説明

活性エネルギー線硬化性組成物

【課題】硬化物の表面に付着した皮脂による外観の低下を抑えると共に、付着した皮脂の除去性を高め、かつ表面硬度等の表面物性を向上させることができる活性エネルギー線硬化性組成物を提供する。
【解決手段】活性エネルギー線硬化性組成物は、(メタ)アクリル(メタ)アクリレートと、多官能化合物と、光重合開始剤とを含有する。(メタ)アクリル(メタ)アクリレートは、アルキル基又はシクロアルキル基を有する親油性モノマーを30質量%以上及び第1反応性官能基を有する(メタ)アクリルモノマーを含むモノマー混合物を重合させてなる(メタ)アクリル樹脂と前記第1反応性官能基と反応する第2反応性官能基及び活性エネルギー線硬化性官能基を有するモノマーとを反応させてなる。親油性モノマーのアルキル基又はシクロアルキル基のデイビス法により算出される親水親油バランス値(HLB値)は4.5以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種透明樹脂フィルム、透明樹脂板、ガラス板等の透明基材に対して指紋が付着したときの外観、指紋除去性を向上させることができる活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートのような樹脂製品の耐摩耗性付与剤として活性エネルギー線硬化性ハードコート材が求められているが、ハードコート材の表面は指紋や皮脂が付着しやすく、またその汚れを簡単に除去できないという問題があり、製品の美観や透明性を損なうという結果を招いていた。
【0003】
かかる問題を解決するために、表面を低エネルギー表面とし、その表面において指紋や皮脂をはじき、付着し難くしたシートが知られている(例えば、特許文献1を参照)。すなわち、該シートは、防汚剤及び紫外線硬化型樹脂を含有するエネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化膜層を支持体上に有するものである。このシートによれば、ハードコート性及び防汚性を付与することができる。
【0004】
また、表面を撥水又は親油化し、指紋や皮脂成分との馴染みを良くし、指紋や皮脂が表面に付着しても目立たないようにする汚れ目立ち防止被膜が知られている(例えば、特許文献2を参照)。すなわち、この汚れ目立ち防止被膜は生体由来脂質成分に対する親油性を示し、該被膜に指紋が付着した場合には指紋は被膜上を濡れて流れ広がり、被膜上にさらに薄い膜が形成されたようになり、指紋自体が目立たなくなり、基材の汚れの目立ちを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−104403号公報(第2頁及び第3頁)
【特許文献2】特開2001−353808号公報(第2頁及び第3頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のシートにおいては、携帯電話に使用された場合には手や顔の皮脂がシートに接触し、タッチパネルに使用された場合には繰り返し指がシートに接触することから、付着した皮脂によりシート表面で光が乱反射し、かえって目立ってしまうという問題があった。一方、特許文献2に記載の汚れ目立ち防止被膜では、付着した皮脂は目立ち難くなるが、表面硬度等の表面物性に欠け、実用性が低いという問題があった。
【0007】
そこで本発明の目的とするところは、硬化物の表面に付着した皮脂による外観の低下を抑えると共に、付着した皮脂の除去性を高め、かつ表面硬度等の表面物性を向上させることができる活性エネルギー線硬化性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートと、複数の活性エネルギー線硬化性官能基を有する多官能化合物と、光重合開始剤とを含有するものである。そして、前記(メタ)アクリル(メタ)アクリレートは、アルキル基又はシクロアルキル基を有する親油性モノマーを30質量%以上及び第1反応性官能基を有する(メタ)アクリルモノマーを含有するモノマー混合物を重合させてなる(メタ)アクリル樹脂と前記(メタ)アクリルモノマーの第1反応性官能基と反応する第2反応性官能基及び活性エネルギー線硬化性官能基を有するモノマーとを反応させてなり、かつ親油性モノマーのアルキル基又はシクロアルキル基のデイビス法により算出される親水親油バランス値(HLB値)が4.5以下であることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物は、請求項1に係る発明において、前記親油性モノマーは、そのアルキル基又はシクロアルキル基のデイビス法により算出されるHLB値が−4.0〜4.2であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の活性エネルギー線硬化性組成物は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記親油性モノマーは、炭素数8〜22のアルキル基又は炭素数6〜12のシクロアルキル基を有することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の活性エネルギー線硬化性組成物は、請求項1から請求項3のいずれかに1項に係る発明において、前記親油性モノマーのモノマー混合物中における含有量は50〜85質量%であることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の活性エネルギー線硬化性組成物は、請求項1から請求項4のいずれか1項に係る発明において、前記第1反応性官能基と第2反応性官能基とは、ヒドロキシル基又はグリシジル基とイソシアネート基又はカルボキシル基との組合せであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物では、前記(メタ)アクリル(メタ)アクリレートを形成する親油性モノマーのアルキル基又はシクロアルキル基のデイビス法により算出されるHLB値が4.5以下である。このため、親油性モノマーは十分な親油性を示すことができる。さらに、モノマー混合物中にはアルキル基又はシクロアルキル基を有する親油性モノマーが30質量%以上含まれ、モノマー混合物中における親油性モノマーの割合が十分に確保される。そのため、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物はその表面に良好な親油性を発現することができる。このように、該硬化物はその表面に付着した皮脂に対して親和性を示すため、皮脂は硬化物表面で薄く広がり、視認し難くなると共に、拭き取りやすくなる。
【0014】
加えて、(メタ)アクリル(メタ)アクリレートは、第1反応性官能基を有する(メタ)アクリルモノマーを含有するモノマー混合物を重合させてなる(メタ)アクリル樹脂と前記(メタ)アクリルモノマーの第1反応性官能基と反応する第2反応性官能基及び活性エネルギー線硬化性官能基を有するモノマーとを反応させて形成される。このように、活性エネルギー線硬化性組成物には活性エネルギー線硬化性官能基をもつ(メタ)アクリル(メタ)アクリレートと多官能化合物とが含まれていることから、活性エネルギー線硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させたとき硬化物は一体となって架橋構造を形成し、機械的物性が高められる。
【0015】
よって、硬化物の表面に付着した皮脂による外観の低下を抑えることができると共に、付着した皮脂の除去性を高めることができ、かつ表面硬度等の表面物性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
〔活性エネルギー線硬化性組成物〕
本実施形態の活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートと、複数の活性エネルギー線硬化性官能基を有する多官能化合物と、光重合開始剤とを含有する。この活性エネルギー線硬化性組成物は、その硬化物(以下、単に硬化物ともいう)の表面に良好な親油性を示すことができ、硬化物の表面に付着した皮脂による外観の低下を抑制することができると同時に、皮脂の除去性を高めることができ、しかも表面硬度等の表面物性を向上させることができる。以下に、活性エネルギー線硬化性組成物の構成要素について順に説明する。
<(メタ)アクリル(メタ)アクリレート>
(メタ)アクリル(メタ)アクリレートは、アルキル基又はシクロアルキル基を有する親油性モノマーを30質量%以上及び第1反応性官能基を有する(メタ)アクリルモノマーを含有するモノマー混合物を重合させてなる(メタ)アクリル樹脂と前記(メタ)アクリルモノマーの第1反応性官能基と反応する第2反応性官能基及び活性エネルギー線硬化性官能基を有するモノマーとを反応させて形成される。従って、(メタ)アクリル(メタ)アクリレートは、活性エネルギー線硬化性官能基を有し、多官能化合物の活性エネルギー線硬化性官能基と共重合することができる。
【0017】
前記親油性モノマーは、良好な親油性を発現させるために、炭素数8〜22のアルキル基又は炭素数6〜12のシクロアルキル基を有することが好ましい。炭素数8〜22のアルキル基を有する親油性モノマーとしては、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸イソステアリル、メタクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ベヘニル等が挙げられる。炭素数6〜12のシクロアルキル基を有する親油性モノマーとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、オルト−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0018】
モノマー混合物中における親油性モノマーの含有量は30質量%以上であることが必要であり、50〜85質量%であることが好ましい。親油性モノマーの含有量が30質量%を下回る場合には親油性モノマーに基づく親油性が不足し、硬化物表面に付着した皮脂による外観の低下を抑制することができなくなる。
【0019】
