説明

洗浄剤組成物

【課題】安全性を有しつつ、豊かな泡立ち量と低温安定性を両立させ、さらにポンプ式吐出容器を使用する際の洗浄剤の飛散りを防止する洗浄剤組成物の提供。
【解決手段】本発明の洗浄剤組成物は、ショ糖と炭素数12の脂肪酸とのモノエステルからなるショ糖脂肪酸エステル(A成分)と、重合度5〜10のポリグリセリンと炭素数10〜12の脂肪酸とのエステル化物からなるポリグリセリン脂肪酸エステル(B成分)と、含有量が0.01質量%〜0.09質量%であるキサンタンガム(C成分)と、を含有し、前記A成分と前記B成分の質量比が、次式、0.5≦A/B≦1.3を満たし、25℃における粘度が、5mPa・s〜200mPa・sであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食添原料乃至食品原料からなる洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
食器及び野菜などの食品を洗浄剤で洗浄する際、十分にすすぐことは当然であるが、すすぎが不十分であった場合に、洗浄剤成分が残留して次回の食事の際に口から摂取されてしまうことがある。
特に、抵抗力の弱い乳幼児や介護老人者達が洗浄剤成分を摂取すると、身体に不調を生じさせることが多く、洗浄剤成分を選定する上で注意が必要である。
そこで、乳幼児専用食器洗い用洗剤などとして、既に全成分を食添又は食品原料を含有した安全性を有する洗浄剤の例も種々提案されている。
【0003】
しかしながら、この種の洗浄剤は、工業用のノニオン界面活性剤などを配合している一般台所用洗剤と比べると、油汚れに対する洗浄力も低く、泡立ち量も少ないという問題がある。また、忙しい台所炊事場にて、容器を手で持たずに押すだけで簡便に使用できるポンプ式の吐出容器を使用した場合に、容器に収容される洗浄剤の粘度が低すぎると、洗浄剤を吐出する際に受けとなるスポンジなどにおいて激しい飛散が起こり、使用しづらいという問題がある。さらに、寒冷地などでも常に安定な洗浄剤の吐出が求められるため、低温安定性に優れた洗浄剤組成物が望まれる。
【0004】
このような問題に対して、特許文献1の例では、炭素数が8〜10のポリグリセリン脂肪酸エステルとショ糖ラウリン酸エステルを含有している洗浄剤組成物が開示されているが、泡立ち量はまだ不十分であり、液粘度も低いので洗浄剤組成物の飛散が起こり易い。
また、特許文献2の例では、ポリグリセリン脂肪酸ラウリン酸エステルとショ糖ラウリン酸エステルを含有している洗浄剤組成物が開示されているが、十分な低温安定性は示唆されておらず、特許文献3の例では、HLB値11以上のショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有している洗浄剤組成物が開示されているが、低温安定性については同様であり、ポンプ式吐出容器への適合性も不明である。
この他にも、炭素数12の脂肪酸とポリグリセリンとのエステルと、炭素数12の脂肪酸とショ糖とのエステルとを含有する洗浄剤組成物(特許文献4参照:製品名「サンソフトM−12j」(太陽化学製)、製品名「L−1695」(三菱化学フーズ製))、モノグリセリン、ポリグリセリン、ソルビタンの各脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルから選択される食添原料を含有する洗浄剤組成物(特許文献5参照)、HLB値14〜20のショ糖脂肪酸エステルと、HLB値12〜17のポリグリセリン脂肪酸エステルと、モノグリセリン脂肪酸エステルとを含有する洗浄剤組成物(特許文献6参照)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルと、ポリグリセリン脂肪酸エステルとショ糖脂肪酸エステルとを含む洗浄剤組成物(特許文献7参照)、及び、HLB値11〜18のショ糖脂肪酸エステルと、ポリグリセリン脂肪酸エステルと、HLB値3以上11未満の増粘ゲル化剤を含有する増粘ゲル状組成物(特許文献8参照)などが開示されているが、豊かな泡立ち量と低温安定性を両立させ、さらにポンプ式吐出容器使用での液の飛散りを防止する洗浄剤組成物は、未だ開発されていないというのが現状である。
【0005】
【特許文献1】特開平7-188696号公報
【特許文献2】特開昭60−120800号公報
【特許文献3】特開平2007−56173号公報
【特許文献4】特許第3961276号公報
【特許文献5】特開2001−348595号公報
【特許文献6】特開2003−261898号公報
