説明

洗髪用容器及びそれを用いた洗髪方法

【課題】取り扱いの便利な洗髪用容器と、該容器を用いて水等の飛散や衛生管理等に充分に対処し得る洗髪方法を提供する。
【解決手段】排水口1aを有する方形の底板1と、底板1の各辺に起伏自在に連結された側板2,3,4,5と、使用状態にするべく起立せしめられたとき隣接する前記側板を互いに連結し得る連結具2a,2b、3a,3b、4a,4b、5a,5bとを含み、前記側板の一つの上端縁に被洗髪者の首部を支えるネップ8を置くための凹陥部2cを形成すると共に、不使用時前記複数の側板を前記底板上に折りたたみ得るように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に寝たきり病人用等として好適に使用し得る洗髪用容器及びそれを用いた洗髪方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加圧ポンプを含む給水タンクと、該給水タンクに接続されたシャワー散水器と、洗髪用容器と、該洗髪用容器に接続された排水タンクとをセットにした、寝たきり病人用等として使用し得る洗髪用具は知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−175727号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の洗髪用具は、病院等の特別な施設においては使用可能であるが、一般家庭用としては不向きである。このうち、特に洗髪用容器は、形状が固定した洗面器状の容器である上に、寝たままの被洗髪者の枕の代わりに置かれて直接肌に触れる状態で使用されるため、持ち運び、使用時の周囲への水等の飛散や衛生管理等の点で、取り扱い勝手の良いものがなかった。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、取り扱いの便利な洗髪用容器と、該容器を用いて水等の飛散や衛生管理等に充分に対処し得る洗髪方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明による洗髪用容器は、少なくとも一つの排水口を有する多角形の底板と、該底板の各辺に起伏自在に連結された複数の側板と、使用状態にするべく起立せしめられたとき隣接する前記側板を互いに連結し得る連結具とを含み、前記複数の側板の一つの上端縁に被洗髪者の首部を支えるネップを置くための凹陥部を形成すると共に、不使用時前記複数の側板を前記底板上に折りたたみ得るように構成されている。
【0006】
本発明によれば、前記底板は方形で中央部に被洗髪者の後頭部を載せるための枕体が設けられている。
【0007】
また、本発明によれば、前記底板と各側板が、前記底板と各側板に亘って固着された一枚の伸縮自在な可撓部材により連結されている。
【0008】
また、本発明によれば、前記連結具が、隣接する前記側板間に設けられたマジックテープ(登録商標)である。
【0009】
また、本発明によれば、前記底板および側板が、硬質発泡樹脂材,木材,軽金属材およびエアー入り板状袋体の何れか一つまたは組合せから成っている。
【0010】
本発明による洗髪方法は、前記複数の側板を起立連結して前記洗髪用容器を使用状態にするためのステップと、前記洗髪用容器内へ被洗髪者の頭部を置いたとき前顔部を除いて前記頭部を覆うことができ且つ前記洗髪用容器の排水口へ挿入し得る洗髪水排出部を有する洗髪水受けシート袋を、前記洗髪用容器内へ敷設するステップと、前記洗髪水受けシート袋内で洗髪するステップとを含んでいる。
【0011】
また、本発明による洗髪方法は、前記洗髪水受けシート袋の洗髪水排出部内へ排水調整棒を挿入するステップを更に含んでいる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、不使用時はコンパクトに折りたたむことができ、携帯に便利な、寝たきり病人用等として好適に使用し得る洗髪用容器を廉価に提供することができる。
また、本発明によれば、本発明の洗髪用容器を使用して、洗髪水等を周囲に飛散させることがなく、常に衛生的に洗髪用容器を利用し得る洗髪方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の態様を図示した実施例に基き説明する。図1は本発明による洗髪用容器の一部を破断して示す斜視図、図2は図1に示す洗髪用容器を解体した状態の内側平面図、図3は図1に示す洗髪用容器を解体した状態の外側平面図、図4は図3に示す状態から洗髪用容器を折りたたんだ状態の斜視図、図5は洗髪水受け袋の一例の斜視図、図6は排水調整棒の斜視図、図7は洗髪用容器の使用状態を示す概略側面図である。
【0014】
図中、1は方形をなしていて少なくとも一つの隅に排水口1aを有する硬質発泡樹脂材,木材,軽金属材またはエアー入り板状袋体等からなる底板、2,3,4及び5はそれらの外面と底板1の外面との間に設けられた一枚の伸縮自在な可撓部材6により起伏自在に連結されていて後述の如く使用状態に組み立てられた時頂面が同一平面上に揃うような寸法に形成された硬質発泡樹脂材,木材,軽金属材またはエアー入り板状袋体等からなる側板である。
底板1の内面上には使用時被洗髪者の後頭部を載せるための枕体7が設けられ、側板2の上端縁には使用時被洗髪者の首部を支えるネップ8を置くための凹陥部2cが設けられ、また、各側板の外面には起立せしめられたとき隣接する各側板を連結するための連結具2b,3a、3b,4a、4b,5a及び5b,2aがそれぞれ設けられている。
【0015】
上記可撓部材6は一枚のゴム板等からなるのが好ましいが、図3に鎖線で示すように、底板1と各側板2〜5間にそれぞれ別個に設けられても良い。また、上記連結具としてはマジックテープ(登録商標)等からなるのが好ましいが、紐その他の周知手段が用いられても良い。
【0016】
