説明

活性剤デリバリーシステム

水溶性である高分子に由来する高分子骨格とこの骨格に結合した1種または複数の誘導体化基とを含む高分子フィルムによりカプセル化された活性剤を含むデリバリーシステムであって、(複数種の)誘導体化基は0.5から6のClogPを有する親物質から誘導され、前記デリバリーシステムは高分子フィルムの外側に界面活性剤もまた含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は活性剤の制御放出のためのシステムと方法に関し、カプセル化および高分子−界面活性剤の相互作用に関連する。本発明はホームケアおよびパーソナルケアにおいて有用な活性剤の制御放出に使用できる。
【背景技術】
【0002】
高分子フィルムによる活性剤のカプセル化は周囲の環境への活性剤の放出を遅らせるための方法として知られている。このような方法は、医薬品、農業用化学製品、ならびにホームケアおよびパーソナルケアの分野を含めて、多くの分野において用いられている。
【0003】
ポリ(ビニルアルコール)(以後、「PVOH」と呼ぶ)のようなポリオールを含めて、多くのタイプの水溶性高分子フィルムがカプセル化に使用されている。
【0004】
EP−A−518689は、有害物質を含む組成物をカプセル化するPVOHフィルムを含む、有害物質(例えば、殺虫剤)のためのデリバリーシステムを開示する。
【0005】
EP−B−389513はPVOHフィルム内の濃厚水性シロップを開示し、このシロップの濃度はフィルムの溶解を防ぐのに効果的である。
【0006】
EP−A−700989はPVOHフィルムに包まれた皿洗い用洗剤組成物を開示し、このフィルムが、皿洗い機の主洗浄サイクルまで、洗剤が溶けないように保護する。
【0007】
WO−A−97/27743は、水溶性のサッシェ(PVOHであり得る)にパッケージ化された農業用化学製品組成物を開示する。
【0008】
GB−A−2118961はPVOHフィルムにパッケージ化された入浴剤を開示し、一方、EP−B−347221は植物衛生物質の水溶性サッシェに関し、このサッシェは第2の水不溶性パックにパッケージ化され、湿気の多い環境がこれら2つの包みの間に保たれる。
【0009】
EP−A−593952は2つの室と各室内に洗浄処理剤を有するPVOHの水溶性サッシェを開示する。
【0010】
EP−A−941939は、溶けた時に組成の分かった溶液を生成する組成物を入れた水溶性パッケージ(PVOHであり得る)に関する。
【0011】
EP−B−160254はPVOHの袋に洗剤成分混合物を含む洗浄用添加剤に関する。この洗剤は非イオン界面活性剤および第4級アンモニウム化合物を含む。
【0012】
GB−A−2305931は可溶性洗濯サッシェを開示し、BE−9700361は水溶性で使用単位になった洗浄剤(特に手の洗浄用)に関する。
【0013】
DE−29801621は皿洗い機用の水溶性の使用単位を開示する。
【0014】
US−4846992は2重パッケージの洗濯用洗剤を開示し、内側のパッケージは水溶性であり、PVOHであり得る。
【0015】
EP−B−158464はPVOHにパッケージ化された洗剤混合物(mull)に関し、DE−A−19521140は洗剤組成物を入れた水溶性PVOHサッシェを開示する。
【0016】
FR−2601930は何らかの物質(特に医薬)を入れた水溶性サッシェに関する。
【0017】
様々なタイプの水溶性PVOHフィルムもまた知られている。例えば、EP−B−157162は、ゴム状マイクロドメインが分散しているPVOHマトリックスを含む自立性のフィルムに関する。
【0018】
WO−A−96/00251は、親水性高分子(pHに依存しない安定イオン基を含む親水性モノマーから調製される)がグラフトされているグラフト部位を有する疎水性骨格を含む両親媒性グラフトコポリマーに関する。
【0019】
GB−B−2090603は、部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニルと、ポリアクリル酸との均一な混合物を含む水溶性のフィルムに関する。
【0020】
WO−A−97/00282は、2種の高分子成分SおよびHを組み合わせた水溶性のフィルムに関し、SはTgが20℃未満であるソフトな酸官能性オレフィン付加コポリマーであり、HはTgが40℃未満のハードな酸官能性オレフィン付加コポリマーである。S:Hの比は90:10から65:35であり、酸官能基は少なくとも部分的に中和されてフィルムを水溶性にしている。
【0021】
EP−B−79712はボラートイオンを含む洗浄物に放出される洗濯用添加剤に関する。この添加剤は、可溶化剤としてポリヒドロキシ化合物(例えばソルビトール)または酸(例えばポリアクリル酸)のいずれかを含む可塑化されたPVOHフィルムの中に包まれている。
【0022】
EP−B−291198はアルカリ性添加剤またはボラート含有添加剤を含む水溶性のフィルムに関する。このフィルムは、0〜10モル%の残留アセテート基および1〜6モル%の非加水分解性陰イオンコモノマーを有するビニルアルコールコポリマー樹脂により形作られる。FR−2724388は、13〜20%の可塑剤(例えばグリセロール)により可塑化され、次いで成形されたPVOHからなる水溶性のボトル、フラスコまたはドラムを開示する。
【0023】
国際特許出願WO−A−00/55044、WO−A−00/55045、WO−A−00/55046、WO−A−00/55068、WO−A−00/55069およびWO−A−00/55415の明細書は、横型の成形−充填−シール(horizontal form−fill−seal、HFFS)エンベロープである、流体物質(液体、ゲルまたはペーストと定義されている)を入れる水溶性パッケージを開示する。これらのパッケージは、第1のシートから形作られ好ましくはドーム状であり内容積を有する胴体壁体部分と、第2のシートから形作られ前記胴体壁体部分に面を付け、上に置かれる基部壁体部分を備える。
【0024】
約10重量%から約24重量%(しかし、唯一の例においては3.57%である)の水を含む液体の洗濯用洗剤組成物を入れるPVOHパッケージがUS−A−4973416に開示されている。
【0025】
EP0283180は、加水分解度が高く非常に速く溶けるフィルムの調製を開示する。
【0026】
WO−A1−97/19961は、カルボキシラート部分と共重合され、ある程度ラクトン化されたPVOHからなる速溶解性高分子を開示する。これらの物質は洗剤溶液に迅速に溶ける。洗浄用界面活性剤を用いる溶解性の制御についての参照または示唆はない。
【0027】
EP0284334は、トリガーされるパウチを製造するための、PVOHおよびアルキルセルロースと金属塩(例えばボラート)とのブレンドを含むフィルムに関する。アルキルセルロースは、洗浄サイクルに伴うより高い温度でよりも、低いすすぎ洗い温度で、より良く溶けるように温度に対して反応するために存在する。ボラート架橋はpH感受性をもたせる。さらに、この文書は、陰イオン界面活性剤が、フィルムの溶解速度にほとんど影響をもたないか、あるいはそれを増加さえさせることを開示する。
【0028】
GB2358382はPVOHから造られる硬質ブロー成形部品に関する。
【0029】
AT408548は洗浄サイクル中の洗浄力向上のためのビルダーを含むPVOH材料に関する。
【0030】
実質的に非水性の配合物が水溶性のフィルムにカプセル化される部類の、使用単位の液体製品を製造する場合に、恐らく最も困難な課題はフィルムの物理的一体性(integrity)と安定性を保つことである。この問題に対する1つのアプローチがWO−A1−01/79417において開示されており、このアプローチは液体組成物中の如何なる酸性成分をも、特に、陰イオン性界面活性剤の如何なる脂肪酸および/または酸前駆体をも実質的に中和するか、あるいはこれらの中和点を過ぎることを含む。しかし、このアプローチは、カルボキシル官能基を有するコモノマー単位を含むPVOH系の水溶性のフィルムを用いるカプセル化に特有である。
【0031】
市販の柔軟化組成物は一般に水性であり、水溶性パッケージと望ましくない相互作用をする傾向があり、フィルムを弱くし、可能性として、例えば保管中に、時期尚早な破壊を引き起こすので、すすぎ洗いサイクルにおいて使用されるファブリック柔軟化組成物を含むフィルムの一体性を保つことは、特に難題である。
【0032】
この問題に対処する1つの方法がUS4765916に開示されており、この方法は、架橋された水溶性高分子フィルム(好ましくはボラート)を提供することを含む。
【0033】
前記生成物がファブリック柔軟化組成物のデリバリーに用いられる場合、内容物は主にすすぎ洗いサイクル中にデリバリーされることが重要である。
【0034】
ファブリックコンディショニング製品が洗濯機のドラムに通常は直接投入される、いわゆる「上部投入式」洗濯機の場合には、これは、消費者が、洗浄サイクルの開始時にもすすぎ洗いサイクルの開始時にも、洗浄およびすすぎ洗い製品をそれぞれ投入するために、通常その場にいることを要求する。
【0035】
したがって、洗浄サイクルの開始時に洗濯機ドラムに投入できるが、すすぎ洗いサイクルまで内容物を分散または放出しない製品を提供できることが望ましい。
【0036】
この問題に対処する1つの方法はWO−A1−02/102956に公表されており、この特許には、例えば、洗浄液からすすぎ洗い液へのpHおよび/またはイオン強度における変化に応じて溶ける水溶性パッケージが提供されている。しかし、機械および洗浄条件の多様性は、pHおよび/またはイオン強度の変化が非常に大きく変動し得ることを意味する。したがって、洗浄サイクルに投入でき、別の手段によりすすぎ洗いサイクルにおいてトリガーされる水溶性パッケージを提供することもまた望ましい。
【0037】
WO−A1−01/85892は、投入用引き出しのすすぎ洗い隔室に入れられる、PVOHフィルムの入れ物を有する非常に濃厚なコンディショナーを開示する。この入れ物は、すすぎ洗いサイクルが始まる時にすすぎ洗い浴に入る。
【0038】
WO−A−00/51724はファブリック処理製品の制御放出のためにモレキュラーシーブを使用することを開示する。
【0039】
WO−A−00/06688は、アミン基により変性されたPVOHフィルムに関する。このフィルムは洗濯サイクルの間のpHの変化によって内用物を放出する。
【0040】
DE−A−2749555は、すすぎ洗いの間に放出される、洗浄用パウチを有する2層ラミネートを開示する。しかし、洗濯サイクルが終わった後に不溶性の袋が残る。さらに、この特許に開示されている高分子は、疎水性を増すように変性されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0041】
本発明者等は、今や、疎水性を増すように変性されたポリオールを含む高分子フィルムの水溶性を、フィルムの表面に吸収された界面活性剤のレベルを調節することによって加減できることを見出した。このことにより、このようなフィルムによってカプセル化された活性剤の放出を、フィルムの表面に吸収された界面活性剤のレベルを調節すること(特に下げること)によってトリガーできるデリバリーシステムを設計することが可能になる。
【0042】
さらに、疎水性を増すように変性されたポリオールを含む高分子フィルムの表面に吸収された界面活性剤のレベルを、周囲環境における界面活性剤濃度の希釈によって、および/または温度を上げることによって、低下させ得ることが見出された。このことにより、医薬品、農業用化学製品、また特にホームケアおよびパーソナルケアの分野における使用に適するデリバリーシステムの発明が可能となった。
【0043】
ホームケアの分野における特定の用途は家庭での洗濯過程に見出された。PVOHフィルムのような水溶性高分子フィルムの構造を変性基により(例えば1種または複数のアセタール基により)疎水性を増すように変性することによって、フィルムは外部に界面活性剤が存在しても(例えば洗濯作業の洗浄サイクル中)実質的に元のままであり、界面活性剤の濃度が十分に低くなった時に(例えば洗濯作業のすすぎ洗いサイクル中に)崩壊する。
【課題を解決するための手段】
【0044】
本発明の第1の態様によれば、水溶性である高分子に由来する高分子骨格とこの骨格に付いた1種または複数の誘導体化基(derivatising group)とを含む高分子フィルムによってカプセル化された活性成分を含むデリバリーシステムが提供され、前記1または複数の誘導体化基は0.5から6のClogPを有する親物質から誘導され、前記デリバリーシステムは前記高分子フィルムの外側に界面活性剤もまた含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
本発明の第2の態様によれば、疎水性を増すように変性されたポリオールを含む高分子フィルムによりカプセル化された活性剤を含むデリバリーシステムが提供され、このデリバリーシステムは前記高分子フィルムの外側に界面活性剤もまた含む。
【0046】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1および第2の態様によるデリバリーシステムの希釈および/または加熱を含む、ターゲットへの活性成分のデリバリー方法が提供される。
【0047】
前記活性剤は必要とされる仕事に適する如何なる処理剤であってもよい。活性剤は、薬剤、農業用化学剤、洗浄剤または洗濯剤、あるいは化粧剤(例えば芳香剤またはスキンケア剤)であり得る。
【0048】
活性成分は1種または複数の担体物質および/または他の成分と共にカプセル化されてもよい。カプセル化される全物質(以後、「被カプセル化物」と呼ぶ)の状態は、好ましくは液体である。被カプセル化物は、好ましくは実質的に非水性であり、このような被カプセル化物は本明細書において記載されている高分子フィルムに適合しており、またこれらのフィルムによって確実に保護される。
【0049】
本発明との関連において、「実質的に非水性」は、被カプセル化物中の水のレベルが、被カプセル化物の全重量の20重量%未満、より好ましくは15重量%以下、最も好ましくは10重量%、例えば5重量%または3重量%以下でさえあることを意味する。
【0050】
それぞれの遅延放出パッケージ(下記を参照)内の被カプセル化物のレベルは、通常、0.5gから100g、特に、1gから30g、殊に1.5gから25g、例えば2gから15gである。
【0051】
被カプセル化物はホームケアまたはパーソナルケアにおける使用に適する組成物であり得る。例えば、それは、化粧品組成物、家庭用洗浄組成物、またはファブリック処理組成物(例えばファブリック柔軟化組成物)であってもよい。
【0052】
本発明における使用に特に適するファブリック柔軟化組成物には、実質的に非水性の溶融物(melt)、エマルジョン、およびマイクロエマルジョンが含まれる。
【0053】
実質的に非水性の溶融物は、特定の温度で、固形状(例えば粒子)で存在するファブリック柔軟化組成物であり、この個体はオイルマトリックスに懸濁されており、20重量%未満、好ましくは5重量%未満の水を含む。
【0054】
実質的に非水性の濃厚すすぎ洗いコンディショナーエマルジョンは、第4級アンモニウム柔軟化物質、オイル、および20重量%未満のレベルの水の混合物である。
【0055】
実質的に非水性のマイクロエマルジョンは20重量%未満の水を含む組成物であり、この組成物は、透明で等方性で、ある温度範囲に渡って熱力学的に安定である。
【0056】
本発明において使用される好ましいファブリック柔軟化組成物は濃厚であり、これは、それらが10重量%またはこれ以上のファブリック柔軟化活性剤を含むことを意味する。より好ましいファブリック柔軟化組成物は超濃厚であり、これは、それらが25重量%またはこれ以上のファブリック柔軟化活性剤を含み、典型的には25重量%から97重量%、好ましくは35から95重量%、より好ましくは45から95重量%、最も好ましくは55から85重量%のファブリック柔軟化活性剤を含むことを意味する。
【0057】
ファブリック柔軟化組成物である被カプセル化物はファブリック柔軟化活性剤を含む。このような作用剤は、この目的に広く使用される如何なるものから選択されてもよい。好ましいファブリック柔軟化活性剤は、少なくとも1つのエステル結合を介して窒素ヘッド基に結合している2つのC12〜18アルキルまたはアルケニル基を含む水不溶性の陽イオン第4級アンモニウム化合物である。第4級アンモニウム化合物が2つのエステル結合をもつと一層好ましい。
【0058】
使用され得る特定のファブリック柔軟化陽イオン化合物は式(I)により表される:
【0059】
【化1】