【特許文献7】特開2004−99773号公報
【特許文献8】特開2005−82650号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、安全性を有しつつ、豊かな泡立ち量と低温安定性を両立させ、さらにポンプ式吐出容器を使用する際の洗浄剤の飛散りを防止する洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> ショ糖と炭素数12の脂肪酸とのモノエステルからなるショ糖脂肪酸エステル(A成分)と、重合度5〜10のポリグリセリンと炭素数10〜12の脂肪酸とのエステル化物からなるポリグリセリン脂肪酸エステル(B成分)と、含有量が0.01質量%〜0.09質量%であるキサンタンガム(C成分)と、を含有し、前記A成分と前記B成分の質量比が、次式、0.5≦A/B≦1.3を満たし、25℃における粘度が、5mPa・s〜200mPa・sであることを特徴とする洗浄剤組成物である。
<2> 吐出口径が1mm〜6mmである吐出口を備える洗浄剤組成物吐出容器に用いられる前記<1>に記載の洗浄剤組成物である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、前記従来における諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、安全性を有しつつ、豊かな泡立ち量と低温安定性を両立させ、さらにポンプ式吐出容器を使用する際の洗浄剤の飛散りを防止する洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(洗浄剤組成物)
本発明の洗浄剤組成物は、ショ糖脂肪酸エステル(A成分)と、ポリグリセリン脂肪酸エステル(B成分)と、キサンタンガム(C成分)と、を含有し、任意成分として他の成分を含有させることができる。
【0010】
−ショ糖脂肪酸エステル(A成分)−
前記ショ糖脂肪酸エステル(A成分)は、ショ糖と、炭素数12の脂肪酸とのモノエステルで、例えば、ショ糖ラウリン酸エステルが挙げられる。
前記炭素数12の脂肪酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ラウリン酸等を挙げられる。
なお、ショ糖と炭素数12の脂肪酸とのジエステル以上の多価エステルが存在していてもよいが、存在するショ糖と本発明の脂肪酸エステルの70%以上を、モノエステル体で占めることが好ましい。
【0011】
−ポリグリセリン脂肪酸エステル(B成分)−
前記ポリグリセリン脂肪酸エステル(B成分)としては、重合度5〜10のポリグリセリンと、炭素数10〜12の脂肪酸とのエステル化物を用いることができる。
前記ポリグリセリンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、オクタグリセリン、ノナグリセリン、デカグリセリンあるいはこれらの混合物が好ましい。
前記重合度が、5に満たないポリグリセリンを用いると、泡立ち量の低下および低温安定性の悪化となる点で不利であり、10を超えるポリグリセリンを用いると、泡立ち量が低下する不都合がある。
【0012】
また、前記炭素数10〜12の脂肪酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、カプリン酸、ラウリン酸等が挙げられるが、ラウリン酸が好ましい。
好ましいポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、デカグリセリンラウリン酸エステル、ペンタグリセリンラウリン酸エステル、デカグリセリンカプリン酸エステルを挙げることができるが、デカグリセリンラウリン酸エステル、ペンタグリセリンラウリン酸エステルが特に好ましい。
【0013】
−キタンサンガム(C成分)−
前記キサンタンガム(C成分)は、水溶性天然高分子(増粘多糖類)であり、透明溶解タイプが好ましい。
前記キタンサンガム(C成分)の前記洗浄剤組成物中の含有量としては、0.01質量%〜0.09質量%である。
含有量が、0.01質量%に満たないと、製品粘度の増粘効果が期待できず、液の飛散性が改善されないとなる点で不利であり、0.09質量%を超えると、さらなる液の飛散性の改善は期待できず、低温安定性、経済的にも不利となる不都合がある。
【0014】
−−A成分とB成分の質量比−−
本発明では、前記ショ糖脂肪酸エステル(A成分)と前記ポリグリセリン脂肪酸エステル(B成分)の質量比(以下、A/Bとする)が、次式、0.5≦A/B≦1.3を満たすものを用いることができ、前記A/Bの下限は1.0であることが好ましい。
