洗浄方法および露光装置
【課題】 露光装置の露光性能を劣化させることなく、露光装置の構成部材を洗浄して露光を開始することができる露光装置を供給すること
【解決手段】 液浸液を介して基板を露光する露光装置内において、露光装置を構成して液浸液と接触する構成部材を洗浄する洗浄方法であって、洗浄液を用いて構成部材を洗浄し、すすぎ液を用いて洗浄時における洗浄液の液面よりもすすぎ液の液面を高くした状態で洗浄液を洗い流す。
【解決手段】 液浸液を介して基板を露光する露光装置内において、露光装置を構成して液浸液と接触する構成部材を洗浄する洗浄方法であって、洗浄液を用いて構成部材を洗浄し、すすぎ液を用いて洗浄時における洗浄液の液面よりもすすぎ液の液面を高くした状態で洗浄液を洗い流す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄方法および露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微細な半導体素子を製造するための露光装置として、液体を介してウエハを露光する液浸露光装置が用いられている。液浸露光装置としては、ウエハ全体がチャックを含むとも読めて良くないと思いました。⇒ウエハ全体をウエハチャックごとウエハチャック槽内に満たされた液浸液に浸す形態や、ウエハ表面とそれに対向している投影光学系の最終光学素子との間隔のみを局所的に液浸液で満たす形態などがある。例えば特許文献1には、ウエハ表面とそれに対向する投影光学系の最終レンズとの間のみを液体で満たし露光する露光装置が開示されている。さらに、特許文献1には、液浸液に接触する最終レンズの表面が汚れた場合にそのレンズを定期的に交換する必要があることが記載されている。
【0003】
レンズ表面に液浸液が残って水痕が残る場合の他に、ウエハから発生した物質あるいは露光装置内から発生した物質などが原因となって、レンズ表面に汚れとして付着する可能性がある。また、汚れはレンズ表面だけでなく、液浸領域を形成するためのノズル部材表面やウエハステージの表面などにも発生する可能性がある。特許文献2においては、最終レンズ表面の汚れを除去するために洗浄液を用いた洗浄システム、および、最終レンズ表面をすすぎ液ですすぐことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第99/49504号パンフレット
【特許文献2】特開2006−032750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
露光装置上で部材の洗浄を行う場合には、液浸液と接触する構成部材に洗浄液が残留していない状態に戻して、通常露光を再開させる必要がある。引用文献2に記載の発明では、すすぎ液を用いて洗浄液を具体的にどのようにすすぐのかについて記載されていない。そのため、すすぎ液の液面が洗浄液の液面よりも低い場合は洗浄液が残留してしまうという問題がある。洗浄液が残留することの悪影響としては、残留した洗浄液が液浸液と混合して、液浸液の光学特性を劣化させてしまい、解像不良や露光欠陥が生じてしまうことが考えられる。また、構成部材上に残留した洗浄液がその部材と化学反応してその部材を劣化させて、その部材からパーティクルを発生させてしまい、露光欠陥が生じてしまう。このように、洗浄液が露光装置内に残留すると露光性能の劣化(解像不良や露光欠陥)が生じるおそれある。
【0006】
そこで、本発明は、露光装置の露光性能を劣化させることなく、露光装置の構成部材を洗浄して露光を開始することができる露光装置を供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としての洗浄方法は、液浸液を介して基板を露光する露光装置内において、前記露光装置を構成して前記液浸液と接触する構成部材を洗浄する洗浄方法であって、洗浄液を用いて前記構成部材を洗浄する洗浄ステップと、すすぎ液を用いて、前記洗浄ステップ時における前記洗浄液の液面よりも前記すすぎ液の液面を高くした状態で前記洗浄液を洗い流すすすぎステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、洗浄ステップ時における洗浄液の液面よりもすすぎ液の液面を高くした状態で洗浄液を洗い流すため、露光装置の露光性能を劣化させることなく、露光装置の構成部材を洗浄して露光を開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】露光装置の全体概略図である。
【図2】(a)液浸領域周囲の概略断面図である。(b)液浸領域から投影光学系とノズルを見た概略図である。
【図3】ウエハステージが駆動した時の液浸領域周囲の概略断面図である。
【図4】洗浄メンテナンスのフローチャートである。
【図5】露光装置における洗浄メンテナンス時の全体概略図である。
【図6】実施例1における洗浄時の洗浄液領域周囲の概略断面図である。
【図7】実施例1におけるすすぎ時のすすぎ液領域周囲の概略断面図である。
【図8】実施例2におけるすすぎ時のすすぎ液領域周囲の概略断面図である。
【図9】(a)実施例3における露光時の液浸液領域周囲の概略断面図である。(b)実施例3における洗浄時の洗浄液領域周囲の概略断面図である。(c)実施例3におけるすすぎ時のすすぎ液領域周囲の概略断面図である。
【図10】実施例4におけるすすぎ時のすすぎ液領域周囲の概略断面図である。
【図11】実施例5における洗浄メンテナンスのフローチャートである。
【図12】実施例5における洗浄時の洗浄液領域周囲の概略断面図である。
【図13】(a)実施例7における洗浄時の洗浄液領域周囲の概略断面図である。(b)実施例7におけるすすぎ時のすすぎ液領域周囲の概略断面図である。
【図14】実施例8におけるすすぎ時のすすぎ液領域周囲の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。なお、各図において、同一の部材については、同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【実施例1】
【0011】
図1は、ステップ・アンド・スキャン方式の液浸露光装置の概略構成を示す図である。液浸露光装置は、照明光学系12、レチクルステージ22、投影光学系31、ウエハステージ53、投影光学系31とウエハステージ53との間に液浸液100を供給する液浸液供給装置101、投影光学系31とウエハステージ53との間から液浸液100を回収する液浸液回収装置102を有する。
【0012】
このように、液浸露光装置は、投影光学系31の最もウエハ51側にある最終レンズのウエハ側の表面(最終面)が全体的にまたは部分的に液浸液100に接触し、液浸液100を介してレチクル21に形成されたパターンの像をウエハ51に投影してウエハ(基板)を露光する。
【0013】
照明光学系12は、光源11からの光を用いて転写用の回路パターンが形成されたレチクル21を照明する。光源11として例えば波長約193nmのArFエキシマレーザーを用いることができる。
【0014】
レチクル(マスク)21は、←3行上にほぼ同じ内容が書いてあるので、削除しました。レチクルステージ22に支持され駆動される。レチクル21からの回折光は、投影光学系31を通り、ウエハ51に投影される。レチクル21とウエハ51とは光学的に共役の関係に配置される。
【0015】
投影光学系31は、複数のレンズ素子からなる屈折光学系、複数のレンズ素子と少なくとも一枚のミラー素子を有する反射屈折光学系などを使用することができる。
【0016】
被露光体(基板)としてのウエハ51には、レジストが塗布されており、チャック等の保持部52を介してウエハステージ53に支持される。
【0017】
投影光学系31の最終面とウエハ51の間にある液浸領域(液浸液で満たされる領域)には、液浸液供給装置101から液浸液が供給され、液浸液回収装置102に回収される。液浸液の材料としては、露光光の透過率がよく、レジストプロセスとのマッチングがよく、投影光学系31に汚れを付着しない物質が選択される。例えば、水や有機系液体があり、露光光の波長やウエハ51に塗布したレジストなどとの関係によって選定される。
【0018】
