説明

活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液及びプリントヘッドの液置換方法

【課題】 ノズル詰まりを発生させない活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液とプリントヘッド内の液置換をする方法を提供する。
【解決手段】 インクが充填されていない活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッドにインクを充填する際、あるいは、インクが充填されたプリントヘッドに別のインクを充填しなおす際に用いる活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液が以下の1及び2の条件を満たす活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液。
1.インクを充填する前に少なくとも1度はプリントヘッド内を、置換液により充填及び循環の少なくともいずれかで処理されること。
2.置換液の新しく充填しようとするインク中に含有される光開始剤に対する下記25℃下溶解度が、該新しく充填しようとするインクの下記25℃下溶解度よりも大きくなる溶媒を含有すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル詰まりを発生させない活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液に関し、また、その置換液を用いた活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド内の液置換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット記録方式は簡便・安価に画像を作製出来るため、写真、各種印刷、マーキング、カラーフィルター等の特殊印刷など、様々な印刷分野に応用されてきている。特に、微細なドットを出射、制御する記録装置や、色再現域、耐久性、出射適性等を改善したインク及びインクの吸収性、色材の発色性、表面光沢などを飛躍的に向上させた専用紙を用い、銀塩写真に匹敵する画質を得ることも可能となっている。今日のインクジェット記録方式の画質向上は、記録装置、インク、専用紙の全てが揃って初めて達成されている。
【0003】
しかしながら、専用紙を必要とするインクジェットシステムは、記録媒体が制限されること、記録媒体のコストアップが問題となる。そこで、専用紙と異なる被転写媒体へインクジェット方式により記録する試みが多数なされている。具体的には、室温で固形のワックスインクを用いる相変化インクジェット方式、速乾性の有機溶剤を主体としたインクを用いるソルベント系インクジェット方式や、記録後紫外線(UV)光により架橋させるUVインクジェット方式などである。
【0004】
中でも、紫外線硬化型インクジェット方式は、ソルベント系インクジェット方式に比べ比較的低臭気であり、速乾性、インク吸収性の無い記録媒体への記録が出来る点で、近年注目されつつあり、紫外線硬化型インクジェットインクが開示されて(例えば、特許文献1、2参照。)いる。
【0005】
ところで、インクジェットプリンターはヘッドに形成された微小径の吐出口(ノズル)からインクを吐出するため、インク中の異物で吐出口が閉塞されたり、プリントヘッド内で顔料凝集が起こってその凝集物により吐出口が閉塞されたりする他、紫外線硬化型インクにおいては、インクが吐出口で硬化することによって吐出口が閉塞されたり、ゲル状の物質が生成して吐出口が閉塞されたり、といった問題があった。
【0006】
ノズルが詰まることを防止するための対策技術としては、インクジェットプリンタが画像記録動作を行っていない時に吐出口をキャップで蓋をする技術が(例えば、特許文献3〜6参照。)ある。その他の対策技術としては、インクジェットプリンタが画像記録動作を行っている時に、又は、画像記録動作を終了しようとする時に、吐出口近傍に付着したインクを拭き取る技術が(例えば、特許文献4〜7参照。)ある。
【0007】
しかしながらこれらの技術だけでは、紫外線硬化型インクジェット方式の場合には不十分で、特にはじめにインクをプリントヘッドに充填する場合、あるいは、既にインクが充填されたプリントヘッドに別の色のインクを再充填する場合に、ノズル詰まりをなくすことは非常に厳しかった。
【特許文献1】特開平6−200204号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献2】特表2000−504778号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献3】特開昭57−117964号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献4】特開昭57−80064号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献5】特開昭59−111856号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献6】特開平8−1953号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献7】特公昭62−9030号公報 (特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ノズル詰まりを発生させない活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液を提供し、またその置換液を用いてプリントヘッド内の液置換をする方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
【0010】
(請求項1)
