説明

活性ビタミンK依存性タンパク質を生産するための方法及び組成物

本発明は、被験者においてVKOR遺伝子内の一塩基多型の存在を検出する工程であって、一塩基多型はワルファリンに対する高い又は低い感受性と関連付けられており、それによってワルファリンに対して高い又は低い感受性を有する被験者を特定する工程とを含む、ワルファリンに対して高い又は低い感受性を有するヒト被験者を特定する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一部には、国立衛生研究所より認可番号5P01 HL06350−42及び5−R01 HL48318の助成を得て為された。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【0002】
本発明は、単離された核酸、前記単離された核酸を含む宿主細胞、及びそれらの使用方法、並びにビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)遺伝子内の一塩基多型(SNP)の特定及びワルファリンに対する感受性とのそれらの相関を対象とする方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
数多くのタンパク質の機能は、複数のグルタミン酸残基のγ−カルボキシグルタミン酸塩への修飾を必要とする。これらのビタミンK依存性(VKD)凝固タンパク質の中で、FIX(クリスマス因子)、FVII及びプロトロンビンは最もよく知られている。マトリックスGlaタンパク質についての遺伝子のノックアウトがマウス動脈の石灰化を生じさせるという所見(Luo et al.(1997)「Spontaneous calcification of arteries and cartilage in mice lacking matrix GLA protein」Nature 386:78−81)は、凝固以外の機能を有するタンパク質にとってのビタミンKサイクルの重要性を強調する。さらに、Gas6及び未知の機能の他のGlaタンパク質が神経組織において発現され、胎内でのワルファリン暴露は精神遅滞及び顔面異常を生じさせる。これは、Gla修飾を実行する酵素、VKDカルボキシラーゼの発現が一時的に組織特異的に調節され、初期胚段階の間神経系において高発現されるという所見と一致する。カルボキシル化と同時に、反応の共基質である還元型ビタミンKがビタミンKエポキシドに変換される。ヒトの食事におけるビタミンKの量は限られているので、その枯渇を防ぐためビタミンKエポキシドはビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)によって再びビタミンKに戻されねばならない。最も広く使用されている抗凝固薬、ワルファリンは、VKORを標的化し、ビタミンKの再生を予防する。その結果は還元型ビタミンKの濃度低下であり、これは、γグルタミルカルボキシラーゼによるカルボキシル化の割合の低下及び低カルボキシル化ビタミンK依存性タンパク質の産生を生じさせる。
【0004】
米国だけで、ワルファリンは年間百万人を超える患者に処方されており、オランダでは、人口の約2%が長期的なワルファリン治療を受けていると報告された。抗凝固の治療のために必要なワルファリンの量は患者によって大きく異なるので、ワルファリンの使用は副作用の重大な危険性を伴う。例えばワルファリン治療の開始後、重大な出血の発症が患者の1〜2%で発生し、患者の0.1〜0.7%で死亡が起こったことが報告されている。その危険性にもかかわらず、ワルファリンの使用は、誘発される出血の発症1回につき20回の発作を予防することができ、おそらく誘発出血の恐れのために過少利用されていると推定された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、被験者における一塩基多型をワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関させ、それによって被験者への低い危険度でワルファリンの治療及び維持用量のより正確で迅速な決定を可能にするための方法及び組成物を提供することにより、当分野におけるこれまでの欠点を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被験者においてVKOR遺伝子内の一塩基多型の存在を検出し、一塩基多型をワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関させ、それによってワルファリンに対して高い又は低い感受性を有する被験者を特定することを含む、ワルファリンに対して高い又は低い感受性を有するヒト被験者を特定する方法を提供する。
【0007】
さらに、a)VKOR遺伝子内の一塩基多型の存在をワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関させること;及びb)被験者において工程(a)の一塩基多型を検出し、それによってワルファリンに対して高い又は低い感受性を有する被験者を識別すること、を含む、ワルファリンに対して高い又は低い感受性を有するヒト被験者を識別する方法が提供される。
【0008】
さらなる実施形態では、本発明は、
a)ワルファリンに対して高い又は低い感受性を有する被験者を識別する工程と、
b)被験者においてVKOR遺伝子内の一塩基多型の存在を検出する工程と、
c)工程(b)の一塩基多型の存在を、被験者におけるワルファリンへの高い又は低い感受性と相関させ、それによってワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関するVKOR遺伝子内の一塩基多型を識別する工程と
を含む、ワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関するVKOR遺伝子内の一塩基多型を識別する方法を提供する。
【0009】
加えて、本発明は、a)ワルファリンに対して高い又は低い感受性を有する被験者を識別する工程と、b)(a)の被験者のVKOR遺伝子のヌクレオチド配列を決定する工程と、c)工程(b)のヌクレオチド配列をVKOR遺伝子の野生型ヌクレオチド配列と比較する工程と、d)(b)のヌクレオチド配列内の一塩基多型を検出する工程と、e)(d)の一塩基多型を、(a)の被験者におけるワルファリンへの高い又は低い感受性と相関させる工程とを含む、被験者のVKOR遺伝子内の一塩基多型をワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関させる方法を提供する。
【0010】
本発明のさらなる態様は、ビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)、特に哺乳動物(例えばヒト、ヒツジ、ウシ、サル等)VKORをコードする単離された核酸である。例は、(a)配列番号8又は配列番号9に示すヌクレオチド配列を有する単離された核酸などの、本明細書で開示する核酸;(b)上記(a)の単離された核酸又はその相補物にハイブリダイズする(例えばストリンジェント条件下で)、及び/又は上記(a)の核酸と実質的な配列同一性を有する(例えば上記(a)の核酸と80、85、90、95又は99%同一である)、及びVKORをコードする核酸;及び(c)遺伝暗号の縮重により上記(a)又は(b)の核酸とは異なるが、上記(a)又は(b)の核酸によってコードされるVKORをコードする核酸を含む。
【0011】
本明細書で使用する「ストリンジェント」という用語は、ハイブリダイゼーション手順の産物を定義するために当分野で一般的に理解されているハイブリダイゼーション条件を指す。ストリンジェンシー条件は、低、高又は中であり得、それらの用語は、当分野で一般的に知られ、当業者によって広く認識されている通りである。相同なヌクレオチド配列が本明細書で示すようなヌクレオチド配列にハイブリダイズすることを許容する高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、当分野において周知である。一例として、本明細書で開示する核酸分子へのそのような配列のハイブリダイゼーションは、約60%の相同性の配列のハイブリダイゼーションを可能にするために、25%ホルムアミド、5×SSC及び0.1%SDS、42℃の洗浄条件を伴って、25%ホルムアミド、5×SSC、5×デンハルト溶液及び5%硫酸デキストラン中で42℃にて実施することができる。もう1つの例は、6×SSC、0.1%SDS、約45℃のハイブリダイゼーション条件、続いて0.2×SSC、0.1%SDS、50〜65℃の洗浄条件を含む。ストリンジェント条件のもう1つの例は、標準ハイブリダイゼーションアッセイ(引用することにより本明細書の一部をなすものとする、SAMBROOK et al.,EDS.,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL 2d ed.(Cold Spring Harbor,NY 1989)参照)を用いて、0.3MのNaCl、0.03Mのクエン酸ナトリウム、0.1%SDS、60〜70℃の洗浄ストリンジェンシーによって示される。様々な実施形態において、ストリンジェント条件は、例えば高度にストリンジェントな(すなわち高ストリンジェンシー)条件(例えば0.5MのNaHPO4、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mMのEDTA中65℃でのろ過結合DNAへのハイブリダイゼーション、及び0.1×SSC/0.1%SDS中68℃での洗浄)、及び/又は中等度にストリンジェントな(すなわち中ストリンジェンシー)条件(例えば0.2×SSC/0.1%SDS中42℃での洗浄)を含んでもよい。
【0012】
本発明のさらなる態様は、異種プロモーターに作動可能に連結された、本明細書で述べるビタミンKエポキシドレダクターゼをコードする核酸を含む組換え核酸である。
【0013】
本発明のさらなる態様は、上述した組換え核酸を含み及び発現する細胞である。適切な細胞は、植物、動物、哺乳動物、昆虫、酵母及び細菌細胞を含む。
【0014】
本発明のさらなる態様は、本明細書で述べるVKORをコードする単離された核酸にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドである。
【0015】
本発明のさらなる態様は、本明細書で述べる核酸によってコードされる、単離され、及び精製されたVKOR(例えば均質に精製されたVKOR)である。例えば本発明のVKORは、配列番号10に示すアミノ酸配列を含んでもよい。
【0016】
本発明のさらなる態様は、ビタミンKの存在下でビタミンK依存性タンパク質をコードする核酸を発現し、ビタミンK依存性タンパク質を生産する宿主細胞を培養する工程と、及びその後培養物からビタミンK依存性タンパク質を採集する工程とを含み、前記宿主細胞が、ビタミンK依存性カルボキシラーゼをコードする異種核酸を含み及び発現し、及び前記宿主細胞が、ビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)をコードする異種核酸をさらに含み及び発現し、及び本明細書で述べるVKORを生産する、ビタミンK依存性タンパク質を産生する方法である。そのため、本発明はさらに、ビタミンK依存性カルボキシラーゼをコードする異種核酸及びビタミンKエポキシドレダクターゼをコードする異種核酸を含む細胞を提供する。細胞は、核酸が細胞にとって異種であり得るか又は細胞にとって内在性であり得る、ビタミンK依存性タンパク質をコードする核酸をさらに含み得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本明細書で使用する、「a」、「an」又は「the」は、1又は1より大きいことを意味し得る。例えば「a」cellは、1個の細胞又は複数の細胞を意味し得る。
【0018】
本発明を以下でより詳細に説明する。この説明は、本発明を実施し得る種々の方法の全て、又は本発明に追加し得る全ての特徴を詳細に列挙するものであることを意図しない。例えば1つの実施形態に関して説明する特徴が他の実施形態に組み込まれることが可能であり、特定の実施形態に関して説明する特徴がその実施形態から削除され得る。加えて、本発明から逸脱しない、本明細書で示唆する様々な実施形態に対する数多くの変形及び追加は、本開示に照らして当業者には明白である。そのため、以下の明細書は本発明の一部の特定の実施形態を説明するものであり、その全ての置換、組合せ及び変形を網羅的に特定することを意図しない。
【0019】
本明細書に添付する「配列表」は、本明細書で完全に記述されているかのごとくに本明細書の一部をなすものとする。
【0020】
本発明は、本開示に基づき、及びそれらの開示が本明細書で完全に記述されているかのごとくにその全体が、引用することにより本明細書の一部をなすものとする、StaffordとWuへの米国特許第5,268,275号及びStaffordとChangへの米国特許第6,531,298号に述べられているものを含むがそれらに限定されない、当分野で公知の方法、成分及び特徴をさらに利用して実施し得る。
