説明

洗濯機

【課題】風呂水を呼び水として利用した極めて節水度が高い洗濯機を提供する。
【解決手段】筐体と筐体内に設けた外槽4内に内槽5が回転可能に設けられた洗濯水槽3と、制御手段と、洗濯水槽3へ水道水を供給するために開閉される給水バルブ17と風呂水を洗濯水槽3へ供給するために駆動される風呂水ポンプ34と、給水バルブ17及び風呂水ポンプ34に接続され洗濯水槽3へ水道水を供給する注水口ユニット18と、を備えた洗濯機1において、洗濯水槽3と風呂水ポンプ34との間に接続される注水路23は逆止弁33が備えられ、風呂水ポンプ34には呼び水ポンプ24が呼び水吸入路25によって接続されており、呼び水ポンプ24が作動されることにより、風呂水ポンプ34に風呂水が呼び水として供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗濯機に関し、詳しくは、風呂水を利用して洗濯工程を行う洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、風呂水を洗濯工程に使用する場合、洗濯機内に備えられた風呂水ポンプを作動させ、浴槽内に投入された風呂水ホースにより風呂水を汲み上げて洗濯水槽へ供給している。この風呂水ポンプが風呂水を汲み上げることができるようにするため、呼び水が使用されている。この呼び水は、一度風呂水ポンプ内に溜められ、この呼び水が溜まった状態で風呂水ポンプを使用することで、風呂水ポンプ内の圧力が負圧となり、風呂水を汲み上げることができるようになっている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、風呂水を使用した洗濯機が開示されている。下記特許文献1の洗濯機では、風呂水ポンプが設けられ、洗濯水槽に風呂水を溜めることができる構成とされており、また、洗濯水槽に対し、洗濯水を循環させるための循環水路が設けられている。そして、洗濯水槽に溜まった風呂水を、循環水路を用いて循環させ、循環中の水にオゾン発生器の発生するオゾンを混入することにより、風呂水の浄化を行うことができるとされている。このようにすることで、下記特許文献1の洗濯機によれば、風呂水ポンプが備えられていることにより、風呂水を洗濯水槽に溜めて洗い水やすすぎ水として使用できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−153694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、洗濯機においてはできる限りの節水が求められてきており、前記特許文献1に開示されている洗濯機においても、風呂水を洗濯工程に使用することは節水を主目的とするものである。しかし、前記特許文献1に開示されている洗濯機をはじめ、従来は、風呂水ポンプに使用される呼び水としては、水道水を直接使用ないし予め洗濯機内に貯留されていた呼び水が使用されている。
【0006】
そのため、洗濯機において、節水を図り、水道水をできるだけ使用しないようにするためには、この呼び水についても水道水をなるべく使用しないようにすることが好ましい。なお、実際に使用される呼び水は、洗濯工程で使用される水に比べてわずかではあるが、洗濯は略毎日行われるため、月単位や年単位で考えると比較的大きくなることは明らかであり、節水のために呼び水として水道水の使用量を削減させることは非常に有効である。
【0007】
一方、水道水を呼び水として直接使用する場合、水圧の関係で、風呂水ポンプ内の水が水道水側(水道水の配管側)に逆流することがあり得る。
【0008】
そこで、発明者等は、種々実験を繰り返した結果、風呂水ポンプだけでなく、気体及び液体ともに吸引可能なポンプをも備え、この気体及び液体ともに吸引可能なポンプを作動させて風呂水を汲み上げることで風呂水を呼び水に使用できることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0009】
すなわち、本発明の目的は、風呂水ポンプを作動させる呼び水にも風呂水を使用することで、水道水の使用を極限まで抑制し、大幅な節水が可能な洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明の第1の態様の洗濯機は、
筐体と、前記筐体内に設けられた外槽内に内槽が回転可能に設けられた洗濯水槽と、制御手段と、前記洗濯水槽へ水道水を供給するために開閉される給水バルブと、風呂水を前記洗濯水槽へ供給するために駆動される風呂水ポンプと、前記給水バルブ及び前記風呂水ポンプに接続されて前記洗濯水槽へ水道水を供給する注水口ユニットと、を備えた洗濯機において、
前記洗濯水槽と前記風呂水ポンプとの間に接続される注水路には逆止弁が備えられ、前記風呂水ポンプには呼び水ポンプが呼び水吸入路によって接続されており、前記呼び水ポンプが作動されることにより、前記風呂水ポンプに風呂水が呼び水として供給されることを特徴とする。
【0011】
また、第2の態様の洗濯機は、第1の態様の洗濯機において、前記制御手段は、前記呼び水ポンプを所定時間作動させた後、前記呼び水ポンプを停止すると共に、前記風呂水ポンプを作動させることを特徴とする。
【0012】
また、第3の態様の洗濯機は、第2の態様の洗濯機において、前記筐体には前記洗濯水槽内の水位を測定する水位センサが設けられており、前記制御手段は、前記水位センサにより測定された水位が前記制御手段に規定された第1規定水位に達していないとき、前記呼び水ポンプを再度作動させることを特徴とする。
【0013】
また、第4の態様の洗濯機は、第3の態様の洗濯機において、前記制御手段は、前記洗濯水槽内の水位が前記第1規定水位に達していないことが2度検知された場合、前記給水バルブから水道水を呼び水として前記風呂水ポンプに供給させることを特徴とする。
