説明

洗面台

【課題】二人同時に使用することができると共に、コンパクトで安価な構成を備え、デザイン性にも優れる洗面台を提供する。
【解決手段】本発明の洗面台10は、カウンタ部12と、カウンタ部12に開口面を開口させて設置される洗面ボール部13と、一対の水栓部14とからなり、洗面ボール部13の底面15は、中央部分を横断する稜線16の両側に下り勾配となった一対の傾斜面17を備える山形形状を有しており、一対の傾斜面17の下端縁部分17aの下方に排水口18が設けられ、一対の傾斜面17の上方に一対の水栓部14の吐出口19が各々配設されている。洗面ボール部13は、稜線16と垂直な縁辺20aを備えており、この縁辺20aをカウンタ部12の縁辺21aと平行に配置してカウンタ部12に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面台に関し、特に、カウンタ部と、カウンタ部に開口面を開口させて設置される洗面ボール部と、一対の水栓部とからなる洗面台に関する。
【背景技術】
【0002】
洗面台は、鏡や収納部を備える洗面化粧台に組み込まれたり、洗面脱衣室等の水廻り部分に造作物として取り付けられるものであり、カウンタ部と、このカウンタ部に開口面を開口させて設置される洗面ボール部と、水栓部とを備えている。また洗面台として、手洗いや洗顔のみならず、例えば洗濯の下洗いや子供の靴洗いのためのユーティリティシンクとしての機能を備える、底の深い洗面ボール部を有する洗面台も種々開発されている。
【0003】
また、洗面台は、例えば浴室に隣接する洗面脱衣室等の、居住者の目に触れにくい住宅の水廻り部分に設けられるのが一般的であるが、昨今のライフスタイルの変化等に伴い、手洗いや化粧直し等を主目的として使用する簡易な洗面台を、例えばリビングに近い廊下などの、居住者の目に触れやすい部分に設けることが要望される場合もある。さらに、二人同時に使用することを可能にする洗面台も開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】実開平5−88391号公報
【特許文献2】特開平7−51172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二人同時に使用することを可能にする特許文献1や特許文献2の洗面台は、いずれも、鏡や収納部を備える洗面化粧台に一体として組み込まれたものであり、これらの洗面化粧台を例えばリビングに近い廊下などの居住者の目に触れやすい部分に設ける場合、周囲のデザインとマッチせず、屋内空間の美観を損うことになりやすい。また、特許文献1や特許文献2の洗面台は、機能の異なる2つの洗面ボール部を備える2ボールタイプのものであり、コストアップにつながりやすい。さらに、2つの洗面ボール部を設置するためにカウンタ部の幅を広くとる必要を生じて、占有する床面積が増加すると共に、例えば廊下の幅に納め難くなる。
【0005】
本発明は、こにような従来の課題に着目してなされたものであり、二人同時に使用することができると共に、コンパクトで安価な構成を備え、デザイン性にも優れる洗面台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、カウンタ部と、該カウンタ部に開口面を開口させて設置される洗面ボール部と、一対の水栓部とからなり、前記洗面ボール部の底面は、中央部分を横断する稜線の両側に下り勾配となった一対の傾斜面を備える山形形状を有しており、前記一対の傾斜面の下端縁部の下方に排水口が設けられ、前記一対の傾斜面の上方に前記一対の水栓部の吐出口が各々配設される洗面台を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0007】
そして、本発明の洗面台では、前記洗面ボール部は、稜線と垂直な縁辺を備えており、該縁辺を前記カウンタ部の縁辺と平行に配置して前記カウンタ部に取り付けられていることが好ましい。
【0008】
また、本発明の洗面台では、前記洗面ボール部は、矩形平面形状を有していることが好ましい。
【0009】
さらに、本発明の洗面台では、前記一対の傾斜面の下端縁部に沿って、前記洗面ボール部の内壁面との間に排水スリットが設けられており、前記一対の傾斜面の下端縁部の下方に前記排水口と接続する排水溝が設けられており、前記排水スリット及び前記排水溝を介して、前記洗面ボール部内の水が前記排水口から排出されるようになっていることが好ましい。
