説明

洗濯機

【課題】水槽の鉛直方向に対する角度を変更可能とした洗濯機において、水槽の角度変更に起因する騒音に対する利用者の戸惑いや混乱をできるだけ与えないようにした洗濯機を提供すること。
【解決手段】筐体1と、洗濯脱水槽5を内装した水槽2と、筐体1内に設けられ水槽2を傾斜可能に支持する吊棒3と、洗濯脱水槽5を回転させる回転用モータ11と、吊棒3に作用して水槽2の鉛直方向に対する角度を変更する傾動用モータ21とを備え、水槽2の角度変更時に、水槽2が角度変更中であることを利用者に知らせる水槽状態告知装置22を備えた洗濯機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機、特に水槽が傾斜可能に設けられている洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の洗濯機は、洗い、すすぎ及び脱水の各行程(場合によっては乾燥行程も)を備えており、各行程では、モータの回転や水流の回転に起因する騒音が発生する。
昼間であれば、それらの騒音は特に気になるほどではなくても、夜間の使用の場合には、周囲が静かであるためその騒音が聞こえ易くなる。
【0003】
このため、従来より、洗濯機が発する騒音を低減させるための各種の方法が提案されている。例えば、ドラム式洗濯機において、ドラムに生じている偏心荷重量を予め定めたしきい値以下に設定して、ドラムの回転に起因する騒音を低減する方法などがある(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−177090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の洗濯機は、水槽が、直立状態または予め定めた傾斜状態に固定されていたものであり、洗濯行程に応じて、水槽の角度を設定できるようにしたものはなかった。
これに対して、本願発明者らは、洗濯機の各行程に応じて、水槽を所定の角度に変更して使用することを新たに提案している。この種の洗濯機においては、従来から馴染みの上記騒音に加えて、水槽の角度変更に伴う新たな騒音が追加されるため、利用者の方で戸惑いや混乱を生ずるおそれがある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、水槽の鉛直方向に対する角度を変更可能とした洗濯機において、水槽の角度変更に起因する騒音に対する利用者の戸惑いや混乱をできるだけ与えないようにした洗濯機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の洗濯機は、筐体と、洗濯脱水槽を内装した水槽と、前記洗濯脱水槽の底部に配置されたパルセータと、前記筐体内に設けられ、前記水槽を傾斜可能に支持する水槽支持手段と、前記洗濯脱水槽および前記パルセータを回転させる回転駆動源と、前記水槽支持手段に作用して、前記水槽の鉛直方向に対する角度を変更する傾斜駆動源とを備え、前記水槽の角度変更時に、該水槽が角度変更中であることを利用者に知らせる水槽状態告知装置を備えたものである。
また、低騒音化を考慮しない標準運転モードと低騒音化を考慮した低騒音運転モードとを備えたものにおいて、前記低騒音運転モードでは、前記水槽の直立状態と傾斜状態との間での移動の回数を、前記標準運転モードの場合より少なくしたものである。
さらに、低騒音化を考慮しない標準運転モードと低騒音化を考慮した低騒音運転モードとを備えたものにおいて、前記低騒音運転モードでは、前記水槽の傾斜速度を、前記標準運転モードの場合より遅くしたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の洗濯機は、水槽が角度変更中であることを利用者に知らせる水槽状態告知装置を備えているため、水槽の角度変更に起因する騒音が発生しても、その騒音源が把握でき、その騒音に伴う利用者の戸惑いや混乱を低減することができる。