インクが充填されていない活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッドにインクを充填する際、あるいは、インクが充填されたプリントヘッドに別のインクを充填しなおす際に用いる活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液が以下の1及び2の条件を満たすことを特徴とする活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液。
1.インクを充填する前に少なくとも1度はプリントヘッド内を、置換液により充填及び循環の少なくともいずれかで処理されること。
2.置換液の新しく充填しようとするインク中に含有される光開始剤に対する下記25℃下溶解度が、該新しく充填しようとするインクの下記25℃下溶解度よりも大きくなる溶媒を含有すること。
【0011】
25℃下溶解度:50℃で光開始剤を溶媒、又は光開始剤を含まない新しく充填しようとするインクに加熱溶解した後24時間25℃の恒温槽内に放置し光開始剤の析出が起こらない溶液100gに対する光開始剤の量。
【0012】
(請求項2)
前記新しく充填しようとするインク中に含有される重合性化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載の活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液。
【0013】
(請求項3)
前記新しく充填しようとするインク中に含有される光開始剤の置換液における25℃下溶解度が20〜70質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液。
【0014】
(請求項4)
インク中に含有される光開始剤の置換液における下記−10℃下溶解度が10〜20質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液。
【0015】
−10℃下溶解度:50℃で光開始剤を溶媒、又は光開始剤を含まない新しく充填しようとするインクに加熱溶解した後24時間−10℃の恒温槽内に放置し光開始剤の析出が起こらない溶液100gに対する光開始剤の量。
【0016】
(請求項5)
光開始剤がヨウドニウム塩またはスルホニウム塩であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液。
【0017】
(請求項6)
0.02〜1.50質量%の染料あるいは顔料を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液。
【0018】
(請求項7)
溶媒として25℃における粘度が0.5〜20mPa・sで、沸点が150〜350℃である非反応性化合物を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液。
【0019】
(請求項8)
25℃における表面張力が20〜40mN/mであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液。
【0020】
(請求項9)
25℃における粘度が1〜100mPa・sであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液。
【0021】
(請求項10)
プリントヘッドを35〜100℃に加熱した状態で請求項1〜9のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液をプリントヘッド内に充填及び循環の少なくともいずれかで存在させることを特徴とする活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッドの液置換方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、ノズル詰まりを発生させない活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液を提供し、またその置換液を用いてプリントヘッド内の液置換をする方法を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明を更に詳しく説明する。通常出荷時のインクジェットプリントヘッド内には、各ヘッドメーカーにおいて出荷前の吐出性確認やヘッド内洗浄のために用いられた溶剤が残存している。そのため、プリントヘッドにインクをそのまま充填・送液してしまうと該溶剤との接触により染料あるいは顔料凝集が発生する問題や、特に活性光線硬化型インクの場合にはゲル状物質が発生したり開始剤が析出する、といった大きな問題があった。活性光線硬化型インクに用いられる光開始剤がヨウドニウム塩またはスルホニウム塩などのオニウム塩の場合には前記ゲル状物質や開始剤析出発生の問題が特に顕著となり特に改善が必要であった。
【0024】
本発明者は鋭意検討した結果、インクジェットプリントヘッド内にインクを充填する前に下記要件を満たす置換液をあらかじめヘッド内に充填およびまたは循環送液することが必要であることを見出した。その要件とは、インク中に含有される光開始剤の置換液における25℃下溶解度がインクにおける溶解度よりも大きくなるような溶媒を置換液中に含有する。更に、溶媒として、インク中に含有される重合性化合物の少なくとも1種を含むことがゲル状物質の発生を抑制する点で好ましい。
【0025】
光カチオン重合系インクを使用するプリントヘッド用の置換液で好ましく用いられる重合性化合物としては、東亜合成社製OXT221・OXT101、ダイセル化学工業社製セロキサイド3000・セロキサイド2000・AOE−X24・AOE−X68、などが一例として挙げられる。
【0026】
光ラジカル重合系インクを使用するプリントヘッド用の置換液で好ましく用いられる重合性化合物としては、公知のあらゆる単官能アクリレートが好ましく用いられ、一例としては、イソアミルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、オクチルアクリレート、セチルアクリレート、デシルアクリレート、イソミルスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、イソボルニルアクリレート、ラクトン変性可とう性アクリレートなどが挙げられる。
