを生じる問題がある。このようにして生じるケーキングは、外観を著しく損ねるばかりか、正確な計量ができない等、洗剤の使い勝手を著しく悪化させてしまう。
このような問題を解決するために、吸油量が80ml/100g未満の粘土鉱物及び80ml/100g以上の吸油性担体を含有する粒状ノニオン洗剤組成物が提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、吸油性担体が洗浄性能に寄与しないことから配合上の制約が生じたり、比較的高価であることから、製造コストが嵩む等の点から十分とはいえなかった。
特許文献2には、粒状洗剤組成物と液状バインダー物質とを混合した後に、表面改質剤であるゼオライトXで被覆することにより自由流動性を得てケーキングを抑制する方法が提案されている。しかし、ゼオライトXの付着性が十分ではなく、製造工程の搬送時等に洗剤粒子が受ける応力によってゼオライトXが剥離してしまい、該洗剤粒子を使用する際に奏するケーキング抑制効果が十分とはいえなかった。
また、粘土鉱物等の微粉体をバインダーに分散させた液を用いてベース粒子表面を処理して、改質剤の付着性を向上させることによりケーキングを抑制する方法が提案されている(例えば、特許文献3)。しかし、バインダーに分散させる微粉体を0.1〜5μmに微粉砕する工程を要すること、分散液を調製する設備も必要となることや、界面活性剤のシミ出し抑制の点でも十分とはいえなかった。このような中、より界面活性剤のシミ出し抑制力に優れた(耐ケーキング性に優れた)洗剤粒子、及び洗剤組成物が望まれていた。
【0003】
【特許文献1】特許第3043976号明細書
【特許文献2】特許第2954805号明細書
【特許文献3】特開2004−143394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、耐ケーキング性、及び界面活性剤のシミ出し抑制等の保存安定性に優れた洗剤粒子、および該洗剤粒子を含有する洗剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、ベース洗剤粒子、特定の層状粘土鉱物、及び表面改質剤を含む洗剤粒子により、上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は次の洗剤粒子を提供する。
ベース洗剤粒子(a)100質量部に対して、平均粒子径1〜80μmの層状粘土鉱物(b)1〜25質量部、及び表面改質剤(c)を含有してなり、該ベース洗剤粒子(a)の表面上に該層状粘土鉱物(b)を含有する中間層が形成され、該中間層上に該表面改質剤(c)が添加されてなる洗剤粒子。
【発明の効果】
【0006】
本発明の洗剤粒子は、耐ケーキング性、及び界面活性剤のシミ出し抑制等の保存安定性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の洗剤粒子は、ベース洗剤粒子(a)100質量部に対して、平均粒子径1〜80μmの層状粘土鉱物(b)1〜25質量部、及び表面改質剤(c)を含有してなり、該ベース洗剤粒子(a)の表面上に該層状粘土鉱物(b)を含有する中間層が形成され、該中間層上に該表面改質剤(c)が添加されてなるものである。
以下、本発明の洗剤粒子について、詳細に説明する。
【0008】
[ベース洗剤粒子(a):噴霧乾燥粒子(e)]
ベース洗剤粒子(a)は、後述する層状粘土鉱物(b)を含有する中間層の形成、及び表面改質剤(c)による表面改質が施される前の粒子のことをいう。このようなベース洗剤粒子(a)は、好ましくはベース粒子(a’)、界面活性剤組成物(d)、及びその他の成分等を含有するものである。
【0009】
ベース粒子(a’)は、例えば、金属イオン封鎖能やアルカリ能を有する基材等を含有するスラリーを粒状に乾燥して調製することができるが、中でも、該スラリーを噴霧乾燥して得られる噴霧乾燥粒子(e)であることが所望の物性値を得られる点から好ましい。
【0010】
噴霧乾燥粒子(e)の調製に用いられるスラリーは、好ましくは水不溶性無機物、水溶性ポリマー、及び水溶性塩類を含有する。
水不溶性無機物としては、20℃の水100g中に10g未満(好ましくは5g未満、より好ましくは1g未満)が溶解しうる無機物が好ましく、具体的には、金属イオン封鎖能を有するアルミノケイ酸塩;二酸化ケイ素、水和ケイ酸化合物、パーライト等の粘土化合物等が挙げられる。
水溶性ポリマーとしては、20℃の水100g中に1g以上(好ましくは5g以上、より好ましくは10g以上)が溶解しうるものが好ましい。具体的には、カルボン酸系ポリマー、カルボキシメチルセルロース、可溶性澱粉、糖類等が挙げられ、金属イオン封鎖能、固体汚れ・粒子汚れの分散能及び再汚染防止能の点で、重量平均分子量が数千〜10万のカルボン酸ポリマーが好ましい。特に、アクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸コポリマーの塩が好ましい。
水溶性塩類としては、上記の水溶性ポリマーと同様の水溶性を有する塩類が好ましい。具体的には、アルカリ能を有する炭酸イオン、炭酸水素イオン、ケイ酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、硫酸水素イオン、塩酸イオン、又はリン酸イオン等をそれぞれ有するアルカリ金属塩、アンモニウム塩、又はアミン塩に代表される水溶性の無機塩類や、金属イオン封鎖能を有するクエン酸やフマル酸塩などの低分子量の水溶性有機塩類等が挙げられる。
【0011】
スラリー中に含まれる水不溶性無機物、水溶性ポリマー、及び水溶性塩類の含有量は、固形分基準で各々20〜90質量%、2〜30質量%、及び5〜78質量%であることが好ましく、30〜75質量%、3〜20質量%、10〜67質量%の範囲がより好ましく、40〜70質量%、5〜20質量%、及び20〜55質量%であることがさらに好ましい。上記組成範囲にて乾燥方法並びに乾燥条件の調整により平均粒径、嵩密度、担持能、粒子強度の制御が可能となる。
また、該スラリー中には、上記の水不溶性無機物、水溶性ポリマー、及び水溶性塩類のほか、その他の成分として、本発明により得られる洗浄組成物に好適な粒子、塩類、界面活性剤、染料等の補助成分を含んでいてもよい。例えば、界面活性剤や蛍光染料等を挙げることができる。該その他の成分の配合量は、スラリー中に10質量%以下が好ましい。
【0012】
ベース粒子(a’)は、以下の構造(1)及び/又は(2)の構造を有することが好ましい。
構造(1):洗剤粒子を水に溶解した場合、洗剤粒子の粒子径の好ましくは1/10以上、より好ましくは1/5以上、さらに好ましくは1/4以上、特に好ましくは1/3以上の径の気泡を放出可能な気孔を有することが好ましい。
構造(2):水不溶性無機物、水溶性ポリマー及び水溶性塩類を含有し、その内部よりも表面近傍に水溶性ポリマー及び/又は水溶性塩類(以下、水溶性ポリマー等という)が多く存在する偏在性を有することが好ましい。
ベース粒子(a’)が構造(1)の構造を有することにより、洗剤粒子が水に溶解する過程において、まず粒子内部に少量の水が侵入すると粒子内部から所定の大きさの気泡が放出され、次いで該粒子内部に大量の水が侵入することによって粒子自体が崩壊(自己崩壊)し、表面近傍からの溶解のみならず、粒子内部からの溶解及び崩壊が起こることにより、洗剤粒子が高速溶解性を有する。
【0013】
この気泡放出の現象は、デジタルマイクロスコープや光学顕微鏡等で確認でき、気泡径(円相当径)を測定することができる。また、ベース粒子(a’)の気孔径は、その粒子径の好ましくは1/10〜4/5、より好ましくは1/5〜4/5の径の気孔が存在することが好ましい。この気孔径の測定は次のように測定することができる。ベース粒子(a’)を壊さないようにメス等で最大粒子径を含む面で切断し、切断面を走査型電子顕微鏡で観察し、切断粒子の切断面の円相当径(γμm)及び粒子内部で気孔の存在が確認された場合には気孔の円相当径(δμm)を測定する。尚、複数個の気孔が確認される場合には、その中で最も大きい気孔についての円相当径をδμmとする。そして粒子径に対しての気孔径の比(δ/γ)を求める。
【0014】
また、ベース粒子(a’)が構造(2)の構造を有することにより、水中で表面近傍の水溶性成分がより速く溶解して、洗剤粒子の粒子表面からの崩壊が促進される溶解挙動を示すことにより、高速溶解性を発現できる。なお、高速溶解性を発現させる最も好ましい態様としては、ベース粒子(a’)が(1)と(2)の構造を併せ持つことである。
【0015】