【0014】
また、第5の態様の洗濯機は、第4の態様の洗濯機において、前記制御手段は、前記洗濯水槽内の水位が前記第1規定水位には達しているが前記第1規定水位よりも高い第2規定水位に達していないことが検知された場合、前記給水バルブから水道水が前記洗濯水槽に供給させることを特徴とする。
【0015】
また、第6の態様の洗濯機は、第4又は5の態様の洗濯機において、前記制御手段は、前記洗濯水槽内の水位が前記第1規定水位に達していないことが2度検知された場合、風呂水の給水に関して不具合があった旨の報知を行う報知手段を備えていることを特徴とする。
【0016】
また、第7の態様の洗濯機は、第1〜6の何れかの態様の洗濯機において、前記呼び水吸入路には、前記風呂水ポンプと前記給水バルブとの間、及び、前記風呂水ポンプと前記呼び水ポンプとの間とを接続するための三方弁が備えられていることを特徴とする。
【0017】
また、第8の態様の洗濯機は、第1〜7の何れかの態様の洗濯機において、前記制御手段は、前記風呂水ポンプが作動されたとき、前記呼び水ポンプを所定時間作動させることを特徴とする。
【0018】
また、第9の態様の洗濯機は、第1〜8の何れかの態様の洗濯機において、前記呼び水ポンプはダイヤフラムポンプであることを特徴とする。
【0019】
また、第10の態様の洗濯機においては、第1〜9の何れかの態様の洗濯機において、前記注水路には前記風呂水に浄化作用のある物質を混合させる機構が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1の態様の洗濯機では、風呂水ポンプに接続された呼び水ポンプが備えられているため、呼び水ポンプを作動させると風呂水を風呂水ポンプ内に吸引することができ、呼び水として使用することができる。そのため、本発明の第1の態様の洗濯機によれば、呼び水に水道水を使用しなくても、節水が可能な洗濯機を提供することができる。
【0021】
また、本発明の第1の態様の洗濯機によれば、注水路に逆止弁が設けられているので、注水路からの空気の逆流を抑制することができるため、呼び水ポンプを効率よく作動させることができる。なお、一度風呂水ポンプ内に風呂水が溜まれば、風呂水に接続されているホースが風呂内に投入されている限り、風呂水を使用するときに呼び水を供給する必要がなくなる。
【0022】
また、本発明の第2の態様の洗濯機では、風呂水を汲み上げる風呂水ポンプが作動される前に、呼び水ポンプを所定時間作動させることで、風呂水ポンプ内に呼び水としての風呂水が溜まった状態で風呂水ポンプを作動させることができる。そのため、本発明の第2の態様の洗濯機によれば、効率よく節水効果の高い洗濯機が得られる。
【0023】
また、本発明の第3の態様の洗濯機においては、水位センサにより洗濯水槽内の水位を測定し、風呂水が確実に供給できているかどうかを判断することができ、所定時間経過後に風呂水が所定量まで供給されていないと判断されたときには、再度呼び水ポンプを作動させる動作を指示している。これにより、制御手段は、再度洗濯水槽内に供給された風呂水が第1規定量に達していない場合には、制御手段が風呂内に十分な風呂水が残存していない状態、あるいは呼び水ポンプや風呂水供給ポンプに障害が生じている状態であると判別することができるようになる。
【0024】
なお、第1規定水位に達していない場合としては、風呂と洗濯機をつなぐホースの長さによって多少の時間のずれが生じるために、呼び水ポンプを所定時間作動させても、十分な呼び水が風呂水ポンプに供給されない場合が生じることが考えられる。また、風呂内に十分な風呂水が残存していない場合、あるいは呼び水ポンプや風呂水供給ポンプに障害が生じている場合も考えられ、この場合も、洗濯水槽内に十分な風呂水の供給が行われない。なお、第1規定水位は、洗濯機の製造メーカが予め規定した風呂水供給工程が正常に行われたかどうかを判断するための基準水位である。
【0025】
また、本発明の第4の態様の洗濯機においては、洗濯水槽内の水位が第1規定水位に達していないことが2度検知された場合、水道水を呼び水として風呂水ポンプに供給するようにしている。この工程を経ることによって、制御手段は風呂水ポンプに呼び水が供給されなかったことによる障害か否かを判別することができるようになる。また、呼び水ポンプに不具合が生じていても風呂水ポンプを作動させることができるので、洗濯を中断することなく行うことができる。なお、洗濯水槽内の水位が第1規定水位に達していないことが2度検知された場合は、風呂内に十分な風呂水が残存していない状態、あるいは呼び水ポンプや風呂水供給ポンプに障害が生じている状態が考えられる。
【0026】
また、本発明の第5の態様の洗濯機においては、風呂水が少なく、風呂水ポンプが作動されても洗濯水槽内の水位が予め定めた第2規定水位に達しなかった場合でも、水道水によって所定量の洗濯水が供給されるので、洗濯工程を中断することなく洗濯を行うことができるようになる。なお、第2規定水位とは、洗濯機の洗い工程を行える水位であって、被洗濯物の負荷量によって決まる水位、あるいは使用者が決めた設定した水位の何れかを採用することができる。
【0027】
また、本発明の第6の態様の洗濯機によれば、制御手段が風呂水による給水ができなかった旨を報知することができるので、使用者は、風呂水が少ないことや、呼び水ポンプに不具合が生じていることを確認することができる。
【0028】
また、本発明の第7の態様の洗濯機によれば、風呂水ポンプに呼び水を供給する工程時に呼び水としての風呂水を供給できない場合、水道水を呼び水として供給するための流路を三方弁を用いて構成することができるため、呼び水を供給する流路の配管を簡略化することができ、洗濯機の製造費用を抑制することができる。
【0029】