また、低騒音化を考慮しない標準運転モードと低騒音化を考慮した低騒音運転モードとを備えたものにおいて、低騒音運転モードでは、水槽の直立状態と傾斜状態との間での移動の回数を、標準運転モードの場合より少なくしたので、低騒音運転モードでは水槽の角度変更に伴う騒音発生回数が少なくなる。
さらに、低騒音化を考慮しない標準運転モードと低騒音化を考慮した低騒音運転モードとを備えたものにおいて、低騒音運転モードでは、水槽の傾斜速度を、標準運転モードの場合より遅くしたので、低騒音運転モードでは水槽を動かす駆動源の出力を低減でき、その分発生する騒音が少なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明の実施の形態に係る洗濯機の水槽が直立した状態を示す内部側面図、図2は本発明の実施の形態に係る洗濯機の水槽が傾斜した状態を示す内部側面図である。この洗濯機は、洗い、すすぎ、脱水、及び乾燥の各行程が実行できるものとする。なお、洗い行程とすすぎ行程とをまとめて「洗濯行程」と称する場合がある。以下において、これら図1、図2を基に、本発明の実施の形態に係る洗濯機を説明する。
【0009】
(筐体)
筐体1は断面矩形の筒状(略直方体に同じ)であって、天面にはトップカバー10が設置されている。トップカバー10には天面開口部が形成されていて、それが洗濯物の出し入れに供する投入口となっている。そして、該投入口には透明な外蓋9が開閉自在に設置されている。
【0010】
(水槽)
筐体1内には水槽2が収納されている。水槽2は天面が開放され、底面が閉塞された筒状であって、傾動台20に固定されている。水槽2の上端面には内側が開口部とされた水槽カバー7が設置されている。また、水槽カバー7には、水槽カバー7の開口部を閉塞または開放する内蓋8が傾動自在に設置されている。この例では、外蓋9の下方に内蓋8が配置されている。
【0011】
外蓋9の開閉動作は、内蓋8に伝達され、外蓋9を開くと内蓋8も開き、外蓋9を閉じると内蓋8も閉じる様になっている。
さらに、外蓋9(または内蓋8)を開放不能にロックする蓋ロック機構(図示しない)が設置されている。かかる蓋ロック機構は、進退する電磁ピンなどを用いて機械的に行ってもよいし、外蓋9(または内蓋8)が電動式の蓋開閉駆動機構によって開閉される場合には、該蓋開閉駆動機構が電気的に駆動しないようにしてもよい。
【0012】
(水槽支持手段)
水槽支持手段は、筐体1内に設けられていて、水槽2を傾斜可能に支持するものである。ここでの水槽支持手段は、筐体1の上部四隅に一端が固定された4本の吊棒3と、その吊棒3の下端部に固定された水平台19と、吊棒3に傾動可能に取り付けられた傾動台20とを備える。水平台19はその前面寄りに、傾動台20を回転自在に支持する傾動支点20aが設けられている。なお、傾動台20の回転を、洗濯脱水槽5の回転と区別するため、便宜上、「傾動」と呼ぶこととする。
【0013】
(傾動駆動源)
水槽2を図2のように傾斜させる水槽2の傾動動作は各種の方法で行うことができる。例えば、ピニオン及びラックを利用して、傾動支点20aを中心に傾動台20を回転させて行うことができる。また、水槽2を支えている後側の吊棒3を上下方向に移動させることで、水槽2を傾斜させることもできる。いずれの場合に、その動力源として、傾動用モータ21(図1,2では非表示、図3に表示有り)が設けられている。
【0014】
(洗濯脱水槽)
洗濯脱水槽5は、投入された洗濯物の洗い、すすぎ、脱水及び乾燥に供するものであり、水槽2内に回転自在に配置されている。また、水槽2が傾動台20に固定され、傾動台20とともに傾動するものであるから、洗濯脱水槽5も水槽2とともに傾動する。洗濯脱水槽5は、天面が開放され、底面が閉塞された筒状で、側面には脱水のための複数の通水孔が形成されている。
洗濯脱水槽5の天面開口部の周囲にはバランサー6が設置されている。バランサー6の内周で囲まれた範囲が、開口部として洗濯物を投入したり取り出したりするために供される。なお、洗濯脱水槽5を内装する水槽2には水槽カバー7が設置されているため、バランサー6の上端面は水槽カバー7によって覆い隠されている。
