説明

津波規模予測装置、方法、およびプログラム

【課題】個々の沿岸部における津波規模を正確に予測する。
【解決手段】データ取得部15Aにより、津波による潮位の上昇開始時刻を基準として等比間隔を有する2つの計測時刻からなる計測時刻対における潮位を、記憶部14の潮位データ14Aから取得し、津波規模計算部15Bにより、取得した潮位の比と津波の角周波数との関係を示す潮位比特性式に基づいて、津波の予測最大潮位を計算し、この際、上昇開始時刻をT0とし、計測時刻をTi,Tj(但し、Ti−T0=Tj−Ti=t)とし、これら計測時刻Ti,Tjにおける潮位をhi,hjとし、津波の角周波数をωとした場合、次の潮位比特性式、hj/hi=2cos(ω・t)に基づき角周波数ωを計算し、次の式、A=hi/sin(ω・t)に基づき予測最大潮位Aを計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、津波監視技術に関し、特に津波の到着前兆である潮位変化に基づき津波の規模を予測する津波規模予測技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球規模の温暖化によって異常気象が起こりやすくなり、台風(ハリケーン・サイクロン)や地殻変動による津波・高波といった沿岸部における水害がしばしば発生することがある。
海面の上下変動(潮位)については、その変動周期によって、海風による波浪、地震による津波、台風等の気圧の影響による高潮、天体の動きによる潮汐に分類される。潮位を計測する潮位計については、変動周期の違いに着目して短周期の変動を除外し、津波のみのデータを得ることのできる津波計が開示されている(例えば、特許文献1など参照)。
【0003】
一方、津波の多くは地震による海底の地殻変動によって発生するが、津波の予測はあらかじめ数値シミュレーションを行い、地震発生時にはその結果を津波警報として発令している。しかし、このような津波到達予測では、海面の変動を直接検出して解析しているわけではないため、津波の到達時刻や潮位に大きな誤差が生じてしまうことがしばしばである。これに対して、沿岸部の沖合い洋上に複数の潮位センサーを配置することによって、津波の潮位、移動方向と移動速度を正確に算出して、津波などの異常潮位の沿岸部到達予想時刻を算出する潮位監視方法が開示されている(例えば、特許文献2など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2908358号公報
【特許文献2】特許第4134020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来技術では、津波規模を正確に予測することができないという問題点があった。
一般に、水深の深い沖合での津波で観測された津波は、沿岸の水深の浅い場所へ到達するにつれて津波のスピードが遅くなり、波と波との間隔(波長)が短くなって、結果として波の高さが高く変化する。また、津波の高さは海岸付近の地形によっても大きく変化する。
【0006】
したがって、前述した特許文献2の技術により、沖合い洋上に設けた潮位センサーで、沖合い数十キロにおける津波を検知しても、沿岸部に実際に到達したときの津波の波高、すなわち沿岸部での正確な潮位については、各地の沿岸部にて実際に計測しないと分からないというのが実情である。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、個々の沿岸部における津波規模を正確に予測する津波規模予測技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明にかかる津波規模予測装置は、各時刻に計測した潮位を示す潮位データを記憶する記憶部と、津波による潮位の上昇開始時刻を基準として等比間隔を有する2つの計測時刻からなる計測時刻対における潮位を、記憶部の潮位データから取得するデータ取得部と、取得した潮位の比と津波の角周波数との関係を示す潮位比特性式に基づいて、津波の予測最大潮位を計算する津波規模計算部とを備え、津波規模計算部で、上昇開始時刻をT0とし、計測時刻をTi,Tj(但し、Ti−T0=Tj−Ti=t)とし、これら計測時刻Ti,Tjにおける潮位をhi,hjとし、津波の角周波数をωとした場合、次の潮位比特性式、hj/hi=2cos(ω・t)に基づき角周波数ωを計算し、次の式、A=hi/sin(ω・t)に基づき予測最大潮位Aを計算するようにしたものである。
【0008】
この際、発令された津波警報を受信する津波発生通知受信部と、津波警報の受信後の潮位上昇の検出に応じて上昇開始時刻T0を特定し、計測時刻Ti,Tjの到来に応じて潮位hi,hjを計測して記憶部へ保存する計測制御部とをさらに備えてもよい。
【0009】
また、計測制御部で、潮位上昇の検出に代えて、津波警報の受信に応じて初期潮位を計測した後、潮位の低下が確認された場合には、その後に潮位が上昇して初期潮位まで到達した時点を上昇開始時刻T0として特定するようにしてもよい。
【0010】
また、津波規模計算部で、データ取得部により取得した、異なる複数の計測時刻対における潮位ごとに、各時刻における予測最大潮位を計算し、津波規模計算部で計算した各時刻における予測最大潮位が予め設定されている収束条件を満たした時点で、これら予測最大潮位を代表する代表予測最大潮位を求める収束判定部をさらに備えてもよい。
