説明

洗浄用栓体

【課題】鉗子口部から流出した液体が飛散しないような栓体およびこれを備える内視鏡を提供すること。
【解決手段】本発明の栓体9は、端部に開口部出口512を有する鉗子口部5を備える内視鏡1の鉗子口部5に装着される栓体9であって、鉗子口部5に装着した状態で、液体の流出を許容するように構成されているとともに、流出する液体の飛散を防止する液体飛散防止壁913を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栓体およびこれを備える内視鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、医療の分野で、検査や診断に内視鏡が使用されている。
内視鏡検査では、内視鏡の挿入部を、例えば、胃、十二指腸、小腸あるいは大腸といった体腔の深部まで挿入する必要がある。
【0003】
このような内視鏡は、体腔内に挿入される挿入部と、この挿入部の基端側に設置され、挿入部の先端部を湾曲操作する操作部と、挿入部と操作部の間に設置される鉗子口部と、光源装置に接続される光源差込部(コネクター部)とを有している。このうち、挿入部は、曲がった体腔内に挿入され、これに追従できるよう、可撓性を有する可撓管(内視鏡用可撓管)と、この可撓管の先端側において湾曲操作される湾曲部とを有している。
【0004】
ところで、このような医療用の内視鏡はその内部に、内視鏡先端に配置された対物レンズ表面の洗浄を行うために、また、送気により胃や腸などを膨らませるために送気・送液管路が、体腔内から生体組織などの採取のために吸引管路が設けられている。そして、該吸引管路には、鉗子などの処置具を湾曲部の先端に導入する鉗子管路が合流している場合がある。
【0005】
そのため、内視鏡が体腔内に挿入され、これらの管路が使用された場合、管路を洗浄、消毒、滅菌処理等をする必要がある。これらの管路の洗浄は、一般に洗浄液、消毒液がコネクター部側から管路に注入されて行われている。
【0006】
しかしながら、鉗子管路が吸引管路に合流している場合、洗浄液等が鉗子管路にも流れ、鉗子口部から排出されるため、湾曲部の先端に洗浄液等が到達しにくくなっている。
【0007】
この問題を解決するために、管路に連通する開口部、特に鉗子口部に、切り欠き部を有するキャップを装着して、洗浄液等を挿入部に流れ易くし、洗浄性等を高めている内視鏡が知られている(例えば、特許文献1)。
【0008】
しかしながら、このようなキャップでは、切り欠き部から流出した洗浄液等が周方向に飛散してしまう。そのため、飛散した洗浄液が医療従事者(使用者)に付着してしまい、安全性の面で問題を有している。
【0009】
【特許文献1】特開2005−237821号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、鉗子口部から流出した液体が飛散しないような栓体およびこれを備える内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的は、下記(1)〜(10)の本発明により達成される。
(1) 端部に開口部出口を有する鉗子口部を備える内視鏡の前記鉗子口部に装着される栓体であって、
前記鉗子口部に装着した状態で、液体の流出を許容するように構成されているとともに、前記流出する液体の飛散を防止する液体飛散防止壁を備えることを特徴とする栓体。
【0012】
これにより、鉗子口部から流出した液体の飛散を防止できるので、医療従事者は内視鏡の洗浄、消毒を安全に行うことができる。
【0013】
(2) 筒状の胴部と、
該胴部の基端側を覆う頂部とを備える栓体であって、
前記胴部の内周面に凹部が形成され、
前記鉗子口部に装着した状態で、前記凹部を介して前記液体の流出がなされるように構成されている上記(1)に記載の栓体。
【0014】
これにより、凹部から流出した液体の飛散を防止できるので、医療従事者は内視鏡の洗浄、消毒を安全に行うことができる。
【0015】
(3) 前記液体飛散防止壁は、前記胴部の先端側に胴部の周方向に沿って全周にわたって、筒状に形成されている上記(2)に記載の栓体。
【0016】
これにより、流出した液体の流れる方向に周方向に沿って壁が形成されているので、液体が鉗子口部の周方向に飛散することを確実に防止することができる。
【0017】
(4) 前記液体飛散防止壁の内周面は、その内径が先端部に向かって漸増するテーパ状に形成されている上記(2)または(3)に記載の栓体。
【0018】
これにより、流出した液体が液体飛散防止壁に沿って滑らかに流れるので、当該液体を鉗子口部の外周側に円滑に排出することができる。
【0019】
(5) 前記液体飛散防止壁の内周面のテーパ角度が3〜85°である上記(4)に記載の栓体。
【0020】
これにより、液体飛散防止壁の内周面が内周側に向かって傾斜しているので、液体が内周面を滑らかに流れ、鉗子口部の外周側に液体を円滑に排出することができる。
【0021】
(6) 前記液体飛散防止壁は、その高さが1〜10mmとなるように形成されている上記(2)ないし(5)のいずれかに記載の栓体。
【0022】
これにより、鉗子口部から流出した液体が液体飛散防止壁に確実に衝突するので、液体の飛散を確実に防止することができる。
【0023】
(7) 前記鉗子口部に装着したときに、前記液体飛散防止壁の内周面と前記鉗子口部の外周面との間に液体を一時的に貯留するリング状の液体貯留空間を有する上記(2)ないし(6)のいずれかに記載の栓体。
【0024】
これにより、鉗子口部の外周側に排出される液体の流量が調整されるので、医療従事者は内視鏡の洗浄、消毒をより安全に行うことができる。
