説明

洗濯機

【課題】電解水の塩素成分が汚れや洗剤により多く消費された際にも、洗濯水を所望の塩素濃度に保つことができるドラム式洗濯機を提供すること。
【解決手段】洗濯物を収容して回転する洗濯槽2と、洗濯槽2を収容する外槽3と、水道水を洗濯槽2又は外槽3に給水するための第1の給水弁8と、電解水を生成する電解装19と、洗濯水の状態を検知する洗濯水状態検知手段21と、電解装置19および洗濯水状態検知手段21を制御して、洗い、すすぎ工程を行う制御手段22とを備え、制御手段22は、洗濯水状態検知手段21により検知した洗濯水の洗剤量または汚れ量が多いほど、電解水の投入量を多くする。これにより、洗濯水を所望の塩素濃度に保つことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機もしくは洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般のドラム式の洗濯機においては、洗濯物を回転自在に設置された洗濯槽に投入した後、給水手段によって洗濯機外部より洗濯槽を収容する外槽または洗濯槽に水道水が供給された後、洗濯槽を洗濯物が洗濯槽壁面に張り付かない程度の低速で回転させ、洗いおよびすすぎが行われる。さらに、このようなドラム式洗濯機に水を電気分解して電解水を生成する装置を搭載し、生成した電解水を水道水に混入して洗濯することにより、洗濯物の除菌を行う方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−185187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、洗濯水、すなわち洗浄水およびすすぎ水に、汚れ、洗剤成分などが多く含まれていると、電解水の塩素成分が消費されて洗濯水の塩素濃度が低下してしまう。電解水による消臭、除菌などの効果は、塩素濃度に大きく左右される。このため、補給水を追加することにより塩素濃度が低下すると、消臭・除菌効果が低下するという課題を有していた。
【0005】
また、汚れ等による塩素の消費を見込んで初期濃度を高くする方法も考えられるが、高濃度の電解水は、衣類の色落ちや、各種部品の劣化といった悪影響を招く恐れがあるため、必要以上に洗濯水の塩素濃度を上げることはできない。
【0006】
本発明は、電解水の塩素成分が汚れや洗剤により多く消費された際にも、洗濯水を所望の塩素濃度に保つことができるドラム式洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために本発明に係る洗濯機は、洗濯物を収容して回転する洗濯槽と、前記洗濯槽を収容する外槽と、水道水を前記洗濯槽又は外槽に給水するための第1の給水弁と、電解水を生成する電解装置と、洗濯水の状態を検知する洗濯水状態検知手段と、前記電解装置および前記洗濯水状態検知手段を制御して、洗い、すすぎ工程を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記洗濯水状態検知手段により検知した前記洗濯水の洗剤量または汚れ量が多いほど、前記電解水の投入量を多くするものである。
【0008】
これにより、汚れや洗剤成分による塩素の消費が生じても、洗濯水の塩素濃度を保つことができる。このため、電解水の消臭、除菌といった効果を向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の洗濯機は、電解水による洗いもしくはすすぎを行っている際に、汚れや洗剤成分により塩素が消費された場合にも、洗濯水を目標とする塩素濃度に保つことで、電解水による消臭、除菌を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態におけるドラム式洗濯機の側断面概略図
【図2】本発明の実施の形態におけるすすぎ工程図
【図3】本発明の実施の形態におけるすすぎ工程図
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、洗濯物を収容して回転する洗濯槽と、前記洗濯槽を収容する外槽と、水道水を前記洗濯槽又は外槽に給水するための第1の給水弁と、電解水を生成する電解装置と、洗濯水の状態を検知する洗濯水状態検知手段と、前記電解装置および前記洗濯水状態検知手段を制御して、洗い、すすぎ工程を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記洗濯水状態検知手段により検知した前記洗濯水の洗剤量が多いほど、前記電解水の投入量を多くするものである。
【0012】
