説明

活性成分を含有する腸溶性の被覆された粒子

【課題】腸溶性に被覆された粒子および当該粒子から作製したチュアブル錠を提供する。
【解決手段】腸溶性に被覆された粒子は、活性成分を含有するコアと、このコアを実質的に覆い、かつ、約40℃未満のガラス転移温度を有するポリマー系組成物から構成された第1の被覆層と、この第1の被覆層を実質的に覆い、かつ、高温でのフィルム形成用ポリマーから構成された第2の被覆層とから構成されている。当該粒子は、活性成分の即時放出特性を付与するチュアブル錠等の錠剤の形態で作製されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
1.発明の分野
本発明は、活性成分および二層構造の腸溶性被覆を含有する粒子に関するものである。この被覆された粒子は、上方の腸管内で活性成分を放出できる、すなわち、持続放出(徐放)性のチュアブル錠を作製するために使用されてもよい。
【0002】
2.背景情報
経口投与用の薬剤は、錠剤、カプセル、丸形剤、トローチ剤、または、顆粒などの固形で、通常、提供される。錠剤は、丸飲みされる、口内で咀嚼される、あるいは、口腔内で溶出される。チュアブル錠は、通常、活性薬剤粒子および他の不活性成分(賦形剤)を含む混合物から作製され、かつ、丸飲み用の錠剤を提供することが実用的でない場合の薬剤の投与に用いられることが多い。チュアブル錠では、錠剤が崩壊する際に、咀嚼の行為が、錠剤を粒子に砕く上で役立ち、消化器官による吸収速度を増すことになる。チュアブル錠は、小児患者および高齢患者への薬剤投与に役立てるために利用されることが多い。
【0003】
特定の薬剤粒子は、好ましくは、腸内で放出される。このような放出特性を有する錠剤を作製するために、胃の内部環境で生じるpHより高いpH、例えば、約5.5より高いpHのみで、活性成分を放出するポリマー被覆でコアを被覆する点に、取り組みが集中していた。しかし、被覆された圧縮錠剤コアとは異なり、チュアブルタイプの剤形は、固有の課題を提示する。第一に、嚥下タイプの剤形とは対照的に、チュアブルタイプの剤形は咀嚼されることから、その咀嚼中に、腸溶性被覆が粒子コアから分離される可能性がある。第二に、多くの腸溶性ポリマーの粘着性のために、多くの被覆は、圧縮工程中に、錠剤用の穴開けパンチ機およびプレス機(tablet punch and press)の各表面に固着する可能性がある。このような問題は、チュアブル錠を製造する際に、特に、そのチュアブル錠がエンボス加工された文字および数字を有する場合に、拡大される。結果として、チュアブル錠および被覆された粒子の一部が錠剤用の穴開けパンチ機のエンボス加工部分に粘着することから、チュアブル錠の部分的な欠損および含量均一性の喪失を招くことになる。不都合なことに、腸溶性被覆を有する剤形が胃を通過する際に、しばしば、腸溶性被覆が粒子上に殆ど残らないことがあり、これによって、活性成分が時期尚早に胃中に放出されてしまう。
【0004】
活性成分の遅延放出性を有するチュアブル錠を製造するための一つの手段では、可塑剤、および/または、所望の弾性を錠剤に与える、低温で軟らかく、可塑剤のようなポリマー等の成分を含有するマイクロカプセル化用のポリマー外層を使用しており、この手段は、米国特許第4,800,087号明細書に見出される。不都合なことに、外層内に含まれる上述の成分の使用は、錠剤の製造工程中に、圧縮用の機器、例えば、穴開けパンチ機および金型に錠剤を粘着させる。
【0005】
咀嚼できるばかりでなく、胃の内部環境とは対照的に、腸の内部環境で、活性成分を有効に放出できる経口用の剤形を有することは、望ましいことであろう。
【0006】
〔本発明の概要〕
本発明は、特許請求の範囲に規定されているように、粒子およびチュアブルタイプの剤形から構成され、粒子およびチュアブルタイプの剤形から本質的に構成され、および/または、粒子およびチュアブルタイプの剤形から構成されている。
【0007】
本発明に従って、腸溶性放出構造(enteric release profile)を有するチュアブルタイプの調合剤(pharmaceutical formulations)は、二つの独立したポリマー被覆を用いて作製されてもよい。有利なことに、当該剤形は、咀嚼中に、ユーザーに対して十分な風味遮蔽特性を与えるばかりでなく、腸内で活性成分を有効に放出できる。
【0008】
〔本発明の詳細な説明〕
本発明の属する技術分野における当業者であれば、この明細書の記述に基づいて、本発明を最大限、利用できるものと考えられる。以下の特定の実施の形態は、単に例示的なものとして解釈され、この明細書の開示内容の残り全部をいかなる点においても限定しないものとされる。
【0009】