【0025】
(8) 前記液体飛散防止壁の先端部外周に、さらに先端方向に延長されたスカート部を有する上記(2)ないし(7)のいずれかに記載の栓体。
【0026】
これにより、鉗子口部の本体がスカート部で覆われるので、液体が鉗子口部の外周側に周方向に飛散することをより確実に防止できる。
【0027】
(9) 前記凹部は、前記内周面の周方向に沿って形成されている上記(2)ないし(8)のいずれかに記載の栓体。
【0028】
これにより、液体が集まり易い位置に凹部が形成されるので、液体を栓体外に効率的に排出することができる。
【0029】
(10) 端部に開口部出口を有する鉗子口部を備える内視鏡であって、
上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の栓体を前記鉗子口部に装着することを特徴とする内視鏡。
これにより、液体の飛散を防止できる内視鏡を得ることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、内視鏡の管路の洗浄・消毒を行っても、液体が飛散することがないので、安全に洗浄・消毒を行うことができる。そのため、術者(医療従事者)に対する安全性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の栓体および内視鏡を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0032】
<第1実施形態>
図1は、本発明の内視鏡の第1実施形態を示す平面図、図2は、図1に示す内視鏡の洗浄、消毒状態を示す縦断面図、図3は、本発明の栓体の第1実施形態を示す上面図、図4は、図3に示す栓体の縦断面図、図5は、図4に示す栓体の斜視図、図6は、栓体を装着したときの鉗子口部の洗浄、消毒状態を示す縦断面図、図7は、図6中のA−A線断面図、図8は、図6中のB−B線断面図である。
【0033】
なお、以下では、説明の都合上、図1、図2中の上端を「基端」、下端を「先端」といい、図4、図6中の上側を「上」、下側を「下」という。
【0034】
(1)内視鏡
まず、本発明の内視鏡について説明する。
【0035】
図1に示す内視鏡1は、可撓性(柔軟性)を有する長尺物の挿入部可撓管2と、挿入部可撓管2の基端側に接続される操作部6と、挿入部可撓管2と操作部6との間に設けられる鉗子口部5と、操作部6に接続された接続部可撓管7と、接続部可撓管7を介して操作部6に接続されたコネクター部8とを有している。
【0036】
挿入部可撓管2は、体腔内に挿入して使用される。図1に示すように、挿入部可撓管2は、基端側から可撓管部20と、可撓管部20の先端部に設けられ、湾曲可能な湾曲部21とを有している。
【0037】
湾曲部21は、互いに回動自在に連結された複数の節輪(図示せず)と、該節輪の外周に被覆された網状管(図示せず)と、該網状管の外周に被覆された外皮(図示せず)とで構成されている。このような湾曲部21は、その湾曲の方向・度合いを操作部6から遠隔操作することができるようになっている。
【0038】
そして、湾曲部21の先端部211には、被写体に照明光を照射する照明手段(図示しない)、すなわち、挿入部可撓管2の長手方向に沿って配設された一対の光ファイバー束(ライトガイド)と、この光ファイバー束の先端部に配置された配光レンズとを備えている。
【0039】
また、湾曲部21の先端部211には、被写体の画像を撮影する撮像手段(図示しない)、すなわち、対物レンズ系と、かかる対物レンズ系の基端側に設置された撮像素子(CCDイメージセンサー)とを有している。
【0040】
操作部6は、術者が把持して、内視鏡1全体を操作する部分である。この操作部6には、第1操作ノブ61、第2操作ノブ62、第1ロックレバー63および第2ロックレバー64が、それぞれ独立に回動自在に設けられている。
【0041】
各操作ノブ61、62を回転操作すると、挿入部可撓管2内に配設されたワイヤ(図示せず)が牽引されて、湾曲部21が4方向に湾曲し、湾曲部21の方向を変えることができる。
【0042】
ロックレバー63、64を反時計回りに回転操作すると、それぞれ、湾曲部21の湾曲状態(上下方向および左右方向への湾曲状態)を固定(保持)することができる。
【0043】
一方、ロックレバー63、64を時計回りに回転操作すると、湾曲した状態で固定された湾曲部21の固定を解除することができる。
【0044】
また、操作部6には、吸引ボタン65および送気・送液ボタン66が設けられている。 吸引ボタン65および送気・送液ボタン66は、それぞれ、後述する吸引チャンネル3および送気・送液チャンネル4を開閉する機能を有している。
【0045】
すなわち、吸引ボタン65および送気・送液ボタン66を押圧操作する前には、吸引チャンネル3および送気・送液チャンネル4は閉塞されている(液体が通過不能な状態とされている)。一方、吸引ボタン65を押圧操作すると、吸引管路32aと32bとが連通する。また、送気・送液ボタン66の上端面の小孔(図示せず)を塞ぐと送気管路42aと42bが連通し、送気・送液ボタン66を押圧操作すると送液管路43aと43bとが連通する(液体が通過可能な状態となる)。
【0046】
鉗子口部5は、図2および図6を用いて説明する。
鉗子口部5は、鉗子、鋏鉗子、電気メス、注射・穿刺針、カテーテル等などの処置具を挿入する部位である。
【0047】
この鉗子口部5は、本体51と、本体51の基端側(図1中上側)で本体51の外径よりも外径が縮径した縮径部52とで構成されている。
【0048】