式中、各Rは独立にC5〜35アルキルもしくはアルケニル基から選択され、RはC1〜4アルキル、C2〜4アルケニルまたはC1〜4ヒドロキシアルキル基を表し、Tは、−O−CO.−、または−CO.O−であり、nは0または1から4から選択される数であり、mは1、2または3であり、N原子から直接ぶら下がっている部分に関する部分の数を示し、Xは、ハライドまたはアルキルサルフェート(例えば、クロリド、メチルサルフェートまたはエチルサルフェート)のような陰イオン基である。
【0060】
この種類の中の特に好ましい物質は、トリエタノールアンモニウムメチルサルフェートのジアルケニルエステルである。
【0061】
市販されている例には、Tetranyl AHT−1(トリエタノールアンモニウムメチルサルフェートのジオレイン酸(硬化されている)エステル 80%活性)、AT−1(トリエタノールアンモニウムメチルサルフェートのジオレイン酸エステル 90%活性)、L5/90(トリエタノールアンモニウムメチルサルフェートのパームエステル 90%活性)(全てKao)、およびRewoquat WE15(C10〜C20およびC16〜C18の不飽和脂肪酸の4級化トリエタノールアミンジメチルサルフェートとの反応生成物 90%活性)(Witco Corporation)が含まれる。
【0062】
使用され得るさらなるファブリック柔軟化陽イオン化合物は式(II)により表される:
【0063】
【化2】

式中、各R基は独立に、C1〜4アルキル、ヒドロキシアルキルまたはC2〜4アルケニル基から選択され、各R基は独立に、C8〜28アルキルまたはアルケニル基から選択され、nは0または1から5の整数であり、TおよびXは上で定義された通りである。
【0064】
1,2−ビス[獣脂脂肪酸(tallowoyloxy)]−3−トリメチルアンモニウムプロパンクロリドおよび1,2−ビス[オレイルオキシ]−3−トリメチルアンモニウムプロパンクロリドのようなこの種類の好ましい物質とこれらの調製方法は、例えば、US4137180(Lever Brothers)に記載されており、この特許の内容は本明細書に組み込まれる。
【0065】
使用され得るさらなるファブリック柔軟化陽イオン化合物は式(III)により表される:
【0066】
【化3】

