説明

洗浄液および液滴吐出装置

【課題】カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置のインクの流路における汚れ、液滴吐出ヘッドの目詰まりを好適に解消することができる洗浄液を提供すること、また、長期間にわたって、好適にカラーフィルターの製造に用いることのできる液滴吐出装置を提供すること。
【解決手段】本発明の洗浄液は、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられる、着色剤と樹脂材料と前記着色剤を溶解または分散する液性媒体とを含むインクの液滴吐出装置を洗浄するためのものであって、下記式(10)で示される化合物Aを含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄液および液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー表示を行う液晶表示装置(LCD)等には、一般に、カラーフィルターが用いられている。
カラーフィルターは、従来、着色剤、感光性樹脂、官能性モノマー、重合開始剤等を含む材料(着色層形成用組成物)で構成された塗膜を基板上に形成し、その後、フォトマスクを介して光を照射する感光処理、現像処理等を行う、いわゆるフォトリソグラフィー法を用いて製造されてきた。このような方法では、通常、基板のほぼ全面に、各色に対応する塗膜を形成し、その一部のみを硬化させ、それ以外の大部分を除去するという操作を繰り返すことにより、各色が重なり合わないようにカラーフィルターを製造する。このため、カラーフィルターの製造の過程で形成される塗膜は、最終的に得られるカラーフィルターには、その一部のみが着色層として残存するのみで、その大部分が製造工程において除去されることとなる。このため、カラーフィルターの製造コストが上昇するばかりでなく、省資源の観点からも好ましくない。
一方、近年、インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)を用いて、カラーフィルターの着色層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような方法では、着色層形成用の材料(着色層形成用組成物)の無駄を少なくすることができるため、環境への負荷を低減することができ、また、製造コストも抑制することができる。
【0003】
ところで、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置(産業用)は、プリンターに適用されるもの(民生用)とは全く異なるものであり、例えば、大量生産を行ったり、大型のワーク(基板)への液滴吐出に用いたりするため、大量の液滴を長時間にわたって吐出することが求められる。また、形成される着色層(着色部)の基板への密着性を優れたものとするために、カラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター用のインクは、一般に、樹脂材料(バインダー樹脂)を含んでおり、プリンターに適用されるもの(民生用)で用いるインクに比べて、粘度が高く、液滴吐出に伴う、液滴吐出装置(特に、ヘッド付近)への負荷が大きい。また、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置(産業用)では、インク中に含まれる成分(例えば、樹脂材料等)がインクの流路に付着することにより、液滴吐出ヘッドへのインクの供給が不安定になったり、液滴吐出ヘッドの吐出口の目詰まりが発生し、その結果、液滴の吐出量が不安定になったり、液滴の飛行曲がりが発生する等の問題を生じやすい。このため、例えば、液滴吐出装置のカラーフィルター用の基板(ワーク)のない部分で液滴を吐出することによる行う方法(フラッシング)や、吸引手段を用いて液滴吐出ヘッド内に溜まっているインクを強制的に吸引する方法により、液滴吐出ヘッドやインクの流路に存在する凝集物、付着物等を取り除き、インク等による汚れ、目詰まりの解消を行う。しかしながら、このような方法のみでは、十分に凝集物、付着物を取り除くことができず、再び液滴の吐出を行うと、残存した凝集物、付着物がヘッドに流れ込み、比較的短期間で、液滴の吐出量が不安定になったり、吐出口が再び目詰まりする問題があった。このような場合、液滴吐出ヘッドや他の部材を頻繁に交換する必要があり、カラーフィルターの生産性を極端に落とすものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−372613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置のインクの流路における汚れ、液滴吐出ヘッドの目詰まりを好適に解消することができる洗浄液を提供すること、また、長期間にわたって、好適にカラーフィルターの製造に用いることのできる液滴吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は下記の本発明により達成される。
本発明の洗浄液は、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられる、着色剤と樹脂材料と前記着色剤を溶解または分散する液性媒体とを含むインクの液滴吐出装置を洗浄するための洗浄液であって、
下記式(10)で示される化合物Aを含有することを特徴とする。
【化1】

これにより、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置のインクの流路における汚れ、液滴吐出ヘッドの目詰まりを好適に解消することができる洗浄液を提供することができる。
【0007】
本発明の洗浄液では、洗浄液中における前記化合物Aの含有率は、15wt%以上であることが好ましい。
これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。
本発明の洗浄液は、前記化合物Aに加え、さらに、前記インクを構成する前記液性媒体と同一の成分を含むものであることが好ましい。
これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄後に行う、液滴吐出装置のインクの流路内の洗浄液とインク(カラーフィルター用インク)との置換の効率を優れたものとすることができる。
【0008】
本発明の洗浄液は、前記化合物Aに加え、さらに、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテートおよび1,3−ブチレングリコールジアセテートよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであることが好ましい。
これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。また、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄後に行う、液滴吐出装置のインクの流路内の洗浄液とインク(カラーフィルター用インク)との置換の効率を特に優れたものとすることができる。
【0009】
本発明の洗浄液は、前記化合物Aに加え、さらに、分散剤を含むことが好ましい。
これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。特に、インク(カラーフィルター用インク)が着色剤として顔料を含むものである場合における洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。
【0010】
本発明の洗浄液は、前記分散剤として、前記インクを構成する分散剤と同一のものを含むものであることが好ましい。
これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。
本発明の洗浄液では、前記分散剤として、所定の酸価を有する酸価分散剤、および、所定のアミン価を有するアミン価分散剤を含むことが好ましい。
これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。また、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄後に行う、液滴吐出装置のインクの流路内の洗浄液とインク(カラーフィルター用インク)との置換の効率を特に優れたものとすることができる。
【0011】
本発明の洗浄液では、前記酸価分散剤の含有率をX[wt%]、前記アミン価分散剤の含有率をX[wt%]としたとき、0.1≦X/X≦1の関係を満足することが好ましい。
これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率をさらに優れたものとすることができる。また、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄後に行う、液滴吐出装置のインクの流路内の洗浄液とインク(カラーフィルター用インク)との置換の効率をさらに優れたものとすることができる。
【0012】
本発明の洗浄液では、前記酸価分散剤の酸価をAV[KOHmg/g]、前記アミン価分散剤のアミン価をBV[KOHmg/g]、前記酸価分散剤の含有率をX[wt%]、前記アミン価分散剤の含有率をX[wt%]としたとき、0.01≦(AV×X)/(BV×X)≦1.9の関係を満足することが好ましい。
これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率をさらに優れたものとすることができる。また、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄後に行う、液滴吐出装置のインクの流路内の洗浄液とインク(カラーフィルター用インク)との置換の効率をさらに優れたものとすることができる。
【0013】
本発明の洗浄液は、前記樹脂材料として、下記式(1)で表される単量体成分m1とカルボキシル基または酸無水物基を有する単量体成分m2と下記式(3)で表される単量体成分m3とを含む重合体Mを含む前記インクを吐出する前記液滴吐出装置の洗浄に用いられるものであることが好ましい。
【化2】

【化3】

【0014】
インク(カラーフィルター用インク)が重合体Mを含むものであると、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、平坦性に優れたものとなり、製造されるカラーフィルターについてのコントラスト比、明度を優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。また、樹脂材料についての、所定温度以下では実質的に硬化反応を進行させず、それ以上の温度で効率よく硬化反応を進行させることができる特性や、カラーフィルター用インクの吐出安定性、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。また、インク(カラーフィルター用インク)が重合体Mを含むものであると、本発明の洗浄液により、液滴吐出装置のインクの流路における汚れ、液滴吐出ヘッドの目詰まりをより好適に解消することができる。
【0015】
本発明の洗浄液は、前記樹脂材料として、下記式(11)で表される単量体成分x1と下記式(13)で表される単量体成分x3と下記式(14)で表される単量体成分x4とを含む重合体Xを含む前記インクを吐出する前記液滴吐出装置の洗浄に用いられるものであることが好ましい。
【化4】

【化5】

【化6】

【0016】
インク(カラーフィルター用インク)が重合体Xを含むものであると、樹脂材料についての、所定温度以下では実質的に硬化反応を進行させず、それ以上の温度で効率よく硬化反応を進行させることができる特性等を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の耐溶剤性等を特に優れたものとすることができ、また、形成される着色部の表面の平坦性を特に高いものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むらの発生やコントラストの低下等をより確実に防止することができ、カラーフィルターの耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。また、インク(カラーフィルター用インク)が重合体Xを含むものであると、本発明の洗浄液により、液滴吐出装置のインクの流路における汚れ、液滴吐出ヘッドの目詰まりをより好適に解消することができる。
【0017】
本発明の洗浄液は、前記樹脂材料として、下記式(15)で表される単量体成分y1を含む重合体Yを含む前記インクを吐出する前記液滴吐出装置の洗浄に用いられるものであることが好ましい。
【化7】

【0018】
インク(カラーフィルター用インク)が重合体Yを含むものであると、カラーフィルター用インクの吐出安定性等を優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の基板に対する密着性を特に優れたものとすることができ、製造されるカラーフィルターの耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。また、インク(カラーフィルター用インク)が重合体Yを含むものであると、本発明の洗浄液により、液滴吐出装置のインクの流路における汚れ、液滴吐出ヘッドの目詰まりをより好適に解消することができる。
【0019】
本発明の液滴吐出装置は、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置であって、
インクを貯留するインク貯留槽と、洗浄液を貯留する洗浄液貯留槽とを有し、
前記インクは、着色剤と樹脂材料と前記着色剤を溶解または分散する液性媒体とを含むものであり、
前記洗浄液は、下記式(10)で示される化合物Aを含有するものであることを特徴とする。
【化8】

これにより、長期間にわたって、好適にカラーフィルターの製造に用いることのできる液滴吐出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図である。
【図2】カラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。
【図3】カラーフィルターの製造方法を示す断面図である。
【図4】液晶表示装置の実施形態を示す断面図である。
【図5】カラーフィルターを有する画像表示装置を備えた電子機器としてのモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。
【図6】カラーフィルターを有する画像表示装置を備えた電子機器としての携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
【図7】カラーフィルターを有する画像表示装置を備えた電子機器としてのディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
《洗浄液》
本発明の洗浄液(クリーニングインク)は、カラーフィルターの製造に用いられる液滴吐出装置の洗浄をするものであり、特に、着色剤と樹脂材料と前記着色剤を溶解または分散する液性媒体とを含むカラーフィルター用インク(インク)による液滴吐出装置の汚れ、目詰まり等を好適に解消するものである。
【0022】
ところで、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置(産業用)は、プリンターに適用されるもの(民生用)とは全く異なるものであり、例えば、大量生産を行ったり、大型のワーク(基板)への液滴吐出に用いたりするため、大量の液滴を長時間にわたって吐出することが求められる。また、形成される着色層(着色部)の基板への密着性を優れたものとするために、カラーフィルターの製造に用いられるカラーフィルター用インクは、一般に、樹脂材料(バインダー樹脂)を含んでおり、プリンターに適用されるもの(民生用)で用いるインクに比べて、粘度が高く、液滴吐出に伴う、液滴吐出装置(特に、ヘッド付近)への負荷が大きい。また、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置(産業用)では、インク中に含まれる成分(例えば、樹脂材料等)がインクの流路に付着することにより、液滴吐出ヘッドへのインクの供給が不安定になったり、液滴吐出ヘッドの吐出口の目詰まりが発生し、その結果、液滴の吐出量が不安定になったり、液滴の飛行曲がりが発生する等の問題を生じやすい。このため、例えば、液滴吐出装置のカラーフィルター用の基板(ワーク)のない部分で液滴を吐出することによる行う方法(フラッシング)や、吸引手段を用いて液滴吐出ヘッド内に溜まっているインクを強制的に吸引する方法により、液滴吐出ヘッドやインクの流路に存在する凝集物、付着物等を取り除き、インク等による汚れ、目詰まりの解消を行う。しかしながら、このような方法のみでは、十分に凝集物、付着物を取り除くことができず、再び液滴の吐出を行うと、残存した凝集物、付着物がヘッドに流れ込み、比較的短期間で、液滴の吐出量が不安定になったり、吐出口が再び目詰まりする問題があった。このような場合、液滴吐出ヘッドや他の部材を頻繁に交換する必要があり、カラーフィルターの生産性を極端に落とすものとなっていた。
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、液滴吐出装置のカラーフィルター用インクの流路等を好適に洗浄できる洗浄液を用いることで、上記のような問題を解消できることを見出し、本発明に至った。
本発明の洗浄液は、下記式(10)で示される化合物Aを含有する。
【0023】
【化9】