図2(a)は、液浸領域周辺の概略断面図を示したものである。図2(b)は、液浸領域側から投影光学系31の最終レンズ32、ノズル41を見た概略図を示したものである。ノズル41は、投影光学系31を取り囲むように、円環状の形状になっている。ノズル41は、投影光学系31とは別に、支持部材42で支持されており、駆動機構により上下の移動が可能である。ノズル41の液浸液供給口111は、最終レンズ32(投影光学系)の周囲に円環状に配置され、液浸液供給装置101と通じている。ノズル41の液浸液供給口112は、投影光学系31を取り囲むように円環状に配置され、液浸液供給装置101と通じている。また、ノズル41の液浸液回収口113は最終レンズ32(投影光学系)の周囲に円環状に配置され、液浸液回収装置102と通じている。ノズル41の液浸液回収口114は、ノズル41の上面側に円環状に配置され、液浸液回収装置102と通じている。したがって、液浸液は、液浸液供給装置101から液浸液供給口111、112を介して、投影光学系31の最終レンズ32とウエハ51の間にある液浸領域に供給され、液浸液回収口113、114を介して液浸液回収装置103に回収される。
【0019】
図3は、ウエハステージ53が移動した際に、最終レンズ32とノズル41との間での液浸液の液面高さが変化することを模式的に示したものである。ウエハステージ53が矢印201の方向に加速度を有して移動した際に、最終面レンズ32とノズル41の間の液面は、左側の液面高さは矢印211のように低くなり、右側の液面高さは矢印212のように高くなる。このようにステージ駆動によって、液浸液の液面は変化する。
【0020】
図4は、洗浄メンテナンス実施手順のフローチャートである。最終レンズ32やノズル41などを洗浄する際には、露光終了後、液浸液の供給と回収を停止する(ステップA)。次に、ウエハステージと洗浄ステージを移動する(ステップB)。図5は、洗浄メンテナンス時の露光装置の概略構成を示したものである。図5中の矢印は電気信号の流れを示す。ステージ制御部301は、露光時に投影光学系31の最終レンズ32の下方にあったウエハステージ51を他の場所に移動して、最終レンズ32の下方に洗浄ステージ61を移動させる(ステップB)。
【0021】
その後、投影光学系31と洗浄ステージ61の間に洗浄液を供給する(ステップC)。洗浄液としては、例えば水素水やオゾン水等が考えられる。図5に示したように、洗浄液供給装置103は、洗浄時には切り換えバルブ121を介して、ノズル41の液浸液供給口111、112、液浸液回収口113、114の少なくともいずれか1つと通じるようになっている。また、バルブ制御部302によって、切り換えバルブ121を切り換えることができる。したがって、洗浄時には、切り換えバルブ121を切り換えることで、洗浄液が洗浄液供給装置103からノズル41を介して供給されて、洗浄液領域151が洗浄ステージ61上に最終レンズ32やノズル41に接して形成される。図6は、ステップCの洗浄における洗浄液領域151周辺の概略断面図を示したものである。ノズル41の液浸液供給口111、112、液浸液回収口113、114の少なくとも1つから洗浄液が供給されて、洗浄液領域151が形成される。洗浄液領域151は、露光時に液浸液に接していた構成部材が、洗浄液に接するように形成される。洗浄ステージ61には、回収口62があり、配管を介して液体回収装置104に通じている。よって、洗浄液領域151の洗浄液は、回収口62から液体回収装置104に回収される。
【0022】
ステップCを実行した後にノズル位置の変更を行い(ステップD)、投影光学系31と洗浄ステージ61の間にすすぎ液を供給してすすぎを行う(ステップE)。本実施例では、すすぎ液として液浸液と同じ種類の液体を用いて、洗浄液を液浸液で洗い流す。図7は、ノズル位置の変更を行った後、ステップEにおける最終レンズ32やノズル41の周辺の概略断面図を示したものである。ノズル41は、ノズル支持部材制御部303によってノズル支持部材42を移動することで、ステップCの洗浄時の位置から、矢印221の方向(洗浄ステージ61に近づく方向)に移動する。すすぎ液がノズル41の液浸液供給口111、112、液浸液回収口113、114の少なくとも1つから供給されて、すすぎ液領域152が洗浄ステージ61上に形成される。ノズル41の高さを洗浄時(ステップC)と変更したことで、ステップCでの洗浄液の液面よりもすすぎ液の液面を高くする。図7の点線はステップCにおける液面高さを表す。これにより、ステップCで洗浄液に接していた最終レンズ32やノズル41の全ての部分にすすぎ液が接して、部材表面に残っていた洗浄液をすすぎ液によって洗い流すことができる。
【0023】
図7ではノズル41の高さを下げることで、液面が上昇する場合について説明したが、最終レンズ32とノズル41のそれぞれの形状や両者の間隔によっては、ノズル41の高さを上げた際に液面が上昇する場合がある。この場合には、洗浄時に比べてすすぎ時のノズル41の高さを上げる。また、ノズル位置の変更は高さ方向に限らず、水平方向に変更してもよい。
例えば、液体の供給回収ノズルの位置を上下左右(高さ方向および水平方向)に変更可能なようにノズルを構成すれば、洗浄時に比べてすすぎ時の液面が高くなるように所定の方向にノズルを移動してもよい。
【0024】
また、すすぎ液領域152に供給するすすぎ液供給流量を、洗浄時で洗浄液領域151に供給していた洗浄液供給流量よりも多くすることで、洗浄時の洗浄液領域151の液面よりもすすぎ液領域152の液面を高くしてもよい。また、すすぎ液領域152から回収するすすぎ液回収流量を、ステップCで洗浄液領域151から回収していた洗浄液回収流量よりも少なくしてもよい。このように、すすぎ液供給流量及びすすぎ液回収流量を、洗浄時の洗浄液供給流量及び洗浄液回収流量とは変更することで、洗浄時の洗浄液領域151の液面よりもすすぎ時のすすぎ液領域152の液面を高くしてもよい。
【0025】
ステップEのすすぎ後には、洗浄ステージ61を最終レンズ32の下方から他の場所に移動して、ウエハステージ51を最終レンズ32の下方に移動させる(ステップF)。その後、液浸液を液浸液供給装置101から液浸液供給口111、112を介して供給して、最終レンズ32とウエハ51の間にある液浸領域が形成される(ステップG)。露光開始条件が整った後に、露光を開始する(ステップH)。
【0026】
以上、実施例1の露光装置においては、すすぎ液を用いて洗浄液を洗い流すすすぎにおいて、ノズル部材の位置を洗浄時とすすぎ時で変更することで、洗浄時における洗浄液の液面よりもすすぎ液の液面を高くした状態で洗浄液を洗い流すことができる。これによって、洗浄液が残留しないようにすることができ、露光装置の露光性能を劣化させることなく、露光装置の構成部材を洗浄して露光を開始できる。
【0027】
なお、洗浄およびすすぎを洗浄ステージ61で行ったが、ウエハステージ上で洗浄およびすすぎを行ってもよい。例えば、ウエハチャックで洗浄用の基板を保持し、洗浄用の基板上に洗浄液領域を形成し、すすぎを行えば良い。
【実施例2】
【0028】
実施例2は、図4に示した第1実施例における洗浄メンテナンス実施手順フローチャートとはステップDが異なる。実施例2においては、洗浄(ステップC)とすすぎ(ステップE)との間で、洗浄ステージの高さを変更する(ステップD2)。
【0029】
図8は、すすぎ液を用いて洗浄液を洗い流すステップEにおける最終レンズ32やノズル41の周辺の概略を示したものである。すすぎ液がノズル41の液浸液供給口111、112、液浸液回収口113、114の少なくとも1つから供給されて、すすぎ液領域152が洗浄ステージ61上に最終レンズ32やノズル41に接して形成される。このステップEの前段階のステップD2において、ステージ制御部301により、洗浄ステージ61を、洗浄時の位置から矢印231の方向に移動させる。洗浄ステージ61の高さを洗浄時よりも高くし、洗浄ステージ61と投影光学系31との間隔を狭くすることで、ステップCでの洗浄液領域151の液面よりもすすぎ液領域152の液面を高くする。図8の点線はステップCにおける液面高さを表す。これにより、ステップCで洗浄液に接していた最終レンズ32やノズル41の全ての部分にすすぎ液が接して、部材表面に残っていた洗浄液をすすぎ液によって洗い流すことができる。また、すすぎ液の供給流量及び回収液量を、ステップCにおける洗浄液領域151に対する洗浄液の供給流量及び回収流量とは変更することで、ステップCでの洗浄液領域151の液面よりもすすぎ液領域152の液面を高くする効果を更に高めてもよい。さらに、実施例1のようにノズルの位置を変更してもよい。
【0030】