【0011】
また、収束判定部で、計測時刻対Ti,Tjの潮位hi,hjから計算した時刻Tjでの予測最大潮位をAjとし、異なる計測時刻対Tm,Tn(但し、Ti<Tm)の潮位hm,hnから計算した時刻Tnでの予測最大潮位をAnとし、予測最大潮位の変動比に対するしきい値をdとした場合、次の収束条件式、(An−Aj)/An<dが成立した際の予測最大潮位Anを代表予測最大潮位とするようにしてもよい。
【0012】
また、記憶部に予め保存されているリスク判定基準情報に基づいて、津波規模計算部で計算された予測最大潮位から想定される津波のリスクを判定するリスク判定部と、リスクと津波規模計算部で計算された予測最大潮位を含むリスク警報メッセージを警報通知先へ通知するリスク警報通知部とをさらに備えてもよい。
【0013】
また、本発明にかかる津波規模予測方法は、計測した潮位を示す潮位データに基づいて、津波の規模を予測する津波規模予測装置で用いられる津波規模予測方法であって、記憶部が、各時刻に計測した潮位を示す潮位データを記憶する記憶ステップと、データ取得部が、津波による潮位の上昇開始時刻を基準として等比間隔を有する2つの計測時刻からなる計測時刻対における潮位を、記憶部の潮位データから取得するデータ取得ステップと、津波規模計算部が、取得した潮位の比と津波の角周波数との関係を示す潮位比特性式に基づいて、津波の予測最大潮位を計算する津波規模計算ステップとを備え、津波規模計算ステップに、上昇開始時刻をT0とし、計測時刻をTi,Tj(但し、Ti−T0=Tj−Ti=t)とし、これら計測時刻Ti,Tjにおける潮位をhi,hjとし、津波の角周波数をωとした場合、次の潮位比特性式、hj/hi=2cos(ω・t)に基づき角周波数ωを計算し、次の式、A=hi/sin(ω・t)に基づき予測最大潮位Aを計算するステップを含むようにしたものである。
【0014】
また、本発明にかかるプログラムは、コンピュータを、請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の津波規模予測装置を構成する各部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、沿岸部に実際に到達したときの津波の波高、すなわち潮位から、津波の予測最大潮位を計算することができる。このため、各地の沿岸部の地形的特徴を考慮した、個々の沿岸部における津波の規模を正確に予測することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態にかかる津波規模予測装置の構成を示すブロック図である。
【図2】津波の波形モデルを示す説明図である。
【図3】予測最大潮位の計算過程を示す説明図である。
【図4】第1の実施の形態にかかる津波規模予測装置の津波規模計算処理を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施の形態にかかる津波規模予測装置の構成を示すブロック図である。
【図6】第2の実施の形態にかかる津波規模予測装置の津波規模計算処理を示すフローチャートである。
【図7】第3の実施の形態にかかる津波規模予測装置の構成を示すブロック図である。
【図8】リスク判定基準情報の構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる津波規模予測装置について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる津波規模予測装置の構成を示すブロック図である。
この津波規模予測装置10は、全体としてサーバ装置やパーソナルコンピュータなどの情報処理装置からなり、各時刻に計測した潮位に基づいて津波の予測最大潮位を計算する機能を有している。
【0018】
本実施の形態は、津波による潮位の上昇開始時刻を基準として等比間隔を有する2つの計測時刻からなる計測時刻対における潮位を、記憶部の潮位データから取得し、取得した潮位の比と津波の角周波数との関係を示す潮位比特性式に基づいて、津波の予測最大潮位を計算し、この際、上昇開始時刻をT0とし、計測時刻をTi,Tj(但し、Ti−T0=Tj−Ti=t)とし、これら計測時刻Ti,Tjにおける潮位をhi,hjとし、津波の角周波数をωとした場合、次の潮位比特性式、hj/hi=2cos(ω・t)に基づき角周波数ωを計算し、次の式、A=hi/sin(ω・t)に基づき予測最大潮位Aを計算するようにしたものである。
【0019】
[発明の原理]
次に、図2および図3を参照して、本発明の原理について説明する。図2は、津波の波形モデルを示す説明図であり、横軸が時間を示し、縦軸が潮位を示している。図3は、予測最大潮位の計算過程を示す説明図である。
【0020】
津波は、海域での地震や海岸地域で起こる地滑り、海底火山の活動、海底の地滑り、海洋への隕石の落下など気象以外の要因によって引き起こされ、海岸線に到達して被害を及ぼす可能性のある高波である。周期の短いものでは数分、周期の長いものでは1時間程度と、様々な時間的規模のものがある。一般的に、周期の長いものほど、最大潮位も大きいことが多い。
【0021】