これにより、電解水の塩素成分が、洗剤により多く消費された場合にも、洗濯水を目標とする塩素濃度に保つことができる。このため、電解水による消臭、除菌を効果的に行うことができる。また、洗剤による塩素消費を見込んで電解水の初期濃度を高くすると、衣類の色落ちや、洗濯槽の腐食などの各種部品の劣化が生じる恐れがあるが、本発明では洗濯水の塩素濃度の最大値を高めないため、それらの悪影響を招く恐れがない。
【0013】
第2の発明は、洗濯物を収容して回転する洗濯槽と、前記洗濯槽を収容する外槽と、水道水を前記洗濯槽又は外槽に給水するための第1の給水弁と、電解水を生成する電解装置と、洗濯水の状態を検知する洗濯水状態検知手段と、前記電解装置および前記洗濯水状態検知手段を制御して、洗い、すすぎ工程を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記洗濯水状態検知手段により検知した前記洗濯水の汚れ量が多いほど、前記電解水の投入量を多くするものである。
【0014】
これにより、電解水の塩素成分が、汚れ成分により多く消費された場合にも、洗濯水を目標とする塩素濃度に保つことができる。このため、電解水による消臭、除菌を効果的に行うことができる。また、汚れによる塩素消費を見込んで電解水の初期濃度を高くすると、衣類の色落ちや、洗濯槽の腐食などの各種部品の劣化が生じる恐れがあるが、本発明では洗濯水の塩素濃度の最大値を高めないため、それらの悪影響を招く恐れがない。
【0015】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の洗濯機の制御手段は、電解水の投入を複数回に分けて行い、洗濯水状態検知手段の結果に応じて前記電解水の投入量を多くする場合は、2回目以降に行う前記電解水の投入量を多くするものである。
【0016】
これにより、洗濯水の状態検知結果を待つことなく1回目の電解水の投入を行うことができ、工程の初期段階から電解水を作用させることができる。このため、電解水による除菌、消臭を効果的に行うことができる。
【0017】
第4の発明は、特に、第1の発明の洗濯機の制御手段は、電解水の投入を複数回に分けて行い、洗濯水状態検知手段の結果に応じて追加で行う電解水の投入を、最初の前記電解水の投入から所定時間が経過した後に行い、前記所定時間は、前記洗濯水状態検知手段により検知した洗濯水の洗剤量が多いほど短くするものである。
【0018】
これにより、洗剤成分濃度が高いほど、塩素の消費速度は速くなるので、洗濯水状態検知手段の検知量が多いほど電解水の投入間隔を短くすることで、洗剤成分濃度が変化しても、所望する塩素濃度を維持することができる。このため、電解水による除菌、消臭を効果的に行うことができる。さらに、部材劣化、衣類の色落ち等の悪影響の防止をすることができる。
【0019】
第5の発明は、特に、第2の発明の洗濯機の制御手段は、電解水の投入を複数回に分けて行い、洗濯水状態検知手段の結果に応じて追加で行う電解水の投入を、最初の前記電解水の投入から所定時間が経過した後に行い、前記所定時間は、前記洗濯水状態検知手段により検知した洗濯水の汚れ量が多いほど短くするものである。
【0020】
これにより、汚れ量が多いほど、塩素の消費速度は速くなるので、洗濯水状態検知手段の検知量が多いほど電解水の投入間隔を短くすることで、汚れ成分濃度が変化しても、所望する塩素濃度を維持することができる。このため、電解水による除菌、消臭を効果的に行うことができる。さらに、部材劣化、衣類の色落ち等の悪影響の防止をすることができる。
【0021】
第6の発明は、特に、第1の発明の洗濯機の制御手段は、洗濯水状態検知手段により検知した洗濯水の洗剤量が所定より多いときは、電解水の投入回数をさらに増やすものである。
【0022】
これにより、洗剤成分が多い場合に、多くの塩素が消費されても、塩素濃度を所定値以上に維持することができるため、電解水の効果を長時間得ることができる。
【0023】
第7の発明は、特に、第2の発明の洗濯機の制御手段は、洗濯水状態検知手段により検知した洗濯水の汚れ量が所定より多いときは、電解水の投入回数をさらに増やすものである。
【0024】
これにより、汚れが多い場合に、多くの塩素が消費されても、塩素濃度を所定値以上に維持することができるため、電解水の効果を長時間得ることができる。
【0025】
第8の発明は、特に、第3〜7のいずれか1つの発明の洗濯機の制御手段は、3回目以降の電解水の投入においては、電解水の投入間隔を、1回目と2回目の投入の間隔よりも長くするものである。
【0026】
これにより、汚れや洗剤成分による塩素の消費速度は、消費が進むにつれて遅くなるため、洗濯工程の後半においては、電解水の投入間隔を長くすることにより、所望する塩素濃度を維持することができる。このため、電解水による除菌、消臭を効果的に行うことができ、部材劣化、衣類の色落ち等の悪影響の防止をすることができる。