以上、実施例2の露光装置においては、すすぎ液を用いて洗浄液を洗い流すすすぎにおいて、洗浄ステージ61と投影光学系31との間隔を狭くすすぎすることで、洗浄時における洗浄液の液面よりもすすぎ液の液面を高くした状態で洗浄液を洗い流すことができる。これによって、洗浄液が残留しないようにすることができ、露光装置の露光性能を劣化させることなく、露光装置の構成部材を洗浄して露光を開始できる。
【実施例3】
【0031】
実施例3は、前述の実施例とはステップDが異なる。実施例3においては、洗浄(ステップC)とすすぎ(ステップE)との間で、気体吹き付け圧力を変更する(ステップD3)。
【0032】
図9(a)は、本実施例における液浸領域周辺の概略断面図を示したものである。液浸液は、液浸液供給口111、112を介して、投影光学系31の最終レンズ32とウエハ51の間にある液浸領域に供給され、液浸液回収口113、114から回収される。実施例1で説明した図2と異なるのは、液浸領域の液保持を強固にするために、液浸液100の周囲に気体を吹き付けていることである。図9(a)においては、気体圧力制御部304による制御で、気体供給装置141から気体供給口131を介して気体を供給して、気体回収口132を介して気体回収装置142で気体を回収している。
【0033】
図9(b)は、ステップCの洗浄における最終レンズ32やノズル41の周辺の概略断面図を示したものである。ノズル41の液浸液供給口111、112、液浸液回収口113、114の少なくともいずれか1つから洗浄液が供給されて、洗浄液領域151が形成される。洗浄液領域151は、液浸露光時に液浸液に接していた周辺部材が、洗浄液に接するように形成される。洗浄液領域151周辺には、気体供給口131から気体が供給されている。したがって、洗浄液は、洗浄ステージ61上の洗浄液領域151より外側に広がることなく、洗浄ステージ61の回収口62から液体回収装置104に回収される。
【0034】
図9(c)は、すすぎ液を用いて洗浄液を洗い流すステップEのすすぎにおける最終レンズ32やノズル41の周辺の概略を示したものである。すすぎ液がノズル41の液浸液供給口111、112、液浸液回収口113、114の少なくとも1つから供給されて、すすぎ液領域152が洗浄ステージ61上に最終レンズ32やノズル41に接して形成される。このステップEの前段階のステップD3において、気体供給口131に吹き付ける気体の圧力を気体圧力制御部304によって洗浄時よりも高くすることで、ステップCでの洗浄液領域151の液面よりもすすぎ液領域152の液面を高くする。これにより、ステップCで洗浄液に接していた最終レンズ32やノズル41の全ての部分にすすぎ液が接して、部材表面に残っていた洗浄液をすすぎ液によって洗い流すことができる。
【0035】
また、すすぎ液の供給流量及び回収液量を、ステップCで洗浄液領域151に対する洗浄液の供給流量及び回収流量とは変更することで、ステップCでの洗浄液領域151の液面よりもすすぎ液領域152の液面を高くする効果を更に高めてもよい。さらに、実施例1、2のように、ノズルの位置を変更したり、ステージの位置を変更したりしてもよい。
【0036】
液浸液の周囲に吹き付ける気体の吹き付けについて、ノズル41から液浸液の周囲に気体を吹き付けることで説明を行ったが、気体の吹き付けはノズル以外の部材から行ってもよい。例えば、洗浄ステージ61に気体供給口133と気体回収口134を取り付けて、気体吹き付け圧力をステップCの洗浄時よりもステップDのすすぎ時に高くする。この場合にも、ステップCでの洗浄液領域151の液面よりもすすぎ液領域152の液面を高くする効果を得られる。
【0037】
以上、本実施例においては、すすぎ液を用いて洗浄液を洗い流す際に、液浸液の周囲に吹き付ける気体の吹き付け圧力を洗浄時よりもすすぎ時に高くすることで、洗浄時における洗浄液の液面よりもすすぎ液の液面を高くした状態で洗浄液を洗い流すことができる。これによって、洗浄液が残留しないようにすることができ、露光装置の露光性能を劣化させることなく、露光装置の構成部材を洗浄して露光を開始できる。
【実施例4】
【0038】
実施例4は、前述の実施例とはステップDが異なる。実施例4においては、洗浄(ステップC)とすすぎ(ステップE)との間で、液漏れ防止部材を追加または変更する(ステップD4)。
【0039】
図10は、実施例4おいて、すすぎ液を用いて洗浄液を洗い流すステップEにおける最終レンズ32やノズル41の周辺の概略を示したものである。すすぎ液がノズル41の液浸液供給口111、112、液浸液回収口113、114の少なくとも1つから供給されて、すすぎ液領域152が洗浄ステージ61上に最終レンズ32やノズル41に接して形成される。このステップEの前段階のステップD4において、洗浄ステージ61は、洗浄ステップ時に比べて液漏れ防止部材66が追加される。この液漏れ防止部材66は、円環状に配置されており、すすぎ液領域152のすすぎ液が周辺に漏れにくくなる。これにより、ステップCでの洗浄液領域151の液面よりもすすぎ液領域152の液面を高くすると共に、ステージ外側への液漏れを防止することができる。図10の点線は洗浄時の液面高さを表す。したがって、ステップCで洗浄液に接していた最終面レンズ32やノズル41の全ての部分にすすぎ液が接して、部材表面に残っていた洗浄液をすすぎ液によって洗い流すことができる。以上は、液漏れ防止部材66は、ステップD4において新たに追加されることで説明を行った。液漏れ防止部材は、洗浄のステップCで取り付けられていてもよく、ステップD4において高さを変えたり、水平方向に移動させたりすることで、位置を変えてもよい。
【0040】
また、すすぎ液の供給流量及び回収液量を、ステップCで洗浄液領域151に対する洗浄液の供給流量及び回収流量とは変更することで、ステップCでの洗浄液領域151の液面よりもすすぎ液領域152の液面を高くする効果を更に高めてもよい。
【0041】
以上、本実施例においては、すすぎ液を用いて洗浄液を洗い流すすすぎにおいて、すすぎ液の液漏れを防止する部材を用いて、洗浄時における洗浄液の液面よりもすすぎ液の液面を高くした状態で洗浄液を洗い流すことができる。これによって、洗浄液が残留しないようにすることができ、露光装置の露光性能を劣化させることなく、露光装置の構成部材を洗浄して露光を開始できる。
【実施例5】
【0042】
実施例5では、図11の洗浄メンテナンス実施手順フローチャートにおけるステップ3において、ノズル位置を変更し、露光時における液浸液の最大液面高さよりも、洗浄液の液面を高くした状態で洗浄を行う。ステップ4、5においては前述および後述の実施例のように、すすぎ液を用いて洗浄液を洗い流す際に、洗浄時における洗浄液の液面よりもすすぎ液の液面を高くした状態で洗浄液を洗い流す。
【0043】
図12は、ステップ4の洗浄における洗浄液領域151周辺の概略を示したものである。ノズル41の液浸液供給口111、112、液浸液回収口113、114の少なくとも1つから洗浄液が供給されて、洗浄液領域151が形成される。洗浄液領域151は、露光時に液浸液に接していた周辺部材が洗浄液に接するように形成される。洗浄ステージ61には回収口62があり、配管を介して液体回収装置104に通じている。よって、洗浄液領域151の洗浄液は、回収口62から液体回収装置104に回収される。このステップ4の前段階のステップ3において、ノズル41は露光時の位置から矢印221の方向(洗浄ステージ61に近づく方向)に移動させる。ノズル41の高さを露光時と変更することで、露光時の液浸液領域の液面よりも洗浄液領域151の液面を高くする。なお、露光時はステージ移動により液面高さが変化するため、洗浄時は、露光時の最大の液面高さよりも高くする必要がある。これにより、露光時に液浸液に接していた最終レンズ32やノズル41の全ての部分に洗浄液が接して、部材表面に残っていた液浸液や汚れを洗浄液によって洗浄することができる。
【0044】
露光時の液浸液領域の液面よりも洗浄液領域151の液面を高くする方法として、ノズル部材の位置を露光時と洗浄時で変更することで説明を行ったが、例えば、液面の高さを変える上記の実施例に記載のような他の方法で行ってもよい。
【0045】
以上、実施例5の液浸露光装置においては、露光時における液浸液の液面よりも洗浄液の液面を高くした状態で洗浄を行うことができる。これによって、ノズル41の上方の液浸液残りや汚れにも洗浄液が接することができ、洗い残しがない洗浄を行うことができる。
【実施例6】
【0046】
