説明

活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ

【課題】重ね塗り性に優れた活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ組成物の印刷方法及びそのインキセットを提供することを課題とする。
【解決手段】
2種類以上の脂環式、またはヘテロ環式、または芳香環式単官能モノマーを含有する活性エネルギー線硬化型インクジェットクリアインキ組成物(1)を用いて基材にクリア塗膜を形成後、該塗膜の上に2種類以上の脂環式、またはヘテロ環式、または芳香環式単官能モノマーを含有する活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ組成物(2)を用いて印刷塗膜を形成する活性エネルギー線硬化型インク組成物の重ね印字方法であって、各層の基材に対する接触角の間に一定の関係が成立することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ及びその印刷方法及びそのインキセット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な印字品質を得ることが出来る活性エネルギー線硬化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、耐水性の良好なインクジェットインキとしては、油溶性染料を高沸点溶剤に分散ないし溶解したもの、油溶性染料を揮発性の溶剤に溶解したものがあるが、染料は耐光性等の諸耐性で顔料に劣るため、着色剤として顔料を用いたインキが望まれている。しかしながら、顔料を安定して有機溶剤に分散することは困難であり、安定な分散性および吐出性を確保することも難しい。一方、高沸点溶剤を用いたインキは、非吸収性の受像体においては、インキ中の溶剤が揮発せず、溶剤の蒸発による乾燥は困難なので、非吸収性の基材への印字は不可能である。
揮発性の有機溶剤を用いたインキにおいては、使用する樹脂の密着性および溶剤の揮発によって非吸収性の基材においても良好な印字を形成することができる。しかしながら、揮発性の溶剤がインキの主成分となるためヘッドのノズル面において溶剤の揮発による乾燥が非常に早く、頻繁なメンテナンスを必要とする。また、インキは本質的に溶剤に対する再溶解性が必要とされるため、溶剤に対する耐性が十分得られないことがある。
このような特性を満足させるため、揮発性のないモノマー類を使用して、ヘッドでの乾燥を防ぎ、その一方、活性エネルギー線を与えることで硬化させる型のインキの利用もおこなわれている。活性エネルギー線硬化型インクジェットインキとしては、特許文献1ないし特許文献5において記載されているが、何れのインキもポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ガラス、アクリルに直接印刷すると密着性が低く、また基材に対する濡れ性が悪いため実用上適さないものばかりであった。
更に、活性エネルギー線硬化型インクジェットインキは、ガラス、プラスチック、および金属などの非吸収性の基材に印刷することができる特徴を有するが、着弾したインクの濡れ性が不十分な場合は、基材上でインキがハジキを生じ、画像の鮮明さに問題が生じる。
また、形成された画像への光沢の付加、また画像の太陽光や薬品等からの保護を目的としクリアインクでオーバーコートする事があるが、その場合においても、画像面に対するクリアインクの濡れ性が不十分である場合は、画像塗膜に対しクリアインクがハジキを起こし、オーバーコートとしての所望の効果が得られない。あるいは、インキの密着性を向上させる目的として、クリアインキでアンダーコートする事があるが、その場合においても、アンダーコート面に対するインキの濡れ性が不十分である場合は、インキアンダーコート塗膜に対してインキがはじきを起こし、アンダーコートとしての所望の効果が得られ無い。従来、インキの濡れ性はインキ自身の表面張力で規定していたが、筆者らは鋭意研究の結果、インキの基材に対する接触角が支配的な因子であることが見出された。
【特許文献1】特開平5−214280号公報
【特許文献2】特開平9−183929号公報
【特許文献3】特開2006−181801号公報
【特許文献4】特表2004−518787号公報
【特許文献5】特許第3619778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、良好な印字品質を得ることが出来る活性エネルギー線硬化型インクジェットインキの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち本発明は、2種類以上の脂環式、またはヘテロ環式、または芳香環式単官能モノマーを含有する活性エネルギー線硬化型インクジェットクリアインキ組成物(1)を用いて基材にクリア塗膜を形成後、該塗膜の上に2種類以上の脂環式、またはヘテロ環式、または芳香環式単官能モノマーを含有する活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ組成物(2)を用いて印刷塗膜を形成し、該印刷塗膜の上に2種類以上の脂環式、またはヘテロ環式、または芳香環式単官能モノマーを含有する活性エネルギー線硬化型インクジェットクリアインキ組成物(3)を用いてクリア塗膜を形成する活性エネルギー線硬化型インク組成物の重ね印字方法であって、下層に印字する活性エネルギー線硬化型インクジェットクリアインキ組成物(1)の基材に対する接触角CA1(度)と、中間層に印字する活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ組成物(2)の基材に対する接触角CA2(度)、上層に印字する活性エネルギー線硬化型インクジェットクリアインキ組成物(3)の基材に対する接触角CA3(度)との間に、
CA3≦CA2≦CA1
の関係が成立することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ組成物を用いてインクジェット印刷する印刷方法及びそのインキセットに関する。