本体51は、軸方向に沿って形成された内空511と、内空511の基端に開口して形成された開口部出口512とを備えている。
【0049】
この本体51は、可撓管部20の基端側で操作部6側に傾斜して突出して形成されている。
【0050】
内空511は、鉗子などの処置具を可撓管部20側に導く。この内空511は、可撓管20内に形成された吸引管路32bに向かって延在している。そして、該吸引管路32bと連通して、合流している。
【0051】
開口部出口512には、鉗子などの処置具が挿入される。また、開口部出口512は、内空511の洗浄の際に、内空511に流入した液体を噴出する機能を有する。
【0052】
縮径部52は、後述する吸引チャンネル3を洗浄する際に用いられる栓体9が装着される部分である。この縮径部52は、先端側に備えられたフランジ状の第1の係合部521と、基端側に備えられた第2の係合部522とを備えている。そして、第1の係合部521と第2の係合部522との間には、縮径部52の周方向に沿って、全周にわたって溝523が形成されている。
【0053】
この溝523に、後述する栓体9の凸部911が嵌合し、第1の係合部521と第2の係合部522とで係合する。なお、栓体9については後に詳細に説明する。
【0054】
鉗子のような処置具が開口部出口512から導入されると、処置具は内空511、吸引管路32cを通って、湾曲部21の先端から突出する。この状態で、例えば、鉗子を操作することにより、生体組織を採取することができる。
【0055】
接続部可撓管7内には、前述した光ファイバー束および信号線が配設され、コネクター部8に接続されている。
【0056】
コネクター部8の先端側には、ライトガイドコネクタ(以下、単に、「ライトコネクタ」という)81と、スコープコネクタ82とが突出して併設されている。
【0057】
ライトコネクタ81は、図示しない光源装置からの照明光(光)を内視鏡1の湾曲部21まで導光するライトガイドのコネクタとなる部位、すなわち、光学的に接続される部位である。ライトコネクタ81は、その内部に、内視鏡1のライトガイド(LCB:ライトケーブルバンドル)の一端部が挿入されている(図示せず)。ライトガイドは、例えば、複数本の光ファイバーを束ねて形成されており(光ファイバー束)、コネクター部8内、接続部可撓管7内、操作部6内、挿入部可撓管2内および湾曲部21内に順次連続して配設されている。
【0058】
スコープコネクタ82は、図示しない光源装置との電気的に接続される部位である。
スコープコネクタ82には、挿入部可撓管2内、操作部6内および接続部可撓管7内に順次連続して設けられた(配設された)ケーブル(図示せず)が接続されている。このケーブルは、撮像素子と画像信号用コネクタとを接続する図示しない画像信号ケーブルを介して、内視鏡1のCCDイメージセンサ(撮像素子)、撮像素子用ドライバ、EEPROM等の所定の回路に電気的に接続されている。
【0059】
コネクター部8の基端側には、吸引口83と、送気・送液口84と、副送水口85とが突出して設けられている。
【0060】
吸引口83には、その内部で、吸引チャンネル3(吸引管路32a)の一端が接続されている。吸引口83は、吸引装置(図示せず)と連通された吸引チューブが取り付けられる部位であり、吸引ボタンの操作により体腔内の体液等を吸引する。
【0061】
送気・送液口84には、その内部で、送気・送液チャンネル4(送気管路42a、送液管路43a)の一端が接続されている。送気・送液口84は、送気・送液タンク(図示せず)を介して光源装置内部に設置されたポンプ(図示せず)と接続される部位である。送気・送液ボタンの操作により、適宜送気・送液が行われる。
【0062】
副送水口85には、その内部で、副送水チャンネル40(副送水管路401)の一端が接続されている。副送水口85は、副送水チューブ(図示せず)を介して副送水ポンプ装置(図示せず)と接続される部位である。副送水ポンプ装置に接続されたフットスイッチ等の操作により、体腔内壁の粘液や血液等を洗い流す際に送水が行われる。
【0063】
さて、以上のように説明した内視鏡1は、図2に示すように、その内部に吸引チャンネル3と、送気・送液チャンネル4と、副送水チャンネル40とを有している。
【0064】
吸引チャンネル3は、当該チャンネルに鉗子などの処置具を通すことによって体腔内の生体組織を採取したり、体液を吸引する際に用いられる。この吸引チャンネル3は、吸引シリンダ31と、液体を吸引するコネクター部8側の吸引管路32aと、挿入部可撓管2側の吸引管路32bと、合流点34よりも下流に位置する吸引管路32cと、合流点34で合流し、開口部出口512と連通する鉗子管路33とを備える。
【0065】
この吸引シリンダ31には、吸引管路32aの基端と、吸引管路32bの基端とがそれぞれ連通している。そして、吸引管路32bの先端は、合流点34を介して湾曲部21の先端に開口する吸引管路32cと連通している。
【0066】
送気・送液チャンネル4は、内視鏡先端部に配置された対物レンズ表面の洗浄を行ったり、胃や腸などを膨張させるために空気などの気体を供給する場合に用いられる。この送気・送液チャンネル4は、送気・送液シリンダ41と、コネクター部8側の送気管路42aと、コネクター部8側の送液管路43aと、挿入部可撓管2側の送気管路42bと、挿入部可撓管2側の送液管路43bとを備える。
【0067】
この送気・送液シリンダ41には、送気管路42aの基端と、送液管路43aの基端と、送気管路42bの基端と、送液管路43bの基端とがそれぞれ連通している。そして、送気管路42bの先端と、送液管路43bの先端は、それぞれ湾曲部21の先端に開口している。