前記A/Bの値が、0.5に満たないと、低温下(5℃)での長期間保存をした場合に析出物が出る不都合があり、1.3を超えると、コスト高となり、経済的でない。
【0015】
−−粘度−−
本発明では、前記洗浄剤組成物の25℃における粘度を、5mPa・s〜200mPa・sとすることができ、更に、10mPa・s〜100mPa・sとすることがより好ましい。
前記粘度が、5mPa・sに満たないと、前記洗浄剤組成物を吐出容器から吐出する際に激しく飛散ることがあり、200mPa・sを超えると、飛散りを防止することができるものの、前記キタンサンガム(C成分)を入れ過ぎることによるコスト高であり、また、低温安定性を長期間維持することができないことがある。更に、寒冷地では一層増粘され、吐出しづらくなる。
【0016】
−他の成分−
前記他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、本発明の効果を損なわない範囲で、食添原料のみの組み合わせ条件を外すと仮定すれば、一般的な洗浄剤に添加される公知の添加成分を挙げることができる。
このような添加成分としては、例えば、平均付加モル数5〜10のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸低級アルキルエステルまたはその塩、脂肪酸塩、脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどの界面活性剤、グルコース、ラクトース等の糖類、さらには可溶化剤、洗浄性向上剤、pH調整剤、香料、殺菌剤、抗菌剤などが挙げられる。
前記可溶化剤としては、プロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール、エタノールなどのアルコール類及びその混合物が挙げられる。前記可溶化剤を含有させると、洗浄剤組成物を透明で均一な液状とすることができる。
前記洗浄性向上剤としては、クエン酸(クエン酸3Na)、DL−リンゴ酸、DL−酒石酸、グルコン酸等のヒドロキシカルボン酸またはそのアルカリ金属塩などが挙げられる。
【0017】
(洗浄剤組成物吐出容器)
前記洗浄剤組成物は、吐出口径が1mm〜6mmである吐出口を備える洗浄剤組成物吐出容器に好適に用いることができる。
前記吐出口径が、1mmに満たないと、洗浄剤を吐出しづらいことがあり、6mmを超えると、飛散りが生じ使用しづらいことがある。
前記洗浄剤吐出容器としては、吐出口径が1mm〜6mmである吐出口を備えるものであればよく、公知のあらゆる形態をとることができるが、例えば、ポンプ式のボトル容器(不図示)が好ましい。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明の思想は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0019】
実施例1〜5及び比較例1〜9では、下記の組成成分のうち、A群、B群、C群に示される成分を選択して調製を行った。配合量(質量%)は、表1及び表2にまとめて示してある。
【0020】
<組成成分>
・A群:ショ糖ラウリン酸エステル
A−1:ショ糖ラウリン酸エステル
商品名、リョートーシュガーエステルL−1695、三菱化学フーズ社製
A−2(比較品):ショ糖パルミチン酸エステル
商品名、リョートーシュガーエステルP−1695、三菱化学フーズ社製
・B群:ポリグリセリン脂肪酸エステル
B−1:デカグリセリンラウリン酸エステル
商品名、サンソフトM−12JW、太陽化学社製
B−2:ペンタグリセリンラウリン酸エステル
商品名、サンソフトA−12E、太陽化学社製
B−3:デカグリセリンカプリン酸エステル
商品名、ポエムJ−0021、理研ビタミン社製
B−4(比較品):デカグリセリンミリスチン酸エステル
商品名、サンソフトQ−14S、太陽化学社製
B−5(比較品):ジグリセリンラウリン酸エステル
商品名、リケマールL−71−D、理研ビタミン社製
・C群:増粘剤
C−1:キサンタンガム
商品名、エコーガムT、大日本住友製薬製
C−2(比較品):カラギーナン
商品名、ゲニューゲルCSM−2、三晶社製
C−3(比較品):カルボキシメチルセルロース
商品名、セコール100000P 、三晶社製
C−4(比較品):グアーガム
商品名、メイプログアーCSA−2、三晶社製
【0021】
なお、実施例1〜5及び実施例1〜9に共通する組成として、以下の共通成分を添加した。
<共通成分>
