説明

洗浄装置

【課題】十分な洗浄を確実に可能とする洗浄装置を提案する。
【解決手段】自動車の外面をクリーニングする洗浄装置は、洗浄面に向けた吐出開口を備えたノズルを有する。洗浄媒体は抽出口を通じて供給される。洗浄媒体はスプレーとして洗浄面に達する。その際、特に汚れが固着していると、十分な洗浄作用が得られないことがある。十分な洗浄を確保するために、ノズルの吐出開口をスリット形状として形成すると共に、ノズルの吐出端部に備えたチャンネルの部分とする。洗浄媒体は、面的な液体シールドとして吐出する。この液体シールドは、吐出開口から吐出する際に既に洗浄面に面的に衝突する。チャンネルにより、洗浄媒体は均等にスリット形状の吐出開口に供給される。頑固な汚れでも完全に除去される。洗浄装置は、車外バックミラー、自動車のサイドウインドウ、ヘッドライト、テールランプ、カメラレンズ等のミラーグラスを洗浄するために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,洗浄面に向けた少なくとも1個の吐出開口を有すると共に、少なくとも1個の洗浄媒体のための抽出口に結合した少なくとも1個のノズルを備える、自動車の外面をクリーニングする洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超疎水性コーティングを使用すると、水は自然に滴下すると共に、汚れ粒子を連行する。しかしながら、湿った汚れ粒子だけがコーティング表面に付着していると、超疎水性コーティングにも拘わらず、汚れ粒子が滴下せずに、付着したままのことがある。このような超疎水性コーティングは、自動車の車外バックミラーのミラーグラス、ヘッドライト、テールランプ、カメラレンズ、又はそれらのカバー、ウインドスクリーン、後尾灯、補助ブレーキ灯等に使用される。これらの車両部品については、十分な洗浄作用を得ることができない。これらの不利は、疎水性コーティングのみならず、従来の表面についても生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、十分な洗浄を確実に可能とする洗浄装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するため、本発明の装置は、ノズルの吐出開口をスリット形状として形成すると共に、ノズルの吐出端部に備えたチャンネルの部分とすることを特徴とする。
【0005】
本発明の実施形態において、洗浄媒体は液体シールドとして吐出され、シールドは既に吐出開口から吐出する際に洗浄面に面的に衝突する。吐出開口は極めて狭くすることができるため、洗浄媒体は高速で洗浄面に衝突すると共に、頑固に付着した汚れを確実に除去する。洗浄媒体が吐出開口に均等に供給されるようにチャンネルを備える。吐出する液体シールドは洗浄面上の汚れ粒子を排除するため、固着した粒子でも確実に除去される。
【0006】
洗浄面の一部分はチャンネルを限定するのが有利である。面の縁部まで洗浄可能とするのが最適である。好適には、洗浄装置が自動車の既存の洗浄システムに結合する。洗浄装置は、低コストで簡単な構造として形成される。
【0007】
本発明の特徴については、従属請求項、詳細な説明及び図面に示したとおりである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を図示の好適な実施形態について更に具体的に説明する。
【0009】
図1は、ミラーグラスホルダ3のコーナー領域に備えた洗浄装置2を有する車外バックミラー1の一部分を示している。ホルダは、公知のように、超疎水性コーティングを備えたミラーグラス4を担持する。ミラーグラスホルダ3は、ミラー脚部で車両に固定されたミラーハウジング(図示せず)に収納される。ミラーハウジングは、ミラー脚部に対し、車両の走行方向及びその反対方向に旋回可能となる。両方の旋回方向について、其々に1本の旋回軸線(2軸ミラー)又は唯一の旋回軸線(単軸ミラー)を備えることができる。ミラーヘッドは、パーキングポジションでも旋回可能とするのが有利である。
【0010】
ミラーヘッドには、ミラーグラス4及び洗浄装置2のノズル5(後出する)を加熱するためのヒータ、少なくとも1個のフィールドライト、フラッシングライト、少なくとも1個のスピーカ、GPS‐モジュール、ミラーグラスホルダ3の電動調整用の駆動部、アンテナ、カメラ等を収納することができる。これらの装着素子は、車両製造者の要求に応じて、任意に組み合わせるか、あるいは其々に別個に備えることができる。
【0011】