更に、基材上に該活性エネルギー線硬化硬化型インクジェットインキセットで画像形成した後、該インキセットを活性エネルギー線で硬化してなる印刷物に関する。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、はじきがなく、かつ吐出安定性が良好で、硬化性に優れ、インク非吸収性媒体上に形成された硬化皮膜の溶剤耐性や密着性に優れた活性エネルギー線硬化型インクジェットインキを提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明による活性エネルギー線硬化型硬化型インクジェットインキでは、各種基材上へのインキジェット吐出後の硬化塗膜において、基材への密着だけでなく、基材に対するはじきや滲みがない印刷物の美粧性を有するための組成として 環状構造を有するモノマーを含有し、かつインキの基材に対する濡れ性を調整することを特徴とする。
【0007】
環状構造を有する単官能モノマーとしては具体的に、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、メチルフェノキシエチルアクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリブロモフェニルアクリレート、エトキシ化トリブロモフェニルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート(あるいは、そのエチレンオキサイド並び/またはプロピレンオキサイド付加モノマー)、アクリロイルモルホリン、イソボルニルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、1、4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミドを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0008】
脂環式単官能モノマーとしては、シクロヘキシルアクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、1、4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0009】
ヘテロ環式単官能モノマーとしては、テトラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、アクリロイルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミドを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0010】
芳香環式単官能モノマーとしては、ベンジルアクリレート、メチルフェノキシエチルアクリレート、トリブロモフェニルアクリレート、エトキシ化トリブロモフェニルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート(あるいは、そのエチレンオキサイド並び/またはプロピレンオキサイド付加モノマー)、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0011】
さらにこの中でもインキジェット適性が高いモノマーとして、シクロヘキシルアクリレート、メチルフェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート(あるいは、そのエチレンオキサイド並び/またはプロピレンオキサイド付加モノマー)、イソボルニルアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、1、4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミドをより好適に用いることができる。
【0012】
またさらに、安全性や塗膜性能の面から、メチルフェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート(あるいは、そのエチレンオキサイド並び/またはプロピレンオキサイド付加モノマー)、イソボルニルアクリレート、N−ビニルカプロラクタム、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、1、4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートをより好適に用いることができる。
【0013】
これら化合物は、一種または必要に応じて二種以上用いてもよい。
これら環状構造を有する化合物をインキ中に配合すると、密着性が向上する。原理は定かではないが、環構造部分が面で基材と密着し、VanDerWaars力の上昇により、密着性が向上すると考えられる。
【0014】
これら環状構造を有する単官能モノマーをインキ中20重量%以上97重量%以下であることが望ましい。20重量%以下であると、インキの粘度が高くなってしまいインクジェットで吐出が出来なくなってしまう。また97重量%より多く含むと、活性エネルギー線での硬化が悪くなってしまい実用上適さないものとなってしまう。
【0015】
さらに、環状構造を有しないモノマーを必要に応じて使用することができる。
【0016】
環状構造を有しない単官能モノマーとして、具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、β-カルボキシルエチルアクリレート、エチルジグリコールアクリレート、トリメチロールプロパンフォルマルモノアクリレート、イミドアクリレート、イソアミルアクリレート、エトキシ化コハク酸アクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、N-ビニルホルムアミドを挙げることができるが、これに限定されるものではない。これら化合物は、一種または必要に応じて二種以上用いてもよい。
【0017】
