説明

洗浄機

【課題】洗浄機の動作確認を迅速に行えるようにする。
【解決手段】洗浄機10は、給水管27と給湯管28から洗浄槽20の貯水部21に洗浄水を供給する給水処理と、供給された洗浄水を洗浄ポンプ26により洗浄ノズル23、24から被洗浄物に噴射して洗浄する洗浄処理と、洗浄に用いた洗浄水を排水ポンプ31により排水する排水処理とからなる洗浄工程を4回含む洗浄プログラムを実行する制御装置40を備え、この制御装置40は4回の洗浄工程のうちの本洗浄工程と2回の濯ぎ洗浄工程の洗浄処理をスキップさせるスキップ手段を有している。この洗浄機10の動作確認をするときには、本洗浄工程と2回の濯ぎ洗浄工程の洗浄処理をするときに操作パネル41からスキップ信号を制御装置40に出力すると、各洗浄処理がスキップされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被洗浄物を収容する洗浄槽と、洗浄槽内に洗浄水を供給する洗浄水供給管と、洗浄槽内に収容した被洗浄物に洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、洗浄槽内の洗浄水を洗浄ノズルに送出する洗浄ポンプと、洗浄槽内の洗浄水を排水する排水ポンプとを備えた洗浄機が開示されている。この洗浄機では、洗浄水供給管から洗浄槽内に所定水位の洗浄水を供給する給水処理と、供給された洗浄水を洗浄ポンプにより洗浄ノズルから被洗浄物に噴射して洗浄する洗浄処理と、洗浄に用いた洗浄水を排水ポンプにより排水する排水処理とからなる洗浄工程と、この洗浄工程と同様に給水処理と、洗浄処理と、排水処理とからなる濯ぎ工程と、乾燥工程とからなる洗浄プログラムを実行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−263049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような洗浄機において、工場生産での最終段階における検査段階の動作確認またはユーザのもとでのメンテナンスの際の動作確認をするときに上記の洗浄プログラムを実行すると、給水処理、洗浄処理及び排水処理よりなる2つの洗浄工程と、乾燥工程とを実行するために、動作確認に要する時間が長くなっていた。特に、ユーザのもとでのメンテナンスの際に動作確認に要する時間が長くなると、ユーザがこの洗浄機を使用できない時間が長くなるとともに、メンテナンスに来た作業員の作業時間が長くなって、これに起因する作業費が高くなる問題があった。本発明はこのような問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するため、被洗浄物を収容して下部に洗浄水を貯える貯水部を有する洗浄槽と、貯水部に洗浄水を供給する洗浄水供給管と、洗浄槽内に収容した被洗浄物に洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、貯水部の洗浄水を洗浄ノズルに送出する洗浄ポンプと、貯水部内の洗浄水を排水する排水手段と、洗浄水供給管から貯水部に洗浄水を供給する給水処理と、供給された洗浄水を洗浄ポンプにより洗浄ノズルから被洗浄物に噴射して洗浄する洗浄処理と、洗浄に用いた洗浄水を排水手段により排水する排水処理とからなる洗浄工程を少なくとも1回以上含む洗浄プログラムを実行するよう制御する制御装置とを備えた洗浄機において、制御装置は洗浄工程の洗浄処理をスキップさせるスキップ手段を備えたことを特徴とする洗浄機を提供するものである。
【0006】
上記のように構成した洗浄機においては、制御装置は洗浄工程の洗浄処理をスキップさせるスキップ手段を備えたので、洗浄機の動作確認をするために洗浄プログラムを実行したときに、スキップ手段により洗浄工程の洗浄処理をスキップさせることにより、動作確認の時間を短縮させることができる。
【0007】
上記のように構成した洗浄機においては、洗浄プログラムは洗浄工程を2回以上含むものであり、この2回以上含む洗浄工程の各洗浄処理をスキップ手段により選択的にスキップさせるようにしてもよく、このようにしたときには、洗浄機の動作確認をするときに、2回以上の洗浄工程のうちの不要な洗浄工程の洗浄処理だけを選択的にスキップさせることができるので、必要な洗浄工程の洗浄処理の動作確認をしたうえで、動作確認の時間を短縮させることができる。
【0008】
上記のように構成した洗浄機においては、スキップ手段を洗浄機の操作をする操作パネルにより実行可能にしてもよく、このようにしたときには、スキップ手段を実行しやすくできる。
