説明

活性成分の調整放出が可能な分割可能なガレヌス形態

【課題】分割可能であり、かつ調整放出性である、同一のガレヌス形態の提供。
【解決手段】分割可能なガレヌス製剤、例えば調整放出性を有し、1種類又はそれ以上の活性成分、及び賦形剤(セルロース誘導体ポリマー及び結合剤)を含む分割可能な錠剤である。このガレヌス製剤は、それが再分割されると否とに関わらず、同一の溶解プロフィールを有する。例えば、その再分割されない形態をなす長期放出性の分割可能な錠剤、及び再分割によって得られる該形態の一部は、同一の溶解プロフィールを有するガレヌス製剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬製剤の新規なガレヌス製剤の研究および開発の分野に属する。本発明は、活性成分の調整放出(modified release)が可能な分割可能なガレヌス製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
活性物質の調整放出、たとえば長期放出、遅延放出または逐次放出を有する医薬製剤は、長い間公知となっている。特に、それらは、ヒトにおいて、血中の活性成分のピークを回避し、定常的な血中濃度を得るのを可能にする。このことは、活性成分の血漿中濃度の変動に付随する水電解質および代謝関係の問題を伴うことがある、「ピーク効果」の結果として生じかねない望ましくない効果の削減を包含する。調整放出形態は、一定の患者においては、活性成分の血中濃度(上昇し、持続期間が短く、その効果が一定の病態の処置に有害であると判明しかねない)を回避するという点で、即時放出形態に比して特に好都合である。
【0003】
分割可能なガレヌス形態、たとえば分割可能な錠剤は、破断線のような特徴を有して、それが該ガレヌス形態が分割されるのを可能とし、実質的に等量の活性物質を含有する、実質的に等しい塊体部分を生じる。錠剤の再分割(subdivision)は、昔からの、にもかかわらずガレヌス科学に繰返し生じる問題を構成する。破断溝を有する錠剤は、容易な破壊を許し、正確かつ等量の活性成分を含有する区分された用量を得るのを可能にして、一般的に用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、伝統的ではあるが、相互に拮抗する特性を有する、すなわち分割可能であり、かつ調整放出性である、同一のガレヌス形態を提供することである。
【0005】
EMEA、すなわち欧州医薬品審査庁(European Medicines Agency)の指示書CPMP/QWP/604/96は、同一のガレヌス形態中に分割可能性の特性と長期放出の特性とを組み合わせることに対して、「長期放出剤形を再分割することは、好ましくない実施であるが、例外的な場合には正当化され得る」と明示的に勧告している。
【0006】
比較的深い破断溝を有する錠剤が、該錠剤のより容易な破壊、および分割された各投与分中に正確な量の活性物質が存在することを可能とするというのは事実であるが、深い破断溝を有し、分割された用量の形態で用いられる分割可能錠剤は、その表面積が、破断表面積(全表面積の20%に達し得る)に対応して実質的に増加する。分割された用量の場合の表面積のこの有意な増加は、活性物質の放出特性に対して非常に破壊的な効果がある。そのため、再分割の結果として著しく増加した全表面積の場合、分割された用量からの活性物質の調整放出は、該分割された用量が、望みの特性、特に直線的な調整放出をもはや有しないか、または部分的にのみ有するにすぎないまでに改変されてしまう。そのため、比較的深い破断溝を有する分割可能錠剤の使用は、特性および薬効の面での確実性の欠如を生じて、患者には許容され得なくなる。
【0007】
調整放出性ガレヌス形態の再分割に付随する問題点を克服するために、ガレヌス液剤が想定されている。特に、調整放出性の分割可能錠剤の新規な形態が、破断表面積に起因する全表面積の増加が再分断の際に可能な限り少なくなるように開発されている(フランス国特許出願公開第2 462 908号公報(FR 2 462 908))。この長円形の錠剤は、長さ/幅/高さが2.5〜5/0.9〜2/1という正確な相対的比率を有する。加えて、幅は、長さの2/3以下を構成し、溝の深さ全体は、破断表面の面積と可能な断片の数との積が再分割されない錠剤の外部表面積の15%以下を構成するように、高さの1/3〜1/2に調整される。しかし、破断表面積が小さいことに起因して、このような分割可能錠剤がより容易に破壊されるために、該錠剤は、分割用のバーにおいて破損する傾向があって、これは、工業的過程の途中では不都合な効果である。