【0024】
このように、洗浄液は、化合物Aを含有することにより、液滴吐出ヘッドや、カラーフィルター用インクの流路等の液滴吐出装置の構成部材への付着物を好適に除去することができ、上記のような問題を確実に防止できる。これは、洗浄液中に含まれる化合物Aが、液滴吐出装置の構成部材に悪影響を及ぼすことなく、カラーフィルター用インクの流路(ノズル等を含む)に付着した汚れと当該流路表面との密着性を低下させることができる機能を有することによるものと思われる。
【0025】
<化合物A>
上述したように、本発明において、洗浄液は、上記式(10)で示される化合物Aを含有するものである。
上記式(10)中、Rは、炭素数が1〜4の炭化水素基であればよいが、メチル基であるのが好ましい。これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。
また、上記式(10)中、X、X、X、X、Xは、それぞれ、独立に、水素原子またはハロゲン原子であればよいが、いずれも、水素原子であるのが好ましい。これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。
なお、洗浄液は、化学構造の異なる複数種の化合物Aを含むものであってもよい。
【0026】
洗浄液中における化合物Aの含有率は、特に限定されないが、15wt%以上であるのが好ましく、30wt%以上98wt%以下であるのがより好ましく、40wt%以上90wt%以下であるのがさらに好ましい。化合物Aの含有率が前記範囲内の値であると、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。これに対し、化合物Aの含有率が前記下限値未満であると、洗浄液が化合物Aを含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。また、化合物Aの含有率が前記上限値を超えると、後に詳述するような成分(インク(カラーフィルター用インク)の液性媒体を構成するのと同一の成分等)を十分な比率で含有することができず、当該成分を併用することによる効果を十分に発揮させることが困難となる。なお、洗浄液が化学構造の異なる複数種の化合物Aを含むものである場合、化合物Aの含有率の値としては、これら複数の化合物の含有率の総和を採用するものとする。
【0027】
<インク(カラーフィルター用インク)の液性媒体を構成するのと同一の成分>
洗浄液は、上述した化合物Aに加え、さらに、インク(カラーフィルター用インク)の液性媒体を構成するのと同一の成分を含むものであるのが好ましい。これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄後に行う、液滴吐出装置のインクの流路内の洗浄液とインク(カラーフィルター用インク)との置換の効率を優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
【0028】
インク(カラーフィルター用インク)を構成する液性媒体については、後に詳述するが、洗浄液は、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテートおよび1,3−ブチレングリコールジアセテートよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであるのが好ましい。これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。また、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄後に行う、液滴吐出装置のインクの流路内の洗浄液とインク(カラーフィルター用インク)との置換の効率を特に優れたものとすることができる。
【0029】
また、洗浄液が、インク(カラーフィルター用インク)との共通成分として、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルおよびジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテートよりなる群から選択される少なくとも1種のうちの少なくとも1種を含む場合、洗浄液の表面張力が低下することで液滴吐出装置内への洗浄液の浸透性が高くなり、また、洗浄液の粘度が低下し洗浄液の流動性が高いため、液滴吐出装置内への洗浄液の充填が速やかに行われると共に、洗浄後のインクとの置換をよりスムーズに行うことができる。
【0030】
洗浄液には、インク(カラーフィルター用インク)の固形分(後述する樹脂材料の硬化物を含む)を分散させる機能を有する分散剤が含まれていてもよい。これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。特に、インク(カラーフィルター用インク)が着色剤として顔料を含むものである場合における洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。
【0031】
また、洗浄液は、分散剤として、カラーフィルター用インクを構成する分散剤と同一のものを含むものであるのが好ましい。これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。また、インク(カラーフィルター用インク)が顔料を含む場合には、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄後に行う、液滴吐出装置のカラーフィルター用インクの流路内の洗浄液とカラーフィルター用インクとの置換時、局所的な洗浄液とインクの混合が発生しても、インク中の顔料は安定した分散を維持出来るため、インクの置換効率を優れたものとすることができる。
分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤が挙げられる。
【0032】
特に、洗浄液は、分散剤として、所定の酸価を有する分散剤(以下、酸価分散剤とも言う)と、所定のアミン価を有する分散剤(以下、アミン価分散剤とも言う)とを含むものであるのが好ましい。これにより、液滴吐出装置に付着した汚れ(特に、液滴吐出装置に適用されるカラーフィルター用インクが後に詳述するような樹脂材料を含むものである場合の汚れ)を、より効率よく膨潤等させることにより、除去されやすい状態にすることができる。このようなことから、洗浄液が酸価分散剤とアミン価分散剤とを含むものであることにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。また、洗浄液が酸価分散剤とアミン価分散剤とを含むものであると、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄後に行う、液滴吐出装置のカラーフィルター用インクの流路内の洗浄液とカラーフィルター用インクとの置換の効率を特に優れたものとすることができる。
【0033】
酸価分散剤の具体例としては、ディスパービックP104、ディスパービックP104S、ディスパービック220S、ディスパービック110、ディスパービック111、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック2095(以上、ビックケミー社製);EFKA 5010、EFKA 5065、EFKA 5066、EFKA 5070、EFKA 7500、EFKA 7554(以上、チバスペシャリティ−社製);ソルスパース3000、ソルスパース16000、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース36000、ソルスパース36600、ソルスパース41000(以上、ルーブリゾール社製)、ヒノアクトKF−1000(川研ファインケミカル社製)等が挙げられる。
【0034】
また、アミン価分散剤の具体例としては、ディスパービック102、ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック167、ディスパービック168、ディスパービック2150、ディスパービックLPN6919、ディスパービック9075、ディスパービック9077(以上、ビックケミー社製);EFKA 4015、EFKA 4020、EFKA 4046、EFKA 4047、EFKA 4050、EFKA 4055、EFKA 4060、EFKA 4080、EFKA 4300、EFKA 4330、EFKA 4340、EFKA 4400、EFKA 4401、EFKA 4402、EFKA 4403、EFKA 4800(以上、チバスペシャリティ−社製);アジスパーPB711(以上、味の素ファインテクノ社製);Anti−Terra−205(ビックケミー社製)、KF−1525、ヒノアクト1300M、ヒノアクトT9050、ヒノアクトT6000、ヒノアクトT7000、ヒノアクトT8000、ヒノアクトT8000E(以上、川研ファインケミカル社製)等が挙げられる。
【0035】
酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用する場合、酸価分散剤の酸価(固形分換算したときの酸価)は、特に限定されないが、5KOHmg/g以上370KOHmg/g以下であるのが好ましく、20KOHmg/g以上270KOHmg/g以下であるのがより好ましく、30KOHmg/g以上135KOHmg/g以下であるのがさらに好ましい。酸価分散剤の酸価が前記範囲内の値であると、上記のような効果がより顕著に発揮される。分散剤についての酸価は、例えば、DIN EN ISO 2114に準拠する方法により求めることができる。
また、酸価分散剤は、所定のアミン価を有していないもの、すなわち、アミン価が零であるのが好ましい。
【0036】
アミン価分散剤と酸価分散剤とを併用する場合、アミン価分散剤のアミン価(固形分換算したときのアミン価)は、特に限定されないが、5KOHmg/g以上200KOHmg/g以下であるのが好ましく、25KOHmg/g以上170KOHmg/g以下であるのがより好ましく、30KOHmg/g以上130KOHmg/g以下であるのがさらに好ましい。アミン価分散剤のアミン価が前記範囲内の値であると、上記のような効果がより顕著に発揮される。なお、分散剤についてのアミン価は、例えば、DIN 16945に準拠する方法により求めることができる。
また、アミン価分散剤は、所定の酸価を有していないもの、すなわち、酸価が零であるのが好ましい。
【0037】
また、酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用する場合、洗浄液中における酸価分散剤の含有率をX[wt%]、当該洗浄液中におけるアミン価分散剤の含有率をX[wt%]としたとき、0.1≦X/X≦1の関係を満足するのが好ましく、0.15≦X/X≦0.5の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率をさらに優れたものとすることができる。また、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄後に行う、液滴吐出装置のカラーフィルター用インクの流路内の洗浄液とカラーフィルター用インクとの置換の効率をさらに優れたものとすることができる。
【0038】
また、酸価分散剤の酸価をAV[KOHmg/g]、アミン価分散剤のアミン価をBV[KOHmg/g]、前記酸価分散剤の含有率をX[wt%]、前記アミン価分散剤の含有率をX[wt%]としたとき、0.01≦(AV×X)/(BV×X)≦1.9の関係を満足するのが好ましく、0.10≦(AV×X)/(BV×X)≦1.5の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率をさらに優れたものとすることができる。また、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄後に行う、液滴吐出装置のカラーフィルター用インクの流路内の洗浄液とカラーフィルター用インクとの置換の効率をさらに優れたものとすることができる。
なお、分散剤としては、上記以外の分散剤を用いてもよい。
洗浄液中における分散剤の含有率は、0.1wt%以上10wt%以下であるのが好ましく、0.2wt%以上6.0wt%以下であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
【0039】
<顔料>
また、本発明の洗浄液は、顔料を含むものであってもよい。洗浄液が顔料を含むものであることにより、液滴吐出ヘッドや、カラーフィルター用インクの流路等の液滴吐出装置の構成部材への付着物をより好適に除去することができる。これは、洗浄液中に含まれる微小な顔料が、カラーフィルター用インクの流路(ノズル等を含む)に付着した汚れを、好適に削り取ること等によるものと思われる。
【0040】
洗浄液が顔料を含むものである場合、洗浄液中における顔料の含有率は、特に限定されないが、0.2wt%以上13wt%以下であるのが好ましく、0.3wt%以上10wt%以下であるのがより好ましい。顔料の含有率が前記範囲内の値であると、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。これに対し、顔料の含有率が前記下限値未満であると、洗浄液が顔料を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。また、顔料の含有率が前記上限値を超えると、洗浄液を用いた洗浄により流路内等の汚れ(特に、カラーフィルター用インクを構成する樹脂材料による汚れ)を除去することはできるものの、洗浄液中の顔料が、液滴吐出装置のインク流路内で局所的に高濃度で残存する可能性がある。
【0041】
上記のように、洗浄液は、顔料を含むものであるが、洗浄液中における顔料の含有率は、比較的低いものであるのが好ましく、カラーフィルター用インク(当該洗浄液により洗浄される流路に導入されるカラーフィルター用インク)中における着色剤の含有率よりも低いものであるのがより好ましい。
より具体的には、洗浄液中における顔料の含有率をCPC[wt%]、カラーフィルター用インク中における着色剤の含有率をCCI[wt%]としたとき、0.05≦CCI/CPC≦0.8の関係を満足するのが好ましく、0.07≦CCI/CPC≦0.5の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。
なお、洗浄液が複数種の顔料を含有する場合には、洗浄液中における顔料の含有率(CPC)として、これらの含有率の和を採用するものとし、また、カラーフィルター用インクが複数種の着色剤を含有する場合には、カラーフィルター用インク中における着色剤の含有率(CCI)として、これら各成分の含有率の和を採用するものとする。
【0042】
また、洗浄液中に含まれる顔料は、後に詳述するカラーフィルター用インクを構成する着色剤と同色系のものであるのが好ましい。これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄後に行う、液滴吐出装置のインクの流路内の洗浄液とカラーフィルター用インクとの置換が不十分な場合であっても、製造されるカラーフィルターに色調不良が発生することを確実に防止することができる。なお、ここで、「同色系」とは、比較する2つの色について、例えば、L表色系(JIS Z 8729)における、aの差の絶対値が10以下(好ましくは、5以下)であり、かつ、bの差の絶対値が10以下(好ましくは、5以下)であるものとすることができる。また、洗浄液を構成する顔料、および、カラーフィルター用インクを構成する着色剤が、いずれも、カラーインデックスに登録されたものである場合には、両者で、カラーインデックス名に含まれる色名が共通である場合に、「同色系」であるとすることができる。
【0043】
また、洗浄液は、顔料として、カラーフィルター用インクを構成する着色剤としての顔料と同一のものを含むものであるのが好ましい。これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄後に行う、液滴吐出装置のカラーフィルター用インクの流路内の洗浄液とカラーフィルター用インクとの置換の効率を優れたものとすることができる。また、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄後における、液滴吐出装置のカラーフィルター用インクの流路内の洗浄液とカラーフィルター用インクとの置換が不十分な場合であっても、製造されるカラーフィルターに色調不良が発生することをより確実に防止することができる。
【0044】
また、カラーフィルター用インクが着色剤として顔料を含むものである場合、洗浄液中に含まれる顔料の平均粒径をDPC[nm]、当該洗浄液が適用される流路に供されるカラーフィルター用インク中に含まれる顔料の平均粒径をDCI[nm]としたとき、DPC≦DCIの関係を満足するのが好ましい。これにより、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。
洗浄液中に含まれる顔料の平均粒径は、1nm以上180nm以下であるのが好ましく、2nm以上160nm以下であるのがより好ましく、5nm以上100nm以下であるのがさらに好ましい。顔料の平均粒径が前記範囲内の値であると、洗浄液による液滴吐出装置の洗浄の効率を特に優れたものとすることができる。
【0045】
<セラミックス粒子>
また、本発明の洗浄液は、セラミックス粒子を含むものであってもよい。洗浄液がセラミックス粒子を含むものであることにより、液滴吐出ヘッドや、カラーフィルター用インクの流路等の液滴吐出装置の構成部材への付着物をより好適に除去することができる。これは、洗浄液中に含まれる微小なセラミックス粒子が、カラーフィルター用インクの流路(ノズル等を含む)に付着した汚れを、好適に削り取ること等によるものと思われる。
セラミックス粒子は、不溶性の成分であって、洗浄液中においては、粉末として含まれている。
【0046】
セラミックスとしては、例えば、Al、SiO、TiO、Ti、ZrO、Y、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等の酸化物系セラミックス、AlN、Si、SiN、TiN、BN、ZrN、HfN、VN、TaN、NbN、CrN、CrN等の窒化物系セラミックス、グラファイト、SiC、ZrC、Al、CaC、WC、TiC、HfC、VC、TaC、NbC等の炭化物系のセラミックス、ZrB、MoB等のホウ化物系のセラミックス、あるいは、これらのうちの2以上を任意に組み合わせた複合セラミックスが挙げられる。
【0047】
また、セラミックス粒子は、主として、上記のようなセラミックスで構成されたものであればよく、セラミックス以外の材料を含むものであってもよい。例えば、ソーダ石灰ガラスのように、SiO以外の成分を含むガラス粒子等も、本発明では、セラミックス粒子として用いることができる。なお、本明細書において、構成材料について「主として」または「主成分」というときは、対象とする物質全体において、もっとも含有率が高いもののことを指し、好ましくは、対象とする物質全体に占める割合が、50wt%以上のもののことを指す。
【0048】
洗浄液中におけるセラミックス粒子(粉末)の含有率は、0.00001wt%以上0.5wt%以下であるのが好ましく、0.00005wt%以上0.3wt%以下であるのがより好ましく、0.0001wt%以上0.1wt%以下であるのがさらに好ましい。このような比率で、セラミックス粒子を含むことにより、上述したような効果が確実に発揮される。これに対し、セラミックス粒子の含有率が前記下限値未満であると、上述したようなセラミックス粒子を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。また、セラミックス粒子の含有率が前記上限値を超えると、洗浄液中におけるセラミックス粒子の分散安定性が急激に低下し、セラミックス粒子の流動性が急激に低下するとともに、液滴吐出ヘッドの吐出口の目詰まりが発生しやすくなる。また、形成される着色部の基板に対する密着性も低下する。なお、洗浄液を構成する各材料中に、不可避成分としてセラミックス粒子が含まれる可能性もないわけではないが、このような場合、その含有率は、上記のような値に比べて非常に小さいものとなり、上記のような比較的高い含有率で含まれることはありえない。
【0049】
カラーフィルター用インクが着色剤として顔料を含む場合、洗浄液中に含まれるセラミックス粒子の平均粒径は、当該顔料の平均粒径以下であるのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの流路等の液滴吐出装置の構成部材への付着物をより好適に除去することができる。
カラーフィルター用インクを構成する顔料の平均粒径をD[nm]、洗浄液を構成するセラミックス粒子の平均粒径をD[nm]としたとき、0.2≦D/D≦1.0の関係を満足するのが好ましく、0.22≦D/D≦0.8の関係を満足するのがより好ましく、0.25≦D/D≦0.7の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、上記のような効果はより顕著に発揮される。
【0050】
また、カラーフィルター中に含まれるセラミックス粒子(粉末)の平均粒径は、3nm以上120nm以下であるのが好ましく、5nm以上60nm以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの流路等の液滴吐出装置の構成部材への付着物をより好適に除去することができる。これに対し、セラミックス粒子の平均粒径が、前記下限値未満であると、セラミックス粒子の含有率等によっては、上述したようなセラミックス粒子を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。また、セラミックス粒子の平均粒径が、前記上限値を超えると、洗浄液中におけるセラミックス粒子の分散安定性が低下し、洗浄液の流動性も低下する。
【0051】
<その他の成分>
本発明の洗浄液は、上記以外の成分を含むものであってもよい。
このような成分としては、例えば、界面活性剤、消泡剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤等が挙げられる。
カラーフィルターの製造に用いられる液滴吐出装置は、通常、複数種のインクについてそれぞれ独立した流路が設けられているが、これらの複数種のインクの各流路について、それぞれ、異なる洗浄液を用いてもよい。すなわち、液滴吐出装置の洗浄には、異なる複数の洗浄液を備えた洗浄液セットを用いてもよい。
【0052】
次に、本発明の洗浄液が適用される液滴吐出装置を用いて吐出されるカラーフィルター用インクについて説明する。
≪カラーフィルター用インク≫
カラーフィルター用インクは、カラーフィルターの製造(カラーフィルターの着色部の形成)に用いられるインクであり、本発明においては、特に、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるものである。
カラーフィルター用インクは、着色剤、樹脂材料、前記着色剤が溶解および/または分散する液性媒体等を含むものである。
【0053】
<着色剤>
カラーフィルターは、通常、異なる複数色の着色部(一般に、RGBに対応する3色の着色部)を有している。着色剤は、通常、形成すべき着色部の色調に応じて選択される。カラーフィルター用インクを構成する着色剤としては、例えば、各種顔料、各種染料を用いることができる。
【0054】
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,40,41,42,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,53:1,57,57:1,57:2,58:2,58:4,60:1,63:1,63:2,64:1,81,81:1,83,88,90:1,97,101,102,104,105,106,108,108:1,112,113,114,122,123,144,146,149,150,151,166,168,170,171,172,174,175,176,177,178,179,180,185,187,188,190,193,194,202,206,207,208,209,215,216,220,224,226,242,243,245,254,255,264,265;C.I.ピグメントグリーン7,36,15,17,18,19,26,50;C.I.ピグメントブルー1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,17:1,18,60,27,28,29,35,36,60,80;C.I.ピグメントイエロー1,3,12,13,14,15,16,17,20,24,31,34,35,35:1,37,37:1,42,43,53,55,60,61,65,71,73,74,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,116,117,119,120,126,127,128,129,138,139,150,151,152,153,154,155,156,157,166,168,175,180,184,185;C.I.ピグメントバイオレット1,3,14,16,19,23,29,32,36,38,50;C.I.ピグメントオレンジ1,5,13,14,16,17,20,20:1,24,34,36,38,40,43,46,49,51,61,63,64,71,73,104;C.I.ピグメントブラウン7,11,23,25,33;C.I.ピグメントブラック1,7や、ハロゲン化されたフタロシアニンの亜鉛錯体、これらの誘導体等が挙げられる。
カラーフィルター用インクが、着色剤として顔料を含むものであると、形成されるカラーフィルター(着色部)の耐光性、耐熱性を向上させる上で有利である。
【0055】
カラーフィルター用インクは、上記の着色剤の中でも、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントイエロー150、ハロゲン化されたフタロシアニンの亜鉛錯体およびこれらの誘導体よりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。これにより、製造されるカラーフィルターの色再現範囲、耐光性を特に優れたものとすることができる。
【0056】
特に、カラーフィルター用インクが、顔料(赤色顔料)として、C.I.ピグメントレッド177とその誘導体、および/または、C.I.ピグメントレッド254とその誘導体を含むものであると、当該カラーフィルター用インク(赤色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、後に詳述する樹脂材料と併用することによる効果がより顕著に発揮され、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることができる。この結果、着色部形成時におけるカラーフィルター用インクのチキソトロピック性の上昇を抑制することができるとともに、セルへのインク付与時においては、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
C.I.ピグメントレッド177の誘導体、C.I.ピグメントレッド254の誘導体として、下記式(30)または下記式(31)で示される化合物(誘導体)を含有するものである場合、上述したような効果がさらに顕著に発揮される。
【0057】
【化10】

【0058】
【化11】

【0059】
また、カラーフィルター用インクが、顔料(赤色顔料)として、上述したようなものを含むものであると、カラーフィルター用インクの流路等の液滴吐出装置の構成部材への付着物が生じた際に、当該付着物を、上述した洗浄液により、より好適に除去することができる。
また、特に、カラーフィルター用インクが、顔料(緑色顔料)として、C.I.ピグメントグリーン58(臭素化亜鉛フタロシアニン顔料)を含むものであると、当該カラーフィルター用インク(緑色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、C.I.ピグメントグリーン58は、明度に優れるという特徴を有しているものの、従来においては、安定的に分散させるのが極めて困難な材料であった。
【0060】
しかしながら、本発明者は、C.I.ピグメントグリーン58を含む場合であっても、後に詳述する樹脂材料(重合体Mを含む樹脂材料)をともに用いることにより、カラーフィルター用インク中における分散安定性を優れたものとすることができることを見出した。これにより、カラーフィルター用インクの発色性をさらに優れたものとすることができるとともに、着色部形成時において、顔料が高濃度化することによるカラーフィルター用インクのチキソトロピック性の上昇を抑制することができる。また、カラーフィルター用インク中における顔料の長期分散安定性(カラーフィルター用インクの保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
また、カラーフィルター用インクが、顔料(緑色顔料)として、C.I.ピグメントグリーン58(臭素化亜鉛フタロシアニン顔料)を含むものであると、カラーフィルター用インクの流路等の液滴吐出装置の構成部材への付着物が生じた際に、当該付着物を、上述した洗浄液により、より好適に除去することができる。
【0061】
また、本発明者は、C.I.ピグメントグリーン58を含む場合、スルホン化された顔料誘導体を副顔料として同時に含むことにより、カラーフィルター用インク中における分散安定性をさらに優れたものとすることができることを見出した。これにより、カラーフィルター用インクの発色性をさらに優れたものとすることができるとともに、着色部形成時において、顔料が高濃度化することによるカラーフィルター用インクのチキソトロピック性の上昇をさらに効果的に抑制することができる。また、カラーフィルター用インク中における顔料の長期分散安定性(カラーフィルター用インクの保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。
【0062】
顔料として、C.I.ピグメントグリーン58とスルホン化された顔料誘導体とを含む場合、スルホン化された顔料誘導体として、下記式(32)で示される化合物(誘導体)を含有するのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、製造されるカラーフィルターにおいて、より優れたコントラストの画像を表示することができる。
【0063】
【化12】