前記第1反応性官能基と第2反応性官能基とは、好ましくはヒドロキシル基又はグリシジル基とイソシアネート基又はカルボキシル基との組合せである。具体的には、第1反応性官能基としてのヒドロキシル基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。第1反応性官能基としてのグリシジル基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、メタクリル酸グリシジル等が挙げられる。
【0020】
その場合、第2反応性官能基としてのイソシアネート基を有するモノマーとしては、イソシアネートエチルアクリレート、イソシアネートエチルメタクリレート等が挙げられる。第2反応性官能基としてのカルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
【0021】
また、第1反応性官能基としてイソシアネート基を有するモノマー又はカルボキシル基を有するモノマーを用い、第2反応性官能基としてヒドロキシル基を有する(メタ)アクリルモノマー又はグリシジル基を有する(メタ)アクリルモノマーを用いることができる。
【0022】
前記(メタ)アクリル樹脂としては、メタクリルモノマーによるメタクリル樹脂、アクリルモノマーによるアクリル樹脂又はメタクリルモノマーとアクリルモノマーとによる(メタ)アクリル樹脂のいずれであっても差し支えない。
【0023】
前記親油性モノマーのアルキル基又はシクロアルキル基について親水親油バランス値(HLB値)は、良好な親油性を発現すべく4.5以下に設定され、好ましくは−4.0〜4.2に設定される。すなわち、下記の化学式(1)に示す親油性モノマーの置換基XについてHLB値が上記のように規定される。
【0024】
【化1】

但し、Rは水素又はメチル基、置換基Xはアルキル基又はシクロアルキル基である。
【0025】
親油性モノマーを2種類以上用いる場合には、個々の親油性モノマーが上記HLB値の要件を満たすことが必要である。ここで、HLB値はデイビス法により算出される値である。すなわち、HLB値=Σ(親水基の基数)+Σ(親油基の基数)+7で表される。但し、Σは総和を表す。親水基の基数及び親油基の基数の具体例を表1に示す。
【0026】
【表1】

(メタ)アクリル(メタ)アクリレートの含有量は、(メタ)アクリル(メタ)アクリレートと多官能化合物との総量に対して20〜80質量%であることが好ましい。(メタ)アクリル(メタ)アクリレートの含有量が20質量%を下回る場合には十分な親油性が発現されなくなり、80質量%を上回る場合には多官能化合物に基づく表面硬度等の機械的物性が低下する傾向を示す。
<多官能化合物>
前記多官能化合物は複数の活性エネルギー線硬化性官能基を有する化合物であり、活性エネルギー線硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させたとき硬化物が架橋構造を形成し、硬化物の表面硬度等の機械的物性を高めることができる。この多官能化合物としては、トリプロピレングリコールジアクリレート等の2官能(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の3官能(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の6官能(メタ)アクリレートなどが用いられる。これらの多官能化合物は、1種又は2種以上が適宜選択して使用されるが、1分子中に活性エネルギー線硬化性官能基を3又はそれ以上有する多官能化合物が硬化物の機械的強度を高めることができる点で好ましい。
【0027】
この多官能化合物の含有量は、(メタ)アクリル(メタ)アクリレートと多官能化合物との総量に対して20〜80質量%であることが好ましい。多官能化合物の含有量が20質量%を下回る場合には多官能化合物に基づく表面硬度等の機械的物性が十分に発揮されなくなり、80質量%を上回る場合には親油性が十分に発現されなくなる。
<光重合開始剤>
光重合開始剤は、活性エネルギー線硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して硬化反応を行わせるためのもので、従来より知られている光重合開始剤のいずれも使用することができ、単独で使用しても良く、また2種以上を併用しても良い。この光重合開始剤として例えば、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、o−ベンゾイルメチルベンゾエート、アセトフェノン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、エチルアントラキノン、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、メチルベンジルホルメート等が挙げられる。
【0028】
光重合開始剤の含有量は、(メタ)アクリル(メタ)アクリレートと多官能化合物との総量100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがさらに好ましい。光重合開始剤の含有量が0.1質量部より少ない場合には、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化性が低下し、所望とする硬化物を効率良く得ることができなくなる。一方、10質量部を超える場合には、重合が過度に進行し、硬化物の物性が低下したり、着色したりして好ましくない。
<活性エネルギー線硬化性組成物の利用>
活性エネルギー線硬化性組成物は、例えば対象物の表面を被覆する被覆組成物(塗料)として用いられる。対象物は特に制限されないが、例えばディスプレイ、タッチパネル、ピアノ、高級家具等の指紋付着により美観を損なうものが挙げられ、その材質は樹脂フィルム、樹脂板、ガラス板等の基材である。基材に対する塗工方法としては、ディップコート法、フローコート法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアナイフコート法等の任意の塗工方法が採用される。
【0029】
そして、活性エネルギー線硬化性組成物を対象物の表面に塗工した後、乾燥して塗膜を形成し、次いで活性エネルギー線を照射することにより、対象物の表面に硬化塗膜を形成することができる。活性エネルギー線としては、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等の光源から発生する紫外線、通常20〜2000kVの粒子加速器からの電子線、α、β、γ線等が用いられる。活性エネルギー線を用いることにより、生産性を高め、硬化塗膜の物性を向上させることができる。
【0030】
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
(1) 本実施形態の活性エネルギー線硬化性組成物では、親油性モノマーはそのアルキル基又はシクロアルキル基のデイビス法により算出されるHLB値が4.5以下に設定され、十分な親油性を示すことができる。さらに、モノマー混合物中には親油性モノマーが30質量%以上含まれ、モノマー混合物中における親油性モノマーの割合が十分に確保される。そのため、硬化物はその表面に良好な親油性を発現することができる。このように、該硬化物はその表面に付着した皮脂に対して優れた親和性を示すため、皮脂は硬化物表面で薄く濡れ広がって視認し難くなると同時に、容易に拭き取ることができるようになる。
【0031】
加えて、(メタ)アクリル(メタ)アクリレートは、第1反応性官能基を有する(メタ)アクリルモノマーを含有するモノマー混合物を重合させてなる(メタ)アクリル樹脂と前記(メタ)アクリルモノマーの第1反応性官能基と反応する第2反応性官能基及び活性エネルギー線硬化性官能基を有するモノマーとを反応させて形成される。このように、活性エネルギー線硬化性組成物には活性エネルギー線硬化性官能基をもつ(メタ)アクリルアクリレートと多官能化合物とが含まれていることから、活性エネルギー線硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させたとき硬化物は一体となって架橋構造を形成し、硬度、強度等の機械的物性が高められる。
【0032】
よって、硬化物の表面に付着した皮脂による外観の低下を抑制することができると共に、付着した皮脂の除去性を高めることができ、かつ表面硬度等の表面物性を向上させることができる。
【0033】
(2) 前記親油性モノマーは、そのアルキル基又はシクロアルキル基のデイビス法により算出されるHLB値が−4.0〜4.2に設定されることにより、親油性が高められ、硬化物表面に付着した皮脂に対して一層良好な親和性を発揮することができる。
【0034】
(3) 前記親油性モノマーは、炭素数8〜22のアルキル基又は炭素数6〜12のシクロアルキル基を有することにより、親油性が高められ、硬化物表面に付着した皮脂に対する親和性をさらに向上させることができる。
【0035】
(4) 前記親油性モノマーのモノマー混合物中における含有量は50〜85質量%であることにより、親油性モノマーの含有量が十分に確保され、硬化物は高い親油性を発現することができる。
【0036】
(5) 前記第1反応性官能基と第2反応性官能基とは、ヒドロキシル基又はグリシジル基とイソシアネート基又はカルボキシル基との組合せであることにより、ヒドロキシル基又はグリシジル基とイソシアネート基又はカルボキシル基との反応性が高く、(メタ)アクリル(メタ)アクリレートを容易かつ速やかに得ることができる。
【実施例】
【0037】
以下に、合成例、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。各例において、部は質量部、%は質量%を表す。