【0068】
副送水チャンネル40は、体腔内の患部などを洗浄する際に用いられる。この副送水チャンネル40は、副送水管路401を備えている。この副送水管路401の他端は、湾曲部21の先端に開口している。
【0069】
検査終了後は、内視鏡1の外観およびシリンダに加え、これら吸引チャンネル3、送気・送液チャンネル4、副送水チャンネル40を洗浄、消毒する必要がある。このとき、キャップ(栓体)が管路の開口部に用いられている。
【0070】
本実施形態では、吸引チャンネル3を洗浄、消毒する場合について説明する。
以下、本発明の栓体について、詳細に説明する。
【0071】
(2)栓体
図3〜5に示す栓体9は、略筒状の胴部91と、胴部91の基端側(上端側)を覆う頂部92と、頂部92から側方に延出する把持部93とを有している。
【0072】
この栓体9は、鉗子口部5の縮径部52に装着されることにより(以下、単に「装着状態」という。)、吸引管路32aに導入された液体が合流点34を通過して、吸引管路32cに多く流れるようにし、吸引管路32a、32b、32c、鉗子管路33の洗浄効率を高めるものである。
【0073】
以下、栓体9の各部の構成について説明する。
胴部91は、胴部91の内部方向に突出した凸部911と、胴部91の先端部(下端部)に形成された液体飛散防止壁913とを備える。
【0074】
凸部911は、胴部91の内周面の周方向に沿って、全周にわたって形成されている。この凸部911の頂面914の幅は、鉗子口部5の縮径部52の溝523の幅と略等しく形成されている。そのため、栓体9を縮径部52に装着したときに、凸部911は縮径部52の溝523に嵌合し、第1の係合部521と第2の係合部522とで係合する。
【0075】
この頂面914の幅Lは、鉗子口部5の溝523に合わせて3〜4mmであることが好ましく、3.5〜3.8mmであることがより好ましい。頂面914の幅がこのような範囲であることにより、凸部911が溝523と嵌合するので、栓体9が縮径部52から容易に離脱することを防止できる。
【0076】
凸部911の頂面914には、その周方向に沿って間欠的に凹部912が形成されている。本実施形態では、6つの凹部912が頂面914を横断して等間隔に形成されている。
【0077】
このような凹部912が形成されていることにより、栓体9を鉗子口部5に装着したときに、後述する空間部922と栓体9の外部とが連通するので、開口部出口512から噴出される液体を栓体9の外部に均一かつ効率的に排出することができる。その結果、液体の圧力によって、栓体9が鉗子口部5から離脱することを防止できる。
【0078】
また、凹部912が形成されていることにより、装着状態で後述する空間部922と栓体9の外部とが凹部912を介して連通するので、鉗子管路33内に存在する空気およびその後に送られてくる液体を排出することができる。その結果、鉗子管路33や開口部出口512の洗浄性、消毒性が向上する。
【0079】
凹部912は、凸部911の頂面914を横断して形成されるので、凹部912の長手方向の長さLは、頂面914の幅と同様に設定される。
【0080】
なお、凹部912の横断面形状は、例えば、半円状、角状など特に限定されないが、本実施形態では半円状に形成されている。
【0081】
図6に示すように、栓体9が鉗子口部5に装着されたとき、凸部911の下端(先端)にはフランジ状の第1の係合部521が、上端(基端)にはフランジ状の第2の係合部522が位置する。
【0082】
そのため、図7に示すように、凹部912の上端開口の鉗子管路33側は第2の係合部522に覆われている。また、同様に、凹部912の下端開口915の鉗子管路33側は第1の係合部521に覆われている(図示しない)。
【0083】
凹部912の外径を変化させることにより、開口面積が可変可能であるので、凹部912に流入する流路抵抗を調節することができる。その結果、凹部912に流入する液体の流量を調節することができ、吸引管路32cへ流れる液体の流量を調整できる。
【0084】
液体飛散防止壁913は、凹部912から流出した液体が胴部91の外周側に飛散することを防止する機能を有する。この液体飛散防止壁913は、胴部91の下端部で凹部912の外周側に周方向に沿って形成されている。
【0085】
本実施形態では、液体飛散防止壁913は、胴部91の下端部で凹部912の外周側に略円筒状に形成されている。
【0086】
このような液体飛散防止壁913が設けられていることにより、凹部912の下端開口915から流出する液体の流出方向に壁(内壁面916)が形成されるので、液体の胴部91の外周側への飛散を確実に防止することができる。その結果、医療従事者は、液体が飛散して周囲を汚染することなく、安全、清潔に吸引チャンネル3の洗浄、消毒を行うことができる。
【0087】
この液体飛散防止壁913は、内周面(内壁面916)の内径が下端部に向かって漸増するテーパ状に形成されている。
【0088】
このテーパ角度θは、頂部92の上面924の中心部を通り、上面924と直交する軸(以下、「中心軸」という。)70に対して例えば、3〜85°であることが好ましく、20〜70℃であることがより好ましい。角度θがこのような範囲で設定されることにより、内壁面916に衝突した液体が内壁面916に沿って下方に滑らかに流れるので、液体を栓体9の外周側に円滑に排出することができる。
【0089】
テーパ角度θが前記範囲の下限値よりも小さ過ぎると、液体貯留空間30が狭くなるので、鉗子口部5の外周へと流れる液体の流出抵抗が大きくなるおそれがある。
【0090】