【0021】
本明細書で使用する、「核酸」は、cDNA、ゲノムDNA、合成(例えば化学合成された)DNA及びRNAとDNAのキメラを含む、RNA及びDNAの両方を包含する。核酸は二本鎖又は一本鎖であり得る。一本鎖である場合、核酸はセンス鎖又はアンチセンス鎖であり得る。核酸は、オリゴヌクレオチド類似体又は誘導体(例えばイノシン又はホスホロチオエートヌクレオチド)を用いて合成し得る。そのようなオリゴヌクレオチドは、例えば変化した塩基対合能力又はヌクレアーゼに対する高い抵抗性を有する核酸を産生するために使用できる。
【0022】
「単離された核酸」は、それが由来する生物の天然に生じるゲノムにおいて直接隣接するコード配列の両方(一方は5’末端側及び一方は3’末端側)と直接隣接していないDNA又はRNAである。1つの実施形態では、単離された核酸は、コード配列に直接隣接する5’非コード(例えばプロモーター)配列の一部又は全部を含む。この用語は、例えばベクター、自律複製プラスミド又はウイルス、又は原核生物又は真核生物のゲノムDNAに組み込まれた、又は他の配列とは無関係に別の分子(例えばPCR又は制限エンドヌクレアーゼ処理によって生産されるcDNA又はゲノムDNAフラグメント)として存在する、組換えDNAを含む。またこの用語は、付加的なポリペプチド配列をコードする雑種遺伝子の一部である組換えDNAも包含する。
【0023】
「単離された」という用語は、細胞材料、ウイルス材料、又は培地(組換えDNA手法によって生産されるとき)、又は化学的前駆体又は他の化学物質(化学合成されるとき)を実質的に含まない核酸又はポリペプチドを表わし得る。さらに、「単離された核酸フラグメント」は、フラグメントとして天然では生じず、天然の状態では認められない核酸フラグメントである。
【0024】
「オリゴヌクレオチド」という用語は、例えばPCR増幅におけるプライマーとして又はハイブリダイゼーションアッセイ又はマイクロアレイにおけるプローブとして使用できる、少なくとも約6ヌクレオチドから約100ヌクレオチド、例えば約15から30ヌクレオチド、又は約20から25ヌクレオチドの核酸配列を指す。オリゴヌクレオチドは、天然又は合成であり得、例えばDNA、RNA、修飾された骨格等であり得る。
【0025】
特定のヌクレオチド配列が標準ヌクレオチド配列に対して特定の同一性パーセントを有すると言われる場合、同一性パーセントは標準ヌクレオチド配列に対してである。例えば100塩基長の標準ヌクレオチド配列に対して50%、75%、85%、90%、95%又は99%同一であるヌクレオチド配列は、標準ヌクレオチド配列の50、75、85、90、95又は99ヌクレオチドの配列と完全に同一である50、75、85、90、95又は99個の塩基を有し得る。前記ヌクレオチド配列はまた、その長さ全体にわたって標準ヌクレオチド配列と50%、75%、85%、90%、95%又は99%同一である100塩基長のヌクレオチド配列であり得る。言うまでもなく、同じ判定基準に同様に合致する他のヌクレオチド配列が存在する。
【0026】
VKORヌクレオチド配列と「実質的に同一」である核酸配列は、配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列と少なくとも80%、85%、90%、95%又は99%同一である。核酸の比較のために、標準核酸配列の長さは一般に少なくとも40ヌクレオチド、例えば少なくとも60ヌクレオチド又はそれ以上のヌクレオチドである。配列同一性は、配列解析ソフトウエア(例えばthe Genetics Computer Group,University of Wisconsin Biotechnology Center,1710 University Avenue,Madison,Wis.53705のSequence Analysis Software Package)を用いて測定することができる。
【0027】
当分野で公知のように、核酸又はアミノ酸が公知の配列と配列同一性又は類似性を有するかどうかを識別するために多くの異なるプログラムが使用できる。配列同一性又は類似性は、Smith & Waterman,Adv.Appl.Math.2,482(1981)の局所的配列同一性アルゴリズム、Needleman & Wunsch,J.Mol.Biol.48,443(1970)の配列同一性アラインメントアルゴリズム、Pearson & Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性検索法、これらのアルゴリズムのコンピュータでの実施(the Wisconsin Genetics Software PackageのGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA、Genetics Computer Group,575 Science Drive,Madison,WI)、Devereux et al.,Nucl.Acid Res.12,387−395(1984)によって記述されたBest Fit配列プログラムを含むが、これらに限定されない、当分野で公知の標準手法を用いて、好ましくはデフォルト設定を用いて、又は検査によって決定し得る。
【0028】
有用なアルゴリズムの一例はPILEUPである。PILEUPは、累進・ペアワイズアラインメントを用いて関連配列の群から多重配列アラインメントを創りだす。また、アラインメントを創りだすために使用したクラスター化関係を示すツリーを描画することができる。PILEUPは、Feng & Doolittle,J.Mol.Evol.35,351−360(1987)の累進整列法の単純化を使用している。この方法は、Higgins & Sharp,CABIOS 5:151−153(1989)が述べた方法に類似する。
【0029】
有用なアルゴリズムのもう1つの例は、Altschul et al.,J.Mol.Biol.215,403−410,(1990)及びKarlin et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,5873−5787(1993)に述べられている、BLASTアルゴリズムである。特に有用なBLASTアルゴリズムは、Altschul et al.,Methods in Enzymology,266,460−480(1996)から得られたWU−BLAST−2プログラムである。WU−BLAST−2は、好ましくはデフォルト値に設定された、いくつかの検索パラメータを使用する。パラメータは動的な値であり、特定配列の組成物及びそれに対して関心ある配列を検索する特定データベースの組成物に依存して、プログラム自体によって確立される。しかし、その数値は感受性を高めるように調整し得る。さらなる有用なアルゴリズムは、Altschul et al.Nucleic Acids Res.25,3389−3402によって報告されたギャップBLASTである。
【0030】
CLUSTALプログラムも配列類似性を決定するために使用できる。このアルゴリズムは、Higgins et al.(1988)Gene 73:237;Higgins et al.(1989)CABIOS 5:151−153;Corpet et al.(1988)Nucleic Acids Res.16:10881−90;Huang et al.(1992)CABIOS 8:155−65;及びPearson et al.(1994)Meth.Mol.Biol.24:307−331によって記載されている。
【0031】
加えて、本明細書で開示する核酸より多い又はより少ないヌクレオチドを含む配列に関しては、1つの実施形態では、配列同一性のパーセンテージはヌクレオチド塩基の総数に対する同一ヌクレオチドの数に基づいて決定されることが理解される。そのため、例えば本明細書で特定して開示する配列よりも短い配列の配列同一性は、1つの実施形態では、より短い配列のヌクレオチド塩基の数を用いて決定される。同一性パーセントの算定においては、挿入、欠失、置換等のような配列変化の様々な徴候(manifestations)には相対的な重みを割り当てない。
【0032】
本発明のVKORポリペプチドは、組換えポリペプチド、合成ペプチド及び天然ポリペプチドを含むが、これらに限定されない。本発明はまた、天然に生じるアミノ酸配列が変化又は欠失しているVKORポリペプチドの形態をコードする核酸配列も包含する。好ましい核酸は、通常の生理的条件下で可溶性であるポリペプチドをコードする。VKORの全部又は一部が、無関係なポリペプチド(例えばマーカーポリペプチド又は融合パートナー)に融合して創られている融合タンパク質をコードする核酸も、本発明の範囲内である。例えばポリペプチドは、細菌において発現されるポリペプチドの精製を容易にするためのヘキサヒスチジンタグ、又は真核細胞において発現されるポリペプチドの精製を容易にするための赤血球凝集素タグ、又はアフィニティークロマトグラフィー又は免疫沈降法によるポリペプチドの精製を容易にするためのHPC4タグに融合することができる。本発明はまた、第一部分と第二部分を含む単離されたポリペプチド(及びこれらのポリペプチドをコードする核酸)を含む。第一部分は、例えばVKORポリペプチドの全部又は一部を含み、第二部分は、例えば検出マーカーを含む。
【0033】
融合パートナーは、例えば分泌を促進するポリペプチド、例えば分泌配列であり得る。そのような融合ポリペプチドは、典型的にはプレタンパク質と称される。分泌配列は、成熟タンパク質を形成するために細胞によって切断され得る。不活性なプレタンパク質を生産するためにポリペプチド配列に融合されたVKORをコードする核酸も本発明の範囲内である。プレタンパク質は、不活性化配列の除去によって活性形態のタンパク質に変換され得る。
【0034】
本発明はまた、例えばストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で(本明細書で定義するような)、配列番号1〜6、配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列又はそれらの相補物の全部又は一部にハイブリダイズする核酸を含む。特定の実施形態では、ハイブリダイズする核酸のハイブリダイズ部分は、典型的には少なくとも15(例えば20、30又は50)ヌクレオチドの長さである。ハイブリダイズする核酸のハイブリダイズ部分は、VKORポリペプチドをコードする核酸の一部又は全部の配列と少なくとも80%、例えば少なくとも95%、少なくとも98%又は100%同一である。本明細書に記載する種類のハイブリダイズ核酸は、例えばクローニングプローブ、プライマー(例えばPCRプライマー)、又は診断プローブとして使用することができる。例えば本明細書に記載する及び当分野において公知である活性アッセイにおいて測定したとき、VKORの機能を阻害する阻害性低分子RNA(siRNA)及び/又はアンチセンスRNAも本発明の範囲内に含まれる。
【0035】
もう1つの実施形態では、本発明は、本発明の核酸を含む細胞、例えば形質転換細胞を特徴とする。「形質転換された細胞」は、組換え核酸手法によって、VKORポリペプチドの全部又は一部をコードする核酸、及び/又はアンチセンス核酸又はsiRNAが導入されている(又はその祖先に導入されている)細胞である。原核細胞及び真核細胞の両方、例えば細菌、酵母、昆虫、マウス、ラット、ヒト、植物等が含まれる。
【0036】
本発明はまた、発現を可能にするために転写及び/又は翻訳制御エレメントに作動可能に連結された本発明の核酸を含む核酸構築物(例えばベクター及びプラスミド)、例えば発現ベクターを特徴とする。「作動可能に連結された」とは、選択された核酸、例えばVKORポリペプチドをコードするDNA分子が、調節エレメントが選択された核酸の転写及び/又は翻訳を制御できるように配列の転写及び/又は翻訳を指令する、1以上の調節エレメント、例えばプロモーターに隣接して位置することを意味する。
【0037】
本発明はさらに、プライマー又はプローブとして使用できる、本発明の核酸のフラグメント又はオリゴヌクレオチドを提供する。そのため、一部の実施形態では、本発明のフラグメント又はオリゴヌクレオチドは、配列番号8又は配列番号9に示すヌクレオチド配列の少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、1000、1500、2000、2500又は3000の隣接ヌクレオチドであるヌクレオチド配列である。本発明のオリゴヌクレオチドの例は、本明細書に含まれる配列表において提供される。そのようなフラグメント又はオリゴヌクレオチドは、例えば、増幅(例えばPCR)アッセイにおけるプライマーとして使用するとき、制限酵素切断部位を含むため及び/又は組み込むために、検出可能に標識又は修飾することができる。
【0038】