(合成例1)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた300mlフラスコにメチルイソブチルケトン110部を仕込み、110℃まで昇温した。別にメタクリル酸メチル(MMA)30部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)20部、メタクリル酸ラウリル(LMA)70部(HLB値1.3)及び1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル3.6部を混合した。この溶液を2時間かけて滴下し3時間反応させ、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下して1時間反応させた。さらに、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下し、2時間反応させてメタクリル樹脂aを得た。メタクリル樹脂aは、固形分50.2%及び水酸基価35.4mgKOH/gであった。
(実施例1)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに合成例1で得られたメタクリル樹脂a100部、付加モノマーとしてのイソシアネートエチルアクリレート(AOI)8.9部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部及び重合禁止剤のヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み70℃で5時間反応させ、活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートA1を得た。
【0038】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートA1を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート〔共栄社化学(株)製、TMP−A、以下の例でも同じものを使用した。〕10部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184〔1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、チバスペシャリテイケミカルズ(株)製〕0.45部を混合、塗料化してUV硬化性組成物としてUV硬化塗料A2を得た。
(比較合成例4)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた300mlフラスコにメチルイソブチルケトン110部を仕込み、110℃まで昇温した。別にメタクリル酸メチル30部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル20部、メタクリル酸n−ブチル(BMA)70部(HLB値5.1)及び1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル3.6部を混合した。この溶液を2時間かけて滴下し3時間反応させ、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下し1時間反応させた。さらに、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下し、2時間反応させてメタクリル樹脂eを得た。メタクリル樹脂eは、固形分50.2%、水酸基価35.4mgKOH/gであった。
(比較例4)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに比較合成例4で得られたメタクリル樹脂e100部、イソシアネートエチルアクリレート8.9部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部及び重合禁止剤のヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み、70℃で5時間反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートE1を得た。
【0039】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートE1を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート10部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184〔チバスペシャリテイケミカルズ(株)製〕0.45部を混合、塗料化してUV硬化塗料E2を得た。
(比較例1)
ジペンタエリスリトールペンタ&ヘキサアクリレート〔M−402、東亞合成(株)製〕20部、トリメチロールプロパンEO変性(n≒1)トリアクリレート〔M−350、東亞合成(株)製〕5部、メチルエチルケトン5部及び光重合開始剤イルガキュア184を7.5部混合し、UV硬化塗料Bを得た。
(比較例2)
ジペンタエリスリトールペンタ&ヘキサアクリレート〔M−402、東亞合成(株)製〕20部、トリメチロールプロパンEO変性(n≒1)トリアクリレート〔M−350、東亞合成(株)製〕5部、BYK−370(ビックケミー製、シリコーン系レベリング剤)1.25部、メチルエチルケトン5部及び光重合開始剤イルガキュア184を7.5部混合してUV硬化塗料Cを得た。
(比較例3)
合成例1で得られたメタクリル樹脂a10部、トリメチロールプロパントリアクリレート10部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184を0.45部混合、塗料化してUV硬化塗料Dを得た。
(比較合成例5)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた300mlフラスコにメチルイソブチルケトン110部を仕込み、110℃まで昇温した。別にメタクリル酸メチル44部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル20部、メタクリル酸パーフルオロオクチルエチル(PFMA)40部、メタクリル酸ジシクロペンタニル(DCPM)16部(HLB値2.25)及び1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル3.6部を混合した。この溶液を2時間かけて滴下し3時間反応させ、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部、アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下し1時間反応させた。さらに、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス-1-シクロヘキサンカルボニトリル0.1部、アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下し、2時間反応させてメタクリル樹脂fを得た。メタクリル樹脂fは、固形分50.2%、水酸基価35.4mgKOH/gであった。
(比較例5)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに比較合成例5で得られたメタクリル樹脂f100部、イソシアネートエチルアクリレート8.9部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部及び重合禁止剤ヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み、70℃で5時間反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートF1を得た。
【0040】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートF1を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート10部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184を0.45部混合、塗料化してUV硬化塗料F2を得た。
(比較合成例6)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた300mlフラスコにメチルイソブチルケトン110部を仕込み、110℃まで昇温した。別にメタクリル酸メチル82部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル20部、メタクリル酸ラウリル18部(HLB値1.3)及び1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル3.6部を混合した。この溶液を2時間かけて滴下し3時間反応させ、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部、アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下し1時間反応させた。さらに、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部、アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下し、2時間反応させてメタクリル樹脂xを得た。メタクリル樹脂xは、固形分50.2%、水酸基価35.4mgKOH/gであった。
(比較例6)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに比較合成例6で得られたメタクリル樹脂x100部、イソシアネートエチルアクリレート8.9部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部及び重合禁止剤ヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み、70℃で5時間反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートX1を得た。