プロピレングリコール: 7.0質量%
エタノール : 9.0質量%
クエン酸3Na :14.0質量%
pH調整剤 : 適 量
精製水 : 残 量
【0022】
(実施例1〜5)
実施例1〜5では、A群から本発明のショ糖脂肪酸エステル(A成分)に含まれるA−1を、B群から本発明のポリグリセリン脂肪酸エステル(B成分)に含まれるB−1、B−2及びB−3のいずれかを、C群から本発明のキタンサンガム(C成分)を、それぞれ選択するとともに、A成分とB成分の質量比であるA/Bが本発明に含まれるように実施例1〜5に係る洗浄剤組成物の調製を行った。その結果を表1にまとめて示す。
【0023】
【表1】

【0024】
(比較例1〜9)
比較例1では、A群から本発明のショ糖脂肪酸エステル(A成分)に含まれるA−1を、B群から本発明のポリグリセリン脂肪酸エステル(B成分)に含まれないB−4(比較品)を、C群から本発明のキタンサンガム(C成分)を、それぞれ選択して比較例1に係る洗浄剤組成物の調製を行った。
比較例2では、A群から本発明のショ糖脂肪酸エステル(A成分)に含まれるA−1を、B群から本発明のポリグリセリン脂肪酸エステル(B成分)に含まれないB−5(比較品)を、それぞれ選択して比較例2に係る洗浄剤組成物の調製を行った。C群の増粘剤は、添加していない。
比較例3では、A群から本発明のショ糖脂肪酸エステル(A成分)に含まれるA−1を、B群から本発明のポリグリセリン脂肪酸エステル(B成分)に含まれるB−1を、C群から本発明のキタンサンガム(C成分)と異なる増粘剤C−2(比較品)を、それぞれ選択して比較例3に係る洗浄剤組成物の調製を行った。
比較例4では、A群から本発明のショ糖脂肪酸エステル(A成分)に含まれるA−1を、B群から本発明のポリグリセリン脂肪酸エステル(B成分)に含まれるB−1を、C群から本発明のキタンサンガム(C成分)と異なる増粘剤C−3(比較品)を、それぞれ選択して比較例4に係る洗浄剤組成物の調製を行った。
比較例5では、A群から本発明のショ糖脂肪酸エステル(A成分)に含まれるA−1を、B群から本発明のポリグリセリン脂肪酸エステル(B成分)に含まれるB−1を、C群から本発明のキタンサンガム(C成分)と異なる増粘剤C−4(比較品)を、それぞれ選択して比較例5に係る洗浄剤組成物の調製を行った。
比較例6では、A群から本発明のショ糖脂肪酸エステル(A成分)に含まれないA−2(比較品)を、B群から本発明のポリグリセリン脂肪酸エステル(B成分)に含まれるB−1を、C群から本発明のキタンサンガム(C成分)を、それぞれ選択して比較例6に係る洗浄剤組成物の調製を行った。
比較例7では、A群から本発明のショ糖脂肪酸エステル(A成分)に含まれるA−1を、B群から本発明のポリグリセリン脂肪酸エステル(B成分)に含まれるB−1を、C群から本発明のキタンサンガム(C成分)を、それぞれ選択して比較例7に係る洗浄剤組成物の調製を行った。ここで、A成分とB成分の質量比であるA/Bを、本発明に含まれない0.25とした。
比較例8では、A群から本発明のショ糖脂肪酸エステル(A成分)に含まれるA−1を、B群から本発明のポリグリセリン脂肪酸エステル(B成分)に含まれるB−1を、それぞれ選択して比較例8に係る洗浄剤組成物の調製を行った。C群の増粘剤は、添加していない。
比較例9では、A群から本発明のショ糖脂肪酸エステル(A成分)に含まれるA−1を、B群から本発明のポリグリセリン脂肪酸エステル(B成分)に含まれるB−1を、C群から本発明のキタンサンガム(C成分)を、それぞれ選択して比較例9に係る洗浄剤組成物の調製を行った。ここで、C成分の含有量を、本発明に含まれない0.12とした。
これら比較例1〜9ついての結果を表2にまとめて示す。
【0025】
【表2】

【0026】
<評価方法>
前記実施例1〜5及び前記比較例1〜9について、粘度、飛散性、泡立ち量、低温安定性を行った。以下、その評価方法を示す。
【0027】
−粘度−
BM型粘度計(TOKIMEC社製)にてNo.1ローターを用い、60rpm、25℃の条件で測定した。
前掲した表2中の「注1」は、洗浄剤組成物が、配合直後から不透明で均一とならない場合であり、測定不可とした。
【0028】
−飛散性−
一押しで吐出量約3mLの1,000mL容ポンプ式ボトル容器(ポンプ;PP(ポリプロピレン)、ボトル;PE(ポリエチレン))に、25℃を保った洗浄剤組成物を500mL充填する。ポンプ頭部を一気に2回〜5回押し、吐出口部分から約10cm離れた下で市販台所用スポンジ(八ッ矢クリーナー製、材質;ウレタンホーム、寸法;115×85×40mm)を据えた。スポンジ面(115×85mm)に洗浄剤組成物が当たるときの、液の跳ね具合を目視により観察し、以下の基準にて判定し、◎と○を合格とした。