テーパ角度θが前記範囲の上限値よりも大き過ぎると、内壁面916が水平に近くなり、または、胴部91の下端部から突出しないので、凹部912の下端開口915から流出した液体の飛散を防止することは困難になるおそれがある。
【0091】
液体飛散防止壁913の高さhは、1〜10mmでることが好ましく、2〜3mmであることがより好ましい。液体飛散防止壁913の高さhがこのような範囲であることにより、液体飛散防止壁913の下面917が本体上面513に接触することがないので、栓体9を縮径部52に精度よく嵌合することができる。また、凹部912の下端開口915から液体が放射状に流出する方向に壁が形成されるので、液体の飛散を確実に防止することができる。
【0092】
液体飛散防止壁913の高さhが前記範囲の下限値よりも小さ過ぎると、内壁面916が水平に近くなり、または、胴部91の下端部から突出しないので、凹部912の下端開口915から流出した液体の飛散を防止することは困難になるおそれがある。
【0093】
液体飛散防止壁913の高さhが前記範囲の上限値よりも大き過ぎると、栓体9が大型化し、本体上面513に接触してしまうおそれがある。その結果、凹部912の下端開口915から流出した液体を鉗子口部5の外周側に排出することが困難になる、もしくは流出する液体が法線上に飛散するおそれがある。
【0094】
液体飛散防止壁913の下面917の幅は、凹部912の底面と胴部91の外周面との距離よりも小さいことが好ましい。これにより、液体飛散防止壁913が縮径部52と接触することがないので、凹部912から流出した液体を栓体9の外周に効率的に排出することができる。
【0095】
液体飛散防止壁913の下面917の幅が、凹部912の底面と胴部91の外周面との距離よりも大き過ぎると、内壁面916が縮径部52と接触するおそれがある。その結果、凹部912の下端開口915から流出した液体を鉗子口部5の外周側に排出することが困難になる、もしくは流出する液体が法線上に飛散するおそれがある。
【0096】
栓体9を鉗子口部5に装着すると、図6に示すように、液体飛散防止壁913の内壁面916と縮径部52との間に、液体を貯留する液体貯留空間30が形成される。この液体貯留空間30は、略円錐台のリング状の形状に形成されている。そして、液体貯留空間30は、下端外周部で本体上面513と液体飛散防止壁913の下面917との間の間隙302を介して栓体9の外部と連通している。
【0097】
液体貯留空間30が形成されていることにより、液体が一旦貯留されるので、凹部912の下端開口915から流出する液体の量と間隙302から栓体9外に流出する液体の量とを調整することができる。
【0098】
また、液体貯留空間30が形成されていることにより、液体が液体貯留空間30に貯留されつつ、間隙302から排出されるので、液体が凹部912に逆流することを確実に防止することができる。
【0099】
このように、液体貯留空間30および間隙302は、それぞれ周方向に一定の形状、大きさで形成されているので、凹部912の下端開口915から流出した液体を鉗子口部5の周方向に均一に、かつ、効率よく流出することができる。
【0100】
頂部92には、その内部に、中心軸70を中心として、開口部出口512から噴出する液体の圧力を緩和する圧力緩和室(空間部)922が形成されている。この圧力緩和室922の側端側は、湾曲凹面を形成している。そして、少なくともその湾曲凹面が凹部912より外周側に位置する。
【0101】
そして、この圧力緩和室922の上部には、中心軸70を中心として空間の容積を変えるように変形する変形部923が形成されている。すなわち、変形部923は、中心軸70を中心として、頂部92の上面924から圧力緩和室922の内部方向に向かって突出した円錐台状の突起となっている。
【0102】
この変形部923は、液流の衝突や圧力緩和室922内の圧力上昇によって上方に押され、図6中の点線に示すように変形する。
【0103】
すなわち、図6に示すように、開口部出口512から噴出した液体は、開口部出口512の真上に位置する変形部923の下端面923aに衝突し、下端面923aを上方に向けて押圧する。
【0104】
また、開口部出口512から噴出した液体は、凹部912に流れるまでの間、圧力緩和室922内に一旦貯留される。その際、圧力緩和室922内の圧力が高くなり、圧力緩和室922内に突出している変形部923を上方に向けて押圧する。
【0105】
これらの2つの力により、変形部923は、その上端面923bが頂部92の上面924から突出するように変形し、湾曲凸面923dを形成するとともに、変形部923の下端面923a(圧力緩和室922の上面)も湾曲凸面923cを形成する。そして、圧力緩和室922の容積が増大する。
【0106】
このように、圧力緩和室922が形成されていることにより、開口部出口512から噴出した液体が圧力緩和室922内に一旦貯留され、かつ、圧力に応じて圧力緩和室922の容積が変わるので、その結果として、液体の圧力を緩和することができる。
【0107】
このとき、圧力緩和室922に変形部923が設けられていることにより、液体の下端面923aへの衝突や圧力緩和室922の圧力によって変形部923が変形するので、圧力緩和室922の容積が増大し、液体の圧力をさらに緩和することできる。
【0108】
また、圧力緩和室922の圧力と液体の下端面923aへの衝突とによって、開口部出口512が液体を噴出した後、早い段階で変形部923が変形するので、圧力緩和室922内の圧力をより迅速に緩和することができる。
【0109】