【0041】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートX1を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート10部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184を0.45部混合、塗料化してUV硬化塗料X2を得た。
(合成例2)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた300mlフラスコにメチルイソブチルケトン90部を仕込み、110℃まで昇温した。別にメタクリル酸メチル30部、メタクリル酸グリシジル(GMA)20部、メタクリル酸ラウリル70部(HLB値1.3)、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル3.6部を混合した。この溶液を2時間かけて滴下し3時間反応させ、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部、アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下して1時間反応させた。さらに、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下し、2時間反応させてメタクリル樹脂gを得た。メタクリル樹脂gは、固形分54.5%であった。
(実施例2)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに合成例2で得られたメタクリル樹脂g125.6部、アクリル酸(AA)5.2部〔グリシジル基:カルボキシル基=1:0.9(モル比)〕、触媒のトリフェニルフォスフィン0.7部及び重合禁止剤ヒドロキノンモノメチルエーテル0.17部を仕込み100℃で6時間反応させ、活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートG1を得た。(メタ)アクリル(メタ)アクリレートG1の酸価は2.0mgKOH/gであった。
【0042】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートG1を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート11.4部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184を0.51部混合、塗料化してUV硬化塗料G2を得た。
(合成例3)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた300mlフラスコにメチルイソブチルケトン110部を仕込み、110℃まで昇温した。別にメタクリル酸メチル30部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル20部、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)70部(HLB値4.15)、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル3.6部を混合した。この溶液を2時間かけて滴下し3時間反応させ、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部、アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下して1時間反応させた。さらに、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下し2時間反応させてメタクリル樹脂hを得た。メタクリル樹脂hは、固形分50.2%、水酸基価35.4mgKOH/gであった。
(実施例3)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに合成例3で得られたメタクリル樹脂h100部、イソシアネートエチルアクリレート8.9部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部及び重合禁止剤ヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み、70℃で5時間反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートH1を得た。
【0043】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートH1を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート10部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184を0.45部混合、塗料化してUV硬化塗料H2を得た。
(合成例4)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた300mlフラスコにメチルイソブチルケトン110部を仕込み、110℃まで昇温した。別にメタクリル酸メチル30部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル20部、メタクリル酸ジシクロペンタニル70部(HLB値2.25)及び1,1−アゾビス-1-シクロヘキサンカルボニトリル3.6部を混合した。この溶液を2時間かけて滴下し3時間反応させ、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部、アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下して1時間反応させた。さらに、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下し2時間反応させてメタクリル樹脂iを得た。メタクリル樹脂iは、固形分50.2%、水酸基価35.4mgKOH/gであった。
(実施例4)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに合成例4で得られたメタクリル樹脂i100部、イソシアネートエチルアクリレート8.9部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部及び重合禁止剤ヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み、70℃で5時間反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートI1を得た。
【0044】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートI1を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート10部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184を0.45部混合、塗料化してUV硬化塗料I2を得た。
(合成例5)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた300mlフラスコにメチルイソブチルケトン110部を仕込み、110℃まで昇温した。別にメタクリル酸2−ヒドロキシエチル20部、メタクリル酸ジシクロペンタニル70部(HLB値2.25)、メタクリル酸ベヘニル(VMA)30部(HLB値−3.45)及び1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル3.6部を混合した。この溶液を2時間かけて滴下し3時間反応させ、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部、アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下して1時間反応させた。さらに、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部、アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下し、2時間反応させてメタクリル樹脂jを得た。メタクリル樹脂jは、固形分50.2%、水酸基価35.4mgKOH/gであった。
(実施例5)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに合成例5で得られたメタクリル樹脂j100部、イソシアネートエチルアクリレート8.9部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部及び重合禁止剤ヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み、70℃で5時間反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートJ1を得た。
【0045】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートJ1を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート10部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184を0.45部混合、塗料化してUV硬化塗料J2を得た。
(合成例6)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた300mlフラスコに40%VPE−0401〔和光純薬(株)製〕メチルエチルケトン溶液50部、メタクリル酸メチル15部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル10部、メタクリル酸ラウリル35部(HLB値1.3)及びメチルエチルケトン40部を仕込み80℃まで昇温し、80℃5時間反応させてメタクリル樹脂lを得た。メタクリル樹脂lは、固形分53.3%、水酸基価28.8mgKOH/gであった。