式中、各R基は独立に、C1〜4アルキル、またはC2〜4アルケニル基から選択され、各R基は独立に、C8〜28アルキルまたはアルケニル基から選択され、nは0または1から5の整数であり、TおよびXは上で定義された通りである。この種類の中の好ましい物質は、N,N−ジ(獣脂脂肪酸エチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロリドである。
【0067】
第4級アンモニウム柔軟化剤が、不飽和であるかまたは少なくとも部分的に不飽和である(例えば、5から140、好ましくは5から100、より好ましくは5から60、最も好ましくは5から40、例えば5から25のヨウ素価を有する)脂肪酸または脂肪アシル化合物から生成する炭化水素鎖を含む場合には、脂肪酸/脂肪アシル化合物の鎖のシス:トランス異性体重量比は、20:80を超え、好ましくは30:70を超え、より好ましくは40:60を超え、最も好ましくは50:50を超え、例えば70:30またはこれ以上である。より大きなシス:トランス異性体重量比により、この化合物を含む組成物は、低温安定性がより良好になり、臭いの発生は最少になると考えられる。適切な脂肪酸には、Radiacid 406(Fina)が含まれる。
【0068】
高分子フィルムから放出された後の組成物の改善された迅速な分散および/または溶解のために、柔軟化化合物を形作る脂肪アシル化合物または脂肪酸は、好ましくは5から140、より好ましくは10から100、最も好ましくは15から80、例えば25から60の平均ヨウ素価を有する。
【0069】
ヨウ素価の計算方法はWO−A1−01/04254に記載されている。
【0070】
活性剤、特にファブリック柔軟化活性剤と共にカプセル化され得る他の成分には、共活性剤(co−active)と配合助剤および/または分散助剤とが含まれる。
【0071】
共活性剤
油状の糖誘導体は共活性剤の1つの形であり、被カプセル化物中に、被カプセル化物の全重量に対して、0.001から10重量%、好ましくは0.01から5重量%、より好ましくは0.1から4重量%の量で存在し得る。好ましい油状糖誘導体は、WO−A−96/16538においてCPEまたはRSEと記載されているものである。特に好ましいオイル状糖誘導体はショ糖のポリエステルである。
【0072】
油状糖誘導体は、ファブリック柔軟化組成物である被カプセル化物における共活性剤として使用できる。この目的で使用され得る他の共活性剤は、脂肪アミンおよび脂肪N−オキシドである。ファブリック柔軟化組成物である被カプセル化物における共活性剤は、被カプセル化物の全重量に対して、通常、0.01から20重量%で、好ましくは0.05から10%で使用される。
【0073】
配合助剤および/または分散助剤
配合助剤および/または分散助剤の例には以下の成分が含まれる。
(a)非イオン安定剤
(b)高分子安定剤
(c)一本鎖陽イオン界面活性剤
(d)脂肪アルコール、脂肪酸、または脂肪油
(e)短鎖のアルコールまたはオイル、あるいは
(f)電解質
a)非イオン安定剤
被カプセル化物として適切な非イオン安定剤は、高分子フィルムの外側に使用される界面活性剤として用いるのに適するものとして後に記載される非イオン界面活性剤である。
【0074】
非イオン安定剤は、被カプセル化物の全重量に対して、0.01から10重量%、好ましくは0.1から5重量%、より好ましくは0.35から3.5重量%、最も好ましくは0.5から2重量%の量で存在し得る。
【0075】
(b)高分子安定剤
好ましくは、使用に適する高分子安定剤は、高分子の主骨格内または主骨格へのペンダントの何れかに少なくとも2重量%の水溶性基を含む。
【0076】
この種類の適切な高分子物質の例には、PVA;ポリラクトン、例えばポリカプロラクトンおよびポリ乳酸;メチルセルロース;デンプン誘導体;セルロース誘導体;ならびにカチオンポリマー、例えばグアーガムが含まれる。
【0077】
使用するなら、このような高分子を、組成物の全重量に対して、0.01から5重量%、より好ましくは0.05から3.5重量%、最も好ましくは1から2重量%の高分子のレベルで組み入れることが望ましい。
【0078】
(c)一本鎖陽イオン界面活性剤
一本鎖陽イオン界面活性剤は、エマルジョンの分散性を促進するために使用できるので、エマルジョンの被カプセル化物に使用するのに特に適している。
【0079】
適切な一本鎖陽イオン界面活性剤は、8から40個の炭素原子、好ましくは8から30個、より好ましくは12から25個の炭素原子を有する炭化水素鎖を含む第4級アンモニウム化合物である(C10〜18の炭化水素鎖を含む第4級アンモニウム化合物が特に好ましい)。
【0080】
使用され得る市販の一本鎖陽イオン界面活性剤の例には、ETHOQUAD(登録商標)0/12(オレイルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムクロリド);ETHOQUAD(登録商標)C12(ココビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムクロリド)およびETHOQUAD(登録商標)C25(ポリオキシエチレン(15)ココメチルアンモニウムクロリド)(全て、Akzo Nobel);SERVAMINE KAC(登録商標)(ココトリメチルアンモニウムメトサルフェート)(Condea);REWOQUAT(登録商標)CPEM(ココナッツアルキルペンタエトキシメチルアンモニウムメトサルフェート)(Witco);セチルトリメチルアンモニウムクロリド(Aldrichにより供給される25%溶液);RADIAQUAT(登録商標)6460(ココナッツオイルトリメチルアンモニウムクロリド)(Fina Chemicals);NORAMIUM(登録商標)MC50(オレイルトリメチルアンモニウムクロリド)(Elf Atochem)が含まれる。
【0081】
一本鎖陽イオン界面活性剤は、被カプセル化物の全重量に対して、好ましくは0から5重量%、より好ましくは0.01から3重量%、最も好ましくは0.5から2.5重量%の量で存在する。
【0082】
(d)脂肪アルコール、脂肪酸、または脂肪油
これらの配合助剤は、脂肪アルコール、酸または油、例えば、C8からC24のアルキルまたはアルケニルモノカルボン酸、アルコールあるいはこれらの高分子と、C8からC35の油から選択され得る。好ましくは、飽和脂肪酸またはアルコールが、特に、C16からC18の硬化獣脂(hardened tallow)脂肪酸が用いられる。
【0083】
好ましくは前記脂肪酸は鹸化されておらず、より好ましくは脂肪酸は遊離の例えばオレイン酸、ラウリル酸または獣脂脂肪酸である。脂肪酸物質のレベルは、好ましくは0.1重量%を超え、より好ましくは0.2重量%を超える。濃厚および超濃厚組成物は、0.5から20重量%の脂肪酸、より好ましくは1%から10重量%を含み得る。
【0084】
適切な脂肪酸には、ステアリン酸(PRIFAC 2980)、ミリスチン酸(PRIFAC 2940)、ラウリン酸(PRIFAC 2920)、パルミチン酸(PRIFAC 2960)、エルカ酸(PRIFAC 2990)、ヒマワリ脂肪酸(PRIFAC 7960)、獣脂酸(PRIFAC 7920)、大豆脂肪酸(PRIFAC 7951)(全て、Uniqema);アゼライン酸(EMEROX 1110)(Henkel)が含まれる。
【0085】
脂肪酸はまた、ファブリック柔軟化剤組成物において使用された場合には共柔軟化剤として機能し得る。
【0086】
別法として、または追加として、被カプセル化物は、典型的には12個またはこれ以上の炭素原子を有する長鎖(すなわち「脂肪」)油を含み得る。この油はミネラルオイル、エステルオイル、シリコーンオイルおよび/または天然オイル(例えば植物油またはエッセンシャルオイル)であり得る。しかし、エステルオイルまたはミネラルオイルが好ましい。
【0087】
エステルオイルの性質は好ましくは疎水性である。これらには、エステルオイルの全炭素原子数が8個に等しいかこれ以上であり、少なくとも1つの炭化水素鎖が12個またはこれ以上の炭素原子を有するという条件で、炭化水素鎖に1から24個の炭素原子を有する一価または多価アルコールおよび炭化水素鎖に1から24個の炭素原子を有する一価または多価カルボン酸の脂肪エステルが含まれる。
【0088】
適切なエステルオイルには、飽和エステルオイル、例えば、PRIOLUBE(Uniqema)が含まれる。ステアリン酸2−エチルヘキシル(PRIOLUBE 1545)、ネオペンチルグリコールモノメラート(monomerate)(PRIOLUBE 2045)およびラウリン酸メチル(PRIOLUBE 1415)は特に好ましいが、オレイン酸モノグリセリド(PRIOLUBE 1407)およびネオペンチルグルコールジオレアート(PRIOLUBE 1446)もまた適切である。
【0089】
適切なミネラルオイルには、炭化水素鎖に8から35個、より好ましくは9から20個の炭素原子を有する分岐または直鎖炭化水素(例えばパラフィン)が含まれる。
【0090】
好ましいミネラルオイルには、Marcol工業用オイル(Esso)が含まれるが、特に好ましいのはSiriusグレード(Silkolene)またはSemtol(Witco Corp.)である。ミネラルオイルの分子量は通常、100から400の範囲内にある。
【0091】
前記のタイプの何れかのオイルの1種または複数を用いることができる。
【0092】
オイルは優れた芳香剤のデリバリーをもたらし、また保管時の芳香剤の寿命を延ばすと思われる。
【0093】
オイルは被カプセル化物の全重量に対して、0.1から40重量%、より好ましくは0.2〜20重量%、最も好ましくは0.5〜15重量%の量で存在し得る。
【0094】
(e)短鎖のアルコールまたはオイル
好ましい短鎖のアルコールまたはオイルは低分子量であり、好ましくは180またはこれ以下の分子量を有する。一価または多価アルコールが好ましい。これらは通常C1からC9、特にC1からC6、殊にC1からC4の炭素鎖長を有する。
【0095】
低分子量アルコールの存在は粘度をより望ましいレベルに下げることによって、保管時の物理的安定性を向上させる助けになり得る。それはまたマイクロエマルジョン生成の助けともなり得る。
【0096】