また、本発明の第8の態様の洗濯機によれば、風呂水ポンプが作動され、風呂水が洗濯水槽に供給されるとき、同時に呼び水ポンプを作動させると、供給される風呂水の一部が呼び水ポンプに流れ込むようになるので、この流れによって、呼び水ポンプ内の洗浄を行うことができる。特に、呼び水ポンプが作動しても風呂水を充分に風呂水ポンプ内に供給できない場合、呼び水ポンプに詰まり等の不具合が生じている可能性あるが、この詰まりを自動的に洗浄することができるようになる。
【0030】
また、本発明の第9の態様の洗濯機で呼び水ポンプとして用いられているダイヤフラムポンプは、小型で吸引力が強く、気体でも液体でも吸引でき、故障も少なく、安価に入手できる。そのため、本発明の第9の態様の洗濯機によれば、このようなダイヤフラムポンプを呼び水ポンプとして用いているので、故障が少なく、風呂水を呼び水として使用する機構を設けてもコストアップが少ない洗濯機が得られる。
【0031】
また、本発明の第10の態様の洗濯機によれば、供給される風呂水を浄化することができ、衛生的な洗濯を行うことができるようになる。なお、浄化作用のある物質を混合させる機構としては、周知のオゾン発生装置等を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の一実施形態に係る洗濯機の縦断面右側面図である。
【図2】洗濯機を斜め前方から見た斜視図であり、筐体が取り外された内部構造を示す図である。
【図3】洗濯機の水路および風路を中心とする構成を図解的に示す図である。
【図4】図3における構成のうち呼び水ポンプに関する部分を拡大して示した概略図である。
【図5】風呂水を用いた洗濯機の洗い工程に至るまでの制御の内容を説明するためのフローチャートである。
【図6】図6Aは実施形態の洗濯機に呼び水ポンプとして用いられるダイヤフラムポンプの一例を示す平面図であり、図6Bは図6AのVIB‐VIB線での断面図であり、図6Cは図6AのVIC‐VIC線での断面図である。
【図7】図7Aは支持体が下降したときの図6Bに対応する断面図であり、図7Bは支持体が下降したときの図6Cに対応する断面図である。
【図8】呼び水ポンプに関する部分を拡大して示した別の概略図である。
【図9】呼び水ポンプを中心とする構成を図解的に示す図である。
【図10】注水口ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を実施するための形態について、実施形態及び図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための一例を示すものであって、本発明をこの実施形態に記載された洗濯機に特定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。なお、本発明における「除菌」とは、日本電機工業会の抗菌・除菌性能評価方法において、除菌前の菌数に比べて除菌後の菌数が、100分の1以下になることを意味する。
[第1の実施形態]
以下に示す実施形態に係る洗濯機としては、図1〜4を参照して、洗い・すすぎ・脱水・乾燥の一連の洗濯工程を実施可能な内槽が斜めに備えられた洗濯機1を例にとり、その詳細な構成について説明する。
【0034】
図1に示すように、洗濯機1は、筐体(ハウジング)2内に斜めに配置された洗濯水槽3を備えている。洗濯水槽3には、洗濯時に水を溜めるための外槽4と、外槽4内に回転自在に収容された内槽5(以下、ドラム5ともいう)とが含まれている。ドラム5は、外槽4の後方に備えられたDD(ダイレクト・ドライブ)モータ6によって回転軸7を中心に回転される。回転軸7は、前方に向かって斜め上方へ延びており、いわゆる斜めドラム構造をしている。ドラム5の出入口8および外槽4の出入口9は、筐体2に取り付けられた円形のドア10によって開閉される。ドア10が開けられ、出入口8、9を通ってドラム5内への衣類(洗濯物)の出し入れがされる。また、筐体2内の下方前方部には、主制御基板を含む電装部品12が設けられ、また、上方前方部には表示および操作用の電装部品13が備えられている。
【0035】
筐体2内の上方には、乾燥工程において駆動されるブロア21およびブロア21により洗濯水槽3内へ循環される空気を加熱するための乾燥ヒータA124および乾燥ヒータB125が配置されている。
【0036】
図2は、この発明の一実施形態に係る洗濯機1を斜め前方から見た斜視図であり、筐体2が取り外された内部構造が示されている。図2において、3は洗濯水槽であり、洗濯水槽3には外槽4およびドラム5が含まれている。洗濯水槽3はコイルばねおよびダンパーを含む弾性支持部材14で支持されている。
【0037】
洗濯水槽3の上部には水栓16と、水栓16から入った水を水路へ供給するのを制御するための給水バルブ17と、注水口ユニット18と、浄化用空気を生成するためのオゾンを発生するオゾン発生器19と、乾燥工程で乾燥風路20内に空気を循環させるためのブロア21及びブロア21により乾燥風路20を循環される空気中に含まれるリント等の異物を捕獲するための乾燥用フィルターユニット22が備えられている。
【0038】
さらに、注水口ユニット18は、図3に示すように、浴槽35内から風呂水ホース36を用いて風呂水を汲み上げるための風呂水ポンプ34が注水路23によって接続され、また、風呂水ポンプ34には、呼び水ポンプ24が呼び水吸入路25によって接続されている。この呼び水ポンプ24は、風呂水ポンプ34内に呼び水としての風呂水を供給させるためのものである。本実施形態の洗濯機では、呼び水ポンプ24としてダイヤフラムポンプが用いられている。
【0039】
ダイヤフラムポンプは、小型で吸引力が強く、気体でも液体でも吸引でき、故障も少なく、安価に入手できるため、ダイヤフラムポンプを呼び水ポンプ24として用いることで、故障が少なく、風呂水を呼び水として使用する機構を設けてもコストアップを抑えることができる。なお、呼び水ポンプ24(ダイヤフラムポンプ)の詳細な構成は後述する。