【0009】
上記のように構成した洗浄機においては、洗浄プログラムが完了するまでの残り時間を算出する算出手段と、算出手段により算出された残り時間を表示する表示部とを備え、スキップ手段を実行したときに算出手段を実行して表示部に残り時間を表示するのが好ましく、このようにしたときには、洗浄処理をスキップさせて短くなった正確な残り時間を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による洗浄機の概略図である。
【図2】制御装置のブロック図である。
【図3】操作パネルを示す図である。
【図4】アルカリ性洗剤コースの洗浄プログラムを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明による洗浄機の一実施形態を医療用器具を洗浄する洗浄機を用いて図面を参照して説明する。本発明による洗浄機10は、医療用器具等の被洗浄物を収容して下部に洗浄水を貯える貯水部21を有する洗浄槽20と、洗浄槽20の貯水部21に洗浄水を供給する給水管27と給湯管28(洗浄水供給管)と、洗浄槽20内に収容した医療用器具に洗浄水を噴射する洗浄ノズル23、24と、貯水部21の洗浄水を洗浄ノズル23、24に送出する洗浄ポンプ26と、貯水部21内の洗浄水を排水する排水手段として排水管30とこれに介装された排水ポンプ31とを備えている。而して、この洗浄機10は、給水管27と給湯管28との少なくとも一方から貯水部21に洗浄水を供給する給水処理と、供給された洗浄水を洗浄ポンプ26により洗浄ノズル23、24から医療用器具に噴射して洗浄する洗浄処理と、洗浄に用いた洗浄水を排水ポンプ31により排水管30から排水する排水処理とからなる洗浄工程(予洗浄工程、本洗浄工程及び2回の濯ぎ洗浄工程)を4回(少なくとも1回以上)含む洗浄プログラムを実行するよう制御する制御装置40とを備え、制御装置40は洗浄プログラムの各洗浄工程の少なくとも一つの洗浄処理をスキップさせるスキップ手段を備えている。以下に、この洗浄機10について詳述する。
【0012】
図1に示すように、この洗浄機10は、ハウジング11内に洗浄槽20を備えており、洗浄槽20は下部に洗浄水を貯える貯水部21を一体的に有している。洗浄槽20の貯水部21の底部には、洗浄水の温度を検出する温度センサ22が設けられている。洗浄槽20の前面開口には医療用器具を収容するラック(図示省略)を出し入れする扉(図示省略)が設けられており、この扉はその下端を中心に回転可能にハウジング11に支持されている。
【0013】
洗浄槽20の上面及び下面には洗浄水を噴射する洗浄ノズル23、24が回転可能に支持されている。これら洗浄ノズル23、24には洗浄槽20の下部に設けられた貯水部21から導出した循環パイプ25が接続されており、循環パイプ25には洗浄ポンプ26が介装されている。貯水部21内の洗浄水は洗浄ポンプ26の作動により循環パイプ25を介して洗浄ノズル23、24に送られ、洗浄ノズル23、24は洗浄水の噴出反力により回転しながら洗浄水を医療用器具に向けて噴射する。なお、医療用器具に噴射された洗浄水は落下して貯水部21に還流する。
【0014】
洗浄槽20の後壁上部には洗浄水を供給するための給水口20aと給湯口20bが設けられている。給水口20aには洗浄水供給管を構成する給水管27が接続されており、給水管27は水道等の図示しない給水源に接続されている。給水管27には給水弁27aが介装されており、給水源の水は給水弁27aの開放により給水管27を通って洗浄槽20の貯水部21に供給される。給湯口20bには洗浄水供給管を構成する給湯管28が接続されており、給湯管28は給湯器29等の給湯源に接続されている。給湯管28には給湯弁28aが介装されており、給湯器29の湯は給湯弁28aの開放により給湯管28を通って洗浄槽20の貯水部21に供給される。
【0015】
洗浄槽20の貯水部21にはその底面に形成した排水口21aに排水管30が接続されており、排水管30には排水ポンプ31が介装されている。貯水部21の洗浄水は排水ポンプ31の作動により排水管30を通して外部に排出される。また、洗浄槽20の貯水部21には水位検出タンク32が接続されており、水位検出タンク32内にはフロートスイッチ(水位センサ)33が収容されている。フロートスイッチ33は貯水部21の洗浄水が洗浄に必要な所定水位L以上であること検出するものであり、所定水位L以上となればオンとなり、所定水位Lより低ければオフとなる。
【0016】