2官能モノマーとしては具体的に、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジアクリレート、ネオペンチルグリコールオリゴアクリレート、1,4−ブタンジオールオリゴアクリレート、1,6−ヘキサンジオールオリゴアクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ジメチロールートリシクロデカンジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールFジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート、イソシアヌル酸ジアクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸ジアクリレートなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。これら化合物は、一種または必要に応じて二種以上用いてもよい。
【0018】
環状構造を有する2官能モノマーとしては具体的に、ビスフェノールAジアクリレート、ジメチロールートリシクロデカンジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールFジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート、イソシアヌル酸ジアクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸ジアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸ジアクリレートを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
脂環式2官能モノマーとしては、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレートを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0019】
ヘテロ環式2官能モノマーとしては、イソシアヌル酸ジアクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸ジアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸ジアクリレートを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0020】
芳香環式2官能モノマーとしては、ビスフェノールAジアクリレート、ジメチロールートリシクロデカンジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールFジアクリレートを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0021】
さらにこの中でもインキジェット適性が高いモノマーとして、ビスフェノールAジアクリレー、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールFジアクリレート、イソシアヌル酸ジアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸ジアクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸ジアクリレートをより好適に用いることができる。
これら環状構造を有する化合物をインキ中に配合すると、密着性が向上する。原理は定かではないが、環構造部分が面で基材と密着し、VanDerWaars力の上昇により、密着性が向上すると考えられる。単官能モノマー、2官能モノマーにおいて、2種類以上の脂環式、またはヘテロ環式、または芳香環式モノマーを用いることで、基材への密着性が更に向上する。これら、脂環式、またはヘテロ環式、または芳香環式モノマーはインキ中で50重量%以上99重量%以下であることが好ましい。
【0022】
これら2官能モノマーはインキ中で3重量%以上80重量%未満であることが望ましい。3重量%以下であると、活性エネルギー線での硬化が悪くなってしまい実用上適さないものとなってしまう。また90重量%より多く含むと、インキの粘度が高くなってしまいインクジェットで吐出が出来なくなってしまう。
【0023】
本発明のインクジェットインキには、上記以外にオリゴマー、プレポリマーと呼ばれるものを使用できる。具体的には、ダイセルUCB社製「Ebecryl230、244、245、270、280/15IB、284、285、4830、4835、4858、4883、8402、8803、8800、254、264、265、294/35HD、1259、1264、4866、9260、8210、1290.1290K、5129、2000、2001、2002、2100、KRM7222、KRM7735、4842、210、215、4827、4849、6700、6700−20T、204、205、6602、220、4450、770、IRR567、81、84、83、80、657、800、805、808、810、812、1657、1810、IRR302、450、670、830、835、870、1830、1870、2870、IRR267、813、IRR483、811、436、438、446、505、524、525、554W、584、586、745、767、1701、1755、740/40TP、600、601、604、605、607、608、609、600/25TO、616、645、648、860、1606、1608、1629、1940、2958、2959、3200、3201、3404、3411、3412、3415、3500、3502、3600、3603、3604、3605、3608、3700、3700−20H、3700−20T、3700−25R、3701、3701−20T、3703、3702、RDX63182、6040、IRR419」、サートマー社製「CN104、CN120、CN124、CN136、CN151、CN2270、CN2271E、CN435、CN454、CN970、CN971、CN972、CN9782、CN981、CN9893、CN991」、BASF社製「Laromer