他に規定されない限り、この明細書で使用された、すべての技術的および科学的な用語は、本発明の属する技術分野における当業者によって、一般に理解される意味と同一の意味を有している。また、この明細書で述べられた、すべての刊行物、特許出願、特許および他の文献は、参照によって、この明細書に組み込まれる。この明細書で使用されているように、すべての百分率は、他に特定されない限り、重量%である。さらに、この明細書で述べられた、すべての範囲は、二つの端点間の値のいかなる組み合わせをも包括的に含むことを意図している。
【0010】
この明細書で使用される場合、用語「実質的に被覆する」または「実質的に連続している」とは、被覆が概ね連続的であり、かつ、コアまたは下地層の表面全体を概ね被覆し、これによって、活性成分または下地層の殆どが露出しないことを意味する。
【0011】
この明細書で使用される場合、「Tg」とは、ティー・エイ・インストルメンツ(TA Instruments)から市販された型式2920の示差走査熱量計を使用しながら、「機器分析の原理(Principles of Instrumental Analysis)」(第3版、1985年)の第716頁〜第726頁において、スクーグ(Skoog)によって述べられた示差走査熱量測定法に従って確認される場合のガラス転移温度を意味する。
【0012】
「腸溶性(enteric)」とは、胃のpHより高いpHで、すなわち、例えば、約5.0より高いpH、または、約5.5より高いpH、または、約6.0より高いpH、あるいは、腸内で見出されるpHで、溶出できることを意味する。
【0013】
この明細書で使用される場合、「低温でのフィルム形成用材料(low temperature film forming materials)」とは、約100℃未満の温度で、フィルムを形成する材料を意味する。
【0014】
この明細書で使用される場合、非ポリマー系材料に関連した「水溶性(water soluble)」または「水溶化する(water solubilize)」とは、「やや溶ける」から「非常に溶けやすい」まで、すなわち、1部の非ポリマー系の水溶性溶質を溶出するために、多くて100部の水が必要な場合を意味する。レミントン(Remington)による「薬学の科学と演習(The Science and Practice of Pharmacy)」(2000年)の第208頁〜第209頁を参照されたい。この明細書で使用される場合、ポリマー系材料に関連した「水溶性(water soluble)」または「水溶化する(water solubilize)」とは、当該ポリマー系材料が水中で膨潤し、かつ、分子レベルで分散して、均質の分散溶液またはコロイド溶液を形成できることを意味する。この明細書で使用される場合、ポリマー系材料に関連した「水分散性(water dispersible)」とは、ポリマー系材料の少なくとも一部が、生体外の溶出試験に使用される水性媒体、あるいは、胃腸液等の水性媒体中に剤形を浸漬させた後、60分以内に当該剤形から除去されることを意味する。
【0015】
被覆された粒子のコアには、多くの活性成分のいずれか一つが含められてもよい。適切な活性成分には、薬剤活性成分、栄養補助成分、栄養成分、栄養薬剤成分、および、これらの同類が広く含まれるが、これらに限定されるものではない。より具体的な例として、活性成分には、鎮痛剤、充血除去剤、去痰剤、咳止め薬、抗ヒスタミン剤、胃腸薬、利尿薬、プロトンポンプ阻害剤、気管支拡張薬、睡眠導入剤、ビタミン類、ミネラル類、抗感染薬、栄養成分、およびこれらの混合物が含まれる。好適な活性成分の一つの分類には、イブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、ロフェコキシブ、セレコキシブおよびアスピリン等の非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)が含まれる。これに代えて、活性成分は、アセトアミノフェン、偽エフェドリン、フェニルプロパノールアミン、クロルフェニラミン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、メクリジン、ファモチジン、ロペラミド、ラニチジン、シメチジン、ビサコジル、オオバコ、アステミゾール、ロラタジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、セチリジン、制酸剤、これらの混合物、および、これらの薬学的に許容される塩類または代謝産物(metabolites)から選択されてもよい。最も好適な活性成分は、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、偽エフェドリン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、ロラタジン、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、これらの混合物、および、これらの薬学的に許容される塩類からなる群より選択される。