【0027】
第9の発明は、特に、第1〜8のいずれか1つの発明の洗濯機の手段は、洗濯水の濁度を検知する濁度検知手段を含むものである。
【0028】
これにより、塩素を多く消費するたんぱく質や泥汚れ、および洗剤成分量を検知でき、より正確に塩素濃度を狙いとする値に保つことができる。このため、電解水による除菌、消臭を効果的に行うことができる。部材劣化・衣類の色落ち等の悪影響の防止が可能となる。
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0030】
洗濯は主に洗い、すすぎの工程からなり、本実施の形態においてはすすぎ工程で電解水を投入するものとして説明を行うが、洗い工程において電解水を投入してもよい。また、洗濯水とは、洗い工程における洗浄水と、すすぎ工程におけるすすぎ水とを含むものとする。
【0031】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態におけるドラム式洗濯機の側断面概略図である。図2は、本実施の形態1におけるすすぎ工程である。図2は、洗濯水の塩素濃度、洗濯水の汚れ、洗剤成分濃度、および送水ポンプ20の動作を示したものである。
【0032】
図1において、筐体1内には、洗濯水をためる外槽3が吊り下げばね(図示せず)により筐体1上部より吊り下げられている。外槽3にダンパー23を介して下から支えられている。外槽3内には、内部に洗濯物を収容し、側壁面に複数の透孔11を有する洗濯槽2が設けられている。洗濯槽2は、回転軸方向が正面側から背面側に向けて水平または水平方向から下向き傾斜となるように回転自在に軸支されている。洗濯槽2が回転することで、洗濯槽2の内壁に設けられたバッフル12により、洗濯物が持ち上げられ、洗濯槽2の上方から落下する。これにより、洗濯物を洗濯槽2の側壁または水面にたたきつけ、洗濯が行われる。洗濯槽2を回転駆動するために、外槽3の背面側にはモータ(駆動装置)4が固定されている。また、筐体1の前面には、洗濯物を出し入れするための扉17が設けられている。
【0033】
外槽3の下部には、洗いおよびすすぎ工程中に洗濯水を洗濯槽2内に循環する循環ポンプ5が設けられ、循環ポンプ5の吸込側は、循環水路6を介して外槽3の底部の下方に設けられたフィルタ13と連結している。吐出側は、循環水路6を介して外槽3の前方に設けられた吐出口7へと連結している。また、フィルタ13は排水弁14を介して排水管路15と連結している。
【0034】
筐体1の上部には、第1の給水弁8および第2の給水弁18が設けられている。第1の給水弁8は、洗剤を投入する洗剤ケース9を通過して外槽3に接続されている。外槽3内に水道水を給水する役割をする。第2の給水弁18は、電解水を生成する電解装置としての電解槽19および生成した電解水を投入する送水ポンプ20を通過して循環水路6に接続されており、電解槽19内に水道水を給水する役割をする。なお、図1において、電解槽19は筐体1の下方に配置されているが、上方に配置してもよい。その際、送水ポンプ20は、開閉弁で代用するとよい。
【0035】
循環水路6には、洗濯水状態検知手段21が設けられている。洗濯水状態検知手段21は、洗濯水の濁度を検知する光センサを含むものである。光センサは、赤外光線を出射する発光素子と、発光素子から出射された赤外光線を受光する受光素子とを含む。発光素子及び受光素子は、循環水路6の直管部の外側に位置し、互いに対向する。したがって、発光素子と受光素子の間には、赤外光線の光軸が形成されるため、直管部は、少なくとも部分的に、赤外光線を透過させる材質を含む。直管部の管壁部により取り囲まれる空間内に満たされた洗濯水中を、発光素子721からの赤外光線が通過する。洗濯水の濁りが大きいとき、受光素子に到達する赤外光線の光量は小さくなり、洗濯水の濁りが小さいとき、受光素子に到達する赤外光線の光量は大きくなる。したがって、光センサは、洗濯水の濁度を検知する濁度センサとして機能することができる。
【0036】
以上構成の洗濯水状態検知手段21により、塩素を多く消費するたんぱく質や泥汚れ、および洗剤成分量を検知でき、より正確に塩素濃度を狙いとする値に保つことができる。よって、電解水による除菌、消臭を効果的に行うことができ、部材劣化、衣類の色落ち等の悪影響の防止が可能となる。その他、伝導センサ、色落ちセンサ等を含むものであってもよい。
【0037】
上記構成において動作を説明する。図2、3は、本発明の実施の形態におけるすすぎ工程図である。図2は、洗濯水中の汚れ、洗剤成分濃度が低い場合であり、図3は、洗濯水中の汚れ、洗剤成分濃度が高い場合を示している。