EA81、LR8713、LR8765、LR8986、PE56F、PE44F、LR8800、PE46T、LR8907、PO43F、PO77F、PE55F、LR8967、LR8981、LR8982、LR8992、LR9004、LR8956、LR8985、LR8987、UP35D、UA19T、LR9005、PO83F、PO33F、PO84F、PO94F、LR8863、LR8869、LR8889、LR8997、LR8996、LR9013、LR9019、PO9026V、PE9027V」、コグニス社製「フォトマー3005、3015、3016、3072、3982、3215、5010、5429、5430、5432、5662、5806、5930、6008、6010、6019、6184、6210、6217、6230、6891、6892、6893−20R、6363、6572、3660」、根上工業社製「アートレジンUN−9000HP、9000PEP、9200A、7600、5200、1003、1255、3320HA、3320HB、3320HC、3320HS、901T、1200TPK、6060PTM、6060P」、日本合成化学社製「紫光 UV−6630B、7000B、7510B、7461TE、3000B、3200B、3210EA、3310B、3500BA、3520TL、3700B、6100B、6640B、1400B、1700B、6300B、7550B、7605B、7610B、7620EA、7630B、7640B、2000B、2010B、2250EA、2750B」、日本化薬社製「カヤラッドR−280、R−146、R131、R−205、EX2320,R190、R130、R−300,C−0011、TCR−1234、ZFR−1122、UX−2201,UX−2301,UX3204、UX−3301、UX−4101,UX−6101、UX−7101、MAX−5101、MAX−5100,MAX−3510、UX−4101」等が挙げられる。
また、インキの低粘度化、及び基材への濡れ広がり性を向上させるために、インキ中に有機溶剤を含有させてもよい。
有機溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート、ジエチルジグリコール、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルブチレート、エチレングリコールモノエチルエーテルブチレート、エチレングリコールモノブチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルブチレート、プロピレングリコールモノメチルエーテルブチレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルブチレート等のグリコールモノアセテート類、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールアセテートプロピオネート、エチレングリコールアセテートブチレート、エチレングリコールプロピオネートブチレート、エチレングリコールジプロピオネート、エチレングリコールアセテートジブチレート、ジエチレングリコールアセテートプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールプロピオネートブチレート、ジエチレングリコールジプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートジブチレート、プロピレングリコールアセテートプロピオネート、プロピレングリコールアセテートブチレート、プロピレングリコールプロピオネートブチレート、プロピレングリコールジプロピオネート、プロピレングリコールアセテートジブチレート、ジプロピレングリコールアセテートプロピオネート、ジプロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールプロピオネートブチレート、ジプロピレングリコールジプロピオネート、ジプロピレングリコールアセテートジブチレート等のグリコールジアセテート類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル等の乳酸エステル類があげられる。この中でも、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチルジグリコールが好ましい。
【0024】
本発明で示される活性エネルギー線硬化型インクジェットインキとは、着色成分を含まないクリアインキの場合、コーティング用途としても用いることができ、また、着色成分を含有する場合、グラフィックや、文字、写真などを表示する材料として用いることができる。この着色成分としては、従来、染料や顔料が広く使用されているが、特に耐候性の面から顔料を用いる場合が多い。顔料成分としては、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無彩色の顔料または有彩色の有機顔料が使用できる。有機顔料としては、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー、ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの溶性アゾ顔料、アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系有機顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系有機顔料、ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系有機顔料、イソインドリノンエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系有機顔料、ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系有機顔料、チオインジゴ系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、キノフタロンエローなどのキノフタロン系有機顔料、イソインドリンエローなどのイソインドリン系有機顔料、その他の顔料として、フラバンスロンエロー、アシルアミドエロー、ニッケルアゾエロー、銅アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。