【0027】
また、好ましくは、インク中に含有される光開始剤の置換液における25℃下溶解度が20質量%以上となることである。20質量%未満であると、1.5×102kPa以上の圧力をかけて急激にヘッド内に充填・送液した場合に開始剤析出の発生が起こりやすくその析出物によりノズル詰まりを起こす可能性が有り、溶解度の上限は特に無いが実質的に70質量%以上にすることは難しい。更に、インク中に含有される光開始剤の置換液における−10℃下溶解度が10〜40質量%であることも好ましく、10質量%未満であると置換液がプリントヘッド内で充填された状態で低温下に放置された場合に問題となる。
【0028】
光カチオン重合系インクを使用するプリントヘッド用の置換液において、ヨウドニウム塩スルホニウム塩などのオニウム塩光開始剤の置換液における溶解度を上げる手段としては、前記のようにインク中の光重合性化合物の中で開始剤溶解性の高いものを選択するだけでなく、併用して、市販の光開始剤の溶剤として含有されているプロピレンカーボネート、環状エステル化合物、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、α−メチル−β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−ヘプタノラクトンなどを5.0〜70質量%程度含有せしめることがより好ましい。但しこれら溶剤を単独で使用するとインク中の染料あるいは顔料の凝集の発生を誘発してしまい好ましくない。
【0029】
また本発明の置換液には、溶媒として25℃における粘度が20mPa・s以下、沸点が150℃以上である非反応性化合物を含有することが環境上、安全衛生上好ましい。通常、重合性モノマーは、AMES、皮膚刺激性、皮膚感作性などの取り扱い上の安全性の面で問題があることが多いため非反応性化合物を用いることが好ましいが、粘度が20mPa・sを超えるとヘッド内の細部に渡り置換液を満たすことが難しくなり、また、沸点が150℃未満であると環境への揮発・放出(VOC規制)の面で好ましくない。但しこれら非反応性化合物を単独で使用するとインク中の染料あるいは顔料の凝集の発生や、開始剤析出を誘発してしまい問題となる。
【0030】
本発明においては、置換液中の非反応性化合物の含有量は20〜80質量%であることが好ましい。20質量%未満だと前記効果が不十分であり、80質量%を超えると前記問題が発生してしまい好ましくない。
【0031】
非反応性化合物の種類としては、芳香族炭化水素類、ハロゲン化水素類、エステル類、ケトン類、エーテル類が挙げられる。
【0032】
例えば、アセト酢酸メチル(沸点172℃、粘度1.6mPa・s)、3−メチル−3
−メトキシブチルアセテート(沸点188℃、粘度1.7mPa・s)、シクロヘキサノ
ン(沸点156℃、粘度2.0mPa・s)、乳酸エチル(沸点155℃、粘度2.4m
Pa・s)、2−メチル乳酸メチル(沸点137℃、粘度2.6mPa・s)、ジア
セトンアルコール(沸点168℃、粘度3.0mPa・s)、乳酸ブチル(沸点188℃
、粘度3.3mPa・s)、などがある。
【0033】
特に好ましくは、グリコールエーテル化合物を用いるが、市販のあらゆるものを用いることができる。例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃、粘度4.1mPa・s)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点249℃、粘度8.3mPa・s)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点230℃、粘度6.6mPa・s)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点188℃、粘度4.1mPa・s)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃、粘度1.1mPa・s)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点216℃、粘度2.2mPa・s)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(沸点275℃、粘度3.8mPa・s)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点189℃、粘度1.4mPa・s)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点256℃、粘度2.4mPa・s)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(沸点176℃、粘度1.2mPa・s)、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル(沸点179℃、粘度1.3mPa・s)、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点212℃、粘度1.6mPa・s)、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点261℃、粘度2.9mPa・s)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点171℃、粘度1.2mPa・s)、トリプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点215℃、粘度2.25mPa・s)などがあり、これらは東邦化学工業株式会社より「ハイソルブ」シリーズとして販売されている。
【0034】
本発明の置換液においては、取り扱い性の向上の目的で各種公知の染料及び/または顔料を少量含有させることが望ましい。特に好ましくは0.02〜1.50質量%含有する。0.02質量%未満だと取り扱い性の向上の効果がなく、1.50質量%を超えると凝集の起こる可能性が有り問題となる。
