説明

活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク組成物

【課題】 活性エネルギー線に対して高感度でかつ短時間で硬化すると共に特にアクリル板やポリ塩化ビニル板等のインク非吸収性樹脂基材やガラス等の無機基材への印字に際しての硬化物と基材との密着性に優れる活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク組成物の提供。
【解決手段】 本発明のインク組成物は、少なくとも顔料、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、光重合開始剤および非反応性アクリル樹脂を含有し、非反応性(メタ)アクリル樹脂が、炭素数3〜6の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体、または、(メタ)アクリル酸メチルエステル(MMA)と炭素数6〜20のアルキル基、またはシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルステルとの共重合体で、MMA成分を少なくとも10質量%含有し、かつ、重量平均分子量が5,000〜40,000であり、インク組成物中に8〜15質量%の割合で含有すると共に、前記インク組成物の40℃における粘度が5mPa・s〜20mPa・sである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット記録用インク組成物として、特許文献1には、紫外線等の活性エネルギー線の照射により硬化可能な光硬化性モノマーを含有させたインク組成物が記載されているが、インク非吸収性樹脂基材やガラス等の無機基材との密着性を充分に満足させるものではない。また、特許文献2〜4には、インク非吸収性樹脂基材やガラス等の無機基材への密着性を高めるとして非反応性樹脂を含有させることが記載されているが、非反応性樹脂における樹脂組成によって各種のインク非吸収性樹脂基材やガラス等の無機基材との密着性が影響されるにも係わらず、密着性を向上させる観点から、インク組成物における樹脂組成についての具体的な検討はされておらず、インク非吸収性樹脂基材やガラス等の無機基材の種類に応じて硬化性・密着性に優れるインクジェット記録用インク組成物を教示するものではない。
【特許文献1】特開2008−19408号公報
【特許文献2】特開2005−60519号公報
【特許文献3】特開2008−45145号公報
【特許文献4】特開2007−56232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、活性エネルギー線に対して高感度でかつ短時間で硬化すると共に、特にアクリル板やポリ塩化ビニル板等のインク非吸収性樹脂基材やガラス等の無機基材への印字に際しての硬化物と多くの基材との密着性に優れる活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク組成物は、少なくとも顔料、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、光重合開始剤および非反応性アクリル樹脂を含有する活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク組成物であって、該非反応性(メタ)アクリル樹脂が、炭素数3〜6の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体、または、(メタ)アクリル酸メチルエステルと炭素数が6〜20のアルキル基、またはシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体で、(メタ)アクリル酸メチルエステル成分を少なくとも10質量%含有し、かつ、重量平均分子量が5,000〜40,000である共重合体であり、インク組成物中に8〜15質量%の割合で含有すると共に、前記インク組成物の40℃における粘度が5mPa・s〜20mPa・sであることを特徴とする。
【0005】
上記の光重合開始剤が、アシルフォスフィン化合物およびα−ヒドロキシケトンおよび/またはα−アミノアルキルフェノンからなり、その合計含有量が前記インク組成物中に8〜15質量%であり、かつ前記アシルフォスフィン化合物の含有量が前記インク組成物中に3〜8質量%であることを特徴とする。
【0006】
上記のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物が、ヘテロ環式モノマー、芳香族単官能(メタ)アクリレートおよび多官能(メタ)アクリレートであり、インク組成物中に前記ヘテロ環式モノマーを15〜40質量%、芳香族単官能(メタ)アクリレートを10〜50質量%、多官能(メタ)アクリレートを5〜15質量%の割合でそれぞれ含有することを特徴とする。
【0007】
なお、本明細書における「(メタ)アクリル」との記載は、「アクリル」または「メタクリル」の両者を意味するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク組成物は、活性エネルギー線に対して高感度でかつ短時間で硬化すると共に、アクリル板、ポリカーボネート板、ポリスチレン板、ポリ塩化ビニル板、ポリエステル塗膜を有するPCM鋼板等のインク非吸収性樹脂基材のみならず、ガラス等の無機基材との密着性にも優れるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク組成物におけるエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、ヘテロ環式モノマー、芳香族単官能アクリレートおよび多官能アクリレートが例示される。
【0010】
ヘテロ環式モノマーは、例えば、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミドなどが例示されるが、特に、N−ビニルカプロラクタムが好ましい。ヘテロ環式モノマーは、硬化性に優れ、また、硬化膜の柔軟性に優れているため、インク組成物中に15〜40質量%、好ましくは15〜35質量%の割合で含有させるとよい。