【0040】
さらに、風呂水ポンプ34は、給水バルブ17と呼び水バイパス26によって接続されており、呼び水バイパス26と呼び水吸入路25は三方弁27により接続されている。この三方弁27により、風呂水ポンプ34と呼び水ポンプ24及び風呂水ポンプ34と給水バルブ17とがそれぞれ接続されており、この三方弁27の働きにより風呂水ポンプ34、呼び水ポンプ24及び給水バルブ17間の開弁及び閉弁を制御することができる。そして、三方弁27を備えることで、1つの部材でそれぞれの配管を切り替え接続することができるので、配管の構成をすっきりさせることができる。
【0041】
また、風呂水ポンプ34と注水口ユニット18との間の注水路23には、逆止弁33が備えられる。この逆止弁33は、例えばフート弁が用いられる。注水路23は、呼び水ポンプ24と吐水路37で接続され、呼び水ポンプから逆流した風呂水を注水路23へ流すことができる。
【0042】
また、注水路23には、オゾン発生器19から発生されるオゾンを汲み上げられた風呂水に混合させるためにベンチュリー管を備えた気液混合器48が備えられている。また、ベンチュリー管には空気流入口が備えられており、空気流入口にはエアーチューブ49を介してオゾン発生器19が接続されている。そして、ベンチュリー管に水が流れるときに、オゾン発生器19が作動されると、オゾン発生器19で生成されるオゾンを含む浄化用空気は、エアーチューブ49を介して空気流入口からベンチュリー管内へ流入される。流入原理は、ベンチュリー管内を流れる水により生じる圧力差(負圧)のためである。風呂水にオゾンが混入されると、オゾンの強い酸化力および殺菌力によって風呂水が浄化され、浄化された水を用いて洗濯水槽3内での洗濯を行うことができる。
【0043】
水栓16は給水バルブ17の流入口に接続されている。給水バルブ17には例えば5ポートの出口が形成されており、いずれの出口から水を出すかを切り換えることができる。給水バルブ17の第1出口28は注水口ユニット18に接続されている。第1出口28から注水口ユニット18へ供給される水は洗剤容器29へと流れ、洗剤容器29内に区画された洗剤収容室を経由して給水路30から洗濯水槽3へと流入するようにされている。また、給水路32へ流れる一部の水は、洗濯水槽3の前面に備えられたドア10(図1参照)の上部からドアの内面を伝って洗濯水槽3内へ流れ込むようにされている。
【0044】
給水バルブ17の第2出口31は注水口ユニット18に接続されており、第2出口31から供給される水は、注水口ユニット内の洗剤容器29に区画された柔軟剤収容室(ソフナー)を通って給水路30から洗濯水槽3へと流れ込むようにされている。
【0045】
給水バルブ17の第3出口38及び第4出口40は水路39及び水路41によって乾燥風路20の所定位置にそれぞれ接続されている。このとき、第3出口38は相対的に小径の出口であり、第4出口40は相対的に大径の出口である。
【0046】
給水バルブ17の第5出口44は、呼び水バイパス26によって三方弁27と接続され、風呂水ポンプ34と連通されるようにしている。
【0047】
制御部(図示省略)は、洗濯機1の制御中枢であり、マイクロコンピュータで構成されていて、たとえば電装部品12(図1参照)中に含まれている。制御部には、主に、給水バルブ17、風呂水ポンプ34、呼び水ポンプ24、三方弁27、DDモータ6及びオゾン発生器19が接続され、さらに各種洗濯工程にかかるプログラムが記憶されている。さらに、制御部は、水位センサ47(図3参照)の検出水位が入力されると共に、後述する記憶された第1規定水位及び第2規定水位と、入力された水位との対比が行われる。そして、制御部によってこれら接続されている各部品の作動または駆動が制御される。
【0048】
以下、本実施形態の洗濯工程について説明する。洗濯工程は、洗濯物を洗剤等を用いて洗う洗い工程と、洗い工程において使用した洗濯物についた洗剤等を除去するすすぎ工程と、洗濯物の水気を取り除く脱水工程と、湿った洗濯物の乾燥、及び衣類等の除菌及び脱臭を行う乾燥工程で構成されている。
【0049】
なお、本実施形態において行われる洗濯工程は、風呂水を用いて洗濯工程を行うものである。以下、図3〜図5を参照して、本実施形態の洗濯機における風呂水を利用した洗濯工程について説明する。
【0050】
風呂水を利用した洗濯工程がスタートされると、まず、呼び水ポンプ24が作動され、浴槽35内に設置された風呂水ホース36から風呂水が汲み上げられる(ステップS01、S02)。この呼び水ポンプ24は一定時間作動されるが、本実施形態では、2分30秒間で設定されている。この作動時間は、任意であり、製造メーカにより予め設定されてもいいし、使用者が設定するようにしてもよい。このとき、使用する風呂水ホース36の長さを使用者が入力すると、その長さに対応してあらかじめ制御部に記憶されていた呼び水ポンプの作動時間が設定されるようにすることもできる。なお、このとき三方弁27は呼び水ポンプ24と風呂水ポンプ34を連通させるように開弁され、給水バルブ17と風呂水ポンプ34との連通は閉弁されており、さらに、注水路23に逆止弁33が設けられているので、呼び水ポンプ24は、呼び水吸入路25及び風呂水ホース36からのみ空気を吸引するので、効率よく風呂水を汲み上げることができる。
【0051】
呼び水ポンプ24の一定の作動時間が終了すると(本実施形態では2分30秒経過すると)、呼び水ポンプ24は停止され(ステップS03)、次に風呂水ポンプ34が作動される(ステップS04)。風呂水ポンプ34が作動されると、浴槽35内から風呂水が風呂水ポンプ34内に汲み上げられ、注水路23を通り注水口ユニット18を介して洗濯水槽3内に風呂水が供給され始める。このとき、注水口ユニット18内に備えられた洗剤容器等を通過される。なお、風呂水を供給する注水路23の途中にオゾン発生器19から発生するオゾンを混合させる気液混合器48を備えることで、風呂水にオゾンを混合し浄化させることができ、清潔な洗濯を行うことができる。