ミラー脚部には、フィールドライト、スピーカ等を収納することができる。これらの装着素子もまた、別個に備えるか、あるいは任意の組み合わせとして配置することができる。
【0012】
洗浄装置2は、好適には水とする洗浄媒体のためのノズル5及び接続部6を備える。接続部6は、ケーブル(図示せず)を介して洗浄媒体の貯蔵容器に接続する。貯蔵容器は、車両のスクリーン洗浄装置及び/又はヘッドライト洗浄装置の容器とすることができる。車両内の適当な箇所に装着した専用の貯蔵容器を備えることができる。
【0013】
洗浄装置2によって洗浄すべきミラーグラス4に塗布される洗浄媒体は、ポンプ(図示せず)又は制御可能なマルチバルブによって加圧下で貯蔵容器から接続部6に供給される。ノズル5及び接続部6は、適当なプラスチックから成るミラーグラスホルダ3と一体化して作製することができる。接続部6はミラーグラスホルダ3の後方に位置するため、洗浄媒体の供給管はブラインドで接続可能となる。導管を確実に固定可能とするため、接続部6の遊端8は、導管の装着方向にテーパ状に拡大するように形成される。
【0014】
図1に示した実施形態において、洗浄装置2のノズル5はミラーグラス4のコーナー領域に配置される。ノズル5は、約90°の角度領域に亙って延在すると共に、ミラーグラス4の壁部9は、僅かに離間してミラーグラス4の上側4′に対して平行に延在すると共に、ミラーグラスホルダ3の縁部11に直角に連接する側方壁部10へ直角に移行する。側方壁部10は、ミラーグラス4の縁部12に対し離間して位置する。洗浄装置2の壁部9,10は、約90°の角度領域に亙って延在する。
【0015】
壁部の遊端縁部13は、ミラーグラス4の方向へ僅かに湾曲し、平坦な端面14を有する。この端面14は、ミラーグラス4の上側4′に対して平行に延在すると共に、約90°の角度領域に亙って延在する縦長のチャンネル23を形成する。チャンネルの奥行きは、その高さより数倍も大とする。端面側のチャンネル開口は、概ね矩形とする狭いノズル開口15を形成する。このノズル開口15を通じて、洗浄媒体は十分に高い圧力下でノズル5から吐出される。ノズル開口15は一定の角度領域に亙って延在するため、洗浄媒体は放射状ではなく、液体シールドとして面的に吐出される。それにより、ミラーグラス4の上面4′に存在する汚れ粒子には、洗浄すべき全面に亙って洗浄媒体が衝突し、ノズル5から外方へミラー縁部に向けて排除される。その結果、ミラーグラスの最適な洗浄が容易に実現する。端面14とミラーグラス上側4′との離間距離は、チャンネル23の奥行きより数倍も小とする。チャンネル23の奥行きは、ノズル縁部9又はノズル開口15の長さより相当に小とする。正面(図1の矢印P)から見ると、チャンネル23は矩形の輪郭を有すると共に、ノズル5の外周の全幅に亙って延在するのが有利である。
【0016】
接続部6を通じて供給される洗浄媒体は、先ず、分配室16に達する。この分配室16は、ノズル5の壁部9,10によって外方へ、ミラーグラス4及びミラーグラスホルダ3の縁部11,12によって内方へ限定される。図1に示すように、分配室16は端面側で正面壁17,18によって限定される。正面壁17,18は、壁部9,10及びミラーグラスホルダ3と一体化して形成されると共に、チャンネル23の側方縁部を形成する。
【0017】
ミラーグラス4の可視サイド4′はチャンネル23とノズル開口15とを一方の側で限定するため、洗浄媒体は直にミラーグラス4に達する。壁部9の下方に位置するミラーグラス4の表面部分もまた、洗浄媒体によって完全に捕捉される。
【0018】
端面14又はチャンネル23に連接して、分配室16の内側19は外方へ移行されるため、ステップ及び分配室16の部分とする連接した広い室24が形成される。室24は、洗浄媒体の流れ方向に対して直角に残りの分配室16より小とする長さを有する(図4)。このことは完全な洗浄に供する。ノズル開口15又はチャンネル23の前で断面が縮小することにより、洗浄媒体の流速が上昇するからである。
【0019】
基本的には、ミラーグラス4の各コーナーに洗浄装置2を備えることができる。ミラーグラス4の2コーナー、3コーナー又は全ての4コーナーに各1個の洗浄装置2を配置することも可能である。
【0020】
図2に示した実施形態は、洗浄装置2aが相当により大きな長さに亙って延在する点で従前の実施形態とは異なる。洗浄装置は、コーナー領域7から外側の側方縁部20及び上方の長手方向縁部21を経てミラーグラス4の内側の側方縁部22の近傍まで延在する。洗浄媒体を供給するために接続部を備える。この接続部は、従前の実施形態と同様に形成された洗浄装置2aの適当な箇所に配置される。
【0021】