本発明はまた、例えば配列番号10のアミノ酸配列又はその生物活性フラグメント又はペプチドを含む、基本的にそれらからなる及び/又はそれらからなるポリペプチドのような、精製された又は単離されたVKORポリペプチドを特徴とする。そのようなフラグメント又はペプチドは、典型的には配列番号10のアミノ酸配列の少なくとも約10アミノ酸(例えば配列番号10のアミノ酸配列の15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、75、85、95、100、125又は150アミノ酸)であり、VKORタンパク質のアミノ酸配列(例えば配列番号10に示す)に隣接するアミノ酸のペプチド又はフラグメントであり得る。本発明のフラグメント又はペプチドの生物活性は、本明細書で提供する方法に従って及びVKOR活性を識別するために当分野において公知であるように測定することができる。本発明のVKORタンパク質のフラグメント及びペプチドはまた、抗体の産生のための抗原として活性であり得る。本発明のフラグメント又はペプチド上のエピトープの特定は周知のプロトコールによって実施され、当業者の技術範囲内である。
【0039】
本明細書で使用する、「タンパク質」及び「ポリペプチド」はどちらも、長さ又は翻訳後の修飾(例えばグリコシル化、リン酸化又はN−ミリスチル化)に関わりなく、アミノ酸の任意の鎖を意味する。そのため、「VKORポリペプチド」という用語は、それぞれ完全長の天然に生じるVKORタンパク質、並びに完全長の天然に生じるVKORタンパク質又は天然に生じる又は合成VKORポリペプチドの一部に対応する、組換え又は合成によって生産されるポリペプチドを含む。
【0040】
「精製された」又は「単離された」化合物又はポリペプチドは、関心ある化合物、例えば天然に生じる生物又はウイルスのその他の成分の少なくとも一部、例えば細胞又はウイルス構造成分又はそのポリペプチドに関連して一般的に認められる他のポリペプチド又は核酸から分離されているか、又はそれらを実質的に含まないVKORポリペプチド又は抗体の少なくとも60重量%の組成物である。本明細書で使用する、「単離された」ポリペプチドは、少なくとも約25%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%以上(w/w)純粋である。好ましくは、調製品は関心ある化合物の少なくとも75重量%(例えば少なくとも90重量%又は99重量%)である。純度は、適切な標準的方法、例えばカラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又はHPLC分析によって測定することができる。
【0041】
好ましいVKORポリペプチドは、天然に生じるVKORポリペプチドの全部又は一部と実質的に同一の配列を含む。本明細書で述べるVKORポリペプチド配列と「実質的に同一の」ポリペプチドは、配列番号10のVKORポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも80%又は85%(例えば90%、95%又は99%)同一であるアミノ酸配列を有する。比較のために、標準VKORポリペプチドの長さは、一般に少なくとも16アミノ酸、例えば少なくとも20、25、30、35、40、45、50、75又は100アミノ酸である。
【0042】
標準配列と100%未満同一であるポリペプチドの場合、同一でない位置は、好ましくは、しかし必ずではないが、標準配列についての保存的置換である。保存的置換は、典型的には以下の群の中での置換を含むが、これらに限定されない:グリシン及びアラニン;バリン、イソロイシン及びロイシン;アスパラギン酸及びグルタミン酸;アスパラギン及びグルタミン;セリン及びトレオニン;リシン及びアルギニン;及びフェニルアラニン及びチロシン。
【0043】
特定ポリペプチドが、定義された長さの標準ポリペプチドと特定の同一性パーセントを有すると言われるとき、同一性パーセントは標準ポリペプチドに対してである。そのため、例えば100アミノ酸長の標準ポリペプチドに対して50%、75%、85%、90%、95%又は99%同一であるポリペプチドは、標準ポリペプチドの50、75、85、90、95又は99アミノ酸長部分と完全に同一である50、75、85、90、95又は99アミノ酸のポリペプチドであり得る。それはまた、その長さ全体にわたって標準ポリペプチドと50%、75%、85%、90%、95%又は99%同一である100アミノ酸長のポリペプチドであり得る。言うまでもなく、他のポリペプチドも同じ判定基準に同様に合致する。
【0044】
本発明はまた、本発明のVKORポリペプチド又はそのフラグメントに特異的に結合する精製された抗体又は単離された抗体を特徴とする。「特異的に結合する」とは、抗体が、特定抗原、例えばVKORポリペプチド、又はVKORポリペプチドのフラグメント又はペプチド上のエピトープを認識し、それに結合するが、試料中の他の分子を実質的に認識せず、それに結合しないことを意味する。1つの実施形態では、抗体はモノクローナル抗体であり、他の実施形態では、抗体はポリクローナル抗体である。キメラ抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体、二重特異性抗体、抗体フラグメント等を含む、モノクローナル抗体とポリクローナル抗体の両方の生産が当分野において周知である。
【0045】
もう1つの態様では、本発明は、試料中のVKORポリペプチドを検出するための方法を特徴とする。この方法は、試料を、VKORポリペプチド又はそのフラグメントに特異的に結合する抗体と、抗体とVKORとの間での複合体の形成を可能にする条件下で接触させる工程と、試料中のVKORポリペプチド又はそのフラグメントの検出として、もし存在する場合は、複合体の形成を検出する工程とを含む。そのような免疫測定法は当分野において周知であり、免疫沈降法、免疫ブロット法、免疫標識アッセイ、ELISA等を含む。
【0046】
本発明はさらに、試料を、VKOR又はそのフラグメントをコードする本発明の核酸、又はVKOR又はそのフラグメントをコードする核酸の相補物と、ハイブリダイゼーション複合体が形成し得る条件下で接触させる工程と、ハイブリダイゼーション複合体の形成を検出し、それによって試料中のVKORポリペプチドをコードする核酸を検出する工程とを含む、試料中のVKORポリペプチドをコードする核酸を検出する方法を提供する。そのようなハイブリダイゼーションアッセイは当分野において周知であり、プローブ検出アッセイ及び核酸増幅アッセイを含む。
【0047】
VKOR遺伝子に関連する遺伝子(すなわちVKOR遺伝子の機能的ホモログ)を得る方法も、本発明に包含される。そのような方法は、VKORの全部又は一部をコードする単離された核酸又はそのホモログを含む検出可能に標識されたプローブを得る工程又は産生する工程と、核酸フラグメントライブラリーを、プローブがライブラリー内の核酸フラグメントにハイブリダイズすることを可能にする条件下にて、標識プローブでスクリーニングする工程と、それによって核酸二重鎖を形成する工程と、標識された二重鎖を、もし存在する場合は、単離する工程と、VKOR遺伝子に関連する遺伝子を得るために、標識された二重鎖内の核酸フラグメントから完全長遺伝子配列を産生する工程と、を伴う。
【0048】
本発明のさらなる態様は、ビタミンKの存在下で、ビタミンK依存性タンパク質を生産する、ビタミンK依存性タンパク質をコードする核酸を発現する細胞を培養する工程と、その後培地からビタミンK依存性タンパク質を採集する工程とを含み、前記細胞が、ビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)をコードする外来性核酸を含み及び発現し、それによってVKORを生産する、及び一部の実施形態では、前記細胞がビタミンK依存性カルボキシラーゼをコードする外来性核酸を含み及び発現し、それによって本明細書で述べるようにビタミンK依存性カルボキシラーゼを生産する、ビタミンK依存性タンパク質を産生する方法である。一部の実施形態では、VKORをコードする核酸の発現及びVKORの生産は、細胞に、VKORの非存在下で又はVKORとカルボキシラーゼの非存在下で生産されるよりも高いレベルのビタミンK依存性タンパク質及び/又は高いレベルの活性(例えば完全カルボキシル化)ビタミンK依存性タンパク質を生産させる。
【0049】
そのため、一部の実施形態では、本発明はまた、
a)ビタミンK依存性タンパク質をコードする核酸を、核酸が発現され、ビタミンKの存在下でビタミンK依存性タンパク質が生産される条件下で、ビタミンK依存性カルボキシラーゼをコードする異種核酸を含み、ビタミンKエポキシドレダクターゼをコードする異種核酸をさらに含む細胞に導入する工程と、
b)場合により細胞からビタミンK依存性タンパク質を収集する工程と
を含む、ビタミンK依存性タンパク質を生産する方法を提供する。
【0050】
本発明はまた、ビタミンK依存性タンパク質をコードする第一の核酸を発現する細胞に、ビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)をコードする第二の異種核酸を、前記第一の核酸及び第二の核酸がそれぞれ発現されてビタミンK依存性タンパク質及びVKORを生産する条件下で導入することを含む、細胞内のカルボキシル化ビタミンK依存性タンパク質の量を増加させる方法を提供する。
【0051】
ビタミンK依存性タンパク質をコードする第一の核酸を発現する細胞に、ビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)をコードする第二の異種核酸を、前記第一の核酸及び第二の核酸がそれぞれ発現されてビタミンK依存性タンパク質及びVKORを生産する条件下で導入することを含む、ビタミンK依存性タンパク質のカルボキシル化を増加させる方法が本明細書でさらに提供される。
【0052】
加えて、本発明は、ビタミンK依存性タンパク質をコードする第一の核酸を発現する細胞に、ビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)をコードする第二の異種核酸を、前記第一の核酸及び第二の核酸がそれぞれ発現されてビタミンK依存性タンパク質及びVKORを生産する条件下で導入することを含み、VKORの存在下で細胞において生産されるカルボキシル化ビタミンK依存性タンパク質の量が、VKORの非存在下で細胞において生産されるカルボキシル化ビタミンK依存性タンパク質の量に比べて増加している、細胞においてカルボキシル化(例えば完全カルボキシル化)ビタミンK依存性タンパク質を生産する方法を提供する。
【0053】
さらに、本発明は、ビタミンK依存性タンパク質をコードする第一の核酸を発現する細胞に、ビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)をコードする第二の異種核酸を、前記第一の核酸及び第二の核酸がそれぞれ発現されてビタミンK依存性タンパク質及びVKORを生産する条件下で導入することを含み、VKORの存在下で細胞において生産されるビタミンK依存性タンパク質の100%、90%、80%、70%又は60%がカルボキシル化(例えば完全カルボキシル化)されている、細胞においてビタミンK依存性タンパク質を生産する方法を提供する。
【0054】
また、ビタミンK依存性タンパク質をコードする第一の核酸を発現する細胞に、ビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)をコードする第二の異種核酸を、前記第一の核酸及び第二の核酸がそれぞれ発現されてビタミンK依存性タンパク質及びVKORを生産する条件下で導入することを含む、細胞においてビタミンK依存性タンパク質を生産する方法も本明細書に含まれる。
【0055】
上述した方法の一部の実施形態では、細胞は、ウシビタミンK依存性カルボキシラーゼであり得るが、これに限定されない、ビタミンK依存性カルボキシラーゼをコードする第三の核酸をさらに含み得る。特定の実施形態では、ビタミンK依存性カルボキシラーゼは、ビタミンKγグルタミルカルボキシラーゼ(VKGC)である。本発明の方法において用いられるVKGCは、当分野において公知である、VKGCを生産する任意の脊椎動物又は無脊椎動物種からのVKGCであり得る。
【0056】
VKOR及び/又はVKGCの存在下で細胞においてカルボキシル化ビタミンK依存性タンパク質の量を増加させる本発明の方法では、VKOR及び/又はVKGCの存在下で細胞において生産されるカルボキシル化ビタミンK依存性タンパク質又は完全カルボキシル化ビタミンK依存性タンパク質の量は、VKOR及び/又はVKGCの非存在下で細胞において生産されるカルボキシル化ビタミンK依存性タンパク質又は完全カルボキシル化ビタミンK依存性タンパク質の量と比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、200%又は300%増加し得る。
【0057】