津波の波形形状としては、沿岸部接近につれて海底深度の変化等によって、単純な正弦波ではなくなるが、図2に示すように、孤立した正弦波で近似できるものとする。図2では、津波発生前の安定した初期潮位を基準として波形が示されている。津波が接近する直前には潮位が低下することがあるが、必ずしも潮位が低下するとは限らないと言われている。
【0022】
図3に示すように、津波のモデルとする正弦波は、波の上昇開始時を時刻T0とし、波の振幅すなわち最大潮位をAとし、波の角周波数をωとすると、時刻T0から時間tだけ経過したときの潮位hは次の式(1)で表される。
【数1】

また、角周波数ωと周期Pとは、次の式(2)に示す関係にある。
【数2】

【0023】
上昇開始時刻T0から任意の等間隔tをおいた2つの時刻Ti,Tj、すなわち等比間隔tを有する計測時刻対Ti,Tjにおける潮位hi,hjの潮位比Rは、次の式(3)で表すことができる。
【数3】

【0024】
ここで、Ti−T0=Tj−Ti=t(t=一定)、すなわちTj−T0=2tが成立する場合、前述した潮位比Rの式(3)は、三角関数の二倍角公式に基づいて、次の式(4)で表すことができる。
【数4】

【0025】
したがって、時刻Ti,Tjは既知であるから、時刻Ti,Tjにおける潮位hi,hjを計測すれば、式(4)を変形した次の式(5)に基づいて角周波数ωが求まる。
【数5】

【0026】
また、角周波数ωが求まれば、時刻Tjにおける潮位hjと前述の式(1)から、最大潮位時刻TAにおける最大潮位Aが求まるとともに、前述した式(2)により、周期Pが求まることになる。この周期Pの1/2が、津波の上昇開始時刻T0における初期潮位h0から最大潮位Aを経て初期潮位h0へ戻るまでの時間、すなわち津波の持続時間Lに相当する。
【0027】
以上のことは、時刻Tjの潮位hjと時刻Tjから等間隔2tを置いた時刻Tkにおける潮位hkと間の関係、すなわち計測時刻対時刻Tj,Tkについても同様である。したがって、等比数列的に間隔をおいた時刻Ti,Tj,Tk,…において潮位hi,hj,hk,…を測定すれば、逐次、計算処理を実行することによって、予測最大潮位Aおよび持続時間Lを精度良く求めることができる。
【0028】
[津波規模予測装置]
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかる津波規模予測装置10の構成について詳細に説明する。
この津波規模予測装置10には、主な機能部として、通信インターフェース部(以下、通信I/F部という)11、操作入力部12、画面表示部13、記憶部14、および演算処理部15が設けられている。
【0029】
通信I/F部11は、専用のデータ通信回路からなり、インターネットや無線LANなどのデータ通信網を介して外部装置とデータ通信を行う機能を有している。
操作入力部12は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなり、オペレータの操作を検出して演算処理部15へ出力する機能を有している。
画面表示部13は、LCDなどの画面表示装置からなり、演算処理部15から出力された操作メニューや計算結果などの各種情報を画面表示する機能を有している。
【0030】
記憶部14は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、演算処理部15での処理動作に用いる各種処理情報やプログラム14Pを記憶する機能を有している。
記憶部14で記憶する主な処理情報として潮位データ14Aがある。潮位データ14Aは、計測時刻ごとに、当該計測時刻に計測した潮位が組として登録されている。
【0031】
演算処理部15は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部14のプログラム14Pを読み込んで実行することにより、各種の処理部を実現する機能を有している。
演算処理部15で実現する主な処理部として、データ取得部15Aと津波規模計算部15Bがある。
【0032】
データ取得部15Aは、津波による潮位の上昇開始時刻を基準として等比間隔を有する2つの計測時刻からなる計測時刻対における潮位を、記憶部14の潮位データ14Aから取得する機能を有している。津波による潮位の上昇開始時刻をT0とし、計測時間対を構成する計測時刻をTi,Tjとした場合、計測時刻をTi,TjはTi−T0=Tj−Tiの関係を有しており、t=Ti−T0とした場合、Tj−T0=2tとなる。
【0033】
津波規模計算部15Bは、データ取得部15Aで取得した潮位の比と津波の周波数との関係を示す潮位比特性式に基づいて、津波の予測最大潮位を計算する機能を有している。
具体的には、上昇開始時刻をT0とし、計測時刻をTi,Tj(Ti−T0=Tj−Ti=t)とし、これら計測時刻Ti,Tjにおける潮位をhi,hjとし、津波の角周波数をωとした場合、次の潮位比特性式、hj/hi=2cos(ω・t)に基づき角周波数ωを計算する機能と、次の式、A=hi/sin(ω・t)に基づき予測最大潮位Aを計算する機能と、時刻Tiにおける津波の予測持続時間Lを、L=π/ωに基づき計算する機能とを有している。
【0034】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図4を参照して、本実施の形態にかかる津波規模予測装置10の動作について説明する。図4は、第1の実施の形態にかかる津波規模予測装置の津波規模計算処理を示すフローチャートである。