【0016】
適切な胃腸薬の例には、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、重炭酸ナトリウム、ジヒドロキシアルミニウム炭酸ナトリウム等の制酸剤;ビサコジル、カスカラサグラダ、ダントロン(danthron)、センナ、フェノールフタレイン、アロエ、ヒマシ油、リシノール酸およびデヒドロコール酸、およびこれらの混合物等の刺激性下剤;ファモチジン、ラニチジン、シメチジン、ニザチジン等のH受容体拮抗剤;オメプラゾールまたはランソプラゾール等のプロトンポンプ阻害剤;スクラルファート(sucraflate)およびミソプロストル等の胃腸管細胞保護剤;プルカロプリド等の胃腸管運動促進剤;クラリスロマイシン、アモキシシリン、テトラサイクリン、メトロニダゾール等のヘリコバクター・ピロリー(H. pylori)用の抗生物質;ジフェノキシレートおよびロペラミド等の下痢止め剤;グリコピロレート;オンダンセトロン等の制吐剤;メサラミン等の鎮痛剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
本発明の別の実施の形態において、活性成分は、偽エフェドリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、クロルフェニラミン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、グアイフェネシン、アステミゾール、テルフェナジン、クロフェジアノール(chlophedianol)、フェキゾフェナジン、ロラタジン、デスロラタジン、ドキシルアミン(doxilamine)、メントール、ノルアステミゾール(norastemizole)、セチリジン、ベンゾカイン、これらの混合物、ならびに、これらの薬学的に許容される塩類、エステル類、異性体類、および、混合物から選択されてもよい。
【0018】
別の実施の形態において、活性成分は、メチルフェニデート、モダフィニル、および、注意欠陥多動性障害または注意欠陥障害に適した他の活性成分、オキシブチニン、シデナフィル(sidenafil)、ならびに、これらの薬学的に許容される塩類、エステル類、異性体類、および、混合物であってもよい。
【0019】
粒子のコアには、純粋で、結晶性の活性成分、あるいは、この技術分野において公知の結合剤、界面活性剤、香料、甘味剤、放出修正剤(release modifying agents)、および他の賦形剤等の任意の成分と当該活性成分との混合物が含められてもよい。適切な放出修正剤には、ヒプロメロース(hypromellose)、酢酸セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキシドおよびポリメタクリレートが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
コアは、高剪断湿式造粒法(high sheer wet granulation)、噴霧乾燥法、および流動床式造粒法(fluid bed granulation)(回転流動床式造粒法を含む)を含む、種々の周知の造粒法を用いて形成されてもよい。一つの実施の形態において、粒子のコアは、流動床式造粒法によって作製されている。粒子のコアの平均外径は、約30μm〜約600μm、または、約50μm〜約400μmであってもよい。
【0021】
コアに塗布される第1の被覆層は、約57℃未満、例えば、約40℃未満または約35℃未満、あるいは、約30℃〜約40℃の間のガラス転移温度(Tg)を有するフィルムから構成されている。一つの実施の形態において、第1の被覆層は、コア表面を実質的に被覆している。第1の被覆層への使用に適したフィルム形成用材料には、そのような低温で腸溶性のフィルム形成用材料が含まれ、この材料には、ローム・ハース社(Rohm-Haas GmBH)から商品名「ユードラジットL30D」(Eudragit L30D)で市販されているメタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマー;エフ・エム・シー・コーポレイション(FMC Coporation)から市販されている「アクアテリック」(Aquateric)等の酢酸フタル酸セルロース;カラーコン・インク(Colorcon, Inc.)から市販されている「コーテリック」(Coateric)等の酢酸フタル酸ポリビニル(polyvinyl acetate phthalate);セラック;ヒプロメロースフタレート(hypromellose phthalate);および、これらの誘導体およびコポリマー、または、これらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