【0052】
次に、洗濯水槽3内に供給された風呂水が第1規定水位に達しているかどうかが判断される(ステップS05)。この第1規定水位は、洗濯機1の製造メーカが予め規定した風呂水の供給が正常に行われたかどうかを判断するための基準水位である。また、洗濯水槽3内の水位は水位センサ47により検知される。水位センサ47は、例えば水路43から分岐したエアーホース46内の圧力変化に基づき検知されるようにすることができる。
【0053】
洗濯水槽3内の水位が第1規定水位に達していたら(ステップS05のY)、引き続き風呂水の供給が続けられ、洗濯水槽3内の水位が第2規定水位に達しているかが判断される(ステップS06)。第2規定水位は、洗濯機1の洗い工程を行える水位であって、被洗濯物の負荷量によって決まる水位、あるいは使用者が設定した水位の何れかを採用することができる。そして、洗濯水槽3内の水位が第2規定水位に達していたら(ステップS06のY)、風呂水ポンプ34を停止させ(ステップS07)、洗濯水槽3内への風呂水の供給を止め、洗い工程へと移行する(ステップS08)。このようにすることで、水栓16からの水道水を全く使用しないで洗濯工程が開始される。
【0054】
一方、ステップS06で洗濯水槽3内の水位が第2規定水位に達していない場合(ステップS06のN)、浴槽35内に風呂水がないことや、風呂水ポンプ34に不具合が生じたこと等が考えられるので、その旨を使用者に報知する必要がある。そのため、風呂水にエラーが生じた旨を制御部に記憶させておく(ステップS09)。このとき、洗濯水槽3内には風呂水が十分に供給されていないので、給水バルブ17を作動させ、水道水を洗濯水槽3内に注水口ユニット18を介して供給させる(ステップS10)。このようにすることで、洗濯工程を続けることができ、使用者の期待に応じることができる。その後、ステップS06により水道水が第2規定水位に達したかどうかを判断し、第2規定水位に達したら風呂水ポンプ34を停止させ、洗い工程へと移行する(ステップS07、ステップS08)。なお、風呂水ポンプ34の停止(ステップS07)は、風呂水にエラーが判明したとき、すなわち、風呂水のエラーを制御部に記憶させるとき(ステップS09)に行ってもよい。
【0055】
洗い工程以降は、従来の洗濯工程が行われる。そして、一連の洗濯工程が終了した後、制御部に記憶させた風呂水にエラーがあった旨を報知する(ステップS11)。なお、風呂水のエラーの報知は、洗濯工程中に行ってもよいが、風呂水がないからといって洗濯自体を中止し、一度風呂に水を溜める(入浴する)ことはほとんど考えられないので、洗濯工程が終了した後に報知しても問題はない。
【0056】
また、ステップS05において、洗濯水槽3内に供給された風呂水が、第1規定水位に達していないと判断された場合(ステップS05のN)、風呂水ポンプ34を停止させ(ステップS12)、再び呼び水ポンプ24を作動させる(ステップS13)。このときの呼び水ポンプ24の作動も、ステップS02と同様に一定の時間(本実施形態では2分30秒)行われる。風呂水が第1規定水位に達していない場合では、風呂と洗濯機1をつなぐ風呂水ホース36の長さによって多少の時間のずれが生じるために、呼び水ポンプ24を所定時間作動させても、十分な呼び水が風呂水ポンプ34に供給されない場合が生じることがある。また、呼び水ポンプ24に不具合が生じている場合も考えられるため、再度呼び水ポンプ24を作動させることで十分な呼び水を風呂水ポンプ34内に供給させることができることも考えられる。
【0057】
そして、一定の時間呼び水ポンプ24を作動させた後、呼び水ポンプ24を停止させ(ステップS14)、再度風呂水ポンプ34を作動させ(ステップS15)、洗濯水槽3内に風呂水が第1規定水位に達しているかどうか再度判断される(ステップS16)。そして、風呂水が洗濯水槽3内の第1規定水位に達していた場合(ステップS16のY)、ステップS06へと進み風呂水が洗濯水槽3内の第2規定水位に達しているかどうかの判断がされ、以下、上述したステップS06〜ステップS11の工程がなされ、洗濯工程が完了される。
【0058】
また、ステップS16において、洗濯水槽3内の水位が再度第1規定水位に達していないと判断された場合(ステップS16のN)、風呂水ポンプ34を停止させ(ステップS17)、今度は三方弁27が作動される(ステップS18)。この三方弁27が作動されることで、いままで、風呂水ポンプ34と呼び水ポンプ24が連通されていたものを、呼び水ポンプ24との連通を塞ぎ、風呂水ポンプ34と給水バルブ17が連通されるようになる。その後、風呂水ポンプ34と連通された給水バルブ17が作動され(ステップS19)、水栓からの水道水が風呂水ポンプ34へと供給される。給水バルブ17の作動は、一定時間経過すると終了する(ステップS20)。給水バルブ17の作動時間は任意であるが、風呂水ポンプ34が作動可能な量、すなわち、呼び水として使用される量が供給されればいいので、短時間に設定される。なお、本実施形態では、15秒に設定されている。
【0059】
また、ステップS18で作動された三方弁27も一定時間が経過すると、給水バルブ17と風呂水ポンプ34との連通が閉じられ、再度呼び水ポンプ24と風呂水ポンプ34とが連通されるようになる(ステップS21)。三方弁27の作動時間も任意であるが、給水バルブ17からの水道水の供給が円滑に行える時間が設定される。なお、本実施形態では、30秒に設定されている。
【0060】