津波規模予測装置10の演算処理部15は、操作入力部12で検出されたオペレータ操作に応じて、図4の津波規模計算処理を実行する。なお、記憶部14には、各時刻に計測した潮位を示す潮位データ14Aが予め保存されているものとする。
【0035】
まず、データ取得部15Aは、津波による潮位の上昇開始時刻T0を基準として等比間隔tを有する2つの計測時刻Ti,Tjを特定し(ステップ100)、これら計測時刻Ti,Tjからなる計測時刻対における潮位hi,hjを、記憶部14の潮位データ14Aから取得する(ステップ101)。
【0036】
次に、津波規模計算部15Bは、データ取得部15Aで取得した潮位hi,hjの潮位比Rと津波の角周波数ωとの関係を示す前述の式(5)に基づいて、角周波数ωを計算する(ステップ102)。
続いて、津波規模計算部15Bは、求めた角周波数ωおよび時刻Tjにおける潮位hjとから、前述の式(1)に基づき津波の最大潮位Aを計算する(ステップ103)。
【0037】
また、津波規模計算部15Bは、求めた角周波数ωから、前述の式(2)に基づき津波の周期Pの1/2に相当する津波の持続時間Lを計算し(ステップ104)、一連の津波規模計算処理を終了する。
この後、このようにして計算した最大潮位Aや持続時間Lは、記憶部14に保存された後、必要に応じて通信I/F部11から外部装置へ通知され、あるいは画面表示部13で画面表示される。
【0038】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、データ取得部15Aにより、津波による潮位の上昇開始時刻を基準として等比間隔を有する2つの計測時刻からなる計測時刻対における潮位を、記憶部14の潮位データ14Aから取得し、津波規模計算部15Bにより、取得した潮位の比と津波の角周波数との関係を示す潮位比特性式に基づいて、津波の予測最大潮位を計算し、この際、上昇開始時刻をT0とし、計測時刻をTi,Tj(但し、Ti−T0=Tj−Ti=t)とし、これら計測時刻Ti,Tjにおける潮位をhi,hjとし、津波の角周波数をωとした場合、次の潮位比特性式、hj/hi=2cos(ω・t)に基づき角周波数ωを計算し、次の式、A=hi/sin(ω・t)に基づき予測最大潮位Aを計算するようにしたものである。
【0039】
これにより、沿岸部に実際に到達したときの津波の波高、すなわち潮位から、津波の予測最大潮位を計算することができる。このため、各地の沿岸部の地形的特徴を考慮した、津波の規模を正確に予測することが可能となる。
【0040】
[第2の実施の形態]
次に、図5を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる津波規模予測装置10について説明する。図5は、第2の実施の形態にかかる津波規模予測装置の構成を示すブロック図であり、前述の図1と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
【0041】
第1の実施の形態では、予め記憶部14に保存されている潮位データ14Aから津波の規模を計算する場合を例として説明した。本実施の形態では、津波発生時に潮位の自動計測を開始して記憶部14へ順次保存し、得られた潮位データ14Aから津波の規模を計算する場合について説明する。
【0042】
本実施の形態にかかる津波規模予測装置10の演算処理部15には、第1の実施の形態に加えて、津波発生通知受信部15C、計測制御部15D、および収束判定部15Eが設けられている。
津波発生通知受信部15Cは、気象庁などの公共機関から発令された津波警報などの津波発生通知を、データ通信網および通信I/F部11を介して受信する機能を有している。津波発生通知としては、津波警報のほか、公共機関から発令される津波注意報、津波情報、津波予報などを用いてもよい。また、民間の報道機関や気象情報機関から通知される津波速報などの通知を津波発生通知として用いてもよい。
【0043】
計測制御部15Dは、予測対象となる沿岸部に設置された潮位検知装置20を制御して潮位を計測する機能と、津波発生通知受信部15Cにより津波警報を受信した後、潮位検知装置20で計測した潮位の上昇検出に応じて上昇開始時刻T0を特定する機能と、津波発生通知受信部15Cでの津波警報の受信に応じて初期潮位h0を計測した後、潮位の低下が確認された場合には、その後に潮位が上昇して初期潮位h0まで到達した時点を上昇開始時刻T0として特定する機能と、計測時刻Ti,Tjの到来に応じて潮位hi,hjを計測して記憶部14へ保存する機能とを有している。
【0044】
潮位検知装置20は、水中圧力式もしくは海面反射式等の検知器(潮位センサー)により、海面の高さ変位を計測する機能を有している。通常、潮位検知装置20は、沿岸部海岸近くの海中に設置され、津波規模予測装置10は海岸近くの陸上に設置される。なお、津波規模予測装置10のうち計測制御部15Dに関する機能部については、潮位検知装置20に隣接して沿岸部海岸近くの海中あるいはその海上に設置してもよく、潮位検知装置20と一体として構成してもよい。また、潮位検知装置20と津波規模予測装置10との間では、有線または無線の通信回線を介してデータ通信が行われる。