一部の実施形態において「完全カルボキシル化」とは、カルボキシル化を受けうるビタミンK依存性タンパク質上の全ての部位(又は一部の実施形態では、部位の大部分)がカルボキシル化されることを意味する。一部の実施形態では、完全カルボキシル化は、全てのビタミンK依存性タンパク質がある程度までカルボキシル化されること、及び/又は全てのビタミンK依存性タンパク質が全ての又は大部分のカルボキシル化部位でカルボキシル化されることを意味し得る。カルボキシル化ビタミンK依存性タンパク質又は完全カルボキシル化ビタミンK依存性タンパク質は、活性タンパク質である。「活性タンパク質」とは、ビタミンK依存性タンパク質が、その生物学的機能(例えば第IX因子又は第X因子についての酵素活性)を実施する上で活性を有する又は活性化できることを意味する。
【0058】
本発明の方法に従って生産できるビタミンK依存性タンパク質は、任意の組合せの、第VII因子、第VIIA因子、第IX因子、第X因子、プロテインC、活性化プロテインC、プロテインS、骨Glaタンパク質(オステオカルシン)、マトリックスGlaタンパク質及びプロトロンビン、及び本明細書で述べるそのようなタンパク質の修飾形態を含むが、これらに限定されない、現在公知の又は後日それ自体が特定される任意のビタミンK依存性タンパク質であり得る。
【0059】
本明細書で述べる核酸で形質転換され得るいかなる細胞も、本明細書で述べるように使用することができるが、一部の実施形態では非ヒト又はさらに非哺乳動物細胞が使用できる。そのため、本発明の細胞又は細胞系は、例えばヒト細胞、動物細胞、植物細胞及び/又は昆虫細胞であり得る。本明細書で述べるビタミンK依存性カルボキシラーゼをコードする核酸及びビタミンK依存性タンパク質をコードする核酸は当分野において周知であり、発現のための細胞へのそれらの導入は、常用のプロトコールに従って実施される。そのため、一部の実施形態では、本発明は、ビタミンK依存性タンパク質をコードする核酸(細胞にとって内因性又は外来性)を含む細胞を提供する。ビタミンK依存性タンパク質は、ビタミンKの存在下で細胞において生産される。細胞は、ビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)及び/又はビタミンK依存性カルボキシラーゼをコードする異種(すなわち外来性)核酸をさらに含む。細胞は、VKOR及び/又はビタミンK依存性カルボキシラーゼをコードする核酸が発現され、VKOR及び/又はカルボキシラーゼが細胞において生産される、当分野で公知の条件下に維持され得る。
【0060】
本発明のある実施形態は、被験者の抗凝固治療のためのワルファリンの治療用量が、被験者のVKOR遺伝子内の1以上の一塩基多型の存在と相関し得るという発明者の発見に基づく。そのため、本発明はまた、被験者においてVKOR遺伝子内の1以上の一塩基多型(SNP)の存在を検出することを含み、一塩基多型がワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関付けられ、それによって被験者がワルファリンに対する高い又は低い感受性を有すると特定する、ワルファリンに対して高い又は低い感受性を有するヒト被験者を特定する方法を提供する。
【0061】
ワルファリンに対する高い感受性と相関するSNPの一例は、配列番号8のゲノム配列及びこの配列の前後の約1000ヌクレオチドを含む標準配列である、配列番号11のヌクレオチド配列のヌクレオチド2581(配列番号12)におけるG→C変化(VKOR遺伝子のイントロン2内;引用することにより本明細書の一部をなすものとする、GenBankアクセッション番号refSNP ID:rs8050894)である。この配列は、ゲノム位置「ヒト染色体16p11.2」を有する又はNCBIデータベースの物理的地図においてヒト16番染色体:31009700−31013800と位置付けることができる。
【0062】
ワルファリンに対する低い感受性と相関するSNPの例は、配列番号11のヌクレオチド配列のヌクレオチド3294(配列番号13)におけるT→C変化(VKOR遺伝子のイントロン2内;引用することにより本明細書の一部をなすものとする、GenBankアクセッション番号refSNP ID:rs2359612)、及び配列番号11のヌクレオチド配列のヌクレオチド4769(配列番号14)におけるG→A変化(VKOR遺伝子の3’UTR内;引用することにより本明細書の一部をなすものとする、GenBankアクセッション番号refSNP ID:rs7294)である。
【0063】
本明細書で使用する、「ワルファリンに対して高い感受性」を有する被験者は、ワルファリンの適切な治療又は維持用量が、正常被験者、すなわちワルファリンに対する高い感受性の表現型を与えるVKOR遺伝子内のSNPを担持しない被験者にとって適切なワルファリンの治療又は維持用量よりも低い被験者である。逆に、本明細書で使用する、「ワルファリンに対して低い感受性」を有する被験者は、ワルファリンの適切な治療又は維持用量が、正常被験者、すなわちワルファリンに対する低い感受性の表現型を与えるVKOR遺伝子内のSNPを担持しない被験者にとって適切なワルファリンの治療又は維持用量よりも高い被験者である。正常被験者にとってのワルファリンの典型的な治療用量の一例は1週当り35mgであるが、この量は異なってもよい(例えば1週当り3.5〜420mgの用量範囲がAithal et al.(1999)Lancet 353:717−719に述べられている)。ワルファリンの典型的治療用量は、本明細書で述べる方法に従って所与の試験群に関して決定することができ、前記治療用量は、この用量より高い又は低い治療ワルファリン用量を有する被験者を特定するために使用でき、それによってワルファリンに対して低い又は高い感受性を有する被験者を特定する。
【0064】
さらに、a)VKOR遺伝子内の一塩基多型の存在をワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関させること;及びb)被験者において工程(a)の一塩基多型を検出し、それによってワルファリンに対して高い又は低い感受性を有する被験者を特定すること、を含む、ワルファリンに対して高い又は低い感受性を有するヒト被験者を特定する方法が本明細書で提供される。
【0065】
加えて、本発明は、a)ワルファリンに対して高い又は低い感受性を有する被験者を特定する工程と、b)被験者においてVKOR遺伝子内の一塩基多型の存在を検出する工程と、c)工程(b)の一塩基多型の存在を、被験者におけるワルファリンへの高い又は低い感受性と相関させ、それによってワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関するVKOR遺伝子内の一塩基多型を特定する工程とを含む、ワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関するVKOR遺伝子内の一塩基多型を特定する方法を提供する。
【0066】
また、a)ワルファリンに対して高い又は低い感受性を有する被験者を特定する工程と、b)(a)の被験者のVKOR遺伝子のヌクレオチド配列を決定する工程と、c)工程(b)のヌクレオチド配列をVKOR遺伝子の野生型ヌクレオチド配列と比較する工程と、d)(b)のヌクレオチド配列内の一塩基多型を検出する工程と、e)(d)の一塩基多型を、(a)の被験者におけるワルファリンへの高い又は低い感受性と相関させる工程とを含む、被験者のVKOR遺伝子内の一塩基多型をワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関させる方法も本発明において提供される。
【0067】
被験者は、周知のプロトコールに従って、抗凝固治療のためのワルファリンの治療又は維持用量を確立することによって、及びその被験者についての治療又は維持用量を、ワルファリンの平均治療又は維持用量が算定される正常被験者(例えばワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関するVKOR遺伝子内のSNPを持たない被験者)の集団の抗凝固治療のためのワルファリンの治療又は維持用量と比較することによって、ワルファリンに対して高い又は低い感受性を有すると特定される。ワルファリンの平均治療又は維持用量(例えば治療的である又は野生型VKOR遺伝子を有する、すなわちワルファリン感受性に関連する一塩基多型を持たない被験者についての維持用量を提供するワルファリンの用量)よりも低いワルファリンの治療又は維持用量を有する被験者は、ワルファリンに対して高い感受性を有すると特定される被験者である。ワルファリンの平均治療又は維持用量より高いワルファリンの治療又は維持用量を有する被験者は、ワルファリンに対して低い感受性を有すると特定される被験者である。野生型のVKOR遺伝子を有する被験者についてのワルファリンの平均治療又は維持用量は、当業者によって容易に測定される。
【0068】
被験者のVKOR遺伝子のヌクレオチド配列は、当分野において標準的な方法に従って及び本明細書で提供する実施例で述べるように決定される。例えばゲノムDNAを被験者の細胞から抽出し、公知のプロトコールに従ってVKOR遺伝子を位置付け、配列決定する。VKOR遺伝子内の一塩基多型は、当分野で公知の野生型配列(例えば配列番号11として本明細書で示す標準配列)と被験者の配列の比較によって特定される。
【0069】
VKOR遺伝子内のSNPは、ワルファリンに対して高い又は低い感受性を有する、すなわち平均用量より高い又は低いワルファリンの維持又は治療用量を有すると特定された被験者のVKOR遺伝子内のSNP又は複数のSNPの存在を特定すること、及び統計分析の周知の方法に従って、ワルファリンに対する高い又は低い感受性とSNPの関連性の統計分析を実施することにより、ワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関付けられる。SNP(遺伝子型)と高い又は低いワルファリン感受性(表現型)の間の統計的関連性(例えば有意の関連性)を特定する分析は、被験者におけるSNPの存在とその被験者におけるワルファリンへの高い又は低い感受性の間の相関を確立する。
【0070】
被験者のVKOR遺伝子内の1以上のSNPの存在を含む、因子の組合せは、その被験者におけるワルファリンへの高い又は低い感受性と相関付けることができると考えられる。そのような因子は、シトクロムp450 2C9多型、人種、年齢、性別、喫煙歴及び肝疾患を含み得るが、これらに限定されない。
【0071】
そのため、さらなる実施形態では、本発明は、VKOR遺伝子の1以上の一塩基多型、1以上のシトクロムp450 2C9多型、人種、年齢、性別、喫煙歴、肝疾患及びこれらの因子の2以上の任意の組合せからなる群より選択される、ワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関する因子の組合せの存在を被験者において特定することを含み、因子の組合せがワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関付けられ、それによってワルファリンに対する高い又は低い感受性を有する被験者を特定する、ワルファリンに対する高い又は低い感受性を有するヒト被験者を特定する方法を提供する。
【0072】
さらに、a)因子がVKOR遺伝子の1以上の一塩基多型、1以上のシトクロムp450 2C9多型、人種、年齢、性別、喫煙歴、肝疾患及びこれらの因子の2以上の任意の組合せからなる群より選択される、因子の組合せの存在を、ワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関付ける工程と、b)被験者において工程(a)の因子の組合せを検出し、それによってワルファリンに対する高い又は低い感受性を有する被験者を特定する工程とを含む、ワルファリンに対する高い又は低い感受性を有するヒト被験者を特定する方法が本明細書で提供される。
【0073】
加えて、本発明は、a)ワルファリンに対する高い又は低い感受性を有する被験者を特定する工程と、b)被験者において因子の組合せの存在を検出すること;及びc)工程(b)の因子の組合せの存在を被験者におけるワルファリンへの高い又は低い感受性と相関させ、それによってワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関する因子の組合せを特定する工程とを含み、前記因子がVKOR遺伝子の1以上の一塩基多型、1以上のシトクロムp450 2C9多型、人種、年齢、性別、喫煙歴、肝疾患及びこれらの因子の2以上の任意の組合せからなる群より選択される、ワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関する因子の組合せを特定する方法を提供する。
【0074】
また、a)ワルファリンに対する高い又は低い感受性を有する被験者を特定する工程と、b)被験者において因子の組合せの存在を特定する工程と、c)(b)の因子の組合せを(a)の被験者におけるワルファリンへの高い又は低い感受性と相関付ける工程とを含み、前記因子がVKOR遺伝子の1以上の一塩基多型、1以上のシトクロムp450 2C9多型、人種、年齢、性別、喫煙歴、肝疾患及びこれらの因子の2以上の任意の組合せからなる群より選択される、因子の組合せをワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関付ける方法が本明細書で提供される。