洗浄槽20には洗剤を供給する洗剤供給装置34が接続されている。洗剤供給装置34は、洗剤を貯えた図示しない洗剤タンクを着脱可能に装着し、洗剤タンク内の洗剤を洗浄槽20内に供給するものである。この洗浄機10ではアルカリ性洗剤またはプロテアーゼ等の酵素を含んだ酵素入り洗剤が用いられ、これら洗剤を貯えた洗剤タンクを交換することでアルカリ性洗剤と酵素入り洗剤を選択的に使用可能となっている。なお、酵素入り洗剤は、プロテアーゼ等の酵素が失活しない温度として50℃以下での使用が適している。
【0017】
この洗浄機10は制御装置40を備えており、図2に示すように、この制御装置40には温度センサ22、洗浄ポンプ26、給水弁27a、給湯弁28a、排水ポンプ31、フロートスイッチ33及び洗剤供給装置34が接続されている。制御装置40はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。CPUは、温度センサ22の検出温度、フロートスイッチ33からのオンオフ信号及びタイマの計時に基づいて、洗浄ポンプ26、給水弁27a、給湯弁28a、排水ポンプ31及び洗剤供給装置34の作動を制御して下記に示す洗浄プログラムを実行する。RAMは洗浄プログラムを実行するのに必要な変数等を一時的に記憶するものであり、ROMは洗浄プログラムを記憶するものである。
【0018】
制御装置40のROMに記憶された洗浄プログラムは、本実施形態では、アルカリ性洗剤コースと酵素入り洗剤コースの各洗浄プログラムよりなる。また、各洗浄プログラムは、予洗浄工程、本洗浄工程及び2回の濯ぎ洗浄工程を順に実行するものであり、これら各洗浄工程は、給水処理、洗浄処理及び排水処理を順に実行するものである。各洗浄プログラムの各洗浄工程において、予洗浄工程は、洗剤を用いずに医療用器具の軽度な汚れを除去する工程であり、本洗浄工程は、洗剤を用いて医療用器具に固着している汚れを除去する工程であり、1回目の濯ぎ洗浄工程は、主として洗浄ノズル23、24、循環パイプ25及び洗浄ポンプ26の洗浄水の流通経路を濯ぐ工程であり、2回目の濯ぎ洗浄工程は、主として医療用器具を濯ぐ工程である。
【0019】
また、制御装置40は、ハウジング11のフロントパネルに設けられた操作パネル41に接続されている。図3に示すように、操作パネル41は、運転入/切ボタン41a、洗剤交換ボタン41b、コース切替ボタン41c及びスタート/一次停止41d等の操作ボタンを有しており、これらの操作ボタンを用いてアルカリ性洗剤または酵素入り洗剤を用いた洗浄コースを選択し、これらの洗浄コースを実行及び停止等をさせるものである。また、操作パネル41の洗剤交換ボタン41bとコース切替ボタン41cとを3秒間以上押し続けると、操作パネル41は制御装置40に洗浄工程の洗浄処理をスキップさせるスキップ信号を出力する。また、操作パネル41は洗浄プログラムが完了するまでの残り時間を表示する表示部41eを有している。
【0020】
制御装置40は、各洗浄プログラムが完了するまでの残り時間を算出する算出手段を備えている。算出手段は、操作パネル41により選択された洗浄プログラムの予洗浄工程、本洗浄工程及び2回の濯ぎ洗浄工程よりなる各洗浄工程の給水時間、洗浄時間及び排水時間に要する時間から洗浄プログラムが完了するまでの残り時間を算出するものである。制御装置40は、この算出手段により算出した残り時間を操作パネル41の表示部41eに表示するように制御する。また、制御装置40は、操作パネル41からスキップ信号が入力されて洗浄処理をスキップさせたときに、算出手段を実行してそこから洗浄プログラムが完了するまでの残り時間を算出し、算出した残り時間を表示部41eに表示するように制御する。
【0021】
次に、この洗浄機10の洗浄プログラムの一例として、アルカリ性洗剤コースの洗浄プログラムについて説明する。制御装置40は、先ずステップ101〜106により予洗浄工程を実行させる。制御装置40は、ステップ101において、算出手段により洗浄プログラムが完了するまでの残り時間を算出し、算出した残り時間を操作パネル41の表示部41eに表示する。制御装置40は、ステップ102において、給水弁27aと給湯弁28aとを開放させて、予洗浄工程での給水処理を開始させる。これにより、給水源及び給湯器29の水及び湯は給水管27及び給湯管28を通って洗浄槽20の貯水部21に送出される。制御装置40は、ステップ103において、フロートスイッチ33の検出により貯水部21の洗浄水が所定水位Lとなったか否かを判定する。制御装置40は、ステップ103において、貯水部21の洗浄水が所定水位Lとなるまで「NO」と繰り返し判定しているなかで、貯水部21の洗浄水が所定水位Lとなってフロートスイッチ33からオン信号が入力されると「YES」と判定してステップ104に進める。制御装置40は、ステップ104において、給水弁27aと給湯弁28aとを閉止させて給水処理を終了させる。