長い洗浄装置2,2aを各1個の接続部が対応する2個以上の小房に分割することも可能である。洗浄媒体は、小房のノズル開口から其々に面的に吐出され、ミラーグラス4の全面に亙って衝突すると共に、面上の汚れ粒子を連行する。
【0022】
洗浄装置2,2aを車外バックミラーのミラー脚部(図示せず)に備えることもできる。そのように配置することにより、洗浄媒体は自動車のサイドウインドウに衝突する。ノズル開口はスリット形状として形成され、洗浄媒体は液体シールドとして吐出される。
【0023】
図6に示すように、洗浄装置2bは、装着個所に固定したセパレートのユニット又は装着モジュールとすることができる。固定は、接着、クリップ、差込等によって実現する。この場合、グラスホルダプレート3bは、装置2bの溝26内で屈曲した縁部25に固定される。溝26は、ノズル5bと給水接続部6bとの間の比較的肉厚の遷移部分27に延在する。給水接続部6bは、基本的に図1に示したものと同様に形成される。溝23bは、従前の2実施形態とは異なり、互いに平行とする平坦な2端面14b,28によって限定される。これらの端面はノズル5bの一部分である。チャンネル23bの端面28は、ミラーグラス4の上側4′と同一平面に延在する。洗剤媒体がスリット形状のノズル開口15bから吐出するや否や、直ちにミラーグラス上側4′に達する。スリット形状として形成することにより、従前の実施形態と同様に、洗浄液は薄い液体シールドとしてノズル開口15bの長さに亙って吐出される。
【0024】
端面28及びミラーグラス上側4´は互いに直結する。したがって、洗浄媒体は問題なくミラーグラス上側4′に達する。ミラーグラス上側4′に接するノズル5bの端面28の清浄な接続部を実現するため、端面はノズル5bの接続側29に鋭角に連接する。
【0025】
従前の実施形態と同様、面的な液体シールドはミラーグラス上側4′に位置する汚れの粒子を排除するため、頑固に付着した粒子も確実に剥ぎ取ることができる。
【0026】
チャンネル23bに接続する室24bは、チャンネル23bよりも高さが大であると共に、従前の実施形態の場合と同様に形成される。
【0027】
ノズル5bは、図1〜図5に示したノズルと同じように形成される。洗浄装置2bは、図1に示すように、例えば、約90°の角度領域に亙って延在することができる。しかしながら、図2に例示したように、ミラーグラス4の長手方向縁部領域に亙って延在することも可能である。
【0028】
洗浄装置2,2a,2bは、自動車のヘッドライト、テールランプ、カメラレンズ、ウインドスクリーン、後尾灯、補助ブレーキ灯の統合又は分離した構成部品とすることができる。自明のことながら、様々な車両部品を洗浄可能とするために、複数個の洗浄装置を車両に備えることができる。
【0029】
ポンプ又はマルチバルブは、手動によりオンオフ可能とする。センサの信号によってポンプ又はマルチバルブを作動することも可能である。センサは、洗浄面の汚染度を測定すると共に、一定の汚染度を超えるとオンオフ信号を発する。かくして、洗浄面は自動的にクリーニングされる。
【0030】
洗浄面は疎水性又は超疎水性の被覆を備えることができる。洗浄装置2,2a,2bは、前記被覆を有しない面に対しても投入可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による装置を備える自動車の車外バックミラーの一部分を示す正面図である。
【図2】本発明による装置を備える第2実施形態を図1に対応して示す正面図である。
【図3】図1の線III−IIIに沿って破断して示す縦断面図である。
【図4】図3に示した細部IVを拡大して示す断面図である。
【図5】図1の矢印V方向から見て示す側面図である。
【図6】本発明による別の装置を図4に対応して示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 車外バックミラー
2,2a,2b 洗浄装置
3 ミラーグラスホルダ
3b グラスホルダプレート
4 ミラーグラス
4′上側、上面
5,5b ノズル
6 接続部
8,13 遊端
9,10 壁部分
11,12 縁部
14,14b,28 端面
15,15b ノズル開口
16 分配室
17,18 正面壁
20 外側の側方縁部
21 上方の長手方向縁部
22 内側の側方縁部
23,23b チャンネル
24,24b 広い室
25 屈曲した縁部
26 溝
27 遷移部分
29 接続側