水溶性ポリマー等の偏在性は、次の方法で確認することができる。まず、測定対象のベース粒子(a’)と、そのベース粒子(a’)をメノウ乳鉢等で十分に粉砕して均一な状態としたベース粒子(a’)粉砕物とを用意する。そして、ベース粒子(a’)及びベース粒子(a’)粉砕物の表面から約10μmまでの情報が得られる条件で、両者をそれぞれフーリエ変換赤外分光法(FT−IR)と光音響分光法(PAS)とを併用する方法(以下、「FT−IR/PAS」という)により測定する。前者の水溶性ポリマー等の量が、後者のその量より多い場合、測定対象のベース粒子(a’)はその内部よりも表面近傍に水溶性ポリマー等が多く存在する構造を有するものである。ベース粒子(a’)及びベース粒子(a’)粉砕物の表面から約10μmまでの情報が得られる測定条件としては、例えば、分解能8cm-1、スキャン速度0.63cm/s、積算128回、という条件が挙げられる。使用する装置は、例えば、赤外分光光度計としてBio−Rad Laboratories社製FTS−60A/896型赤外分光光度計が、PASセルとしてMTEC社製300型光音響検出器が挙げられる。なお、FT−IR/PASはAPPLIED SPECTROSCOPY vol.47 1311−1316(1993)に記載されている。
【0016】
[ベース洗剤粒子(a):ベース粒子(a’)の粒子物性]
このようにして得られるベース粒子(a’)の一次粒子の平均粒径は、溶解性と流動特性に優れた洗剤粒子を得られる点で、150〜500μmが好ましく、180〜350μmがより好ましい。また、嵩密度は、溶解性に優れた洗剤粒子を得られ、コンパクト化を図れる点で、400g/L以上が好ましく、450g/L以上がより好ましい。ベース粒子(a’)の平均粒径及び嵩密度の測定方法については、後述する。
【0017】
ベース粒子(a’)は、液体成分を担持する能力(担持能)が高い方が好ましい。担持能は、20mL/100g以上が好ましく、40mL/100g以上がより好ましい。担持能が上記範囲内にあれば、ベース粒子(a’)同士の凝集が抑制され、洗剤粒子中の粒子の凝集を抑制することができる。
また、ベース粒子(a’)の一次粒子は、硬い粒子であることが好ましく、具体的には粒子強度が、好ましくは100kg/cm2以上であり、より好ましくは200kg/cm2以上である。粒子強度が上記範囲内にあれば、ベース洗剤粒子が、製造過程において、崩壊することを十分に抑制することができる。
【0018】
ベース粒子(a’)の担持能の測定は、以下のように行う。内部に攪拌翼を備えた内径5cm×高さ15cmの円筒型混合槽に試料100gを入れ、該攪拌翼を350rpmで攪拌させながら、25℃のポリオキシエチレンアルキルエーテル(花王(株)製、品名:エマルゲン108KM)を10mL/minの速度で槽内に投入する。攪拌に要する動力が最も高くなった時のポリオキシエチレンアルキルエーテルの投入量を担持能とする。
また、ベース粒子(a’)の粒子強度の測定は、以下のように行う。内径3cm×高さ8cmの円柱状の容器に、試料20gを入れ、30回タッピング(筒井理化学器機(株)、TVP1型タッピング式密充填嵩密度測定器、タッピング条件;周期36回/分、60mmの高さから自由落下)を行う。タッピング操作終了直後の試料高さを測定し、初期試料高さとする。その後、加圧試験機にて容器内に保持した試料の上端面全体を10mm/minの速度で加圧し、荷重−変位曲線の測定を行う。該曲線における変位率が5%以下での直線部における傾きに初期試料高さをかけ、得られる値を加圧面積で除した値を粒子強度とする。
【0019】
[ベース洗剤粒子(a):界面活性剤組成物(d)]
ベース洗剤粒子の形成に好ましく用いられる界面活性剤組成物(d)は、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、及び陽イオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を必要に応じて配合して得られる。界面活性剤組成物(d)は、ベース洗剤粒子(a)の製造時に液状であることが好ましい。
陰イオン界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルコールのエトキシル化物の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩若しくはそのアルキルエステル塩、又は脂肪酸塩等の硫酸基、スルホン酸基を有する陰イオン界面活性剤等が挙げられる。特に、炭素数が10〜18の、より好ましくは12〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数が10〜16の、より好ましくは12〜14の高級アルコールの硫酸エステル塩が好ましい。
非イオン界面活性剤としては、高級アルコールのエチレンオキシド(以下「EO」という)付加物、若しくはEO/プロピレンオキシド(以下「PO」という)付加物、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルポリグリコシド等が挙げられる。特に炭素数が10〜16のアルコールのEO1〜10モル付加物が皮脂汚れの除去、耐硬水性、生分解性の点、及び直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩や高級アルコールの硫酸エステル塩との相性の点で好ましい。
両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミノプロピルベタイン等が、陽イオン界面活性剤としては、モノ(又はジ)長鎖アルキル型第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0020】
界面活性剤組成物(d)は、非イオン界面活性剤(イ)100質量部に対して、硫酸基又はスルホン酸基を有する陰イオン界面活性剤(ロ)0〜300質量部、及び該非イオン界面活性剤の固定化剤(ハ)1〜100質量部を配合してなる界面活性剤組成物が好ましい。該組成物において、(ロ)は20〜200質量部がより好ましく、30〜180質量部が特に好ましい。また、(ハ)は5〜50質量部がより好ましく、5〜30質量部が特に好ましい。このような界面活性剤組成物(d)を使用すると、洗剤粒子群の溶解性及び流動特性の向上、混合時における噴霧乾燥粒子の崩壊の抑制、保存時(常温)における界面活性剤のシミ出しを抑制することができるため、特に好ましい。硫酸基又はスルホン酸基を有する陰イオン界面活性剤の配合は、洗剤粒子群の流動特性の向上、保存時(常温)における界面活性剤のシミ出し抑制にさらに有利となる。
非イオン界面活性剤の固定化剤(ハ)は、常温で液状の非イオン界面活性剤の流動性を抑え、かつ界面活性剤組成物が流動性を失った状態での硬度を著しく高めることができる基剤である。この固定化剤としては、例えば、脂肪酸塩、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、プルロニック型非イオン界面活性剤等が挙げられる。
【0021】
ベース洗剤粒子(a)中の界面活性剤組成物(d)の含有量は、通常0〜50質量%程度であり、洗浄力を発揮させる点から、10〜50質量%が好ましく、下限は15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、上限は45質量%以下がより好ましく、40質量%がさらに好ましい。界面活性剤(d)が上記範囲内にあれば、溶解性に優れたベース洗剤粒子が得られる。
【0022】
[ベース洗剤粒子(a):ベース洗剤粒子(a)の製造方法]
ベース洗剤粒子(a)の製造方法としては、上記のような物性を有する粒子が得られれば特に制限はないが、代表的なものとして、上記の各成分を含有するスラリーを噴霧乾燥する噴霧乾燥法、該スラリーを噴霧乾燥して得られる低嵩密度の粒子を、攪拌造粒法、転動造粒法によって高嵩密度化する方法、混和・押出し法により造粒する方法等を挙げることができる。混和・押出し法で造粒した場合には、押出し後に粉砕を行うことが、粒子の流動性や外観上の改善のために好ましい。このような製造方法の中でも、実質的に界面活性剤組成物(d)を含有しないスラリーを噴霧乾燥して得られる噴霧乾燥粒子(e)に、液状の界面活性剤組成物(d)を担持させてベース洗剤粒子(a)を得る方法が、得られる粒子の溶解性及び流動特性の点から特に好ましい。
【0023】
また、陰イオン界面活性剤の酸前駆体と固体のアルカリ粒子で中和反応を行うドライ中和法で得られる固体状のアニオン界面活性剤中和物も、ベース洗剤粒子(a)として好適である。ドライ中和法を用いる場合、噴霧乾燥工程が必要ないので設備がコンパクトになるという利点がある。ドライ中和の際の中和方法は、特に限定されず、捏和/混練により中和を行い、その後に破砕造粒しても良いし、攪拌造粒機において剪断力を加えながら中和反応を行っても良い。
ベース洗剤粒子(a)は、噴霧乾燥やドライ中和等の方法により得られた別々の粒子をドライ混合して得ても良いし、アルカリ粒子など他の粒子をドライ混合してもよい。例えば、重質炭酸ナトリウム(デンス灰)粒子を噴霧乾燥法等で製造した界面活性剤を含有する粒子に混合し、目標とする組成を達成しても構わない。すなわち混合に用いる各々の粒子について、製法は限定されない。