【0015】
(パルセータ)
洗濯脱水槽5の底部には、投入された洗濯物および注水された水(以下「洗濯水」と称す)を攪拌するためのパルセータ4が、回転自在に配置されている。パルセータ4には攪拌効果を向上させるための翼を設けるのが好ましい。なお、以下では、洗濯脱水槽5の回転と区別するため便宜上、パルセータ4の回転を「旋回」と称する。
【0016】
(回転駆動源)
水槽2の底面で、傾動台20の下面には、パルセータ4及び洗濯脱水槽5を回転駆動する回転駆動源としての回転用モータ11が設置されている。加えて、回転用モータ11の回転をパルセータ4または洗濯脱水槽5に振り分ける回転分配手段と、該共通の回転分配手段からパルセータ4に回転(旋回)を伝達するパルセータ側回転伝達手段と、該共通の回転分配手段から洗濯脱水槽5に回転を伝達する槽側回転伝達手段とが設置されているが、それらの手段は特に図示しない。回転用モータ11および回転分配手段は、後述する制御手段の指令によって、洗濯行程と脱水行程と乾燥行程において、それぞれ所定の回転/停止および振り分けをするものである。
【0017】
(給排水機構)
水槽2の天面には、洗濯脱水槽5内に水を供給する給水機構13が設置されている。給水機構13は、一端が筐体1の外に導出されて外部の水道に接続される給水経路12と、給水経路12の途中に設置されて水の流通を開閉する給水弁14とを有している。
一方、水槽2の底面には排水口(図示しない)が形成され、排水口には排水ホース18が連結されている。なお、排水口または排水ホース18には水の流通を開閉する排水弁(図示せず)が設けられている。給水弁14および排水弁を閉じると共に、内蓋8を閉じると、水槽2は密閉状態になる。
【0018】
(乾燥手段)
乾燥手段は、温風によって洗濯物を乾燥させるものであって、乾燥行程時に洗濯脱水槽5内に温風を供給する送風ファン15と、空気を加熱するヒータ17とを有してなる。 送風ファン15は水平台19の下面に設置され、送風ファン15のケーシング吐出口にはヒータ17が設置されている。そして、該ケーシング吐出口に連通し、水槽2の外壁に沿って立ち上がって水槽2の上部の開口縁に開口する送風ダクト16が設置されている。また、送風ダクト16はケーシング吐出口との連通部の近くにおいて可撓性を具備しているから、水槽2の傾動に伴って傾動するものである。なお、かかる乾燥手段を傾動台20に設置した場合には、送風ダクト16に可撓性は要求されない。
ヒータ17によって加熱された温風は、洗濯脱水槽5内において洗濯物の乾燥に供された後、排気ダクト(図示せず)に排出される。そして、その排出された水分含有温風に向けて散水する「水冷除湿」が実行された後、再度、送風ダクト16に送られ循環する。
【0019】
(制御手段)
図3は、図1に示す洗濯機の動作を制御する制御手段の構成を説明するブロック図である。この洗濯機の制御手段110は、CPU130と、入力インタフェース120と、出力インタフェース140と、メモリ150と、クロック制御部160(タイマ170に接続されている)等からなり、それらが図示していない制御基板に取り付けられている。入力インタフェース120にはこれを介してCPU130に所定の信号を入力する運転コース設定スイッチ、電源スイッチなどの各種の操作スイッチ31〜35や水槽2の傾斜角度検出器36等が接続される。
一方、出力インタフェース140には、CPU130からの所定の制御信号が出力される送風ファン15、ヒータ17、回転用モータ11、傾動用モータ21、給排水弁や各種ロック機構等が接続される。出力インタフェース140にはまた、水槽2の角度変更時に、該水槽2が角度変更中であることを利用者に知らせる水槽状態告知装置22や、洗濯機の作動状態を表示する表示装置も接続されている。
【0020】
なお、安全SWとは、たとえば、外蓋9の開閉をロックする蓋ロック機構や、傾動板20の傾動をロックする傾動ロック機構等が作動していることを確認するスイッチ類を示している。