【0022】
次に、制御装置40は、ステップ105において、予洗浄工程での洗浄処理として洗浄ポンプ26を1分間作動させる。これにより、貯水部21内の洗浄水は循環パイプ25を介して洗浄ノズル23、24に圧送され、洗浄ノズル23、24は回転しながら洗浄水を医療用器具に噴射して洗浄する。この洗浄処理後、制御装置40は、ステップ106において、排水処理として排水ポンプ31を所定時間として30秒間作動させる。これにより、貯水部21内の洗浄水は排水管30を通って機外に排出される。
【0023】
ステップ101〜106による予洗浄工程が終了すると、制御装置40は、ステップ111〜120により本洗浄工程を実行させる。この本洗浄工程では、制御装置40は、ステップ111において、給湯弁28aを開放させて、本洗浄工程での給湯処理を開始させる。これにより、給湯器29の湯は給湯管28を通って洗浄槽20の貯水部21に送出される。制御装置40は、ステップ112において、フロートスイッチ33による検出により貯水部21の洗浄水が所定水位Lとなったか否かを判定する。制御装置40は、ステップ112において、貯水部21の洗浄水が所定水位Lとなるまで「NO」と繰り返し判定しているなかで、貯水部21の洗浄水が所定水位Lとなってフロートスイッチ33からオン信号が入力されると「YES」と判定してステップ113に進める。制御装置40は、ステップ113において、給湯弁28aを閉止させて給湯処理を終了させる。
【0024】
次に、制御装置40は、本洗浄工程での洗浄処理として、ステップ114において、洗剤供給装置34により洗浄槽20内にアルカリ性洗剤を供給させ、ステップ115において、洗浄ポンプ26の作動を開始させる。これにより、貯水部21内のアルカリ性洗剤を含んだ洗浄水は循環パイプ25を介して洗浄ノズル23、24に圧送され、洗浄ノズル23、24は回転しながらこの洗浄水を医療用器具に噴射して洗浄する。次に、制御装置40は、ステップ116において、操作パネル41からスキップ信号が入力されたか否かを判定し、スキップ信号が入力されなければ「NO」と判定してステップ117に進める。制御装置40は、ステップ117において、洗浄ポンプ26の作動を開始させてから3分経過したか否かを判定し、3分経過していなければ「NO」と判定してステップ116に戻す。
【0025】
医療用器具を洗浄する通常の洗浄処理をするときであれば、操作パネル41から制御装置40にスキップ信号が入力されないので、ステップ116と117の処理を繰り返し実行しているときに、洗浄ポンプ26の作動開始から3分経過したら、制御装置40は、ステップ117において「YES」と判定してステップ118に進める。制御装置40は、ステップ118において、洗浄ポンプ26の作動を停止させる。
【0026】
これに対し、洗浄機10の動作確認をするときであれば、ステップ116と117の処理を繰り返し実行しているとき(またはステップ116の処理直後)に、ユーザが操作パネル41の洗剤交換ボタン41bとコース切替ボタン41cとの両ボタンを一度に3秒以上押し続けることにより、操作パネル41からスキップ信号が入力され、制御装置40は、ステップ116において「YES」と判定してステップ118に進める。制御装置40は、ステップ118において、洗浄ポンプ26の作動開始から3分経過する前に洗浄ポンプ26の作動を停止させる。このように、制御装置40は、操作パネル41からのスキップ信号の入力により、直ちに洗浄ポンプ26の作動を停止させて、洗浄処理をスキップさせている。次に、制御装置40は、ステップ119において、排水処理として排水ポンプ31を所定時間として30秒間作動させる。これにより、貯水部21内の洗浄水は排水管30を通って機外に排出される。次に、制御装置40は、ステップ120において、算出手段により洗浄プログラムが終了するまでの残り時間を再計算し、再計算した残り時間を操作パネル41の表示部41eに表示する。
【0027】