【0008】
したがって、本発明の課題は、既に入手可能な調整放出性の分割可能錠剤の開発に固有の問題点を、錠剤を再分割して分割された用量とすることに付随する短所を少なくとも部分的に克服する観点で回避するのを可能にする、代替的大方針を提唱することである。この代替的大方針は、ガレヌス形態の薬学的組成物の独創性に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、分割可能なガレヌス製剤、たとえば調整放出性を有し、1種類またはそれ以上の活性成分、および下記の賦形剤、すなわちセルロース誘導体ポリマーおよび結合剤を含む、分割可能な錠剤に関するものである。この新規なガレヌス製剤は、それが再分割されると否とに関わらず、同一の溶解プロフィールを有することを特徴とする。たとえば、その再分割されない形態をなす長期放出性の分割可能な錠剤、および再分割によって得られる該形態の一部は、同一の溶解プロフィールを有する。
【0010】
本発明の文脈中、「同一の溶解プロフィール」は、変動係数に統計的有意差がない溶解動態を意味すると理解される。本発明による同一のin vitro溶解動態は、同一の血漿中動態を結果的に生じる。
【0011】
本発明による表現「活性成分」は、それ自体としての活性成分、またはその水和物、結晶質形態、および薬学的に許容され得る酸とのこれらのいずれかの付加塩の一つを包含する。
【0012】
本発明によれば、表現「活性物質」または「活性成分」は、下記の治療薬群、すなわち抗生物質、心血管系薬剤、鎮痛剤、抗凝固剤、抗血栓剤、血管収縮剤、血管拡張剤、抗腫瘍剤、血糖上昇および血糖降下剤、抗炎症剤、抗不整脈剤、抗コレステロール血症剤、ビタミン、ミネラルに、非限定的に関連して、これらの活性成分のそれぞれが互いに関係し合うことも可能である。
【0013】
好ましくは、本発明の活性成分は、血糖降下剤、特に抗糖尿病剤である。より好ましくは、該活性成分は、スルホニル尿素化合物である。好ましいのは、式(I)のグリクラジドである、本発明に用いられる活性成分である:
【0014】
【化1】

【0015】
グリクラジドは、その抗糖尿病特性が認められているスルホニル尿素化合物である。
【0016】
グリクラジドの単位用量は、患者の年齢および体重、ならびに糖尿病の性質および重篤さに応じて変動し得る。一般的には、一回投与の形態で、1日の処置について30〜120mgにわたる。ガレヌス製剤中のグリクラジドの百分率は、錠剤の総重量の12〜40%である。
【0017】
これまでに存在する製剤は、
−グリクラジド80mgを含有する即時放出性錠剤;および
−グリクラジド30mgを含有するマトリックス錠剤
からなっていた。後者の錠剤は、毎日1回投与の形態で30〜120mg(30mgの錠剤1〜4錠の摂取に相当)にわたる、単位用量の投薬計画を固守するのを可能にする。このグリクラジド錠は、欧州特許出願公開第1 148 871号公報(EP 1 148 871)に記載の親水性マトリックスの形態で投与されて、該マトリックスのin vitro溶解動態がpHに影響されることなく、活性成分の長期および制御された放出を可能にする。グリクラジドの長期放出のためのこの形態は、定常的な血漿中濃度および低いCmax〜Cmin変動を確保するのを可能にする。
【0018】
グリクラジドに推奨される投与スキームは、第一期の間の30mgの用量でのグリクラジド、次いで第二期の間の60mgの用量でのグリクラジドの投与を含むが、これは、患者の大多数に投与される処置用量である。更に、より重篤に罹患した患者は、グリクラジド90mgまたは120mgもの用量で処置しなければならない。
【0019】
既存の製剤に比して非常に好都合な方式では、グリクラジド60mgを含有する分割可能な長期放出性マトリックス錠剤からなる本発明は、患者が摂取する錠剤の数を限定することによって、処置のより充分な順守を確保し、医薬の製造が単一の製造ラインで最適化されるのを可能とする。
【0020】
製剤では、セルロース誘導体ポリマーは、マトリックスを形成する機能を有して、とりわけ活性成分の調整放出を確保する。活性成分の放出は、拡散およびマトリックスの侵食の双方によって生じ、特に活性成分の長期放出を可能とする。
【0021】