また、メモリ150には、運転コースのそれぞれの行程に対応して制御条件が記憶されている。そして、CPU130は、傾斜角度の決定や、決定した傾斜角度に傾動させる制御指令を、運転コースの各行程に応じて発している。
【0021】
(操作部及び作動状態表示部)
筐体1の前側上面には、上記操作スイッチ31〜35と、洗濯機の作動状態を示す表示装置(図示せず)と、水槽2の角度変更時に水槽2が角度変更中であることを利用者に告知する水槽状態告知装置22とを備えた、操作部及び作動状態表示部23が設けられている。なお、水槽状態告知装置22には、液晶パネルやLED等の表示で告知する表示装置の他、音声で告知する発声装置も利用できる。
【0022】
(洗濯機の制御)
図4、図5は、制御手段110の制御方法の一例を説明するものであって、図4は洗濯物が多い場合(例えば6kgを越える場合)の標準運転モードと低騒音運転モードとの運転制御方法の比較説明図、図5は洗濯物が少ない場合(例えば6kg以下の場合)の標準運転モードと低騒音運転モードとの運転制御方法の比較説明図である。
なお、図4、図5における用語、「大」、「小」、また「高速」、「中速」、「低速」等の表示は、比較のための相対的な程度を示したものであり、実施の速度の状態とは相違する場合もある。また、低騒音運転モードは、ナイトモードと称されることもある。
【0023】
A.洗濯物が多い場合の運転制御
A−1.標準運転モード
洗濯物が多い場合の標準運転モードにおいて、水槽2の傾斜、パルセータ4の回転、洗濯脱水槽5の回転、及び送風ファン15の回転は、例えば図4の実線に示されるような制御フローにより制御される。
まず、傾斜して停止していた水槽2内の洗濯脱水槽5に洗濯物(衣類)が投入される。 続いて、水槽2を直立状態に戻した後または水槽2を直立状態に戻しながら、水槽2内に水を給水する。
そして、水槽2を直立状態とした状態で、洗い、すすぎ、脱水の各行程を実行する。洗い、すすぎの行程では、パルセータ4を低速で回転する。また、脱水行程では洗濯脱水槽5を高速で回転する。
続いて、水槽2を最大傾斜時の途中(例えば、直立状態から15〜20度の傾斜状態)まで傾斜させた後、乾燥行程を実行する。乾燥行程では、パルセータ4を低速で回転し、送風ファン15を高速で回転する。水槽2(洗濯脱水槽5を含む)を傾斜させた状態でこのようにすることで、洗濯物の攪拌が促進され、乾燥効率が向上する。
そして、乾燥行程が終了した後、水槽2を最大傾斜角度まで傾斜させる。
最後に、傾斜している水槽2内の洗濯脱水槽5から洗濯物が取り出される
以上のようにすることで、特に乾燥効率を改善した洗濯が可能となっている。
【0024】
A−2.低騒音運転モード
洗濯物が多い場合の低騒音運転モードにおいて、水槽2の傾斜、パルセータ4の回転、洗濯脱水槽5の回転、及び送風ファン15の回転は、例えば図4の実線と波線で示されるような制御フローにより制御される。
まず、傾斜して停止していた水槽2内の洗濯脱水槽5に洗濯物(衣類)が投入される。 続いて、水槽2を直立状態に戻した後または水槽2を直立状態に戻しながら、水槽2内に水を給水する。
そして、水槽2を直立状態とした状態で、洗い、すすぎ、脱水の各行程を実行する。洗い、すすぎの行程では、パルセータ4を低速よりさらに遅い回転数で回転する。また、脱水行程では洗濯脱水槽5を中速で回転する。
続いて、水槽2を直立状態に維持したまま、乾燥行程を実行する。乾燥行程では、パルセータ4を低速よりさらに遅い回転数で回転し、送風ファン15を低速で回転する。水槽2(洗濯脱水槽5を含む)を傾斜させた状態で乾燥行程を実行した方が効率は良いのであるが、低騒音運転モードでは、乾燥効率よりも、傾動モータ21の動作回数を低減させて、騒音発生回数を減らすことに重きをおいたものである。
そして、乾燥行程が終了した後、水槽2を最大傾斜角度まで傾斜させる。
最後に、傾斜している水槽2内の洗濯脱水槽5から洗濯物が取り出される
以上のように、低騒音運転モードでは、水槽2の傾斜回数を減らし、パルセータ4と洗濯脱水槽5を回転させる回転用モータ11、及び送風ファン15の回転数を、標準運転モードより少なくすることで、洗濯時に発生する騒音を低減している。