適切なアルコールの例には、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ジプロピレングリコール、t−ブチルアルコール、ヘキシレングリコール、およびグリセロールが含まれる。
【0097】
アルコールは、被カプセル化物の全重量に対して、好ましくは0.1重量%から40重量%、より好ましくは0.2重量%から35重量%、最も好ましくは0.5から20重量%の量で存在する。
【0098】
(f)電解質
用いられる場合、電解質は無機であっても有機であってもよい。
【0099】
電解質は、被カプセル化物の全重量に対して、好ましくは0.001から1.5重量%、より好ましくは0.01から1重量%、最も好ましくは0.02から0.7重量%の量で存在する。
【0100】
適切な無機電解質には、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム(II)、塩化マグネシウム(II)、硫酸カリウムおよび塩化カリウムが含まれる。
【0101】
適切な有機電解質には、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、および安息香酸ナトリウムが含まれる。
【0102】
電解質は被カプセル化物の粘度調節(特に粘度の低下)を増進させ、放出時の被カプセル化物の分散を助ける。
【0103】
高分子フィルムは一般に、水溶性である高分子に由来する高分子骨格を含む。
【0104】
本発明との関連において、「溶解性」は20℃での物質の溶解または分散を表すと理解してよく、「水溶性」は20℃で、0.1g・dm−3またはこれ以上のレベルで物質が溶解可能または分散可能であることを意味すると理解してよい。
【0105】
高分子フィルムは、20℃で、好ましくは0.3g・dm−3またはこれ以上で、より好ましくは0.5g・dm−3またはこれ以上のレベルで、水に溶解可能または分散可能である高分子に由来する高分子骨格を含む。
【0106】
高分子フィルムは一般に、疎水性を増すように変性されたポリオール、特に、疎水性を増すように変性されたPVOHを含む。
【0107】
本発明において使用される高分子フィルムは、水への溶解性が存在する界面活性剤の濃度に依存する物質である。一般に、界面活性剤の濃度が低いほど、高分子フィルムの溶解性は大きくなり、より速く壊れる。
【0108】
理論に拘束されようとは思わないが、高分子フィルム内の疎水性要素が界面活性剤と相互作用して、ゲル化した網目(network)を生成し、界面活性剤が結合したフィルムをこの網目が不溶性にすると考えられる。しかし、高分子フィルムと界面活性剤との間の相互作用は、デリバリーシステムの希釈および/または加熱により壊れるので、高分子フィルムが溶解し、活性剤が放出され得るようになる。
【0109】
本発明による好ましい方法はデリバリーシステムの加熱を含む。このような方法は、人体への活性剤の、特に化粧用活性剤と医薬活性剤のデリバリーにおいて特に有益である。このような用途では、デリバリーシステムと身体との接触による温度上昇が、活性成分の放出をトリガーし得る。
【0110】
一般に、活性剤は、高分子フィルムによるカプセル化物から、デリバリーシステムに存在する界面活性剤の水溶液に懸濁されている場合よりも脱塩水に懸濁されている場合に、より素早く放出される。好ましい実施形態において、高分子フィルムからの活性剤の放出に要する時間は、デリバリーシステムに存在する界面活性剤の水溶液中より、水中で相当に短い。20℃で、水中で要する時間は、界面活性剤濃度5g・dm−3水溶液中で要する時間の3分の1より短いことがあり、特に7分の1より短いこともある。
【0111】
本発明の第1の態様において参照されている誘導体化基は、0.5から6、より好ましくは1から6、最も好ましくは2から6(例えば3から6)のClogPを有する親物質から誘導される。
【0112】
本発明では、ClogPは、Daylight Chemicals Inc.から入手できるClogP Calculator(Version 4)により計算される。
【0113】
ポリオールが誘導体化基を用いて誘導体化される場合、本発明の第2の態様において参照されるように、疎水性を増すように変性されたポリオールが得られる。このポリオールは誘導体化基によって疎水性を増すように変性される。
【0114】
好ましい誘導体化基には、アセタール、ケタール、エステル、フッ素化有機化合物、エーテル、アルカン、アルケン、芳香族化合物から選択される親基(parent group)に基づくものが含まれる。特に好ましい親基は、アルデヒド、例えば、ブチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、2−エチルヘキサナール、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、シトラール、および4−アミノブチルアルデヒドジメチルアセタールであるが、要求されるClogPを有する他の適切な親基もまた本発明の高分子フィルムにおいて使用するのに適切であることが当業者には直ちに明らかである。
【0115】
特に好ましい誘導体化基はアセタールであり、これらはアルデヒドまたはアルデヒドの機能的等価物から誘導され得る(例えば、ジメチル−またはジエチルアセタール)。
【0116】
疎水性を増すように変性された好ましいポリオールは、アセタール基により、特に4から22個の炭素原子を有するアセタール基により、殊に芳香族基を有するアセタール基(例えばベンズアルデヒド誘導体)によって疎水性を増すように変性されている。芳香族アルデヒドを用いる疎水性を増す変性によって、界面活性剤との相互作用に優れる高分子フィルムが得られ、デリバリーシステムの性能はより良くなることが見出された。置換ベンズアルデヒド(例えば2−ベンズアルデヒドスルホン酸とこの塩)を使用してもよい。
【0117】
さらなる変性基が高分子骨格に存在してもよい。例えば、アミンは高分子を、例えばpHおよび/またはイオン強度の変化に応じて一層溶け易くするので、好ましくはアミンが変性基として含まれ得る。
【0118】
誘導体化基は炭化水素鎖を含み得る。任意選択で、このような炭化水素鎖は、酸素または窒素のような1つまたは複数のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
【0119】
高分子骨格に結合した誘導体化基の炭化水素鎖長は、好ましくは3から22個、より好ましくは4から18個、より一層好ましくは4から15個、最も好ましくは4から10個、例えば4から8個である。3個より短い炭化水素鎖長は、使用すると、高分子フィルムと界面活性剤の接触面に生成するゲル状構造が通常余りに弱く、高分子フィルムは余りに容易に破れるので、望ましくない。
【0120】
22を超える炭化水素鎖長は、誘導体化基を与える親物質が高分子骨格と僅かに反応するだけであるか全く反応しないので、望ましくない。
【0121】
誘導体化基を与える親物質の炭化水素鎖長は、好ましくは3から22個、より好ましくは4から18個である。
【0122】
これに関連して、炭化水素基の炭素数としては、誘導体化物質内の他の任意の官能基に結合している鎖内のあらゆる炭素が含まれる。例えば、ブチルアルデヒドは4個の炭化水素鎖長を有する。
【0123】
誘導体化物質は、高分子の全重量に対して、好ましくは0.1から40重量%、より好ましくは2から30%、最も好ましくは5から15%、例えば8から12%のレベルで高分子に存在する。
【0124】
高分子骨格がPVOHに基づく場合、骨格上の誘導体化基と遊離のヒドロキシル対との数の比が好ましくは1:3から1:30、より好ましくは1:4から1:20、最も好ましくは1:7から1:15、例えば1:8から1:13であるようなレベルで、誘導体化物質は存在する。
【0125】
1:30の比より低いと、界面活性剤が存在する場合でさえ、高分子フィルムの溶解性は余りに大きくなりがちである。1:3の比を超えると、界面活性剤が存在しない場合でさえ、高分子フィルムの溶解性は余りに小さくなりがちである。
【0126】
本発明の誘導体化高分子フィルムの骨格を生成する好ましい高分子には、水溶性樹脂、例えば、PVOH、セルロースエーテル、ポリエチレンオキシド(以後、「PEO」と呼ぶ)、デンプン、ポリビニルピロリドン(以後、「PVP」と呼ぶ)、ポリアクリルアミド、ポリビニルメチルエーテル−無水マレイン酸、ポリ無水マレイン酸、スチレン無水マレイン酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、アルギネート、アクリルアミドコポリマー、グアーガム、カゼイン、エチレン−無水マレイン酸樹脂系列、ポリエチレンイミン、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースが含まれる。水溶性でフィルム生成性のPVOH樹脂が特に好ましい。
【0127】
一般に、好ましい水溶性PVOH系フィルム生成性高分子は、比較的低い平均分子量と高い加水分解レベルを有するべきである。本発明において使用して好ましいPVOH系高分子は、1,000から300,000、好ましくは2,000から100,000、最も好ましくは2,000から75,000の平均分子量を有する。加水分解のレベルは、樹脂のアセテート基がヒドロキシル(−OH)基により置換される反応(PVOHは加水分解によりポリ(酢酸ビニル)から誘導される)の達成パーセントとして定義される。60〜99%の加水分解範囲が好ましいが、より好ましい加水分解範囲は約88〜99%である。本出願では、「PVOH」という用語には、本明細書において開示されている加水分解レベルを有するポリ(酢酸ビニル)化合物が含まれる。
【0128】
好ましいPVOH高分子は、室温で、20s−1の剪断速度で測定して、7%溶液で、100から5000mPa・sの粘度を有する。
【0129】
上の全てで、高分子には、前記の高分子類が、単一の高分子として、あるいは複数種のモノマー単位から生成するコポリマーとして、あるいは特定の種類から誘導される複数種のモノマー単位から生成するコポリマーとして、あるいはこれらのモノマー単位が1種または複数のコモノマー単位と共重合されているコポリマーとして含まれる。
【0130】
本発明において使用するのに特に好ましい高分子/ポリオールは次の式により表される:
【0131】
【化4】