本発明によって理解されるとおり、セルロース誘導体またはセルロースポリマーは、たとえばエチルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、フタル酸酢酸セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースである。本発明によれば好適であるセルロース誘導体は、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0022】
好ましいのは、低粘度のセルロース誘導体を含む本発明の錠剤である。更に好ましいのは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、すなわちHPMCを含む本発明の錠剤である。
【0023】
HPMCは、当業者に公知の商業的に入手可能なポリマーであり、医薬製剤の分野で慣用されている。これらのポリマーは、特にMethocel(商標)およびMetolose(商標)なる商標のもとに市販されていることに留意しなければならない。
【0024】
高粘度HPMCは、Methocel K15M(商標)およびMethocel K100M(商標)から選んでよくて、その2重量%水溶液が、それぞれ、15,000および100,000cPの粘度を有する。中粘度HPMCは、Methocel E4M(商標)、Methocel K4M(商標)およびMethocel K4MCR(商標)から選んでよくて、その2重量%水溶液が4,000cPの粘度を有する。低粘度HPMCは、Methocel E5(商標)、Methocel E5LV(商標)、Methocel E15LV(商標)、Methocel E50LV(商標)、Methocel K100LV(商標)およびMetolose 90SH100(商標)から選んでよくて、その2重量%水溶液が、それぞれ、5、5、15、50、100および100cPの粘度を有する。
【0025】
本発明の薬学的組成物では、結合剤は、圧力の作用によってのみでは一緒に結合することができない粒子を一緒に結合するのに役立つ。
【0026】
本発明は、好ましくは、下記のリストに含まれる結合剤、すなわちショ糖溶液、グルコース溶液、ソルビトール溶液、グルコースシロップ、好ましくはマルトデキストリン、アラビアゴム、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、澱粉、PEG4000および6000、ポリビドン(PVP)、並びに非常に低粘度のHPMCに関する。
【0027】
本発明の錠剤は、好ましくは、マルトデキストリン、ポリビドン、または非常に低分子量のHPMCを本ガレヌス製剤用の結合剤として含む。
【0028】
上記により、本発明は、好ましくは、(a)グリクラジド、セルロース誘導体およびマルトデキストリン、または(b)グリクラジド、セルロース誘導体およびポリビドン、または(c)グリクラジド、セルロース誘導体、および低分子量ないし非常に低分子量のHPMCを含む、分割可能な長期放出性錠剤に関する。
【0029】
好適実施態様では、本発明の錠剤は、親水化剤も含む。従来の使用法によれば、親水化剤は、水によるマトリックスの浸透を容易にする結果、迅速にゲルを形成することができる、いかなる物資でもあると理解される。本発明の文脈では、親水化剤は、下記のリストに含まれるもの、すなわちコロイド状シリカ、ポリソルベート、ソルビトールエステルである。好都合には、本発明の錠剤は、本ガレヌス製剤の親水化剤としてコロイド状シリカを含む。本発明の錠剤中の親水化剤としてのコロイド状シリカの百分率による含量は、錠剤の総重量の0.1〜5%である。
【0030】
本発明は、特に、グリクラジド、セルロース誘導体、マルトデキストリンおよびコロイド状シリカを含む、分割可能な長期放出性錠剤に関する。
【0031】
本発明は、活性成分および既述の賦形剤に加えて、
−少なくとも1種類の希釈剤または充填剤、たとえば、乳糖一水和物、マンニトール、ポリオール、非置換セルロース、あるいは澱粉および無機塩、リン酸二カルシウム;ならびに/あるいは
−少なくとも1種類の滑沢剤、特に打錠滑沢剤、たとえば、ステアリン酸マグネシウム、あるいはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、フマル酸ステアリルナトリウム;ならびに/あるいは
−少なくとも1種類の流動剤、たとえば無水コロイド状シリカ
を含む錠剤にも関する。
【0032】
好ましくは、本発明は、分割可能な調整放出性錠剤であって、該錠剤の総重量に対して12〜40%の活性成分を含む錠剤に関する。好ましくは、本発明の分割可能な錠剤は、該錠剤の総重量に対して10〜60%のセルロース誘導体も含む。非常に特別には、本発明の分割可能な錠剤は、該錠剤の総重量に対して2〜15%の結合剤を含む。