【0064】
このように、特定の化学構造を有する顔料誘導体(副顔料)を、C.I.ピグメントグリーン58(主顔料)とともに用いることにより、上記のような優れた効果が得られることは、本発明者が鋭意研究を行った結果、見出したことであり、そのメカニズムの詳細は不明であるが、以下のような理由によるものであると考えられる。
C.I.ピグメントグリーン58を構成する臭素化フタロシアニンは、分子全体として、高度な共役系が形成されており、平面的な構造となるのが、エネルギー的に安定している。そして、臭素化フタロシアニンは、平面状の各分子が積層されるように(平行に)配置することにより、各分子間が有する共役系のπ電子が重なり合った、安定した状態になる。このため、C.I.ピグメントグリーン58は、本来、凝集し易く、液性媒体中に安定的に分散させるのが困難である。
【0065】
一方、上記のような顔料誘導体では、式(32)中において窒素原子に結合している水素原子は、フタルイミド構造を構成する酸素原子との間で、水素結合を形成する。このようなことから、式(32)中において窒素原子に結合している水素原子は、実体的には、キノリン構造を構成する窒素原子とともに、フタルイミド構造を構成する酸素原子とも強固に結合しており、上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)では、式(32)中において1〜7の番号を付した7原子による安定的な環構造(7員環構造)が形成されている。このような7員環構造を形成することにより、キノリン構造による平面と、フタルイミド構造による平面とは、非平行状態をとることになる。
【0066】
このように、キノリン構造による平面と、フタルイミド構造による平面とが、非平行となることにより、C.I.ピグメントグリーン58(臭素化フタロシアニン)に対して適度な親和性を有する顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)が、C.I.ピグメントグリーン58の分子間に入り込み、上記のように、本来、凝集し易いC.I.ピグメントグリーン58を凝集しにくいものとすることができる。さらに、上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)は、分子内にスルホ基を有しているため、後述する液性媒体に対する分散性に優れている。以上のようなことが、相乗的に作用し合い、上記のような非常に優れた効果が得られるものと考えられる。
【0067】
C.I.ピグメントグリーン58と上記のような顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)とを含む場合、カラーフィルター用インク中における顔料誘導体(スルホン化顔料誘導体)の含有率は、特に限定されないが、C.I.ピグメントグリーン58(主顔料):100重量部に対して、10重量部以上80重量部以下であるのが好ましく、30重量部以上70重量部以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の長期分散安定性、液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターのコントラスト、明度を特に優れたものとすることができる。
【0068】
また、特に、カラーフィルター用インクが、顔料(青色顔料)として、C.I.ピグメントブルー15:6およびC.I.ピグメントバイオレット23を含むものであると、当該カラーフィルター用インク(青色のカラーフィルター用インク)の発色性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。
また、カラーフィルター用インクが、顔料(青色顔料)として、C.I.ピグメントブルー15:6およびC.I.ピグメントバイオレット23を含むものであると、カラーフィルター用インクの流路等の液滴吐出装置の構成部材への付着物が生じた際に、当該付着物を、上述した洗浄液により、より好適に除去することができる。
【0069】
カラーフィルター用インクが着色剤として顔料を含むもの(顔料インク)である場合、顔料の平均粒径は、10nm以上200nm以下であるのが好ましく、20nm以上180nm以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性や、カラーフィルター用インクの吐出安定性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターの耐久性(耐光性等)を十分に優れたものとし、カラーフィルターにおける発色性、コントラスト等を特に優れたものとすることができる。
また、染料としては、例えば、アゾ染料、アントラキノン染料、縮合多環芳香族カルボニル染料、インジゴイド染料、カルボニウム染料、フタロシアニン染料、メチン,ポリメチン染料等が挙げられる。
【0070】
カラーフィルター用インク中における着色剤の含有率は、2wt%以上25wt%以下であるのが好ましく、3wt%以上20wt%以下であるのがより好ましい。着色剤の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターにおいて、より高い色濃度を確保することができ、より鮮明な画像表示に用いることができる。また、所定の色濃度の着色部を形成するのに要するカラーフィルター用インクの量を少なくすることができ、省資源の観点から有利である。また、カラーフィルターの着色部を形成する際における溶剤の揮発量を抑制することができるため、環境に対する負荷を軽減することができる。
【0071】
<樹脂材料>
カラーフィルター用インクは、一般に、形成される着色部の基板に対する密着性を向上させる等の目的で、樹脂材料(バインダー樹脂)を含んでいる。一般に、インクジェット法を用いて製造されるカラーフィルターは、製造過程において、加熱処理が施され、溶剤等での洗浄処理が施される。このため、インクジェット法を用いて製造されるカラーフィルターには、耐熱性、耐溶剤性等の耐久性が要求されるが、従来のカラーフィルターでは満足のいく耐久性を得るのが困難であった。また、従来では、カラーフィルターを用いて表示される画像のコントラスト比、明度を十分に高いものとすることができず、色むら、濃度むら等を生じるという問題があった。このような傾向は、着色剤として顔料を含む場合、樹脂材料に対して顔料の含有率が高い場合により顕著に現れる。これは、固形分濃度の上昇に伴い、インク中に含まれる顔料粒子が凝集することによるものであると考えられる。
これに対し、以下に述べる樹脂材料を用いることにより、上記のような問題を解決することができることを本発明者は見出した。
【0072】
以下、カラーフィルター用インクを構成する樹脂材料(硬化性樹脂材料)について詳細に説明する。
本実施形態のカラーフィルター用インクは、樹脂材料が、下記式(1)で表される単量体成分m1とカルボキシル基または酸無水物基を有する単量体成分m2と下記式(3)で表される単量体成分m3とを含む重合体Mを含むものである。
【0073】
【化13】

【0074】
【化14】

【0075】
[重合体M]
重合体Mは、上記式(1)で表される単量体成分m1とカルボキシル基または酸無水物基を有する単量体成分m2と上記式(3)で表される単量体成分m3とを含むものである。
このような重合体Mを含むことにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、平坦性に優れたものとなり、製造されるカラーフィルターについてのコントラスト比、明度を優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。また、樹脂材料についての、所定温度以下では実質的に硬化反応を進行させず、それ以上の温度で効率よく硬化反応を進行させることができる特性(以下、「硬化反応のスイッチング特性」ともいう)や、カラーフィルター用インクの吐出安定性、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができるとともに、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、重合体Mは、後述する樹脂成分(重合体X、重合体Y)との親和性、相溶性に非常に優れているため、重合体M以外の樹脂成分を含む場合においても、カラーフィルター用インク中での樹脂材料の不本意な析出を防止し、優れた吐出安定性で液滴吐出を行うことができるとともに、形成される着色部においては、各樹脂成分の特長を十分に発揮させることができ、不本意な相分離による透明性の低下等の問題の発生を確実に防止することができる。また、カラーフィルター用インクの長期保存性(カラーフィルター用インクの寿命)が非常に優れたものとなり、大量生産したカラーフィルター用インクの作り置きによる品質の低下等の問題の発生が効果的に防止され、カラーフィルターの製造に際してカラーフィルター用インクの交換頻度を減らすことができるため、カラーフィルターの生産性、製造されるカラーフィルターの信頼性を優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクが重合体Mを含むものであると、上述したような洗浄液により、液滴吐出装置のインクの流路における汚れ、液滴吐出ヘッドの目詰まりをより好適に解消することができる。
なお、重合体Mは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Mが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分m1、m2およびm3を含有するものである。
【0076】
(単量体成分m1)
重合体Mは、上記式(1)で表される単量体成分m1、すなわち、ブロックされたイソシアネート基(以下、「ブロックイソシアネート基」ともいう)を有する化合物を単量体成分として含有してなるものである。なお、カラーフィルター用インクを構成する重合体Mは、分子内に、上記一般式(1)で表される単量体成分m1を複数種含むものであってもよい。
【0077】
このような単量体成分m1を重合体M中に単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。すなわち、樹脂材料についての硬化反応のスイッチング特性を優れたものとすることができる。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。すなわち、重合体M中における単量体成分m1が有するブロックイソシアネート基は、着色部形成工程(硬化工程)において付与されるような比較的高いエネルギーによって脱ブロック化し、活性なイソシアネート基が生成し、前記イソシアネート基とカルボキシル基または酸無水物基が硬化に寄与して、基板との密着性、耐熱性、耐薬品性等の向上を図れる一方で、比較的低いエネルギーが与えられた場合には、上記のような脱ブロック化が進行せず、硬化反応の進行が防止、抑制される。
【0078】
式(1)で表される単量体成分m1において、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは炭素数1〜8の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示す。Rはイソシアネート基のブロック剤RHの残基を示す。
における炭素数1〜8の2価の飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン基等の直鎖状または分岐鎖状の2価の飽和脂肪族炭化水素基(アルキレン基)が挙げられる。これらの中でも、エチレン、トリメチレン、プロピレン基等の炭素数2〜4の2価の飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。
【0079】
イソシアネート基のブロック剤RHとしては、例えば、ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、メチルイソブチルケトキシム、ジエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム系ブロック剤;3,5−ジメチルピラゾール等のピラゾール系ブロック剤;メタノール、エタノール等のアルコール系ブロック剤;フェノール、クレゾール等のフェノール系ブロック剤;ブチルメルカプタン等のメルカプタン系ブロック剤;アセトアニリド、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタム等の酸アミド系ブロック剤;マロン酸ジメチル、アセト酢酸メチル等の活性メチレン系ブロック剤;コハク酸イミド、マレイン酸イミド等のイミド系ブロック剤;尿素系ブロック剤;N−フェニルカルバミン酸フェニル等のカルバミン酸系ブロック剤;ジフェニルアミン、アニリン等のアミン系ブロック剤;エチレンイミン、ポリエチレンイミン等のイミン系ブロック剤等が挙げられる。
イソシアネート基のブロック剤としては、オキシム系ブロック剤、ピラゾール系ブロック剤が好ましく、下記式(5)で表されるものがより好ましい。
【0080】
【化15】

【0081】
式(5)中のRおよびRにおける炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル基等の直鎖状または分岐鎖状アルキル基が挙げられる。これらのなかでも、メチル、エチル、プロピル基等の炭素数1〜4の直鎖状または分岐鎖状アルキル基が好ましい。RおよびRが互いに結合して隣接する炭素原子とともに結合する環としては、例えば、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等の3〜12員程度(好ましくは5または6員)のシクロアルカン環等が挙げられる。
【0082】
式(1)で表される単量体成分m1の具体例としては、メタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(=2−(1−メチルプロピリデンアミノオキシカルボニルアミノエチル)メタクリレート)(下記式(6)で表されるもの)、メタクリル酸2−(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)カルボニルアミノエチル(下記式(7)で表されるもの)等が挙げられる。
【0083】
【化16】

【0084】
【化17】

【0085】
重合体M中における単量体成分m1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、1wt%以上99wt%以下(例えば10wt%以上95wt%以下)であるのが好ましく、20wt%以上90wt%以下であるのがより好ましく、25wt%以上88wt%以下であるのがさらに好ましい。重合体M中における単量体成分m1の含有率が前記範囲内の値であると、後に詳述する単量体成分m2、m3等の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体M中における単量体成分m1の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分m1を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体M中における単量体成分m1の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分m2、m3等の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。なお、重合体Mが複数種の単量体成分m1を含むものである場合、当該複数種の単量体成分m1の含有率の和が上記のような条件を満足するのが好ましい。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分m1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分m1を含有しているのが好ましい。
【0086】
(単量体成分m2)
重合体Mは、カルボキシル基または酸無水物基を有する単量体成分m2を単量体成分として含有してなるものである。なお、カラーフィルター用インクを構成する重合体Mは、分子内に複数種の単量体成分m2を含むものであってもよい。
このような単量体成分m2を重合体M中に単量体成分として含有することにより、基板上へのカラーフィルター用インクの濡れ広がりを良好なものとすることができ、気泡の混入等が確実に防止され、基板との密着性に優れた着色部を好適に形成することができる。また、カラーフィルター用インクが顔料を含むものである場合においては、単量体成分m2を単量体成分として含有することにより、顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの長期保存性を特に優れたものとすることができる。
【0087】
単量体成分m2としては、不飽和カルボン酸またはその酸無水物が挙げられる。単量体成分m2の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等のα,β−不飽和カルボン酸およびその酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)等が挙げられ、中でも、アクリル酸、メタクリル酸(下記式(2)で表されるもの)が特に好ましい。
【0088】
【化18】

【0089】
重合体M中における単量体成分m2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、0.5wt%以上98wt%以下(例えば2.5wt%以上70wt%以下)であるのが好ましく、3wt%以上50wt%以下であるのがより好ましく、5wt%以上40wt%以下であるのがさらに好ましい。重合体M中における単量体成分m2の含有率が前記範囲内の値であると、上述した単量体成分m1や後に詳述する単量体成分m3等の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体M中における単量体成分m2の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分m2を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体M中における単量体成分m2の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分m1、m3等の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。なお、重合体Mが複数種の単量体成分m2を含むものである場合、当該複数種の単量体成分m2の含有率の和が上記のような条件を満足するのが好ましい。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分m2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分m2を含有しているのが好ましい。
【0090】
(単量体成分m3)
重合体Mは、上記式(3)で表される単量体成分m3((メタ)アクリル酸エステル)を単量体成分として含有してなるものである。なお、カラーフィルター用インクを構成する重合体Mは、分子内に、上記一般式(3)で表される単量体成分m3を複数種含むものであってもよい。
【0091】
このような単量体成分m3を重合体M中に単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性を高いものとすることができる。また、単量体成分m3を重合体M中に単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性を優れたものとすることができる。また、単量体成分m3を重合体M中に単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクが顔料を含む場合においては、顔料の分散安定性を優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの保存安定性(長期保存性)を優れたものとすることができる。
【0092】
における炭素数16〜25の炭化水素基としては、例えば、ヘキサデシル(セチル)、ヘプタデシル、オクタデシル(ステアリル)、ノナデシル、イコシル、ドコシル(ベヘニル)基等のアルキル基;10−シクロヘキシルデシル、12−シクロヘキシルドデシル、14−シクロヘキシルテトラデシル、16−シクロヘキシルヘキサデシル基等の脂環式炭化水素基とアルキル基とが結合した基;10−フェニルデシル、12−フェニルドデシル、14−フェニルテトラデシル、16−フェニルヘキサデシル基等のアラルキル基等が挙げられる。
【0093】
炭素数16〜25の炭化水素基が有していてもよい炭化水素基置換オキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ基等のアルコキシ基(例えば、炭素数1〜10のアルコキシ基);フェノキシ基等のアリールオキシ基;シクロヘキシルオキシ基、ジシクロペンタニルオキシ基等の脂環式炭化水素基置換オキシ基;ベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等の炭素数1〜15(好ましくは、炭素数1〜12)の炭化水素基置換オキシ基等が挙げられる。
単量体成分m3の具体例としては、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0094】
上記のように、重合体Mを構成する単量体成分m3が有する炭化水素基(炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい)の炭素数(以下、Rの炭素数ともいう)は、16〜25であるが、特に、16〜22であるのが好ましく、16〜20であるのがより好ましい。これにより、上述した効果は、さらに顕著に発揮される。これに対し、Rの炭素数が前記下限値未満である場合、または、前記上限値を超える場合には、上述したような優れた効果が得られない。
【0095】
重合体M中における単量体成分m3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、0.5wt%以上98wt%以下(例えば2.5wt%以上70wt%以下)であるのが好ましく、3wt%以上50wt%以下であるのがより好ましく、5wt%以上40wt%以下であるのがさらに好ましい。重合体M中における単量体成分m3の含有率が前記範囲内の値であると、上述した単量体成分m1、m2等の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体M中における単量体成分m3の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分m3を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体M中における単量体成分m3の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分m1、m2等の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。なお、重合体Mが複数種の単量体成分m3を含むものである場合、当該複数種の単量体成分m3の含有率の和が上記のような条件を満足するのが好ましい。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分m3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Mが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分m3を含有しているのが好ましい。
【0096】
重合体Mにおける単量体成分m1の比率(Cm1[wt%])と単量体成分m2の比率(Cm2[wt%])は、以下のような関係を満足するのが好ましい。すなわち、Cm1/Cm2は、2/98以上98/2以下であるのが好ましく、20/80以上95/5以下であるのがより好ましく、40/60以上95/5以下であるのがさらに好ましい。
また、重合体Mにおける単量体成分m1の比率(Cm1[wt%])と単量体成分m3の比率(Cm3[wt%])は、以下のような関係を満足するのが好ましい。すなわち、Cm1/Cm3は、2/98以上98/2以下であるのが好ましく、20/80以上95/5以下であるのがより好ましく、40/60以上95/5以下であるのがさらに好ましい。
重合体Mとしては、例えば、下記式(8)で表されるものがある。
【0097】
【化19】

【0098】
重合体Mは、上述した単量体成分m1、m2およびm3以外の成分を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮しつつ、その他の単量体成分の化学構造に由来する効果も得ることができる。このような成分としては、例えば、以下に述べるような単量体成分m4、単量体成分m5、単量体成分m6、単量体成分m7等が挙げられる。
【0099】
(単量体成分m4)
重合体Mは、下記式(4)で表される単量体成分m4((メタ)アクリル酸エステル)を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
【0100】
【化20】

【0101】
重合体Mが単量体成分m4を含むことにより、後に詳述する液性媒体が親水性の高い場合であっても、カラーフィルター用インク中における樹脂材料の溶解性を優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の透明性を優れたものとすることができる。
単量体成分m4において、Rは、炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい炭素数1〜15の炭化水素基を示すが、当該炭化水素基の炭素数は、1〜12であるのが好ましい。Rで示される炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル基等のアルキル基;シクロヘキシル、ジシクロペンタニル、イソボルニル基等の脂環式炭化水素基;フェニル基等のアリール基;ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル基等のアラルキル基;これらが2以上結合した基等が挙げられる。
【0102】
炭素数1〜15の炭化水素基が有していてもよい炭化水素基置換オキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ基等のアルコキシ基(例えば、炭素数1〜10のアルコキシ基);フェノキシ基等のアリールオキシ基;シクロヘキシルオキシ基、ジシクロペンタニルオキシ基等の脂環式炭化水素基置換オキシ基;ベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等の炭素数1〜15(好ましくは、炭素数1〜12)の炭化水素基置換オキシ基等が挙げられる。
【0103】
単量体成分m4の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0104】
上記のように、単量体成分m4が有する炭化水素基(炭化水素基置換オキシ基を有していてもよい)の炭素数(以下、Rの炭素数ともいう)は、1〜15であるが、特に、1〜8であるのが好ましく、1〜4であるのがより好ましい。これにより、上述した効果は、さらに顕著に発揮される。
上記のような単量体成分m4を含む重合体Mとしては、例えば、下記式(9)で表されるものがある。
【0105】
【化21】