その結果、栓体9に瞬間的に過大な圧力がかかっても鉗子口部5から栓体9が離脱することを防止することができる。
【0110】
また、変形部923が変形することにより、変形部923の形状の変化を視認することができるので、液体が開口部出口512から噴出したことを認識することができる。その結果、鉗子口部5が洗浄、消毒されていることを認識できる。
【0111】
圧力緩和室922の容積は、1.6〜2cmであることが好ましく、1.7〜1.9cmであることがより好ましい。圧力緩和室922の容積がこのような範囲であれば、過不足なく液体を収容できるので、液体の圧力を緩和することができる。また、適度な大きさの圧力緩和室922が形成されるので、頂部92に圧力緩和室922を形成しても強度に影響を及ぼさない。
【0112】
中心軸70から圧力緩和室922の側端部までの距離は、中心軸70から凹部912の底部までの距離よりも大きく設定されている。すなわち、中心軸70を介して互いに対向する側端部同士の距離をA[mm]、中心軸70を介して互いに対向する凹部912の底部同士の距離をB[mm]としたとき、A>Bの関係を満たしているように構成されている。
【0113】
このような関係により、圧力緩和室922に噴出された液体は、凹部912の外周側から凹部912に流れるので、液体を凹部912に効率的に流すことができる。
【0114】
また、A>Bの関係を満たすことにより、圧力緩和室922の容積がより大きく形成されるので、液体を圧力緩和室922により多く収容することができる。
【0115】
変形部923の厚さTは、0.5〜2mmであることが好ましく、1〜1.4mmであることがより好ましい。変形部923の厚さTがこのような範囲であることにより、液体の圧力により変形部923が容易に変形することができる。そのため、変形部923は、膜状に形成されていることが好ましい。
【0116】
なお、圧力緩和室922の形状は、例えば、円柱状、球状、方形状など特に限定されない。
【0117】
把持部93は、頂部92の側部に結合または一体化されて形成されている。この把持部93は、図3に示すように、その中間部931の外径が両端部932の外径よりも縮径している。
【0118】
このように、把持部93を備えていることにより、指を把持部93に掛けることができるので、把持部93を把持して鉗子口部5に容易に着脱することができる。
【0119】
以上説明した胴部91、頂部92、把持部93を構成する材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系の樹脂、ヘキサニトリルブチルゴムなどのゴム、シリコン樹脂などの各種樹脂材料が挙げられる。これらの樹脂材料は、耐薬品性に優れるので好ましい。中でも、シリコン樹脂が特に好ましい。シリコン樹脂は、生体への負荷が殆ど無く、また成形性に優れるので、凹部912や後述する圧力緩和室922を備えた栓体9を比較的容易に作製することができる。
【0120】
以上のような栓体9を内視鏡1に装着することにより、栓体9が離脱する最大圧力、例えば、チャンネル内乾燥で用いられる一般的な圧縮空気圧力100〜300kPa程度が栓体9にかかっても、その圧力を緩和することができる。また、液体飛散防止壁913を有するので、液体の飛散を防止することができる。
【0121】
そのため、開口部出口512から液体が噴出されても、栓体9は離脱せず、液体も飛散しないので、医療従事者は安心かつ安全に吸引チャンネル3の洗浄、消毒を行うことができる。また、栓体9が離脱しない結果、吸引管路32cの洗浄性が向上するので、被検査者に対する安全性も高い。
【0122】
(3)動作方法
次に、内視鏡1の洗浄、消毒を行ったときの栓体9の作用(動作)について説明する。
【0123】
本発明の内視鏡1を患者に対して使用した後、すなわち、吸引チャンネル3により体液などを吸引した後、吸引チャンネル3の洗浄、消毒を行う。
【0124】
まず、所定の洗浄方法に従って、吸引チャンネル3内及び各シリンダを専用の洗浄ブラシ(図示せず)でブラッシングする。
【0125】
次に、吸引チャンネル3への洗浄液送液時は、鉗子口部5に栓体9を、吸引シリンダ31と送気・送液シリンダ41とに当該栓体9とは別の専用栓体(図示しない)を装着する。
【0126】
次に、吸引口83に所定の洗浄液が注入された注射器101を接続する。そして、該注射器101によって、吸引口83から吸引管路32aに洗浄液を注入する。
【0127】
注入された洗浄液は、吸引管路32aを通って、吸引シリンダ31に到達する。そして、洗浄液は、吸引管路32bを流れ、合流点34に到達する。
【0128】
合流点34に到達した洗浄液は、吸引管路32cと鉗子管路33との2方向に流れる。一方は、吸引管路32cに流れ、湾曲部21の先端に到達する。そして、その先端から、吸引管路32a、b、cに残存していた生体組織などとともに、洗浄液が流出する。
【0129】
他方は、鉗子管路33に流れ、開口部出口512に到達する。そして、開口部出口512から、吸引管路32a、b、鉗子管路33内に残存していた生体組織などとともに、洗浄液が流出する。
【0130】
流出した洗浄液は、図6に示すように、圧力緩和室922に一旦貯留される。そのため、圧力緩和室922内の圧力が高まり、変形部923に圧力がかかる。
【0131】
それと同時に、図6に示すように、流出した洗浄液が、開口部出口512の真上に位置する変形部923の下端面923aに衝突する。この衝突により、変形部923は上方へと圧力がかかる。
【0132】
この圧力緩和室922内の圧力と液体の圧力とにより、図6に示すように、変形部923の上端面923bが頂部92の上面924から突出し、湾曲凸面923dを形成する。