【0033】
更に、本発明の分割可能な錠剤は、該錠剤の高さおよび長さの方向に垂直な一面または両面に配置された、1本もしくはそれ以上の破断溝を有する。両面に与えられた該破断溝は、好ましくは互いに反対方向であるか、さもなければ代わりに互い違いであり、更に、同じ深さを有するか、または異なる深さを有する。上記により、分割可能な該錠剤は、二つまたはいくつかの所定の部分に分割することができる。これによって、医薬の用量を病態または患者に付随する特定の投与量の投薬計画に適合させることができるようになる。
【0034】
本発明は、好ましくは、活性物質の総量の13〜27%が2時間以内に放出され、活性物質の総量の32〜52%が4時間以内に放出され、活性物質の総量の85%超が12時間以内に放出される、分割可能な錠剤に関する。
【0035】
好ましくは、本発明の錠剤は、下記の統一された処方(mg/錠で)、および下記の百分率の処方を有する:
L0014022:
−グリクラジド 60.00 18.7%
−乳糖一水和物 71.36 22.3%
−HPMC、100cP 160.00 50%
−マルトデキストリン 22.00 6.9%
−無水コロイド状シリカ 5.04 1.6%
−ステアリン酸マグネシウム 1.60 0.5%
総重量 320.00
【0036】
本発明の錠剤の下記の処方は、一方では各化合物のmg/総重量の形での量の、他方では内側の相および外側の相における該化合物の局在の関数として示されている:
L0014022:
内相
グリクラジド 60
乳糖 71.36
HPMC、100cP 64
マルトデキストリン 22
無水コロイド状シリカ 4.4
外相
HPMC、100cP 96
ステアリン酸マグネシウム 1.6
無水コロイド状シリカ 0.64
総重量 320.00
【0037】
本発明は、前記の分割可能な錠剤の湿式造粒法を用いた製造方法であって、少なくとも下記の工程を含む方法に関する:
(a)グリクラジド、マルトデキストリン、乳糖一水和物、セルロース誘導体の一部、およびコロイド状シリカの一部を混合する;
(b)混合した後、湿潤化を実施し;それによって得られた湿潤体を、次いで造粒、乾燥かつ分級する;
(c)工程(b)で得られた粒状物は、内相を構成し、これを低粘度のセルロース誘導体の残余部分と混合する;
(d)工程(c)で得られた粒状物を、コロイド状シリカおよびステアリン酸マグネシウムを用いて滑沢化する;
(e)滑沢化された混合物を、破断溝を錠剤に形成するのを可能とするパンチを用いて打錠する。
【0038】
本発明は、前記の分割可能な錠剤の直接打錠法を用いた製造方法であって、少なくとも下記の工程を含む方法に関する;
(a)グリクラジド、マルトデキストリン、乳糖一水和物、セルロース誘導体、およびコロイド状シリカの一部を混合する;
(b)工程(a)で得られた混合物を、コロイド状シリカおよびステアリン酸マグネシウムを用いて滑沢化する;
(c)滑沢化された混合物を、破断溝を錠剤に形成するのを可能とするパンチを用いて打錠する。
【0039】
最後に、本発明は、前記の分割可能な錠剤の圧縮造粒法または乾式造粒法を用いた製造方法であって、少なくとも下記の工程を含む方法に関する;
(a)グリクラジド、マルトデキストリン、乳糖一水和物、セルロース誘導体の一部、およびコロイド状シリカの一部を混合する;
(b)混合した後、圧縮を実施し、次いで分級する;
(c)工程(b)で得られた粒状物は、内相を構成し、これを低粘度のセルロース誘導体の残余部分と混合する;
(d)工程(c)で得られた粒状物を、コロイド状シリカおよびステアリン酸マグネシウムを用いて滑沢化する;
(e)滑沢化された混合物を、破断溝を錠剤に形成するのを可能とするパンチを用いて打錠する。
【0040】
好ましくは、該方法の最後に、直径を挟む圧砕によって測定されるその硬度が約60〜120Nであり、破断溝を用いたその分割が処置の順守を促進する錠剤が得られる。
【0041】
好ましくは、本発明によるグリクラジドの調整放出のための分割可能なガレヌス製剤は、糖尿病の処置用の医薬を製造するのに用いられる。
【0042】
下記の図面および実施例によって、本発明を例示するが、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】組成物L0014022の完全錠剤および半錠剤に関する比較溶解動態を示すグラフである。
【図2】組成物L0023844の完全錠剤および半錠剤に関する比較溶解動態を示すグラフである。