【0025】
有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで例示すると、C.I.ピグメントエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86 93、109、110、117、120、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、177、180、192、202、206、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が挙げられる。
【0026】
カーボンブラックの具体例としては、デグサ社製「Special Black350、250、100、550、5、4、4A、6」「PrintexU、V、140U、140V、95、90、85、80、75、55、45、40、P、60、L6、L、300、30、3、35、25、A、G」、キャボット社製「REGAL400R、660R、330R、250R」「MOGUL E、L」、三菱化学社製「MA7、8、11、77、100、100R、100S、220、230」「#2700、#2650、#2600、#200、#2350、#2300、#2200、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#900、#850、#750、#650、#52、#50、#47、#45、#45L、#44、#40、#33、#332、#30、#25、#20、#10、#5、CF9、#95、#260」等が挙げられる。
酸化チタンの具体例としては、石原産業社製「タイペークCR−50、50−2、57、80、90、93、95、953、97、60、60−2、63、67、58、58−2、85」「タイペークR−820,830、930、550、630、680、670、580、780、780−2、850、855」「タイペークA−100、220」「タイペークW−10」「タイペークPF−740、744」「TTO−55(A)、55(B)、55(C)、55(D)、55(S)、55(N)、51(A)、51(C)」「TTO−S−1、2」「TTO−M−1、2」、テイカ社製「チタニックスJR−301、403、405、600A、605、600E、603、805、806、701、800、808」「チタニックスJA−1、C、3、4、5」、デュポン社製「タイピュアR−900、902、960、706、931」等が挙げられる。
【0027】
上記顔料の中で、キナクリドン系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、イソインドリノン系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、キノフタロン系有機顔料、イソインドリン系有機顔料等は耐光性が優れているため好ましい。 有機顔料は、レーザー散乱による測定値で平均粒径10〜150nmの微細顔料であることが好ましい。顔料の平均粒径が10nm未満の場合は、粒径が小さくなることによる耐光性の低下が生じ、150nmを越える場合は、分散の安定維持が困難になり、顔料の沈澱が生じやすくなる。
【0028】
有機顔料の微細化は下記の方法で行うことができる。すなわち、有機顔料、有機顔料の3重量倍以上の水溶性の無機塩および水溶性の溶剤の少なくとも3つの成分からなる混合物を粘土状の混合物とし、ニーダー等で強く練りこんで微細化したのち水中に投入し、ハイスピードミキサー等で攪拌してスラリー状とする。次いで、スラリーの濾過と水洗を繰り返して、水溶性の無機塩および水溶性の溶剤を除去する。微細化工程において、樹脂、顔料分散剤等を添加してもよい。
【0029】
水溶性の無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられる。これらの無機塩は、有機顔料の3重量倍以上、好ましくは20重量倍以下の範囲で用いる。無機塩の量が3重量倍よりも少ないと、所望の大きさの処理顔料が得られない。また、20重量倍よりも多いと、後の工程における洗浄処理が多大であり、有機顔料の実質的な処理量が少なくなる。
【0030】
水溶性の溶剤は、有機顔料と破砕助剤として用いられる水溶性の無機塩との適度な粘土状態をつくり、充分な破砕を効率よく行うために用いられ、水に溶解する溶剤であれば特に限定されないが、混練時に温度が上昇して溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から沸点120〜250℃の高沸点の溶剤が好ましい。水溶性溶剤としては、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、低分子量ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0031】
本発明において顔料は、十分な濃度および十分な耐光性を得るため、組成物中に3〜30重量%の範囲で含まれることが好ましい。
本発明では、顔料の分散性およびインキの保存安定性を向上させるために顔料分散剤を添加するのが好ましい。顔料分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート等を用いることができる。