【0106】
(単量体成分m5)
重合体Mは、芳香族ビニル化合物である単量体成分m5を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
重合体Mが単量体成分m5を含むことにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性に特に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下がより効果的に防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が特に生じにくいものとなる。
単量体成分m5の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル等が挙げられる。
【0107】
(単量体成分m6)
重合体Mは、ヒドロキシル基含有化合物である単量体成分m6を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
重合体Mが単量体成分m6を含むことにより、カラーフィルター用インクが着色剤として顔料を含む場合において、顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、着色部形成時における樹脂材料の硬化反応(特に、重合体Mに加え、後に詳述するような重合体Xを含む樹脂材料の硬化反応)をより好適に進行させることができる。
【0108】
単量体成分m6の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物、上記多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物にε−カプロラクトンを開環重合した化合物やエチレンオキサイド、若しくはプロピレンオキサイドを開環重合したヒドロキシル基含有化合物等が挙げられる。
【0109】
(単量体成分m7)
重合体Mは、3〜5員の環状エーテル基を有するビニル化合物である単量体成分m7を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
単量体成分m7(3〜5員の環状エーテル基を有するビニル化合物)には、オキシラン環(エポキシ基)含有重合性不飽和化合物、オキセタン環(オキセタニル基)含有重合性不飽和化合物、オキソラン環(オキソラニル基)含有重合性不飽和化合物が含まれる。
重合体Mが単量体成分m7を含むことにより、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の硬度や、基板に対する密着性等の更なる向上を図ることができる。
【0110】
オキシラン環(エポキシ基)含有重合性不飽和化合物としては、例えば、オキシラニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−オキシラニルエチル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3−グリシジルオキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート等のオキシラン環(単環)を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体等);3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート等の3,4−エポキシシクロヘキサン環等のエポキシ基含有脂環式炭素環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体等);5,6−エポキシ−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプチル(メタ)アクリレート等の5,6−エポキシ−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体等);エポキシ化ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート[3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、またはこれらの混合物]、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート[2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、またはこれらの混合物]、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシブチル(メタ)アクリレート、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシヘキシル(メタ)アクリレート等の3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体等)等が挙げられる。他のオキシラン環(エポキシ基)含有重合性不飽和化合物として、エポキシ基を含むビニルエーテル化合物、エポキシ基を含むアリルエーテル化合物、エポキシ基を含む芳香族ビニル化合物等を用いることもできる。エポキシ基を含む芳香族ビニル化合物としては、4−ビニルベンジルグリシジルエーテル、4−ビニルベンジルオキシラン、4−ビニルフェネチルオキシラン等のスチレン誘導体が挙げられる。
【0111】
オキセタン環(オキセタニル基)含有重合性不飽和化合物としては、例えば、オキセタニル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、2−(3−メチル−3−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3−エチル−3−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−[(3−メチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]エチル(メタ)アクリレート、2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]エチル(メタ)アクリレート、3−[(3−メチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メチルオキシ]プロピル(メタ)アクリレートや、オキセタニル基を含むビニルエーテル化合物、オキセタニル基を含むアリルエーテル化合物等が挙げられる。
オキソラン環(オキソラニル基)含有重合性不飽和化合物としては、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートや、オキソラニル基を含むビニルエーテル化合物、オキソラニル基を含むアリルエーテル化合物等が挙げられる。
【0112】
カラーフィルター用インクを構成する重合体Mが、上述したような単量体成分m7を含むものである場合、3〜5員の環状エーテル基(オキシラン環(エポキシ基)、オキセタン環(オキセタニル基)、オキソラン環(オキソラニル基))は硬化性基として作用する。3〜5員の環状エーテル基は、主に耐薬品性(耐溶剤性、耐アルカリ性等)の向上に寄与する。
【0113】
重合体Mが、単量体成分m1、m2、m3に加え、さらに、単量体成分m4、m5、m6およびm7よりなる群から選択される少なくとも1種の単量体成分を含むものである場合、重合体M中における単量体成分m4、m5、m6およびm7の含有率の総和は、60wt%以下であるのが好ましく、50wt%以下であるのがより好ましく、40wt%以下であるのがさらに好ましい。これにより、上述した単量体成分m1、m2、m3を含むことによる効果を十分に発揮させつつ、単量体成分m4、m5、m6、m7を含むことによる効果が発揮される。
【0114】
重合体Mの重量平均分子量は、500以上100000以下であるのが好ましく、1000以上40000以下であるのがより好ましく、2000以上30000以下であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターについてのコントラスト比、明度を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクの保存安定性(長期安定性)、吐出安定性、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
【0115】
また、重合体Mの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1以上3以下であるのが好ましい。
また、カラーフィルター用インク中における重合体Mの含有率Cは、0.5wt%以上12wt%以下であるのが好ましく、1.0wt%以上9.0wt%以下であるのがより好ましい。
上述したように本実施形態において、樹脂材料は、重合体Mを含むものであるが、さらに、他の樹脂成分(重合体)を含むものであってもよい。
【0116】
このような樹脂成分(重合体)としては、例えば、以下に述べるような重合体X、重合体Yが挙げられる。
[重合体X]
重合体Xは、下記式(11)で表される単量体成分x1と下記式(13)で表される単量体成分x3と下記式(14)で表される単量体成分x4とを含むものである。重合体Xとしては、例えば、下記式(17)で表されるものがある。
【0117】
【化22】

【0118】
【化23】

【0119】
【化24】

【0120】
【化25】

【0121】
このような重合体Xを含むことにより、樹脂材料全体としての硬化反応のスイッチング特性や、カラーフィルター用インク中における各重合体成分の親和性、相溶性を十分に優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の耐溶剤性等を特に優れたものとすることができ、また、形成される着色部の表面の平坦性を特に高いものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターの各部位での色むら、濃度むらの発生やコントラストの低下等をより確実に防止することができ、カラーフィルターの耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクが重合体Xを含むものであると、上述したような洗浄液により、液滴吐出装置のインクの流路における汚れ、液滴吐出ヘッドの目詰まりをより好適に解消することができる。
なお、重合体Xは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Xが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分x1、x3およびx4を含有するものである。
【0122】
(単量体成分x1)
重合体Xは、上記式(11)で表される単量体成分x1を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。すなわち、単量体成分x1を含有することにより、樹脂材料についての硬化反応のスイッチング特性を特に優れたものとすることができる。また、単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を優れたものとすることができる。また、単量体成分x1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
【0123】
重合体X中における単量体成分x1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、30wt%以上90wt%以下であるのが好ましく、40wt%以上80wt%以下であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x1の含有率が前記範囲内の値であると、後に詳述する単量体成分x2、x3、x4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x1の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x1を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x1の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x2、x3、x4の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Xの高温での反応速度が低下し、十分に優れた生産性でカラーフィルターを製造するのが困難となる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x1を含有しているのが好ましい。
【0124】
(単量体成分x2)
重合体Xは、下記式(12)で表される単量体成分x2を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
【0125】
【化26】

【0126】
このような単量体成分x2を単量体成分として含有すること(特に、上述した単量体成分x1や後に詳述する単量体成分x3とともに含有すること)により、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。特に、加熱環境下での着色部形成工程(硬化工程)において、樹脂材料の重合反応の立ち上がりをより良好なものとすることができるとともに、継続的に重合反応の進行させることができる。また、単量体成分x2を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を特に優れたものとすることができる。
単量体成分x2を単量体成分として含有する重合体Xとしては、例えば、下記式(19)で表されるものがある。
【0127】
【化27】

【0128】
重合体X中における単量体成分x2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、5wt%以上60wt%以下であるのが好ましく、10wt%以上50wt%以下であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x2の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分x1および後に詳述する単量体成分x3、x4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x2の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x2を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x2の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x3、x4の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Xの比較的低温での反応性が増し、カラーフィルター用インクの保存安定性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x2を含有しているのが好ましい。
【0129】
(単量体成分x3)
重合体Xは、上記式(13)で表される単量体成分x3を単量体成分として含有してなるものである。
単量体成分x3を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の耐薬品性、耐溶剤性等を特に優れたものとすることができる。これにより、着色部形成工程(硬化工程)の後に、薬品塗布や洗浄(特に、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、イソプロピルアルコール、塩酸、水酸化ナトリウム水溶液等を用いた洗浄)等の後処理を行った場合であっても、これらによる悪影響の発生を確実に防止することができる。
【0130】
また、単量体成分x3は、重合体Xにおいて、上述した単量体成分x1と同様に、比較的低い温度(例えば、100℃以下)での反応性が十分に低いのに対し、着色部形成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下では、十分な反応性を示すものである。このため、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。
また、単量体成分x3を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
【0131】
重合体X中における単量体成分x3の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、2wt%以上20wt%以下であるのが好ましく、3wt%以上15wt%以下であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x3の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分x1、x2および後に詳述する単量体成分x4の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x3の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x3を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x3の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x2、x4の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部が硬くなりすぎ、温度変化に伴う基板等の変形に対する追従性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x3の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x3を含有しているのが好ましい。
【0132】
(単量体成分x4)
重合体Xは、上記式(14)で表される単量体成分x4を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分x4を単量体成分として含有することにより、着色部の形成時、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから液性媒体を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インクのチキソトロピック性および粘度が上昇し、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じることをより確実に防止することができる。
【0133】
また、単量体成分x4は、その末端に水酸基を有している。このような構造を有することにより、比較的低い温度(例えば、100℃以下)における反応性を十分に低いものとしつつ、着色部形成工程(硬化工程)で施す熱処理のような加熱環境下における反応性をさらに高めることができる。これにより、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)を確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)をより好適に進行させることができる。
また、単量体成分x4を単量体成分として含有することにより、例えば、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター用インクの長期保存性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
【0134】
重合体X中における単量体成分x4の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、2wt%以上20wt%以下であるのが好ましく、3wt%以上15wt%以下であるのがより好ましい。重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分x1、x2、x3の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分x4を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体X中における単量体成分x4の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分x1、x2、x3の含有率が低下し、これらの機能が十分に発揮されない可能性がある。また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の硬度が低下する傾向が現れる。なお、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分x4の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Xが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分x4を含有しているのが好ましい。
なお、重合体Xは、上述した単量体成分x1、x2、x3、x4以外の単量体成分(その他の単量体成分)を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮しつつ、その他の単量体成分の化学構造に由来する効果も得ることができる。
重合体Xが、その他の単量体成分(単量体成分x1、x2、x3、x4以外の単量体成分)を含むものである場合、重合体X中におけるその他の単量体成分の含有率(複数種のその他の単量体成分を含む場合にはこれらの含有率の和)は、15wt%以下であるのが好ましく、10wt%以下であるのがより好ましい。
【0135】
重合体Xの重量平均分子量は、1000以上50000以下であるのが好ましく、1200以上10000以下であるのがより好ましく、1500以上5000以下であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Xの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1以上3以下であるのが好ましい。
【0136】
[重合体Y]
重合体Yは、下記式(15)で表される単量体成分y1を含むものである。重合体Yとしては、例えば、下記式(18)で表されるものがある。
【0137】
【化28】

【0138】
【化29】

【0139】
このような重合体Yを含むことにより、カラーフィルター用インクの吐出安定性、カラーフィルター中における顔料の分散安定性等を優れたものとしつつ、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の基板に対する密着性を特に優れたものとすることができ、製造されるカラーフィルターの耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクが重合体Yを含むものであると、上述したような洗浄液により、液滴吐出装置のインクの流路における汚れ、液滴吐出ヘッドの目詰まりをより好適に解消することができる。
なお、重合体Yは、実質的に単一の化合物からなるものであってもよいし、複数種の化合物の混合物であってもよい。ただし、重合体Yが複数種の化合物の混合物である場合、各化合物が、単量体成分y1を含有するものである。
【0140】
(単量体成分y1)
重合体Yは、上記式(15)で表される単量体成分y1を単量体成分として含有してなるものである。
このような単量体成分y1を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の基板に対する密着性を特に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルターの耐久性を特に優れたものとすることができる。
【0141】
重合体Y中における単量体成分y1の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、30wt%以上90wt%以下であるのが好ましく、40wt%以上80wt%以下であるのがより好ましい。重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記範囲内の値であると、例えば、重合体Yが単量体成分として後に詳述する単量体成分y2を含む場合において、当該単量体成分y2の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分y1を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体Y中における単量体成分y1の含有率が前記上限値を超えると、例えば、重合体Yが単量体成分として後に詳述する単量体成分y2を含む場合において、相対的に単量体成分y2の含有率が低下し、単量体成分y2の機能が十分に発揮されない可能性がある。また、着色部の形成時、基板上に付与されたカラーフィルター用インクから液性媒体を除去する際に、固形分濃度の上昇に伴ってカラーフィルター用インクの粘度が上昇する傾向が現れ、形成される着色部の表面に不本意な凹凸が生じ易くなる。なお、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分y1の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分y1を含有しているのが好ましい。
【0142】
(単量体成分y2)
重合体Yは、下記式(16)で表される単量体成分y2を単量体成分として含有してなるものであってもよい。
【0143】
【化30】

【0144】
このような単量体成分y2を単量体成分として含有すること(特に、上述した単量体成分y1とともに含有すること)により、カラーフィルター用インクの保存時や後述するインク付与工程等における樹脂材料の不本意な反応(重合反応)をより確実に防止しつつ、加熱環境下で行う着色部形成工程(硬化工程)においては、樹脂材料の硬化反応(重合反応)を好適に進行させることができる。特に、加熱環境下での着色部形成工程(硬化工程)において、樹脂材料の重合反応の立ち上がりを良好なものとすることができるとともに、継続的に重合反応の進行させることができる。また、単量体成分y2を単量体成分として含有することにより、形成される着色部の硬度等を優れたものとすることができる。
【0145】
また、重合体Yが単量体成分y2を含有することにより、重合体Mや重合体X等との親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができる。その結果、カラーフィルター用インクの吐出安定性を優れたものとすることができ、また、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部は、透明性に優れ(樹脂材料の不透明性による光透過率の低下が防止され)、基板に対する密着性が特に優れ、クラック等の問題が生じにくいものとなる。これに対し、単量体成分y2を単量体成分として含有しない場合、重合体M等との親和性、相溶性を十分に優れたものとすることができず、カラーフィルター用インクは、吐出安定性に劣ったものとなり、また、製造されるカラーフィルターは、色むらや濃度むらが発生し易く、コントラストや耐久性、信頼性等を十分に優れたものとするのが困難となる。
単量体成分y2を単量体成分として含有する重合体Yとしては、例えば、下記式(20)で表されるものがある。
【0146】
【化31】