【0035】
染料としては油性染料が好ましく、具体例としては、例えば、オリエント化学工業株式会社製;Valifast Yellow 4120、Valifast Yellow 3150、Valifast Yellow 3108、Valifast Yellow 2310N、Valifast Yellow 1101、Valifast Red 3320、Valifast Red 3304、Valifast Red 1306、Valifast Blue 2610、Valifast Blue 2606、Valifast Blue 1603、Oil Yellow GG−S、Oil Yellow 3G、Oil Yellow 129、Oil Yellow 107、Oil Yellow 105、Oil Scarlet 308、Oil Red RR、Oil Red OG、Oil Red 5B、Oil Pink 312、Oil Blue BOS、Oil Blue 613、Oil Blue 2N、Oil Black BY、Oil Black BS、Oil Black 860、Oil Black 5970、Oil Black 5906、Oil Black 5905、日本化薬株式会社製;Kayaset Yellow SF−G、Kayaset Yellow K−CL、Kayaset Yellow GN、Kayaset Yellow A−G、Kayaset Yellow 2G、Kayaset Red SF−4G、Kayaset Red K−BL、Kayaset Red A−BR、KayasetMagenta312、Kayaset Blue K−FL、有本化学工業株式会社製;FS Yellow 1015、FS Magenta 1404、FS Cyan 1522、FS Blue 1504、C.I.Solvent Yellow 88、Solvent Yellow 83、Solvent Yellow 82、Solvent Yellow 79、Solvent Yellow56、Solvent Yellow 29、Solvent Yellow 19、Solvent Yellow 16、Solvent Yellow 14、Solvent Yellow 04、Solvent Yellow 03、Solvent Yellow 02、Solvent Yellow 01、C.I.Solvent Red 84:1、C.I.Solvent Red 84、C.I.Solvent Red 218、C.I.Solvent Red 132、C.I.Solvent Red 73、C.I.Solvent Red 72、C.I.Solvent Red 51、C.I.Solvent Red 43、C.I.Solvent Red 27、C.I.Solvent Red 24、Solvent Red 18、Solvent Red 01、Solvent Blue 70、Solvent Blue67、Solvent Blue 44、Solvent Blue 40、Solvent Blue 35、Solvent Blue 11、Solvent Blue02、Solvent Blue 01、Solvent Black 43、C.I.Solvent Black 70、C.I.Solvent Black 34、C.I.Solvent Black 29、C.I.Solvent Black 27、C.I.Solvent Black 22、C.I.Solvent Black 7、C.I.Solvent Black 3、C.I. Solvent Violet 3、C.I. Solvent Green 3及び7等が挙げられる。
【0036】
顔料としてはあらゆる公知の顔料を用いることができ、例えば、
C.I.Pigment Yellow
1,2,3,12,13,14,16,17,73,74,75,81,83,87,93,95,97,98,109,114,120,128,129,138,150,151,154,180,185
C.I.Pigment Red
5,7,12,22,38,48:1,48:2,48:4,49:1,53:1,57:1,63:1,101,112,122,123,144,146,168,184,185,202
C.I.Pigment Violet
19,23
C.I.Pigment Blue
1,2,3,15:1,15:2,15:3,15:4,18,22,27,29,60
C.I.Pigment Green
7,36
C.I.Pigment White
6,18,21
C.I.Pigment Black 7
などが挙げられる。
【0037】
また顔料の場合、顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。また、必要に応じて分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。分散媒体は、重合性化合物を用いて行うのが好ましい。
【0038】
本発明の置換液の25℃における表面張力は20〜40mN/mであることが好ましい。表面張力をこの範囲に調整することで、ヘッド内の細部にわたり置換液を満たすことが可能となる。表面張力を調整する手段としては、あらゆる公知の界面活性剤を用いることができるが、ノニオン性界面活性剤を含有することが好ましい。例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、第2級アルコールエトキシレート、第1級アルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、オクチルフェノールエトキシレート、オレイルアルコールエトキシレート、ラウリルアルコールエトキシレート、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコールオレート、ソルビタンステアリルエステル、ソルビタンオレイルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンオレイルエステル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコールモノメタクリレートなどの水酸基含有不飽和単量体が共重合されたアクリル樹脂等を挙げることができる。