【0038】
使用者は、扉17を開いて洗濯槽2内に洗濯物を投入し、電源スイッチ(図示せず)をオンし、スタートスイッチ(図示せず)を操作して運転を開始させる。洗い工程が開始すると、制御手段22は、第1の給水弁8を開いて給水が開始され、洗剤ケース9内に投入された洗剤とともに外槽3内に洗浄水が給水される。制御手段22は、所定量の給水が終わると、モータ4を駆動させる。洗い工程では、洗濯槽2はモータ4によって回転駆動され、洗濯槽2内の洗濯物は持ち上げられて水面上に落下される。この落下の際の衝撃により、洗濯物に付着した汚れが落とされる。所定時間が経過し、洗い工程が終了したら、排水弁14を開き、洗濯水を筐体1の外へ排出する。洗いが終了したら、次に脱水が行われる。洗濯槽2を高速で回転させ、洗濯物内に残った洗濯水を排出する。この洗いおよび脱水が行われている間に、第2の給水弁18を開き、電解槽19に水道水を給水する。そして、電解槽19内部の電極(図示せず)に通電し、電解水の生成を行う。
【0039】
すすぎ工程に入ると、第1の給水弁8を開き、所定量のすすぎ水が外槽3に投入される。給水が終わり、第1の給水弁8が閉じたら、制御手段22は、送水ポンプ20を駆動させ、電解槽19にて生成した電解水を所定量、循環水路6へ投入する。給水が終わると、モータ4を駆動する。洗濯槽2はモータ4によって回転駆動され、洗濯槽2内の洗濯物は持ち上げられて水面上に落下される。これにより、洗濯物に残留した汚れた洗い水や洗剤成分を落とすとともに、洗濯物が電解水との接触を繰り返すことにより、洗濯物の消臭、除菌が行われる。このとき、循環ポンプ5を駆動し、洗濯物にすすぎ水をかけることで、すすぎ効果および電解水による消臭、除菌を効果的に行うことができる。
【0040】
すすぎ工程が進むにつれ、洗濯物内に残留していた汚れや洗剤成分が、すすぎ水中に溶け出し、その溶出量に応じて電解水中の塩素成分が消費される。このため、塩素濃度が低下し、除菌、消臭効果が低下していく。そこで本発明においては、すすぎ水中に溶け出した汚れや洗剤成分量を、洗濯水状態検知手段21により検知し、その検知量が多いほど、電解水を多く投入する。これにより、電解水の塩素成分が汚れや洗剤により多く消費された場合にも、洗濯水を目標とする塩素濃度に保つことができるため、電解水による消臭、除菌を効果的に行うことができる。また、汚れや洗剤による塩素消費を見込んで電解水の初期濃度を高くすると、衣類の色落ちや、洗濯槽2の腐食などの各種部品の劣化が生じる恐れがあるが、本発明では洗濯水の塩素濃度の最大値を高めないため、それらの悪影響を招く恐れがない。
【0041】
なお、洗濯水の状態検知は、すすぎ工程ではなく、洗い工程において行ってもよい。
【0042】
さらに、電解水の投入を複数回に分けて行い、洗濯水状態検知手段21により検知した洗濯水の洗剤量または汚れ量に応じて投入量を多くするのは、2回目以降にするとよい。これにより、洗濯水の状態検知結果を待つことなく1回目の電解水の投入を行うことができる。このため、工程の初期段階から電解水を作用させることができ、除菌消臭性能を向上できる。このとき、複数回の電解水の投入における目標塩素濃度は、洗濯槽等の腐食が生じない範囲で、最も高い濃度とするとよい。
【0043】
また、洗濯水の状態検知結果に応じて追加で行う電解水の投入は、最初の電解水の投入から所定時間が経過した後に行い、その所定時間は、洗濯水状態検知手段21が、洗濯水の汚れ量または洗剤量が多いほど短くするとよい。これは、汚れや洗剤成分濃度が高いほど、塩素の消費速度は速くなるためであり、検知量が多いほど電解水の投入間隔を短くすることで、汚れや洗剤成分濃度が変化しても、所望する塩素濃度を維持することができ、除菌、消臭効果を得られるとともに、部材劣化、衣類の色落ち等の悪影響の防止が可能となる。所定時間は、洗濯水状態検知手段21による検知量が多い場合は15〜30秒程度、検知量が少ない場合は30〜90秒程度とするとよい。
【0044】
さらに、洗濯水状態検知手段21により、洗濯水中の汚れ量または洗剤量が多いときは、図3に示したように、電解水の投入回数を3回以上に増やすとよい。これにより、汚れや洗剤成分が多い場合に、多くの塩素が消費されても、塩素濃度を所定値以上に維持することができるため、電解水の効果を長時間得ることができる。このとき、3回目以降の電解水の投入においては、電解水の投入間隔を、1回目と2回目の投入の間隔よりも長くするとよい。これは、汚れや洗剤成分による塩素の消費速度は、消費が進むにつれて遅くなるためであり、すすぎ工程の後半においては、電解水の投入間隔を長くすることにより、所望する塩素濃度を維持することができ、電解水による除菌、消臭を効果的に行うことができるとともに、部材劣化、衣類の色落ち等の悪影響の防止が可能となる。