【0075】
本明細書で述べる因子の組合せは、ワルファリンに対して高い又は低い感受性を有すると特定された被験者において因子の組合せの存在を特定すること及び統計分析の周知の方法に従って、ワルファリンに対する高い又は低い感受性と因子の組合せの関連性の統計分析を実施することにより、ワルファリンに対する高い又は低い感受性と相関付けられる。因子の組合せと(高い又は低い)ワルファリン感受性表現型の間の統計的関連性(例えば有意の関連性)を特定する分析は、被験者における因子の組合せの存在とその被験者におけるワルファリンへの高い又は低い感受性の間の相関を確立する。
【0076】
さらに、VKORをコードし、及び本明細書で述べる1以上のSNPを含む核酸が本明細書で提供される。そのため、本発明はさらに、配列番号12、13、14、15及び16に示すヌクレオチド配列を含む、基本的にそれらからなる及び/又はそれらからなる核酸を提供する。核酸はベクター内に存在することができ、ベクターは細胞内に存在し得る。さらに、配列番号12、13、14、15及び16に示すヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされるタンパク質、並びに配列番号12、13、14、15及び16に示すヌクレオチド配列を含む核酸によってコードされるタンパク質に特異的に結合する抗体も包含される。その数多くの修正及び変形が当業者に明白であるので、例示だけを意図する以下の実施例において本発明をより詳細に説明する。
【実施例1】
【0077】
VKOR遺伝子におけるSNPとワルファリンに対する高い又は低い感受性との間の相関
VKOR遺伝子の最も一般的なアイソフォームは、約4kbの長さであり、3個のエクソンを有し、18.4kDaの質量を有する163アミノ酸の酵素をコードする。本研究では、SNPと特定された3つの突然変異、vk2581(G>C)、vk3294(T>C)及びvk4769(G>A)(それぞれ46.9%、46.8%及び46.3%のヘテロ接合率)を、被験者におけるそれらの存在と、治療的に有効な応答を達成するために必要なワルファリンの維持用量との間の相関に関して検討した。
【0078】
1.被験者の選択
被験者は、Ambulatory Care CeterのUNC Coagulation Clinicから得た。熟達した遺伝学カウンセラーによってインフォームドコンセントを得た。英語が堪能でない被験者は、通訳がいないことと同意の必要性のために除外した。試験に適格であるために、被験者は少なくとも6ヶ月間ワルファリンを服用しており、18歳以上で、Ambulatory Care ClinicのUNC Coagulation Clinicによってフォローアップされた。
【0079】
2.全血からのゲノムDNAの抽出
ゲノムDNAを、QIAamp DNA Blood Mini Kit(QIAGENカタログ番号51104)を用いて被験者の全血から抽出した。DNA濃度を10ng/μLに調整した。
【0080】
3.ゲノムDNA試料の配列決定
DNA約10ngをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイのために使用した。VKOR遺伝子を増幅するために使用したプライマーは以下の通りであった:5’−UTR及びエクソン1領域に関しては、エクソン1−5’CCAATCGCCGAGTCAGAGG(配列番号29)及びエクソン1−3’CCCAGTCCCCAGCACTGTCT(配列番号30);エクソン2領域に関しては、エクソン2−5’AGGGGAGGATAGGGTCAGTG(配列番号31)及びエクソン2−3’CCTGTTAGTTACCTCCCCACA(配列番号32);及びエクソン3及び3’−UTR領域に関しては、エクソン3−5’ATACGTGCGTAAGCCACCAC(配列番号33)及びエクソン3−3’ACCCAGATATGCCCCCTTAG(配列番号34)。VKOR遺伝子内のSNPを検出するために自動化されたハイスループットキャピラリー電気泳動DNA塩基配列決定法を使用した。
【0081】
4.リアルタイムPCRを用いた既知のSNPの検出
SNP遺伝子型決定のためのアッセイ試薬は、Assay−by−Design(商標)サービス(Applied Biosystems製、カタログ番号4332072)からであった。プライマー及びプローブ(FAM(商標)及びVIC(商標)染料標識)は、Primer Expressソフトウエアを用いて設計し、Applied Biosystemsシンセサイザーで合成した。各々のSNPについてのプライマー対はSNP部位の上流/下流に位置し、PCR反応において100bp未満の長さのDNAフラグメントを生成することができる。FAM(商標)及びVIC(商標)染料標識プローブは、15〜16ヌクレオチドの長さを有するSNP部位をカバーするように設計した。各々のVKOR SNPについてのプライマー及びプローブ配列を表2に示す。
【0082】
2X TaqMan(商標)Universal PCR Master Mix、No AmpErase UNG(Applied Biosystems、カタログ番号4324018)をPCR反応において使用した。リアルタイムPCRの40サイクルをOpticon II(MJ Research)装置において実施した。95℃で10分間の予備加熱、次いで92℃で15分間、60℃で1分間処理し、その後プレートを読み取った。結果はFAM及びVIC染料のシグナル値に従って読み取った。
【0083】
5.統計分析
種々の遺伝子型の間の平均用量の差を、SASバージョン8.0(SAS,Inc.,Cary,NC)を用いて分散分析(ANOVA)によって比較した。0.05未満の両側p値を有意とみなした。SNP群における治療の平均用量についての分布及び残差の検討は、分散の均一性の仮定を満たすためには対数変換が必要であることを指示した。
【0084】
6.ワルファリン用量とSNPの相関
直接ゲノムDNA塩基配列決定及びSNPリアルタイムPCR検出により、5個のSNPをVKOR遺伝子内で特定した:5’−UTR内に1個、イントロンII内に2個、コード領域内に1個及び3’−UTR内に1個(表1)。
【0085】
これらのSNPの中で、vk563及びvk4501 SNP対立遺伝子は試験の58名の被験者のうち1名だけによって担持されていた(3’−UTRのSNP対立遺伝子も担持する、3重ヘテロ接合)が、その他のSNPは17〜25名のヘテロ接合患者において特定された。
【0086】
各々のマーカーを、最初は独立して分析した。図1Aは、vk2581野生型対立遺伝子を有する患者についての平均ワルファリン用量は、週当たり、50.19±3.20mg(n=26)であったが、一方この多型に関してヘテロ接合及びホモ接合である患者はそれぞれ週当たり35.19±3.73(n=17)及び31.14±6.2mg(n=15)であったことを示す。図1Bは、野生型vk3294対立遺伝子を有する患者についての平均ワルファリン用量は、週当たり、25.29±3.05mg(n=11)であったが、一方ヘテロ接合及びホモ接合対立遺伝子を担持する患者は、それぞれ週当たり、41.68±4.92(n=25)及び47.73±2.75mg(n=22)であったことを示す。図1Cは、vk4769 SNP野生型を有する患者についての平均ワルファリン用量は、週当たり、35.35±4.01mg(n=27)であったが、一方ヘテロ接合及びホモ接合対立遺伝子を有する患者は、それぞれ週当たり、44.48±4.80(n=19)及び47.56±3.86mg(n=12)を必要としたことを示す。また、P450 2C9*3は、先に報告されているように(Joffe et al.(2004)「Warfarin dosing and cytochrome P450 2C9 polymorphisms」 Thromb Haemost 91:1123−1128)、ワルファリン用量に有意な影響を及ぼすことが認められた(図1D)。P450 2C9*1(野生型)を有する患者についての平均ワルファリン用量は、週当たり43.82±2.75mg(n=50)であったが、一方、この対立遺伝子に関してヘテロ接合である患者は週当たり22.4±4.34mg(n=8)を必要とした。
【0087】
7.統計分析
VKOR遺伝子内のSNPとLoge(ワルファリン平均用量)(LnDose)の関連性を分散分析(ANOVA)によって検討した。VKOR SNPを除く、用量に影響を及ぼし得る因子を特定するために一連の因子(人種、性別、喫煙歴、肝疾患、シトクロムP450 2Y9遺伝子におけるSNP等)を検討する反復手順を行うため、最初にSASを使用した。P450 2C9*3はワルファリンの平均用量と有意に関連した。そのため、これをさらなる分析のために共変量として含めた。分析は、この共変量を含めたとき、3個のVKOR SNPがまだ週当たりのワルファリン用量と有意に関連することを指し示した(vk2581、P<0.0001;vk3294、P<0.0001;及びvk4769、P=0.0044)。
【0088】
VKORのこれら3個のSNPがワルファリン用量と独立して関連するかどうかを詳細に試験するため、VKOR遺伝子内の2個のSNPをその他のSNPについての共変量として含まれる分析を反復した。3個のVKOR SNPは互いに2kbの距離に位置し、密接に結びつくと予想される。少なくともコーカサス人に関しては、1個のハプロタイプ(A=vk2581グアニン及びa=vk2581シトシン;B=vk3294チミン及びb=vk3924シトシン;C=vk4769グアニン及びc=vk4769アデニン)がAAbbccであり、もう1個がaaBBCCであることが検査から明らかであった。患者における個々のSNPの分布はその他の分布と有意に相関することが認められた(R=0.63〜0.87、p<0.001)。実際に、ハプロタイプAAbbccを有する被験者(n=7)(ワルファリン用量=48.98(3.93)は、ハプロタイプaaBBCCを有する患者(25.29(3.05;p<0.001)に比べてワルファリンの有意に高い用量を必要とした。
【実施例2】
【0089】
siRNAの設計と合成
合理的設計アルゴリズムの改良版(Reynolds et al.(2004)「Rational siRNA design for RNA interference」Nature Biotechnology 22:326−330)を用いてsiRNAsを選択した。13個の遺伝子の各々について、最も高いスコアを有する4個のsiRNAs二本鎖を選択し、Human ESTデータベースを用いてBLAST検索を実施した。オフターゲットサイレンシング効果の潜在的可能性を最小限に抑えるため、無関係な配列に対して4個以上のミスマッチを有する配列標的だけを選択した(Jackson et al.(2003)「Expression profiling reveals off−target gene regulation by RNAi」Nat Biotechnol 21:635−7)。全ての二本鎖を、2’−ACE化学の修正法(Scaringe(2000)「Advanced 5’−silyl−2’−orthoester approach to RNA oligonucleotide synthesis」Methods Enzymol 317:3−18)を用いてUU突出末端を有する21量体としてDharmacon(Lafayette,CO)で合成し、最大活性を確保するためにAS鎖を化学的にリン酸化した(Martinez et al.(2002)「Single−stranded antisense siRNAs guide target RNA cleavage in RNAi」Cell 110:563−74)。
【実施例3】
【0090】
siRNAトランスフェクション
トランスフェクションは、わずかな修正を加えて基本的に先に述べられている通りであった(Harborth et al.(2001)「Identification of essential genes in cultured mammalian cells using small interfering RNAs」J Cell Sci 114:4557−65)。
【実施例4】
【0091】
VKOR活性アッセイ