【0024】
[層状粘土鉱物(b)]
本発明にかかる層状粘土鉱物(b)は、ベース洗剤粒子(a)の表面上に形成する中間層をなすものである。中間層の厚みは、ベース洗剤粒子(a)の大きさや中間層を形成する層状粘土鉱物(b)の平均粒径、添加量等から自ずと決まるが、通常1〜80μmが好ましい。図1及び2は、本発明の実施例で得られた洗剤粒子の断面のSEM写真であり、層状粘土鉱物(b)による中間層が、ベース洗剤粒子(a)の表面に形成していることを確認することができる。
【0025】
層状粘土鉱物(b)としては、タルク、パイロフィライト、スメクタイト(サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スティーブンサイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト等)、バーミキュライト、雲母(金雲母、黒雲母、チンワルド雲母、白雲母、パラゴナイト、セラドナイト、海緑石等)、緑泥石(クリノクロア、シャモサイト、ニマイト、ペナンタイト、スドーアイト、ドンバサイト等)、脆雲母(クリントナイト、マーガライト等)、スーライト、蛇紋石鉱物(アンチゴライト、リザーダイト、クリソタイル、アメサイト、クロンステダイト、バーチェリン、グリーナライト、ガーニエライト等)、カオリン鉱物(カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト等)等が挙げられる。中でも、柔軟性能の点で、タルク、スメクタイト、膨潤性雲母、バーミキュライト、クリソタイル、カオリン鉱物等が好ましく、スメクタイトがより好ましく、モンモリロナイトがさらに好ましい。これらは単独又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0026】
また、耐ケーキング性、仕上がり感の点で、以下の一般式(I):
【化1】

【0027】
で表される粘土鉱物を主成分とすることが好ましい。ここで、a、b及びxは、0<a≦6、0<b≦4、x=12−2a−3bであり、MeはNa、K、Li、Ca1/2、Mg1/2及びNH4から選ばれる少なくとも1種のイオンである。
【0028】
このような層状粘土鉱物(b)は、層間に液状成分を吸収する能力に優れる。従って、前述した液状の界面活性剤組成物(d)のシミ出しを抑制することが可能となる。また、液状成分を含有した際に粘着性が増加し、後述する表面改質剤(c)を粒子表面に維持し剥離を抑制できるので、表面改質剤(c)の被覆率アップという点から好ましく用いることができる。
【0029】
前記一般式(I)で表される層状粘土鉱物としては、ズード・ケミ社製の「ラウンドロジルDGA212」、「ラウンドロジルPR414」、「ラウンドロジルDG214」、「ラウンドロジルDGAパウダー」、「EXM0242」、「フラソフト−1パウダー」、ラヴィオッサ社製の「デタソフトGIS」、「デタソフトGIB」、「デタソフトGISW」、CSM社製のピュアベントナイト、スタンダードベントナイト、プレミアムベントナイト等が挙げられる。上記の層状粘土鉱物の例として挙げた中には、バインダー成分を添加し、造粒された顆粒タイプのものも存在するが、該バインダー成分は本発明の効果を損なわない限り添加されていてもよい。
上記に挙げる層状粘土鉱物を本発明にかかる層状粘土鉱物(b)として使用する場合、中間層としてベース洗剤粒子表面上に効率よく分散させるために、好適な粒度になるまで事前に解砕することが好ましい。解砕に利用できる粉砕機としては、ハンマクラッシャー等の衝撃破砕機、アトマイザー、ピンミル等の衝撃粉砕機、フラッシュミル等の剪断粗砕機等が挙げられる。これらは、1段操作でも良く同種又は異種粉砕機の多段操作でも良い。
【0030】
また、保存安定性及び溶解性の観点から、一般式(I)で表される層状粘土鉱物は、アルカリ金属イオン(Naイオン、Kイオン、Liイオンの合計)とアルカリ土類金属イオン(Caイオン、Mgイオン)のモル比(Na+K+Li)/(Ca+Mg)は、1.0以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.0以上がさらに好ましい。
アルカリ金属イオンの比率が高い層状粘土鉱物を得るには、天然品であれば、産地を選択すればよいし、粘土造粒物を製造する際に、アルカリ金属塩を添加して調整することもできる。また、合成品であれば公知の方法にて任意に調整が可能である。
さらに、アルカリ金属イオンの比率が高い層状粘土鉱物を製造する方法としては、次の製法が有用である。水分を20%以上含む原料粘土鉱石に粉末の炭酸ナトリウム等のアルカリ金属塩を添加して充分に混合した後に乾燥する工程を含む製法、または、パウダー状に粉砕した粘土鉱物を造粒機で造粒する際に炭酸ナトリウム等のアルカリ金属塩の粉末や水溶液を添加する工程を含む製法である。
【0031】
層状粘土鉱物(b)中のアルカリ金属イオンとアルカリ土類金属イオンの比率は、次の方法で測定する。層状粘土鉱物(b)を乳鉢で粉砕し、目開き125μmの篩を通過した試料0.1gをマイクロウェーブ湿式灰化装置(自動)で硫酸−過酸化水素分解したのち、メスフラスコにて50mLにメスアップして、ICP発光分析装置で測定してNa、K、Li、Ca、Mg量を定量して計算する。
【0032】
層状粘土鉱物(b)の添加量としては、本発明の効果を十分得るために、ベース洗剤粒子(a)100質量部に対して1質量部以上が好ましく、より好ましくは1.5質量部以上であり、さらに好ましくは2質量部以上である。また、25質量部以下が好ましく、23質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。また、層状粘土鉱物(b)の平均粒径は、80μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましく、40μm以下がさらに好ましく、20μm以下が特に好ましい。また、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、5μm以上がさらに好ましく、7μm以上が特に好ましい。添加量と平均粒径がこの範囲内であれば、溶解性の低下を回避した上で、十分な耐ケーキング性向上の効果が期待できる。なお、層状粘土鉱物(b)は、特に天然の場合、クォーツ、クリストバライト、カルサイト、長石などの不純物を含有するため、層状粘土鉱物(b)の含有量とは、これらの不純物も含んだものである。
ここで、層状粘土鉱物(b)の平均粒径は、例えば乾式測定ユニットを有したレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定することができる。具体的にはMie散乱法を用いたPartica LA−950(堀場製作所(株)製)にオプションで乾式測定ユニットG0310630を接続することにより測定することができる。粉体の分散のための圧縮空気の設定はノーマルで測定し、得られたメジアン径を層状粘土鉱物(b)の平均粒径とする。
【0033】
[表面改質剤(c)]
表面改質剤(c)は、ベース洗剤粒子(a)の表面上に形成する層状粘土鉱物(b)を含有する中間層上に添加されて、洗剤粒子の表面を改質するものである。該表面改質剤(c)は、平均粒径、使用量等により、洗剤粒子(a)の最外面に存在することもあるし、層状粘土鉱物(b)がなす中間層内に取り込まれた状態で存在することもあるが、その態様によって本発明の効果に影響するものではない。
表面改質剤(c)としては、微粉体、液状物、脂肪酸等が挙げられるが、中でも微粉体が好ましい。表面改質剤(c)の微粉体の一次粒子の平均粒径は、10μm以下であることが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましい。平均粒径がこの範囲内にあれば、ベース洗剤粒子(a)の表面に形成する中間層上における表面改質剤(c)の被覆率は向上するので、洗剤粒子の流動性と耐ケーキング性の向上の観点から好適である。ここで、当該微粉体の平均粒径は、Mie散乱を利用した方法、例えばLA−920(堀場製作所(株)製)によって測定される。また、該微粉体が高いイオン交換能や高いアルカリ能を有していることが洗浄面から好ましい。
【0034】
表面改質剤(c)として好ましく用いられる微粉体としては、結晶性又は非晶質アルミノ珪酸塩が挙げられる。その他としては、硫酸ナトリウム、珪酸カルシウム、二酸化珪素、非晶質シリカ誘導体、結晶性シリケート化合物等のシリケート化合物のような微粉体を好ましく挙げることができる。また、一次粒子が0.1〜10μmの金属石鹸、粉末の界面活性剤(例えばアルキル硫酸塩等)や水溶性有機塩等が挙げられる。結晶性シリケート化合物を用いる場合、吸湿や吸炭酸ガスによる結晶性シリケートの凝集等による劣化を防ぐ目的から、結晶性シリケート化合物以外の微粉体と混合して用いることが好ましい。