式中、zとxの平均数の比は1:200から1:6、より好ましくは1:100から1:8、最も好ましくは1:50から1:12、例えば、1:30から1:14の範囲内にあり、yは親化合物の加水分解から残った残留アセテートであって、好ましくは1〜20%、より好ましくは1〜10%、最も好ましくは1〜5%の範囲にあり、Rは3から22個の炭素原子を有するアルキル、アルケニル、またはアリール基である。より好ましくは、Rは3から6個の炭素原子を有するアルキル基またはアリール基である。
【0132】
高分子フィルムに構造強度をもたせるために、ある程度の高分子架橋が望ましい。適切な架橋剤には、ホルムアルデヒド、ポリエステル、エポキシド、アミドアミン、無水物、フェノール類、イソシアネート、ビニルエステル、ウレタン、ポリイミド、アリリック(arylic)、ビス(メタクリルオキシプロピル)テトラメチルシロキサン(スチレン類、メチルメタクリレート類)、n−ジアゾピルベート、フェニルホウ酸類、シス−プラチン、ジビニルベンゼン、ポリアミド、ジアルデヒド、トリアリルシアヌレート、N−(2−エタンスルホニルエチル)ピリジニウムハライド、テトラアルキルチタネート、チタネートとボラートまたはジルコネートとの混合物;Cr、Zr、Tiの多価イオン、ジアルデヒド、ジケトン;有機チタネート、ジルコネートおよびボラートのアルコール錯体と銅(II)錯体が含まれる。
【0133】
好ましい架橋剤はホウ酸またはホウ酸塩の1種(例えばホウ酸ナトリウム)である。
【0134】
存在する場合、架橋剤のレベルは、フィルムの約0.05重量%から9重量%、より好ましくは約1%から6%、最も好ましくは約1.5重量%から5重量%である。範囲内の多い側では、言うまでもなく、架橋はより多くなり、すすぎ洗いサイクルにおけるフィルムの溶解または分散の速度は一層遅くなる。
【0135】
機能的に、架橋剤は、フィルム高分子の有効分子量を増加させることによって、フィルム高分子の溶解性を低下させると考えられる。架橋剤をフィルム高分子に直接組み入れることが好ましいが、使用中にフィルムを架橋剤に接触した状態に保つこともまた本発明の範囲内である。これは、使用中に架橋剤を加えることによって、あるいは、フィルム高分子内に架橋剤を包み込むことによって実施され得る。架橋剤がこの様にして加えられる場合、フィルム高分子を十分に架橋するためにはいくらか高レベルが必要とされ、約1〜15重量%の範囲にあるべきである。
【0136】
PVOH系のフィルムでは、好ましい架橋剤は、ボラート、テルラート、アルセナートのような半金属酸化物とこれらの前駆体である。知られている他の架橋剤には、バナジルイオン、+3価状態のチタニウムイオン、または過マンガン酸イオンが含まれる(US3,518,242に開示されている)。別の架橋剤が本に記載されている:C.A.Finchによる「Polyvinylalcohol−Properties and applications(ポリビニルアルコール−性質と応用)」(John Wiley&Sons、New York、1973)の第9章。
【0137】
高分子フィルムは、好ましくは、可塑剤および/または結晶かく乱剤(crystallinity disruptor)を含む。
【0138】
用語「可塑剤」および句「結晶かく乱剤」は相互に交換可能であり、一方への参照は他方への暗黙の参照であると理解されるべきである。
【0139】
可塑剤は、高分子鎖が圧縮および伸長力、温度および機械的衝撃のような外部要因に反応する仕方に、これらの外部要因の侵入と前の状態に戻るまたは回復する鎖の傾向との結果として鎖がゆがみ/再調整する仕方を調節することによって、影響を及ぼす。可塑剤の重要な特徴はフィルムと非常に相溶性があり、性質が通常親水性であることである。
【0140】
可塑剤は該フィルムの性質に応じて決まる。
【0141】
一般に、PVOH系のフィルムに使用するのに適する可塑剤は−OH基を有し、これらの基がフィルム高分子の高分子鎖−CH2−CH(OH)−CH2−CH(OH)−との相溶性を向上させている。
【0142】
−OH基の機能様式は、鎖のヒドロキシル基と短鎖との水素結合を導入することであり、これが、凝集高分子塊の膨潤(フィルムの溶解の第1段階)を阻害する隣接鎖相互作用を弱める。
【0143】
水そのものがPVOHフィルムの適切な可塑剤であるが、他の通常の可塑剤には、ポリヒドロキシ化合物、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ソルビトール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール;デンプン、例えば、デンプンエーテル、エステル化デンプン、酸化デンプン、ならびにジャガイモ、タピオカおよびコムギからのデンプン;セルロース類/炭水化物、例えば、アミロペクチン、デキストリン、カルボキシメチルセルロースおよびペクチンが含まれる。アミンは特に好ましい可塑剤の種類である。ジプロピレングリコールもまた特別に効果的であり得る。
【0144】
PVPフィルムは、ガラス、金属、およびプラスチックを含めて、多様な表面への優れた接着性を示す。ポリビニルピロリドンの未変性フィルムの特徴は吸湿性である。乾燥したポリビニルピロリドンフィルムは1.25g・cm−3の密度と1.53の屈折率を有する。高湿度での粘着性は、ポリビニルピロリドンフィルムに、相溶性があり水に影響されない変性剤を、例えば、10%のアリール−スルホンアミド−ホルムアルデヒド樹脂を組み入れることによって最少化できる。
【0145】
PVP系のフィルムに適する可塑剤は以下の1種または複数から選択され得る:リン酸エステル、例えば、リン酸トリス(2−エチルヘキシル)、リン酸イソプロピルジフェニル、リン酸トリブトキシエチル;ポリオール、例えば、グリセロール、ソルビトール、ジペラルゴン酸ジエチレングリコール、ジ−2−エチルヘキサン酸ポリエチレングリコール、酒石酸ジブチル;ポリオールエステル、例えば、ヒドロキシ含有ポリカプロラクトン、ヒドロキシ含有ポリ−L−乳酸;低級フタル酸エステル、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル;およびスルホンアミド、例えばトルエンスルホンアミド、N−エチルトルエンスルホンアミド。
【0146】
好ましい水溶性のフィルムはまた、カレンダー法、キャスト法、押出法、および他の通常の技術のような標準的な成形法によってPEO樹脂からも調製され得る。ポリエチレンオキシドフィルムは透明であることも不透明であることもあり、固有の性質として柔軟で、強靭で、ほとんどのオイルおよびグリースに対して耐性がある。これらのポリエチレンオキシド樹脂フィルムにより、強度と靭性を犠牲にしないで、他の水溶性プラスチックより良好な水溶性が得られる。水溶性ポリエチレンオキシドフィルムの優れたレイフラット性、剛性、およびシール性は、良好な機械ハンドリング特性を生み出す。
【0147】
PEO系フィルムに適する可塑剤は以下の1種または複数から選択され得る:リン酸エステル、例えば、リン酸トリス(2−エチルヘキシル)、リン酸イソプロピルジフェニル、リン酸トリブトキシエチル;ポリオール、例えば、グルセロール、ソルビトール、ジペラルゴン酸ジエチレングリコール、ジ−2−エチルヘキン酸ポリエチレングリコール、酒石酸ジブチル;低級フタル酸エステル、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル;およびスルホンアミド、例えばトルエンスルホンアミド、N−エチルトルエンスルホンアミド。
【0148】
デリバリーシステムにおける可塑剤の好ましい量は、0.001重量%から25重量%、より好ましくは0.005重量%から4重量%である。
【0149】
可塑剤および/または結晶かく乱剤は高分子フィルムの骨格に物理的に結合することもあり、また/あるいは、それが高分子フィルムと単に接触するようになるデリバリーシステムの一部として存在することもある。高分子物質の骨格に可塑剤を化学的に結合させる適切な方法はDE10229213.2に記載されている。
【0150】
フィルムとその内容物との間のバリアとなる保護物質が、カプセル化高分子フィルムと活性剤との間に存在してもよい。このようなバリアは、活性剤が水性組成物の一部として存在する場合、高分子フィルムの安定性を増すことができる。特に適切な保護バリア物質は、US4416791に開示されているように、PTFEである。
【0151】
カプセル化高分子フィルムの外側に界面活性剤の吸着層またはコート層をもうけることによって、高分子フィルムを時期尚早な破壊から、さらに保護できることもまた想定されている。例えば、フィルムに界面活性剤を散布しても、あるいは、フィルムを界面活性剤の存在下にキャストしてもよい。
【0152】
実験室規模でのフィルム成形は、何らかの可塑剤などを含む高分子水溶液をPTFE床に乗せて、放置してフィルムを1から5日で生成させることによって実施できる。得られるフィルムの厚さは、通常50から200ミクロンの間(高分子溶液の濃度と、PTFE床の表面積に応じて決まる)である。
【0153】
高分子水溶液は、工業的規模で、溶液キャスト法および熱成形法のような、該技術分野において知られている通常の方法と技術を用いて、制御された厚さにキャストできる。
【0154】
通常、溶液キャスト法において、高分子水溶液は、フィルムアプリケータを用いてプレートまたはベルト上にキャストされ、そこで乾燥するに任せられる。次いで、フィルムに真空乾燥、空気乾燥などを行い、その後、ベルト/プレートからフィルムを取り外すことができる。キャスト法は、1993年12月21日にIbrahim他に発行された米国特許第5,272,191号に記載されており、この特許は参照のために本明細書に組み込まれる。
【0155】
フィルムはまた溶融法を用いても調製でき、この方法は通常、高分子を、その分解温度未満で溶融させるのに十分な水と混合することを含む。次いで、ブレンドされた高分子と水のマトリックスは押出機に供給され、適切なダイを通して張力の下で押し出され、空気で冷却され、適当な回収装置により巻き取られる。フィルム製造のために、チューブの中央を通して冷たい空気を吹き出してフィルムを冷却し、フィルムに2軸応力を与えることによって、チューブ状のフィルムを製造できる。押出法はまた、適当なダイとモールドを用いることにより、別の形状の物品を製造するためにも使用できる。このような熱成形法の例は、1997年7月8日にCoffin他に発行された米国特許第5,646,206号(参照を通じて本明細書に組み込まれる)において詳細に記載されている。
【0156】
一般に高分子フィルムは活性剤をカプセル化する「遅延放出パッケージ」を形作る。遅延放出パッケージは、保管中はそのままであり、次いで、パッケージの表面に吸着された界面活性剤の濃度を低下させる条件に遭遇して分散または溶解するものである。例えば、ファブリックコンディショニング剤をカプセル化した遅延放出パッケージは、保管中および家庭での洗浄サイクルの主洗浄サイクルの間もまたそのままであり得る。しかし、すすぎ洗いサイクルへの移行で、高分子フィルムを囲む環境における界面活性剤の濃度低下によって、被カプセル化物の放出がトリガーされ得る。
【0157】
吸収されていた界面活性剤の枯渇以外のトリガーの原因もまた用いられてよい。適切な例には、pH、温度、電解条件、光、時間または分子構造における変化を引き起こすための原因/物質のような、WO−A1−02/102956に記載されているものが含まれる。このようなトリガーを互いに組み合わせて用いてもよい。
【0158】
活性剤自体も、高分子フィルムの溶解および/または分散を補助および/または調節し得る。
【0159】
高分子フィルムは、好ましくは50から500μm、より好ましくは60から300μm、最も好ましくは65から250μmの平均厚さを有する。
【0160】
通常、遅延放出パッケージは、活性剤を含むパウチの形態になっている。別法として、あるいは追加として、前記パッケージはフィルムと活性剤の網目またはマトリックスを含んでいてもよく、この場合、物理的および/または化学的相互作用がフィルムと活性剤との間に存在する。
【0161】
遅延放出パッケージは多くの異なる方法で充填できる。「充填すること」は完全充填または部分充填(遅延放出パッケージ内にいくらかの空気または他のガスもまた取り込まれる)を表す。
【0162】
遅延放出パッケージは、好ましくは、横型または縦型の成形−充填−シール法により形作られる。
【0163】
(a)横型の成形−充填−シール
誘導体化PVOHに基づく水溶性パッケージは、WO−A−00/55044、WO−A−00/55045、WO−A−00/55046、WO−A−00/55068、WO−A−00/55069およびWO−A−00/55415の何れかに記載されている横型の成形−充填−シール法の何れによっても製造できる。
【0164】
ここで、例として、水溶性物質の2枚のシートから多くの遅延放出パッケージが製造される熱成形法が記載される。この場合、製造されるパッケージの寸法に通常相当する寸法をもつ複数のキャビティを有する成形ダイを用いて、フィルムシートに凹みが形成される。さらに、全てのキャビティに合わせてフィルムを熱成形するために1個の加熱プレートが使用され、同じ様に1個のシール用プレートが記載されている。
【0165】