siRNAトランスフェクトしたA549細胞をトリプシン処理し、低温PBSで2回洗浄した。各々のVKORアッセイのために、1.5×107細胞を採取した。緩衝液D(250mM Na2HPO4−NaH2PO4、500mM KCl、20%グリセロール及び 0.75%CHAPS、pH7.4)200μLを細胞ペレットに加え、次に細胞溶解産物を超音波処理した。可溶化したミクロソームのアッセイのために、記述されているように(Lin et al.(2002)「The putative vitamin K−dependent gamma−glutamyl carboxylase internal propeptide appears to be the propeptide binding site」J Biol Chem 277:28584−91)2×109細胞からミクロソームを調製した;可溶化したミクロソーム10〜50μLを、各々のアッセイに使用した。ビタミンKエポキシドを図の脚注に指示されている濃度まで添加し、反応を開始させるためにDTTを4mMまで添加した。反応混合物をイエローライト中30℃で30分間インキュベートし、0.05M AgNO3:イソプロパノール(5:9)500μLを添加して停止させた。ヘキサン500μLを添加し、ビタミンK及びビタミンKOを抽出するために、混合物を1分間強くボルテックスした。5分間の遠心分離後、上部有機層を5mL褐色バイアルに移し、N2で乾燥した。ビタミンK及びビタミンKOを溶解するためにHPLC緩衝液、アセトニトリル:イソプロパノール:水(100:7:2)150μLを添加し、試料をA C−18カラム(Vydac、カタログ番号218TP54)でのHPLCによって分析した。
【実施例5】
【0092】
RT−qPCR(逆転写酵素定量的PCR)
1×106細胞をPBSで2回洗い、全RNAを製造者のプロトコールに従って(Invitrogen)トリゾール試薬で単離した。RNA1μgをRQ1 DNアーゼ1(Promega社製)によって消化し、熱不活化した。第一鎖cDNAをM−MLV逆転写酵素(Invitrogen社製)で作製した。cDNAをDyNAmo SYBR Green qPCR pre−mix(Finnzymes)と混合し、Opticon II PCRサーマルサイクラー(MJ Research)でリアルタイムPCRを実施した。以下のプライマーを使用した:
13124769−5’(F):(TCCAACAGCATATTCGGTTGC、配列番号1);
13124769−3(R)’:(TTCTTGGACCTTCCGGAAACT、配列番号2);
GAPDH−F:(GAAGGTGAAGGTCGGAGTC、配列番号3);
GAPDH−R:(GAAGATGGTGATGGGATTTC、配列番号4);
Lamin−RT−F:(CTAGGTGAGGCCAAGAAGCAA、配列番号5)及び
Lamin−RT−R:(CTGTTCCTCTCAGCAGACTGC、配列番号6)。
【実施例6】
【0093】
Sf9昆虫細胞系におけるVKORの過剰発現
mGC11276コード領域についてのcDNAを、HPC4タグ(EDQVDPRLIDGK、配列番号7)と共にアミノ末端においてpVL1392(Pharmingen)にクローニングし、記述されているように(Li et al.(2000)「Identification of a Drosophila vitamin K−dependent gamma−glutamyl carboxylase」J Biol Chem 275:18291−6)Sf9細胞において発現させた。
【実施例7】
【0094】
遺伝子選択
VKOR遺伝子についての検索を、マーカーD16S3131とD16S419の間のヒト染色体16番に関して集中的に実施した。この領域は、遺伝子地図上の50cM〜65cM及び物理的地図上の26〜46.3Mbの染色体16番に相当する。この領域内の190個の予測コード配列を、NCBI非重複タンパク質データベースのBLASTX検索によって分析した。それらのヒト遺伝子及び公知の機能を有する関連種からのオーソログを排除した。VKORは膜貫通タンパク質であると思われるので(Carlisle & Suttie(1980)「Vitamin K dependent carboxylase:subcellular location of the carboxylase and enzymes involved in vitamin K metabolism in rat liver」Biochemistry 19:1161−7)、残りの遺伝子をNCBIデータベース内のcDNA配列に従って翻訳し、膜貫通ドメインを有するものを予測するためにプログラムTMHMM及びTMAP(Biology WorkBench,San Diego Supercomputer System)で分析した。内在性膜タンパク質をコードすると予測される13個の遺伝子をさらなる分析のために選択した。
【実施例8】
【0095】
VKOR活性に関する細胞系スクリーニング
戦略は、比較的高い量のVKOR活性を発現する細胞系を特定し、13個の候補遺伝子全てを体系的にノックダウンするためにsiRNAを使用するというものであった。21〜23ヌクレオチドの二本鎖RNAであるsiRNAは、細胞培養において特異的RNA分解を引き起こすことが示された(Hara et al.(2002)「Raptor,a binding partner of target of rapamycin (TOR), mediates TOR action」Cell 110:177−89;Krichevsky & Kosik(2002)「RNAi functions in cultured mammalian neurons」Proc Natl Acad Sci USA 99:11926−9;Burns et al.(2003)「Silencing of the Novel p53 Target Gene Snk/Plk2 Leads to Mitotic Catastrophe in Paclitaxel(Taxol)−Exposed Cells」Mol Cell Biol 23:5556−71)。しかし、哺乳動物細胞における大規模スクリーニングのためのsiRNAの適用は、特定の哺乳動物細胞mRNAについての機能的標的を特定することの困難さの故にこれまで報告されていなかった(Holen et al.(2003)「Similar behaviour of single−strand and double−strand siRNAs suggests they act through a common RNAi pathway」Nucleic Acids Res 31:2401−7)。siRNA設計のための合理的選択アルゴリズム(Reynolds et al.)の開発は、特異的siRNAが開発できる可能性を上昇させる。さらに、4個の合理的に選択されたsiRNAsをプールすることによって成功の確率を上昇させ得る。これまでに特定されていない遺伝子を検索するためにsiRNAを使用することは、VKOR活性が活性のために2個以上の遺伝子の産物を必要とする場合でも、アッセイは酵素活性の損失を測定するのでスクリーニングはまだ有効なはずであるという利点を有する。
【0096】
15の細胞系をスクリーニングし、ヒト肺癌系、A549が、容易な測定のために十分なワルファリン感受性VKOR活性を示すと特定された。ごくわずかなVKOR活性を発現する、2番目のヒト結腸直腸腺癌細胞系、HT29を標準として使用した。
【実施例9】
【0097】
A549細胞におけるVKOR活性のsiRNA阻害
siRNAの13のプールの各々を、三重に(in triplicate)A549細胞にトランスフェクトし、72時間後にVKOR活性を検定した。遺伝子gi:13124769に特異的な1つのsiRNAプールは、8回の別々のアッセイにおいてVKOR活性を64%〜70%低下させた(図2)。
【0098】
VKOR活性が72時間後にその初期活性のわずか約35%に阻害されたことの1つの可能な理由は、哺乳動物タンパク質の半減期が大きく異なる(数分間から数日間)ことであり(Zhang et al.(1996)「The major calpain isozymes are long−lived proteins.Design of an antisense strategy for calpain depletion in cultured cells」J Biol Chem 271:18825−30;Bohley(1996)「Surface hydrophobicity and intracellular degradation of proteins」Biol Chem 377:425−35;Dice & Goldberg (1975)「Relationship between in vivo degradative rates and isoelectric points of proteins」Proc Natl Acad Sci USA 72:3893−7)、酵素活性ではなくmRNA翻訳が阻害される。そのため、細胞を11日間存続させ、それらのVKOR活性を追跡した。図3は、gi:13124769 mRNAについてのmRNAのレベルが正常値の約20%まで急速に低下し、一方VKOR活性はこの期間中持続的に低下したことを示す。VKDカルボキシラーゼ活性及びラミンA/C mRNAのレベルは一定のままであったので、この活性の低下は、siRNAの一般的作用又は細胞死の結果ではない。さらに、gi:132124769 mRNAのレベルは、高いVKOR活性を示すA549細胞におけるよりも、低いVKOR活性を有するHT−29細胞において4倍低い。これらのデータは、gi:13124769がVKOR遺伝子に対応することを指し示す。
【実施例10】
【0099】
VKORをコードする遺伝子の特定
VKORをコードするとここで特定した、遺伝子IMAGE 3455200(gi:13124769、配列番号8)は、ヒト染色体16p11.2、マウス染色体7F3及びラット染色体1:180.8Mbに位置付けられる。7つの異なるスプライシングパターンを示すNCBIデータベース内の338個のcDNAクローンが存在する(NCBI AceViewプログラム)。これらは2〜4個のエクソンの全部又は一部からなる。これらの中で、最も一般的なアイソフォーム、mGC11276は3個のエクソンを有し、肺及び肝細胞において高レベルで発現される。この3個のエクソン転写産物(配列番号9)は、18.2kDaの質量を有する163アミノ酸の予測タンパク質(配列番号10)をコードする。これは、予測のために使用するプログラムに依存して、1〜3個の膜貫通ドメインを有する推定上のN−ミリスチル化小胞体タンパク質である。7個のシステイン残基を有し、酵素活性がチオール試薬に依存するという所見と一致する(Thijssen et al.(1994)「Microsomal lipoamide reductase provides vitamin K epoxide reductase with reducing equivalents」Biochem J 297:277−80)。7個のシステイン残基のうち5個は、ヒト、マウス、ラット、ゼブラフィッシュ、ゼノパス属(アフリカツメガエル)及びアノフェレス属(ハマダラカ)の間で保存されている。
【0100】
VKOR遺伝子が特定されたことを確認するため、酵素の最も一般的な形態(3個のエクソン)をスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)、Sf9細胞において発現させた。Sf9細胞は測定可能なVKOR活性を有さないが、mGC11276 cDNAでトランスフェクトしたときワルファリン感受性の活性を示す(図4)。VKOR活性は、エピトープタグを有する構築物から、それらのアミノ又はカルボキシル末端のいずれかで認められる。このタグはVKORの精製を助けるはずである。
【0101】
VKORはワルファリン感受性を示すはずであり、そのためVKORを発現するSf9細胞からミクロソームを作製し、ワルファリン感受性に関して試験した。VKOR活性はワルファリン感受性である(図5)。
【0102】
要約すると、本発明は、未知の遺伝子を特定するために哺乳動物細胞においてsiRNAを使用することの最初の例を提供する。VKOR遺伝子の同一性は、昆虫細胞におけるその発現によって確認された。VKOR遺伝子はいくつかのアイソフォームをコードする。各々のアイソフォームの活性と発現パターンを特性決定することが重要である。世界中で何百万もの人々が凝固を阻害するためにワルファリンを利用している。そのため、VKORをさらに特性決定することは、より正確な用量決定、又はより安全で、より有効な抗凝固薬の設計を導き得るので、重要である。
【実施例11】
【0103】
第X因子のカルボキシル化に関する試験