【図3】組成物L0023845の完全錠剤および半錠剤に関する比較溶解動態を示すグラフである。
【図4】組成物L0023849の完全錠剤および半錠剤に関する比較溶解動態を示すグラフである。
【実施例】
【0044】
実施例1〜4:溶解動態の比較
実施例1〜4は、再分割されない錠剤のin vitro放出動態を、分割された用量のin vitro放出動態と比較している。溶解プロフィールを、相似係数(similarity factor;f2)を用いて比較した。二つの溶解プロフィールは、(f2)の値が50以上であるときに相似であると見なされる。EMEAおよびFDAの指示書は、二つの溶解プロフィールを比較し、該溶解動態が同一であるか否かを判定するために、相似係数(f2)の算出を勧告している。
【0045】
相似係数は、下式:
【0046】
【数1】

【0047】
[式中、f2は、相似係数であり、nは、標準化された点の数であり、R(t)は、再分割されない錠剤から溶解した活性成分の平均百分率であり、T(t)は、該錠剤の分割用量から溶解した活性成分の平均百分率である]
で示される。実施例1〜4では、標準化された点は、t=2時間、t=4時間およびt=12時間にある。評価した錠剤は、異なる処方を有し、これらの処方は、特に、用いたセルロース誘導体の性質および結合剤の性質において異なる。錠剤は、前記の本発明の方法に従って製造した。
【0048】
実施例1
【表1】

【0049】
実施例2
【表2】

【0050】
実施例3
【表3】

【0051】
実施例4
【表4】

【0052】
実施例1〜5で評価した薬学的組成物は、再分割されない形態、および再分割によって得られた部分について類似の溶解プロフィールを有する。
【0053】
本発明の態様を以下に示す。
1.活性成分、セルロース誘導体および結合剤を含む、分割可能な調整放出性錠剤であって、再分割されない錠剤と、再分割によって得られる該錠剤の一部とが類似の溶解プロフィールを有する錠剤。
2.活性物質がグリクラジドであることを特徴とする、上記1の錠剤。
3.セルロース誘導体がヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよび/またはヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする、上記1または2のいずれかの錠剤。
4.セルロース誘導体が低粘度のヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする、上記1〜3のいずれかの錠剤。
5.結合剤がマルトデキストリン、ポリビドン、または非常に低粘度のヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする、上記1〜4のいずれかの錠剤。
6.錠剤が親水化剤、好ましくはコロイド状シリカである親水化剤を含むことを特徴とする、上記1〜5のいずれかの錠剤。
7.グリクラジド、セルロース誘導体、マルトデキストリンおよび無水コロイド状シリカを含むことを特徴とする、上記1〜6のいずれかの錠剤。
8.活性物質の百分率が錠剤の総重量の12〜40%であることを特徴とする、上記1〜7のいずれかの錠剤。
9.セルロース誘導体の百分率が錠剤の総重量の10〜60%であることを特徴とする、上記1〜8のいずれかの錠剤。
10.結合剤の百分率が錠剤の総重量の2〜15%であることを特徴とする、上記1〜9のいずれかの錠剤。
11.総量60mgのグリクラジドのを含むことを特徴とする、上記2〜10のいずれかの錠剤。
12.分割可能な調整放出性錠剤であって、18.7%のグリクラジド、22.3%の乳糖一水和物、6.9%のマルトデキストリン、50%の低置換ヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.5%のステアリン酸マグネシウム、および1.6%の無水コロイド状シリカを含むことを特徴とする錠剤。
13.錠剤の高さおよび長さに垂直な一つまたはそれ以上の破断溝を有することを特徴とする、上記1〜12のいずれかの錠剤。
14.長期放出が可能であることを特徴とする、上記1〜13のいずれかの錠剤。
15.活性物質の総量の13〜27%が2時間以内に放出され、活性物質の総量の32〜52%が4時間以内に放出され、活性物質の総量の85%以上が12時間以内に放出されることを特徴とする、上記1〜14のいずれかの錠剤。
16.糖尿病の処置用医薬を製造するのに用いられる、上記1〜15のいずれかの錠剤。