ステップ111〜120による本洗浄工程が終了すると、制御装置40は、ステップ121〜130により濯ぎ洗浄工程を2回実行させる。この濯ぎ洗浄工程では、制御装置40は、ステップ121において、給湯弁28aを開放させて、濯ぎ洗浄工程での給湯処理を開始させる。これにより、給湯器29の湯は給湯管28を通って洗浄槽20の貯水部21に送出される。制御装置40は、ステップ122において、フロートスイッチ33の検出により貯水部21の洗浄水が所定水位Lとなったか否かを判定する。制御装置40は、ステップ122において、貯水部21の洗浄水が所定水位Lとなるまで「NO」と繰り返し判定しているなかで、貯水部21の洗浄水が所定水位Lとなってフロートスイッチ33からオン信号が入力されると「YES」と判定してステップ123に進める。制御装置40は、ステップ123において、給湯弁28aを閉止させて給湯処理を終了させる。
【0028】
次に、制御装置40は、ステップ124において、濯ぎ洗浄工程での洗浄処理として洗浄ポンプ26の作動を開始させる。これにより、貯水部21内の洗浄水は循環パイプ25を介して洗浄ノズル23、24に圧送され、洗浄ノズル23、24は回転しながら洗浄水を医療用器具に噴射して、洗剤を含んだ洗浄水を洗い流す。次に、制御装置40は、ステップ125において、操作パネル41からスキップ信号が入力されたか否かを判定し、スキップ信号が入力されなければ「NO」と判定してステップ126に進める。制御装置40は、ステップ126において、洗浄ポンプ26の作動を開始させてから15秒間経過したかを判定し、15秒間経過していなければ「NO」と判定してステップ125に戻す。
【0029】
医療用器具を洗浄する通常の洗浄処理をするときであれば、操作パネル41から制御装置40にスキップ信号が入力されないので、ステップ125と126の処理を繰り返し実行しているときに、洗浄ポンプ26の作動開始から15秒間経過したら、制御装置40は、ステップ126において「YES」と判定してステップ127に進める。制御装置40は、ステップ127において、洗浄ポンプ26の作動を停止させる。
【0030】
これに対し、洗浄機10の動作確認をするときであれば、ステップ125と126の処理を繰り返し実行しているとき(またはステップ125の処理直後)に、ユーザが操作パネル41の洗剤交換ボタン41bとコース切替ボタン41cとの両ボタンを一度に3秒以上押し続けることにより、操作パネル41からスキップ信号が入力され、制御装置40は、ステップ125において「YES」と判定してステップ127に進める。制御装置40は、ステップ127において、洗浄ポンプ26の作動開始から15秒経過する前に洗浄ポンプの作動を停止させる。このように、制御装置40は、操作パネル41からのスキップ信号の入力により、直ちに洗浄ポンプ26の作動を停止させて、洗浄処理をスキップさせている。次に、制御装置40は、ステップ128において、排水処理として排水ポンプ31を所定時間として30秒間作動させる。これにより、貯水部21内の洗浄水は排水管30を通って機外に排出される。次に、制御装置40は、ステップ129において、算出手段により洗浄プログラムが終了するまでの残り時間を再計算し、再計算した残り時間を操作パネル41の表示部41eに表示する。制御装置40は、ステップ130において、濯ぎ洗浄工程を2回実行したか否かを判定し、2回実行していないときには「NO」と判定して、上述したステップ121〜129における処理を実行する。これに対し、濯ぎ洗浄工程を2回実行したら、制御装置40は、ステップ130において、「YES」と判定してアルカリ性洗剤コースによる洗浄プログラムを終了する。
【0031】
上述した洗浄機10においては、制御装置40は洗浄プログラムの本洗浄工程及び2回の濯ぎ洗浄工程の各洗浄処理をスキップさせるスキップ手段を備えたので、洗浄機10の動作確認をするために洗浄プログラムを実行したときに、スキップ手段により本洗浄工程と2回の濯ぎ洗浄工程の各洗浄処理をスキップさせることができ、動作確認の時間を短縮させることができる。なお、本実施形態においては、スキップ手段により本洗浄工程と2回の濯ぎ洗浄工程の洗浄処理をスキップさせるようにしているが、本発明はこれに限られるものでなく、さらに予洗浄工程の洗浄処理をスキップさせるようにしてもよく、このようにすれば、動作確認の時間をさらに短縮させることができる。また、他の実施形態においては、濯ぎ洗浄工程の洗浄処理をスキップさせずに、洗浄時間の長い本洗浄工程の洗浄処理だけをスキップさせてもよい。
【0032】
また、この洗浄機10においては、洗浄プログラムは予洗浄工程と、本洗浄工程と2回の濯ぎ洗浄工程よりなり、各洗浄工程のうち洗浄時間の長い本洗浄工程の洗浄処理と2回の濯ぎ洗浄工程の洗浄処理をスキップ手段により選択的にスキップさせている。これにより、洗浄機10の動作確認をするときに、予洗浄工程による洗浄処理をしたときに洗浄処理の動作確認をすることができ、本洗浄工程の長い洗浄処理と2回の濯ぎ処理工程の洗浄処理をスキップさせて動作確認の時間を効果的に短縮させることができる。