表面改質剤の使用量としては、洗剤粒子において、0.5〜35質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜25質量%が特に好ましい。当該微粉体の使用量は、この範囲において、流動性が向上し、消費者に良好な使用感を与える。
【0035】
[その他の成分:バインダー成分]
本発明においては、中間層をなす層状粘土鉱物(b)と、表面改質剤(c)との接着性をさらに向上させるために、バインダー成分を添加する方が好ましい。
バインダー成分としては、前述した界面活性剤組成物(d)から選ばれる一種以上のものや、ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸系ポリマー、セルロース系誘導体、及びその水溶液が挙げられる。ポリエチレングリコールは、洗剤が通常使用される温度(〜40℃)における固化性や表面処理後の溶解性から、平均分子量が4000以上で20000以下のものが好ましい。セルロース系誘導体としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが挙げられる。
【0036】
また、バインダー成分としては、下記に示す陰イオン界面活性剤の酸前駆体も好ましく挙げることができる。陰イオン界面活性剤の酸前駆体は、噴霧乾燥粒子中に含まれるアルカリ剤と中和反応を起こすものであり、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸、アルキル又はアルケニル硫酸、α−オレフィンスルホン酸、α−スルホン化脂肪酸、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸、脂肪酸等が挙げられる。その中でも耐水性の高いものが好ましい。酸前駆体として特に好ましいものは、脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸、アルキルリン酸等が挙げられる。特に、炭素数10〜22の脂肪酸もしくはヒドロキシ脂肪酸から選ばれる1種以上が、溶解性の点で好ましいものとして挙げられる。特に好ましくは、洗剤粒子強度の点で、炭素数12〜20の飽和脂肪酸から選ばれる1種以上である。
バインダー成分の添加量としては、ベース洗剤粒子100質量部に対して、0〜8質量部が好ましく、0.5〜6質量部がより好ましく、1〜4質量部がさらに好ましい。
【0037】
[その他の成分:アルカリ緩衝剤]
本発明においては、その他の成分として、噴霧乾燥粒子(e)とアルカリ緩衝能を有する粉体及び/又は顆粒(以下、アルカリ緩衝剤という)とをあらかじめ混合して、界面活性剤組成物(d)の担持に用いることができる。アルカリ緩衝剤としては、アルカリ金属の珪酸塩や炭酸塩が挙げられる。
アルカリ金属の炭酸塩としては、炭酸ナトリウムが好ましく、デンス灰(重灰)、ライト灰(軽灰)いずれを用いてもよい。デンス灰とライト灰の比率を変えることによって、嵩密度を調整することも可能である。
【0038】
また、アルカリ金属の珪酸塩は、イオン交換能を有し、水に溶解しアルカリ性を呈するものが好ましい。イオン交換能は、例えばCaイオン交換能の測定方法によって測定できる。その値は特に限定されるものではないが、10〜250mg/gが好ましく、50〜250mg/gが特に好ましい。さらに好ましくは120〜250mg/gで、この領域のものは、洗剤用のCaイオン交換体として利用する場合に少量で効力を発揮するため、コンパクト洗剤に配合可能な点で好ましい。
【0039】
そのようなイオン交換能を有するアルカリ金属珪酸塩として、以下の一般式(II):
【0040】
【化2】

【0041】
で表される組成のものが好適である。ここで、MはNa及び/又はKを示し、MeはCa及び/又はMgを示し、y/x=0.5〜4.0、z/x=0〜1.0、MeO中のMg/Ca(モル比)=0〜10である。このような組成のアルカリ金属珪酸塩としては、例えば、メタ珪酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム、粉末1号珪酸ナトリウム、粉末2号珪酸ナトリウム等が挙げられる。また、特にイオン交換能の高いアルカリ金属珪酸塩として特公平1−41116号公報に記載の結晶質アルカリ金属珪酸塩が例示される。
さらに高いイオン交換能を発現する、より好ましいアルカリ金属珪酸塩としては、上記の組成式(II)において、y/x=1.0〜2.1、z/x=0.001〜1.0のアルカリ金属珪酸塩が挙げられる。このような組成のアルカリ金属珪酸塩は、特許第2525318号明細書に記載の合成無機ビルダーが好適である。
【0042】
また、カリウムを含有するアルカリ金属珪酸塩を用いることにより、その保存安定性を一段と向上させることができる。このようなカリウムを含有するアルカリ金属珪酸塩の組成としては、上記の式(II)において、y/x=1.4〜2.1、z/x=0.001〜1.0であり、M2O中のK/Na(モル比)=0.09〜1.11で表される組成が挙げられる。このようなアルカリ金属珪酸塩としては、特許第2525342号明細書に記載の結晶性アルカリ金属珪酸塩が特に好適例として挙げられる。
【0043】
結晶性アルカリ金属珪酸塩の中でも、最も好ましいのは、上記の一般式(II)において、x=1、y=2、z=0であり、M=Naである結晶性層状二珪酸ナトリウムNa2Si25・wH2Oである。結晶性層状二珪酸ナトリウムはα、β、δ及びεの変動する割合の多型の相から構成される。商業的な製品では、非晶質画分も存在し得るので、商業的な製品でのyの値は奇数であってもよい。好ましくは、yは1.9以上かつ2.2以下である。好ましい結晶性層状二珪酸ナトリウムは、0〜40質量%の割合のα−二珪酸ナトリウム、0〜40質量%の割合のβ−二珪酸ナトリウム、40〜100質量%の割合のδ−二珪酸ナトリウム、0〜40質量%の割合の非晶質画分からなる。特に好ましい結晶性層状二珪酸ナトリウムは、7〜21質量%の割合のα−二珪酸ナトリウム、0〜12質量%の割合のβ−二珪酸ナトリウム、65〜95質量%の割合のδ−二珪酸ナトリウム、0〜20質量%の割合の非晶質画分からなる。最も好ましいものは、δ−二珪酸ナトリウムを80〜100質量%の割合で含む結晶性層状二珪酸ナトリウムである。結晶性アルカリ金属珪酸塩は上に例示したものを単独で使用しても良いし、数種類のものを混ぜて混合物として使用してもよい。
【0044】
噴霧乾燥粒子(e)とあらかじめ混合するアルカリ緩衝剤の配合量は、噴霧乾燥粒子(e)100質量部に対して、10〜50質量部が好ましく、20〜40質量部がさらに好ましい。この範囲内であれば、十分な洗浄性能や吸油能が期待できる。
【0045】
[洗剤粒子の製造方法]
本発明の洗剤粒子は、製造方法によって限定されるものではなく、最終的な粒子の形態及び粒子の組成によって限定される。従って、本発明を実現するために好ましい製造方法を以下に開示するが、本発明は以下の製造方法に限定されるものではない。
本発明を実現する洗剤粒子は、ベース洗剤粒子(a)を調製する工程〔1〕、該ベース洗剤粒子(a)に層状粘土鉱物(b)を添加して中間層を形成させる工程〔2〕、工程〔2〕で得られた中間層を有する粒子を表面改質剤(c)により表面改質する工程〔3〕を経ることにより、製造することができる。
【0046】
[工程〔1〕]
工程〔1〕は、ベース洗剤粒子(a)を調製する工程であり、スラリーを調製する工程〔A〕、該スラリーを噴霧乾燥して噴霧乾燥粒子(e)を調製する工程〔B〕、界面活性剤組成物(d)を調製する工程〔C〕、及び該噴霧乾燥粒子(e)に該界面活性剤組成物(d)を添加して担持させる工程〔D〕を有する。
【0047】
[工程〔1〕:工程〔A〕]
工程〔A〕で用いるスラリーは、ポンプ送液が可能で非硬化性のスラリーであればよく、そのようなスラリー、及び該スラリーを構成する各成分は、前述の通りである。
スラリーの温度は、好ましくは30〜80℃であり、より好ましくは35〜65℃である。この範囲内にあれば、例えば炭酸ナトリウム等の水溶性塩類の残存量が少なくなるので好ましい。
またスラリー水分は一般に好ましくは30〜70質量%、より好ましくは35〜60質量%、さらに好ましくは40〜55質量%である。スラリー水分が上記範囲内にあれば、水溶性塩類の溶解量は十分となり、スラリー粘度増加を抑制できるので、ポンプ送液性の点で好ましい。また、工程〔B〕で蒸発させる水分量が抑えられるので、生産性が低下することはない。
【0048】