(実施例6)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに合成例6で得られたメタクリル樹脂lを100部、イソシアネートエチルアクリレート7.2部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部及び重合禁止剤ヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み、70℃で5時間反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートL1を得た。
【0046】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートL1を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート11.2部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184を0.45部混合、塗料化してUV硬化塗料L2を得た。
(合成例7)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた300mlフラスコにメチルイソブチルケトン110部を仕込み、110℃まで昇温した。別にメタクリル酸メチル30部、イソシアネートエチルメタクリレート(MOI)20部、メタクリル酸ラウリル70部(HLB値1.3)及び1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル3.6部を混合した。この溶液を2時間かけて滴下し3時間反応させ、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部、アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下して1時間反応させた。さらに、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下し、2時間反応させてメタクリル樹脂mを得た。メタクリル樹脂mは、固形分50.2%であった。
(実施例7)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに合成例7で得られたメタクリル樹脂m100部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)6.2部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部、重合禁止剤ヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み、70℃で5時間反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートM1を得た。
【0047】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートM1を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート10部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184を0.45部混合、塗料化してUV硬化塗料M2を得た。
(合成例8)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた300mlフラスコにメチルイソブチルケトン110部を仕込み、110℃まで昇温した。別にメタクリル酸2−ヒドロキシエチル20部、メタクリル酸ジシクロペンタニル70部(HLB値2.25)、メタクリル酸ステアリル(SMA)30部(HLB値−1.55)及び1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル3.6部を混合した。この溶液を2時間かけて滴下し3時間反応させ、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部、アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下して1時間反応させた。さらに、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部、アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下し、2時間反応させてメタクリル樹脂oを得た。メタクリル樹脂oは、固形分50.2%、水酸基価35.4mgKOH/gであった。
(実施例8)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに合成例8で得られたメタクリル樹脂oを100部、イソシアネートエチルアクリレート8.9部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部及び重合禁止剤ヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み、70℃で5時間反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートO1を得た。
【0048】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートO1を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート10部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184を0.45部混合、塗料化してUV硬化塗料O2を得た。
(合成例9)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた300mlフラスコにメチルイソブチルケトン110部を仕込み、110℃まで昇温した。別にメタクリル酸2−ヒドロキシエチル20部、メタクリル酸ジシクロペンタニル70部(HLB値2.25)、メタクリル酸イソステアリル(iSMA)30部(HLB値−1.55)及び1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル3.6部を混合した。この溶液を2時間かけて滴下し3時間反応させ、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部、アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下して1時間反応させた。さらに、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下し、2時間反応させてメタクリル樹脂pを得た。メタクリル樹脂pは、固形分50.2%、水酸基価35.4mgKOH/gであった。
(実施例9)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに合成例9で得られたメタクリル樹脂p100部、イソシアネートエチルアクリレート8.9部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部、重合禁止剤ヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み、70℃で5時間反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートP1を得た。
【0049】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートP1を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート10部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184を0.45部混合、塗料化してUV硬化塗料P2を得た。
(合成例10)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた300mlフラスコにメチルイソブチルケトン110部を仕込み、110℃まで昇温した。別にメタクリル酸2−ヒドロキシエチル20部、メタクリル酸ジシクロペンタニル70部(HLB値2.25)、メタクリル酸ラウリル30部(HLB値1.3)及び1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル3.6部を混合した。この溶液を2時間かけて滴下し3時間反応させ、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下して1時間反応させた。さらに、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下し、2時間反応させてメタクリル樹脂qを得た。メタクリル樹脂qは、固形分50.2%、水酸基価35.4mgKOH/gであった。
(実施例10)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに合成例10で得られたメタクリル樹脂q100部、イソシアネートエチルアクリレート8.9部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部及び重合禁止剤ヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み、70℃で5時間反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートQ1を得た。
【0050】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートQ1を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート10部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184を0.45部混合、塗料化してUV硬化塗料Q2を得た。