【0010】
さらにまた、本発明の洗面台は、住宅の廊下部分に設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の洗面台によれば、二人同時に使用することがきると共に、コンパクトで安価な構成を備え、デザイン性にも優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1に示す本発明の好ましい一実施形態に係る洗面台10は、例えば住宅建築物において、浴室に隣接する洗面脱衣室等の水廻り部分から離れた、リビングに近い廊下11の突き当り部分に設けられ、例えば二人が話をしながら同時に手洗いや化粧直しを行うことに可能にするものである。すなわち、本実施形態の洗面台10は、リビングに近い廊下11において、二人同時に手洗いや化粧直しを手軽に行うことができるようにすると共に、占有する床面積を小さくしてコンパクトに設けられ、且つ廊下11を通る居住者の目に触れても美観が損われないようにすることを目的として採用されたものである。
【0013】
そして、本実施形態の洗面台10は、図2及び図3にも示すように、カウンタ部12と、このカウンタ部12に開口面を開口させて設置される洗面ボール部13と、一対の水栓部14とからなり、洗面ボール部13の底面15は、中央部分を横断する稜線16の両側に下り勾配となった一対の傾斜面17を備える山形形状を有しており、一対の傾斜面17の下端縁部17aの下方に排水口18が設けられ、一対の傾斜面17の上方に一対の水栓部14の吐出口19が各々配設されている。
【0014】
また、本実施形態では、洗面ボール部13は、稜線16と垂直な縁辺20aを備える矩形平面形状を有しており、この縁辺20aをカウンタ部12の縁辺21aと平行に配置してカウンタ部12に取り付けられている。
【0015】
さらに、本実施形態では、一対の傾斜面17の下端縁部17aに沿って、洗面ボール部13の短辺部内壁面22aとの間に排水スリット23が設けられており、一対の傾斜面17の下端縁部17aの下方に排水口18と接続す排水溝24が設けられており、排水スリット23及び排水溝24を介して、洗面ボール部13内の水が排水口18から排出されるようになっている。
【0016】
本実施形態では、カウンタ部12は、例えば厚さが5〜20mm程度のセラミックや人工大理石等からなる厚板部材を用いて形成される。カウンタ部12は、例えば幅800〜1650mm程度、奥行き500〜600mm程度の矩形平面形状を備えており、廊下11の突き当たり部分において、一方の長辺に沿った縁辺21a部分を妻壁25に接合すると共に、一対の短辺に沿った縁辺21b部分を両側の側壁26に各々接合することにより、妻壁25から手前側に延設した状態で、廊下11の床面から例えば700〜850mm程度の高さ位置に固定される。
【0017】
また、カウンタ部12には、その中央部分に、例えば幅750mm程度、奥行き450mm程度の大きさのカウンタ開口27が形成されている。このカウンタ開口27に上端の開口面を合致させて、洗面ボール部13が、公知の各種の固定手段を介してカウンタ部12に一体として接合固定される。なお、カウンタ部12と洗面ボール部13とは、工場等において、予め一体として製造することもできる。
【0018】
洗面ボール部13は、例えば厚さが3〜10mm程度のセラミックや人工大理石等からなり、例えば所定の形状に成形した複数の板状部材を、接着剤等を用いた公知の各種の接合手段を介して以下のような形状となるように一体として組み付けることにより、容易に形成することができる。
【0019】
本実施形態では、洗面ボール部13は、例えば幅700mm程度、奥行き450mm程度の矩形平面形状を有していると共に、その内側に、一対の短辺に沿った短辺部内壁面22aと、一対の長辺に沿った長辺部内壁面22bと、底面15とによって周囲を囲まれる、上面が開口面となった水受け凹部28を備えている。
【0020】
また、洗面ボール部13は、その底面15が、これの中央部分を横断する、一対の短辺と平行な稜線16によって2分割されており、各分割された領域は、稜線16から短辺部内壁面22aに向かって傾斜角θが例えば5〜20°程度の下り勾配で傾斜する傾斜面17となっている。各傾斜面17は、その下端部が短辺部内壁面22aに致ることなく、当該短辺部内壁面22aとの間に例えば10〜25mm程度の間隔を保持した状態で設けられており、これによって、各傾斜面17の下端縁部17aに沿って、短辺部内壁面22aとの間に排水スリット23が形成されることになる。