スラリーの形成方法としては、スラリーをなす各成分を添加する方法及び順序は、状況に応じて適宜変えることができる。例えば、最初に水の全て、又はほとんど全てを混合槽に加え、好ましくは水温が設定温度にほぼ到達した後に、他の成分を逐次又は同時に添加する。通常の添加順序としては、まず水溶性ポリマーや、必要に応じて添加される界面活性剤等の液状成分を添加した後、水溶性塩類等の水溶性の粉体原料を添加する。この時、染料等の少量の補助成分も添加してよい。次いで、ゼオライト等の水不溶性無機物を添加するが、混合効率を向上させる目的で、当該水不溶性無機物を2回以上に分割して添加してもよい。また、水不溶性無機物、水溶性塩類等の粉体原料をあらかじめ混合した後に水性媒体中に添加してもよいし、全成分添加後に、粘度やスラリー水分調整のために水を添加してもよい。最終的に均質なスラリーを得るために、スラリー中に全成分を添加した後に、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上混合する。
【0049】
[工程〔1〕:工程〔B〕]
工程〔B〕は、工程〔A〕で得られたスラリーを噴霧乾燥して噴霧乾燥粒子(e)を調製する工程である。スラリーの乾燥方法としては、粒子形状が実質的に球状となる噴霧乾燥を用いる。噴霧乾燥塔としては、熱効率や、噴霧乾燥粒子の粒子強度が向上することから向流塔がより好ましい。スラリーの微粒化装置としては圧力噴霧ノズル、2流体噴霧ノズル、回転円盤式のいずれの形態でも構わないが、所望の平均粒径を得るために、圧力噴霧ノズルが特に好ましい。
噴霧乾燥粒子の水分は、噴霧乾燥塔に供給されるガスの温度、ガスの送風量を調節することによって、調節することができる。供給されるガスとしては、一般に熱媒体用として用いられるものを使用することができ、空気、窒素等が例示される。噴霧乾燥塔に供給されるガスの温度は、吸油能の面では高ければ高いほど好ましいが、生産性、製造しやすさの点や安全性の面も考慮し、好ましくは200〜360℃、より好ましくは220〜340℃、特に好ましくは240〜320℃である。また、噴霧乾燥塔より排出されるガスの温度は、噴霧乾燥塔の熱効率の点で、好ましくは80〜130℃、より好ましくは80〜125℃、特に好ましくは80〜120℃である。また、噴霧乾燥後の噴霧乾燥粒子を気流乾燥器、流動層乾燥器、回転乾燥器などによって、さらに乾燥して製造しても良い。
【0050】
[工程〔1〕:工程〔C〕]
工程〔C〕は、界面活性剤組成物(d)を調製する工程である。界面活性剤組成物(d)は、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、及び陽イオン界面活性剤から適宜選ばれる少なくとも1種の界面活性剤の組成物である。界面活性剤組成物(d)を調整する方法としては、使用する界面活性剤が実用上の温度範囲(常温〜40℃程度)において液状であれば、これらの界面活性剤を混合すれば界面活性剤組成物(d)は得られ、その混合する方法に制限はない。
【0051】
一方、実用上の温度範囲(常温〜40℃程度)において固体又はペースト状の界面活性剤を用いる場合は、これらをあらかじめ粘性の低い、例えば非イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤水溶液、又は水中に分散又は溶解させて界面活性剤組成物の混合液又は水溶液を調整することができるし、粘性の低い界面活性剤中、界面活性剤水溶液、又は水中で、界面活性剤の酸前駆体をアルカリ剤(例えば苛性ソーダ水溶液や苛性カリ水溶液)で中和する方法により調製することもできる。
このようにして得られた界面活性剤組成物(d)は、該混合液又は水溶液の形態で、工程〔B〕で得られた噴霧乾燥粒子(e)に添加することができる。このようにすれば、実用上の温度範囲(常温〜40℃程度)において固体又はペースト状である界面活性剤をも、容易に噴霧乾燥粒子(e)に添加することができるので、洗剤粒子の製造に有利である。
【0052】
上記のような粘性の低い界面活性剤、界面活性剤水溶液又は水と、実用上の温度範囲(常温〜40℃程度)において固体又はペースト状の界面活性剤との混合比率は、得られる混合液又は水溶液が噴霧可能である粘度範囲となることが好ましく、例えば、ポリオキシエチレンドデシルエーテルとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムであれば、両者の比を1:1.4〜1.4:1の範囲で調整することで、容易に噴霧可能な界面活性剤組成物(d)を得ることができる。
【0053】
[工程〔1〕:工程〔D〕]
工程〔D〕は、工程〔B〕で得られた噴霧乾燥粒子(e)に、工程〔C〕で得られた該界面活性剤組成物(d)を添加して担持させる工程である。
本発明に用いられる噴霧乾燥粒子(e)に担持させる界面活性剤組成物(d)の担持量は、洗浄力を発揮させる点から、噴霧乾燥粒子(e)100質量部に対して5〜80質量部が好ましく、5〜60質量部がより好ましく、10〜60質量部がさらに好ましく、20〜60質量部が特に好ましい。ここで、界面活性剤組成物(d)の担持量とは、工程〔A〕のスラリー調製時に界面活性剤組成物(d)以外の界面活性剤が添加される場合、その界面活性剤の添加量を含まないものである。
【0054】
噴霧乾燥粒子(e)に界面活性剤組成物(d)を担持させる方法としては、例えば、回分式や連続式の公知の混合機を用いる方法が挙げられる。回分式で行う場合、混合機への仕込み方法は、混合機を運転させながら(1)混合機に噴霧乾燥粒子(e)を仕込んだ後、界面活性剤組成物(d)を添加する、(2)混合機に噴霧乾燥粒子(e)と、界面活性剤組成物(d)を少量ずつ仕込む、(3)噴霧乾燥粒子(e)の一部を混合機に仕込んだ後、残りの噴霧乾燥粒子(e)と界面活性剤組成物(d)とを少量ずつ仕込む等の方法をとることができる。また、後述する層状粘土鉱物を添加する工程〔2〕の後に、界面活性剤組成物(d)を添加することもできる。これらの方法の中では、特に上記(1)が好ましい。また、界面活性剤組成物(d)は液体状態で添加することが好ましく、さらに液体状態の界面活性剤組成物(d)を噴霧して添加することが好ましい。
【0055】
工程〔D〕で用いられる混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製)、ハイスピードミキサー(深江工業(株)製)、バーチカルグラニュレーター((株)パウレック製)、レディゲミキサー(松坂技研(株)製)、プロシェアミキサー(太平洋機工(株)製)、ナウターミキサー(ホソカワミクロン(株)製)等を好ましく挙げることができる。溶解性に優れた単核性洗剤粒子を多く含有するベース洗剤粒子(a)を製造する観点から、噴霧乾燥粒子(e)に強い剪断力がかかりにくい(噴霧乾燥粒子を崩壊させにくい)装置であり、界面活性剤組成物(d)の分散効率の観点から混合効率のよい装置が好ましく、中でも横型の混合槽で円筒の中心に攪拌軸を有し、この軸に攪拌羽根を取り付けて粉末の混合を行う形式のミキサー(横型混合機)であるレディゲミキサー、プロシェアミキサー等が特に好ましい。
また、上記の混合機の連続型装置を用いて噴霧乾燥粒子(e)に界面活性剤組成物(d)を担持させてもよい。また、上記以外の連続型の混合機としては、例えばフレキソミックス型((株)パウレック製)、タービュライザー(ホソカワミクロン(株)製)等がある。
【0056】
また、非イオン性界面活性剤が使用される場合、必要に応じて、該界面活性剤の融点上昇剤となる融点45〜100℃、分子量1000〜30000の水溶性非イオン性有機化合物(以下、融点上昇剤という)、又はこの水溶液を、界面活性剤の添加の前、添加と同時、添加の途中、又は添加の後、あるいは界面活性剤にあらかじめ混合して添加することができる。融点上昇剤を添加することで、耐ケーキング性、洗剤粒子群中の界面活性剤のシミ出し性を抑制することができる。本発明で用いられる融点上昇剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、プルロニック型非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
融点上昇剤の使用量は、洗剤粒子の単核性の維持、高速溶解性、及びシミ出し性やケーキング性の抑制の点から、噴霧乾燥粒子(e)100質量部に対して5質量部以下が好ましく、3質量部以下が特に好ましく、含まないのが最も好ましい。融点上昇剤の添加方法としては、あらかじめ界面活性剤と任意の方法で混合して添加すること、又は界面活性剤の添加後に融点上昇剤を添加することが、洗剤粒子のシミ出し性やケーキング性の抑制に有利である。
【0057】
混合機内の温度は、昇温させる温度としては、界面活性剤組成物(d)の担持を促進させるために添加する界面活性剤の融点より高いことが好ましい。より具体的には、該融点を越えて、該融点より50℃高い温度までが好ましく、該融点より10℃〜30℃高い温度がより好ましい。また、この工程で前記の界面活性剤の酸前駆体を添加する場合は、当該陰イオン性界面活性剤の酸前駆体が反応できる温度に昇温して混合を行えばより好ましい。
また、好適なベース洗剤粒子を得るための回分式の混合時間、及び連続式の混合における平均滞留時間は、1〜20分間が好ましく、2〜10分間がより好ましい。
【0058】