【0147】
重合体Y中における単量体成分y2の含有率(重合体の合成に用いる単量体の重量で換算して求められる値)は、10wt%以上70wt%以下であるのが好ましく、20wt%以上60wt%以下であるのがより好ましい。重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記範囲内の値であると、前述した単量体成分y1の機能を阻害することなく、上述したような効果をより顕著に発現させることができる。これに対し、重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記下限値未満であると、単量体成分y2を含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、重合体Y中における単量体成分y2の含有率が前記上限値を超えると、相対的に単量体成分y1の含有率が低下し、単量体成分y1の機能が十分に発揮されない可能性がある。また、重合体Yの比較的低温での反応性が増し、カラーフィルター用インクの保存安定性が低下する傾向が現れる。なお、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、単量体成分y2の含有率の値としては、これらの化合物についての加重平均値(重量比に基づいた加重平均値)を採用することができる。また、重合体Yが、複数種の化合物の混合物である場合、これらの化合物が、いずれも、上記のような含有率で単量体成分y2を含有しているのが好ましい。
【0148】
なお、重合体Yは、上述した単量体成分y1、y2以外の単量体成分(その他の単量体成分)を含むものであってもよい。これにより、例えば、上記のような特性を発揮しつつ、その他の単量体成分の化学構造に由来する効果も得ることができる。
重合体Yが、その他の単量体成分(単量体成分y1、y2以外の単量体成分)を含むものである場合、重合体Y中におけるその他の単量体成分の含有率(複数種のその他の単量体成分を含む場合にはこれらの含有率の和)は、15wt%以下であるのが好ましく、10wt%以下であるのがより好ましい。
【0149】
重合体Yの重量平均分子量は、1000以上50000以下であるのが好ましく、1200以上10000以下であるのがより好ましく、1500以上5000以下であるのがさらに好ましい。これにより、カラーフィルター用インクの経時的安定性(長期保存性)、カラーフィルター用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができるとともに、カラーフィルターの生産性を十分に優れたものとし、さらに、カラーフィルター用インクを用いて形成される着色部の平坦性をより確実に高いものとすることができ、カラーフィルターを用いて表示される画像における色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
また、重合体Yの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1以上3以下であるのが好ましい。
【0150】
なお、上述した各重合体は、最終的に上述したような構造(各単量体成分に対応する各部分構造)を有していればよく、上述した各単量体成分そのものを用いて合成されたものであってもよいし、上述した単量体成分とは異なる成分(前駆体、誘導体等)を用いて合成されたものであってもよい。
また、カラーフィルター用インク中における樹脂材料の含有率は、0.5wt%以上18wt%以下であるのが好ましく、1wt%以上15wt%以下であるのがより好ましく、3wt%以上12wt%以下であるのがさらに好ましい。
【0151】
また、カラーフィルター用インク中における樹脂材料の含有率をC[wt%]、カラーフィルター用インク中における着色剤の含有率をC[wt%]としたとき、0.2≦C/C≦9.0の関係を満足するのが好ましく、0.3≦C/C≦5.0の関係を満足するのがより好ましく、0.4≦C/C≦3.5の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、製造されるカラーフィルターのコントラスト等をより優れたものとすることができたり、着色部厚さをより薄いものとした場合であっても十分なコントラストを確保することができる。
なお、カラーフィルター用インクを構成する樹脂材料は、上述した以外の重合体(例えば、熱可塑性の重合体や上述した重合体M、X、Y以外の硬化性の重合体)を含むものであってもよい。
【0152】
<液性媒体>
液性媒体(液状媒質)は、上述したような着色剤等を、溶解および/または分散する機能を有するものである。すなわち、液性媒体は、溶媒および/または分散媒として機能するものである。そして、通常、液性媒体は、カラーフィルターを製造する過程において、その大部分が除去されるものである。
【0153】
カラーフィルター用インクを構成する液性媒体としては、例えば、エステル化合物、エーテル化合物、ヒドロキシケトン、炭酸ジエステル、環状アミド化合物等を用いることができ、中でも、〔1〕多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等)の縮合物としてのエーテル(多価アルコールエーテル)や、多価アルコールまたは多価アルコールエーテルのアルキルエーテル(例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、エステル(例えば、ホルメート、アセテート、プロピオネート等)、〔2〕多価カルボン酸(例えば、こはく酸、グルタル酸等)のエステル(例えば、メチルエステル等)、〔3〕分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基とを有する化合物(ヒドロキシ酸)のエーテル、エステル等、〔4〕多価アルコールとホスゲンとの反応で得られるような化学構造を有する炭酸ジエステルが好ましい。液性媒体として用いることのできる化合物としては、例えば、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、グルタル酸ジメチル、エチレングリコールジn−ブチレート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メチルプロピレントリグリコール、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、1,6−ジアセトキシヘキサン、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブトキシプロパノール、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、オクタン酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸シクロヘキシル、こはく酸ジエチル、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、こはく酸ジメチル、1−ブトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−n−ブチルアセテート、ジアセチン、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ブチルグリコレート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ビス(2−プロポキシエチル)エーテル、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルプロピルエーテル、トリエチレングリコールメチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、n−ノニルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ブチルセロソルブアセテート等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0154】
中でも、液性媒体としては、1,3−ブチレングリコールジアセテート、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテート、メチルプロピレントリグリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートおよびジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましく、主として、上記群を構成する化合物で構成されたものであるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における樹脂材料の溶解状態をより均一なものとすることができ、カラーフィルター用インクの吐出安定性が特に優れたものとなり、製造されるカラーフィルターを用いて表示される画像のコントラスト比、明度を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクが着色剤として顔料を含む場合においては、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、着色剤、樹脂材料等を比較的多量にカラーフィルター用インク中に含ませた場合であっても、カラーフィルター用インクの物性の変化が比較的少ないものとなる。また、液性媒体が上記のような化合物で構成されたものであると、後述するようなカラーフィルターの製造方法において、セル内全体に、カラーフィルター用インクをより確実に濡れ広がるようにすることができる。
【0155】
また、上述した中でも、液性媒体が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテートおよび2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものである場合、カラーフィルター用インクの粘度を特に低いものとすることができ、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インクが基板上ですばやく隅々まで濡れ広がるため、形成される着色部の厚さの均一性をより高いものとすることができ、色再現性および消偏性(コントラスト比)を特に優れたものとすることができる。また、液性媒体が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートを含むものである場合、水の液性媒体への溶解度を適度なものとすることができる。このため、カラーフィルター用インクを構成する液性媒体は、外部からの吸湿を確実に防止することができる。また、液滴吐出装置のカラーフィルター用インクの流路等の内部に水が混入した場合であっても、水を好適に溶解し、除去することができる。この結果、液滴吐出ヘッドからのカラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性(例えば、液滴の吐出量の均一性)をより長期にわたって、特に優れたものとすることができる。
【0156】
また、上述した中でも、液性媒体がジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテートを含むものである場合、カラーフィルター用インクがノズルの近傍で非常に乾燥しにくくなり、インク付与工程における飛行曲がりの発生がより効果的に抑制される。また、ノズルの詰まりを防ぐために定期的にカラーフィルター用インクを少量排出するために行うフラッシング工程において、長距離のヘッド移動中におけるノズル近傍のカラーフィルター用インク乾燥を防ぐことができ、基板中に設けられたダミー画素などの捨て打ちエリアが不必要となる。また、カラーフィルター用インクが乾燥しにくくなることで、着色剤、樹脂材料等の成分の劣化、凝集、偏析をより確実に防止することができる。
【0157】
また、特に、液性媒体がジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルおよびジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテートよりなる群から選択される少なくとも1種を含む場合、洗浄時における洗浄液との置換、洗浄後のインクとの置換をよりスムーズに行うことができる。
【0158】
また、液性媒体が複数種の化合物で構成される場合において、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、3−メトキシブチルアセテートおよび3−エトキシプロピオン酸エチルよりなる群から選択される1種または2種以上を副成分(副液性媒体)として含むと、以下のような効果が得られる。
【0159】
すなわち、これらの化合物(副成分としての化合物)は、比較的高い沸点を有するとともに、上述したような樹脂材料を溶解しやすい。そして、着色部形成時において、主成分となる液性媒体の大部分が揮発した後に、このような化合物(副成分)は比較的穏やかに除去される。一方で、副成分は上述した樹脂材料を溶解しやすいため、着色部形成時におけるカラーフィルター用インクの流動性を維持しやすいものである。この結果、副成分の除去時におけるカラーフィルター用インクの対流が防止されつつ、カラーフィルター用インクの高い流動性が維持され、形成される着色部は、凹凸が少ないものとなる。
また、液性媒体中に占める副成分の割合(副成分として含まれる化合物が上記から選択される2種または3種である場合はそれらの和)は、50wt%以下であればよいが、1wt%以上40wt%以下であるのが好ましい。
【0160】
液性媒体の大気圧(1気圧)下における沸点は、160℃以上300℃以下であるのが好ましく、180℃以上290℃以下であるのがより好ましく、200℃以上280℃以下であるのがさらに好ましい。液性媒体の大気圧下における沸点が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
【0161】
また、液性媒体の25℃における蒸気圧は、0.7mmHg以下であるのが好ましく、0.1mmHg以下であるのがより好ましい。液性媒体の蒸気圧が前記範囲内と値であると、カラーフィルター用インクを吐出する液滴吐出ヘッドにおける目詰まり等をより効果的に防止することができ、カラーフィルターの生産性を特に優れたものとすることができる。
【0162】
カラーフィルター用インク中における液性媒体の含有率は、50wt%以上98wt%以下であるのが好ましく、60wt%以上95wt%以下であるのがより好ましく、65wt%以上93wt%以下であるのがさらに好ましい。液性媒体の含有率が前記範囲内の値であると、カラーフィルター用インクの液滴吐出ヘッドからの吐出性を特に優れたものとしつつ、製造されるカラーフィルターの耐久性を優れたものとすることができる。また、製造されるカラーフィルターにおいて、十分な着色濃度を確保することができる。
カラーフィルター用インクは、上記以外の成分を含むものであってもよい。カラーフィルター用インクを構成する上記以外の成分としては、例えば、分散剤等が挙げられる。
【0163】
<分散剤>
カラーフィルター用インクには、分散剤が含まれていてもよい。これにより、例えば、インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター用インク中に顔料が含まれる場合、分散剤は、カラーフィルター用インク中における顔料粒子の分散性を向上させるのに寄与することができる。
【0164】
分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤が挙げられる。
特に、カラーフィルター用インクは、分散剤として、所定の酸価を有する酸価分散剤と、所定のアミン価を有するアミン価分散剤とを含むものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター用インク中における顔料の分散安定性、カラーフィルター用インクの液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
【0165】
酸価分散剤の具体例としては、ディスパービックP104、ディスパービックP104S、ディスパービック220S、ディスパービック110、ディスパービック111、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック2095(以上、ビックケミー社製);EFKA 5010、EFKA 5065、EFKA 5066、EFKA 5070、EFKA 7500、EFKA 7554(以上、チバスペシャリティ−社製);ソルスパース3000、ソルスパース16000、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース36000、ソルスパース36600、ソルスパース41000(以上、ルーブリゾール社製)、ヒノアクトKF−1000(川研ファインケミカル社製)等が挙げられる。
【0166】
また、アミン価分散剤の具体例としては、ディスパービック102、ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック166、ディスパービック167、ディスパービック168、ディスパービック2150、ディスパービックLPN6919、ディスパービック9075、ディスパービック9077(以上、ビックケミー社製);EFKA 4015、EFKA 4020、EFKA 4046、EFKA 4047、EFKA 4050、EFKA 4055、EFKA 4060、EFKA 4080、EFKA 4300、EFKA 4330、EFKA 4340、EFKA 4400、EFKA 4401、EFKA 4402、EFKA 4403、EFKA 4800(以上、チバスペシャリティ−社製);アジスパーPB711(以上、味の素ファインテクノ社製);Anti−Terra−205(ビックケミー社製)、KF−1525、ヒノアクト1300M、ヒノアクトT9050、ヒノアクトT6000、ヒノアクトT7000、ヒノアクトT8000、ヒノアクトT8000E(以上、川研ファインケミカル社製)等が挙げられる。
上記のような分散剤(酸価分散剤およびアミン価分散剤)を用いることにより、形成される着色部の色味に悪影響を与えることなく、インク中における顔料の分散安定性を優れたものとすることができる。
【0167】
酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用する場合、酸価分散剤の酸価(固形分換算したときの酸価)は、特に限定されないが、5KOHmg/g以上370KOHmg/g以下であるのが好ましく、20KOHmg/g以上270KOHmg/g以下であるのがより好ましく、30KOHmg/g以上135KOHmg/g以下であるのがさらに好ましい。酸価分散剤の酸価が前記範囲内の値であると、上述したような効果がさらに顕著に発揮される。分散剤についての酸価は、例えば、DIN EN ISO 2114に準拠する方法により求めることができる。
また、酸価分散剤は、所定のアミン価を有していないもの、すなわち、アミン価が零であるのが好ましい。
【0168】
アミン価分散剤と酸価分散剤とを併用する場合、アミン価分散剤のアミン価(固形分換算したときのアミン価)は、特に限定されないが、5KOHmg/g以上200KOHmg/g以下であるのが好ましく、25KOHmg/g以上170KOHmg/g以下であるのがより好ましく、30KOHmg/g以上130KOHmg/g以下であるのがさらに好ましい。アミン価分散剤のアミン価が前記範囲内の値であると、上述したような効果がさらに顕著に発揮される。なお、分散剤についてのアミン価は、例えば、DIN 16945に準拠する方法により求めることができる。
また、アミン価分散剤は、所定の酸価を有していないもの、すなわち、酸価が零であるのが好ましい。
【0169】
また、酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用する場合、カラーフィルター用インク中における酸価分散剤の含有率をX[wt%]、当該カラーフィルター用インク中におけるアミン価分散剤の含有率をX[wt%]としたとき、0.1≦X/X≦1の関係を満足するのが好ましく、0.15≦X/X≦0.5の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用することによる相乗効果がより顕著に発揮され、液滴の吐出安定性等を特に優れたものとすることができる。
【0170】
また、酸価分散剤の酸価をAV[KOHmg/g]、アミン価分散剤のアミン価をBV[KOHmg/g]、前記酸価分散剤の含有率をX[wt%]、前記アミン価分散剤の含有率をX[wt%]としたとき、0.01≦(AV×X)/(BV×X)≦1.9の関係を満足するのが好ましく、0.10≦(AV×X)/(BV×X)≦1.5の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、酸価分散剤とアミン価分散剤とを併用することによる相乗効果がより顕著に発揮され、液滴の吐出安定性等を特に優れたものとすることができる。
カラーフィルター用インク中における分散剤の含有率は、0.5wt%以上15wt%以下であるのが好ましく、0.5wt%以上8wt%以下であるのがより好ましい。
【0171】
<その他の成分>
カラーフィルター用インクは、上記以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。
このような成分としては、例えば、各種架橋剤、熱酸発生剤、光酸発生剤、各種重合開始剤、酸架橋剤、界面活性剤、増感剤、光安定剤、各種染料、各種分散剤、発光材料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、接着性改良剤、各種重合促進剤、各種光安定化剤、ガラス、ジルコニア、アルミナ、酸化チタン等のセラミックス、密着促進剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を用いることができる。
【0172】
レベリング剤は、カラーフィルター用インクの表面張力を低下させることにより、セル内に付与されたカラーフィルター用インクの表面を平滑化し、着色部を平坦化させるものである。このため、カラーフィルター用インクがレベリング剤を有することにより、上述したような樹脂材料の効果と相乗的に作用し、セル内のカラーフィルター用インクの表面をより平坦なものとすることができる。このため、形成される着色部はより平坦なものとなる。
【0173】
レベリング剤としては、アクリル系レベリング剤、ビニルエーテル系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、フッ素−ケイ素系レベリング剤、アセチレングリコール系レベリング剤等が挙げられる。このようなレベリング剤の中でも、アクリル系レベリング剤、ビニルエーテル系レベリング剤、アセチレングリコール系レベリング剤を用いることが好ましい。特に、サーフィノールDF−58、LHP−95、LHP−90、LF1970から選択される1種または2種以上を組み合わせて用いるのが好ましい。これにより、形成される着色部の表面がより平坦化され、得られるカラーフィルターは、各部位での色むら、濃度むらが特に小さいものとなる。
【0174】
酸化防止剤は、カラーフィルター用インクの酸化等による変質を防止するとともに、カラーフィルター用インクによって形成された着色部内において顔料や樹脂材料等の熱や光等による劣化を防止することができる。
酸化防止剤としては、各種リン系酸化防止剤、各種イオウ系酸化防止剤、各種ヒンダードフェノール系酸化防止剤、各種ヒンダーアミン系酸化防止剤等の各種酸化防止剤等が挙げられる。この中でも、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤のうち少なくとも一種を用いることが好ましく、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いることがより好ましく、TINUVIN152を用いることがさらに好ましい。このような酸化防止剤は、好適にカラーフィルター用インク、着色部の変質を効果的に防止するとともに、形成される着色部において、色、明度、コントラスト比等の光学特性に影響しにくいものである。
【0175】
カラーフィルター用インクの25℃における粘度(振動式粘度計を用いて測定される粘度)は、特に限定されないが、4mPa・s以上12mPa・s以下であるのが好ましく、5mPa・s以上11mPa・s以下であるのがより好ましい。カラーフィルター用インクの粘度が前記範囲内の値であると、インクジェット方式による液滴の吐出安定性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルターの生産効率(着色部の形成効率)を特に優れたものとすることができるとともに、着色部の厚さの不本意なばらつき等を効果的に防止することができる。なお、カラーフィルター用インクの粘度の測定は、例えば、振動式粘度計を用いて行うことができ、特に、JIS Z8809に準拠して行うことができる。
【0176】
《インクセット》
上述したようなカラーフィルター用インクは、インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられるものである。カラーフィルターは、通常、フルカラー表示に対応するため、複数色の着色部(通常は、光の三原色に対応するRGBの3色)を有している。そして、これら複数色の着色部の形成には、それぞれに対応する色の複数種のカラーフィルター用インク(例えば、赤色着色部形成用のカラーフィルター用インク(Rインク)、緑色着色部形成用のカラーフィルター用インク(Gインク)、および、青色着色部形成用のカラーフィルター用インク(Bインク))が用いられる。すなわち、カラーフィルターの製造には、複数色のカラーフィルター用インクを備えるインクセット(カラーフィルター用インクセット)が用いられる。カラーフィルターの製造においては、上述したようなカラーフィルター用インクが、少なくとも1種の着色部の形成に用いられるのが好ましく、全色の着色部の形成に用いられるのがより好ましい。これにより、より高いレベルで、各色間での、液滴の吐出安定性等のばらつきを抑制することができ、より信頼性の高いカラーフィルターを製造することができる。
【0177】
《液滴吐出装置》
次に、本発明の洗浄液(洗浄液セット)が適用される液滴吐出装置の一例について説明する。
インクジェット方式によるカラーフィルター用インクの吐出は、例えば、図1に示すような液滴吐出装置を用いて行う。図1は、カラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図である。また、上述したような洗浄液は、例えば、液滴吐出装置100におけるカラーフィルター用インクの流路に流すことによって液滴吐出装置100を洗浄し、カラーフィルター用インクの流路への付着物を除去するものである。
【0178】
図1に示すように、本工程で用いる液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク2を保持するタンク101と、チューブ110と、チューブ110を介してタンク101からカラーフィルター用インク2が供給される吐出走査部102とを備える。吐出走査部102は、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)をキャリッジに搭載してなる液滴吐出手段103と、液滴吐出手段103の位置を制御する第1位置制御装置104(移動手段)と、前記工程で隔壁13が形成された基板11(以下、単に「基板11」とも言う。)を保持するステージ106と、ステージ106の位置を制御する第2位置制御装置108(移動手段)と、制御手段112とを備えている。タンク101と、液滴吐出手段103における複数の液滴吐出ヘッドとは、チューブ110で連結されており、タンク101から複数の液滴吐出ヘッドのそれぞれにカラーフィルター用インク2が圧縮空気によって供給される。
【0179】
第1位置制御装置104は、制御手段112からの信号に応じて、液滴吐出手段103をX軸方向、およびX軸方向に直交するZ軸方向に沿って移動させる。さらに、第1位置制御装置104は、Z軸に平行な軸の回りで液滴吐出手段103を回転させる機能も有する。本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。第2位置制御装置108は、制御手段112からの信号に応じて、X軸方向およびZ軸方向の双方に直交するY軸方向に沿ってステージ106を移動させる。さらに、第2位置制御装置108は、Z軸に平行な軸の回りでステージ106を回転させる機能も有する。
ステージ106は、X軸方向とY軸方向との双方に平行な平面を有する。また、ステージ106は、後述する図3(7c)に示すようなカラーフィルター用インク2を付与すべきセル14を有する基板11をその平面上に固定、または保持できるように構成されている。
【0180】
上述のように、液滴吐出手段103は、第1位置制御装置104によってX軸方向に移動させられる。一方、ステージ106は、第2位置制御装置108によってY軸方向に移動させられる。つまり、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108によって、ステージ106に対する液滴吐出ヘッドの相対位置が変わる(ステージ106に保持された基板11と、液滴吐出手段103とが相対的に移動する)。
【0181】
制御手段112は、カラーフィルター用インク2を吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。
【0182】
なお、図示の構成では、液滴吐出装置100は、カラーフィルター用インク2を保持するタンク101、チューブ110等を1色分しか有していないが、これらの部材を、カラーフィルター1が有する複数色の着色部12に対応する複数色分有するものであってもよい。また、カラーフィルター1の製造においては、複数色のカラーフィルター用インク2に対応する複数の液滴吐出装置100を用いてもよい。
なお、本発明では、液滴吐出ヘッドは、駆動素子として、ピエゾ素子を用いるものであっても、静電アクチュエータを用いるものであってもよい。また、液滴吐出ヘッドは、駆動素子として電気熱変換素子を用い、この電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用してカラーフィルター用インクを吐出する構成であってもよい。
【0183】
また、液滴吐出装置100は、図1に示すようなインク貯留槽132および洗浄液貯留槽133を有するものである。インク貯留槽132には、カラーフィルター用インク2が貯留され、洗浄液貯留槽133には、洗浄液4が貯留されている。液滴吐出時においては、搬送路134によって、タンク101へ、カラーフィルター用インク2が搬送され、カラーフィルター1の製造に用いられる。また、洗浄時においては、搬送路134によって、タンク101へ洗浄液4が搬送されてカラーフィルター用インク2と置換されて貯留され、貯留された洗浄液4をカラーフィルター用インク2の流路に沿って流すことにより、タンク101、チューブ110、液滴吐出手段103等にあるカラーフィルター用インク2の流路の洗浄が行われる。このようにインク貯留槽132および洗浄液貯留槽133を有することにより、より簡便かつ確実にインクの流路を洗浄することができる。また、洗浄後に、効率よくカラーフィルター用インク2を流すことができ、素早く洗浄液4をカラーフィルター用インク2に置換できる。結果として、液滴吐出装置100を効率よく作動させることができ、カラーフィルター1の生産性を優れたものとすることができる。