顔料分散剤の具体例としては、BYK Chemie社製「Anti−Terra−U(ポリアミノアマイド燐酸塩)」、「Anti−Terra−203/204(高分子量ポリカルボン酸塩)」、「Disperbyk−101(ポリアミノアマイド燐酸塩と酸エステル)、107(水酸基含有カルボン酸エステル)、110、111(酸基を含む共重合物)、130(ポリアマイド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「400」、「Bykumen」(高分子量不飽和酸エステル)、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸)」、「P104S、240S(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン系)」、「Lactimon(長鎖アミンと不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン)」が挙げられる。
また、Efka CHEMICALS社製「エフカ44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766」、「エフカポリマー100(変性ポリアクリレート)、150(脂肪族系変性ポリマー)、400、401、402、403、450、451、452、453(変性ポリアクリレート)、745(銅フタロシアニン系)」、共栄社化学社製「フローレン TG−710(ウレタンオリゴマー)、「フローノンSH−290、SP−1000」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合物)」、楠本化成社製「ディスパロン KS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」が挙げられる。
さらに、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、EP」、「ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子)、「エマルゲン920、930、931、935、950、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)、「アセタミン24(ココナッツアミンアセテート)、86(ステアリルアミンアセテート)」、アビシア社製「ソルスパース5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、13940(ポリエステルアミン系)、17000(脂肪酸アミン系)、24000GR、32000、33000、39000、41000、53000」、日光ケミカル社製「ニッコール T106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)、Hexagline 4−0(ヘキサグリセリルテトラオレート)」、味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821、822、824」等が挙げられる。
顔料分散剤は組成物中に0.1〜10重量%含まれることが好ましい。
本発明の組成物には、顔料の分散性およびインキの保存安定性をより向上させるために、有機顔料の酸性誘導体を顔料の分散時に配合することが好ましい。
本発明で用いる活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ組成物において、お互いの濡れ性を良好とし、重ね塗り特性に優れた特徴をもたせる為に、インクの濡れ性 が所定の関係に調整されている事が必要である。
すなわち下層塗膜を形成する活性エネルギー線硬化型インクジェットクリアインク組成物(1)の基材に対する濡れ性(CA1)と、その上層に塗布される活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物(2)の基材に対する接触角(CA2)と、更にその上層に塗布される活性エネルギー線硬化型インクジェットクリアインキ組成物(3)の基材に対する接触角(CA3)の間において、
CA3≦CA2≦CA1
の関係を満たすことで、はじきのない鮮明な画像を印刷することが出来る。しかし、用途によって、用いるインキが(1)(2)だけの場合、(2)(3)だけの場合、あるいは(1)(2)(3)の場合などがあるため、それぞれの関係は、
CA2≦CA1、CA3≦CA2、CA3≦CA2≦CA1
でなければならない。
このように各インキの基材に対する接触角の関係を規定することによって種々の着色インクをハジキなく重ね塗りする場合に、お互いに濡れ性を保つことができ、鮮明なカラー画像を得ることができる。なお本願発明においてインク組成物の基材に対する接触角は、25℃において協和界面科学社製の接触角測定器(DropMaster)で測定した値を用いるものとする。
【0032】
本発明の組成物には、インキの基材に対する接触角を調整させるために表面調整剤を加えてもよい。表面調整剤の具体例としては、ビックケミー社製「BYK−300、302、306、307、310、315、320、322、323、325、330、331、333、337、340、344、370、375、377、350、352、354、355、356、358N、361N、357、390、392、UV3500、UV3510、UV3570」テゴケミー社製「Tegorad−2100,2200、2250、2500、2700」等が挙げられるがこれに限定されるものではない。これら表面調整剤は、一種または必要に応じて二種以上用いてもよい。
表面調整剤は組成物中に、本願発明に規定する特定の関係を満たすために0.001〜1重量%含まれることが好ましい。
また、インキの基材に対する接触角を調整させるために、上記表面調整剤を用いる以外に、インキに有機溶剤を添加したり、インキに低表面張力のモノマーを使用したりすることでも対応は可能である。低表面張力のモノマーとしては、イソボロニルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソデシルアクリレート、オクチル/デシルアクリレート、3、3、5−トリメチル−シクロヘキシルアクリレートが挙げられる。
【0033】
本発明で説明する活性エネルギー線とは、電子線、紫外線、赤外線などの被照射体の電子軌道に影響を与え、ラジカル、カチオン、アニオンなどの重合反応の引き金と成りうるエネルギー線を示すが、重合反応を誘発させるエネルギー線であれば、これに限定しない。