【0021】
さらに、本実施形態では、各短辺部内壁面22aは、各傾斜面17の下端縁部17aよりも下方まで延設すると共に、これの下端部分がL字形状に内側に折れ曲がった後、さらに上方に折れ曲がって各傾斜面17の下端縁部17aの下面に各々接合していることにより、各傾斜面17の下端縁部17aの下方に、当該下端縁部17aに沿って直線状に延設する排水溝24が形成されている。また排水溝24は、妻壁25側から反対側に向って下り勾配となるように形成されており、当該妻壁25とは反対側の端部において、各傾斜面17の下端縁部17aの下方に設けられた排水口18と接続していることにより、排水溝24に沿って流下する水を、排水口18から排出することができるようになっている。
【0022】
さらにまた、本実施形態では、各傾斜面17の下端縁部17aに設けられた排水口18は、洗面ボール部13の下方において枝分かれした排水管29と各々接続しており、排水口18から排出される水は、排水管29を介して、排水トラップ30を通過した後に排水設備に送られることになる。
【0023】
なお、本実施形態では、洗面ボール部13の一方の短辺部内壁面22aに、稜線16よりも高い位置に配置されて、オーバーフロー孔31が開口形成されている。洗面ボール部13の内部に稜線16を超えて水が過剰に貯留された際に、このオーバーフロー孔31から、補助排水管32を介して水を排水管29に逃がすことができるようになっている。また、排水口18には、ヘアーキャッチャー33が着脱可能に装着されている。さらに、排水口18の直上に位置する洗面ボール部13の底面15の角部分は、略正方形に切り欠かれている。この切欠き部分に開閉蓋34が着脱可能に嵌め込まれることにより、排水口18を効果的に覆い隠すことが可能になると共に、排水溝24及び排水口18のメンテナンスを容易に行うことが可能になる。
【0024】
そして、本実施形態では、洗面ボール部13は、長辺に沿った縁辺20aを、カウンタ部12の長辺に沿った縁辺20aと平行に配置した状態でカウンタ部12に取り付けられることにより、洗面ボール部13の底面15の稜線16は、カウンタ部12の長辺に沿った縁辺20aと垂直に延設して配置されることになる。ここで、本実施形態では、稜線16は水平に延設するよう設けられているが、稜線16を妻壁25側或いはこれと反対側に傾斜するように設けることもできる。また、これにともなって、一対の傾斜面17を、短辺部内壁面22aに向けて傾斜させるのみならず、手前側又は奥側に向けて傾斜させることもできる。これらによって、よりスムーズに洗面ボール部13内の水を排除することが可能になる。
【0025】
本実施形態では、水栓部14は、吐出ノズル部35やハンドル部36を備える公知のものであり、カウンタ部12における洗面ボール部13と妻壁25とによって挟まれる部分から上方に立設して、稜線16の延長線を挟んだ両側に一対設けられている。水栓部14は、カウンタ部12の下方において、給水管や給湯管と接続しており、ハンドル部36を操作することによって、水や湯を必要量吐出する。なお、水栓部14は、カウンタ部12から立設する立水栓として取り付けることができる他、妻壁25から突設する壁水栓として取り付けることもできる。
【0026】
また、各水栓部14の吐出ノズル部35の先端の吐出口19は、洗面ボール部13の各々の傾斜面17に向けて配置されており、各吐出口19から吐出された水や湯は、傾斜面17に衝突して両側の短辺部内壁面22aに向けて方向転換しつつ、傾斜面17に沿って両側に流下してゆくことになる。したがって、各水栓部14の吐出口19から吐出された水や湯は、稜線16を挟んだ反対側の傾斜面17に流れ込み難くなり、これによって、各水栓部14の吐出口19から各々吐出された水や湯が洗面ボール部13の内部で混ざり合うのを、極力回避することが可能になる。
【0027】
