説明

洗浄剤組成物

【課題】 建築物、土木構造物、家庭内外、職場、工場などで汎用的に使われるプラスチツク素材の上の、油性マジック、油性ペイント、油性の汚れを、下地を犯すことなく速やか除去する洗浄剤に関するものである。
【解決手段】グリコールエーテル系溶剤と脂環式エステル化合物とテルペン系溶剤とを特定の割合で配合したものからなり、沸点が150℃以上、230℃以下の範囲に入るグリコール系溶剤を用い、その配合割合が全体の50%以上、90%以下の範囲を持つことを第一の手段とする。次に、脂環式エステル化合物がγ−ブチロラクトンであることを第2の手段とする。更に、テルペン系溶剤の配合割合を全体の2%以上、30%以下の範囲にすることである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は様々な用途で、汎用的に使用できる洗浄剤に関するものである。特に油性マジックや、各種油性ペイントなど通常の洗浄剤では除去困難であった汚れに対して有効かつ短時間で効果を発揮し、しかも素地である各種プラスチック面を犯さない洗浄剤を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
洗浄剤は、大きく分類して、水系、準水系、非水系の各種有りそれぞれ工業用、一般用として用途に応じて広く使われている。しかしながら油性マジックや油性ペイントのようなものを除去することは、一般の洗浄剤では困難であり、またこれに効果的な洗浄剤はプラスチックスの下地を犯し、汚れは除去できるものの素地に与えるダメージが大きく、下地の表面を軟化させたり、その透明性をなくしたり、また組み合わせによっては強度低下を招くものもあり、その選択には慎重にならざるを得なかった。
各種プラスチックスの上の油汚れ、油性マジックの落書きを除去出来、かつ素地に対する影響がないものは見つからないのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、汎用的に使われているプラスチックスの上の油性マジックや油性ペイントなどの汚れや油汚れなどを簡単に除去出来き、その素地を犯さない洗浄剤の出現が望まれている。
【0004】
油性マジック、油性ペイントなどの汚れは主に建築内外装、家庭内の各種プラスチックス類、あるいは道路、鉄道に関する土木構造物に付帯するたとえば防音壁や道路案内板進入防止壁等に多く見られる。これらの汚れは通常の家庭用洗剤では落ちにくく、またシンナー類では下地のプラスチックスを犯し問題であった。
【0005】
公共構造物、建築用資材、家庭内備品などには様々なプラスチックスが用途に応じて使い分けられている。
ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、メタクリル(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ABS樹脂(ABS)などである。
【0006】
本発明は、これらのうち、透明性がよく、紫外線、太陽光線におかされにくいなどの理由で、外部の建築用資材、道路資材などに多くつかわれるようになったポリカーボネイトや、一般家庭用品としても多く使われている、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、などのプラスチック素材面を犯すことなく、汚れだけを効果的に取り除く洗浄剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を要旨とする。
(1)(a)グリコールエーテル系溶剤と(b)脂環式エステル系化合物と(c)テルペン系溶剤からなる洗浄剤で(a)グリコールエーテル系溶剤の割合が50%以上、90%以下の範囲にあるものである。
(2)前記(b)成分がγ−ブチロラクトンである洗浄剤組成物。
(3)前記(a)成分の沸点が150℃以上、230℃以下の範囲にある洗浄剤組成物。
(4)前記(c)テルペン系溶剤の配合割合が全体の2%以上、30%以下の範囲にある洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、前述のように各種プラスチックスの上の油性マジックや油性ペイントを効果的に除去出来、しかも下地に対する影響は見られなかった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施形態を以下に説明する。
(1)請求項1の発明は50%から90%の割合の(a)グリコールエーテル系溶剤と、(b)脂環式エステル化合物と、(c)テルペン系溶剤の3成分からなることを要旨とする。油性マジック、ペイント、油汚れを効果的に落とすには各種の溶剤の組み合わせが考えられる。しかし、一般的に溶剤はその種類によっては、プラスチックスを溶解し、表面を劣化させる。これらのことを考慮し、ある特定種の溶剤の組み合わせがこれら汚れ落としと、下地に対する影響の無いことの、両方兼ね備えることを見出したのである。
(2)主要構成要素であるグリコールエーテル系溶剤は、そのもの単独では油性マジッや油性ペイントに対する洗浄除去能力は他の2成分に比べ強くない。しかしながら他の2成分を充分溶解し、その洗浄除去力を引き出すための媒体として有効である。
(3)グリコールエーテル系溶剤も選ばなくてはならない。沸点が150℃未満の場合、除去しようとする汚れの上に塗布した時、条件によってはそこにとどまっている時間が短くなり、充分に汚れを除去出来ない。たとえば夏場、外部で使用した場合など充分汚れが落ちる前に乾燥してしまい、その効果が発揮できない。洗浄力を充分に発揮するにはある程度の時間洗浄剤が汚れの上に留まっている必要がある。沸点が230℃超の場合、一般的にその粘度が高く実際に使用する場合には不都合である。また他の溶剤との相溶性にも不十分なことが多い。
(4)(b)脂環式エステル化合物としてはγ−ブチロラクトンが良い。特に油性ペイントの硬化した塗膜をよく溶解除去する。また、溶解が困難なウレタン、エポキシなど反応硬化型の塗膜の溶解にも効果的である。
(5)この発明は3成分からなることを要素とするが、もう1成分は(c)テルペン系溶剤である。これは油性マジックなどの油汚れの除去に効果が高い。このように、選ばれたグリコールエーテル系溶剤を媒体に、特定の脂環式エステルとテルペン系溶剤を混合することにより、従来の洗浄剤では困難であった油性系の汚れ、油性ペイント、油性マジックなどが簡単に除去で出来ることを見出したのである。
(6)グリコールエーテル系溶剤の配合割合は50%未満では他の2成分の割合が相対的に増え、下地のプラスチックスなどに対する影響が大きくなる。また90%超では、汚れに対する溶解、洗浄力が落ちる。50%以上90%以下が良い。
(7)(c)テルペン系溶剤の配合割合は2%〜30%が良い。これ以上では下地のプラスチックスに対する影響が大きく、少ない場合は油性系汚れの除去に効果が低くなる。
【実施例】
【0010】
以下に、本発明による洗浄剤を用いて各種プラスチックスの上の油性マジック、油性ペイントに対する除去効果を説明する。
a)エチレングリコールモノブチルエーテル60〜80部、γ−ブチロラクトン15部、テルペン系混合溶剤5〜25部からなる洗浄剤を使い、各種プラスチックスの上の汚れの除去を行った。 その結果を下表に示す。
【表】


【0011】
上記試験結果が示すように、全てのプラスチックスに対して影響を与えない、とはいえないが、建築内外装材に使用が増えている、ポリカーボネートやアクリルなどについては問題がない。また家庭内で使用される、容器、玩具、文房具用品、などによく使われる、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの汎用プラスチックスについても問題はなく、下地に影響を与えない汚れ落としを可能にした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)グリコールエーテル系溶剤と(b)脂環式エステル系化合物と(c)テルペン系溶剤からなり、(a)の配合割合が全体の50%以上、90%以下の範囲である洗浄剤組成物
【請求項2】
前記(b)成分がγ−ブチロラクトンであることを特徴とする請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記(a)成分の沸点が150℃以上、230℃以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記(c)成分のテルペン系溶剤の配合割合が全体の2%以上、30%以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2007−23245(P2007−23245A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228788(P2005−228788)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(500473391)株式会社アイ・ディー・エム (2)
【Fターム(参考)】