工程〔D〕は、スラリーの調整において上記のような界面活性剤の水溶液等を添加した場合には、混合機で混合しながら及び/又は混合した後に、余剰の水分を乾燥する工程を有してもよい。
また、界面活性剤組成物の添加前、界面活性剤組成物の添加と同時、界面活性剤組成物の添加途中、または界面活性剤組成物の添加後に粉末ビルダーを添加することも可能である。粉末ビルダーを添加することで、ベース洗剤粒子の粒子径をコントロールすることができ、また洗浄力の向上を図ることができる。
【0059】
ここで、粉末ビルダーは、界面活性剤以外の粉末の洗浄力強化剤であり、具体的には、ゼオライト、クエン酸塩等の金属イオン封鎖能を示す基剤や、炭酸ナトリウム(デンス灰、ライト灰)、炭酸カリウム等のアルカリ能を示す基剤、結晶性珪酸塩等の金属イオン封鎖能・アルカリ能いずれも有する基剤、その他硫酸ナトリウム等のイオン強度を高める基剤等が挙げられる。さらに具体的には、例えば特開平5−279013号公報第3欄第17行〜第6欄第24行(特に、500〜1000℃で焼成して結晶化させたものが好ましい。)、特開平7−89712号公報第2欄第45行〜第9欄第34行、特開昭60−227895号公報第2頁右下欄第18行〜第4頁右上欄第3行(特に第2表の珪酸塩が好ましい。)に記載の結晶性珪酸塩を挙げることができる。ここで、アルカリ金属珪酸塩のSiO2/M2O(但しMはアルカリ金属を表す。)が0.5〜3.2好ましくは1.5〜2.6のものが好適に用いられる。
当該粉末ビルダーの使用量としては、噴霧乾燥粒子(e)100質量部に対して1〜80質量部が好ましく、5〜70質量部がより好ましく、10〜60質量部がさらに好ましい。当該粉末ビルダーの使用量がこの範囲にあれば、洗剤粒子の単核性を維持し、良好な高速溶解性を得られ、また、粒子径のコントロールの面でも好適である。
【0060】
[工程〔2〕]
工程〔2〕は、工程〔1〕で得られたベース洗剤粒子(a)に層状粘土鉱物(b)を添加して中間層を形成させる工程である。
層状粘土鉱物(b)の添加方法は、特に限定されるものではないが、工程〔D〕で用いたような回分式や連続式の公知の混合機は、強い剪断力がかかりにくく(ベース洗剤粒子を崩壊させにくい)、かつ混合効率の高い(分散性の高い)ので、層状粘土鉱物(b)がベース洗剤粒子の表面上に適度に分散して好ましい。
回分式の混合時間、及び連続式の混合における平均滞留時間は、好ましい中間層を有した洗剤粒子を得る観点から、1〜20分間が好ましく、2〜20分間がより好ましい。
【0061】
工程〔2〕では、バインダー成分を添加すると、層状粘土鉱物(b)や表面改質剤(c)の付着性が高まるので好ましい。バインダー成分の添加方法としては、混合機を運転させながら、混合機内部のベース洗剤粒子(a)に対して、(1)層状粘土鉱物(b)を添加してからバインダー成分を添加する、(2)バインダー成分を添加してから層状粘土鉱物(b)を添加する、(3)層状粘土鉱物(b)とバインダー成分を同時に添加する、(4)層状粘土鉱物(b)とバインダー成分とを少量ずつ交互に添加する等の方法をとることが可能である。
また、2種類以上のバインダー成分を使用する場合は、同時に添加しても構わないし、混合機に層状粘土鉱物(b)を添加する前後に分けて添加しても構わない。常温で固体のバインダー成分は、溶融させた後で噴霧して供給することが好ましく、常温で液体のバインダー成分は、混合機内部温度よりも高い温度で噴霧して供給することが好ましい。
【0062】
層状粘土鉱物(b)の添加と同時、又は添加の途中に、粉末ビルダーを添加することも可能である。粉末ビルダーを添加することで、洗剤粒子の粒子径をコントロールすることができ、また洗浄力の向上を図ることができる。ここで、粉末ビルダーとしては、工程〔D〕で例示したものが好ましく用いられる。
【0063】
[工程〔3〕]
工程〔3〕は、工程〔2〕で得られた中間層を有する粒子を表面改質剤(c)により表面改質する工程であり、上記の表面改質剤(c)を添加する工程を少なくとも一工程行うものである。ベース洗剤粒子(a)の表面上に層状粘土鉱物(b)により形成される中間層を有した粒子に、表面改質剤(c)を添加する工程〔3〕を経ることにより、洗剤粒子の高速溶解性、流動性及び非ケーキング性を向上させることができる。
工程〔3〕で使用される装置は特に限定されず、公知の混合機を用いることができるが、前述の工程〔D〕で例示した混合機が好ましく用いられる。該混合機を用いた混合時間は、表面改質剤(c)を中間層上に十分添加させる観点から、0.1〜5分間が好ましく、0.5〜3分間がより好ましく、このような混合機による混合処理を少なくとも1回行う。
【0064】
このようにして得られた洗剤粒子は、ベース洗浄粒子(a)を核とする単核性洗剤粒子群であることが好ましい。単核性洗剤粒子とは、ベース洗剤粒子(a)に、層状粘土鉱物(b)、表面改質剤(c)、及び必要に応じて添加されるその他の成分が担持されてなる洗浄粒子であって、1個の洗剤粒子の中に1個のベース洗剤粒子(a)を核として有する洗剤粒子のことをいう。また、このような単核性洗剤粒子群を製造する方法を単核造粒法ということがある。この単核性を示す因子としては、粒子成長度を用いることができ、工程〔3〕で得られた洗剤粒子の粒子成長度は、以下の式:
粒子成長度=(洗剤粒子の平均粒径)/(ベース洗剤粒子(a)の平均粒径)
で表される。工程〔3〕で得られた洗剤粒子群の粒子成長度は、1.5以下が好ましく、洗濯中での溶解速度の観点から1.3以下がより好ましく、1.2以下がさらに好ましい。このような洗剤粒子群は、粒子間の凝集が抑制されているため、所望の洗剤粒子の平均粒径の範囲外となるような、例えば凝集粒子の生成が抑えられ、界面活性剤の配合量の変動に対して得られる洗剤粒子の平均粒径及び粒度分布の変動が少なくなるので、均質な洗剤粒子を高い収率で得ることができる。
【0065】
[洗剤組成物]
本発明の洗剤組成物は、工程〔3〕で得られた洗浄粒子を含有する組成物であり、例えば、前記洗剤粒子及び別途添加された洗剤成分を混合して得られる。本発明の洗剤組成物は、粉末洗剤を用いる用途であれば特に限定はなく用いることができるが、例えば、衣料用粉末洗剤、自動食器洗浄機用洗剤等として好ましく用いることができる。
別途添加される洗剤成分としては、例えば、界面活性剤、ビルダー顆粒等の公知の洗浄剤基材、漂白剤(過炭酸塩、過ホウ酸塩、漂白活性化剤等)、漂白活性化剤、再汚染防止剤(カルボキシメチルセルロース等)、柔軟化剤、還元剤(亜硫酸塩等)、蛍光増白剤、消泡剤(シリコーン等)、セルラーゼやプロテアーゼ等の酵素、染料、香料等が挙げられる。
洗剤組成物中の洗剤粒子の含有量は、洗浄力の点から50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上が特に好ましい。また、上記の別途添加される洗剤成分の洗剤組成物中における含有量は、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下が特に好ましい。
【実施例】
【0066】
本発明の製造方法により製造した洗剤組成物を、以下の方法に従って評価した。
1.平均粒径
JIS Z 8801に規定の篩を用いて求めた。
例えば、目開きが2000μm、1400μm、1000μm、710μm、500μm、355μm、250μm、180μm及び125μmである9段の篩と受け皿を用い、ロータップマシーン(HEIKO SEISAKUSHO製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、100gの試料を5分間振動して篩い分けを行った後、受け皿、125μm、180μm、250μm、355μm、500μm、710μm、1000μm、1400μm、2000μmの順番に受け皿及び各篩下に質量頻度を積算していくと、積算の質量頻度が50%以上となる最初の篩の目開きをxjμmとし、それよりも一段小さい篩の目開きをxj+1μmとした時、受け皿からxjμmの篩までの質量頻度の積算をQj%、受け皿からxj+1μmの篩までの質量頻度の積算をQj+1%とした場合、次式によって求めることができる。平均粒径xaは、式(1)、(2)によって求めることができる。
【0067】
【数1】

【0068】
2.嵩密度
JIS K3362により規定された方法で測定した。
3.水分
JIS K0068により規定された方法で測定した。
4.保存安定性(篩通過率)
濾紙(ADVANTEC社製 No.2)で長さ10.2cm×幅6.2cm×高さ4cmの天部のない箱を作り、四隅をステープラーでとめる。これに、各実施例及び比較例で得られた洗剤組成物50gを入れて、該箱の上にアクリル樹脂板(15g)と鉛板(250g)をのせる。これを温度30℃、湿度70%R.H.雰囲気下で21日及び28日放置した後のケーキング状態について下記に規定する篩通過率を求めた。
篩通過率:試験後の試料を篩(JIS Z 8801規定の目開き4760μm)上に静かにあけて、通過した粉末質量を計測し、試験後の試料に対する篩通過率(%)を求める。