誘導体化PVOHフィルムの第1のシートが、ダイの複数の成形キャビティ上にフィルムが置かれるように、成形ダイ上に引かれる。この例において、各キャビティは通常、丸みを帯びた端部を有するドーム状であり、キャビティの端部は、さらに、この方法の成形もしくはシールステップの間にフィルムを損傷させ得る如何なる尖った端部も除去するように、丸みを付けられている。各キャビティは、高くなった取り囲むフランジをさらに含む。パッケージ強度を最大化するために、フィルムは、最少の張力で折り目のない状態で成形ダイに送られる。成形ステップにおいて、フィルムは、5秒まで、好ましくは約700マイクロ秒の間、100から120℃に、好ましくは約110℃に加熱される。加熱プレートがフィルムを加熱するために使用され、このプレートは成形ダイに重なるように置かれる。この予熱ステップの間、フィルムと予熱プレートとの間が確実に密着するように、予熱プレートを通して50kPaの真空に引かれ、この密着により確実にフィルムは一様に均一に加熱される(真空度は、熱成形状件および使用されるフィルムのタイプに依存するが、この場合には、0.6kPa未満の真空が適切であることが見出された)。一様でない加熱により弱い箇所があるパッケージが生成する。真空に加えて、フィルムを予熱プレートに強制的に密着させるためにフィルムに向けて空気を吹き付けることも可能である。
【0166】
熱成形されるフィルムは、フィルムを吹いて加熱プレートから離し、および/または、フィルムをキャビティに吸い付けることによってキャビティに沿って成形され、こうしてフィルムに複数の凹みが形成され、これらの凹みは、一旦形作られると、キャビティの壁面を通して真空にすることによって、熱成形された状態に保たれる。この真空は、少なくともパッケージがシールされるまで維持される。凹みが一旦形成され、真空により位置が保持されると、活性剤が各凹みに入れられる。次いで、誘導体化PVOHフィルムの第2のシートが、充填後の凹みを覆って第1のシートの上に置かれ、シール用プレートを用いて第1のシートにヒートシールされる。この場合、ヒートシール用プレートは通常平らであり、約140から160℃の温度で操作され、8から30kg/cm、好ましくは10から20kg/cmの力で1から2秒フィルムに接触する。各キャビティを取り囲む高くなったフランジにより、確実に2枚のフィルムがフランジに沿って互いにシールされて連続したシールを生成する。各キャビティの丸みを付けられた端部は、少なくとも部分的に、例えばシリコーンゴムのような弾性的に変形可能な物質により形作られている。このために、シール用フランジの内側端部に加えられる力が小さくてよいので、フィルムに対する熱/圧力による損傷が避けられる。
【0167】
一旦シールされると、成形されたパッケージは、切断手段を用いてシートフィルムのウェッブから切り離される。この段階で、ダイの真空を開放し、成形されたパッケージを成形ダイから取り出すことが可能である。こうして、パッケージは、成形ダイに留まっている間に、成形され、充填され、シールされる。さらに、同じく成形ダイにある間にパッケージを切り出してもよい。
【0168】
この方法の成形、充填およびシールステップの間に、大気の相対湿度は約50%に調節されている。これはフィルムのヒートシール特性を保つためになされる。比較的薄いフィルムを取り扱う場合には、フィルムの可塑化が比較的低い度合いであり、したがってフィルムに剛性があり、取り扱い易いことを保証するために相対湿度を下げる必要があり得る。
【0169】
(b)縦型の成形−充填−シール
縦型の成形−充填−シール(VFFS)法において、柔軟なプラスチックフィルムの連続チューブが押出成形される。連続チューブは、底の部分に、好ましくは熱または超音波シールによってシールされ、活性剤を充填され、活性剤より上方で再びシールされ、次いで、連続チューブから、例えば切断により取り出される。
【0170】
高分子フィルムの外側に使用される界面活性剤は、非イオン、陽イオン、陰イオン、双性イオン、または両性の界面活性剤であり得る。
【0171】
界面活性剤は高分子フィルムの表面にコーティングとして存在しても、あるいは、カプセル化された活性剤を取り囲む溶液または懸濁液中に存在してもよい。取り囲む溶液中に界面活性剤が存在する実施形態において、溶液中の界面活性剤は通常、カプセル化している高分子フィルムの外側表面に吸収されている界面活性剤と平衡状態にある。カプセル化高分子フィルムの外側表面に吸収されている界面活性剤のレベルはフィルムの一体性を保つのに十分であるべきである。
【0172】
本発明による活性剤のデリバリー方法は、通常、カプセル化している高分子フィルムの外側表面に吸収されている界面活性剤のレベルの低下を含む。一般に、この低下は、カプセル化高分子フィルムの外側表面に低下前に吸収されている界面活性剤のレベルの25%またはこれ以上、特に50%またはこれ以上、殊に75%またはこれ以上である。
【0173】
カプセル化している高分子フィルムの外側表面に吸収されている界面活性剤のレベルの低下は、デリバリーシステムの希釈および/または加熱によって引き起こされ得る。希釈は一般に、周囲の溶液に溶けている界面活性剤の濃度を、25%またはこれ以上、特に50%またはこれ以上、殊に75%またはこれ以上、低下させることを含む。希釈は、カプセル化された農業用化学製品の放出をトリガーするのに適切であり得る(この希釈はカプセル化している高分子フィルムの表面に雨水が付くことにより生じる)。
【0174】
デリバリーシステムの加熱は、しばしば、体温またはそれ以上に温めることを含む。これは、人体への薬剤または化粧用活性剤のデリバリーにとって特に適切な方法であり得る。加熱はまた、カプセル化された農業用化学製品の放出をトリガーするのにも適切であり得る(この温度上昇は、天候の季節変化の結果として起こる)。体温への加熱は人体表面への化粧用活性剤のデリバリーにとって特に適切な方法である。本発明によるデリバリー方法における加熱の使用は、一般に、デリバリーシステムの温度における5℃またはこれ以上、特に10℃またはこれ以上、殊に15℃またはこれ以上の上昇を含む。
【0175】
高分子の外側の界面活性剤の全レベルは、高分子フィルムの重量の0.001%を超え、特に0.01%を超え、殊に0.1%を超え得る−これらの最低限のレベルが、フィルムに適切な安定性を保証するために必要である。高分子フィルム表面の界面活性剤レベルがフィルムの破壊にとって十分であるように希釈される(望まれる場合に)ために、界面活性剤の全レベルが高すぎないことが重量であり得る。一般に、界面活性剤は、高分子フィルムの重量の10%またはこれ以下で、特に5%またはこれ以下で、殊に1%またはこれ以下で存在する。
【0176】
適切な非イオン界面活性剤には、脂肪アルコール、脂肪酸および脂肪アミンへのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物が含まれる。
【0177】
好ましい非イオン界面活性剤は、次の一般式の実質的に水溶性の界面活性剤である:
R−Y−(CO)−COH
式中、Rは、第1級、第2級および分岐鎖アルキルおよび/またはアシル炭化水素基;第1級、第2級および分岐鎖アルケニル炭化水素基;ならびに、第1級、第2級および分岐鎖アルケニル置換フェノール炭化水素基;からなる群から選択され、これらの炭化水素基は8から約25個、好ましくは10から20個、例えば14から18個の炭素原子の鎖長を有し;Yは、O、CO.O、またはCO.N(R)であり(Rは上で与えられた意味をもつか、あるいは水素であってもよい)、Zは、好ましくは、8から40、より好ましくは10から30、最も好ましくは11から25、例えば12から22である。
【0178】
アルコキシ化(alkoxylation)のレベルであるZは、分子当たりのアルコキシ基の平均数を表す。
【0179】
好ましい非イオン界面活性剤は約7から約20、より好ましくは10から18、例えば12から16のHLBを有する。
【0180】
典型的な非イオン界面活性剤には、直鎖および分岐鎖の第1級および第2級アルコールアルコキシラート;アルキルフェノールアルコキシラート;オレフィン性アルコキシラート;およびポリオール系界面活性剤が含まれる。
【0181】
適切な直鎖第1級アルコールアルコキシラートには、n−ヘキサデカノール、およびn−オクタデカノールのデカ−、ウンデカ−、ドデカ−、テトラデカ−、およびペンタデカエトキシレートが含まれる。本発明において有用な例示的エトキシレート化第1級アルコールは、C18EO(10)、およびC18EO(11)である。「獣脂」鎖長範囲における天然または合成の混合アルコールのエトキシレートもまた有用である。このような物質の具体例には、獣脂アルコール−EO(11)、獣脂アルコール−EO(18)、および獣脂アルコール−EO(25)、ココアルコール−EO(10)、ココアルコール−EO(15)、ココアルコール−EO(20)およびココアルコール−EO(25)が含まれる。
【0182】
適切な直鎖第2級アルコールアルコキシラートには、3−ヘキサデカノール、2−オクタデカノール、4−エイコサノール、および5−エイコサノールの、デカ−、ウンデカ−、ドデカ−、テトラデカ−、ペンタデカ−、オクタデカ−、およびノナデカ−エトキシレートが含まれる。本発明において有用な例示的エトキシ化第2級アルコールは、C16EO(11)、C20EO(11)、およびC16EO(14)である。
【0183】
適切なアルキルフェノールアルコキシラートは、アルキル化フェノール、特に1価のアルキルフェノールの、ヘキサ−からオクタデカ−エトキシレートまでである。p−トリ−デシルフェノール、m−ペンタデシルフェノールなどのヘキサ−からオクタデカ−エトキシレートもまた有用である。本発明における混合物の粘度および/または分散性調節剤として有用な例示的エトキシ化アルキルフェノールは、p−トリデシルフェノールEO(11)およびp−ペンタデシルフェノールEO(18)である。
【0184】
適切な分岐鎖の第1級および第2級アルコールは、よく知られている「OXO」法により得られる。
【0185】
適切なポリオール系界面活性剤には、ショ糖エステル(例えば、ショ糖モノオレイン酸エステル)、アルキルポリグルコシド(例えば、ステアリルモノグルコシドおよびステアリルトリグルコシド)ならびにアルキルポリグリセロールが含まれる。
【0186】
高分子フィルムの外側に使用されるのに好ましい陽イオン界面活性剤は、被カプセル化物の配合助剤および/または分散助剤として既に記載された一本鎖陽イオン界面活性剤である。前に記載された目的に適する特定の選択肢と好ましさは、この場合の目的にも適する。
【0187】
高分子フィルムの外側に使用されるのに適する陰イオン界面活性剤には、家庭での洗濯過程において通常使用されるものが含まれる。適切な陰イオン界面活性剤の例は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、特に、C〜C15のアルキル鎖長を有する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩;第1級および第2級アルキル硫酸塩、特に、C〜C15第1級アルキル硫酸塩;アルキルエーテル硫酸塩;オレフィンスルホン酸塩;アルキルキシレンスルホン酸塩;ジアルキルスルホコハク酸塩;ならびに脂肪酸エステルスルホン酸塩である。ナトリウム塩が一般に好ましい。
【0188】
芳香剤が被カプセル化物の一部として存在してもよいが(上記を参照)、それはデリバリーシステムのどの部分に存在していてもよい。どこに存在するかに関係なく、デリバリーシステムに存在するどのような芳香剤にも以下の見解が適用される。
【0189】
好ましい芳香剤の性質は親油性であり、20℃で、通常0.01g/mlまたはこれ以下、特に0.005g/ml、殊に0.003g/mlの水への溶解性を有する。このような芳香剤を水不溶性芳香剤と呼ぶことができる。
【0190】
本発明において使用するのに適する典型的な芳香剤は、エッセンシャルオイル、アブソリュート、レジノイド、レジンなどのような天然の産物または抽出物、ならびに、炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、エーテル、酸、エステル、アセタール、ケタール、ニトリル、フェノールなどのような合成芳香剤成分(飽和および不飽和化合物、脂肪族、脂環式、複素環式および芳香族化合物が含まれる)であり得る多数の成分を含む。このような芳香剤成分の例は、Steffen Arctanderによる「Perfume and Flavour Chemicals(芳香剤および香味化学製品)」(Library of Congress catalogue card no.75−91398)に見出されるはずである。
【0191】
本発明のデリバリーシステム(特に被カプセル化物)は、特定の製品タイプに通常含められる1種または複数のさらなる成分を含んでいてもよい。例には、pH緩衝剤、芳香剤担体、蛍光剤、着色剤、ヒドロトロープ、消泡剤、再付着防止剤(antiredeposition agent)、高分子電解質、酵素、蛍光増白剤、真珠光沢剤(pearlescer)、縮み防止剤、皺防止剤、染み防止剤、殺菌剤、殺真菌薬、腐食防止剤、ドレープ性付与剤(drape imparting agent)、静電防止剤、アイロンかけ助剤、結晶成長阻害剤、酸化防止剤、還元防止剤および染料が含まれる。
【0192】
これから本発明が以下の非限定的な例を参照しながらさらに例示される。そうではないと記載されていなければ、全ての量は重量%である。
【0193】
表1および2は、ファブリック柔軟化剤組成物として使用するのに適する被カプセル化組成物を例示している。当技術分野において知られている方法によりこれらの組成物を調製した。本発明に従って、これらを高分子フィルムにカプセル化し、高分子フィルムの外側の界面活性剤と組み合わせることができる。
【0194】
【表1】