本発明において活性エネルギー線として紫外線を使用するときは、光ラジカル重合開始剤をインキ中に配合する。光ラジカル重合開始剤としては、分子開裂型または水素引き抜き型のものが本発明に好適である。具体例としては、ベンゾインイソブチルエーテル、2、4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2,4、6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2、4、6−ジメトキシベンゾイル)−2、4、4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、1,2−オクタンジオン、1−(4−(フェニルチオ)−2,2−(O−ベンゾイルオキシム))等が好適に用いられ、さらにこれら以外の分子開裂型のものとして、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンおよび2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を併用しても良いし、さらに水素引き抜き型光重合開始剤である、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチル−ジフェニルスルフィド等も併用できる。
また上記光ラジカル重合開始剤に対し、増感剤として例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミンおよび4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の、前述重合性成分と付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。もちろん、上記光ラジカル重合開始剤や増感剤は、紫外線硬化性化合物への溶解性に優れ、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いることが好ましい。
光ラジカル重合開始剤と増感剤は紫外線硬化性組成物総量に対して0.1〜20質量%,好ましくは,4〜12質量%の範囲で用いる。
【0034】
本発明のインクジェットインキには、インキの経時での安定性、記録装置内での機上の安定性を高めるため、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、ピロガロール、ブチルヒドロキシトルエン等の重合禁止剤をインキ中0.01〜5重量%配合することが好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェットインキは可塑剤、紫外線防止剤、光安定化剤、酸化防止剤等の種々の添加剤を使用することができる。
【0035】
本発明のインクジェットインキは、モノマー、顔料分散剤と共に、顔料をサンドミル等の通常の分散機を用いてよく分散することにより製造される。予め顔料高濃度の濃縮液を作成しておいてモノマーで希釈することが好ましい。通常の分散機による分散においても充分な分散が可能であり、このため、過剰な分散エネルギーがかからず、多大な分散時間を必要としないため、インキ成分の分散時の変質を招きにくく、安定性に優れたインキが調製される。インキは、孔径3μm以下さらには、1μ以下のフィルターにて濾過することが好ましい。
【0036】
本発明のインクジェットインキは、25℃での粘度が5〜50mPa・sと高めに調整することが好ましい。25℃での粘度が5〜50mPa・sのインキは、特に通常の4〜10KHzの周波数を有するヘッドから、10〜50KHzの高周波数のヘッドにおいても安定した吐出特性を示す。
【0037】
粘度が5mPa・s未満の場合は、高周波数のヘッドにおいて、吐出の追随性の低下が認められ、50mPa・sを越える場合は、加熱による粘度の低下機構をヘッドに組み込んだとしても吐出そのものの低下を生じ、吐出の安定性が不良となり、全く吐出できなくなる。
【0038】
また、本発明のインクジェットインキは、ピエゾヘッドにおいては、10μS/cm以下の電導度とし、ヘッド内部での電気的な腐食のないインキとすることが好ましい。また、コンティニュアスタイプにおいては、電解質による電導度の調整が必要であり、この場合には、0.5mS/cm以上の電導度に調整する必要がある。
【0039】
本発明のインクジェットインキを使用するには、まずこのインクジェットインキをインクジェット記録方式用プリンターのプリンタヘッドに供給し、このプリンタヘッドから基材上に吐出し、その後紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射する。これにより印刷媒体上の組成物は速やかに硬化する。
【0040】
なお、活性エネルギー線の光源としては、紫外線を照射する場合には、例えば高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、紫外線レーザー、および太陽光を使用することができる。電子線により硬化させる場合には、通常300eV以下のエネルギーの電子線で硬化させるが、1〜5Mradの照射量で瞬時に硬化させることも可能である。
【0041】
本発明で用いられる印刷基材には、特に限定はないが、ポリカーボネート、硬質塩ビ、軟質塩ビ、ポリスチレン、発砲スチロール、PMMA、ポリプロピレン、ポリエチレン、PETなどのプラスチック基材やこれら混合または変性品、並びにガラス、ステンレスなどの金属基材、木材などが挙げられる。
【0042】
[実施例]
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に特に限定されるものではない。なお、実施例中、「部」は「重量部」を表す。
【0043】
まず、下記のような配合で顔料分散体Aを作成した。以下分散体は、モノマーに顔料および分散剤を投入し、ハイスピードミキサー等で均一になるまで撹拌後、得られたミルベースを横型サンドミルで約1時間分散して作成した。
・ソルスパース32000(アビシア社製 顔料分散剤) 9.0部
・フェノキシエチルアクリレート 61.0部
【0044】