その後、風呂水ポンプ34を作動させ、風呂水を汲み上げる(ステップS22)。洗濯水槽3内の水位が第1規定水位に達していないことが2度検知された場合は、呼び水ポンプ24に不具合が生じているおそれがあるため、給水バルブ17を作動させ水道水を呼び水として風呂水ポンプ34に供給することで、風呂水ポンプ34を作動させることができ、洗濯工程を続けて行うことができる。
【0061】
また、風呂水ポンプ34が作動している間に、呼び水ポンプ24を作動させる(ステップS23)。このようにすると、三方弁27が呼び水ポンプ24と風呂水ポンプ34が連通された状態となっているため、風呂水が風呂水ポンプ34から注水路23を通って洗濯水槽3内に供給されるときに、呼び水ポンプ24が作動されると、風呂水ポンプ34から呼び水ポンプ24へ風呂水が流れ込むようになる。そして、この流れ込む風呂水により、呼び水ポンプ内の洗浄を行うことができる。
【0062】
特に、呼び水ポンプ24が作動しても風呂水を充分に風呂水ポンプ34内に供給できない場合、呼び水ポンプ24に詰まり等の不具合が生じている可能性あるので、この詰まりを自動的に洗浄することができるようになる。また、呼び水ポンプ24に流れ込んだ風呂水は、呼び水ポンプ24に接続された吐水路37によって、注水路23に流すことができる。このとき、呼び水ポンプ24の作動時間は任意であるが、あまり長い時間行うと、風呂水ポンプ34から直接流れ込むので、オゾンによる浄化がされていない風呂水が洗濯水槽3内に流れてしまうので、短時間に設定されることが好ましく、本実施形態では、10秒に設定されている。なお、オゾン発生器19からの配管を風呂水ポンプ34と呼び水ポンプ24との間に接続し、風呂水内にオゾンを混合させるようにすれば、風呂水は浄化できるので短時間でなくてもよい。
【0063】
その後、洗濯水槽3内の水位が第1規定水位に達しているかどうかが判断される(ステップS24)。洗濯水槽3内の水位が第1規定水位に達している場合(ステップS24のY)、呼び水ポンプ24では風呂水が呼び水として風呂水ポンプ34に供給されなくても、水道水を呼び水として風呂水ポンプ34に供給することで、風呂水を洗濯水槽3内に供給することができたので、呼び水ポンプ24に不具合が発生しているおそれがある。そのため、その旨を使用者に報知する必要があるので、風呂水のエラーを制御部に記憶させる(ステップS25)。
【0064】
その後、ステップS06に進み、洗濯水槽3内の水位が第2規定水位に達しているかどうかが判断され、以下上述したステップS06〜ステップS11の工程がなされ、洗濯工程を完了させる。なお、ステップS25で記憶されたエラーは洗濯工程の終了後に報知される(ステップS11)。
【0065】
また、ステップS24で洗濯水槽3内の水位が第1規定水位に達していない場合(ステップS24のN)、風呂水ポンプ34に呼び水として水道水が供給されたのに、洗濯水槽3内の第1規定水位まで風呂水が供給されないので、この場合、浴槽35内に風呂水がない状態や、風呂水ポンプ34に不具合が生じているおそれがある。そして、その旨を使用者に報知する必要があるため、その旨が制御部に記憶される(ステップS26)。この場合、風呂水を供給することが困難であるため、給水バルブ17が作動され、水道水が洗濯水槽3内に供給される(ステップS27)。
【0066】
そして、洗濯水槽3内の水位が第1規定水位に達しているかどうかが判断され(ステップS28)、第1規定水位に達している場合(ステップS28のY)、ステップS06に進み、以下上述したステップS06〜ステップS11の工程がなされ、洗濯工程を完了させる。
【0067】
一方、ステップS28で第1規定水位に達していない場合(ステップS28のN)、給水バルブ17から水道水が供給されていない状態なので、水栓16が閉じられた状態であることや、断水等であることが考えられ、この状態では以降の洗濯工程も実施することは困難である。この場合、給水にエラーが発生している旨を直ちに使用者に知らせる必要があるため、この旨を報知する(ステップS29)。この報知は、警報を発するなど音で報知することが考えられる。
【0068】
なお、ステップS02〜ステップS04において、実施形態では、呼び水ポンプ24を停止させてから風呂水ポンプ34を作動させたが、これに限らず、呼び水ポンプ24が作動中に風呂水ポンプ34を作動させてもよい。このようにすることで、一定時間待つ前に、風呂水ポンプ34内に呼び水が一定量溜まった段階で、風呂水ポンプ34を作動させることができるので、時間を短縮することができ効率よく給水することができる。これは、ステップS13〜ステップS15、及びステップS19〜ステップS22にも共通する。
【0069】
そして、上述したように、ステップS08以降の洗い工程に移行した後は従来と同じ洗濯工程が行われる。すなわち、洗い工程では、上述した工程により洗濯水槽3内に水が溜められる。その後、DDモータ6によりドラム5が回転されドラム5内の洗濯物が洗濯される。そして、排水口42を開いて洗濯水槽3の水を排水管から排水させた後、すすぎ工程が行われる。すすぎ工程は、再び風呂水ポンプを作動させ風呂水を洗濯水槽3内に溜め、DDモータ6によりドラム5が回転され洗濯物のすすぎが行われる。
【0070】
その後、排水口42が開かれて洗濯水槽3のすすぎ水が排水され、DDモータ6によりドラム5を回転させて洗濯物の脱水を行う脱水工程が行われる。このすすぎ工程と脱水工程が複数回繰り返され、洗濯・すすぎ・脱水工程を終える。なお、この洗濯工程において、洗い工程とすすぎ工程の間に洗濯物に付着した洗剤を含んだ水を脱水させる中間脱水工程を設けてもよい。また、洗濯・すすぎ・脱水工程を終えた後、必要に応じて乾燥工程が行われる。この乾燥工程では、オゾン発生器19を作動させて洗濯物の乾燥と共に、除菌・消臭を行なうこともできる。
【0071】