【0011】
芳香族単官能(メタ)アクリレートとしては、例えばフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メチルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、などが例示されるが、特にベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。芳香族単官能(メタ)アクリレートは、各種基材への密着性に優れるが、硬化性には劣るため、インク組成物中に10〜50質量%、好ましくは10〜40質量%であることが好ましい。
【0012】
ヘテロ環式モノマーと芳香族単官能(メタ)アクリレートとは、合成樹脂板等の基材に対して侵食性を有するので、インク組成物中にはその合計量で50質量%以上、好ましくは60%以上含有させるとよい。
【0013】
多官能(メタ)アクリレートとしては、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が例示される。多官能(メタ)アクリレートは、優れた硬化性と塗膜強度が得られるが、ヘテロ環式モノマーや芳香族単官能(メタ)アクリレートに比べると、硬化時の収縮が大きいために基材への密着性を阻害してしまう。多官能(メタ)アクリレートとしては比較的粘度低く、硬化収縮も小さいエトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが好ましく用いられ、インク組成物中、5〜15質量%、好ましくは7〜14質量%の割合で含有させるとよい。
【0014】
非反応性アクリル樹脂について説明する。インク組成物を活性エネルギー線に対して高感度でかつ短時間で硬化させると、長時間での緩やかな硬化に比べて、生じる硬化収縮が大きくなるが、非反応性アクリル樹脂をインク組成物に添加することで、硬化収縮の程度を緩和でき、さらに、非反応性樹脂の組成を選ぶことで種々のインク非吸収性樹脂基材のみならずガラス等の無機基材に対して優れた密着性を得ることができる。従来この種の樹脂として、ロジン変性マレイン酸樹脂やポリエステル樹脂が知られているが、前者においては酸価が高く、インク組成物がゲル化してしまうという問題があり、また、後者おいては低分子量であってもインク組成物の粘度が高くなってしまうという問題がある。
【0015】
本発明者等は、非反応性アクリル樹脂として、まず(1) 炭素数3〜6の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体、更に好ましくは(メタ)アクリル酸イソブチルエステル(IBMA)の単独重合体、また、(2)(メタ)アクリル酸メチルエステル(MMA)と炭素数が6〜20のアルキル基、またはシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体がインク非吸収性樹脂基材のみならずガラス等の無機基材に対する密着性に優れることを見いだした。
【0016】
(2)の共重合体においては、炭素数が6〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート等が例示され、また、炭素数が6〜20のシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしてはシクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート等が例示される。これらの炭素数が6〜20のアルキル基、またはシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、共重合成分として含有させることにより、(メタ)アクリル酸メチルエステル(MMA)の単独重合体に比して、高粘度化、インク中への溶解性を改良することができる。共重合体における(メタ)アクリル酸メチルエステル(MMA)成分の割合は、少なくとも10質量%、好ましくは10質量%〜80質量%とするとよい。
【0017】
非反応性アクリル樹脂は、重量平均分子量が5,000〜40,000、好ましくは5,000〜35,000の共重合体とするとよい。分子量が小さいと基材への密着性が不十分となるという問題があり、また、大きすぎるとインク粘度が高くなり、インクジェット用として問題がある。尚、重量平均分子量はポリスチレン換算のGPC測定による。
【0018】
また、非反応性(メタ)アクリル樹脂をインク組成物中に8〜15質量%、好ましくは10〜15質量%含有させるとよく、多いと粘度が高くなり、インキジェット用として好ましくない。
【0019】
顔料としては、従来の油性インク組成物に通常用いられている無機顔料又は有機顔料を用いることができる。顔料としてはカーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、ジケトピロロピロール、アンスラキノン、ベンズイミダゾロン、アンスラピリミジン、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、又は金属錯体顔料等を用いることができる。
【0020】
顔料一次粒子の体積平均粒径は、レーザー散乱による測定値で平均粒径50〜200nmの微細顔料であることが好ましい。顔料の平均粒径が50nm未満の場合は、粒径が小さくなることによる耐光性の低下が生じ、200nmを越える場合は、分散の安定維持が困難になり、顔料の沈澱が生じやすくなる。また、顔料の含有量は、インク組成物中、0.5〜25質量%、好ましくは0.5〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%である。
【0021】
次に、分散剤としては、高分子分散剤を使用するとよい。高分子分散剤としては、例えば、主鎖がポリエステル系、ポリアクリル系、ポリウレタン系、ポリアミン系、ポリカプロラクトン系などからなり、側鎖としてアミノ基、カルボキシル基、スルホン基、ヒドロキシル基などの極性基を有するもので、好ましくはポリエステル系分散剤であり、例えばルブリゾール社製「SOLSPERSE32000」、「SOLSPERSE20000」、「SOLSPERSE24000」、「SOLSPERSE71000」、味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」などが例示される。分散剤は、顔料1質量部に対して0.03質量部〜5質量部、好ましくは0.05質量部〜5質量部の割合で添加されるとよく、インク中に0.1質量%〜30質量%、好ましくは0.5質量%〜20質量%含有させるとよい。