そして、上述の構成を備える本実施形態の洗面台10によれば、二人同時に使用することがきると共に、コンパクトで安価な構成を備え、デザイン性にも優れている。すなわち、本実施形態によれば、カウンタ部12に設置される洗面ボール部13の底面15は、中央部分を横断する稜線16の両側に下り勾配となった一対の傾斜面17を備える山形形状を有しており、一対の傾斜面17の下端縁部17aの下方に排水口18が設けられ、一対の傾斜面17の上方に一対の水栓部14の吐出口19が各々配設されているので、各水栓部14の吐出口19から各々吐出された水や湯の緩衝を極力回避しながら、各々の傾斜面17や水栓部14を使用しつつ、二人が同時に手洗いや化粧直しを容易に行うことが可能になる。
【0028】
また、2つの洗面ボールを用いることなく、1つの洗面ボール部13を稜線16によって好ましくは対称形状に仕切ることによって二人が同時に使用できるようにしているので、カウンタ部12に洗面ボール部13をコンパクトに納めることが可能になると共に、2つの洗面ボールを用いる場合と比較して、コストダウンを効果的に図ることが可能になり、且つすっきりとして美観に富んだデザインを備えることになる。
【0029】
さらに、本実施形態によれば、洗面ボール部13は、稜線13と垂直な縁辺20aを備えており、この縁辺20aをカウンタ部12の縁辺21aと平行に配置してカウンタ部12に取り付けられており、また特に矩形平面形状を有しているので、底が比較的浅く、稜線13を視覚に捕らえやすい形状と相俟って、ソリッド感があり、意匠性に優れた美観を備えることになる。
【0030】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、洗面ボール部は、矩形平面形状を有している必要は必ずしもなく、例えば図4(a)〜(c)に示すような、稜線16と垂直な縁辺20aを備えるその他の種々の形状の洗面ボール部13であっても良い。また洗面ボール部13は、稜線16と垂直な縁辺20aを備えいなくても良い。さらに、傾斜面の下端縁部に沿って、洗面ボール部の内壁面との間に排水スリットを設ける必要は必ずしもなく、例えば当該下端縁部に沿って、排水用の小孔を連設配置して、洗面ボール部内の水を排水口に向けて排出することもできる。さらにまた、洗面台は、リビングに近い廊下に限定されることなく、居住空間内のその他の種々の部分に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態の好ましい一実施形態に係る洗面台を示す斜視図である。
【図2】本実施形態の好ましい一実施形態に係る洗面台の構成を説明する、図1のA−Aに沿った断面図である。
【図3】本実施形態の好ましい一実施形態に係る洗面台の構成を説明する、図1を上方から見た上面図である。
【図4】(a)〜(c)は、洗面ボール部の他の形態を例示する略示上面図である。
【符号の説明】
【0032】
10 洗面台
11 廊下
12 カウンタ部
13 洗面ボール部
14 水栓部
15 洗面ボール部の底面
16 稜線
17 傾斜面
18 排水口
19 吐出口
20a 稜線と垂直な縁辺
21a カウンタ部の縁辺
22a 洗面ボール部の短辺部内壁面
23 排水スリット
24 排水溝
29 排水管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウンタ部と、該カウンタ部に開口面を開口させて設置される洗面ボール部と、一対の水栓部とからなり、
前記洗面ボール部の底面は、中央部分を横断する稜線の両側に下り勾配となった一対の傾斜面を備える山形形状を有しており、
前記一対の傾斜面の下端縁部の下方に排水口が設けられ、前記一対の傾斜面の上方に前記一対の水栓部の吐出口が各々配設される洗面台。
【請求項2】
前記洗面ボール部は、稜線と垂直な縁辺を備えており、該縁辺を前記カウンタ部の縁辺と平行に配置して前記カウンタ部に取り付けられている請求項1に記載の洗面台。
【請求項3】
前記洗面ボール部は、矩形平面形状を有している請求項2に記載の洗面台。
【請求項4】
前記一対の傾斜面の下端縁部に沿って、前記洗面ボール部の内壁面との間に排水スリットが設けられており、前記一対の傾斜面の下端縁部の下方に前記排水口と接続する排水溝が設けられており、前記排水スリット及び前記排水溝を介して、前記洗面ボール部内の水が前記排水口から排出される請求項1〜3のいずれかに記載の洗面台。
【請求項5】
住宅の廊下部分に設けられる請求項1〜4のいずれかに記載の洗面台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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