更に、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のアルコール、またはグリコールエーテル類等が例示される。その他の例としては、分子中にパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤なども挙げられ、例えば、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルアミンオキシド、パーフルオロアルキル含有オリゴマー等を挙げることができ、具体的には、例えば、「サーフロン(SURFLON)S−141」、「サーフロンS−145」、「サーフロンS−381」、「サーフロンS−383」、「サーフロンS−393」、「サーフロンSC−101」、「サーフロンSC−105」、「サーフロンKH−40」、「サーフロンSA−100」(以上、セイミケミカル(株)製)、「メガファックF−171」、「メガファックF−172」、「メガファックF−173」、「メガファックF−177」、「メガファックF−178A」、「メガファックF−178K」、「メガファックF−179」、「メガファックF−183」、「メガファックF−184」、「メガファックF−815」、「メガファックF−470」、「メガファックF−471」(以上、大日本インキ化学工業(株)製)等を挙げることができる。
【0039】
本発明においてノニオン性界面活性剤は、インク中に20〜50,000ppmの範囲で用いることが好ましく、更に好ましくは50〜20,000ppmである。本発明においてノニオン性界面活性剤の含有量が20ppm未満である場合には、十分な表面張力の調整ができず、また含有量が50,000ppmを超える場合には、発泡しやすくなり、発生した泡がノズル欠の原因になってしまう問題がある。
【0040】
本発明の置換液の25℃における粘度は、1〜100mPa・sであることが好ましい。100mPa・sを超えるとプリントヘッドを加温した状態で置換液を充填あるいは循環送液してもヘッド内の細部に渡り置換液を満たすことが困難となる。
【0041】
以下、本発明の液置換または循環送液方法について、図1を適宜参照しながら説明する。尚、図1はあくまでも本発明の液置換方法の一態様であり、本発明の態様はこの図面に限定されない。
【0042】
インク流路を面ヒーターにて加温できるプリントヘッド3のノズル面4にゴムキャップ5を密着させチューブポンプ6にて配管経路内を負圧にして、置換液容器1に溜められている置換液をプリントヘッド3内に循環させる。置換液をヘッド内に充填する前に、経路内にディスクフィルター2を設けることが好ましい。また、プリントヘッドを35〜100℃に加温した状態(インクを吐出する温度)で置換液を充填または循環送液することが好ましい。
【実施例】
【0043】
以下に本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらの例に限定されるものではない。
【0044】
《置換液及びインクの調製》
表1に記載の組成でインクA、Bを作製し、インクAに用いる置換液1〜5及びインクBに用いる置換液6、7、8を表2に記載の組成で作製し、それぞれのインク及び置換液をポール社製3μmデプスフィルターMACWA0303で濾過を行った。各置換液の粘度、表面張力(表張)は表3に示す通りである。
【0045】
粘度はレオメータMCR300(Physica製)を用い、25℃、Shear R
ate=1000(1/s)の条件下で測定した。
【0046】
表面張力は、協和界面化学社製表面張力計(A3型)にて白金プレートを用いて測定した値である。
【0047】
《顔料分散液aの調製》
以下の組成で顔料を分散した。
【0048】
以下2種の化合物をステンレスビーカーに入れ、65℃ホットプレート上で加熱しながら1時間加熱撹拌溶解した。
PB822(味の素ファインテクノ社製分散剤) 9部
OXT−221(東亞合成社製) 71部
室温まで冷却した後これに下記顔料20部を加えて、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gと共にガラス瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて6時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去した。
顔料:Pigment Blue 15:4(大日精化社製、ブルーNo.32)
《顔料分散液bの調製》
以下の組成で顔料を分散した。
【0049】
以下2種の化合物をステンレスビーカーに入れ、65℃ホットプレート上で加熱しながら1時間加熱撹拌溶解した。
PB821(味の素ファインテクノ社製分散剤) 9部
テトラエチレングリコールジアクリレート 71部
室温まで冷却した後これに下記顔料20部を加えて、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gと共にガラス瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて6時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去した。
顔料:Pigment Blue 15:4(大日精化社製、ブルーNo.32)
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
【表3】

【0053】
表3において、評価方法は以下の通り。
【0054】
(対インク25℃下光開始剤の溶解度)
○:インクよりも光開始剤の溶解度が大である
×:インクよりも光開始剤の溶解度が小である。
【0055】
(25℃下光開始剤(固形分)の20質量%溶解度)