【0033】
また、この洗浄機10においては、洗浄機10の操作をする操作パネル41によりスキップ手段を実行させるようにしているので、操作パネル41による操作によりスキップ手段を容易に実行できる。また、本洗浄工程及び2回の濯ぎ洗浄工程の各洗浄処理中に操作パネル41の洗剤交換ボタン41b及びコース切替ボタン41cの両ボタンを一度に3秒以上押し続けることによりスキップ手段を実行しているので、通常の洗浄をさせているときに、操作パネル41の各ボタンを押し間違えることによって、洗浄処理を誤ってスキップさせないようにすることができる。また、操作パネル41の既存のボタンを用いて本洗浄工程の洗浄処理をスキップするスキップ手段を実行させているので、操作パネル41の変更をすることなくコストアップとならない。
【0034】
また、この洗浄機10においては、制御装置40は洗浄プログラムが完了するまでの残り時間を算出する算出手段を備え、操作パネル41はこの算出手段により算出された残り時間を表示する表示部41eを備え、制御装置40はスキップ手段を実行したときに算出手段を実行して操作パネル41の表示部41eに残り時間を表示したので、洗浄処理をスキップさせて短くなった正確な残り時間を知ることができる。
【0035】
本実施形態においては、貯水部21に洗浄水を供給する洗浄水供給管として給水管27と給湯管28とを用いたが、本発明はこれに限られるものでなく、給水管27または給湯管28の何れか一方だけで貯水部21に洗浄水を供給するようにしてもよく、このようにしたときにも本発明と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0036】
10…洗浄機、20…洗浄槽、21…貯水部、23、24…洗浄ノズル、26…洗浄ポンプ、27、28…洗浄水供給管(給水管、給湯管)、30、31…排水手段(排水管、排水ポンプ)、40…制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を収容して下部に洗浄水を貯える貯水部を有する洗浄槽と、
前記貯水部に洗浄水を供給する洗浄水供給管と、
前記洗浄槽内に収容した被洗浄物に洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、
前記貯水部の洗浄水を前記洗浄ノズルに送出する洗浄ポンプと、
前記貯水部内の洗浄水を排水する排水手段と、
前記洗浄水供給管から前記貯水部に洗浄水を供給する給水処理と、供給された洗浄水を前記洗浄ポンプにより前記洗浄ノズルから前記被洗浄物に噴射して洗浄する洗浄処理と、洗浄に用いた洗浄水を前記排水手段により排水する排水処理とからなる洗浄工程を少なくとも1回以上含む洗浄プログラムを実行するよう制御する制御装置とを備えた洗浄機において、
前記制御装置は前記洗浄工程の洗浄処理をスキップさせるスキップ手段を備えたことを特徴とする洗浄機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄機において、
前記洗浄プログラムは前記洗浄工程を2回以上含むものであり、この2回以上含む洗浄工程の各洗浄処理を前記スキップ手段により選択的にスキップさせるようにしたことを特徴とする洗浄機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の洗浄機において、
前記スキップ手段を前記洗浄機の操作をする操作パネルにより実行可能にしたことを特徴とする洗浄機。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の洗浄機において、
前記洗浄プログラムが完了するまでの残り時間を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された残り時間を表示する表示部とを備え、
前記スキップ手段を実行したときに前記算出手段を実行して前記表示部に残り時間を表示するようにしたことを特徴とする洗浄機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−27681(P2013−27681A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196367(P2011−196367)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】