このとき、一度風呂水ポンプ34が作動し風呂水ポンプ34内に呼び水が溜まった状態であれば、風呂水ポンプ34に再度呼び水を供給する必要はないので、水道水の使用を極力抑えることができる。なお、常に風呂水ポンプ34内に呼び水としての風呂水を溜めておくと、雑菌等が繁殖するおそれがあるので好ましくなく、これは水道水についても同様であるため、呼び水の供給は洗濯が行われるごとにされたほうが好ましい。そのため、風呂水を呼び水に使うと、大きく節水することができる。
【0072】
なお、風呂水のみで洗い工程が開始された後、すすぎ工程で浴槽35内の風呂水がなくなった場合は、上述したように水位センサ47によりすすぎに必要な水位を判断し、足りない場合は水道水を使用することで、洗濯工程を中断することなく洗濯を完了させることができる、その際、風呂水のエラーを報知することも上述したとおりにすることができる。
【0073】
次に、本実施形態で呼び水ポンプ24として使用されるダイヤフラムポンプの構成を図6及び図7を参照して説明する。ダイヤフラムポンプは、ポンプ部50を駆動させるモータ51と、モータ51の回転を伝える軸52と、軸52に接続された円筒状の回転体53と、回転体53の端部に取り付けられ回転運動を縦反復運動に変え、また、ポンプ部50を支持するための棒状の支持体54と、気体や液体等の流体を流入させる第1弁部55と、流体を排出させる第2弁部56と、第1弁部55とポンプ部50を繋ぐ第1通路61及び第2弁部56とポンプ部50を繋ぐ第2通路62で構成されている。また、第1弁部55及び第2弁部56は、一方にのみ流体を流通可能とする方向に・BR>J閉する第1弁体57及び第2弁体58をそれぞれ有している。
【0074】
ダイヤフラムポンプが作動されると、モータ51が回転し、ポンプ部50が上下に駆動される。このときポンプ部50の上下運動により、第1通路61及び第2通路62が交互に加圧及び減圧される。
【0075】
まず、図6B及び図6Cに示すように、支持体54が上部に向かうとき、ポンプ部50には吸引力が働き、第1弁体57を引き下げ、呼び水吸入路25内の流体を吸引する。このとき第2弁体58は第2係止部60に当接し、第2係止部60より下に引き下げられることがなく、密閉状態となる。このようにすることで、ポンプ部50内に気体や液体等の流体を吸い込むことができ、呼び水吸入路25に接続された風呂水ポンプ34内から流体を吸引することができる。
【0076】
一方、図7A及び図7Bに示すように、支持体54が下方に向かうとき、ポンプ部50には吐出力が働き、第1弁部55の第1弁体57が第1係止部59に当接して密閉状態となり、また、第2弁部56の第2弁体58を押し上げて流路、ポンプ部50内の流体を吐出する。このようにすることで、ポンプ部50内の流体を吐出することができ、再度ポンプ部50内に気体ないし液体等の流体を吸い込むことができる。
【0077】
そして、この動作を繰り返すことで、呼び水吸入路25から風呂水ポンプ34及び風呂水ホース36を通じて、最初は空気を、次いで風呂水を吸引することができ、時間の経過と共に風呂水ポンプ34内に呼び水としての風呂水を溜めることができるようになる。
【0078】

[第2の実施形態]
第1の実施形態では、呼び水ポンプ24に供給される呼び水は、給水バルブ17(水道水の配管側)から直接流れる構成になっているが、以下に示す第2の実施形態では、呼び水は給水バルブ17(水道水の配管側)から直接ではなく、給水バルブ17を介して注水口ユニット18に一旦溜められ、その後、呼び水ポンプ24に流れる構成にしても良い。以下、その具体的な構成について説明する。
【0079】
図8において、図4に記載した構成部品と同一機能を有するものについては、同一の符号を付しているが、大きく異なる点は、
(1)三方弁27aを新たに設けたこと、
(2)呼び水バイパス26aが、注水口ユニット18と三方弁27とを接続したこと、
(3)三方弁27aと風呂水ポンプ34とを接続するバイパス25aを設けたこと、
である。
【0080】
斯かる実施形態についての洗濯工程のフローチャートは図5のフローチャートと基本的に同じであるが、大きく異なる点(S18、S19、S20、及びS21)については図5、及び図8〜図10を参照して説明する。
【0081】
なお、図5の各ステップにおいて、第2の実施形態に特有のステップについては、ステップ名の右肩に「´(ダッシュ)」を付けて、以下のように処理内容を読み替えるものとする。
【0082】
読み替える処理内容:
S18´:三方弁27、及び三方弁27aが同時に作動(ON、図8、9の太い矢印)する。これらの三方弁27、及び三方弁27aが同時に作動されることで、注水口ユニット18、呼び水ポンプ24、及び風呂水ポンプ34が連通することになる。
【0083】
S19´:給水バルブ17が作動(ON)すると、呼び水としての水道水が注水口ユニット18に一旦溜められ、注水口ユニット18に溜められた水道水は、三方弁27、呼び水ポンプ24、三方弁27a、及びバイパス25aを介して風呂水ポンプ34へと流れる。
【0084】
S20´:給水バルブ17を作動を終了(OFF)する。この給水バルブ17の作動時間は任意であるが、風呂水ポンプ34が作動可能な量、すなわち、呼び水として使用される量が供給されればいいので、短時間に設定される。なお、第2の実施形態でも、15秒程度に設定している。
【0085】
S21´:三方弁27、及び三方弁27aが同時に作動を終了する(OFF、図8、9の細い矢印)する。これにより呼び水ポンプ24と風呂水ポンプ34とが連通されるようになる。なお、三方弁27、及び三方弁27aの作動時間も任意であるが、注水口ユニット18に溜められた水道水の供給が円滑に行える時間が設定され、第2の実施形態でも、30秒に設定している。
【0086】