【0195】
【表2】

【0196】
ファブリック柔軟化剤組成物としての使用に適するさらなる被カプセル化物は次の様にして調製され得る。
【0197】
少なくとも50℃に反応容器を加熱し、この容器にオイルおよび非イオン界面活性剤を入れ、混合物を撹拌することによって、実質的に非水性の溶融物を調製できる。次いで、陽イオン界面活性剤と脂肪酸および/または長鎖もしくは短鎖アルコールを容器に加え、撹拌速度を上げる。均一な混合物が生成するまで撹拌を続ける。次いで、撹拌を続けながら、混合物を室温まで放冷する。次に、任意選択で、芳香剤および/または高分子構造化剤(structurant)(WO99/43777に開示されているようなもの)を、撹拌して混合物とする。
【0198】
実質的に非水性のマイクロエマルジョンは、オイル、溶剤(例えば低分子量アルコール)、分散助剤(例えば非イオン界面活性剤)、陽イオン界面活性剤および10重量%またはこれ以下の水を、透明な組成物が生成するまで、ゆっくりと撹拌しながら混合することによって調製される。透明なマイクロエマルジョンの生成を補助するために、必要に応じて混合物を加熱してもよい。任意選択で、芳香剤を何れかの段階で混合物に加えてもよい。
【0199】
実質的に非水性の濃厚エマルジョンは、50℃を超える温度に水を加熱し、乳化剤を加え、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤およびオイルを前混合し、これを水に加えることによって調製される。任意選択で、この生成物はミル加工され、次いで放冷される。50℃未満になると、芳香剤を加えてもよい。
【0200】
高分子物質の調製
100gのPVOH(Mowiol 20−98(商標)、Kuraray Specialities)および900gの脱塩水をフラスコに入れ70℃に加熱することにより、PVOHの10重量%水溶液を調製した。これに、反応の触媒として10mlの塩酸(36%水溶液)を加え、次いで、ブチルアルデヒドを加えた。次に、この混合物を不活性雰囲気下に70℃で5時間撹拌し、その後、加熱を止め、室温で撹拌をさらに20時間続けた。次いで、水酸化ナトリウム溶液を用いて、反応混合物をpH7にした。
【0201】
得られた溶液をアセトンに注ぎ込んでアセタール化PVOH高分子を得て、繰り返しアセトン(500ml)で、次に水(50ml)で洗った。次いで、それを70℃で一夜、真空下に乾燥して白色高分子を得た。
【0202】
アセタール化度を分析して、10.4%であった。
【0203】
高分子フィルムの調製
脱塩水を用いて、上で調製したポリ(ビニルアルコール)−ブチラール(PVA−BA)樹脂を7%m/m溶液に希釈した。得られた溶液を、PTFEを接着したシートトレイ上に注いだ。次いで、高分子溶液を放置し蒸発させてフィルムを生成させた。所定のスペースに1回に投入される高分子液体の容積を増減することによって、フィルムの厚さを調節した。2から3日後に、フィルムをPTFEトレイから引き剥がし、電子マイクロメータを用いて、平均厚さをキャストフィルムの5つの部分で測定した。次いで、評価の前に、フィルムを23℃、50%の相対湿度で2日間保管した。
【0204】
以下の例は、ブチルアルデヒド誘導体化PVOHへの陰イオン/非イオン界面活性剤の濃度の影響を例示する。下に記載されるスライド試験法を高分子フィルムの選別に用いた。
【0205】
フィルム破壊試験
スライド試験法を用い、高分子物質の溶解と侵食特性に基づいて、高分子物質への陰イオン/非イオン界面活性剤濃度の影響の評価を行う。
【0206】
これは、破壊時間、すなわち、高分子が壊れ、サッシェの内部から内容物が周囲の液体に流れる最初の時間により示される。
【0207】
フィルムスライドを用いて、100〜200μmの厚さにキャストされた30mm×30mmのフィルムを固定した。次いで、1リットルのビーカー中の洗剤用界面活性剤溶液または水道水の何れかにスライドおよびフィルムを浸漬した。高分子フィルムが破壊されるまで、室温で、スライドおよび試験されるフィルムを293rpmで撹拌した。
【0208】
上で合成された高分子からフィルムを調製した。試験したフィルムの性質を表に記載する。破壊試験の結果を表4に記載する。
【0209】
【表3】

【0210】
【表4】

【0211】
試料9の高分子を厚さ200μmにキャストし、スライド上に置いた。次いで、上質の洗浄用洗剤(Ultra Wisk、商標)の濃度を変えることによる効果を、前記のように、スライド試験法を用いて室温で測定した。
【0212】
結果は表5に記載されており、破壊時間が界面活性剤のレベルにより相当に変動することを明らかに示している。
【0213】
【表5】

【0214】
高分子9の試料を15%溶液から90μmにキャストした。得られたフィルムを、20℃、65%R.H.で24時間状態調節した。場合によっては2g/リットルのWisk溶液(2003年5月に米国から購入したWisk)を含む、1リットルのWirralの冷水(15〜20°FH)でTergometerを満たし、75r.p.mで撹拌するように設定した。撹拌を始めた直後に、フィルムをポットに入れ、破砕について目視で検査した(15分後に検査を止めた)。試験を3回繰り返した。結果を表6に記載する。
【0215】
【表6】

【0216】
破砕は、高分子フィルムが2つ以上の破片に壊れた時に起こる。
【0217】
ブチラール誘導体化度の評価
様々なレベルのブチラール誘導体化基を有する試料9の高分子を用いてフィルムをキャストした(前記のようにして調製)。スライド試験法を用いて、洗剤中での破壊時間(T)および水中での破壊時間(T)を測定した。
【0218】
結果は表7に記載されており、6%のブチラールを超える変性度が相当に破壊時間を増大させることを示している。
【0219】
【表7】

【0220】
粘度評価
脱塩水または20g/リットルのSDSの何れかを用いて、試料9の高分子を7%に希釈した。次いで、希釈された樹脂の粘度を測定した。
【0221】
結果は次の表8に記載されており、ゲル状構造を生じるように、陰イオン界面活性剤が高分子フィルムと相互作用していることを示している。
【0222】
【表8】

【0223】
他の高分子フィルム
記載した方法によって他の多くの高分子フィルムを調製した。表9〜11は、調製した高分子の性質と、界面活性剤とのこれらの相互作用を示している。これらの結果から、多様な高分子フィルムが陽イオン、陰イオンおよび非イオン界面活性剤と相互作用することが明らかであり、多くの可能な本発明の実施形態を示している。
【0224】
次の試験法は、Aicello Chemical Coによる欧州特許EP0283180に見出されるものの修正版である。
【0225】
ポリビニルアルコール出発物質の均一な10重量%溶液をガラス反応容器に正確に秤量した(180mLの脱イオン水に、20gのKuraray Mowiol 20−98)。この溶液を約600rpmで常に撹拌しながら70℃に温めた(反応物は非常に高粘度であるため、モーター付オーバヘッドインペラーブレードを使用するか、強力なマグネティックスターラープレートを用いるかの何れかが必要であり、十分な撹拌を行えるものなら何でも使用せよ)。その後、撹拌されている溶液に、HCl触媒(2mLの37重量%水溶液)を加える。これは、モル比:[HCl]/[OH高分子繰返し単位]〜0.056であるように計算されていた。
【0226】
アルデヒド水溶液の保存希薄溶液を調製し、これの必要量を1時間かけてゆっくりと反応器に滴下する。添加終了後、次に、反応物を70℃で5時間撹拌する。
【0227】
達成された誘導体化のレベルは表に示されている。
【0228】
【表9】


【0229】
【表10】


【0230】
【表11】


【0231】
温度によるトリガー
以下の研究は、相互作用の度合いを求めるために、等温熱量測定を用いて、ブチラール誘導体化20−98によるLASの結合を調べた。表12は温度を上げて見出された相互作用の低下を例示している。
【0232】
【表12】