一つの実施の形態において、第1の被覆層は、約800,000の平均分子量を有し、かつ、約25℃未満の温度でポリマー系フィルムを形成するポリメタクリル酸エステルコポリマーを含む、腸溶性の、低温でのフィルム形成用コポリマーから構成されてもよい。
【0023】
上述したものに代えて、第1の被覆層は、約57℃未満のガラス転移温度(Tg)を有するブレンドフィルムを製造するために、約70℃を超えるガラス転移温度(Tg)を有するフィルム形成用材料(すなわち、硬質ポリマー)と可塑剤とを組み合わせた材料から構成されてもよい。約70℃を超えるガラス転移温度(Tg)を有する適切なフィルム形成用材料には、アクリル酸エステルのコポリマー、例えば、ローム・ファーマ(Rohm Pharma)から商品名「ユードラジット」(Eudragit)で市販されているメタクリル酸とメタクリレートとの陰イオン性コポリマーが含まれるが、これらに限定されるものではない。このような硬質のポリマー系のフィルム形成用材料の例には、5.5以上のpHで溶出する、メタクリル酸とメタクリレートとの陰イオン性コポリマー(「ユードラジットL100-55」(Eudragit L100-55));30%の分散率の、カルボン酸基を有する、メタクリル酸メチルとメタクリル酸とのコポリマー(「ユードラジットL30」(Eudragit L30));カルボン酸基を有する、メタクリル酸メチルとメタクリル酸とのコポリマー(「ユードラジットL100」(Eudragit L100));カルボン酸基を有するメタクリル酸の陰イオン性コポリマー(「ユードラジットS100」(Eudragit S100));米国特許第4,800,087号明細書に開示された「硬質ポリマー」;ならびにこれらの誘導体およびコポリマー;ならびにこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
第1の被覆層には、この第1の被覆層の総重量を基準にして、約0%〜約50%の量、例えば、約1%〜約40%の量で、他の非腸溶性フィルム形成用材料を任意に含有させてもよい。第1の被覆層への使用に適した上述のフィルム形成用材料の例には、メタクリル酸エステルのコポリマー、例えば、ローム・ファーマ(Rohm Pharma)から商品名「ユードラジットNE 30D 」(Eudragit NE 30D)で市販されているアクリル酸エチルとメタクリル酸メチルとのコポリマー;ローム・ファーマから商品名「ユードラジットE100」(Eudragit E100)で市販されているカルボン酸官能基を有するメタクリル酸とメタクリレートとの陽イオン性ポリマー;エス・シー・ジョンソン(S.C. Johnson)から商品名「ジャノクリル77」(Janocryl 77)で市販されているスチレンアクリレート(styrene acrylate);ユニオン・カーバイド・コーポレイション(Union Carbide Corporation)から商品名「ポリオックス」(Polyox)で市販されているポリエチレンオキシド;ならびにこれらの誘導体およびコポリマー;ならびにこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
一つの実施の形態において、第1の被覆層は、この第1の被覆層中の被覆材料の総重量を基準にして、約50%〜約80%、すなわち、例えば約60%〜約80%のフィルム形成用材料であって、約70℃を超えるガラス転移温度(Tg)を有する、ユードラジットL-100(Eudragit L-100)コポリマー等のフィルム形成用材料と、約20%〜約45%、すなわち、例えば約20%〜約40%の可塑剤であって、例えば、水溶性のプロピレングリコール等の可塑剤とから構成されている。
【0026】
別の実施の形態において、第1の被覆層は、この第1の被覆層の総重量を基準にして、少なくとも約40%、すなわち、例えば少なくとも約50%の腸溶性ポリマーを含んでいる。
【0027】
適切な可塑剤の例には、ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;グリセリン;ソルビトール;クエン酸トリエチル;クエン酸トリブチル;セバシン酸ジブチル(dibutyl sebecate);ヒマシ油、菜種油、オリーブ油およびゴマ油等の植物油;ポリソルベート、ラウリル硫酸ナトリウム、およびジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(dioctyl-sodium sulfosuccinates)等の界面活性剤;グリセリンのモノアセテート(mono acetate of glycerol);グリセリンのジアセテート;グリセリンのトリアセテート;天然ゴム;トリアセチン;クエン酸アセチルトリブチル;シュウ酸ジエチル;リンゴ酸ジエチル;フマル酸ジエチル;マロン酸ジエチル;フタル酸ジオクチル;コハク酸ジブチル;グリセロールトリブチレート(glyceroltributyrate);水素添加型ヒマシ油;脂肪酸類、置換型の(substituted)トリグリセリドおよびグリセリド;ならびにこれらの同類および/またはこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