グルタミン酸からγカルボキシグルタミン酸への翻訳後修飾は多くのタンパク質の活性を必要とし、それらのタンパク質の大部分は凝固に関連する。これらのうちでいくつかは、様々な出血性疾患を治療するための有用なツールとなってきた。例えば組換えヒト第IX因子は現在、血友病B患者を治療するために使用される第IX因子の大部分を占める。加えて、第VIIa因子は、第IX因子又は第VIII因子のいずれかに対する自己抗体(阻害因子)を有する患者を治療するため及び一般的外傷から生じる出血のために広く使用される。もう1つのGlaタンパク質、活性化プロテインCは、敗血症の治療のために使用される。これらのビタミンK依存性タンパク質は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、ベビーハムスター腎細胞(BHK)及びヒト胚腎細胞(HEK293)などの細胞を使用する細胞培養において生産することができる。これらの細胞系全てについて共通の問題は、顕著な過剰生産が達成された場合、生産される組換えタンパク質の有意な分画が低カルボキシル化される。最初は、カルボキシル化における制限因子はビタミンK依存性γグルタミルカルボキシラーゼであると考えられた。しかし、その精製及びクローニング後、第IX因子とカルボキシラーゼの共発現は、ヒト第IX因子を過剰発現するCHO細胞系において第IX因子のカルボキシル化の程度を改善することができなかった。HEK293細胞系におけるカルボキシル化第X因子のパーセンテージは、第X因子のプロペプチドの親和性を低下させることによって上昇させ得る。しかし、プロトロンビンプロペプチドを担持する第X因子の発現レベルが十分に高い場合、発現のレベルは、まだ細胞が完全な翻訳後修飾を達成する能力を上回る。本研究は、第X因子を過剰発現する細胞系において第X因子の約50%だけがカルボキシル化される程度にビタミンKエポキシドレダクターゼを(プロトロンビンプロペプチドと)共発現することは、そのほぼ完全なカルボキシル化を生じさせることを明らかにする。
【0104】
試験材料。全ての制限酵素は、New England Biolabsより入手した。Pfu DNAポリメラーゼはStratageneより入手した。リポフェクタミン、ハイグロマイシンB及びpcDNA3.1/HygroベクターはInvitrogenからであった。トリプシン−EDTA、ウシ胎仔血清及びダルベッコリン酸緩衝食塩水はSigmaからであった。抗生物質−抗真菌薬、G418(Geneticin)及びDMEM F−12はGIBCO社からであった。ピューロマイシン及びpIRESpuro3ベクターはBD Biosciences社からであった。ヒト第X因子はEnzyme Research Laboratoriesからであった。ヤギ抗ヒト第X因子(アフィニティー精製IgG)及びウサギ抗ヒト第X因子(IgG−ペルオキシダーゼ複合体)は、Affinity Biologicals Corporationからであった。ペルオキシダーゼ複合AffiniPureウサギ抗ヤギIgGはJackson ImmunoResearch Laboratories INCからであった。Q−sepharose(商標)Fast FlowはAmersham Pharmacia Biotechより入手した。カルシウム依存性モノクローナルヒトFX抗体[MoAb、4G3]はDr.Harold James,University of Texas,Tyler,TXから得た。Bio−Scale CHT5−IヒドロキシアパタイトはBio−Rad Laboratoriesからであった。
【0105】
VKORを含む哺乳動物細胞発現ベクターの構築。VKOR cDNAを増幅するために2個のプライマーを設計した。コザック配列(下線部)及び5’EcoRI部位に導入したプライマー1:5’−CCGGAATTCGCCGCCACCATGGGCAGCACCTGGGGGAGCCCTGGCTGGGTGCGG(配列番号35)。cDNAの3’末端のNotI部位に導入したプライマー2:5’−CGGGCGGCCGCTCAGTGCCTCTTAGCCTTGCC(配列番号36)。PCR増幅とEcoRI及びNotIでの消化後、PCR産物を、CMVウイルス主要最初期プロモーター/エンハンサーを有し、形質転換細胞にピューロマイシン耐性を付与するpIRESpuro3に挿入した。
【0106】
HGCを含む哺乳動物細胞発現ベクターの構築。HGC cDNAを増幅するために2個のプライマーを設計した。Bam H1部位及び5’末端のコザック配列(下線)に導入したプライマー3:5’−CGCGGATCCGCCGCCACCATGGCGGTGTCTGCCGGGTCCGCGCGGACCTC GCCC(配列番号37)及び3’末端のNotI部位に導入したプライマー4:5’−CGGGCGGCCGCTCAGAACTCTGAGTGGACAGGATCAGGATTTGACTC(配列番号38)。Bam HI及びNotIでの消化後、PCR産物を、CMVプロモーターを有し、形質転換細胞にハイグロマイシン耐性を付与するpcDNA3.1/Hygroに挿入した。
【0107】
ヒトVKORを発現する安定な細胞系。約10〜12mg/Lの第X因子(その半数が完全カルボキシル化されている)を生産する突然変異型第X因子(HEK293−FXI16L)を発現する細胞系を使用した。HEK293−FXI16Lを記述されているように(Camire,2000)作製し、ネオマイシン類似体、G418で選択した。HEK293−FXI16Lを、製造者のプロトコールに従ってリポフェクチン(Invitrogen製)を使用してプラスミドpIRESpuro3−VKORでトランスフェクトした。選択は、G418 450μl/ml及びピューロマイシン1.75μl/mlで実施した。耐性コロニーを採取し、VKOR活性に関してスクリーニングした。最も高いVKOR活性を有するコロニーをさらなる分析のために選択した。
【0108】
ヒトGGCXを発現する安定な細胞系。HEK293−FXI16Lを、リポフェクチンを用いて、プラスミドpcDNA3.1/Hygro−HGGCXでトランスフェクトした。形質転換コロニーをハイグロマイシン300μg/ml及びG418 450μg/mlで選択し、18クローンを、低分子ペプチド基質FLEEL(配列番号39)によるGGCX活性の検定のために選択した。最も高いGGCX活性を有するコロニーをさらなる試験のために選択した。
【0109】
ヒトVKORとHGCを共発現する安定な細胞系。VKORとGGCXの両方を過剰発現するHEK293−FXI16L細胞系を得るため、HEK293−FXI16L−VKORをプラスミドpcDNA3.1/Hygro−HGGCXでトランスフェクトし、18個の耐性コロニーを分析のために選択した。HEK293−FXI16L−HGGCXもHEK293−FXI16L−VKORでトランスフェクトし、この選択から、1個の耐性コロニーだけを得た。HEK293−FXI16LをpIRESpuro3−VKOR及びpcDNA3.1/Hygro−HGCの両方でトランスフェクトし、10個の耐性コロニーを生じた。次に、29個の単離されたコロニーをVKOR及びGGCX活性の両方に関して検定した。両方の活性の最も高いレベルを有するクローンをさらなる分析のために選択した。
【0110】
各々の細胞系によるFXI16L生産のレベル。サンドイッチELISA抗体アッセイのために、ヤギ抗ヒト第X因子(アフィニティー精製IgG)IgG−ペルオキシダーゼ複合体を捕獲抗体として使用し、及びウサギ抗ヒト第X因子を検出抗体として使用した。P−ODを顕色のための基質として使用した。標準曲線を作成するためにヒト第X因子を使用した。HEK293−FXI16L、HEK293−FXI16L−VKOR、HEK293−FXI16L−HGGCX及びHEK293−FXI16L−VKOR−HGGCXをT25フラスコにおいて集密まで増殖させ、その後培地を、ビタミンK1を含む無血清培地と交換した。無血清培地を12時間目に交換し、24時間後に馴化培地を収集して、FXI16Lの発現に関して分析した。
【0111】
ローラーボトルにおける各々の細胞系からのFXI16Lの発現。4つの安定細胞系、HEK293−FXI16L、HEK293−FXI16L−VKOR、HEK293−FXI16L−HGGCX及びHEK293−FXI16L−VKOR−HGGCXをT−225フラスコにおいて集密まで増殖させ、ローラーボトルに移した。24時間及び36時間目に培地を、ビタミンK1を含む無血清培地と交換した。合計3リットルが得られるまで24時間ごとに各々の細胞系から培地を収集した。
【0112】
各々の細胞系からのFXI16Lの精製。馴化培地を解凍し、0.45μm HVLPフィルターに通した。次にEDTAを5mMまで添加し、馴化培地1リットルにつき100×保存プロテアーゼ阻害剤カクテル0.25mlを添加した。馴化培地を、20mMトリス(pH7.2)/60mM NaCl/5mM EDTAで平衡させたQ−sepharose(商標)Fast Flowカラムに負荷し、基線が定常になるまでカラムを同じ緩衝液で洗った。カラムからFXI16Lを溶出するために20mMトリス(pH7.2)/700mM NaClを使用した。タンパク質含有画分をプールし、8mMトリス(pH7.4)/60mM NaClに透析した。各々の試料を2mM CaCl2にし、8mMトリス(pH7.4)/60mM NaCl/2mM CaCl2で平衡させておいた免疫アフィニティー(4G3)カラムに適用した。同じ緩衝液で洗った後、溶出した第X因子を同じ緩衝液中0〜8mM EDTAの直線勾配で溶出した。タンパク質を含む画分をプールし、1mM Na2HPO4/NaH2PO4(pH6.8)に一晩透析した。透析した試料を、出発緩衝液であらかじめ平衡させたBio−Scale CHT5−Iヒドロキシアパタイトカラムに適用した。カルボキシル化及び非カルボキシル化第X因子を分離するために1〜400mM Na2HPO4/NaH2PO4(pH6.8)の直線勾配を使用した。
【0113】
Q−sepharose後の試料のウエスタンブロット法及び4G3後の試料のSDS−PAGE。Q−sepharose(商標)Fast Flowによる精製後、4つの細胞系(HEK293−FXI16L、HEK293−FXI16L−VKOR、HEK293−FXI16L−HGC及びHEK293−FXI16L−VKOR−HGC)からの画分をウエスタンブロット法によって特定した。ヤギ抗ヒト第X因子(アフィニティー精製IgG)を第一抗体として使用し、ペルオキシダーゼ複合affinipureウサギ抗ヤギIgGを第二抗体として使用して、ECL基質を顕色のために使用した。アフィニティー抗体クロマトグラフィーによる精製後、一部の試料を純度に関して検査した。
【0114】
リアルタイムQ−PCRを使用した、各々の細胞系の間でのVKOR、HGC及びFXI16LのmRNA発現レベルの分析。各々の細胞系(HEK293−FXI16L、HEK293−FXI16L−VKOR、HEK293−FXI16L−HGC及びHEK293−FXI16L−VKOR−HGC)について合計1×106細胞を12穴プレートに接種した。全RNAを各細胞系から抽出した。
【0115】
各々の細胞系(HEK293−FXI16L、HEK293−FXI16L−VKOR、HEK293−FXI16L−HGC及びHEK293−FXI16L−VKOR−HGC)についてのVKOR及びHGC活性。pIRESpuro3−VKORをHEK293−FXI16Lにトランスフェクトし、1.75μg/mlピューロマイシン及び450μg/ml G418で選択した。18個の単一クローンをVKOR活性に関してスクリーニングした。非常に高いレベルのVKOR活性を含む単一クローンを安定細胞系、HEK293−FXI16L−VKORとして保持した。pcDNA3.1/Hygro−HGCをHEK293−FXI16Lにトランスフェクトした後、トランスフェクタントを300μg/mlハイグロマイシン及び450μg/ml G418で選択することができる。合計18個の単一クローンをHGC活性に関してスクリーニングした。非常に高いレベルのHGC活性を含む単一クローンを安定細胞系、HEK293−FXI16L−HGCとして保持した。
【0116】
VKORとHGCの両方の高レベルの活性を含む安定細胞系を作製するために3つの方法を使用した。合計29個の単一クローンをVKOR及びHGC活性に関してスクリーニングした。VKORとHGCの両方の高レベルを含む単一クローンを安定細胞系、HEK293−FXI16L−VKOR−HGCとして保持した。
【0117】
細胞系の各々におけるFXI16Lの生産。HEK293−FXI16L−VKOR、HEK293−FXI16L−HGC及びHEK293−FXI16L−VKOR−HGCは全て、少なくとも宿主細胞と同じ高さのレベルでFXI16Lを発現した。この実験は比較のために25ml Tフラスコにおいて実施し、発現のレベルは、タンパク質をローラーボトルで調製したときよりも低かった。これらの実験は、カルボキシラーゼ又はVKORを過剰生産する細胞を選択することは第X因子発現の損失を生じさせなかったことを示す。
【0118】
ローラーボトルで増殖させた細胞から培地3リットルを収集し、各々の細胞系からの第X因子を、上述したようにQ−sepharose及び第X因子抗体アフィニティークロマトグラフィーによって精製した。
【0119】
ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーを使用することによる、各々の細胞系の間でのrFXI16Lのカルボキシル化率の変化の分析。1mM Na2HPO4/NaH2PO4(pH6.8)に透析した後、4G3後の画分をBio−Scale CHT5−Iヒドロキシアパタイトカラムに適用した。400mM Na2HPO4/NaH2PO4(pH6.8)の0〜100%の直線勾配を使用してカラムを溶出した。各々の試料から合計2プールを得ることができる。第一プールは非カルボキシル化ヒトFXI16Lから構成され、第二プールは完全γカルボキシル化ヒトFXI16Lから構成される。各々の細胞系について、比率を得るために完全γカルボキシル化ヒトFXI16Lの量をカルボキシル化ヒトFXI16Lの総量で除する。宿主細胞系HEK293−FXI16Lに関するカルボキシル化率は52%である[4.5mg/(4.13mg+4.5mg)=52%]。その他の3つの細胞系(HEK293−FXI16L−VKOR、HEK293−FXI16L−HGC及びHEK293−FXI16L−VKOR−HGC)に関するカルボキシル化率は、それぞれ92%[10.5mg/(0.9mg+10.5mg)=92%]、57%[6.4mg/(4.78mg+6.4mg)=57%]及び〜100%[2.4mg/2.4mg=100%]である。
【0120】
細胞系HEK293−FXI16LとHEK293−FXI16L−VKORの間でのカルボキシル化率の大きな差は、VKORがインビボでγカルボキシル化反応を劇的に改善することを指し示す。細胞系HEK293−FXI16LとHEK293−FXI16L−HGCの間でのカルボキシル化率のより小さな差は、HGCはカルボキシル化反応を触媒するが、インビボでのカルボキシル化反応の制限因子ではなく、インビボでわずかだけカルボキシル化反応を改善できることを示す。細胞系HEK293−FXI16L−VKOR−HGCにおけるほぼ100%のカルボキシル化率は、VKORがインビボでのカルボキシル化反応の制限因子であり得ることを指示する。VKORはビタミンKエポキシド(KO)をビタミンKに還元するだけでなく、ビタミンKを還元型ビタミンK(KH2)にも還元する。KをKH2に還元できる2番目の機能がなければ、ビタミンKはインビボでカルボキシル化系において再利用されることができない。
【0121】
要約すると、この試験は、ビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)をコードする核酸が、第X因子などのビタミンK依存性タンパク質でトランスフェクトされ、ビタミンK依存性タンパク質を生産する細胞にトランスフェクトされたとき、高いカルボキシル化率を有するビタミンK依存性タンパク質の生産を生じさせ、それによって細胞内の活性なビタミンK依存性タンパク質の量を増加させることを明らかにする。
【0122】
これらの実験を実施するため、突然変異型第X因子約12〜14mg/Lを発現する(プロトロンビンプロペプチドと共に)ヒト胚腎(HEK)細胞系を使用した。この第X因子は、そのプロペプチドをプロトロンビンのプロペプチドで置換することによってあらかじめ修飾されており(Camire et al.「Enhanced gamma−carboxylation of recombinant factor X using a chimeric construct containing the prothrombin propeptide」Biochemistry 39(46):14322−9(2000))、第X因子の〜50%だけがカルボキシル化される程度まで第X血液凝固因子を過剰発現した。
【0123】
約12〜14mg/Lの第X因子を生産するこの細胞系を出発細胞及びコントロール細胞のために使用した。この発現レベルで、HEK細胞は、正常第X因子プロペプチドをプロトロンビンペプチドに置き換えても、第X因子を完全にカルボキシル化することができなかった。約12〜14mg/Lの第X因子を発現するHEK293細胞を、1)ビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)、2)ビタミンKγグルタミルカルボキシラーゼ、又は3)ビタミンKエポキシドレダクターゼとビタミンKγグルタミルカルボキシラーゼ(VKGC)の両方、でトランスフェクトした。大量のカルボキシラーゼ、VKOR又はVKORとカルボキシラーゼの両方を生産することを示したいくつかの細胞系を選択した。これらの選択細胞系の各々において、第X因子の発現レベルは少なくとも出発細胞系と同じ高さ(実験限界内)であった。これらの実験の結果を、図6A〜Dに示す。全ての場合の比較は、約50%カルボキシル化される第X因子を発現する、もとの第X因子発現細胞系に対してである。
【0124】
実験細胞系の各々から培地3リットルを収集し、QAE sephadex、第X因子抗体カラム及び最後にヒドロキシルアパタイトカラムで第X因子を精製した。示されている図は、ヒドロキシルアパタイトカラムに関するものである。最初のピークは、非カルボキシル化第X因子であり、2番目のピークは完全カルボキシル化第X因子であることがこれまでに示されている(Camire et al.)。図6Aは、外来性VKOR又はVKGCを含まないもとの細胞系における第X因子のカルボキシル化の結果を示す。2番目のピーク(画分26付近に集中する)は完全カルボキシル化ピークである。面積にすると、第X因子の52%が完全カルボキシル化される。図6Bは、第X因子を発現する細胞系へのカルボキシラーゼ単独の付加はカルボキシル化第X因子のパーセンテージを有意に上昇させなかったことを示す。完全カルボキシル化の程度は、かろうじて57%完全カルボキシル化まで上昇する。この場合、完全カルボキシル化ピークは画分25付近に集中する。図6Cは、VKOR単独でトランスフェクトした細胞が完全カルボキシル化第X因子の劇的に高いレベルを示したことを示す。この場合、完全カルボキシル化ピーク(画分26付近に集中する)及び完全カルボキシル化の程度は、作製される第X因子全体の92%まで上昇する。図6Dは、細胞をVKORとVKGCでトランスフェクトするとき、第X因子の100%が完全カルボキシル化されることを示す。この状況では、VKOR遺伝子の発現がビタミンK依存性タンパク質の完全カルボキシル化の主要決定因子である。基質の代謝回転がより低い他の状況では、すなわちプロペプチドが第X因子よりもはるかに密接にプロトロンビンプロペプチドと結合し、第X因子の過剰発現が非常に高いときには、カルボキシラーゼ遺伝子の発現も制限的であると考えられる。これらの結果は、第X因子に加えて、全てのビタミンK依存性タンパク質に拡大することができる。
【0125】
これらの結果は、VKOR(及びおそらくVKGC)が完全カルボキシル化ビタミンK依存性タンパク質の生産を促進することを明らかにする。これは、完全に活性な修飾タンパク質を生産する効率を上昇させる機構を提供する。
【0126】
上記は本発明の説明であり、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。本発明は、以下の特許請求の範囲、及びその中に含まれる請求項の等価物によって定義される。
【0127】
本明細書で引用する全ての出版物、特許出願、特許、特許公開及び他の参考文献は、参考文献が提示する文及び/又は段落に関する教示の全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0128】
【表1】

【0129】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1A−D】野生型、SNP vk2581、vk3294及びvk4769についてヘテロ接合及びホモ接合の被験者におけるワルファリン用量の比較、並びに野生型とP4502Y9についてヘテロ接合の被験者におけるワルファリン用量の比較。
【図2】13のsiRNAプールの各々に関して、A549細胞を含む3つのT7フラスコをトランスフェクトし、72時間後にVKOR活性を測定した。VKORアッセイはビタミンKエポキシド25μMを使用した。遺伝子gi:13124769に特異的な1つのsiRNAプールは、8回の反復でVKOR活性を64%〜70%低下させた。
【図3】A549細胞における遺伝子gi:13124769に特異的なsiRNAプールによるVKOR活性の阻害の時間経過。VKOR活性はこの期間中持続的に低下したが、そのmRNAのレベルは正常値の約20%まで急速に低下した。ビタミンKエポキシド25μMをこのアッセイのために使用した。siRNAは、VKDカルボキシラーゼの活性又はラミンA/CmRNAのレベルに影響を及ぼさなかった。
【図4】mGC_11276がSf9昆虫細胞において発現されたとき、VKOR活性が検出された。約1×105細胞をこのアッセイで使用した。反応は、緩衝液D中、KO32μMを使用して30℃で30分間実施した。ブランクSf9細胞をネガティブコントロールとして使用し、A549細胞を標準として使用した。
【図5】ワルファリンによるVKORの阻害。緩衝液D中、VKOR_Sf9細胞から作製したミクロソームタンパク質1.6mg、KO60μM、及び様々な濃度のワルファリンを使用して30℃で15分間、反応を実施した。
【図6A−D】ビタミンK依存性タンパク質、第X因子のカルボキシル化。A:外来性VKOR又はVKGCを伴わずに第X因子を生産するコントロールHEK293細胞。B:第X因子及び外来性VKGCだけを生産するHEK293細胞。C:第X因子及び外来性VKORだけを生産するHEK293細胞。D:第X因子及び外来性VKORとCKGCの両方を生産するHEK293細胞。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビタミンK依存性タンパク質をコードする第一の核酸を発現する細胞に、ビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)をコードする第二の異種核酸を、前記第一の核酸及び第二の核酸がそれぞれ発現されてビタミンK依存性タンパク質及びVKORを生産する条件下で導入することを含む、細胞内のカルボキシル化ビタミンK依存性タンパク質の量を増加させる方法。
【請求項2】
ビタミンK依存性タンパク質をコードする第一の核酸を発現する細胞に、ビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)をコードする第二異種核酸を、前記第一の核酸及び第二の核酸がそれぞれ発現されてビタミンK依存性タンパク質及びVKORを生産する条件下で導入することを含む、ビタミンK依存性タンパク質のカルボキシル化を増加させる方法。
【請求項3】
ビタミンK依存性タンパク質をコードする第一の核酸を発現する細胞に、ビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)をコードする第二異種核酸を、前記第一の核酸及び第二の核酸がそれぞれ発現されてビタミンK依存性タンパク質及びVKORを生産する条件下で導入することを含み、VKORの存在下で細胞において生産されるカルボキシル化ビタミンK依存性タンパク質の量が、VKORの非存在下で細胞において生産されるカルボキシル化ビタミンK依存性タンパク質の量に比べて増加している、細胞においてカルボキシル化ビタミンK依存性タンパク質を生産する方法。
【請求項4】
細胞が、ビタミンK依存性カルボキシラーゼをコードする第三の核酸をさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ビタミンK依存性タンパク質が、第VII因子、第IX因子、第X因子、プロテインC、プロテインS、プロトロンビン及びそれらの任意の組合せからなる群より選択される、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記細胞が植物細胞である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記細胞が昆虫細胞である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記細胞が動物細胞である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記ビタミンK依存性カルボキシラーゼが、ウシビタミンK依存性カルボキシラーゼである、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記ビタミンK依存性カルボキシラーゼが、ビタミンKγグルタミルカルボキシラーゼ(VKGC)である、請求項1から8のいずれかに記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【公表番号】特表2008−532544(P2008−532544A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501851(P2008−501851)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/008643
【国際公開番号】WO2006/101474
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(500282209)ユニヴァーシティ・オヴ・ノース・キャロライナ・アト・チャペル・ヒル (14)
【Fターム(参考)】