【0045】
すすぎ工程が終了したら、洗濯槽2を高速で回転させ、洗濯物内に残った洗濯水を排出する脱水が行われ、洗濯の全工程が終了する。
【0046】
なお、本実施の形態においては、洗濯槽の回転軸心が水平または水平から傾斜したドラム式洗濯機について説明したが、回転軸が垂直の縦型洗濯機であっても同様の効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明にかかる洗濯機は、汚れや洗剤成分により塩素が消費された場合にも、洗濯水を目標とする塩素濃度に保つことで、衣類の色落ち、各種部品の劣化といった悪影響を防ぐとともに、電解水の消臭・除菌といった効果を向上させることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 筐体
2 洗濯槽
3 外槽
4 モータ(駆動装置)
5 循環ポンプ
6 循環水路
7 吐出口
8 第1の給水弁
9 洗剤ケース
10 給水配管
11 透孔
12 バッフル
13 フィルタ
14 排水弁
15 排水管路
16 バランサ
17 扉
18 第2の給水弁
19 電解槽(電解装置)
20 送水ポンプ
21 洗濯水状態検知手段
22 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を収容して回転する洗濯槽と、
前記洗濯槽を収容する外槽と、
水道水を前記洗濯槽又は外槽に給水するための第1の給水弁と、
電解水を生成する電解装置と、
洗濯水の状態を検知する洗濯水状態検知手段と、
前記洗濯水状態検知手段を制御して、洗い、すすぎ工程を行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記洗濯水状態検知手段により検知した前記洗濯水の洗剤量が多いほど、前記電解水の投入量を多くする洗濯機。
【請求項2】
洗濯物を収容して回転する洗濯槽と、
前記洗濯槽を収容する外槽と、
水道水を前記洗濯槽又は外槽に給水するための第1の給水弁と、
電解水を生成する電解装置と、
洗濯水の状態を検知する洗濯水状態検知手段と、
前記洗濯水状態検知手段を制御して、洗い、すすぎ工程を行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記洗濯水状態検知手段により検知した前記洗濯水の汚れ量が多いほど、前記電解水の投入量を多くする洗濯機。
【請求項3】
制御手段は、電解水の投入を複数回に分けて行い、洗濯水状態検知手段の結果に応じて前記電解水の投入量を多くする場合は、2回目以降に行う前記電解水の投入量を多くする請求項1または2に記載の洗濯機。
【請求項4】
制御手段は、電解水の投入を複数回に分けて行い、洗濯水状態検知手段の結果に応じて追加で行う電解水の投入を、最初の前記電解水の投入から所定時間が経過した後に行い、前記所定時間は、前記洗濯水状態検知手段により検知した洗濯水の洗剤量が多いほど短くする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項5】
制御手段は、電解水の投入を複数回に分けて行い、洗濯水状態検知手段の結果に応じて追加で行う電解水の投入を、最初の前記電解水の投入から所定時間が経過した後に行い、前記所定時間は、前記洗濯水状態検知手段により検知した洗濯水の汚れ量が多いほど短くする請求項2に記載の洗濯機。
【請求項6】
制御手段は、洗濯水状態検知手段により検知した洗濯水の洗剤量が所定より多いときは、電解水の投入回数をさらに増やす請求項1に記載の洗濯機。
【請求項7】
制御手段は、洗濯水状態検知手段により検知した洗濯水の汚れ量が所定より多いときは、電解水の投入回数をさらに増やす請求項2に記載の洗濯機。
【請求項8】
制御手段は、3回目以降の電解水の投入においては、電解水の投入間隔を、1回目と2回目の投入の間隔よりも長くする請求項3〜7のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項9】
洗濯水状態検出手段は、洗濯水の濁度を検知する濁度検知手段を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の洗濯機。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【公開番号】特開2013−94205(P2013−94205A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236864(P2011−236864)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】