前述の実施例では、すすぎ液に液浸液と同じ液体を用いてすすぎを行い(ステップE)、その後に洗浄ステージとウエハステージを移動して(ステップF)、液浸液を供給した(ステップG)。本実施例は、すすぎ液を液浸液と異なる種類の液体を用いる。
【0047】
すすぎ液が液浸液と異なる種類の液体であり、すすぎ液が装置内に残留すると、装置に悪影響を及ぼす場合には、すすぎ液を液浸液で洗い流す必要がある。すすぎ液を液浸液で洗い流すステップ(ステップE´)は、図4に示すステップEの後、ステップGの間に行う。
【0048】
液浸液ですすぎ液を洗い流すステップE´において、ステップEにおけるすすぎ液の液面よりも液浸液の液面を高くして、すすぎ液を洗い流す。これによって、すすぎ液が残留して装置に悪影響を及ぼすことを防止する。液面を高くする方法として、前述の実施例で行う方法を採用することができる。
【0049】
本実施例においては、すすぎ液が液浸液とは異なる種類の液体を用いて、すすぎ液で洗浄液を洗い流した後に、液浸液を用いてすすぎ時におけるすすぎ液の液面よりも液浸液の液面を高くした状態ですすぎ液を洗い流す。これによって、すすぎ液が残留しないようにすることができ、露光装置の露光性能を劣化させることなく、露光装置の構成部材を洗浄して露光を開始できる。
【実施例7】
【0050】
本実施例は、図4に示すステップDを行わない例である。図13(a)には、ステップCの洗浄における洗浄液領域151周辺の概略を示した。液浸液供給口112から洗浄液が供給されて、洗浄液領域151が形成される。図13(b)には、ステップEのすすぎにおけるすすぎ液領域152周辺の概略を示した。ステップCで洗浄液を供給していた液浸液供給口112よりも高い位置にある液浸液回収口114からすすぎ液が供給され、洗浄液が洗い流される。すすぎ液の供給を、洗浄液の供給よりも高い場所から行うことで、ステップCの洗浄で部材表面に残った洗浄液を、すすぎ液によって洗い流すことができる。なお、洗浄液の回収口62はすすぎ液の供給口より低い位置にあればよい。これにより、洗浄液が残留しないようにすることができ、露光装置の露光性能を劣化させることなく、露光装置の構成部材を洗浄して露光を開始できる。
【0051】
なお、液浸液供給口112から洗浄液を供給すると同時に液浸液回収口114からすすぎ液を供給してもよい。この場合には、液浸液供給口112より高い位置にある液浸液回収口114からすすぎ液を供給することで、洗浄液の液面よりもすすぎ液の液面の方が高くなり、洗浄液が、すすぎ液によって上方から下方向へ洗い流されるので残留することはない。
【実施例8】
【0052】
実施例8では、洗浄液供給口よりも高い位置にすすぎ液専用の供給口115を設ける。図14に、本実施例の露光装置における最終レンズ32やノズル41の周辺の概略を示した。すすぎ液供給口115が、洗浄液を供給する液浸液供給口111、112、液浸液回収口113、114よりも高い位置にある。洗浄メンテナンス実施手順は実施例7と同じである。ステップCの洗浄において、ノズル41の液浸液供給口111、112、液浸液回収口113、114の少なくともいずれか1つから洗浄液が供給されて、洗浄液領域151が形成される。洗浄液領域151は、液浸露光時に液浸液に接していた周辺部材が、洗浄液に接するように形成される。ステップEのすすぎにおいて、すすぎ液を、洗浄供給よりも高い位置のすすぎ供給口115から供給することで、ステップCの洗浄で部材表面に残った洗浄液を、すすぎ液によって洗い流すことができる。これにより、洗浄液が残留しないようにすることができ、装置に悪影響を及ぼさない洗浄を行うことができる。
【0053】
本実施例においても、洗浄液供給とすすぎ液供給を同時に行ってもよい。
【0054】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、液面を高くする方法として、上記の各実施例に記載の方法を適宜組み合わせてもよい。
【実施例9】
【0055】
次に、前述の露光装置を利用したデバイス(半導体IC素子、液晶表示素子等)の製造方法を説明する。デバイスは、前述の露光装置を使用して、感光剤が塗布された基板(ウェハ、ガラス基板等)を露光する工程と、その基板(感光剤)を現像する工程と、他の周知の工程と、を経ることにより製造される。他の周知の工程には、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等が含まれる。本デバイス製造方法によれば、従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。
【符号の説明】
【0056】
31 投影光学系
41 ノズル
51 ウエハ
61 洗浄ステージ
66 液漏れ防止部材
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄方法および露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微細な半導体素子を製造するための露光装置として、液体を介してウエハを露光する液浸露光装置が用いられている。液浸露光装置としては、ウエハ全体がチャックを含むとも読めて良くないと思いました。⇒ウエハ全体をウエハチャックごとウエハチャック槽内に満たされた液浸液に浸す形態や、ウエハ表面とそれに対向している投影光学系の最終光学素子との間隔のみを局所的に液浸液で満たす形態などがある。例えば特許文献1には、ウエハ表面とそれに対向する投影光学系の最終レンズとの間のみを液体で満たし露光する露光装置が開示されている。さらに、特許文献1には、液浸液に接触する最終レンズの表面が汚れた場合にそのレンズを定期的に交換する必要があることが記載されている。
【0003】
レンズ表面に液浸液が残って水痕が残る場合の他に、ウエハから発生した物質あるいは露光装置内から発生した物質などが原因となって、レンズ表面に汚れとして付着する可能性がある。また、汚れはレンズ表面だけでなく、液浸領域を形成するためのノズル部材表面やウエハステージの表面などにも発生する可能性がある。特許文献2においては、最終レンズ表面の汚れを除去するために洗浄液を用いた洗浄システム、および、最終レンズ表面をすすぎ液ですすぐことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第99/49504号パンフレット
【特許文献2】特開2006−032750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
露光装置上で部材の洗浄を行う場合には、液浸液と接触する構成部材に洗浄液が残留していない状態に戻して、通常露光を再開させる必要がある。引用文献2に記載の発明では、すすぎ液を用いて洗浄液を具体的にどのようにすすぐのかについて記載されていない。そのため、すすぎ液の液面が洗浄液の液面よりも低い場合は洗浄液が残留してしまうという問題がある。洗浄液が残留することの悪影響としては、残留した洗浄液が液浸液と混合して、液浸液の光学特性を劣化させてしまい、解像不良や露光欠陥が生じてしまうことが考えられる。また、構成部材上に残留した洗浄液がその部材と化学反応してその部材を劣化させて、その部材からパーティクルを発生させてしまい、露光欠陥が生じてしまう。このように、洗浄液が露光装置内に残留すると露光性能の劣化(解像不良や露光欠陥)が生じるおそれある。
【0006】
そこで、本発明は、露光装置の露光性能を劣化させることなく、露光装置の構成部材を洗浄して露光を開始することができる露光装置を供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としての洗浄方法は、液浸液を介して基板を露光する露光装置内において、前記露光装置を構成して前記液浸液と接触する構成部材を洗浄する洗浄方法であって、洗浄液を用いて前記構成部材を洗浄する洗浄ステップと、すすぎ液を用いて、前記洗浄ステップ時における前記洗浄液の液面よりも前記すすぎ液の液面を高くした状態で前記洗浄液を洗い流すすすぎステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、洗浄ステップ時における洗浄液の液面よりもすすぎ液の液面を高くした状態で洗浄液を洗い流すため、露光装置の露光性能を劣化させることなく、露光装置の構成部材を洗浄して露光を開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】露光装置の全体概略図である。