【0045】
津波規模計算部15Bは、データ取得部15Aにより取得した、異なる複数の計測時刻対における潮位ごとに、各時刻における予測最大潮位を計算する機能をさらに有している。
収束判定部15Eは、津波規模計算部15Bで計算した各時刻における予測最大潮位が予め設定されている収束条件を満たした時点で、これら予測最大潮位を代表する代表予測最大潮位を求める機能を有している。
【0046】
収束条件の具体例としては、計測時刻対Ti,Tjの潮位hi,hjから計算した時刻Tjでの予測最大潮位をAjとし、異なる計測時刻対Tm,Tn(但し、Ti<Tm)の潮位hm,hnから計算した時刻Tnでの予測最大潮位をAnとし、予測最大潮位の変動比に対するしきい値をdとした場合、次の式、(An−Aj)/An<dを収束条件とする。
本実施の形態にかかる津波規模予測装置10における、これら以外の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0047】
[第2の実施の形態の動作]
次に、図6を参照して、本実施の形態にかかる津波規模予測装置10の動作について説明する。図6は、第2の実施の形態にかかる津波規模予測装置の津波規模計算処理を示すフローチャートである。
【0048】
津波規模予測装置10の演算処理部15は、津波発生通知受信部15Cによる津波警報の受信に応じて、図6の津波規模予測処理を実行する。この際、津波警報の詳細を解釈する必要はなく、今後短時間のうちに当該地域沿岸部に津波が到達する可能性があるという信号のみ受信できればよい。津波規模予測装置10は、この津波警報をトリガーにして津波検知準備状態となる。津波の日本沿岸部に到達するまでの時間は震源地の位置に因るが、米国側の沿岸部で発生した場合などは、日本に到達するまでに数時間を要する。
【0049】
津波検知準備状態において、まず、計測制御部15Dは、予測対象となる沿岸部に設置された潮位検知装置20を制御して、津波による潮位上昇前における初期潮位h0を計測し(ステップ200)、以後、一定の計測間隔での新たな潮位hの計測を開始する(ステップ201)。
【0050】
潮位の計測については、津波の周期よりも短い計測誤差を抑制するため、複数回計測した潮位の平均値を採用してもよい。このような演算処理については、潮位検知装置20に搭載された機能を利用してもよく、計測制御部15Dで実行してもよい。特に、初期潮位h0については、予測精度の面で安定性が求められるため、複数計測した潮位の平均値を用いればよい。また、特に明記しないが、最大潮位の計算に用いる潮位については、上昇開始時刻T0における潮位がゼロとなるよう、初期潮位h0で正規化した潮位を用いるものとする。
【0051】
また、計測制御部15Dは、新たな潮位hを計測するごとに、初期潮位h0と比較することにより、潮位上昇の有無を確認し(ステップ202)、新たな潮位hが初期潮位h0より高くなり、潮位の上昇が認められた場合(ステップ202:YES)、新たな潮位hの計測時刻や潮位の計測間隔、さらにはこれら判断処理の所要時間などに基づいて、潮位の上昇開始時刻T0を特定する(ステップ206)。
【0052】
一方、ステップ202において、潮位の上昇が認められず(ステップ202:NO)、逆に、新たな潮位hが初期潮位h0より低くなり、潮位の低下が認められた場合(ステップ203:YES)、計測制御部15Dは、新たな潮位hを再計測する(ステップ204)。ここで、新たな潮位hが初期潮位h0に上昇していない場合(ステップ205:NO)、計測制御部15Dは、ステップ204へ戻って、新たな潮位hを再計測する。
【0053】
また、新たな潮位hが初期潮位h0まで上昇した場合(ステップ205:YES)、ステップ206へ移行して潮位の上昇開始時刻T0を特定する。
なお、ステップ203において、潮位の低下が認められない場合(ステップ203:NO)、計測制御部15Dは、ステップ201へ戻って、新たな潮位hを再計測する。
【0054】
このようにして、津波警報を受信した後、津波による潮位の上昇を確認し、上昇開始時刻T0を特定した後、津波規模予測装置10は、津波検知準備状態から津波規模計算動作へ移行する。
まず、計測制御部15Dは、上昇開始時刻T0を基準として等比間隔tを有する2つの計測時刻Ti,Tjを特定して(ステップ210)、潮位検知装置20を制御して、これら計測時刻Ti,Tjからなる計測時刻対における潮位hi,hjを計測し、記憶部14へ潮位データ14Aとして保存する(ステップ211)。
【0055】
次に、データ取得部15Aと津波規模計算部15Bは、前述した図4の津波規模計算処理を実行することにより、計測時刻Ti,Tjからなる計測時刻対における潮位hi,hjに基づいて、津波の予測最大潮位Ajと持続時間Ljを計算し(ステップ212)、得られた予測最大潮位Ajと持続時間Ljを記憶部14へ保存する(ステップ213)。
【0056】
この後、収束判定部15Eは、記憶部14に保存されている予測最大潮位Aが、予め設定されている収束条件を満たしているか確認する(ステップ214)。例えば、計測時刻対Ti,Tjの潮位hi,hjから計算した時刻Tjでの予測最大潮位をAjとし、異なる計測時刻対Tm,Tn(但し、Ti<Tm)の潮位hm,hnから計算した時刻Tnでの予測最大潮位をAnとし、予測最大潮位の変動比に対するしきい値をdとした場合、次の式、(An−Aj)/An<dが成立するかどうかにより、収束条件を満たしているか確認する。