【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄面に向けた少なくとも1個の吐出開口を有すると共に、少なくとも1個の洗浄媒体のための抽出口に結合した少なくとも1個のノズルを備える自動車の外面をクリーニングする洗浄装置において、ノズル(5,5b)の吐出開口(15,15b)を、スリット形状として形成すると共に、前記ノズル(5,5b)の吐出端部に備えたチャンネル(23,23b)の部分とすることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
洗浄面(4′)の縁部に吐出開口(15)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
洗浄面(4′)の一部分が前記チャンネル(23)を限定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記ノズル(5b)の2個の壁部分(14b,28)が前記チャンネル(23b)を限定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
前記チャンネル(23,23b)の奥行きは該チャンネルの高さよりも大きいことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記チャンネル(23,23b)の奥行きは該チャンネルの高さより数倍も大きいことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記チャンネル(23,23b)は一定の断面を有することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記チャンネル(23,23b)は正面から見て概ね矩形の輪郭を有することを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記ノズル(5)は洗浄面(4′)を担持するホルダ(3)と一体化して形成されることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
好適には接着、クリップ、差込等によって、前記ノズル(5b)をミラーグラスホルダ(3b)に固定することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
抽出口(6,6b)を前記ノズル(5,5b)と一体化して形成することを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記ノズル(5,5b)を洗浄面(4′)のコーナー領域(7)に配置することを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記ノズル(5,5b)は洗浄面(4′)の少なくとも1個の縁部領域(18)に亙って延在することを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記チャンネル(23,23b)の一方の壁部分(14,14b)は1個のステップを介して前記ノズル(5,5b)の内側(19)に移行することを特徴とする、請求項4乃至13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
抽出口(6,6b)が洗浄面(4′)の後方に延在することを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
洗浄面(4′)は自動車の車外バックミラーのミラーグラス(4)の部分とすることを特徴とする、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
装着モジュールを備えることを特徴とする、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
導管(6,6b)が連通する供給室(16)が、前記チャンネル(23,23b)に接続することを特徴とする、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2007−508189(P2007−508189A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534574(P2006−534574)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【国際出願番号】PCT/DE2004/002233
【国際公開番号】WO2005/039932
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(504303414)シェーフェナッカー・ビジョン・システムズ・ジャーマニー・ゲーエムベーハー (12)
【Fターム(参考)】