【図2】(a)液浸領域周囲の概略断面図である。(b)液浸領域から投影光学系とノズルを見た概略図である。
【図3】ウエハステージが駆動した時の液浸領域周囲の概略断面図である。
【図4】洗浄メンテナンスのフローチャートである。
【図5】露光装置における洗浄メンテナンス時の全体概略図である。
【図6】実施例1における洗浄時の洗浄液領域周囲の概略断面図である。
【図7】実施例1におけるすすぎ時のすすぎ液領域周囲の概略断面図である。
【図8】実施例2におけるすすぎ時のすすぎ液領域周囲の概略断面図である。
【図9】(a)実施例3における露光時の液浸液領域周囲の概略断面図である。(b)実施例3における洗浄時の洗浄液領域周囲の概略断面図である。(c)実施例3におけるすすぎ時のすすぎ液領域周囲の概略断面図である。
【図10】実施例4におけるすすぎ時のすすぎ液領域周囲の概略断面図である。
【図11】実施例5における洗浄メンテナンスのフローチャートである。
【図12】実施例5における洗浄時の洗浄液領域周囲の概略断面図である。
【図13】(a)実施例7における洗浄時の洗浄液領域周囲の概略断面図である。(b)実施例7におけるすすぎ時のすすぎ液領域周囲の概略断面図である。
【図14】実施例8におけるすすぎ時のすすぎ液領域周囲の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。なお、各図において、同一の部材については、同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【実施例1】
【0011】
図1は、ステップ・アンド・スキャン方式の液浸露光装置の概略構成を示す図である。液浸露光装置は、照明光学系12、レチクルステージ22、投影光学系31、ウエハステージ53、投影光学系31とウエハステージ53との間に液浸液100を供給する液浸液供給装置101、投影光学系31とウエハステージ53との間から液浸液100を回収する液浸液回収装置102を有する。
【0012】
このように、液浸露光装置は、投影光学系31の最もウエハ51側にある最終レンズのウエハ側の表面(最終面)が全体的にまたは部分的に液浸液100に接触し、液浸液100を介してレチクル21に形成されたパターンの像をウエハ51に投影してウエハ(基板)を露光する。
【0013】
照明光学系12は、光源11からの光を用いて転写用の回路パターンが形成されたレチクル21を照明する。光源11として例えば波長約193nmのArFエキシマレーザーを用いることができる。
【0014】
レチクル(マスク)21は、←3行上にほぼ同じ内容が書いてあるので、削除しました。レチクルステージ22に支持され駆動される。レチクル21からの回折光は、投影光学系31を通り、ウエハ51に投影される。レチクル21とウエハ51とは光学的に共役の関係に配置される。
【0015】
投影光学系31は、複数のレンズ素子からなる屈折光学系、複数のレンズ素子と少なくとも一枚のミラー素子を有する反射屈折光学系などを使用することができる。
【0016】
被露光体(基板)としてのウエハ51には、レジストが塗布されており、チャック等の保持部52を介してウエハステージ53に支持される。
【0017】
投影光学系31の最終面とウエハ51の間にある液浸領域(液浸液で満たされる領域)には、液浸液供給装置101から液浸液が供給され、液浸液回収装置102に回収される。液浸液の材料としては、露光光の透過率がよく、レジストプロセスとのマッチングがよく、投影光学系31に汚れを付着しない物質が選択される。例えば、水や有機系液体があり、露光光の波長やウエハ51に塗布したレジストなどとの関係によって選定される。
【0018】
図2(a)は、液浸領域周辺の概略断面図を示したものである。図2(b)は、液浸領域側から投影光学系31の最終レンズ32、ノズル41を見た概略図を示したものである。ノズル41は、投影光学系31を取り囲むように、円環状の形状になっている。ノズル41は、投影光学系31とは別に、支持部材42で支持されており、駆動機構により上下の移動が可能である。ノズル41の液浸液供給口111は、最終レンズ32(投影光学系)の周囲に円環状に配置され、液浸液供給装置101と通じている。ノズル41の液浸液供給口112は、投影光学系31を取り囲むように円環状に配置され、液浸液供給装置101と通じている。また、ノズル41の液浸液回収口113は最終レンズ32(投影光学系)の周囲に円環状に配置され、液浸液回収装置102と通じている。ノズル41の液浸液回収口114は、ノズル41の上面側に円環状に配置され、液浸液回収装置102と通じている。したがって、液浸液は、液浸液供給装置101から液浸液供給口111、112を介して、投影光学系31の最終レンズ32とウエハ51の間にある液浸領域に供給され、液浸液回収口113、114を介して液浸液回収装置103に回収される。
【0019】
図3は、ウエハステージ53が移動した際に、最終レンズ32とノズル41との間での液浸液の液面高さが変化することを模式的に示したものである。ウエハステージ53が矢印201の方向に加速度を有して移動した際に、最終面レンズ32とノズル41の間の液面は、左側の液面高さは矢印211のように低くなり、右側の液面高さは矢印212のように高くなる。このようにステージ駆動によって、液浸液の液面は変化する。
【0020】
図4は、洗浄メンテナンス実施手順のフローチャートである。最終レンズ32やノズル41などを洗浄する際には、露光終了後、液浸液の供給と回収を停止する(ステップA)。次に、ウエハステージと洗浄ステージを移動する(ステップB)。図5は、洗浄メンテナンス時の露光装置の概略構成を示したものである。図5中の矢印は電気信号の流れを示す。ステージ制御部301は、露光時に投影光学系31の最終レンズ32の下方にあったウエハステージ51を他の場所に移動して、最終レンズ32の下方に洗浄ステージ61を移動させる(ステップB)。
【0021】
その後、投影光学系31と洗浄ステージ61の間に洗浄液を供給する(ステップC)。洗浄液としては、例えば水素水やオゾン水等が考えられる。図5に示したように、洗浄液供給装置103は、洗浄時には切り換えバルブ121を介して、ノズル41の液浸液供給口111、112、液浸液回収口113、114の少なくともいずれか1つと通じるようになっている。また、バルブ制御部302によって、切り換えバルブ121を切り換えることができる。したがって、洗浄時には、切り換えバルブ121を切り換えることで、洗浄液が洗浄液供給装置103からノズル41を介して供給されて、洗浄液領域151が洗浄ステージ61上に最終レンズ32やノズル41に接して形成される。図6は、ステップCの洗浄における洗浄液領域151周辺の概略断面図を示したものである。ノズル41の液浸液供給口111、112、液浸液回収口113、114の少なくとも1つから洗浄液が供給されて、洗浄液領域151が形成される。洗浄液領域151は、露光時に液浸液に接していた構成部材が、洗浄液に接するように形成される。洗浄ステージ61には、回収口62があり、配管を介して液体回収装置104に通じている。よって、洗浄液領域151の洗浄液は、回収口62から液体回収装置104に回収される。
【0022】
ステップCを実行した後にノズル位置の変更を行い(ステップD)、投影光学系31と洗浄ステージ61の間にすすぎ液を供給してすすぎを行う(ステップE)。本実施例では、すすぎ液として液浸液と同じ種類の液体を用いて、洗浄液を液浸液で洗い流す。図7は、ノズル位置の変更を行った後、ステップEにおける最終レンズ32やノズル41の周辺の概略断面図を示したものである。ノズル41は、ノズル支持部材制御部303によってノズル支持部材42を移動することで、ステップCの洗浄時の位置から、矢印221の方向(洗浄ステージ61に近づく方向)に移動する。すすぎ液がノズル41の液浸液供給口111、112、液浸液回収口113、114の少なくとも1つから供給されて、すすぎ液領域152が洗浄ステージ61上に形成される。ノズル41の高さを洗浄時(ステップC)と変更したことで、ステップCでの洗浄液の液面よりもすすぎ液の液面を高くする。図7の点線はステップCにおける液面高さを表す。これにより、ステップCで洗浄液に接していた最終レンズ32やノズル41の全ての部分にすすぎ液が接して、部材表面に残っていた洗浄液をすすぎ液によって洗い流すことができる。
【0023】