【0022】
次に、本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク組成物における光重合開始剤について説明する。本発明における活性エネルギー線とは、電子線、紫外線、赤外線などのラジカル、カチオン、アニオンなどの重合反応の引き金と成りうるエネルギー線を示す。本発明においては、光重合開始剤としてアシルフォスフィン化合物と共にα−ヒドロキシケトンおよび/またはα−アミノアルキルフェノンを使用する。
【0023】
アシルフォスフィンオキサイドは、例えばビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−フォスフィンオキサイド(イルガキュア 819、チバ・スペシャルティケミカルズ社製)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(Darocur TPO:チバ・スペシャルティケミカルズ社製:Lucirin TPO:BASF社製)などが例示される。
【0024】
また、α−ヒドロキシケトンとしては、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル〕−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(イルガキュア 127、チバ・スペシャルティケミカルズ社製)、2−ヒドロキシ−4′−ヒドロキシエトキシ−2−メチルプロピオフェノン(イルガキュア2959、チバ・スペシャルティケミカルズ社製)が特に好ましい。
【0025】
また、α−アミノアルキルフェノンとしては、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(イルガキュア369、チバ・スペシャルティケミカルズ社製)が特に好ましい。
【0026】
Lucirin TPOやイルガキュア 127は、酸素による重合阻害を発生し難いために、インクジェットで形成された薄膜の硬化性に特に有効である。また、Lucirin TPO、イルガキュア2959およびイルガキュア 369は内部硬化性に優れているため、厚膜での硬化性に特に有効である。特に、Lucirin TPOは活性エネルギー線に高感度で反応するため、インク組成物中3〜8質量%、好ましくは4〜6質量%含有させるとよい。また、アシルフォスフィン化合物とα−ヒドロキシケトンとα−アミノアルキルフェノンを組み合わせて使用することにより、薄膜と厚膜両方の硬化性に優れ、活性エネルギー線に対して高感度かつ短時間で硬化させることができる。アシルフォスフィン化合物とα−ヒドロキシケトンとα−アミノアルキルフェノンの合計量は、インク組成物中に8〜15質量%、好ましくは8〜12質量%であり、この範囲外であると硬化性が悪化する。また、上述の作用を阻害しないならば、その他の光重合開始剤を添加してもよい。
【0027】
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェットインキは、他に可塑剤、表面調整剤、紫外線防止剤、光安定化剤、酸化防止剤等の種々の添加剤を含有することができる。
【0028】
本発明のインクジェットインキは、顔料をモノマー、顔料分散剤と共にサンドミル等の通常の分散機を用いてよく分散することにより製造される。あらかじめ顔料高濃度の濃縮液を作成しておいてモノマーで希釈することが好ましく、通常の分散機による分散においても充分な分散が可能であり、安定性に優れたインキが調製される。インキは、孔径3μm以下、さらには1μ以下のフィルターにて濾過することが好ましい。
【0029】
本発明のインクジェットインキは、40℃での粘度が5〜20mPa・sとするとよい。粘度が5mPa・s未満の場合は、高周波数のヘッドにおいて、吐出の追随性の低下が認められ、20mPa・sを越える場合は、加熱による粘度の低下機構をヘッドに組み込んだとしても吐出そのものの低下を生じ、吐出の安定性が不良となり、全く吐出できなくなる。
【0030】
本発明のインクジェットインキを使用するには、まずこのインクジェットインキをインクジェット記録方式用プリンタのプリンタヘッドに供給し、このプリンタヘッドから基材上に吐出し、その後紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射する。これにより印刷媒体上の組成物は速やかに硬化する。
【0031】
なお、活性エネルギー線の光源としては、紫外線を照射する場合には、例えば高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、紫外線レーザー、および太陽光を使用することができる。電子線により硬化させる場合には、通常300eV以下のエネルギーの電子線で硬化させるが、1〜5Mradの照射量で瞬時に硬化させることも可能である。
【0032】
本発明で用いられる印刷基材は、アクリル樹脂製、ポリカーボネート樹脂製、ポリスチレン樹脂製、ポリ塩化ビニル樹脂製等のインク非吸収性樹脂、また、ガラス等の無機基材であり、後述する密着性試験から明らかなように、優れた密着性を示すものとできる。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に特に限定されるものではない。なお、実施例中、「部」は「質量部」を表す。
【実施例】
【0033】
(分散体の調製)
ベンジルアクリレート(V#160、大阪有機化学工業社製)87部に、高分子分散剤(ソルスパース24,000、アビシア社製)3部を溶解させ、次いでフタロシアニン顔料(LIONOL BLUE FG−7400G、東洋インキ製造社製)10部を加え、ペイントシェーカーを用いて顔料粒子径(メジアン径)が20nm以下となるように分散し、分散体を得た。粒子径は、HOLIBA社製「LB−550」で測定した。