(合成例11)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた300mlフラスコにメチルイソブチルケトン110部を仕込み、110℃まで昇温した。別にメタクリル酸2−ヒドロキシエチル20部、メタクリル酸シクロヘキシル70部(HLB値4.15)、メタクリル酸ベヘニル30部(HLB値−3.45)及び1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル3.6部を混合した。この溶液を2時間かけて滴下し3時間反応させ、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下して1時間反応させた。さらに、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下し、2時間反応させてメタクリル樹脂rを得た。メタクリル樹脂rは、固形分50.2%、水酸基価35.4mgKOH/gであった。
(実施例11)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに合成例11で得られたメタクリル樹脂r100部、イソシアネートエチルアクリレート8.9部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部及び重合禁止剤ヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み、70℃で5時間反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートR1を得た。
【0051】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートR1を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート10部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184を0.45部混合、塗料化してUV硬化塗料R2を得た。
(合成例12)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた300mlフラスコにメチルイソブチルケトン110部を仕込み、110℃まで昇温した。別にメタクリル酸2−ヒドロキシエチル20部、メタクリル酸2−エチルヘキシル(2−EHMA)70部(HLB値3.2)、メタクリル酸メチル30部及び1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル3.6部を混合した。この溶液を2時間かけて滴下し3時間反応させ、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部、アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下し1時間反応させた。さらに、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下し、2時間反応させてメタクリル樹脂sを得た。メタクリル樹脂sは、固形分50.2%、水酸基価35.4mgKOH/gであった。
(実施例12)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに合成例12で得られたメタクリル樹脂s100部、イソシアネートエチルアクリレート8.9部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部及び重合禁止剤ヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み、70℃で5時間反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートS1を得た。
【0052】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートS1を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート10部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184を0.45部混合、塗料化してUV硬化塗料S2を得た。
(合成例13)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた300mlフラスコにメチルイソブチルケトン110部を仕込み、110℃まで昇温した。別にメタクリル酸2-ヒドロキシエチル20部、メタクリル酸セチル(CMA)70部(HLB値−0.6)、メタクリル酸メチル30部及び1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル3.6部を混合した。この溶液を2時間かけて滴下し3時間反応させ、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部、アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下して1時間反応させた。さらに、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下し、2時間反応させてメタクリル樹脂tを得た。メタクリル樹脂tは、固形分50.2%、水酸基価35.4mgKOH/gであった。
(実施例13)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに合成例13で得られたメタクリル樹脂t100部、イソシアネートエチルアクリレート8.9部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部及び重合禁止剤ヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み、70℃で5時間反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートT1を得た。
【0053】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートT1を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート10部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184を0.45部混合、塗料化してUV硬化塗料T2を得た。
(合成例14)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた300mlフラスコにメチルイソブチルケトン110部を仕込み、110℃まで昇温した。別にメタクリル酸2-ヒドロキシエチル20部、メタクリル酸メチル64部、メタクリル酸ベヘニル36部(HLB値−3.45)、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル3.6部を混合した。この溶液を2時間かけて滴下し3時間反応させ、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下して1時間反応させた。さらに、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下し、2時間反応させてメタクリル樹脂uを得た。メタクリル樹脂uは、固形分50.2%、水酸基価35.4mgKOH/gであった。
(実施例14)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに合成例14で得られたメタクリル樹脂u100部、イソシアネートエチルアクリレート8.9部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部及び重合禁止剤ヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み、70℃で5時間反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートU1を得た。
【0054】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートU1を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート10部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184を0.45部混合、塗料化してUV硬化塗料U2を得た。
(合成例15)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた300mlフラスコにメチルイソブチルケトン110部を仕込み、110℃まで昇温した。別にメタクリル酸2−ヒドロキシエチル20部、メタクリル酸2−エチルヘキシル35部(HLB値3.2)、メタクリル酸ベヘニル35部(HLB値−3.45)、メタクリル酸メチル30部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル3.6部を混合した。この溶液を2時間かけて滴下し3時間反応させ、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部、アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下して1時間反応させた。さらに、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下し、2時間反応させてメタクリル樹脂wを得た。メタクリル樹脂wは、固形分50.2%、水酸基価35.4mgKOH/gであった。