【0184】
《液滴吐出装置の洗浄方法》
上述したような液滴吐出装置に対して、本発明の洗浄液(洗浄液セット)を用いてインクの流路を洗浄することができる。
洗浄は、いかなるときに行ってもよいが、例えば、液滴吐出の休止時、カラーフィルター用インク2の交換、補給時、液滴吐出装置100を作動させる前後、液滴吐出ヘッド交換時、インクの流路にある部品の交換時等に行うことができる。このような期間に定期的に洗浄液4による洗浄を行うことにより、液滴吐出装置100のインクの流路における汚れの付着、ノズルの目詰まりを確実に防止することができる。また、液滴吐出装置の各部品の寿命を極めて長いものとすることができ、例えば、液滴吐出ヘッドの劣化による交換を少ないものとすることができる。
【0185】
カラーフィルター用インク2の流路としては、例えば、タンク101、チューブ110、液滴吐出ヘッド等が挙げられる。特に、液滴吐出ヘッドにおけるノズル(吐出口)は、固形分が析出、付着しやすく、この結果、目詰まり、液滴の飛行曲がりが頻発しやすいものであった。しかしながら、洗浄液4を用いて洗浄を行うことにより、これらの問題を確実に解決することができる。
【0186】
また、洗浄液4による液滴吐出装置100の洗浄は、いかなる方法を用いてもよく、例えば、図1に示すように、カラーフィルター用インク2が通常流れる方向に沿って洗浄液4を流路に流すものであってもよい。また、例えば、洗浄液4をカラーフィルター用インク2が通常流れる方向とは反対の方向に沿って洗浄液4を流路に流すものであってもよい。また、例えば、液滴吐出装置100の洗浄部位に洗浄液4を塗布するものであってもよいし、噴霧するものであってもよい。
【0187】
このように、洗浄液4を、液滴吐出装置100におけるカラーフィルター用インク2の流路に接触させることによって液滴吐出装置100を洗浄し、カラーフィルター用インク2の流路への付着物を確実に除去することができる。また、カラーフィルター用インクを構成する固形分の流路への再付着を確実に防止することができる。このようなことから、本発明に係る洗浄液を用いて洗浄を行うことにより、液滴吐出装置によるカラーフィルター用インクの液滴の吐出は、吐出量が安定し、目詰まり等の少ないものとなり、長期に渡って吐出量、飛行精度等が安定したものとなる。また、このような液滴吐出装置を用いて製造したカラーフィルター1は、個体間での特性のばらつきの小さなものとなる。
【0188】
《カラーフィルター》
次に、上述したようなカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて製造されるカラーフィルター(カラーフィルター用インクおよび洗浄液を用いるカラーフィルター製造システムにより製造されるカラーフィルター)の一例について説明する。
図2は、カラーフィルターの好適な実施形態を示す断面図である。
図2に示すように、カラーフィルター1は、基板11と、上述したカラーフィルター用インクを用いて形成された着色部12とを備えている。着色部12としては、互いに異なる色の第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cが設けられている。そして、隣接する着色部12の間には、隔壁13が設けられている。
【0189】
<基板>
基板11は、光透過性を有する板状の部材で、着色部12、隔壁13を保持する機能を有している。
基板11は、実質的に透明な材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター1を透過する光により、より鮮明な画像を形成することができる。
【0190】
また、基板11は、耐熱性、機械的強度に優れたものであるのが好ましい。これにより、例えば、カラーフィルター1の製造時に加わる熱による変形等を確実に防止することができる。このような条件を満足する基板11の構成材料としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ノルボルネン系開環重合体やその水素添加物等が挙げられる。
【0191】
<着色部>
着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)を用いて形成されたものである。
着色部12は、上述したようなカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)を用いて形成されたものであるため、各画素間での特性のばらつきが小さく、不本意な混色(複数種のカラーフィルター用インクの混合)等が確実に防止されている。このため、カラーフィルター1は、色むら、濃度むら等の発生が抑制された、信頼性が高いものとなっている。また、カラーフィルター1は、着色部12の発色性に優れ、コントラストに優れたものとなっている。
【0192】
各着色部12は、後述する隔壁13により囲まれた領域であるセル14内に設けられている。
第1の着色部12A、第2の着色部12B、および第3の着色部12Cは、互いに異なる色のものである。例えば、第1の着色部12Aを赤色フィルター領域(R)、第2の着色部12Bを緑色フィルター領域(G)、第3の着色部12Cを青色フィルター領域(B)とすることができる。
【0193】
そして、一組の異なる色の着色部12A、12B、12Cで1画素を構成している。そして、カラーフィルター1においては、その横方向および縦方向に、着色部12が所定数配置されている。例えば、カラーフィルター1が、ハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1366×768個の画素が配置されており、フルハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1920×1080個の画素が配置されており、スーパーハイビジョン用のカラーフィルターである場合には7680×4320個の画素が配置されている。なお、カラーフィルター1は、例えば、有効領域外に予備の画素を備えたものであってもよい。
【0194】
<隔壁>
隣接する着色部12の間には、隔壁(バンク)13が設けられている。これにより、隣接する着色部12同士が混色してしまうのを確実に防止することができ、その結果、鮮明な画像を確実に表示することができる。
隔壁13は、透明な材料で構成されたものであってもよいが、遮光性を有する材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、コントラストに優れた画像を表示することができる。隔壁(遮光部)13の色は、特に限定されないが、黒色であるのが好ましい。これにより、表示される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
【0195】
隔壁13の高さは、特に限定されないが、着色部12の膜厚とほぼ同じであるのが好ましい。これにより、隣接する着色部12の間での混色を確実に防止することができる。隔壁13の具体的な厚さは、0.1μm以上10μm以下であるのが好ましく、0.5μm以上3.5μm以下であるのがより好ましい。これにより、隣接する着色部12の間での混色を確実に防止することができるとともに、カラーフィルター1を備えた画像表示装置、電子機器における視野角特性を優れたものとすることができる。
【0196】
隔壁13は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、例えば、主として樹脂材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、後述するような方法で、隔壁13を容易に所望の形状を有するものとして形成することができる。また、隔壁13が遮光部としての機能を有するものである場合、その構成材料として、カーボンブラック等の光吸収性の材料を含むものであってもよい。
【0197】
《カラーフィルターの製造方法》
次に、上述したようなカラーフィルター1の製造方法の一例について説明する。
図3は、カラーフィルターの製造方法を示す断面図である。
図3に示すように、本実施形態では、基板11を準備する基板準備工程(7a)と、基板11上に隔壁13を形成する隔壁形成工程(7b、7c)と、インクジェット方式によりカラーフィルター用インク2を隔壁13で囲まれた領域に付与するインク付与工程(7d)と、カラーフィルター用インク2から液性媒体を除去し、硬化性樹脂を硬化させることにより固形状の着色部12とする着色部形成工程(7e)とを有している。
【0198】
<基板準備工程>
まず、基板11を準備する(7a)。本工程で準備する基板11は、洗浄処理が施されたものであるのが好ましい。また、本工程で準備する基板11は、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理が施されたものであってもよい。
【0199】
<隔壁形成工程>
次に、基板11の隔壁形成用の感放射線性組成物を基板11の一方の面のほぼ全体に付与し、塗膜3を形成する(7b)。なお、基板11上に感放射線性組成物を付与した後、必要に応じて、プリベーク処理を行ってもよい。
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理(PEB)を行い、さらに、アルカリ現像液を用いた現像処理を行うことにより、隔壁13が形成される(7c)。
【0200】
また、現像処理の前に、塗膜3に対して撥液化処理を行ってもよい。例えば、現像処理の前に、塗膜3に対してフッ素樹脂をスタンプ法などで付与してもよいし、フッ素をプラズマ重合処理で塗膜3(感放射線性組成物)の表面にドープしてもよい。そのような処理をすることで、バンク表面(図中の上面。内壁面を除く部位)のみ撥液化して、後の工程で形成される着色部12の表面の平坦化に寄与する。また、感放射線性組成物のなかに、表面のみに配向するように、比重の軽いフッ素樹脂を添加しておいてもよい。
【0201】
<インク付与工程>
次に、インクジェット方式により、カラーフィルター用インク2を、隔壁13で囲まれたセル14内に付与する(7d)。
本工程は、形成すべき複数色の着色部12に対応する複数種のカラーフィルター用インク2を用いて行う。この際、隔壁13が設けられているため、2種以上のカラーフィルター用インク2が混ざり合うことが確実に防止される。
【0202】
また、カラーフィルター用インク2の付与は、上述したような図1に示された液滴吐出装置100を用いて、カラーフィルター1が有する複数色の着色部12に対応するカラーフィルター用インク2を、セル14内に付与することにより行う。上記のような液滴吐出装置および洗浄液を用いることにより、カラーフィルター用インク2の吐出性が優れたものとなり、セル14内に、効率よく所望の量のカラーフィルター用インク2を付与することができる。
【0203】
<着色部形成工程(硬化工程)>
次に、セル14内のカラーフィルター用インク2から液性媒体を除去し、硬化性樹脂を硬化させることにより固形状の着色部12とする(7e)。これにより、カラーフィルター1が得られる。
本工程は、通常、加熱により行う。本工程を加熱により行うことにより、形成される着色部12の基板11に対する密着性を特に優れたものとすることができる。また、形成される着色部12内にカラーフィルター用インクの液性媒体が残存することを確実に防止することができる。その結果、カラーフィルター1の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。また、カラーフィルター1の生産性も向上する。
【0204】
本工程での加熱温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、100℃以上280℃以下であるのが好ましく、110℃以上250℃以下であるのがより好ましい。これにより、着色部12の構成材料の不本意な劣化・分解等を防止しつつ、樹脂材料の硬化反応を効率よく進行させ、さらに、カラーフィルター用インク2から好適に液性媒体を除去できる。
また、本工程での加熱時間は、特に限定されないが、30分以上190分以下であることが好ましく、40分以上130分以下であることがより好ましい。
【0205】
また、本工程は、温度の異なる複数の加熱処理を行ってもよい。具体的には、本工程において、比較的低温で基板11の加熱を行う第1の加熱処理と、第1の加熱処理よりも高い温度で基板11の加熱を行う第2の加熱処理とを施してもよい。
これにより、着色部12の構成材料の不本意な劣化・分解等を防止し、カラーフィルター1の生産性を向上させ、さらに、形成される着色部12に液性媒体が残存すること等を効果的に防止することができる。
【0206】
また、本工程において、比較的低温で基板11の加熱を行う第1の加熱処理と、第1の加熱処理よりも高い温度で基板11の加熱を行う第2の加熱処理とを施すことにより、着色部12の表面の平坦性をより高いものとすることができる。
このような場合、第1の加熱処理にて比較的低温で基板11を加熱することにより、カラーフィルター用インク2の対流を防止しつつ、穏やかに液性媒体を除去し、カラーフィルター用インク2の表面を平坦なものとした状態で、流動性を消失または低減させることができる。また、比較的低温で加熱することにより、不本意な樹脂材料の硬化反応を防止することができる。
また、第2の加熱処理では、第1の加熱処理では除去できなかった液性媒体を完全に除去することができる。また、本工程で、樹脂材料を反応させてカラーフィルター用インク2を硬化させる場合、第1の加熱処理において表面が平坦な状態で固定されたカラーフィルター用インク2を、効率よくその形状で硬化させることができる。
【0207】
上記のように、本工程において第1の加熱処理および第2の加熱処理を施す場合、第1の加熱処理での処理温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、30℃以上100℃以下であるのが好ましく、40℃以上80℃以下であるのがより好ましい。これにより、カラーフィルター用インク2の対流を確実に防止しつつ、カラーフィルター用インク2から好適に液性媒体を除去できる。
また、第1の加熱処理の時間は、特に限定されないが、3分以上50分以下であることが好ましく、5分以上40分以下であることがより好ましい。
【0208】
また、第2の加熱処理での処理温度(加熱された基板11の温度)は、特に限定されないが、120℃以上280℃以下であるのが好ましく、150℃以上250℃以下であるのがより好ましい。これにより、第1の加熱処理では除去できなかった液性媒体を完全に除去することができる。また、本工程で、樹脂材料(硬化性樹脂材料)を反応させてカラーフィルター用インク2を硬化させる場合、第1の加熱処理において表面が平坦な状態で固定されたカラーフィルター用インク2を、効率よくその形状で硬化させることができる。
また、第2の加熱処理の時間は、特に限定されないが、25分以上150分以下であることが好ましく、30分以上100分以下であることがより好ましい。
【0209】
また、本工程においては、例えば、活性エネルギー線の照射や、カラーフィルター用インク2が付与された基板11を減圧環境下に置く等の処理を行ってもよい。
活性エネルギー線を照射することにより、硬化性樹脂の硬化反応を効率よく進行させたり、加熱温度を比較的低いものとした場合であっても、硬化性樹脂の硬化反応を確実に進行させることができ、基板11等への悪影響の発生がより確実に防止される等の効果が得られる。活性エネルギー線としては、種々の波長の光線、例えば、紫外線、X線、g線、i線、エキシマレーザー等を使用することができる。
【0210】
また、カラーフィルター用インク2が付与された基板11を減圧環境下に置く(減圧処理を施す)ことにより、液性媒体をより効率よく除去することができたり、画素(セル)内での着色部の形状を、確実に好ましいものとすることができたり、加熱温度を比較的低いものとした場合であっても、液性媒体を確実に除去することができ、基板11、形成される着色部12等への悪影響の発生がより確実に防止される等の効果が得られる。また、加熱処理および減圧処理を併用することにより、より効率よく着色部を形成することができる。
【0211】
《画像表示装置》
次に、カラーフィルター1を有する画像表示装置(電気光学装置)である液晶表示装置の好適な実施形態について説明する。
図4は、液晶表示装置の好適な実施形態を示す断面図である。同図に示すように、液晶表示装置60は、カラーフィルター1と、カラーフィルター1の着色部12が設けられた面側に配された基板(対向基板)66と、カラーフィルター1と基板66との間の空隙に封入された液晶よりなる液晶層62と、カラーフィルター1の基板11の液晶層62に対向する面とは反対の面側(図4中下側)に設けられた偏光板67と、基板66の液晶層62に対向する面とは反対の面側(図4中上側)に設けられた偏光板68とを有している。そして、カラーフィルター1の着色部12および隔壁13が設けられた面(着色部12および隔壁13の基板11に対向する面とは反対の面)には、共通電極61が設けられており、基板(対向基板)66の液晶層62、カラーフィルター1に対向する面には、カラーフィルター1の各着色部12に対応する位置に、マトリクス状に、画素電極65が配されている。さらに、共通電極61と液晶層62との間には配向膜64が設けられ、基板66(画素電極65)と液晶層62との間には配向膜63が設けられている。
【0212】
基板66は、可視光に対して光透過性を有する基板であり、例えば、ガラス基板である。
共通電極61、画素電極65は、可視光に対して光透過性を有する材料で構成されたものであり、例えば、ITO等で構成されている。
また、図中省略しているが、各画素電極65に対応するように、複数のスイッチング素子(例えば、TFT:薄膜トランジスター)が設けられている。そして、各着色部12に対応する各画素電極65について、共通電極61との間での電圧の印加状態を制御することにより、各着色部12(各画素電極65)に対応する領域での、光の透過性を制御することができる。
【0213】
液晶表示装置60では、図示しないバックライトから発せられた光が、偏光板68側(図4中上側)から入射するようになっている。そして、液晶層62を透過し、カラーフィルター1の各着色部12(12A、12B、12C)に入射した光は、各着色部12(12A、12B、12C)に対応する色の光として、偏光板67(図4中下側)から出射する。
上述したように、着色部12は、上述したような洗浄液を適用した液滴吐出装置およびカラーフィルター用インク2を用いて形成されたものであるため、各色間、各画素間での特性のばらつきが抑制されたものである。その結果、液晶表示装置60において、各部位での色むら、濃度むら等が抑制された画像を安定的に表示することができる。
【0214】
《電子機器》
前述したようなカラーフィルター1を有する液晶表示装置等の画像表示装置(電気光学装置)1000は、各種電子機器の表示部に用いることができる。
図5は、カラーフィルターを有する画像表示装置を備えた電子機器としてのモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピューター1100においては、表示ユニット1106が画像表示装置1000を備えている。
図6は、カラーフィルターを有する画像表示装置を備えた電子機器としての携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、画像表示装置1000を表示部に備えている。
【0215】
図7は、カラーフィルターを有する画像表示装置を備えた電子機器としてのディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
【0216】
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、画像表示装置1000が表示部に設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリーが設置されている。
【0217】
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリーに転送・格納される。
【0218】
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリーに格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。
【0219】
なお、上述した画像表示装置は、上述したパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、携帯電話機、ディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビ(例えば、液晶テレビ)や、ビデオカメラ、ビューファインダー型、モニター直視型のビデオテープレコーダー、ラップトップ型パーソナルコンピューター、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニター類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。中でも、テレビは、近年の表示部の大型化の傾向が顕著であるが、このような大型の表示部(例えば、対角線長80cm以上の表示部)を有する電子機器では、従来のカラーフィルター用インクを用いて製造されるカラーフィルターを適用した場合、色むら、濃度むら等の問題を特に生じ易かったが、本発明の洗浄液を液滴吐出装置に適用しつつ、カラーフィルター用インクの吐出を行うことで、このような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、上記のような大型の表示部を有する電子機器に適用した場合に、本発明の効果は、より顕著に発揮される。
【0220】
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態においては、各色の着色部に対応するカラーフィルター用インクを、セル内に付与した後に、一括で、セル内の各色のカラーフィルター用インクから液性媒体を除去し、硬化性樹脂を硬化させるもの、すなわち、着色部形成工程(硬化工程)を1回のみ行うものとして説明したが、インク付与工程および着色部形成工程は、各色に対応して、繰り返し行うものであってもよい。
【0221】
また、カラーフィルター、画像表示装置、電子機器を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。例えば、本発明において、カラーフィルターは、着色部の基板に対向する面とは反対の面側に、着色部を被覆する保護膜が設けられていてもよい。これにより、着色部の損傷や劣化等をより効果的に防止することができる。
【0222】
また、洗浄液は、脱気等の処理が行われたものであってもよい。これにより、洗浄液中に溶解した溶存気体を確実に取り除くことができる。このため、洗浄液による洗浄時において、気泡等が発生し、インクの流路等に残存することを確実に防止することができる。
また、前述した実施形態においては、洗浄液をインクの流路等のインクの洗浄にのみに対して用いる場合について中心的に説明したが、本発明の洗浄液は、他の部分を洗浄するものであってもよい。
また、例えば、洗浄液は、液滴吐出装置の休止時等にインクの流路を満たすために用いてもよい。このようにインクの流路を液体で満たすことにより、液滴吐出装置のインクの流路の濡れ性、特に吐出口の濡れ性を優れたものとして維持することができる。
【0223】
また、例えば、液滴吐出装置のインクの流路が液体で満たされていないときに、洗浄液を流して、インクの流路を液体で満たすものであってもよい。洗浄液を流した後に、インクを流路に充填することにより、効率よくインクを充填することができる。
また、前述した実施形態においては、液滴吐出装置は、インク貯留槽と洗浄液貯留槽を備えるものとして説明したが、液滴吐出装置は、これらを備えていなくてもよい。
【0224】
また、前述した実施形態では、カラーフィルター用インクセットが、光の三原色に対応する3種(3色)のカラーフィルター用インクを備える場合について中心的に説明したが、カラーフィルター用インクセットを構成するカラーフィルター用インクの数、種類(色)は、上述したものに限定されない。例えば、本発明においてカラーフィルター用インクセットは、4種以上のカラーフィルター用インクを備えるものであってもよい。
【実施例】
【0225】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]重合体の合成
(合成例1)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(液性媒体)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:100重量部を入れて、80℃に加熱した。続いて、該フラスコ内に、単量体成分m1としてのメタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(=2−(1−メチルプロピリデンアミノオキシカルボニルアミノエチル)メタクリレート):60重量部、単量体成分m2としてのメタクリル酸:20重量部、単量体成分m3としてのステアリルメタクリレート:20重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:30重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。一方、ラジカル開始剤(重合開始剤)としてのアゾビスジメチルバレロニトリル:5重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:90重量部に溶解させた溶液を、別の滴下ポンプを用いて4時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の滴下が終了した後、4時間同温度に保持(熟成)し、その後、室温まで冷却して、単量体成分m1、m2、m3を含み上記式(8)で表される重合体Mとしての重合体M1を得た。
(合成例2〜8)
重合体の合成に用いる溶媒(液性媒体)および単量体成分の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表1に示すように変更した以外は、前記合成例1と同様の操作を行った。その結果、7種の重合体M(重合体M2〜M8)が得られた。
【0226】
(合成例9)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(液性媒体)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:314重量部を入れて、90℃に加熱した。続いて、ラジカル開始剤としての2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):20重量部、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒):30重量部を加えた後、該フラスコ内に、上記式(11)で表される単量体成分(化合物)x1:180重量部、上記式(12)で表される単量体成分(化合物)x2:90重量部、上記式(13)で表される単量体成分(化合物)x3:15重量部、上記式(14)で表される単量体成分(化合物)x4:15重量部、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):50重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:200重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに4時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分x1、x2、x3、x4を含み上記式(19)で表される重合体Xとしての重合体X1を得た。
(合成例10〜16)
重合体の合成に用いる溶媒(液性媒体)の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表1に示すように変更した以外は、前記合成例9と同様の操作を行った。その結果、7種の重合体X(重合体X2〜X8)が得られた。
【0227】
(合成例17)
攪拌機、還流冷却機、滴下漏斗、窒素導入管および温度計を備えた反応容器(フラスコ)に、溶媒(液性媒体)としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:314重量部を入れて、90℃に加熱した。続いて、ラジカル開始剤としての2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):20重量部、および、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(溶媒):30重量部を加えた後、該フラスコ内に、上記式(15)で表される単量体成分(化合物)y1:200重量部、上記式(16)で表される単量体成分(化合物)y2:100重量部、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN):50重量部をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:200重量部に溶解させた溶液を滴下ポンプを用いて5時間かけて滴下し、さらに4時間熟成させた。その後、室温まで冷却して、単量体成分y1、y2を含み上記式(20)で表される重合体Yとしての重合体Y1を得た。
(合成例18、19)
重合体の合成に用いる溶媒(液性媒体)の種類、各成分の比率を調整し、重合体の組成を表1に示すように変更した以外は、前記合成例17と同様の操作を行った。その結果、2種の重合体Y(重合体Y2、Y3)が得られた。
【0228】
表1には、合成例1〜19で合成した各重合体を構成する各単量体成分の比率、各重合体の重量平均分子量Mwをまとめて示した。表中、メタクリル酸2−[O−(1′−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(=2−(1−メチルプロピリデンアミノオキシカルボニルアミノエチル)メタクリレート)を「m1a」で示し、メタクリル酸2−(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)カルボニルアミノエチルを「m1b」で示し、アクリル酸2−(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)カルボニルアミノエチルを「m1c」で示し、メタクリル酸を「m2a」で示し、アクリル酸を「m2b」で示し、ステアリルメタクリレートを「m3a」で示し、ベヘニルメタクリレートを「m3b」で示し、パルミチルアクリレートを「m3c」で示し、リグノセリルメタクリレートを「m3d」で示し、メタクリル酸メチルを「m4a」で示し、アクリル酸エチルを「m4b」で示し、アクリル酸ペンチルを「m4c」で示し、スチレンを「m5」で示し、
2−ヒドロキシエチルメタクリレートを「m6」で示し、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルアクリレートと3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルアクリレートの混合物を「m7」で示した。なお、上記のようにして合成した重合体は、いずれも、分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1以上3以下の範囲内であった。
【0229】
【表1】