【0233】
洗濯作業におけるフィルムの評価
カプセル調製
試料9の高分子をキャストして、10cm×10cmで、50μm、90μmまたは100μmの厚さであるフィルムを成形した。これを半分に折り、Hulme−Hunterヒートシート機を用いて4つの縁の3つを150℃でヒートシールしてパウチを形成した。次いで、96重量%のTetranyl AOT−1(トリエタノールアミン系第4級アンモニウム柔軟化物質、80%活性、Kao)および4重量%の芳香剤からなる配合(以後、配合「A」と呼ぶ)の20g、あるいは96重量%のTetranyl AOT−1、3重量%の水および1重量%の芳香剤を含む配合(以後、配合「B」と呼ぶ)の20gをパウチに入れ、フィルムの上端をシールしてカプセルを形成した。次いで、評価の前に、カプセルを、23℃、相対湿度50%に2日間保管した。
【0234】
機械洗浄による評価
上部投入式洗濯機(Whirlpool)を65リットルの水(15℃で6°のフレンチ硬度)で満たした。110gの洗浄液(Ultra Wisk)を加え、溶けるまで10分間緩やかに撹拌した。次いで、1kgのテリータオル、1kgの綿ポプリン、1kgのポリコットンおよび0.5kgのポリエステルを含む3.5kgの混合バラスト洗濯物を、10個のテリータオル(20cm×20cm)モニターと共に入れ、その後、厚さ100μmのフィルムから形成した、配合「A」を含むカプセルを入れた。次に、機械を15℃で18分間の洗浄、回転脱水、および1回のすすぎ洗い(5分間)に設定した。洗浄段階の後、カプセルの一体性を目視で評価し、非常にふにゃふにゃしていたが、依然として無傷であることを見出した。一連の動作が終了した後、ゲル化高分子フィルムが少しでも残っていないかどうか、布とドラムを詳しく調べた。残っているフィルムを全く見出さなかった。
【0235】
柔軟性の評価
テリータオルのモニターを回収し、回転乾燥後に、回転乾燥したコントロールに対して、2試料比較試験を用いて、訓練された10人のパネルによって柔軟化を評価した。結果を95%のC.I.レベルで解析し、表13に記載する。
【0236】
【表13】

【0237】
結果は、カプセルが存在した場合に柔軟化の利点は感知可能であったことを明らかに示している。
【0238】
芳香の評価
濡れた布(物干し竿で5時間乾燥)および回転乾燥後の両方での芳香の好ましさについても、テリータオルをパネルが評価した(2試料比較試験)。
【0239】
結果を次の表14に記載する。
【0240】
【表14】

【0241】
結果は、洗濯処理過程においてカプセルが存在する場合に、相当な芳香の利点の改善が実現されることを明らかに示している。
【0242】
ゲル化した残留物の調査を、上の例において記載した機械洗浄条件下にさらに3回の場合に実施した。3回の全ての場合に、布、ドラムまたは撹拌スピンドルの何れにも残留物は全く見出されなかった。
【0243】
洗濯作業におけるさらなる評価
Whirlpool(米国)上部投入機を、6個のテリータオルモニター(20cm×20cm)と共に2.5kgの混合バラスト(テリータオル、ポリコットン、ポリエステル、綿シーツ地)により一杯にした。機械を65リットルの15℃で6°F.H.の冷水で満たした。110gのultra−Wiskを加えた。10または18分のsuper−washを選択し、その後の1回のすすぎ洗いと回転脱水を行った。配合「B」を含むカプセル、およびカプセル化してないファブリック処理組成物を洗濯サイクルの様々な段階で加えた。サイクルが完了した後、バラストおよびモニターをWhirlpool(米国)乾燥機で乾燥した。次いで、モニターを別に分け、陽イオン柔軟化剤による被覆の強度と一様性が分かるように、ブロモフェノールブルーステインにより処理した。
【0244】
ブロモフェノールブルー試薬は、エタノール(10g)に溶かし、熱水(5ml)に加え、次いで10リットルのWirralの冷水に加えたブロモフェノールブルー染料(0.7g)からなっていた(最終pH7.4)。
【0245】
モニターをブロモフェノールブルー溶液に入れ、時々撹拌しながら15分間室温に放置し、次に、すすぎ洗い液が透明になるまで穏やかにすすぎ洗いした。次いで、布を30秒間回転脱水して余分な水を除去し、直射日光を避けて物干し竿で放置乾燥した。
【0246】
次いで、付着の一様性を1〜5段階(1は非常にまだら状であることを示し、5は完全な被覆を示す)で、またブルーステインの強度も1〜5段階(1は非常に薄いことを示し、5非常に濃いことを示す)で、モニターを8人の訓練されたパネルが目視で評価した。
【0247】
表15において、カプセルは、50ミクロンにキャストしたフィルムで形成し、18分間の洗浄サイクルを用いた。
【0248】
【表15】

【0249】
以下の表において、カプセルを90ミクロンにキャストしたフィルムから形成し、10および18分間の洗浄サイクルの両方を用いた。
【0250】
柔軟化を、0から100の線目盛り(line scale)(0は全く柔軟でないことを示し、100は極めて柔軟であることを示す)で6人の訓練されたパネルが評価した。結果を、分散分析(Anova)およびTukey−Kramer HSD統計を用いて解析した。芳香を、0〜5段階(0は芳香なしを示し、5は非常に強い芳香を示す)で、8人の訓練されたパネルが評価した。芳香の評価を、洗濯機から取り出した直後の湿ったファブリックで、また回転乾燥機から取り出した後24時間でも行った。結果を表16に示す。
【0251】
【表16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性である高分子に由来する高分子骨格と前記骨格に結合した1または複数の誘導体化基とを含む高分子フィルムによりカプセル化された活性剤を含み、前記1または複数の誘導体化基は0.5から6のClogPを有する親物質から誘導され、前記高分子フィルムの外側に界面活性剤もまた含むデリバリーシステム。
【請求項2】
前記1または複数の誘導体化基がC3からC22の炭化水素鎖を含む親物質から誘導される請求項1に記載のデリバリーシステム。
【請求項3】
前記1または複数の誘導体化基が、アセタール、ケタール、エステル、フルオロ有機化合物、エーテル、エポキシド、アルカン、アルケンおよび芳香族化合物からなる群から選択される親物質から誘導される請求項1または2に記載のデリバリーシステム。
【請求項4】
疎水性を増すように変性されたポリオールを含む高分子フィルムによりカプセル化された活性剤を含み、前記高分子フィルムの外側に界面活性剤もまた含むデリバリーシステム。
【請求項5】
前記の疎水性を増すように変性されたポリオールが疎水性を増すように変性されたポリ(ビニルアルコール)である請求項4に記載のデリバリーシステム。
【請求項6】
前記ポリオールが3から22個の炭素原子を有する基によって疎水性を増すように変性された請求項4または5に記載のデリバリーシステム。
【請求項7】
前記ポリオールがアセタール基によって疎水性を増すように変性された請求項4から6のいずれかに記載のデリバリーシステム。
【請求項8】
前記ポリオールが芳香族アセタール基によって疎水性を増すように変性された請求項7に記載のデリバリーシステム。
【請求項9】
前記芳香族アセタール基がベンズアルデヒドから誘導される請求項8に記載のデリバリーシステム。
【請求項10】
アセタール基がブチルアルデヒドから誘導される請求項7に記載のデリバリーシステム。
【請求項11】
前記ポリオールがエステル化されたヒドロキシ基をいくらか含む請求項4から10のいずれかに記載のデリバリーシステム。
【請求項12】
前記ポリオールのエステル化されたヒドロキシ基の数が全体の1から30%、好ましくは1から20%、最も好ましくは1から12%である請求項11に記載のデリバリーシステム。
【請求項13】
前記ポリオールの疎水性を増すような変性度が、該高分子の全重量に対して、0.1から40重量%、好ましくは2から30重量%、より好ましくは5から15重量%、例えば8から12重量%である請求項4から12のいずれかに記載のデリバリーシステム。
【請求項14】
前記ポリオールが疎水性基と遊離ヒドロキシル基対を、1:3から1:30、好ましくは1:4から1:20、最も好ましくは1:7から1:15、例えば1:8から1:13の比で含む請求項4から13のいずれかに記載のデリバリーシステム。
【請求項15】
前記界面活性剤が前記高分子フィルムの外側表面に吸着されている請求項1から14のいずれかに記載のデリバリーシステム。
【請求項16】
界面活性剤を含む水性担体流体を含む請求項1から15のいずれかに記載のデリバリーシステム。
【請求項17】
前記担体が非イオンまたは陽イオン界面活性剤を含む請求項1から16のいずれかに記載のデリバリーシステム。
【請求項18】
前記高分子フィルムが結晶かく乱剤および/または可塑剤を含む請求項1から17のいずれかに記載のデリバリーシステム。
【請求項19】
前記結晶かく乱剤および/または可塑剤がジ(プロピレングリコール)である請求項18に記載のデリバリーシステム。
【請求項20】
請求項1から19のいずれかに記載のデリバリーシステムの希釈および/または加熱、ならびにターゲットとの前記デリバリーシステムの接触を含む、ターゲットへの活性剤のデリバリー方法。
【請求項21】
前記デリバリーシステムの前記希釈および/または加熱が、ターゲットとの前記デリバリーシステムの前記接触と同時に実施される、請求項20に記載のターゲットへの活性剤のデリバリー方法。
【請求項22】
手術もしくは薬物治療によるヒトもしくは動物の身体の治療方法も、ヒトもしくは動物の身体に実施される診断法も含まない、請求項20または21に記載のターゲットへの活性剤のデリバリー方法。
【請求項23】
請求項21または22に記載の方法を含む、人体への化粧用活性剤のデリバリー方法。
【請求項24】
請求項21または22に記載の方法を含む、テキスタイルへの処理剤のデリバリー方法。
【請求項25】
請求項21または22に記載の方法を含む、ハード表面への処理剤のデリバリー方法。
【請求項26】
家庭での洗濯作業中に実施される請求項24に記載の方法。

【公表番号】特表2007−532704(P2007−532704A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506684(P2007−506684)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002978
【国際公開番号】WO2005/097966
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】