(実施例15)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに合成例15で得られたメタクリル樹脂w100部、イソシアネートエチルアクリレート8.9部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部及び重合禁止剤ヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み、70℃で5時間反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートW1を得た。
【0055】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートW1を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート10部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184を0.45部混合、塗料化してUV硬化塗料W2を得た。
(実施例16)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに合成例1で得られたメタクリル樹脂a100部、イソシアネートエチルアクリレート8.9部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部及び重合禁止剤ヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み、70℃で5時間反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートA1を得た。
【0056】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートA1を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート20部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184を0.75部混合、塗料化してUV硬化塗料A3を得た。
(実施例17)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに合成例1で得られたメタクリル樹脂a100部、イソシアネートエチルアクリレート8.9部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部及び重合禁止剤ヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み、70℃で5時間反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートA1を得た。
【0057】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートA1を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート5部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184を0.3部混合、塗料化してUV硬化塗料A4を得た。
(実施例18)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに合成例1で得られたメタクリル樹脂a100部、イソシアネートエチルアクリレート8.9部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部及び重合禁止剤ヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み、70℃で5時間反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートA1を得た。
【0058】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートA1を20部、トリメチロールプロパントリアクリレート5部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184を0.45部混合、塗料化してUV硬化塗料A5を得た。
(実施例19)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに合成例1で得られたメタクリル樹脂a100部、イソシアネートエチルアクリレート8.9部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部及び重合禁止剤ヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み、70℃で5時間反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートA1を得た。
【0059】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートA1を20部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔共栄社化学(株)製、DPE−6A〕5部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184を0.45部混合、塗料化してUV硬化塗料A6を得た。
(実施例20)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに合成例1で得られたメタクリル樹脂a100部、イソシアネートエチルアクリレート8.9部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部及び重合禁止剤ヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み、70℃で5時間反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートA1を得た。
【0060】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートA1を10部、ペンタエリスリトールトリアクリレート〔共栄社化学(株)製、PE−3A〕5部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184を0.45部を混合、塗料化してUV硬化塗料A7を得た。
(実施例21)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに合成例1で得られたメタクリル樹脂a100部、イソシアネートエチルアクリレート8.9部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部及び重合禁止剤ヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み、70℃で5時間反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートA1を得た。
【0061】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートA1を10部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔共栄社化学(株)製、DPE−6A〕:トリプロピレングリコールジアクリレート〔ダイセル・ユーシービー(株)製、TPGDA〕=7:3(質量比)の混合液5部及びイルガキュア184を0.45部混合、塗料化してUV硬化塗料A8を得た。
(合成例16)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた300mlフラスコにメチルイソブチルケトン110部を仕込み、110℃まで昇温した。別にメタクリル酸メチル50部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル20部、メタクリル酸ジシクロペンタニル50部(HLB値2.25)及び1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル3.6部を混合した。この溶液を2時間かけて滴下し3時間反応させ、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部、アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下して1時間反応させた。さらに、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下し、2時間反応させてメタクリル樹脂kを得た。メタクリル樹脂kは、固形分50.2%、水酸基価35.4mgKOH/gであった。
(実施例22)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに合成例16で得られたメタクリル樹脂k100部、イソシアネートエチルアクリレート8.9部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部及び重合禁止剤ヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み、70℃で5時間反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートK1を得た。
【0062】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートK1を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート10部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184を0.45部混合、塗料化してUV硬化塗料K2を得た。