【0133】
下端面923aに洗浄液が衝突した後、洗浄液は、中心軸70の外周方向に拡散し、圧力緩和室922に停留する。
【0134】
圧力緩和室922に停留した洗浄液は、凹部912に流れる。
凹部912に流れた洗浄液は、図6、8に示すように、凹部912を下方へと流れ、凹部912の下端部に到達する。そして、洗浄液は、凹部912の下端開口915から液体貯留空間30に流出する。
【0135】
凹部912の下端開口915から流出した洗浄液の流れの成分としては、下端開口915の直下の方向と、第1の係合部521の外周側の方向とがある。下端開口915の下方に流れる洗浄液は、本体上面513に到達し、停留する。
【0136】
一方、第1の係合部521の外周側の方向に向かって放射状に流れる洗浄液は、液体飛散防止壁913の内壁面916に衝突する。そして、内壁面916に沿って下方へと流れ、液体飛散防止壁913の先端部から本体上面513に到達し、停留する。
【0137】
そして、本体上面513に停留した洗浄液は、間隙302を通って、鉗子口部5の外周側に流出する。
所定の量の洗浄液を注入し終えたら、吸引チャンネル3の洗浄は終了する。
【0138】
このとき、洗浄液が開口部出口512から噴出して、栓体9外に流出するので、吸引チャンネル3だけでなく、圧力緩和室922、凹部912、第1の係合部521、第2の係合部522、溝523なども洗浄される。
【0139】
このような洗浄は、洗浄液を満たした容器に、可能な限り内視鏡1全体を浸漬した状態で行われる。そして、吸引チャンネル3内に洗浄液が満たされた後は、所定の浸漬時間内にて浸漬される。
【0140】
所定の浸漬時間終了後、注射器101で吸引チャンネル3内に空気を注入し、吸引チャンネル3内に残った洗浄液を除去する。その後、所定の容量の水を吸引管路32a、32b、32c、鉗子管路33内に注入し、すすぎを行う。すすぎの終了により、洗浄が終了する。洗浄終了後は、内視鏡1全体を乾燥させ、その後消毒を行う。
【0141】
吸引口83から注射器101を離脱し、所定の消毒液が注入された注射器102(図示しない)を接続する。そして、該注射器102によって、吸引口83から吸引管路32aに消毒液を注入する。注入された消毒液は、前記洗浄液と同様に流れ、鉗子口部5の外周側に流出する。当該消毒は、消毒液を満たした容器に、可能な限り内視鏡1全体を浸漬した状態で行う。所定の量の消毒液を注入し吸引チャンネル3内に消毒液が満たされたら、所定の消毒時間内にて浸漬を行う。消毒液注入の際、消毒液が開口部出口512から噴出して、栓体9外に流出するので、吸引チャンネル3だけでなく、圧力緩和室922、凹部912、第1の係合部521、第2の係合部522、溝523なども消毒される。
【0142】
このように、鉗子口部5に本発明の栓体9を装着しておけば、前述したように圧力緩和室922での洗浄液、消毒液の圧力が緩和されるので、洗浄、消毒中に栓体9が鉗子口部5から離脱することがない。その結果、吸引管路32a、b、c、鉗子管路33を確実に洗浄、消毒することができる。
【0143】
したがって、医療従事者は、安心して内視鏡1を患者に対して使用できると認識できる。その結果、医療従事者は、検査の準備を始めることができ、検査を開始することができる。
【0144】
また、液体飛散防止壁913により液体の飛散が防止されるので、医療従事者に対する安全性が高い。
【0145】
そして、被検査者への使用が終了した後は、再度、洗浄、消毒処理が施され、上記のような動作によって、繰り返し内視鏡1が使用される。
【0146】
<第2実施形態>
図9は、本発明の栓体を鉗子口部5に装着したときの第2実施形態を示す縦断面図である。なお、以下では、図9中の上端を「基端」、下端を「先端」という。
【0147】
以下、この図を参照して本発明の栓体の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0148】
本実施形態は、スカート部94を有していること以外は、第1実施形態と同様である。
すなわち、図9に示すように、液体飛散防止壁913の先端部の外周に、先端方向に延長したスカート部94が形成されている。このスカート部94は、鉗子口部5の本体51の外周面を覆うように筒状に形成されている。
【0149】
スカート部94は、内周面941の内径が先端部に向かって漸増するテーパ状に形成されている。
【0150】
このテーパ角度θは、中心軸70に対して例えば、3〜85°であることが好ましく、20〜70℃であることがより好ましい。角度θがこのような範囲で設定されることにより、内周面941に衝突した液体が内周面941をつたって下方に滑らかに流れるので、液体を栓体9の外周側に円滑に排出することができる。
【0151】
スカート部94の高さhは、1〜6mmでることが好ましく、1.5〜5mmであることがより好ましい。スカート部94の高さhがこのような範囲であることにより、スカート部の下端が可撓管部20または操作部6に接触することがないので、栓体9を縮径部52に精度よく嵌合することができる。また、間隙302から流出する液体の流れる方向にスカートが形成されるので、液体の飛散を確実に防止することができる。
【0152】
スカート部94の内周面941と本体51の外周面との間には、凹部912から流出した液体が流れるリング状の流路95が先端方向に延在している。そして、その流路95の基端は間隙302と連通し、先端は可撓管部20に向けて開口している。
【0153】