図7ではノズル41の高さを下げることで、液面が上昇する場合について説明したが、最終レンズ32とノズル41のそれぞれの形状や両者の間隔によっては、ノズル41の高さを上げた際に液面が上昇する場合がある。この場合には、洗浄時に比べてすすぎ時のノズル41の高さを上げる。また、ノズル位置の変更は高さ方向に限らず、水平方向に変更してもよい。
例えば、液体の供給回収ノズルの位置を上下左右(高さ方向および水平方向)に変更可能なようにノズルを構成すれば、洗浄時に比べてすすぎ時の液面が高くなるように所定の方向にノズルを移動してもよい。
【0024】
また、すすぎ液領域152に供給するすすぎ液供給流量を、洗浄時で洗浄液領域151に供給していた洗浄液供給流量よりも多くすることで、洗浄時の洗浄液領域151の液面よりもすすぎ液領域152の液面を高くしてもよい。また、すすぎ液領域152から回収するすすぎ液回収流量を、ステップCで洗浄液領域151から回収していた洗浄液回収流量よりも少なくしてもよい。このように、すすぎ液供給流量及びすすぎ液回収流量を、洗浄時の洗浄液供給流量及び洗浄液回収流量とは変更することで、洗浄時の洗浄液領域151の液面よりもすすぎ時のすすぎ液領域152の液面を高くしてもよい。
【0025】
ステップEのすすぎ後には、洗浄ステージ61を最終レンズ32の下方から他の場所に移動して、ウエハステージ51を最終レンズ32の下方に移動させる(ステップF)。その後、液浸液を液浸液供給装置101から液浸液供給口111、112を介して供給して、最終レンズ32とウエハ51の間にある液浸領域が形成される(ステップG)。露光開始条件が整った後に、露光を開始する(ステップH)。
【0026】
以上、実施例1の露光装置においては、すすぎ液を用いて洗浄液を洗い流すすすぎにおいて、ノズル部材の位置を洗浄時とすすぎ時で変更することで、洗浄時における洗浄液の液面よりもすすぎ液の液面を高くした状態で洗浄液を洗い流すことができる。これによって、洗浄液が残留しないようにすることができ、露光装置の露光性能を劣化させることなく、露光装置の構成部材を洗浄して露光を開始できる。
【0027】
なお、洗浄およびすすぎを洗浄ステージ61で行ったが、ウエハステージ上で洗浄およびすすぎを行ってもよい。例えば、ウエハチャックで洗浄用の基板を保持し、洗浄用の基板上に洗浄液領域を形成し、すすぎを行えば良い。
【実施例2】
【0028】
実施例2は、図4に示した第1実施例における洗浄メンテナンス実施手順フローチャートとはステップDが異なる。実施例2においては、洗浄(ステップC)とすすぎ(ステップE)との間で、洗浄ステージの高さを変更する(ステップD2)。
【0029】
図8は、すすぎ液を用いて洗浄液を洗い流すステップEにおける最終レンズ32やノズル41の周辺の概略を示したものである。すすぎ液がノズル41の液浸液供給口111、112、液浸液回収口113、114の少なくとも1つから供給されて、すすぎ液領域152が洗浄ステージ61上に最終レンズ32やノズル41に接して形成される。このステップEの前段階のステップD2において、ステージ制御部301により、洗浄ステージ61を、洗浄時の位置から矢印231の方向に移動させる。洗浄ステージ61の高さを洗浄時よりも高くし、洗浄ステージ61と投影光学系31との間隔を狭くすることで、ステップCでの洗浄液領域151の液面よりもすすぎ液領域152の液面を高くする。図8の点線はステップCにおける液面高さを表す。これにより、ステップCで洗浄液に接していた最終レンズ32やノズル41の全ての部分にすすぎ液が接して、部材表面に残っていた洗浄液をすすぎ液によって洗い流すことができる。また、すすぎ液の供給流量及び回収液量を、ステップCにおける洗浄液領域151に対する洗浄液の供給流量及び回収流量とは変更することで、ステップCでの洗浄液領域151の液面よりもすすぎ液領域152の液面を高くする効果を更に高めてもよい。さらに、実施例1のようにノズルの位置を変更してもよい。
【0030】
以上、実施例2の露光装置においては、すすぎ液を用いて洗浄液を洗い流すすすぎにおいて、洗浄ステージ61と投影光学系31との間隔を狭くすすぎすることで、洗浄時における洗浄液の液面よりもすすぎ液の液面を高くした状態で洗浄液を洗い流すことができる。これによって、洗浄液が残留しないようにすることができ、露光装置の露光性能を劣化させることなく、露光装置の構成部材を洗浄して露光を開始できる。
【実施例3】
【0031】
実施例3は、前述の実施例とはステップDが異なる。実施例3においては、洗浄(ステップC)とすすぎ(ステップE)との間で、気体吹き付け圧力を変更する(ステップD3)。
【0032】
図9(a)は、本実施例における液浸領域周辺の概略断面図を示したものである。液浸液は、液浸液供給口111、112を介して、投影光学系31の最終レンズ32とウエハ51の間にある液浸領域に供給され、液浸液回収口113、114から回収される。実施例1で説明した図2と異なるのは、液浸領域の液保持を強固にするために、液浸液100の周囲に気体を吹き付けていることである。図9(a)においては、気体圧力制御部304による制御で、気体供給装置141から気体供給口131を介して気体を供給して、気体回収口132を介して気体回収装置142で気体を回収している。
【0033】
図9(b)は、ステップCの洗浄における最終レンズ32やノズル41の周辺の概略断面図を示したものである。ノズル41の液浸液供給口111、112、液浸液回収口113、114の少なくともいずれか1つから洗浄液が供給されて、洗浄液領域151が形成される。洗浄液領域151は、液浸露光時に液浸液に接していた周辺部材が、洗浄液に接するように形成される。洗浄液領域151周辺には、気体供給口131から気体が供給されている。したがって、洗浄液は、洗浄ステージ61上の洗浄液領域151より外側に広がることなく、洗浄ステージ61の回収口62から液体回収装置104に回収される。
【0034】
図9(c)は、すすぎ液を用いて洗浄液を洗い流すステップEのすすぎにおける最終レンズ32やノズル41の周辺の概略を示したものである。すすぎ液がノズル41の液浸液供給口111、112、液浸液回収口113、114の少なくとも1つから供給されて、すすぎ液領域152が洗浄ステージ61上に最終レンズ32やノズル41に接して形成される。このステップEの前段階のステップD3において、気体供給口131に吹き付ける気体の圧力を気体圧力制御部304によって洗浄時よりも高くすることで、ステップCでの洗浄液領域151の液面よりもすすぎ液領域152の液面を高くする。これにより、ステップCで洗浄液に接していた最終レンズ32やノズル41の全ての部分にすすぎ液が接して、部材表面に残っていた洗浄液をすすぎ液によって洗い流すことができる。
【0035】
また、すすぎ液の供給流量及び回収液量を、ステップCで洗浄液領域151に対する洗浄液の供給流量及び回収流量とは変更することで、ステップCでの洗浄液領域151の液面よりもすすぎ液領域152の液面を高くする効果を更に高めてもよい。さらに、実施例1、2のように、ノズルの位置を変更したり、ステージの位置を変更したりしてもよい。
【0036】
液浸液の周囲に吹き付ける気体の吹き付けについて、ノズル41から液浸液の周囲に気体を吹き付けることで説明を行ったが、気体の吹き付けはノズル以外の部材から行ってもよい。例えば、洗浄ステージ61に気体供給口133と気体回収口134を取り付けて、気体吹き付け圧力をステップCの洗浄時よりもステップDのすすぎ時に高くする。この場合にも、ステップCでの洗浄液領域151の液面よりもすすぎ液領域152の液面を高くする効果を得られる。
【0037】
以上、本実施例においては、すすぎ液を用いて洗浄液を洗い流す際に、液浸液の周囲に吹き付ける気体の吹き付け圧力を洗浄時よりもすすぎ時に高くすることで、洗浄時における洗浄液の液面よりもすすぎ液の液面を高くした状態で洗浄液を洗い流すことができる。これによって、洗浄液が残留しないようにすることができ、露光装置の露光性能を劣化させることなく、露光装置の構成部材を洗浄して露光を開始できる。
【実施例4】
【0038】
実施例4は、前述の実施例とはステップDが異なる。実施例4においては、洗浄(ステップC)とすすぎ(ステップE)との間で、液漏れ防止部材を追加または変更する(ステップD4)。
【0039】