○:20質量%で完溶する
×:20質量%では不溶物が認められる。
【0056】
(−10℃下光開始剤(固形分)の10質量%溶解度)
○:10質量%で完溶する
×:10質量%では不溶物が認められる。
【0057】
《連続吐出性評価方法》
ピエゾ型ヘッドに、図1のような経路で流量20ml/minとなるようにチューブポンプを駆動させ、置換液50mlを5分間循環送液させた。その後、置換液をポンプにて排出してからインクをヘッドに充填(置換液1〜5の場合はインクAを、置換液6、7、8の場合はインクBを)し、ヘッドを50℃に加熱した状態で、駆動周波数4kHz、一周期当たりにインク液滴4plを5ドロップ連続吐出することで6階調を表現可能な256ノズルのピエゾ型ヘッドを用い、液滴速度が6m/sとなるように駆動電圧を調整し、30分間連続して吐出させ、各記録ヘッドのノズルからの吐出状態を目視観察し、下記の基準により連続吐出性の評価を行った。また、比較として置換液を循環させずにいきなりインクを充填させ同様な評価を行った。結果を表4に示す。
【0058】
○:30分連続吐出しても、ノズル詰まりが1個も発生しない
△:30分連続吐出でノズル詰まりが生じないが、液滴の曲がりが発生し、ぎりぎり使いこなせるレベル
×:30分連続吐出で、数カ所以上のノズル詰まりが発生し、問題なレベル。
【0059】
××:インク充填時にインクが凝集してしまい、吐出すらできない問題なレベル。
【0060】
【表4】

【0061】
表4から、本発明の置換液はノズル詰まりが発生しないことが判る。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の液置換または循環送液方法の概略を示す模式図である。
【符号の説明】
【0063】
1 置換液容器
2 ディスクフィルター
3 プリントヘッド
4 ノズル面
5 ゴムキャップ
6 チューブポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクが充填されていない活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッドにインクを充填する際、あるいは、インクが充填されたプリントヘッドに別のインクを充填しなおす際に用いる活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液が以下の1及び2の条件を満たすことを特徴とする活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液。
1.インクを充填する前に少なくとも1度はプリントヘッド内を、置換液により充填及び循環の少なくともいずれかで処理されること。
2.置換液の新しく充填しようとするインク中に含有される光開始剤に対する下記25℃下溶解度が、該新しく充填しようとするインクの下記25℃下溶解度よりも大きくなる溶媒を含有すること。
25℃下溶解度:50℃で光開始剤を溶媒、又は光開始剤を含まない新しく充填しようとするインクに加熱溶解した後24時間25℃の恒温槽内に放置し光開始剤の析出が起こらない溶液100gに対する光開始剤の量。
【請求項2】
前記新しく充填しようとするインク中に含有される重合性化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載の活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液。
【請求項3】
前記新しく充填しようとするインク中に含有される光開始剤の置換液における25℃下溶解度が20〜70質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液。
【請求項4】
インク中に含有される光開始剤の置換液における下記−10℃下溶解度が10〜20質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液。
−10℃下溶解度:50℃で光開始剤を溶媒、又は光開始剤を含まない新しく充填しようとするインクに加熱溶解した後24時間−10℃の恒温槽内に放置し光開始剤の析出が起こらない溶液100gに対する光開始剤の量。
【請求項5】
光開始剤がヨウドニウム塩またはスルホニウム塩であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液。
【請求項6】
0.02〜1.50質量%の染料あるいは顔料を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液。
【請求項7】
溶媒として25℃における粘度が0.5〜20mPa・sで、沸点が150〜350℃である非反応性化合物を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液。
【請求項8】
25℃における表面張力が20〜40mN/mであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液。
【請求項9】
25℃における粘度が1〜100mPa・sであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液。
【請求項10】
プリントヘッドを35〜100℃に加熱した状態で請求項1〜9のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッド用置換液をプリントヘッド内に充填及び循環の少なくともいずれかで存在させることを特徴とする活性光線硬化型インクジェットプリンターのプリントヘッドの液置換方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−21740(P2007−21740A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−202689(P2005−202689)
【出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】