【0057】
ここで、予測最大潮位Aが収束条件を満たしていない場合(ステップ214:NO)、ステップ210へ戻って次の計測時刻対における潮位hi,hjに基づく津波規模の計算を実行する。
【0058】
一方、予測最大潮位Aが収束条件を満たしている場合(ステップ214:YES)、記憶部14に保存されている予測最大潮位Aおよび持続時間Lから、これらを代表する代表予測最大潮位Axおよび代表持続時間Lxを特定し(ステップ215)、一連の津波規模予測処理を終了する。
【0059】
この際、代表予測最大潮位Axおよび代表持続時間Lxについては、例えば、前述の収束条件が満たされた時点における最新の予測最大潮位Aを代表する代表予測最大潮位Axとして特定してもよい。あるいは、収束条件の確認に用いた複数の予測最大潮位Aや、記憶部14に保存されている予測最大潮位Aのうち一定の基準を満たす予測最大潮位Aを選択し、これら予測最大潮位Aから統計処理して得られる平均値など統計値を代表予測最大潮位Axとして用いてもよい。なお、持続時間Lxについては、予測最大潮位Aと同様に特定すればよい。
【0060】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、発令された津波警報を津波発生通知受信部15Cにより受信し、計測制御部15Dにより、津波警報の受信後の潮位上昇の検出に応じて上昇開始時刻T0を特定し、計測時刻Ti,Tjの到来に応じて潮位hi,hjを計測して、記憶部14へ潮位データ14Aとして保存するようにしたので、オペレータ操作を必要とすることなく、発生した津波による潮位上昇を自動的に捉え、津波規模の予測に必要な潮位データを的確に計測することができる。
【0061】
また、本実施の形態では、計測制御部15Dにより、津波警報の受信に応じて初期潮位をh0計測した後、潮位hの低下が確認された場合には、その後に潮位hが上昇して初期潮位h0まで到達した時点を上昇開始時刻T0として特定するようにしたので、津波到達前に潮位が低下するような場合でも、初期潮位h0および上昇開始時刻T0を的確に特定することができ、高い精度で津波規模を予測することが可能となる。
【0062】
また、本実施の形態では、津波規模計算部15Bで、データ取得部15Aにより取得した、異なる複数の計測時刻対における潮位ごとに、各時刻における予測最大潮位Aを計算し、収束判定部15Eにより、これら予測最大潮位Aが予め設定されている収束条件を満たした時点で、これら予測最大潮位を代表する代表予測最大潮位を求めるようにしたので、高い精度で津波規模を予測することができる。
【0063】
通常、比較的長周期であって最大潮位の高い津波の場合、潮位計測の初期段階では最大潮位や持続時間が精度良くは定まらない場合が多く、津波規模の算出にある程度の時間を要する。しかしながら、最大潮位が高いため、このような津波については、最大潮位の計算精度よりも、津波の規模が大きくリスクが大きいことを早期に確認することが重要となる。したがって、複数の計測時刻対ごとに順次潮位を計算し、得られた最大潮位Aが一定レベルを超えて大きな値と分かった場合には、予測した津波規模に応じたリスクの通知を重要視して、ある程度の計算誤差を認めた上で、最大潮位を早期に算出することが望ましい。
【0064】
本実施の形態では、収束判定部15Eにおいて、計測時刻対Ti,Tjの潮位hi,hjから計算した時刻Tjでの予測最大潮位をAjとし、異なる計測時刻対Tm,Tn(但し、Ti<Tm)の潮位hm,hnから計算した時刻Tnでの予測最大潮位をAnとし、予測最大潮位の変動比に対するしきい値をdとした場合、次の収束条件式、(An−Aj)/An<dが成立した際の予測最大潮位Anを代表予測最大潮位とするようにしたので、通常レベルの津波については、高い精度で最大潮位を算出でき、最大潮位の高い津波については、早期に最大潮位を算出することができる。
【0065】
なお、収束条件としては、上記に限定されるものではない。例えば、計算により順次得られる予測最大潮位をAとし、予め設定した最大潮位しきい値をAthとした場合、次の収束条件式、A>Athが成立した際の予測最大潮位Aを代表予測最大潮位としてもよい。この最大潮位しきい値Athとして、地域において避難が必要な潮位を設定しておくことにより、最大潮位を早期に算出することができる。
【0066】
また、本実施の形態では、潮位検知装置20が1つの場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、複数の潮位検知装置20で計測した潮位を1つの津波規模予測装置10に集め、これら潮位検知装置20ごとの計測データに基づいて、潮位検知装置20ごとに予測最大潮位を計算してもよい。
この際、各潮位検知装置20については、沿岸部に沿って適当な間隔を置いて設置してもよく、これにより、沿岸部の広範囲にわたって津波規模を予測できる。また、各潮位検知装置20を沿岸部と直交する方向に並べて配置してもよく、これにより、同一の津波に関する津波規模を複数の潮位検知装置20で検知して予測することができ、津波の検知漏れを防ぎ、確実に津波の到着前兆を検知することが可能となる。