5.耐ケーキング性(シミ出し性)
上記の篩通過率試験を行った濾紙の容器の底部(粉体と非接触面)でのシミ出し状態を目視して、下記の1〜5ランクの基準で評価した。
ランク1:濡れていない。
ランク2:1/4程度の面が濡れている。
ランク3:1/2程度の面が濡れている。
ランク4:3/4程度の面が濡れている。
ランク5:全面が濡れている。
【0069】
実施例においては、特に記載のない限り、下記の原料を用いる。
硫酸ナトリウム:四国化成(株)製、品名:無水中性芒硝
亜硫酸ナトリウム:三井化学(株)製、品名:亜硫酸ソーダ
蛍光染料:チバスペシャリティケミカルス社製、品名:チノパールCBS−X
炭酸ナトリウム:セントラル硝子(株)製、品名:デンス灰、平均粒径:290μm
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液:花王(株)製、重量平均分子量:1万
結晶性アルミノケイ酸塩:ゼオビルダー社製、4A型、平均粒径:3.5μm
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:花王(株)製、品名:ネオペレックスG−25、固形分:26質量%
石鹸:花王(株)製、品名:NSソープ、固形分:90%
ポリエチエングリコール:三井化学(株)製、品名:PEG13000、重量平均分子量:10000、固形分:60%
ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ノニオン界面活性剤):花王(株)製、品名:エマルゲン108KM(エチレンオキサイド平均付加モル数:8.5、アルキル鎖の炭素数:12〜14)
ドデシルベンゼンスルホン酸:ルナックL−98(花王(株)製)を38質量%、ルナックMY−98(花王(株)製)を12質量%、ルナックP−95(花王(株)製)を50質量%の割合でブレンドして得られたもの。
結晶性ケイ酸ナトリウム:(株)トクヤマシルテック製、品名:プリフィード6Nを平均粒径10μmにしたもの
【0070】
調製例1:噴霧乾燥粒子1の調製
水410質量部を攪拌翼を有した1m3の混合槽に加え、水温が45℃に達した後に、硫酸ナトリウム110質量部、亜硫酸ナトリウム8質量部、蛍光染料2質量部を添加して、10分間攪拌した。次いで、炭酸ナトリウム120質量部、40質量%のポリアクリル酸ナトリウム水溶液150質量部を添加して10分間攪拌し、さらに塩化ナトリウム40質量部、結晶性アルミノケイ酸塩160質量部を添加し、15分間攪拌してスラリー水分50質量%の均質なスラリーを得た。このスラリーの最終温度は50℃であった。
285℃の窒素ガスを噴霧乾燥塔に塔下部より供給しながら、スラリーをポンプで噴霧乾燥塔(向流式)に供給し、塔頂付近に設置した圧力噴霧ノズルから噴霧圧2.5MPaで噴霧を行った。窒素ガスは、塔頂から98℃で排出された。得られた噴霧乾燥粒子1の水分は0%、平均粒径は290μm、嵩密度は510g/L、担持能は65mL/100g、粒子強度は350kg/cm2であった。
【0071】
調製例2:噴霧乾燥粒子2の調製
水15質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム808質量部を、攪拌翼を有した1m3の混合槽に加え、水温が45℃に達した後に、石鹸33質量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを60質量部、40質量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液125質量部、ポリエチエングリコールを22質量部添加して5分間攪拌した。次いで、硫酸ナトリウム45質量部、亜硫酸ナトリウム10質量部、蛍光染料2質量部を添加して5分間攪拌し、さらに炭酸ナトリウム140質量部を添加し、結晶性アルミノケイ酸塩140質量部を添加し、15分間攪拌してスラリー水分50質量%の均質なスラリーを得た。このスラリーの最終温度は50℃であった。
200℃の窒素ガスを噴霧乾燥塔に塔下部より供給しながら、スラリーをポンプで噴霧乾燥塔(向流式)に供給し、塔頂付近に設置した圧力噴霧ノズルから噴霧圧2.5MPaで噴霧を行った。窒素ガスは、塔頂から98℃で排出された。得られた噴霧乾燥粒子1の水分は0%、平均粒径は290μm、嵩密度は510g/L、担持能は10mL/100g、粒子強度は120kg/cm2であった。
【0072】
調製例3:界面活性剤組成物の調製
ポリオキシエチレンアルキルエーテル840質量部とポリエチレングリコール69質量部とを80℃に加熱し、ドデシルベンゼンスルホン酸960質量部と48%水酸化ナトリウム水溶液258質量部を添加、撹拌して、水分10.3質量%を含む界面活性剤組成物を調製した。
【0073】
実施例1:洗剤粒子1の調整
レディゲミキサー(松坂技研(株)製、容量130L、ジャケット付)に、50質量部の噴霧乾燥粒子1、炭酸ナトリウム9.3質量部を投入し、主軸(攪拌翼の回転数:60rpm、周速:1.6m/s)の攪拌を開始した。ジャケットには80℃の温水を10L/分で流した。そこに、80℃に昇温した調製例3で得られた界面活性剤組成物21.3質量部(有効分19.1質量部、水分2.2質量部)を2分間かけて投入し、その後5分間攪拌を行って、噴霧乾燥粒子1に界面活性剤組成物を担持させてベース洗剤粒子1を得た。
次に、80℃に加熱した脂肪酸0.92質量部をスプレー噴霧しながら投入した後、5分間攪拌した。これにより、該脂肪酸は、0.2質量部の炭酸ナトリウムと反応して、1質量部の石鹸となる。ポリエチレングリコール(有効分60質量%)を1.7質量部(有効分1.0質量部、水分0.7質量部)投入し、層状粘土鉱物(ズード・ケミ社製、品名:ラウンドロジルDGAパウダー)を1質量部と結晶性珪酸ナトリウム2質量部を投入し、5分間攪拌を行った。次いで、5質量部の結晶性アルミノケイ酸塩を投入し、主軸(回転数:120rpm、周速:3.1m/s)とチョッパー(回転数:3600rpm、周速:28m/s)の攪拌を30秒間行った。レディゲミキサーの運転条件を、主軸(攪拌翼、回転数:60rpm、周速:1.6m/s)に戻し、さらに10質量部の結晶性アルミノケイ酸塩を投入する。さらにもう一度主軸(回転数:120rpm、周速:3.1m/s)とチョッパー(回転数:3600rpm、周速:28m/s)の攪拌を30秒間行った後、排出し、実施例1の洗剤粒子1を得た。排出までに、界面活性剤組成物及びポリエチレングリコールに含有されていた水分の38%が蒸発し、洗剤粒子1中の水分は1.8質量部となった。得られた洗剤粒子1の組成及び評価を第1表に示す。
【0074】
実施例2〜7、及び比較例1:洗剤粒子2〜7、及び洗剤粒子Aの調整
使用する噴霧乾燥粒子、炭酸ナトリウム、及び層状粘土鉱物を第1表に示される条件とした以外は、実施例1と同様にして洗剤粒子2〜7を得た。得られた洗剤粒子2〜7の組成及び評価を第1表に示す。
【0075】
実施例8:洗剤粒子8の調整
まず、層状粘土鉱物(ズート・ケミ社製、品名:ラウンドロジルDGA212、平均粒径:720μm)を、ハンマーミルタイプの粉砕機を用いて、平均粒径18μm、45μm、及び68μmの三種類の層状粘土鉱物を用意した。
レディゲミキサー(松坂技研(株)製、容量130L、ジャケット付)に、50質量部の噴霧乾燥粒子1、炭酸ナトリウム5.5質量部、及び結晶性ケイ酸ナトリウム2質量部を投入し、主軸(攪拌翼の回転数:60rpm、周速:1.6m/s)の攪拌を開始した。ジャケットには80℃の温水を10L/分で流した。そこに、80℃に昇温した調製例3で得られた界面活性剤組成物21.3質量部(有効分19.1質量部、水分2.2質量部)を2分間かけて投入し、その後5分間攪拌を行って、噴霧乾燥粒子1に界面活性剤組成物を担持させてベース洗剤粒子1を得た。
ここに層状粘土鉱物(ズード・ケミ社製、品名:ラウンドロジルDGA212を平均粒径18μmに解砕したもの)7質量部を投入し、5分間攪拌を行った。次いで5質量部の結晶性アルミノケイ酸塩を投入し、主軸(回転数:120rpm、周速:3.1m/s)とチョッパー(回転数:3600rpm、周速:28m/s)の攪拌を30秒間行った。レディゲミキサーの運転条件を、主軸(攪拌翼、回転数:60rpm、周速:1.6m/s)に戻し、更に10質量部の結晶性アルミノケイ酸塩を投入する。さらにもう一度主軸(回転数:120rpm、周速:3.1m/s)とチョッパー(回転数:3600rpm、周速:28m/s)の攪拌を30秒間行った後、排出し、実施例8の洗剤粒子8を得た。排出までに、界面活性剤組成物及びポリエチレングリコールに含有されていた水分の38%が蒸発し、洗剤粒子8中の水分は1.4質量部となった。得られた洗剤粒子8の組成及び評価を第1表に示す。
【0076】
実施例9〜10:洗剤粒子9〜10の調整