【0230】
[2]洗浄液およびカラーフィルター用インクの調製
(実施例1)
[洗浄液の調製]
酸価分散剤としてのディスパービック111と、アミン価分散剤としてのディスパービック166と、下記式(36)で示される化合物Aと、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートと、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルと、3−エトキシプロピオン酸エチルとを混合することにより、洗浄液を得た。
【0231】
【化32】

【0232】
[カラーフィルター用インクの調製]
C.I.ピグメントレッド177と上記式(30)で表される顔料誘導体との混合物と、C.I.ピグメントレッド254と上記式(31)で表される顔料誘導体との混合物と、下記式(34)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体の粉末と、C.I.ピグメントイエロー150の粉末と、重合体M1と、重合体X1と、重合体Y1と、酸価分散剤としてのディスパービック111と、アミン価分散剤としてのディスパービック166と、レベリング剤(サーフィノールDF58、日信化学工業(株)社製)と、酸化防止剤(TINUVIN 152、チバジャパン株式会社製)と、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(液性媒体)とジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(液性媒体)と3−エトキシプロピオン酸エチル(液性媒体)とを用いて、液性媒体中に顔料が分散した赤色のカラーフィルター用インク(Rインク)を調製した。
【0233】
【化33】

【0234】
また、顔料の種類、各成分の使用量を変更した以外は、前記赤色のカラーフィルター用インクと同様にして、緑色のカラーフィルター用インク(Gインク)、青色のカラーフィルター用インク(Bインク)を調製した。これにより、R、G、Bの3色のインクからなるカラーフィルター用インクセットが得られた。Rインクを構成する顔料の平均粒径、Gインクを構成する顔料の平均粒径、Bインクを構成する顔料の平均粒径は、それぞれ、70nm、70nm、70nmであった。
【0235】
(実施例2〜5)
洗浄液の調製に用いる材料の種類・使用量を表2に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして洗浄液を調製した。
また、カラーフィルター用インクの調製に用いる材料の種類・使用量を表5に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)を調製した。
【0236】
(実施例6)
酸価分散剤としてのディスパービック111と、アミン価分散剤としてのディスパービック166と、上記式(36)で示される化合物Aと、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートと、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルと、3−エトキシプロピオン酸エチルと、C.I.ピグメントレッド177と上記式(30)で表される顔料誘導体との混合物と、C.I.ピグメントレッド254と上記式(31)で表される顔料誘導体との混合物と、上記式(34)で示される化学構造を有するスルホン化顔料誘導体の粉末と、C.I.ピグメントイエロー150の粉末とを混合することにより、洗浄液(赤色顔料を含む洗浄液(R洗浄液))を得た。
【0237】
また、顔料の種類、各成分の使用量を変更した以外は、前記赤色顔料を含む洗浄液と同様にして、緑色顔料を含む洗浄液(G洗浄液)、青色顔料を含む洗浄液(B洗浄液)を調製した。これにより、R洗浄液、G洗浄液、B洗浄液の3種からなる洗浄液セットが得られた。すなわち、本実施例では、カラーフィルター用インクセットを構成する各カラーフィルター用インクに対応する、複数種の洗浄液を備えた洗浄液セットを得た。R洗浄液を構成する顔料の平均粒径、G洗浄液を構成する顔料の平均粒径、B洗浄液を構成する顔料の平均粒径は、それぞれ、50nm、50nm、50nmであった。
また、カラーフィルター用インクについては、前記実施例1と同様にして調製した。
【0238】
(実施例7〜10)
洗浄液の調製に用いる材料の種類・使用量を表2、表3に示すように変更した以外は、前記実施例6と同様にして洗浄液(洗浄液セット)を得た。
また、カラーフィルター用インクの調製に用いる材料の種類・使用量を表5、表6に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)を調製した。
【0239】
(実施例11)
洗浄液セットを構成する各洗浄液の調製に、さらに、セラミックス粒子としてのジルコニア(ZrO)粒子を用いるとともに、液性媒体の組成を変更した以外は、前記実施例6と同様にして洗浄液(洗浄液セット)を得た。
また、カラーフィルター用インクについては、液性媒体の組成を変更した以外は、前記実施例1と同様にして調製した。
【0240】
(実施例12〜15)
洗浄液の調製に用いる材料の種類・使用量を表3に示すように変更した以外は、前記実施例11と同様にして洗浄液(洗浄液セット)を得た。
また、カラーフィルター用インクの調製に用いる材料の種類・使用量を表6に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)を調製した。
【0241】
(実施例16)
洗浄液セットを構成する各洗浄液の調製に、さらに、セラミックス粒子としてのガラス粒子を用いるとともに、液性媒体の組成を変更した以外は、前記実施例6と同様にして洗浄液(洗浄液セット)を得た。なお、ガラス粒子としては、無アルカリガラス(SiO:55.0wt%、CaO:23.0wt%、Al:14.2wt%、B:5.8wt%、MgO:0.2wt%、NaO:0.4wt%、KO:0.2wt%、Fe:0.2wt%、TiO:0.4wt%、F:0.5wt%、SrO:0.1wt%)で構成された粒子を用いた。
また、カラーフィルター用インクについては、液性媒体の組成を変更した以外は、前記実施例1と同様にして調製した。
【0242】
(実施例17〜20)
洗浄液の調製に用いる材料の種類・使用量を表4に示すように変更した以外は、前記実施例16と同様にして洗浄液(洗浄液セット)を得た。
また、カラーフィルター用インクの調製に用いる材料の種類・使用量を表7に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にしてカラーフィルター用インク(カラーフィルター用インクセット)を調製した。
【0243】
(比較例1)
化合物Aを用いずに、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルおよび3−エトキシプロピオン酸エチルの使用量を変更した以外は、前記実施例1と同様にして洗浄液を調製した。
また、カラーフィルター用インクについては、前記実施例1と同様にして調製した。
(比較例2〜4)
洗浄液の調製に用いる材料の種類・使用量を表4に示すように変更した以外は、前記比較例1と同様にして洗浄液(洗浄液セット)を得た。
また、カラーフィルター用インクについては、前記実施例1と同様にして調製した。
【0244】
前記各実施例および各比較例について、洗浄液の組成を、表2、表3、表4にまとめて示した。また、カラーフィルター用インクの組成を、表5、表6、表7にまとめて示した。なお、表中、C.I.ピグメントレッド177を「PR177」、C.I.ピグメントレッド254を「PR254」、C.I.ピグメントレッド177と式(30)で表される顔料誘導体との混合物を「PR177D」、C.I.ピグメントレッド254と式(31)で表される顔料誘導体との混合物を「PR254D」、上記式(34)で表される顔料誘導体(分子内のスルホ基が1個)で構成された粉末を「SPD1」、下記式(35)で表される顔料誘導体(分子内のスルホ基が2個)で構成された粉末を「SPD2」、C.I.ピグメントグリーン36を「PG36」、C.I.ピグメントグリーン58を「PG58」、C.I.ピグメントブルー15:6を「PB15:6」、C.I.ピグメントイエロー150を「PY150」、C.I.ピグメントバイオレット23を「PV23」、ディスパービック111(酸価:50KOHmg/g)を「DA1」、ディスパービック2095(酸価:13KOHmg/g)を「DA2」、ディスパービックP104(酸価:360KOHmg/g)を「DA3」、ディスパービック166(アミン価:115KOHmg/g)を「DA4」、ディスパービック9075(アミン価:12KOHmg/g)を「DA5」、ディスパービック2001を「DA6」、レベリング剤(サーフィノールDF58、日信化学工業(株)社製)を「DF58」、レベリング剤(LHP−90、楠本化成社製)を「L90」、レベリング剤(LHP−95、楠本化成社製)を「L95」、レベリング剤(オルフィンSPC、日信化学工業(株)社製)を「SPC」、酸化防止剤(TINUVIN 152、チバジャパン株式会社製)を「T152」、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを「S1」、1,3−ブチレングリコールジアセテートを「S2」、2−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエチルアセテートを「S3」、ジプロピレングリコールジメチルエーテルを「S4」、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを「S5」、ジエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルを「S6」、トリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルを「S7」、3−エトキシプロピオン酸エチルを「S8」、メチルプロピレントリグリコールを「S9」、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルを「S10」、ジエチレングリコールジメチルエーテルを「S11」、ジエチレングリコールジエチルエーテルを「S12」、3−メトキシブチルアセテートを「S13」、ジルコニア粒子を「Z」、ガラス粒子を「G」で示した。なお、分散剤のアミン価は、DIN 16945に準拠する方法により求め、酸価は、DIN EN ISO 2114に準拠する方法により求めた。また、各実施例および各比較例で用いた、C.I.ピグメントレッド177と式(30)で表される顔料誘導体との混合物中における式(30)で表される顔料誘導体の含有率は、いずれも、0.1wt%以上10wt%以下であった。また、前記各実施例および各比較例で用いた、C.I.ピグメントレッド254と式(31)で表される顔料誘導体との混合物中における式(31)で表される顔料誘導体の含有率は、いずれも、0.1wt%以上10wt%以下であった。また、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各実施例のカラーフィルター用インクの25℃における粘度は、いずれも、5mPa・s以上11mPa・s以下の範囲内の値であった。また、前記実施例6〜20では、カラーフィルター用インクを構成する顔料と、当該カラーフィルター用インクに対応する洗浄液を構成する顔料とは、同色系であり、これらの色差は、いずれも、5以下であった。また、前記実施例6〜20では、カラーフィルター用インクを構成する顔料の平均粒径は、当該カラーフィルター用インクに対応する洗浄液を構成する顔料の平均粒径以上の大きさであった。また、前記実施例11〜20では、カラーフィルター用インクを構成する顔料の平均粒径をD[nm]、洗浄液を構成するセラミックス粒子の平均粒径をD[nm]としたとき、いずれも、0.25≦D/D≦0.7の関係を満足するものであった。
【0245】
【化34】