【0067】
[第3の実施の形態]
次に、図7を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる津波規模予測装置10について説明する。図7は、第3の実施の形態にかかる津波規模予測装置の構成を示すブロック図であり、前述の図5と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
【0068】
第2の実施の形態では、津波警報に応じて自動計測した潮位データ14Aに基づいて、津波規模を計算する場合について説明した。本実施の形態では、得られた津波規模に応じたリスク警報を通知する場合について説明する。
【0069】
本実施の形態にかかる津波規模予測装置10の演算処理部15には、第2の実施の形態に加えて、リスク判定部15Fとリスク警報通知部15Gとが設けられている。
リスク判定部15Fは、記憶部14に予め保存されているリスク判定基準情報に基づいて、津波規模計算部15Bで計算された津波規模から想定される津波により生じるリスク(危険性)を判定する機能を有している。
【0070】
リスク警報通知部15Gは、リスク判定部15Fで判定されたリスクの内容と予測した津波規模とを含むリスク警報を、画面表示部13に画面表示し、さらには通信I/F部11およびデータ通信網を介して、地域の自治体などの関係機関、防災無線スピーカー、さらには気象庁などの公共機関に対して通知する機能を有している。
本実施の形態にかかる津波規模予測装置10における、これら以外の構成については、第2の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0071】
[第3の実施の形態の動作]
次に、本実施の形態にかかる津波規模予測装置10の動作について説明する。
本実施の形態にかかる津波規模予測装置10の演算処理部15は、第2の実施の形態で説明した図6の津波規模予測動作を実行する。
リスク判定部15Fは、記憶部14に予め保存されているリスク判定基準情報に基づいて、上記津波規模予測動作で計算された代表予測最大潮位と対応するリスク内容を選択することにより、代表予測最大潮位から想定される津波により生じるリスクを判定する。
【0072】
図8は、リスク判定基準情報の構成例である。ここでは、最大潮位の範囲ごとに、一般的な発令種別と、津波のリスク内容とが登録されている。具体的には、最大潮位が0.5mまでの津波については津波注意報が発令され、リスク内容として「危険なし」が登録されている。また、最大潮位が0.5mから2mまでの範囲の津波については津波警報が発令され、リスク内容として「海岸から避難」が登録されている。また、最大潮位が3m以上の津波については大津波警報が発令され、リスク内容として「高台へ避難」が登録されている。
【0073】
リスク警報通知部15Gは、リスク判定部15Fで判定されたリスク内容と、代表予測最大潮位および代表予測持続時間とを含むリスク警報メッセージを作成し、画面表示部13に画面表示し、さらには通信I/F部11およびデータ通信網を介して、予め設定されている警報通知先、例えば、地域の自治体などの関係機関、防災無線スピーカー、さらには気象庁などの公共機関に対して通知する。
【0074】
[第3の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、リスク判定部15Fにより、記憶部14に予め保存されているリスク判定基準情報に基づいて、津波規模計算部15Bで計算された津波規模から想定される津波により生じるリスクを判定し、リスク警報通知部15Gにより、リスク判定部15Fで判定されたリスクの内容と予測した津波規模とを含むリスク警報を通知するようにしたので、発生した津波のリスクと規模を具体的かつ正確に通知することができ、地域住民が取るべき避難行動や、防災管理者が取るべき対応策を、的確に示すことが可能となる。
【0075】
一般に、津波に関する警報や注意報は、予測される最大潮位を基準として、前述した図8のように3段階に定められているが、大まかな過大予測を前提にしているため、津波が実際に沿岸部に到達した時には、予報どおりの津波でないことがしばしばである。また、最大潮位は、日本の沿岸部を複数の津波予報区に分けて予測しており、その津波予報区に含まれる各地点のうち最も高い予測最大潮位がその津波予報区の最大潮位として発表される。このため、同一津波予報区であっても各地点での最大潮位に比較的大きな誤差が生じる原因にもなっている。
【0076】
本実施の形態によれば、潮位検知装置20で計測した潮位変化に応じて津波の最大潮位を計算しているため、極めて誤差が少ない。また、潮位検知装置20が設置されている沿岸部における津波の最大潮位を精度良く予測できるため、津波予報区ごとに発表される最大潮位のように各地点間の誤差もない。このため、地域に応じたリスク警報を極めて正確に通知することができる。
【0077】
また、本発明による津波規模予測は正確であるため、図8に示したような3段階のリスク内容ではなく、最大潮位でより細かくリスク内容を特定することもできる。特に、地域の地形や津波防災設備などに応じたリスク内容を設定すれば、避難行動の内容とその要否を適切に判定して通知することも可能となる。