図10は、注水口ユニット18のA−Aの断面図であり、水栓16から給水バルブ17を介して流れた水道水(呼び水)は一旦注水口ユニット18に溜められるようになっている。また、風呂水ポンプ34が作動して浴槽35から汲み上げた風呂水は注水路23を介して注水口ユニット18に流れ、洗剤ケースを通って洗濯水槽3に流れ込む。
【0087】
このように、本実施の形態では、呼び水は、給水バルブ17を介して注水口ユニット18に一旦溜められた後、呼び水ポンプ24に流れる構成にしたため、水圧の関係で、風呂水ポンプ内の水が水道水側(水道水の配管側)に逆流することがなくなる。
【0088】
以上より、本実施形態の洗濯機によれば、呼び水ポンプを用いることで、水道水を全く使用しない洗濯工程を実施することができるようになる。また、この場合、浴槽内に風呂水が無い状態となったとしても、洗濯工程を続けることができるので、洗濯工程を中断することなく、極力少ない水道水で洗濯工程を実施することができる。このようにすることで、水道水の大幅な節水が可能な洗濯機を提供することができる。
【符号の説明】
【0089】
1:洗濯機 2:筐体 3:洗濯水槽 4:外槽 5:ドラム(内槽) 6:モータ 7:回転軸 10:ドア 12:電装部品 13:電装部品 16:水栓 17:給水バルブ 18:注水口ユニット 19:オゾン発生器 23:注水路 24:呼び水ポンプ(ダイヤフラムポンプ) 25:呼び水吸入路 26:呼び水バイパス 27:三方弁 28:第1出口 29:洗剤容器 33:逆止弁 34:風呂水ポンプ 35:浴槽 36:風呂水ホース 37:吐水路 42:排水口 43:水路 44:第5出口 46:エアーホース 47:水位センサ 48:気液混合器 49:エアーチューブ 50:ポンプ部 51:モータ 52:軸 53:回転体 54:支持体 55:第1弁部 56:第2弁部 57:第1弁体 58:第2弁体 59:第1係止部 60:第2係止部 61:第1通路 62:第2通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と
前記筐体内に設けられた外槽内に内槽が回転可能に設けられた洗濯水槽と、
制御手段と、
前記洗濯水槽へ水道水を供給するために開閉される給水バルブと
風呂水を前記洗濯水槽へ供給するために駆動される風呂水ポンプと、
前記給水バルブ及び前記風呂水ポンプに接続され前記洗濯水槽へ水道水を供給する注水口ユニットと、
を備えた洗濯機において、
前記洗濯水槽と前記風呂水ポンプとの間に接続される注水路には逆止弁が備えられ、
前記風呂水ポンプには呼び水ポンプが呼び水吸入路によって接続されており、
前記呼び水ポンプが作動されることにより、前記風呂水ポンプに風呂水が呼び水として供給されることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記制御手段は、前記呼び水ポンプを所定時間作動させた後、前記呼び水ポンプを停止すると共に、前記風呂水ポンプを作動させることを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記筐体には前記洗濯水槽内の水位を測定する水位センサが設けられており、
前記制御手段は、前記水位センサにより測定された水位が前記制御手段に規定された第1規定水位に達していないとき、前記呼び水ポンプを再度作動させることを特徴とする請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記制御手段は、前記洗濯水槽内の水位が前記第1規定水位に達していないことが2度検知された場合、前記給水バルブから水道水を呼び水として前記風呂水ポンプに供給させることを特徴とする請求項3に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記制御手段は、前記洗濯水槽内の水位が前記第1規定水位には達しているが前記第1規定水位よりも高い第2規定水位に達していないことが検知された場合、前記給水バルブから水道水が前記洗濯水槽に供給されることを特徴とする請求項4に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記制御手段は、前記洗濯水槽内の水位が前記第1規定水位に達していないことが2度検知された場合、風呂水の給水に関して不具合があった旨の報知を行う報知手段を備えていることを特徴とする請求項4又は5に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記呼び水吸入路には、前記風呂水ポンプと前記給水バルブとの間、及び、前記風呂水ポンプと前記呼び水ポンプとの間とを接続するための三方弁が備えられていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の洗濯機。
【請求項8】
前記制御手段は、前記風呂水ポンプが作動されたとき、前記呼び水ポンプを所定時間作動させることを特徴とする請求項1〜7に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記呼び水ポンプはダイヤフラムポンプであることを特徴とする請求項1〜8に記載の洗濯機。
【請求項10】
前記注水路には前記風呂水に浄化作用のある物質を混合させる機構が設けられていることを特徴とする請求項1〜9に記載の洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−30055(P2012−30055A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137069(P2011−137069)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(308012668)三洋アクア株式会社 (37)
【Fターム(参考)】