【0025】
B.洗濯物が少ない場合の運転制御
B−1.標準運転モード
洗濯物が少ない場合の標準運転モードにおいて、水槽2の傾斜、パルセータ4の回転、洗濯脱水槽5の回転、及び送風ファン15の回転は、例えば図5の実線に示されるような制御フローにより制御される。
まず、傾斜して停止していた水槽2内の洗濯脱水槽5に洗濯物(衣類)が投入される。
続いて、水槽2の傾斜を途中(例えば、直立状態から15〜20度傾斜の状態)まで戻した後または戻しながら、水槽2内に水を給水する。
そして、水槽2の傾斜を維持した状態で、洗い行程を実行する。この洗い行程では、パルセータ4を低速で回転する。
続いて、水槽2を直立状態に戻した後、すすぎ及び脱水の行程を実行する。すすぎ行程では、パルセータ4を低速で回転する。また、脱水行程では洗濯脱水槽5を高速で回転する。
脱水行程の終了後、水槽2を最大傾斜時の途中まで再び傾斜させて、乾燥行程を実行する。乾燥行程では、パルセータ4を低速で回転し、送風ファン15を高速で回転する。水槽2(洗濯脱水槽5を含む)を傾斜させた状態でこのようにすることで、洗濯物の攪拌が促進され、乾燥効率が向上する。
そして、乾燥行程が終了したあと、水槽2を最大傾斜角度まで傾斜させる。
最後に、傾斜している水槽2内の洗濯脱水槽5から洗濯物が取り出される
以上のようにすることで、洗い及び乾燥効率を改善した洗濯が可能となっている。
【0026】
B−2.低騒音運転モード
洗濯物が少ない場合の低騒音運転モードにおいて、水槽2の傾斜、パルセータ4の回転、洗濯脱水槽5の回転、及び送風ファン15の回転は、例えば図5の実線と波線で示されるような制御フローにより制御される。
まず、傾斜して停止していた水槽2内の洗濯脱水槽5に洗濯物(衣類)が投入される。 続いて、水槽2を直立状態に戻した後または戻しながら、水槽2内に水を給水する。
そして、水槽2を直立状態とした状態で、洗い、すすぎ、脱水の各行程を実行する。このとき、洗い、すすぎ行程では、パルセータ4を低速より遅い回転数で回転する。また、脱水行程では洗濯脱水槽5を中速で回転する。
続いて、水槽2を直立状態に維持したまま、乾燥行程を実行する。乾燥行程では、パルセータ4を低速よりさらに遅い回転数で回転し、送風ファン15を低速で回転する。水槽2(洗濯脱水槽5を含む)を傾斜させた状態で乾燥行程を実行した方が効率は良いのであるが、低騒音運転モードでは、乾燥効率よりも傾動モータ21の動作回数の低減による騒音発生回数を減らすことに重きをおいたものである。
そして、乾燥行程が終了した後、水槽2を最大傾斜角度まで傾斜させる。
最後に、傾斜している水槽2内の洗濯脱水槽5から洗濯物が取り出される
以上のように、低騒音運転モードでは、水槽2の傾斜回数を減らし、パルセータ4と洗濯脱水槽5を回転させる回転用モータ11、及び送風ファン15の回転数を、標準運転モードより少なくすることで、洗濯時に発生する騒音を低減している。
【0027】
なお、低騒音運転モードでは、回転用モータ11及び送風ファン15の回転数を、標準運転モードの場合より低くしたので、低騒音運転モードにおける洗濯時間は、例えば図6のモード別運転タイムチャートに示すように、洗い、すすぎ、脱水及び乾燥の各行程において、標準運転モードより多くするのが好ましい。
また、低騒音運転モードでは、水槽2の傾斜速度を標準運転モードよりも遅くする、すなわち、例えば傾動用モータ21の回転数を、水槽2が傾動可能な最低限の速度とすることにより、さらに騒音を低減させることができる。
また、いずれのモードにおいても、水槽2の角度変更時に、水槽2が角度変更中であることを利用者に知らせる水槽状態告知装置22が作用するため、利用者はそれにより傾動モータ21が動作中であることを認識する事ができる。
【0028】
また、回転用モータ11、送風ファン15、及び傾動用モータ21には直流モータを用いるものとし、それらのモータに供給される直流電源を、例えばパルス幅変調(PWM)制御することにより、各モータの出力を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係る洗濯機の水槽が直立した状態を示す内部側面図。