【0078】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0079】
10…津波規模予測装置、11…通信I/F部、12…操作入力部、13…画面表示部、14…記憶部、14A…潮位データ、14P…プログラム、15…演算処理部、15A…データ取得部、15B…津波規模計算部、15C…津波発生通知受信部、15D…計測制御部、15E…収束判定部、15F…リスク判定部、15G…リスク警報通知部、20…潮位検知装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各時刻に計測した潮位を示す潮位データを記憶する記憶部と、
津波による潮位の上昇開始時刻を基準として等比間隔を有する2つの計測時刻からなる計測時刻対における潮位を、前記記憶部の潮位データから取得するデータ取得部と、
取得した前記潮位の比と津波の角周波数との関係を示す潮位比特性式に基づいて、津波の予測最大潮位を計算する津波規模計算部と
を備え、
前記津波規模計算部は、前記上昇開始時刻をT0とし、前記計測時刻をTi,Tj(但し、Ti−T0=Tj−Ti=t)とし、これら計測時刻Ti,Tjにおける潮位をhi,hjとし、津波の角周波数をωとした場合、次の潮位比特性式、hj/hi=2cos(ω・t)に基づき角周波数ωを計算し、次の式、A=hi/sin(ω・t)に基づき予測最大潮位Aを計算する
ことを特徴とする津波規模予測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の津波規模予測装置において、
発令された津波警報を受信する津波発生通知受信部と、
前記津波警報の受信後の潮位上昇の検出に応じて前記上昇開始時刻T0を特定し、前記計測時刻Ti,Tjの到来に応じて前記潮位hi,hjを計測して前記記憶部へ保存する計測制御部と
をさらに備えることを特徴とする津波規模予測装置。
【請求項3】
請求項2に記載の津波規模予測装置において、
前記計測制御部は、前記潮位上昇の検出に代えて、前記津波警報の受信に応じて初期潮位を計測した後、前記潮位の低下が確認された場合には、その後に前記潮位が上昇して前記初期潮位まで到達した時点を前記上昇開始時刻T0として特定することを特徴とする津波規模予測装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の津波規模予測装置において、
前記津波規模計算部は、前記データ取得部により取得した、異なる複数の計測時刻対における潮位ごとに、各時刻における前記予測最大潮位を計算し、
前記津波規模計算部で計算した各時刻における予測最大潮位が予め設定されている収束条件を満たした時点で、これら予測最大潮位を代表する代表予測最大潮位を求める収束判定部をさらに備える
ことを特徴とする津波規模予測装置。
【請求項5】
請求項4に記載の津波規模予測装置において、
前記収束判定部は、前記計測時刻対Ti,Tjの潮位hi,hjから計算した時刻Tjでの予測最大潮位をAjとし、異なる計測時刻対Tm,Tn(但し、Ti<Tm)の潮位hm,hnから計算した時刻Tnでの予測最大潮位をAnとし、予測最大潮位の変動比に対するしきい値をdとした場合、次の収束条件式、(An−Aj)/An<dが成立した際の予測最大潮位Anを前記代表予測最大潮位とすることを特徴とする津波規模予測装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の津波規模予測装置において、
前記記憶部に予め保存されているリスク判定基準情報に基づいて、前記津波規模計算部で計算された前記予測最大潮位から想定される津波のリスクを判定するリスク判定部と、
前記リスクと前記津波規模計算部で計算された前記予測最大潮位を含むリスク警報メッセージを警報通知先へ通知するリスク警報通知部と
をさらに備えることを特徴とする津波規模予測装置。
【請求項7】
計測した潮位を示す潮位データに基づいて、津波の規模を予測する津波規模予測装置で用いられる津波規模予測方法であって、
記憶部が、各時刻に計測した潮位を示す潮位データを記憶する記憶ステップと、
データ取得部が、津波による潮位の上昇開始時刻を基準として等比間隔を有する2つの計測時刻からなる計測時刻対における潮位を、前記記憶部の潮位データから取得するデータ取得ステップと、
津波規模計算部が、取得した前記潮位の比と津波の角周波数との関係を示す潮位比特性式に基づいて、津波の予測最大潮位を計算する津波規模計算ステップと
を備え、
前記津波規模計算ステップは、前記上昇開始時刻をT0とし、前記計測時刻をTi,Tj(但し、Ti−T0=Tj−Ti=t)とし、これら計測時刻Ti,Tjにおける潮位をhi,hjとし、津波の角周波数をωとした場合、次の潮位比特性式、hj/hi=2cos(ω・t)に基づき角周波数ωを計算し、次の式、A=hi/sin(ω・t)に基づき予測最大潮位Aを計算するステップを含む
ことを特徴とする津波規模予測方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の津波規模予測装置を構成する各部として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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