【0034】
(実施例1〜14、比較例1〜9)
下記表1〜表5に示す原料を、分散体以外順次混合し、50℃に加温しながら1時間攪拌して溶け残りがないことを確認し、室温に戻した後、分散体を加えて攪拌した。その後、メンブランフィルターで濾過を行い、各実施例、各比較例の各インクを作製した。
【0035】
このインクを、バーコーター#3にして平均膜厚が6μmとなるように各基材上に展色した。その後、GSユアサ社製メタルハライドランプMAL250NLにして1パス当りの積算光量140mJ/cm2 、ピーク照度170mW/cm2 となるように、紫外線照射し、塗膜を得た。結果は、下記の評価方法に従って判断した。
【0036】
(硬化性)
○ :指触によりタックがなくなるまでのパス回数が1である。
【0037】
× :指触によりタックがなくなるまでのパス回数が2以上である。
【0038】
(粘度)
インクの粘度を、CBCマテリアルズ社製シールド型粘度計FVM80A−STを用いて40℃にて測定した。
【0039】
(密着性)
各種基材への密着性は、硬化後の塗膜を1mm間隔で100マスにクロスカットした部分にセロハンテープを貼り付け、充分に密着させた後、セロハンテープを90度で剥離させた時の塗膜の基材への密着の程度から判断した。判断基準は下記の通りである。
5B:剥がれなし
4B:5%未満の剥がれがあった。
3B:5%以上15%未満の剥がれがあった。
2B:15%以上35%未満の剥がれがあった。
1B:35%以上65%未満の剥がれがあった。
0B:65%以上の剥がれがあった。
【0040】
また、下記表における 1) 14) について説明しておく。
1) : V#160(大阪有機化学工業社製、ベンジルアクリレート)
2) : V−CAP/RC(アイエスピー・ジャパン社製、N−ビニルカプロラクタム)3) : アロニックスM−350(東亜合成社製、EO−TMPTA)
4) : IBMA(イソブチルメタクリレート)、MMA(メチルメタクリレート)、SMA(ステアリルメタクリレート)、CHMA(シクロヘキシルメタクリレート)、LMA(ラウリルメタクリレート)、バイロン103、226(東洋紡社製、ポリエステル樹脂)
5) : イルガキュア127(2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル〕−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、チバ・スペシャルティケミカルズ社製)
6) : イルガキュア2959(2−ヒドロキシ−4′−ヒドロキシエトキシ−2−メチルプロピオフェノン、チバ・スペシャルティケミカルズ社製)
7) : Lucirin TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、BASF社製)
8) : イルガキュア369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、チバ・スペシャルティケミカルズ社製)
9) : アクリライトEX(三菱レーヨン社製)
10) : レキサン8010(旭硝子社製)
11) : デラプリズムS(旭化成テクノプラス社製)
12) : タキロンプレート(タキロン社製)
13) : PCM鋼板(ポリエステル塗料)
14) : #1737(CORNING社製)
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
【表4】

【0045】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも顔料、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、光重合開始剤および非反応性アクリル樹脂を含有する活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク組成物であって、該非反応性(メタ)アクリル樹脂が、炭素数3〜6の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体、または、(メタ)アクリル酸メチルエステルと炭素数が6〜20のアルキル基、またはシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体で、(メタ)アクリル酸メチルエステル成分を少なくとも10質量%含有し、かつ、重量平均分子量が5,000〜40,000である共重合体であり、インク組成物中に8〜15質量%の割合で含有すると共に、前記インク組成物の40℃における粘度が5mPa・s〜20mPa・sであることを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク組成物。
【請求項2】
光重合開始剤が、アシルフォスフィン化合物およびα−ヒドロキシケトンおよび/またはα−アミノアルキルフェノンからなり、その合計含有量が前記インク組成物中に8〜15質量%であり、かつ前記アシルフォスフィン化合物の含有量が前記インク組成物中に3〜8質量%であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク組成物。
【請求項3】
エチレン性不飽和二重結合を有する化合物が、ヘテロ環式モノマー、芳香族単官能(メタ)アクリレートおよび多官能(メタ)アクリレートであり、インク組成物中に前記ヘテロ環式モノマーを15〜40質量%、芳香族単官能(メタ)アクリレートを10〜50質量%、多官能(メタ)アクリレートを5〜15質量%の割合でそれぞれ含有することを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク組成物。

【公開番号】特開2010−6887(P2010−6887A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165348(P2008−165348)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000183923)ザ・インクテック株式会社 (268)
【Fターム(参考)】