このように、栓体9がスカート部94を有することにより、凹部912から流出した液体が間隙302を通って流路95を先端方向に流れるので、液体が間隙302から鉗子口部5の外周に飛散することを防止することができる。
【0154】
なお、本実施形態では、スカート部94は、胴部91、頂部92および把持部93と同じ材料で構成されているが、可撓性を有する材料で構成されていてもよい。
【0155】
以上、本発明の内視鏡および栓体を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0156】
また、凹部は胴部側に設けられていたが、鉗子口部の縮径部側に設けられていてもよい。
また、変形部は、空間部の天面に設けられていたが、側面に設けられていてもよい。
【0157】
また、液体飛散防止壁は、胴部の下端部で凹部の外周側に略円筒状に形成されていたが、胴部の下端部で凹部の外周側に周方向に沿って、複数の板状体が間欠的に形成されていてもよい。
なお、本発明の栓体においては、変形部は有していなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本発明の内視鏡の第1実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示す内視鏡の洗浄、消毒状態を示す縦断面図図である。
【図3】本発明の栓体の第1実施形態を示す上面図である。
【図4】図3に示す栓体の縦断面図である。
【図5】図3に示す栓体の斜視図である。
【図6】図3に示す栓体を鉗子口部に装着したときの洗浄、消毒状態を示す拡大縦断面面図である。
【図7】図6中のA−A線断面図である。
【図8】図6中のB−B線断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態の栓体を鉗子口部に装着したときの洗浄、消毒状態を示す拡大縦断面図である。
【符号の説明】
【0159】
1 内視鏡
2 挿入部可撓管
20 可撓管部
21 湾曲部
211 先端部
3 吸引チャンネル
30 液体貯留空間
31 吸引シリンダ
32a、32b、32c 吸引管路
33 鉗子管路
34 合流点
4 送気・送液チャンネル
40 副送水チャンネル
41 送気・送液シリンダ
42a、42b 送気管路
43a、43b 送液管路
401 副送水管路
5 鉗子口部
51 本体
511 内空
512 開口部出口
513 本体上面
52 縮径部
521 第1の係合部
522 第2の係合部
523 溝
6 操作部
61 第1操作ノブ
62 第2操作ノブ
63 第1ロックレバー
64 第2ロックレバー
65 吸引ボタン
66 送気・送液ボタン
7 接続部可撓管
70 中心軸
8 コネクター部
81 ライトガイドコネクタ
82 スコープコネクタ
83 吸引口
84 送気・送液口
85 副送水口
9 栓体
91 胴部
911 凸部
912 凹部
913 液体飛散防止壁
914 頂面
915 下端開口
916 内壁面
917 下面
92 頂部
922 空間部(圧力緩和室)
923 変形部
923a 下端面
923b 上端面
923c、d 湾曲凸面
924 上面
93 把持部
931 中間部
932 端部
94 スカート部
941 内周面
95 流路
100 吸引手段
101 注射器
102 注射器
200 送気・送液手段
201 注射器
300 副送水手段
301 注射器
302 間隙
L 凸部の頂面の幅
T 変形部の厚さ
液体飛散防止壁の高さ
スカート部の高さ
θ 内壁面のテーパ角度
θ 内周面のテーパ角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部に開口部出口を有する鉗子口部を備える内視鏡の前記鉗子口部に装着される栓体であって、
前記鉗子口部に装着した状態で、液体の流出を許容するように構成されているとともに、前記流出する液体の飛散を防止する液体飛散防止壁を備えることを特徴とする栓体。
【請求項2】
筒状の胴部と、
該胴部の基端側を覆う頂部とを備える栓体であって、
前記胴部の内周面に凹部が形成され、
前記鉗子口部に装着した状態で、前記凹部を介して前記液体の流出がなされるように構成されている請求項1に記載の栓体。
【請求項3】
前記液体飛散防止壁は、前記胴部の先端側に胴部の周方向に沿って全周にわたって、筒状に形成されている請求項2に記載の栓体。
【請求項4】
前記液体飛散防止壁の内周面は、その内径が先端部に向かって漸増するテーパ状に形成されている請求項2または3に記載の栓体。
【請求項5】
前記液体飛散防止壁の内周面のテーパ角度が3〜85°である請求項4に記載の栓体。
【請求項6】
前記液体飛散防止壁は、その高さが1〜10mmとなるように形成されている請求項2ないし5のいずれかに記載の栓体。
【請求項7】
前記鉗子口部に装着したときに、前記液体飛散防止壁の内周面と前記鉗子口部の外周面との間に液体を一時的に貯留するリング状の液体貯留空間を有する請求項2ないし6のいずれかに記載の栓体。
【請求項8】
前記液体飛散防止壁の先端部外周に、さらに先端方向に延長されたスカート部を有する請求項2ないし7のいずれかに記載の栓体。
【請求項9】
前記凹部は、前記内周面の周方向に沿って形成されている請求項2ないし8のいずれかに記載の栓体。
【請求項10】
端部に開口部出口を有する鉗子口部を備える内視鏡であって、
請求項1ないし9のいずれかに記載の栓体を前記鉗子口部に装着することを特徴とする内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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