実施例8で層状粘土鉱物として用いた平均粒径18μmのラウンドロジルDGA212(品名、ズート・ケミ社製)を、各々平均粒径45μm、及び68μmのものにかえた以外は、実施例8と同様にして洗剤粒子9及び10を得た。得られた洗剤粒子9及び10の組成及び評価を第1表に示す。
【0077】
比較例2:洗剤粒子Bの調整
実施例8で層状粘土鉱物として用いた平均粒径18μmのラウンドロジルDGA212(品名、ズート・ケミ社製)を、未粉砕の平均粒径720μmのものとした以外は、実施例8と同様にして洗剤粒子Bを得た。得られた洗剤粒子Bの組成及び評価を第1表に示す。
【0078】
実施例11:洗剤粒子11の調整
実施例8の層状粘土鉱物を、EXM0242(品名、ズート・ケミ社製)とした以外は、実施例8と同じ方法で洗剤粒子11を得た。得られた洗剤粒子11の組成及び評価を第1表に示す。
【0079】
実施例12:洗剤粒子12の調整
レディゲミキサー(松坂技研(株)製、容量130L、ジャケット付)に、炭酸ナトリウム40質量部、及び結晶性ケイ酸ナトリウム15質量部を投入し、主軸(攪拌翼の回転数:60rpm、周速:1.6m/s)の攪拌を開始した。ジャケットには80℃の温水を10L/分で流した。そこに、ポリオキシエチレンアルキルエーテル10質量部を1分間かけて投入し、その後5分間攪拌を行ってベース洗剤粒子12を得た。
ここに層状粘土鉱物(ズード・ケミ社製、品名:ラウンドロジルDGAパウダー)15質量部を投入し、5分間攪拌を行った。次いで20質量部の結晶性アルミノケイ酸塩を投入し、主軸(回転数:120rpm、周速:3.1m/s)とチョッパー(回転数:3600rpm、周速:28m/s)の攪拌を30秒間行った後、排出し、実施例12の洗剤粒子12を得た。得られた洗剤粒子12の組成及び評価を第1表に示す。
【0080】
比較例3:洗剤粒子Cの調整
実施例12の炭酸ナトリウムの投入量を45質量部とし、層状粘土鉱物を投入しない以外は、実施例12と同様にして洗剤粒子Cを得た。得られた洗剤粒子Cの組成及び評価を第1表に示す。
【0081】
実施例13:洗剤粒子13の調整
レディゲミキサー(松坂技研(株)製、容量130L、ジャケット付)に、70質量部の噴霧乾燥粒子2、炭酸ナトリウム3質量部、及び結晶性ケイ酸ナトリウム2質量部を投入し、主軸(攪拌翼の回転数:60rpm、周速:1.6m/s)の攪拌を開始した。ジャケットには80℃の温水を10L/分で流した。そこに、ポリオキシエチレンアルキルエーテル3質量部を1分間かけて投入し、その後5分間攪拌を行って、噴霧乾燥粒子2に界面活性剤組成物を担持させたベース洗剤粒子13を得た。
ここに層状粘土鉱物(ズード・ケミ社製、品名:ラウンドロジルDGAパウダー)7質量部を投入し、5分間攪拌を行った。次いで5質量部の結晶性アルミノケイ酸塩を投入し、主軸(回転数:120rpm、周速:3.1m/s)とチョッパー(回転数:3600rpm、周速:28m/s)の攪拌を30秒間行った。レディゲミキサーの運転条件を、主軸(攪拌翼、回転数:60rpm、周速:1.6m/s)に戻し、更に10質量部の結晶性アルミノケイ酸塩を投入する。さらにもう一度主軸(回転数:120rpm、周速:3.1m/s)とチョッパー(回転数:3600rpm、周速:28m/s)の攪拌を30秒間行った後、排出し、実施例13の洗剤粒子13を得た。得られた洗剤粒子13の組成及び評価を第1表に示す。
【0082】
実施例14:洗剤粒子14の調整
レディゲミキサー(松坂技研(株)製、容量130L、ジャケット付)に、50質量部の噴霧乾燥粒子1、炭酸ナトリウム5.5質量部、及び結晶性ケイ酸ナトリウム2質量部を投入し、主軸(攪拌翼の回転数:60rpm、周速:1.6m/s)の攪拌を5分間行った。ジャケットには80℃の温水を10L/分で流した。そこに、層状粘土鉱物(ズード・ケミ社製、品名:ラウンドロジルDGA212を平均粒径18μmに解砕したもの)7質量部を投入し、5分間攪拌を行った後、80℃に昇温した調製例3で得られた界面活性剤組成物21.3質量部(有効分19.1質量部、水分2.2質量部)を2分間かけて投入し、その後5分間攪拌を行った。
次いで5質量部の結晶性アルミノケイ酸塩を投入し、主軸(回転数:120rpm、周速:3.1m/s)とチョッパー(回転数:3600rpm、周速:28m/s)の攪拌を30秒間行った。レディゲミキサーの運転条件を、主軸(攪拌翼、回転数:60rpm、周速:1.6m/s)に戻し、更に10質量部の結晶性アルミノケイ酸塩を投入する。さらにもう一度主軸(回転数:120rpm、周速:3.1m/s)とチョッパー(回転数:3600rpm、周速:28m/s)の攪拌を30秒間行った後、排出し、実施例14の洗剤粒子14を得た。排出までに、界面活性剤組成物及びポリエチレングリコールに含有されていた水分の38%が蒸発し、洗剤粒子14中の水分は1.4質量部となった。得られた洗剤粒子14の組成及び評価を第1表に示す。
【0083】
実施例1〜7については、いずれも層状粘土鉱物が本発明の効果が期待できる範囲で配合され、層状粘土鉱物による中間層が形成されている。従って層状粘土鉱物の配合量が本発明の範囲よりも少なく、中間層の形成が期待できない比較例1に比べて、篩通過率及びシミだし性の両面から保存安定性に優れる。
層状粘土鉱物を増量するためのバランス成分としては、噴霧乾燥粒子を減量しても炭酸ナトリウム粒子を減量しても、本発明の効果は発現するが、炭酸ナトリウム粒子を減量した場合の方が効果は大きい。
【0084】
実施例8〜10については、顆粒の層状粘土鉱物を本発明の範囲内の平均粒径になるように解砕してから配合されている。従って平均粒径が本発明の範囲より大きい顆粒の層状粘土鉱物顆粒を配合する比較例2に比べて、篩通過率及びシミだし性の両面から保存安定性に優れる。また実施例8〜10は、いずれも本発明の効果を発現するが、平均粒径の小さいものほど保存安定性向上の効果が大きい。
【0085】
実施例11については、実施例1〜10で使用したものよりもカルシウム含有量が多い層状粘土鉱物を使用している。実施例1〜10に比べるとその効果は薄れるものの、実施例11に関しても本発明の層状粘土鉱物による中間層の形成の効果は発現している。
実施例12のような噴霧乾燥粒子を使用しない極めてシンプルな組成のベース洗剤粒子についても、本発明の層状粘土鉱物による中間層の形成の効果は発現し、比較例3よりも保存安定性に優れる。
実施例14のように、界面活性剤組成物の添加前に層状粘土鉱物を添加しても、該層状粘土鉱物がなす中間層の形成の効果は発現していることが示された。
また本発明の実施例である洗剤粒子1〜14はコンパクト洗剤に適する嵩密度を有し、洗剤として十分な溶解性が期待できる平均粒径を有している。
【0086】
図1及び図2は、本発明の実施例1で得られた洗剤粒子の断面のSEM写真である。本発明の洗剤粒子においては、ベース洗剤粒子(a)の表面に、層状粘土鉱物(b)で構成される中間層が一定の厚みをもって形成していることが分かる。また、実施例1で得られた洗剤粒子の場合、表面改質剤(c)は、層状粘土鉱物(b)がなす中間層内に取り込まれていることが分かる。
【0087】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の洗剤粒子の断面のSEM写真である。
【図2】本発明の洗剤粒子の断面のSEM写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース洗剤粒子(a)100質量部に対して、平均粒子径1〜80μmの層状粘土鉱物(b)1〜25質量部、及び表面改質剤(c)を含有してなり、該ベース洗剤粒子(a)の表面上に該層状粘土鉱物(b)を含有する中間層が形成され、該中間層上に該表面改質剤(c)が添加されてなる洗剤粒子。
【請求項2】
前記層状粘土鉱物(b)が、以下の一般式(I):

(式中、a、b及びxは、0<a≦6、0<b≦4、x=12−2a−3bであり、MeはNa、K、Li、Ca1/2、Mg1/2及びNH4から選ばれる少なくとも1種のイオンである。また、該イオンのうち次式で表されるアルカリ金属イオンとアルカリ土類金属イオンとのモル比(Na+K+Li)/(Ca+Mg)は1.0以上である。)
で表される請求項1に記載の洗剤粒子。
【請求項3】
前記ベース洗剤粒子(a)が、実質的に界面活性剤を含有しない噴霧乾燥粒子(d)に界面活性剤組成物(e)を担持させて得られる請求項1又は2に記載の洗剤粒子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の洗剤粒子を含有する洗剤組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−189726(P2008−189726A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−23359(P2007−23359)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】