◎;液がまったく跳ねない。
○;ほぼ跳ねない。僅かに跳ねるが(10%以内)、実用上問題ない。
×;液が四方八方に飛び散り、跳ねる。
【0029】
−泡立ち量−
500mL容のメスシリンダーに、洗浄剤組成物を3°DH硬水にて0.5%濃度(25℃)に調整した溶液を100mL入れ、さらに共存汚垢として、1.4%ミルク溶液を0.1mL入れた(ミルクは「はいはい0ヶ月から/和光堂製」使用)。
4合洗浄ブラシを用い、メスシンリンダーの底部から上部まで5秒間で20回上下して洗浄液を泡立たせ、30秒間静置後の泡容量(mL)をすばやく読み取り測定した。以下の基準にて判定し、◎と○を合格とした。
◎;150mL以上
○;100mL以上〜150mL未満
△;50mL以上〜100mL未満
×;50mL未満
【0030】
−低温安定性−
1,000mL容ポンプ式ボトル容器(ポンプ;PP(ポリプロピレン)、ボトル;PE(ポリエチレン))に洗浄剤組成物を500mL充填し、5℃の低温度条件のもと、4週間保存した。保存後の洗浄剤組成物を目視により、以下の基準にて判定し、○を合格とした。
○;均一透明であった。
×;析出物、あるいは相分離が確認された。
【0031】
<評価>
実施例1〜5では、粘度、飛散性、泡立ち量、低温安定性のそれぞれについて、実用に問題のないレベルの洗浄剤組成物を得ることができている。
実施例1、2、4では、ポリグリセリン脂肪酸エステル(B成分)としてデカグリセリンカプリン酸エステルを用いた実施例3(B−3)に比べ、良好な泡立ち量が得られている。
また、実施例4では、キサンタンガム(C−1)の含有量を0.03質量%とする実施例1〜3、5に比べ、飛散性についても良好な結果を得られている。
【0032】
本発明に含まれないポリグリセリン脂肪酸エステル(B−4)を用いた比較例1では、本発明に含まれるポリグリセリン脂肪酸エステルを用いた実施例1〜5に比べ、泡立ち量が低下し、低温安定性が不良となっている。
本発明のキサンタンガム(C成分)を用いない比較例2〜5(増粘剤なし、C−2〜C−4)では、本発明のキサンタンガム(C成分)を用いた実施例1〜5に比べ、飛散性、低温安定性のいずれもが不良となっている。また、増粘剤なしの比較例8では、飛散性が不良となっている。
また、本発明に含まれないショ糖脂肪酸エステル(A−2)を用いた比較例6では、実施例1〜5に比べ、低温安定性が不良となっている。
また、ショ糖脂肪酸エステル(A成分)とポリグリセリン脂肪酸エステル(B成分)の質量比が本発明に含まれない比較例7では、実施例1〜5に比べ、低温安定性が不良となっている。
また、本発明のキサンタンガム(C成分)の含有量が本発明に含まれない比較例9では、低温安定性が不良となっている。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、安全性を有しつつ、豊かな泡立ち量と低温安定性とが良好で、さらにポンプ式吐出容器使用での洗浄剤の飛散りが防止され、特に、抵抗力の弱い乳幼児や介護老人者を含む家庭向けの洗浄剤組成物として利用することができる。
また、様々な温度環境にある季節や地域において流通し、使用される洗浄剤組成物として好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショ糖と炭素数12の脂肪酸とのモノエステルからなるショ糖脂肪酸エステル(A成分)と、
重合度5〜10のポリグリセリンと炭素数10〜12の脂肪酸とのエステル化物からなるポリグリセリン脂肪酸エステル(B成分)と、
含有量が0.01質量%〜0.09質量%であるキサンタンガム(C成分)と、を含有し、
前記A成分と前記B成分の質量比が、次式、0.5≦A/B≦1.3を満たし、25℃における粘度が、5mPa・s〜200mPa・sであることを特徴とする洗浄剤組成物。
【請求項2】
吐出口径が1mm〜6mmである吐出口を備える洗浄剤組成物吐出容器に用いられる請求項1に記載の洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2010−43202(P2010−43202A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208749(P2008−208749)
【出願日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】