【0246】
【表2】

【0247】
【表3】

【0248】
【表4】

【0249】
【表5】

【0250】
【表6】

【0251】
【表7】

【0252】
[3]洗浄液の洗浄性、置換容易性評価
前記各実施例、各比較例で調製したカラーフィルター用インクを、内径:6mm、長さ:30cmのテフロンチューブ(「テフロン」は登録商標)に封入し、45℃の環境下で、20日間静置した。その後、前記各実施例、各比較例で調製した洗浄液を、5ml/minの流速で、120秒間、テフロンチューブ(「テフロン」は登録商標)に流した。次に、各洗浄液から固形分を除いた組成の液体(無色液体)を、1.0ml/minの流速で、60秒間、テフロンチューブ(「テフロン」は登録商標)に流した。前記液体(無色液体)を流し終えた際に、チューブ内における固形分の残存状態を目視によって観察し、下記の5段階の基準に従い、評価した。
【0253】
A:チューブ内における固形分の存在がまったく認められない。
B:チューブ内における固形分の残存がほとんど認められない。
C:チューブ内における固形分の残存がわずかに認められる。
D:チューブ内における固形分の残存がはっきりと認められる。
E:チューブ内における固形分の残存が顕著に認められる。
【0254】
[4]液滴吐出の安定性評価(吐出安定性評価)
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクを用いて、下記に示すような試験による評価を行った。
[4.1]着弾位置精度評価
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図1に示すような液滴吐出装置および前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、25℃、55%RHの環境下で、各色のインクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、2000000発(2000000滴)の液滴の連続吐出を行った。その後、液滴吐出装置の運転を停止し、液滴吐出装置の流路に各インクが充填された状態で、35℃、55%RHの環境下に、360時間放置した。その後、前記各実施例および各比較例の各インクの流路を、それぞれに対応する洗浄液(前記実施例6〜20については同色の顔料を含む洗浄液)で洗浄した。洗浄は、洗浄液を1.0ml/minの流速で、300秒間流すことによって行った。洗浄後、液滴吐出装置のインクの流路に上記と同じインクを再び充填した。充填は、インクの流路内に、カラーフィルター用インクを1.0ml/minの流速で、300秒間流すことによって行った。その後、引き続き液滴吐出ヘッドの各ノズルから、25℃、55%RHの環境下で、2000000発(2000000滴)の液滴の連続吐出を行った。カラーフィルター用インクを充填した後の、液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルから吐出された2000000発の液滴について、着弾した各液滴の中心位置の中心狙い位置からのズレ量dの平均値を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。この値が小さいほど飛行曲がりの発生が効果的に防止されていると言える。
【0255】
A:ズレ量dの平均値が0.09μm未満。
B:ズレ量dの平均値が0.09μm以上0.15μm未満。
C:ズレ量dの平均値が0.15μm以上0.18μm未満。
D:ズレ量dの平均値が0.18μm以上0.22μm未満。
E:ズレ量dの平均値が0.22μm以上。
【0256】
[4.2]液滴吐出量の安定性評価
上記[4.1]の評価に用いた液滴吐出装置について、上記2000000発(2000000滴)の液滴の連続吐出の後、再び液滴吐出装置の運転を停止し、液滴吐出装置の流路に各インクが充填された状態で、35℃、55%RHの環境下に、240時間放置した。その後、前記各実施例および各比較例の各インクの流路を、それぞれに対応する洗浄液(前記実施例6〜20については同色の顔料を含む洗浄液)で洗浄した。洗浄は、洗浄液を1.0ml/minの流速で、300秒間流すことによって行った。洗浄後、液滴吐出装置のインクの流路に上記と同じインクを再び充填した。充填は、インクの流路内に、カラーフィルター用インクを1.0ml/minの流速で、300秒間流すことによって行った。その後、引き続き液滴吐出ヘッドの各ノズルから、25℃、55%RHの環境下で、1500000発(1500000滴)の液滴の連続吐出を行った。液滴吐出ヘッドの左右両端の指定の2つのノズルについて、吐出された液滴の総重量を求め、上記2つのノズルから吐出された液滴の平均吐出量の差の絶対値ΔW[ng]を求めた。このΔWの、液滴の目標吐出量W[ng]に対する比率(ΔW/W)を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。ΔW/Wの値が小さいほど、液滴吐出量の安定性に優れていると言える。
【0257】
A:ΔW/Wの値が、0.090未満。
B:ΔW/Wの値が、0.090以上0.320未満。
C:ΔW/Wの値が、0.320以上0.620未満。
D:ΔW/Wの値が、0.620以上0.840未満。
E:ΔW/Wの値が、0.840以上。
【0258】
[4.3]間欠印字性能評価
上記[4.2]の評価に用いた液滴吐出装置について、上記1500000発(1500000滴)の液滴の連続吐出の後、再び液滴吐出装置の運転を停止し、液滴吐出装置の流路に各インクが充填された状態で、35℃、55%RHの環境下に、240時間放置した。その後、前記各実施例および各比較例の各インクの流路を、それぞれに対応する洗浄液(前記実施例6〜20については同色の顔料を含む洗浄液)で洗浄した。洗浄は、洗浄液を1.0ml/minの流速で、300秒間流すことによって行った。洗浄後、液滴吐出装置のインクの流路に上記と同じインクを再び充填した。充填は、インクの流路内に、カラーフィルター用インクを1.0ml/minの流速で、300秒間流すことによって行った。その後、引き続き液滴吐出ヘッドの各ノズルから、25℃、55%RHの環境下で、200000発(200000滴)の液滴の連続吐出を行い、その後、180秒間、液滴の吐出を中断した(1シーケンス目)。その後、同様に、液滴の連続吐出、および、滴々の吐出の中断の操作を繰り返し行った。液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルについて、1シーケンス目に吐出された液滴の平均重量W[ng]と、30シーケンス目に吐出された液滴の平均重量W30[ng]とを求めた。そして、WとW30との差の絶対値の、液滴の目標吐出量W[ng]に対する比率(|W−W30|/W)を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。|W−W30|/Wの値が小さいほど、間欠印字性能(液滴吐出量の安定性)に優れていると言える。
【0259】
A:|W−W30|/Wの値が、0.060未満。
B:|W−W30|/Wの値が、0.060以上0.150未満。
C:|W−W30|/Wの値が、0.150以上0.470未満。
D:|W−W30|/Wの値が、0.470以上0.730未満。
E:|W−W30|/Wの値が、0.730以上。
【0260】
[4.4]連続吐出試験
上記[4.3]の評価に用いた液滴吐出装置について、上記30シーケンス目の液滴吐出の後、再び液滴吐出装置の運転を停止し、液滴吐出装置の流路に各インクが充填された状態で、35℃、55%RHの環境下に、240時間放置した。その後、前記各実施例および各比較例の各インクの流路を、それぞれに対応する洗浄液(前記実施例6〜20については同色の顔料を含む洗浄液)で洗浄した。洗浄は、洗浄液を1.0ml/minの流速で、300秒間流すことによって行った。洗浄後、液滴吐出装置のインクの流路に上記と同じインクを再び充填した。充填は、インクの流路内に、カラーフィルター用インクを1.0ml/minの流速で、300秒間流すことによって行った。その後、引き続き液滴吐出ヘッドの各ノズルから、25℃、55%RHの環境下で、液滴吐出装置を400時間、連続で運転させることにより、カラーフィルター用インクセットを構成する各インクの吐出を行った。
連続運転後における、液滴吐出ヘッドを構成するノズルの目詰まりの発生率([(目詰まりノズル数)/(全ノズル数)]×100)を求め、ノズルの目詰まりが発生しているものについては、可塑材料で構成されたクリーニング部材により、目詰まりの解消が可能であるか否かを調べた。その結果を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
【0261】
A:ノズルの目詰まりの発生がない。
B:ノズルの目詰まりの発生率が0.7%未満(ただし、ゼロを除く)であり、かつ、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
C:ノズルの目詰まりの発生率が0.7%以上1.2%未満であり、かつ、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
D:ノズルの目詰まりの発生率が1.2%以上1.5%未満であり、かつ、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
E:ノズルの目詰まりの発生率が1.5%以上、または、クリーニングによる目詰まりの解消が不可能。
なお、上記の評価は、各実施例および各比較例について、同様の条件で行った。
【0262】
[5]カラーフィルターの製造
上記[4.4]の評価に用いた液滴吐出装置について、上記600時間の連続運転の後、再び液滴吐出装置の運転を停止し、液滴吐出装置の流路に各インクが充填された状態で、35℃、55%RHの環境下に、240時間放置した。その後、前記各実施例および各比較例の各インクの流路を、それぞれに対応する洗浄液(前記実施例6〜20については同色の顔料を含む洗浄液)で洗浄した。洗浄は、洗浄液を1.0ml/minの流速で、300秒間流すことによって行った。洗浄後、液滴吐出装置のインクの流路に上記と同じインクを再び充填した。充填は、インクの流路内に、カラーフィルター用インクを1.0ml/minの流速で、300秒間流すことによって行った。
その後、隔壁が設けられた基板のセル(隔壁で囲まれた領域)内に、カラーフィルター用インクを吐出した。この際、3色のカラーフィルター用インクを用い、各色のカラーフィルター用インクが混色しないようにした。各セル内には、形成される着色部の平均厚さが2.0μmとなるような量のカラーフィルター用インクを付与した。
【0263】
隔壁が設けられた基板は、以下のようにして製造した。
まず、両面にナトリウムイオンの溶出を防止するシリカ(SiO)膜が形成されたソーダガラス製の基板(G5サイズ:1100×1300mm)を用意し、洗浄処理を施した。
次に、カーボンブラックを含む隔壁形成用の感放射線性組成物を、洗浄済の基板の一方の面の全体に付与し、塗膜を形成した。
次に、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒という条件でプリベーク処理を行った。
【0264】
その後、フォトマスクを介して、放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク処理(PEB)を行い、引き続き、CFとHeガスとを1:9(体積比)で混合したガスを導入した大気圧プラズマ重合装置で、出力800W、プラズマ発生装置からテーブルまでの距離:0.5mm、処理テーブル速度:10m/sという条件で、プリベーク処理、ポストエキスポジャーベーク処理の施された塗膜の表面だけにフッ素をドーピングした。その後、アルカリ現像液を用いた現像処理を行い、さらに、ポストベーク処理を行うことにより、隔壁を形成した。PEBは、加熱温度:110℃、加熱時間:120秒、放射線照射強度:150mJ/cmという条件で行った。また、現像処理は、例えば、振動浸漬法により行った。現像処理時間は、60秒とした。また、ポストベーク処理は、加熱温度:140℃、加熱時間:10分という条件で行った。形成された隔壁の厚さは、2.0μmであった。
【0265】
このようにして得られた隔壁が設けられた基板のセル(隔壁で囲まれた領域)内に、上記のように、カラーフィルター用インクを付与した後、ホットプレート上にて80℃で20分間の加熱処理を施した(第1の加熱処理)。
さらに240℃のオーブン内で50分加熱処理を施すことにより(第2の加熱処理)、3色(赤色(R)、緑色(G)、青色(B))の着色部が形成された。その後、N−メチル−2−ピロリドンおよびγ−ブチロラクトンを用いた洗浄を行い、図2に示すようなカラーフィルターが得られた。
上記のような方法を用いて、各実施例および各比較例のカラーフィルター用インク(インクセット)を用いて、それぞれ、8000枚のカラーフィルターを製造した。
【0266】
また、各実施例および各比較例について、それぞれ、カラーフィルター用インクとして1種のみを用いて、全てのセルに同色の着色部が形成されるようにした以外は、上記と同様の方法を用いることにより、着色部として緑色の着色部のみを備えた緑色単色カラーフィルター、着色部として赤色の着色部のみを備えた赤色単色カラーフィルター、着色部として青色の着色部のみを備えた青色単色カラーフィルターを製造した。
【0267】
なお、液滴吐出装置は、1000枚の基板に対して吐出を終えるたびに、インクの流路を洗浄し、インクを再充填して用いた。また、液滴吐出装置は、このような洗浄液による洗浄に加え、液滴吐出装置のカラーフィルター用の基板(ワーク)のない部分で液滴を吐出することによる行う方法(フラッシング)、および吸引手段を用いて液滴吐出ヘッド内に溜まっているインクを強制的に吸引する方法によるインクの流路の洗浄を定期的に行った。
【0268】
[6]カラーフィルターの評価
上記のようにして得られた各カラーフィルターを用いて、以下のような評価を行った。
[6.1]着色部の平坦性
前記各実施例および各比較例について、上記のようにして製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、2000枚目に製造されたカラーフィルターを用意した。
これらのカラーフィルターについて、触針式粗さ計(Tencor社製、P−15)を用いて、着色部の最大高さと最小高さとの差ΔDを求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。
【0269】
A:ΔDが0.20μm未満。
B:ΔDが0.20μm以上0.32μm未満。
C:ΔDが0.32μm以上0.47μm未満。
D:ΔDが0.47μm以上0.57μm未満。
E:ΔDが0.57μm以上。
【0270】
[6.2]コントラスト比の評価
前記各実施例および比較例について、上記のようにして製造した3種の単色カラーフィルター(緑色単色カラーフィルター、赤色単色カラーフィルター、青色単色カラーフィルター)に関して、コントラストテスター(壺坂電機社製、CT−1)を用いて、コントラスト比(CR)を求め、下記のようにして評価を行った。
【0271】
赤色単色カラーフィルターについては、x=0.651のときのCRを、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:CRが2700以上。
B:CRが2200以上2700未満。
C:CRが1800以上2200未満。
D:CRが1500以上1800未満。
E:CRが1500未満。
【0272】
緑色単色カラーフィルターについては、y=0.600のときのCRを、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:CRが3600以上。
B:CRが3300以上3600未満。
C:CRが3000以上3300未満。
D:CRが2600以上3000未満。
E:CRが2600未満。
【0273】
青色単色カラーフィルターについては、y=0.141のときのCRを、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:CRが2900以上。
B:CRが2500以上2900未満。
C:CRが2200以上2500未満。
D:CRが2000以上2200未満。
E:CRが2000未満。
【0274】
[6.3]色むら、濃度むら
前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用いて製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、8000枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図4に示すような液晶表示装置を製造した。これらの液晶表示装置について、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示、白色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、各部位での色むら、濃度むら(光漏れによるものを含む)の発生状況を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
【0275】
A:色むら、濃度むらが全く認められない。
B:色むら、濃度むらがほとんど認められない。
C:色むら、濃度むらがわずかに認められる。
D:色むら、濃度むらがはっきりと認められる。
E:色むら、濃度むらが顕著に認められる。
【0276】
[6.4]個体間での特性差
前記各実施例および各比較例について、上記のようにして製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、1〜20枚目、および、7480〜7499枚目に製造されたカラーフィルターを用意し、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示、白色の単色表示を行い、分光光度計(大塚電子社製、MCPD3000)を用いて測色した。その結果から、各実施例および各比較例について、それぞれ、1〜20枚目、7480〜7499枚目に製造されたカラーフィルター(合計40枚のカラーフィルター)で最大となる色差(Lab表示系での色差ΔE)を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。
【0277】
A:色差(ΔE)が1.8未満。
B:色差(ΔE)が1.8以上3.0未満。
C:色差(ΔE)が3.0以上3.9未満。
D:色差(ΔE)が3.9以上4.9未満。
E:色差(ΔE)が4.9以上。
【0278】
[6.5]耐久性試験
前記各実施例および各比較例について、上記のようにして製造されたカラーフィルターのうち、それぞれ、5001〜5010枚目に製造されたカラーフィルターを用いて、同条件で図4に示すような液晶表示装置を製造した。
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、光漏れ(白抜け、輝点)が発生していないことを確認した。
【0279】
次に、上記の液晶表示装置からカラーフィルターを取り外した。
取り外した各カラーフィルターを、20℃の環境下に1.5時間、次いで、75℃の環境下に2.5時間、次いで、20℃の環境下に1.5時間、次いで、−15℃の環境下に2.5時間静置した。その後、再び、環境温度を20℃に戻し、これを1サイクル(8時間)とし、このサイクルを合計30回繰り返した(合計240時間)。
その後、これらのカラーフィルターを用いて、再び、図4に示すような液晶表示装置を組み立てた。
【0280】
これらの液晶表示装置を用いて、暗室で、赤色の単色表示、緑色の単色表示、青色の単色表示を行った状態で目視による観察を行い、光漏れ(白抜け、輝点)の発生状況を、以下の6段階の基準に従い、評価した。
A:光漏れ(白抜け、輝点)の発生したカラーフィルターはない。
B:1〜2枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
C:3〜4枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
D:5〜7枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
E:8〜9枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
F:10枚のカラーフィルターにおいて、光漏れ(白抜け、輝点)が認められる。
これらの結果を表8、表9、表10に示す。
【0281】
【表8】

【0282】
【表9】

【0283】
【表10】

【0284】
表8、表9、表10から明らかなように、本発明では、優れた結果が得られたのに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。
また、市販の液晶テレビを分解し、液晶表示装置部分を、上記のようにして製造したものと交換して、上記と同様の評価を行ったところ、上記と同様な結果が得られた。
【符号の説明】
【0285】
1…カラーフィルター 11…基板 12…着色部 12A…第1の着色部 12B…第2の着色部 12C…第3の着色部 13…隔壁(バンク、遮光部) 14…セル 2…カラーフィルター用インク 3…塗膜 4…洗浄液 60…液晶表示装置 61…共通電極 62…液晶層 63、64…配向膜 65…画素電極 66…基板(対向基板) 67、68…偏光板 100…液滴吐出装置 101…タンク 102…吐出走査部 103…液滴吐出手段 104…第1位置制御装置(移動手段) 106…ステージ 108…第2位置制御装置(移動手段) 110…チューブ 112…制御手段 132…インク貯留槽 133…洗浄液貯留槽 134…搬送路 1000…画像表示装置 1100…パーソナルコンピューター 1102…キーボード 1104…本体部 1106…表示ユニット 1200…携帯電話機 1202…操作ボタン 1204…受話口 1206…送話口 1300…ディジタルスチルカメラ 1302…ケース(ボディー) 1304…受光ユニット 1306…シャッターボタン 1308…回路基板 1312…ビデオ信号出力端子 1314…データ通信用の入出力端子 1430…テレビモニター 1440…パーソナルコンピューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いられる、着色剤と樹脂材料と前記着色剤を溶解または分散する液性媒体とを含むインクの液滴吐出装置を洗浄するための洗浄液であって、
下記式(10)で示される化合物Aを含有することを特徴とする洗浄液。
【化1】

【請求項2】
洗浄液中における前記化合物Aの含有率は、15wt%以上である請求項1に記載の洗浄液。
【請求項3】
洗浄液は、前記化合物Aに加え、さらに、前記インクを構成する前記液性媒体と同一の成分を含むものである請求項1または2に記載の洗浄液。
【請求項4】
洗浄液は、前記化合物Aに加え、さらに、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテートおよび1,3−ブチレングリコールジアセテートよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものである請求項3に記載の洗浄液。
【請求項5】
洗浄液は、前記化合物Aに加え、さらに、分散剤を含む請求項1ないし4のいずれかに記載の洗浄液。
【請求項6】
洗浄液は、前記分散剤として、前記インクを構成する分散剤と同一のものを含むものである請求項5に記載の洗浄液。
【請求項7】
前記分散剤として、所定の酸価を有する酸価分散剤、および、所定のアミン価を有するアミン価分散剤を含む請求項5または6に記載の洗浄液。
【請求項8】
前記酸価分散剤の含有率をX[wt%]、前記アミン価分散剤の含有率をX[wt%]としたとき、0.1≦X/X≦1の関係を満足する請求項7に記載の洗浄液。
【請求項9】
前記酸価分散剤の酸価をAV[KOHmg/g]、前記アミン価分散剤のアミン価をBV[KOHmg/g]、前記酸価分散剤の含有率をX[wt%]、前記アミン価分散剤の含有率をX[wt%]としたとき、0.01≦(AV×X)/(BV×X)≦1.9の関係を満足する請求項7または8に記載の洗浄液。
【請求項10】
洗浄液は、前記樹脂材料として、下記式(1)で表される単量体成分m1とカルボキシル基または酸無水物基を有する単量体成分m2と下記式(3)で表される単量体成分m3とを含む重合体Mを含む前記インクを吐出する前記液滴吐出装置の洗浄に用いられるものである請求項1ないし9のいずれかに記載の洗浄液。
【化2】

【化3】

【請求項11】
洗浄液は、前記樹脂材料として、下記式(11)で表される単量体成分x1と下記式(13)で表される単量体成分x3と下記式(14)で表される単量体成分x4とを含む重合体Xを含む前記インクを吐出する前記液滴吐出装置の洗浄に用いられるものである請求項1ないし10のいずれかに記載の洗浄液。
【化4】

【化5】

【化6】

【請求項12】
洗浄液は、前記樹脂材料として、下記式(15)で表される単量体成分y1を含む重合体Yを含む前記インクを吐出する前記液滴吐出装置の洗浄に用いられるものである請求項1ないし11のいずれかに記載の洗浄液。
【化7】

【請求項13】
インクジェット方式によるカラーフィルターの製造に用いる液滴吐出装置であって、
インクを貯留するインク貯留槽と、洗浄液を貯留する洗浄液貯留槽とを有し、
前記インクは、着色剤と樹脂材料と前記着色剤を溶解または分散する液性媒体とを含むものであり、
前記洗浄液は、下記式(10)で示される化合物Aを含有するものであることを特徴とする液滴吐出装置。
【化8】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−180328(P2011−180328A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43867(P2010−43867)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】