17.上記1〜16のいずれかの錠剤を製造する方法であって、湿式造粒法、圧縮造粒法または直接打錠法を用いる方法であることを特徴とする方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分、セルロース誘導体および結合剤を含む、分割可能な調整放出性錠剤であって、再分割されない錠剤と、再分割によって得られる該錠剤の一部とが類似の溶解プロフィールを有する錠剤。
【請求項2】
活性物質がグリクラジドであることを特徴とする、請求項1記載の錠剤。
【請求項3】
セルロース誘導体がヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよび/またはヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の錠剤。
【請求項4】
セルロース誘導体が低粘度のヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項5】
結合剤がマルトデキストリン、ポリビドン、または非常に低粘度のヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項6】
錠剤が親水化剤、好ましくはコロイド状シリカである親水化剤を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項7】
グリクラジド、セルロース誘導体、マルトデキストリンおよび無水コロイド状シリカを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項8】
活性物質の百分率が錠剤の総重量の12〜40%であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項9】
セルロース誘導体の百分率が錠剤の総重量の10〜60%であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項10】
結合剤の百分率が錠剤の総重量の2〜15%であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項11】
総量60mgのグリクラジドを含むことを特徴とする、請求項2〜10のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項12】
分割可能な調整放出性錠剤であって、18.7%のグリクラジド、22.3%の乳糖一水和物、6.9%のマルトデキストリン、50%の低置換ヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.5%のステアリン酸マグネシウム、および1.6%の無水コロイド状シリカを含むことを特徴とする錠剤。
【請求項13】
錠剤の高さおよび長さに垂直な一つまたはそれ以上の破断溝を有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項14】
長期放出が可能であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項15】
活性物質の総量の13〜27%が2時間以内に放出され、活性物質の総量の32〜52%が4時間以内に放出され、活性物質の総量の85%以上が12時間以内に放出されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項16】
糖尿病の処置用医薬を製造するのに用いられる、請求項1〜15のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の錠剤を製造する方法であって、湿式造粒法、圧縮造粒法または直接打錠法を用いる方法であることを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−209103(P2010−209103A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−109928(P2010−109928)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【分割の表示】特願2008−229452(P2008−229452)の分割
【原出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(500287019)レ ラボラトワール セルヴィエ (166)
【Fターム(参考)】