【図2】本発明の実施の形態に係る洗濯機の水槽が傾斜した状態を示す内部側面図。
【図3】本発明の実施の形態に係る洗濯機の制御手段の構成を説明するブロック図。
【図4】洗濯物の量が多い場合における、標準運転モードと低騒音運転モードとの運転制御方法の比較説明図。
【図5】洗濯物の量が少ない場合における、標準運転モードと低騒音運転モードとの運転制御方法の比較説明図。
【図6】標準運転モードと低騒音運転モードとのモード別運転タイムチャート。
【符号の説明】
【0030】
1:筐体、2:水槽、3:吊棒、4:パルセー夕、5:洗濯脱水槽、6:バランサー、7:水槽カバー、8:内蓋、9:外蓋、10:トップカバー、11:回転用モータ、12:給水経路、13:給水機構、14:給水弁、15:送風ファン、16:送風ダクト、17:ヒータ、18:排水ホース、19:水平台、20:傾動台、21:傾動用モータ、22 水槽状態告知装置、23 操作部及び作動状態表示部、50:洗濯物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
洗濯脱水槽を内装した水槽と、 前記筐体内に設けられ、前記水槽を傾斜可能に支持する水槽支持手段と、
前記洗濯脱水槽を回転させる回転駆動源と、
前記水槽支持手段に作用して、前記水槽の鉛直方向に対する角度を変更する傾斜駆動源とを備え、
前記水槽の角度変更時に、該水槽が角度変更中であることを利用者に知らせる水槽状態告知装置を備えたことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記水槽状態告知装置が表示により告知する表示装置であることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記水槽状態告知装置が音声により告知する発声装置であることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項4】
低騒音化を考慮しない標準運転モードと低騒音化を考慮した低騒音運転モードとを備えたものにおいて、
前記低騒音運転モードでは、前記水槽の直立状態と傾斜状態との間での移動の回数を、前記標準運転モードの場合より少なくしていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項5】
洗濯物を脱水する脱水行程と、前記洗濯脱水槽に空気を送り込みながら洗濯物を攪拌して乾燥させる乾燥行程を備えたものにおいて、
前記脱水行程から前記乾燥行程への移行時、前記水槽は、前記標準運転モードでは直立状態から傾斜状態に移行され、前記低騒音運転モードでは直立状態に維持されることを特徴とする請求項4記載の洗濯機。
【請求項6】
低騒音化を考慮しない標準運転モードと低騒音化を考慮した低騒音運転モードとを備えたものにおいて、
前記低騒音運転モードでは、前記水槽の傾斜速度を、前記標準運転モードの場合より遅くしていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項7】
前記回転駆動源として回転用モータを備え、
前記低騒音運転モードでは、前記回転用モータの回転速度を、前記標準運転モードより遅くしていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項8】
前記洗濯脱水槽に空気を送る送風ファンを備え、
前記低騒音運転モードでは、前記送風ファンの回転速度を、前記標準運転モードの場合より遅くしていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−167965(P2008−167965A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−4268(P2007−4268)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】