(合成例17)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた300mlフラスコにメチルイソブチルケトン110部を仕込み、110℃まで昇温した。別にメタクリル酸メチル64部、イソシアネートエチルメタクリレート20部、メタクリル酸ラウリル36部(HLB値1.3)及び1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル3.6部を混合した。この溶液を2時間かけて滴下し3時間反応させ、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部、アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下して1時間反応させた。さらに、メチルイソブチルケトン5部、1,1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル0.1部及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部を滴下し、2時間反応させてメタクリル樹脂nを得た。メタクリル樹脂nは、固形分50.2%であった。
(実施例23)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた200mlフラスコに合成例17で得られたメタクリル樹脂n100部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル6.2部、触媒のジラウリル酸ジブチル錫(IV)0.012部及び重合禁止剤ヒドロキノンモノメチルエーテル0.06部を仕込み、70℃で5時間反応させて活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートN1を得た。
【0063】
得られた(メタ)アクリル(メタ)アクリレートN1を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート10部、メチルエチルケトン10部及び光重合開始剤イルガキュア184を0.45部を混合、塗料化してUV硬化塗料N2を得た。
【0064】
上記の比較例3、比較合成例4及び5並びに合成例1〜17の組成及びHLB値を表2にまとめて示した。
【0065】
【表2】

<塗料性能評価>
以下の方法でUV硬化塗料の硬化塗膜を作製して評価した。すなわち、厚さ100μmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルム〔A4300、東洋紡(株)製〕上にバーコーターを用いて乾燥後の塗膜の膜厚が6μmになるように塗布し、80℃で2分間加熱乾燥後、出力120W/cmの高圧水銀灯で紫外線照射して硬化塗膜を形成した。その硬化塗膜について、透明性(ヘイズ値)、鉛筆硬度、密着性、接触角(水、擬似指紋液)、皮脂外観性、皮脂除去性及び指紋視認性を下記に示す方法で評価し、それらの結果を表3に示した。なお、表3中のMAMAは(メタ)アクリル(メタ)アクリレートを表し、MFCは多官能化合物を表す。
(1)透明性:JIS K 7105に基づくヘイズ値で評価した。このヘイズ値は、0.5以下であることが好ましい。
(2)鉛筆硬度:JIS K 5400に準拠して測定し、傷の入らない最も硬い鉛筆の番手で示した。鉛筆硬度は、2H以上であることが合格レベルである。
(3)密着性:JIS K 5400に記載の碁盤目法で試験した。そして、全くはがれの生じないものを〇、10%以下のはがれを生じるものを△、それ以外を×として評価した。
(4)接触角:硬化塗膜に3μlの純水又は擬似指紋液を滴下し、1秒後の接触角を5箇所測定して平均値を算出した。なお、接触角の測定には協和界面科学(株)製の接触角測定器を用いて測定した(単位;度)。
(5)皮脂外観性:20号のシリコーンゴム栓に擬似指紋液〔オレイン酸:オリーブ油:ホホバ油:スクアレン=6.1:29.3:47.5:17.1(質量比)〕を付着させて硬化塗膜にスタンプし、ヘイズ値の増加(ΔH)で評価した。ΔHは小さいほど付着した指紋液が見え難いことを示し、0.7以下が合格レベルである。
(6)皮脂除去性:(5)でスタンプした擬似指紋液を市販のティッシュで1回拭取った後のヘイズ値の変化(除去後のヘイズ値−初期のヘイズ値の差ΔH)で評価した。ΔHは小さいほど付着した指紋液の除去性が良いことを示し、2.0以下が合格レベルである。
(7)指紋視認性(目視評価):拳を握り、少し湿らした親指を硬化塗膜に垂直に5秒間押しつけ、24時間後の指紋視認性について次の4段階で目視による官能評価を行った。
【0066】
4;指紋が全く見えない、3;指紋が僅かに見える、2;指紋が薄いがはっきり見える、1;指紋がはっきり見える。
(8)指紋視認性(入射角):拳を握り、少し湿らした親指を硬化塗膜に垂直に5秒間押しつけて付着させた後、任意の入射角(受光面の法線が光の方向に対してなす角)で白色蛍光灯を指紋に当て、その正反射光を観察し指紋を目視で確認できるようになる入射角の値によって評価を行った。指紋視認性が良好な場合には、指紋を目視で確認できる入射角の値が大きくなる。
【0067】
【表3】

表3に示したように、実施例1〜23においては硬化塗膜の鉛筆硬度が2H以上であり、皮脂外観性が0.5以下であると共に、皮脂除去性が2.0以下であって、いずれも優れた結果を示した。一方、比較例1及び2では、親油性モノマーを含む(メタ)アクリル(メタ)アクリレートを用いなかったため、皮脂外観性及び皮脂除去性が発揮されなかった。比較例3では、メタクリル樹脂を(メタ)アクリル化しなかったため、メタクリル樹脂が可塑剤として働き、硬化塗膜の硬度が不足した。比較例4では、親油性モノマーとしてHLB値が4.5を超えるモノマーを用いた結果、皮脂外観性及び皮脂除去性が悪化した。比較例5では、親油性モノマーとフッ素系モノマーを併用したため撥油性が上がり、指紋視認性やヘイズ値が悪化した。比較例6では、親油性モノマーの含有量がモノマー混合物中に30質量%を下回ったため、親油性が低下し、指紋視認性やヘイズ値が悪化した。
【0068】
なお、本実施形態を、次のように変更して実施することも可能である。
・ 前記(メタ)アクリル樹脂を形成するモノマーとしてアクリル系モノマーを用いてアクリル樹脂を調製し、多官能化合物としてメタクリル系モノマーを用いることもできる。この場合、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化には電子線を使用することが望ましい。
【0069】
・ 前記多官能化合物として、親油性を示す化合物を用い、硬化物の親油性を高めるように構成することも可能である。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0070】
・ 前記第1反応性官能基はヒドロキシル基であり、第2反応性官能基はイソシアネート基であることを特徴とする請求項5に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。このように構成した場合、請求項5に係る発明の効果に加えて、(メタ)アクリル樹脂を容易に調製することができると共に、(メタ)アクリル樹脂のヒドロキシル基と第2反応性官能基のイソシアネート基とを速やかに反応させることができる。
【0071】
・ 前記多官能化合物は、活性エネルギー線硬化性官能基を3又はそれ以上有する(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。このように構成した場合、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加えて、硬化物の機械的強度を高めることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性エネルギー線硬化性官能基を有する(メタ)アクリル(メタ)アクリレートと、複数の活性エネルギー線硬化性官能基を有する多官能化合物と、光重合開始剤とを含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、
前記(メタ)アクリル(メタ)アクリレートは、アルキル基又はシクロアルキル基を有する親油性モノマーを30質量%以上及び第1反応性官能基を有する(メタ)アクリルモノマーを含有するモノマー混合物を重合させてなる(メタ)アクリル樹脂と前記(メタ)アクリルモノマーの第1反応性官能基と反応する第2反応性官能基及び活性エネルギー線硬化性官能基を有するモノマーとを反応させてなり、かつ親油性モノマーのアルキル基又はシクロアルキル基のデイビス法により算出される親水親油バランス値(HLB値)が4.5以下であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項2】
前記親油性モノマーは、そのアルキル基又はシクロアルキル基のデイビス法により算出されるHLB値が−4.0〜4.2であることを特徴とする請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項3】
前記親油性モノマーは、炭素数8〜22のアルキル基又は炭素数6〜12のシクロアルキル基を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項4】
前記親油性モノマーのモノマー混合物中における含有量は50〜85質量%であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項5】
前記第1反応性官能基と第2反応性官能基とは、ヒドロキシル基又はグリシジル基とイソシアネート基又はカルボキシル基との組合せであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。

【公開番号】特開2011−32365(P2011−32365A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179859(P2009−179859)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(392007566)ナトコ株式会社 (42)
【Fターム(参考)】