図10は、実施例4おいて、すすぎ液を用いて洗浄液を洗い流すステップEにおける最終レンズ32やノズル41の周辺の概略を示したものである。すすぎ液がノズル41の液浸液供給口111、112、液浸液回収口113、114の少なくとも1つから供給されて、すすぎ液領域152が洗浄ステージ61上に最終レンズ32やノズル41に接して形成される。このステップEの前段階のステップD4において、洗浄ステージ61は、洗浄ステップ時に比べて液漏れ防止部材66が追加される。この液漏れ防止部材66は、円環状に配置されており、すすぎ液領域152のすすぎ液が周辺に漏れにくくなる。これにより、ステップCでの洗浄液領域151の液面よりもすすぎ液領域152の液面を高くすると共に、ステージ外側への液漏れを防止することができる。図10の点線は洗浄時の液面高さを表す。したがって、ステップCで洗浄液に接していた最終面レンズ32やノズル41の全ての部分にすすぎ液が接して、部材表面に残っていた洗浄液をすすぎ液によって洗い流すことができる。以上は、液漏れ防止部材66は、ステップD4において新たに追加されることで説明を行った。液漏れ防止部材は、洗浄のステップCで取り付けられていてもよく、ステップD4において高さを変えたり、水平方向に移動させたりすることで、位置を変えてもよい。
【0040】
また、すすぎ液の供給流量及び回収液量を、ステップCで洗浄液領域151に対する洗浄液の供給流量及び回収流量とは変更することで、ステップCでの洗浄液領域151の液面よりもすすぎ液領域152の液面を高くする効果を更に高めてもよい。
【0041】
以上、本実施例においては、すすぎ液を用いて洗浄液を洗い流すすすぎにおいて、すすぎ液の液漏れを防止する部材を用いて、洗浄時における洗浄液の液面よりもすすぎ液の液面を高くした状態で洗浄液を洗い流すことができる。これによって、洗浄液が残留しないようにすることができ、露光装置の露光性能を劣化させることなく、露光装置の構成部材を洗浄して露光を開始できる。
【実施例5】
【0042】
実施例5では、図11の洗浄メンテナンス実施手順フローチャートにおけるステップ3において、ノズル位置を変更し、露光時における液浸液の最大液面高さよりも、洗浄液の液面を高くした状態で洗浄を行う。ステップ4、5においては前述および後述の実施例のように、すすぎ液を用いて洗浄液を洗い流す際に、洗浄時における洗浄液の液面よりもすすぎ液の液面を高くした状態で洗浄液を洗い流す。
【0043】
図12は、ステップ4の洗浄における洗浄液領域151周辺の概略を示したものである。ノズル41の液浸液供給口111、112、液浸液回収口113、114の少なくとも1つから洗浄液が供給されて、洗浄液領域151が形成される。洗浄液領域151は、露光時に液浸液に接していた周辺部材が洗浄液に接するように形成される。洗浄ステージ61には回収口62があり、配管を介して液体回収装置104に通じている。よって、洗浄液領域151の洗浄液は、回収口62から液体回収装置104に回収される。このステップ4の前段階のステップ3において、ノズル41は露光時の位置から矢印221の方向(洗浄ステージ61に近づく方向)に移動させる。ノズル41の高さを露光時と変更することで、露光時の液浸液領域の液面よりも洗浄液領域151の液面を高くする。なお、露光時はステージ移動により液面高さが変化するため、洗浄時は、露光時の最大の液面高さよりも高くする必要がある。これにより、露光時に液浸液に接していた最終レンズ32やノズル41の全ての部分に洗浄液が接して、部材表面に残っていた液浸液や汚れを洗浄液によって洗浄することができる。
【0044】
露光時の液浸液領域の液面よりも洗浄液領域151の液面を高くする方法として、ノズル部材の位置を露光時と洗浄時で変更することで説明を行ったが、例えば、液面の高さを変える上記の実施例に記載のような他の方法で行ってもよい。
【0045】
以上、実施例5の液浸露光装置においては、露光時における液浸液の液面よりも洗浄液の液面を高くした状態で洗浄を行うことができる。これによって、ノズル41の上方の液浸液残りや汚れにも洗浄液が接することができ、洗い残しがない洗浄を行うことができる。
【実施例6】
【0046】
前述の実施例では、すすぎ液に液浸液と同じ液体を用いてすすぎを行い(ステップE)、その後に洗浄ステージとウエハステージを移動して(ステップF)、液浸液を供給した(ステップG)。本実施例は、すすぎ液を液浸液と異なる種類の液体を用いる。
【0047】
すすぎ液が液浸液と異なる種類の液体であり、すすぎ液が装置内に残留すると、装置に悪影響を及ぼす場合には、すすぎ液を液浸液で洗い流す必要がある。すすぎ液を液浸液で洗い流すステップ(ステップE´)は、図4に示すステップEの後、ステップGの間に行う。
【0048】
液浸液ですすぎ液を洗い流すステップE´において、ステップEにおけるすすぎ液の液面よりも液浸液の液面を高くして、すすぎ液を洗い流す。これによって、すすぎ液が残留して装置に悪影響を及ぼすことを防止する。液面を高くする方法として、前述の実施例で行う方法を採用することができる。
【0049】
本実施例においては、すすぎ液が液浸液とは異なる種類の液体を用いて、すすぎ液で洗浄液を洗い流した後に、液浸液を用いてすすぎ時におけるすすぎ液の液面よりも液浸液の液面を高くした状態ですすぎ液を洗い流す。これによって、すすぎ液が残留しないようにすることができ、露光装置の露光性能を劣化させることなく、露光装置の構成部材を洗浄して露光を開始できる。
【実施例7】
【0050】
本実施例は、図4に示すステップDを行わない例である。図13(a)には、ステップCの洗浄における洗浄液領域151周辺の概略を示した。液浸液供給口112から洗浄液が供給されて、洗浄液領域151が形成される。図13(b)には、ステップEのすすぎにおけるすすぎ液領域152周辺の概略を示した。ステップCで洗浄液を供給していた液浸液供給口112よりも高い位置にある液浸液回収口114からすすぎ液が供給され、洗浄液が洗い流される。すすぎ液の供給を、洗浄液の供給よりも高い場所から行うことで、ステップCの洗浄で部材表面に残った洗浄液を、すすぎ液によって洗い流すことができる。なお、洗浄液の回収口62はすすぎ液の供給口より低い位置にあればよい。これにより、洗浄液が残留しないようにすることができ、露光装置の露光性能を劣化させることなく、露光装置の構成部材を洗浄して露光を開始できる。
【0051】
なお、液浸液供給口112から洗浄液を供給すると同時に液浸液回収口114からすすぎ液を供給してもよい。この場合には、液浸液供給口112より高い位置にある液浸液回収口114からすすぎ液を供給することで、洗浄液の液面よりもすすぎ液の液面の方が高くなり、洗浄液が、すすぎ液によって上方から下方向へ洗い流されるので残留することはない。
【実施例8】
【0052】
実施例8では、洗浄液供給口よりも高い位置にすすぎ液専用の供給口115を設ける。図14に、本実施例の露光装置における最終レンズ32やノズル41の周辺の概略を示した。すすぎ液供給口115が、洗浄液を供給する液浸液供給口111、112、液浸液回収口113、114よりも高い位置にある。洗浄メンテナンス実施手順は実施例7と同じである。ステップCの洗浄において、ノズル41の液浸液供給口111、112、液浸液回収口113、114の少なくともいずれか1つから洗浄液が供給されて、洗浄液領域151が形成される。洗浄液領域151は、液浸露光時に液浸液に接していた周辺部材が、洗浄液に接するように形成される。ステップEのすすぎにおいて、すすぎ液を、洗浄供給よりも高い位置のすすぎ供給口115から供給することで、ステップCの洗浄で部材表面に残った洗浄液を、すすぎ液によって洗い流すことができる。これにより、洗浄液が残留しないようにすることができ、装置に悪影響を及ぼさない洗浄を行うことができる。
【0053】
本実施例においても、洗浄液供給とすすぎ液供給を同時に行ってもよい。
【0054】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、液面を高くする方法として、上記の各実施例に記載の方法を適宜組み合わせてもよい。
【実施例9】
【0055】
次に、前述の露光装置を利用したデバイス(半導体IC素子、液晶表示素子等)の製造方法を説明する。デバイスは、前述の露光装置を使用して、感光剤が塗布された基板(ウェハ、ガラス基板等)を露光する工程と、その基板(感光剤)を現像する工程と、他の周知の工程と、を経ることにより製造される。他の周知の工程には、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等が含まれる。本デバイス製造方法によれば、従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。
【符号の説明】
【0056】
31 投影光学系