なお、各側板の寸法は、図1から明らかなように、起立せしめられて組み立てられたとき、側板3及び5の板厚部分が底板1上に乗り、側板2及び4が底板1と側板3及び5の板厚部分を覆うように、選定されている。この場合、側板2及び4の板厚部分が底板1上に乗り、側板3及び5が底板1と側板2及び4の板厚部分を覆うように、選定されてもよいことはいうまでもない。
【0017】
本発明による洗髪用容器は上記のように構成されているから、使用に先立ち、図2の状態で例えば側板2及び3を起立せしめてこれらを密接させ、連結具3a及び2bを結合さてその状態を保持させ、次に、側板5を起立せしめてこれを底板1と側板2に密接させ、連結具5a及び2aを結合させてその状態を保持させる。次に、側板4を起立せしめてこれを底板1と側板3及び5に密接させ、連結具5b,4b及び3b,4aをそれぞれ結合させて組み立を完了する。この時、洗髪用容器の少なくとも一つの隅に排水口1aが形成される。
【0018】
不使用時には、上記組み立て状態から連結具3a,2b、3b,4a、4b,5a及び5b,2aの結合をそれぞれ解き、側板2〜5を図2の状態に戻した後、これを引っくり返して図3の状態に置き変え、次に、その状態で側板2と4を底板1側へ折りたたみ、続いて、その上に側板3と5を折り重ねて、図4に示すような一つのコンパクトなブロックとなし、持ち運びに便利なようにすることができる。
【0019】
次に、図5乃至7を参照して、本洗髪用容器の使用方法を説明する。
図7に示すように、仰向け状態に寝ている病人等の前顔部を除いて頭部全体をゆったりと覆うように透明な洗髪水受けシート袋9を被せた後、頭部下側に、上記のようにして組み立てた洗髪用容器を差し入れて、後頭部が枕体7上に、首部がネップ8上に位置するように調整する。そして、洗髪水受けシート袋9の洗髪水排出部9aを排水口1a内へ挿入し、準備を完了する。この場合、洗髪水受けシート袋9の上部周縁部分を洗髪用容器の側板2を除く三つの側板3,4及び5の上縁に被せて、実質上、被洗髪者の前顔部を除く頭部全体をゆったりと覆うようにしても良い。
なお、ベッドの近くには水中加圧ポンプを内蔵した給水タンク10と、給水タンク10に接続されていて先端にシャワーヘッド11aを有する伸縮可能の給水管11と、洗髪用容器の排水口1aに接続された排水タンク12と、必要に応じて排水タンク12の排水を洗面容器等の放水設備へ放出すためのホース13等が、設置及び撤去が自由にできるように備えられている。
【0020】
以上の説明から明らかなように、洗髪の全行程は、被洗髪者の頭部を洗髪水受けシート袋9内に入れた状態で行われるが、その間必要に応じて排水調整棒14を洗髪水受けシート袋9の洗髪水排出部9a内に挿入して、排水の流れを良くする。洗髪終了後、洗髪水受けシート袋9は捨てられる。従って、洗髪は、常に良好な衛生状態のもとで行われ得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による洗髪用容器の一部を破断して示す斜視図である。
【図2】図1に示す洗髪用容器を解体した状態の内側平面図である。
【図3】図1に示す洗髪用容器を解体した状態の外側平面図である。
【図4】図3に示す状態から洗髪用容器を折りたたんだ状態の斜視図である。
【図5】洗髪水受け袋の一例の斜視図である。、
【図6】排水調整棒の斜視図である。
【図7】洗髪用容器の使用状態を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 洗髪用容器の底板
1a 排水口
2,3,4,5 洗髪用容器の側板
2a,2b 連結具
3a,3b 連結具
4a,4b 連結具
5a,5b 連結具
6 伸縮自在な可撓部材
7 枕体
8 ネップ
9 洗髪水受けシート袋
9a 洗髪水排出部
10 給水タンク
11 伸縮可能の給水管
11a シャワーヘッド
12 排水タンク
13 ホース
14 排水調節棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの排水口を有する多角形の底板と、該底板の各辺に起伏自在に連結された複数の側板と、使用状態にするべく起立せしめられたとき隣接する前記側板を互いに連結し得る連結具とを含み、前記複数の側板の一つの上端縁に被洗髪者の首部を支えるネップを置くための凹陥部を形成すると共に、不使用時前記複数の側板を前記底板上に折りたたみ得るように構成した洗髪用容器。
【請求項2】
前記底板が方形で中央部に被洗髪者の後頭部を載せるための枕体を設けた請求項1に記載の洗髪用容器。
【請求項3】
前記底板と各側板が、前記底板と各側板に亘って固着された一枚の伸縮自在な可撓部材により連結されている請求項1または2に記載の洗髪用容器。
【請求項4】
前記連結具が、隣接する前記側板間に設けられたマジックテープ(登録商標)である請求項1乃至3の何れかに記載の洗髪用容器。
【請求項5】
前記底板および側板が、硬質発泡樹脂材,木材,軽金属材およびエアー入り板状袋体の何れか一つまたは組合せから成っている請求項1乃至4の何れかに記載の洗髪用容器。
【請求項6】
前記複数の側板を起立連結して前記請求項1乃至5の何れかに記載の洗髪用容器を使用状態にするためのステップと、前記洗髪用容器内へ被洗髪者の頭部を置いたとき前顔部を除いて前記頭部を覆うことができ且つ前記洗髪用容器の排水口へ挿入し得る洗髪水排出部を有する洗髪水受けシート袋を、前記洗髪用容器内へ敷設するステップと、前記洗髪水受けシート袋内で洗髪するステップとを含む洗髪方法。
【請求項7】
前記洗髪水受けシート袋の洗髪水排出部内へ排水調整棒を挿入するステップを更に含む請求項6に記載の洗髪方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−191948(P2006−191948A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−3641(P2005−3641)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(397043064)学校法人山野学苑 (2)
【Fターム(参考)】