[実施例1]
下記配合処方にてインキ化し、ポリカーボネートに対する接触角が33度(表面張力32.4mN/m)のインクジェットクリアインキを得た。
・2−フェノキシエチルアクリレート 71.9部
・N−ビニルカプロラクタム 15.0部
・ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート 5.0部
・エサキュアONE(ランベルティ社製 光ラジカル重合開始剤) 3.0部
・ルシリンTPO(BASF社製 光ラジカル重合開始剤) 5.0部
・ブチルヒドロキシトルエン 0.1部
【0045】
[実施例2]
上記顔料分散体を下記配合処方にてインキ化し、ポリカーボネートに対する接触角が25度(表面張力22.5mN/m)のインクジェットインキを得た。
・顔料分散体A 11.4部
・2−フェノキシエチルアクリレート 13.8部
・N−ビニルカプロラクタム 30.0部
・BYK UV3510(BYK Chemie社製 シリコン樹脂) 0.2部
・トリプロピレングリコールジアクリレート 12.8部
・プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジアクリレート 23.7部
・イルガキュア127(チバスペシャルティケミカルズ社製 光ラジカル重合開始剤) 4.0部
・イルガキュア819(チバスペシャルティケミカルズ社製 光ラジカル重合開始剤) 4.0部
・ブチルヒドロキシトルエン 0.1部
【0046】
[実施例3]
下記配合処方にてインキ化し、ポリカーボネートに対する接触角が23度(表面張力22.5mN/m)のインクジェットクリアインキを得た。
・N−ビニルカプロラクタム 35.8部
・トリプロピレングリコールジアクリレート 30.0部
・ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート 25.6部
・TEGORAD2300(TEGO Chemie社製 シリコン樹脂) 0.5部
・イルガキュア184(チバスペシャルティケミカルズ社製 光ラジカル重合開始剤) 3.0部
・エサキュアONE(ランベルティ社製 光ラジカル重合開始剤) 5.0部
・ブチルヒドロキシトルエン 0.1部

【0047】
(比較例1)
実施例1の組成に対して、新たにTEGORAD2300(TEGO Chemie社製 シリコン樹脂)を0.5部添加し、ポリカーボネートに対する接触角が22度(表面張力21.5mN/m)のインクジェットインキを得た。
(比較例2)
下記配合処方にてインキ化し、ポリカーボネートに対する接触角が30度(表面張力25.5mN/m)のインクジェットクリアインキを得た。
・イソオクチルアクリレート 49.1部
・エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート 42.9部
・イルガキュア907(チバスペシャルティケミカルズ社製 光ラジカル重合開始剤) 3.0部
・イルガキュア819(チバスペシャルティケミカルズ社製 光ラジカル重合開始剤) 5.0部
【0048】
UVIJプリンターを用いてポリカーボネートに実施例1で得られたインキを全面ベタで印字し、次に実施例2で得られたインキを実施例1で得られたインキの硬化塗膜上の所望の箇所に印字、最後に実施例3で得られたインキを実施例1または2で得られたインキの硬化塗膜上の所望の箇所に印字し印刷物を得た。また、UVIJプリンターを用いてガラスに比較例1で得られたインキを全面ベタで印字し、次に実施例2で得られたインキを比較例1で得られたインキの硬化塗膜上の所望の箇所に印字し、最後に比較例3で得られたインキを比較例1または実施例2で得られたインキの硬化塗膜上の所望の箇所に印字し印刷物を得た。
【0049】
その結果、実施例1と実施例2と実施例3の組合せで得られた印刷物は、インキのにじみやはじきが無く、密着性が良好であり鮮明な印刷画像が得られたが、比較例1と実施例2と比較例3の組合せで得られた印刷物は、ドットの広がりが悪くはじきが発生しており、ベタ印字が出来ず、密着性が悪く、非常に不鮮明な印刷画像となってしまった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種類以上の脂環式、またはヘテロ環式、または芳香環式単官能モノマーを含有する活性エネルギー線硬化型インクジェットクリアインキ組成物(1)を用いて基材にクリア塗膜を形成後、該塗膜の上に2種類以上の脂環式、またはヘテロ環式、または芳香環式単官能モノマーを含有する活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ組成物(2)を用いて印刷塗膜を形成し、該印刷塗膜の上に2種類以上の脂環式、またはヘテロ環式、または芳香環式単官能モノマーを含有する活性エネルギー線硬化型インクジェットクリアインキ組成物(3)を用いてクリア塗膜を形成する活性エネルギー線硬化型インク組成物の重ね印字方法であって、下層に印字する活性エネルギー線硬化型インクジェットクリアインキ組成物(1)の基材に対する接触角CA1(度)と、中間層に印字する活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ組成物(2)の基材に対する接触角CA2(度)、上層に印字する活性エネルギー線硬化型インクジェットクリアインキ組成物(3)の基材に対する接触角CA3(度)との間に、
CA3≦CA2≦CA1
の関係が成立することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ組成物を用いてインクジェット印刷する印刷方法及びそのインキセット。
【請求項2】
基材上に請求項1記載のインキセットで画像形成した後、該インキセットを活性エネルギー線で硬化してなる印刷物。

【公開番号】特開2010−138298(P2010−138298A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316321(P2008−316321)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】