41 ノズル
51 ウエハ
61 洗浄ステージ
66 液漏れ防止部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液浸液を介して基板を露光する露光装置内において、前記露光装置を構成して前記液浸液と接触する構成部材を洗浄する洗浄方法であって、
洗浄液を用いて前記構成部材を洗浄する洗浄ステップと、
すすぎ液を用いて、前記洗浄ステップ時における前記洗浄液の液面よりも前記すすぎ液の液面を高くした状態で前記洗浄液を洗い流すすすぎステップとを有することを特徴とする洗浄方法。
【請求項2】
前記液浸液の供給口及び回収口を有するノズル部材の位置を前記洗浄ステップ時と前記すすぎステップ時とで変更することによって、前記洗浄ステップ時における前記洗浄液の液面よりも前記すすぎステップ時における前記すすぎ液の液面を高くすることを特徴とする請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項3】
前記洗浄液を下方より保持して前記構成部材を洗浄するための洗浄ステージの位置を、前記洗浄ステップ時よりも前記すすぎステップ時に高くすることによって、前記洗浄ステップ時における前記洗浄液の液面よりも前記すすぎステップ時における前記すすぎ液の液面を高くすることを特徴とする請求項1又は2に記載の洗浄方法。
【請求項4】
前記液浸液の周囲に吹き付ける気体の吹き付け圧力を前記洗浄ステップ時よりも前記すすぎステップ時に高くすることによって、前記洗浄ステップ時における前記洗浄液の液面よりも前記すすぎステップ時における前記すすぎ液の液面を高くすることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の洗浄方法。
【請求項5】
前記洗浄液を下方より保持して前記構成部材を洗浄するための洗浄ステージに設けられた、前記洗浄液と前記すすぎ液の少なくとも一方の液漏れを防止する部材を用いて、前記洗浄ステップ時における前記洗浄液の液面よりも前記すすぎステップ時における前記すすぎ液の液面を高くすることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の洗浄方法。
【請求項6】
前記基板を露光する時における前記液浸液の液面よりも、前記洗浄ステップ時における前記洗浄液の液面を高くした状態で前記洗浄ステップを実行することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の洗浄方法。
【請求項7】
前記すすぎ液が前記液浸液とは異なる種類の液体であり、前記洗浄液を洗い流した後に、前記液浸液を用いて、前記すすぎステップ時における前記すすぎ液の液面よりも前記液浸液の液面を高くした状態で前記すすぎ液を洗い流すステップを有することを特徴とする請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項8】
液浸液を介して基板を露光する露光装置において、
前記露光装置を構成して前記液浸液と接触する構成部材と、
前記構成部材の洗浄を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、洗浄液を用いて前記部材を洗浄し、かつ、すすぎ液を用いて前記洗浄液を洗い流す際、前記洗浄液の液面よりも前記すすぎ液の液面が高くなるように制御することを特徴とする露光装置。
【請求項9】
液浸液を介して基板を露光する露光装置において、
前記露光装置を構成して前記液浸液と接触する構成部材を洗浄するための洗浄液の供給する供給口と、
前記洗浄液を回収する回収口と、
前記洗浄液を洗い流すためのすすぎ液の供給口とを有し、
前記洗浄液の供給口と回収口よりも前記すすぎ液の供給口の方が高い位置にあることを特徴とする露光装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の露光装置を用いて基板を回路パターンにより露光する工程と、該露光した基板を現像する工程とを含むデバイス製造方法。
【請求項1】
液浸液を介して基板を露光する露光装置内において、前記露光装置を構成して前記液浸液と接触する構成部材を洗浄する洗浄方法であって、
洗浄液を用いて前記構成部材を洗浄する洗浄ステップと、
すすぎ液を用いて、前記洗浄ステップ時における前記洗浄液の液面よりも前記すすぎ液の液面を高くした状態で前記洗浄液を洗い流すすすぎステップとを有することを特徴とする洗浄方法。
【請求項2】
前記液浸液の供給口及び回収口を有するノズル部材の位置を前記洗浄ステップ時と前記すすぎステップ時とで変更することによって、前記洗浄ステップ時における前記洗浄液の液面よりも前記すすぎステップ時における前記すすぎ液の液面を高くすることを特徴とする請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項3】
前記洗浄液を下方より保持して前記構成部材を洗浄するための洗浄ステージの位置を、前記洗浄ステップ時よりも前記すすぎステップ時に高くすることによって、前記洗浄ステップ時における前記洗浄液の液面よりも前記すすぎステップ時における前記すすぎ液の液面を高くすることを特徴とする請求項1又は2に記載の洗浄方法。
【請求項4】
前記液浸液の周囲に吹き付ける気体の吹き付け圧力を前記洗浄ステップ時よりも前記すすぎステップ時に高くすることによって、前記洗浄ステップ時における前記洗浄液の液面よりも前記すすぎステップ時における前記すすぎ液の液面を高くすることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の洗浄方法。
【請求項5】
前記洗浄液を下方より保持して前記構成部材を洗浄するための洗浄ステージに設けられた、前記洗浄液と前記すすぎ液の少なくとも一方の液漏れを防止する部材を用いて、前記洗浄ステップ時における前記洗浄液の液面よりも前記すすぎステップ時における前記すすぎ液の液面を高くすることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の洗浄方法。
【請求項6】
前記基板を露光する時における前記液浸液の液面よりも、前記洗浄ステップ時における前記洗浄液の液面を高くした状態で前記洗浄ステップを実行することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の洗浄方法。
【請求項7】
前記すすぎ液が前記液浸液とは異なる種類の液体であり、前記洗浄液を洗い流した後に、前記液浸液を用いて、前記すすぎステップ時における前記すすぎ液の液面よりも前記液浸液の液面を高くした状態で前記すすぎ液を洗い流すステップを有することを特徴とする請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項8】
液浸液を介して基板を露光する露光装置において、
前記露光装置を構成して前記液浸液と接触する構成部材と、
前記構成部材の洗浄を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、洗浄液を用いて前記部材を洗浄し、かつ、すすぎ液を用いて前記洗浄液を洗い流す際、前記洗浄液の液面よりも前記すすぎ液の液面が高くなるように制御することを特徴とする露光装置。
【請求項9】
液浸液を介して基板を露光する露光装置において、
前記露光装置を構成して前記液浸液と接触する構成部材を洗浄するための洗浄液の供給する供給口と、
前記洗浄液を回収する回収口と、
前記洗浄液を洗い流すためのすすぎ液の供給口とを有し、
前記洗浄液の供給口と回収口よりも前記すすぎ液の供給口の方が高い位置にあることを特徴とする露光装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の露光装置を用いて基板を回路パターンにより露光する工程と、該露光した基板を現像する工程とを含むデバイス製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−99567(P2012−99567A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244363(P2010−244363)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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