第1の被覆層の表面に塗布される第2の被覆層は、約56℃を超えるガラス転移温度(Tg)を有するフィルムから構成されている。一つの実施の形態において、第2の被覆層は、第1の被覆層を実質的に覆っている。第2の被覆層への使用に適しており、約56℃を超えるガラス転移温度(Tg)を有する適切なフィルム形成用材料の例には、上述のアクリル酸エステルのコポリマー、例えば、ローム・ファーマから商品名「ユードラジットL100-55」(Eudragit L100-55)、「ユードラジットL30 D-55」(Eudragit L30 D-55)、「ユードラジットL100」(Eudragit L100)および「ユードラジットS100」(Eudragit S100)で市販されているようなカルボキシ基を有するメタクリル酸とメタクリレートとの陰イオン性ポリマー;米国特許第4,800,087号明細書に開示された「硬質ポリマー」;ならびにこれらの誘導体およびコポリマー;ならびにこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。特定の実施の形態において、これらのフィルム形成用材料は、約56℃を超えるガラス転移温度(Tg)を有する第2の層を形成するために、可塑剤と組み合わせて、使用される。
【0029】
上述したものに代えて、第2の被覆層は、約56℃を超えるガラス転移温度(Tg)を有するブレンドフィルムを製造するために、約70℃を超えるガラス転移温度(Tg)を有するフィルム形成用材料と可塑剤とを組み合わせた材料から構成されている。
【0030】
一つの実施の形態において、第2の被覆層は、高温でのフィルム形成用コポリマーから構成されており、当該コポリマーには、ポリメタクリル酸と、アクリル酸エステルおよびポリメタクリル酸エステルからなる群のうち、少なくとも一つの部材との反応生成物が含まれ、当該反応生成物は、少なくとも約30℃の温度でポリマー系フィルムを形成する。
【0031】
一つの実施の形態において、第1の被覆層および第2の被覆層のそれぞれのフィルムサンプルについて、米国材料試験協会(ASTM)のD882測定試験法に記述された内容に従って個別に検査された場合に、第1の被覆層は、破断点伸び値(elongation at break value)が少なくとも約70%であり、第2の被覆層は、破断点伸び値が約1%と約50%との間である。当該測定試験法によれば、フィルムサンプルは、ASTMのD1708スタンプ金型を用いて、成型され、かつ、切断または刻印された後に、ネーフ・コーポレイション(Naef Corporation)によって製造された型式Bの第8463号の穴開けパンチ式プレス機等のプレス機内に挿入される。次に、フィルムサンプルは、テクスチャー・テクノロジーズ・コーポレイション(Texture Technologies Corporation)から市販された型式TA-XT2i(HR)等のテクスチャー分析器上の二つのグリッパ間に配置され、当該フィルムをその二つの端点間で引っ張り、破断点での百分率の値を確認する。
【0032】
本発明の第1の被覆層および第2の被覆層で被覆した粒子の平均粒径は、約30μm〜約1000μm、すなわち、例えば約50μm〜約600μm、または、約100μm〜約400μmにわたってよい。
【0033】
この技術分野において周知である任意の成分は、第1の被覆層への使用に適した組成物に添加されてもよい。当該任意の成分の例には、サッカロース、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリトリトール、乳糖およびこれらの混合物等の圧縮可能な水溶性炭水化物を含む充填剤;エチルセルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ゼラチン、ゲランガム(gellan gum)、キサンタンガム、ローカストビーンガム(locust bean gum)、カラギーナン、メチルセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、澱粉、加工澱粉、マルトデキストリンおよびこれらの混合物を含み、特に、微結晶性セルロース、マルトデキストリンおよび澱粉を含むpH非依存性の(non-pH dependent)ポリマー;アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースおよびサッカリンを含む甘味剤;微結晶性セルロース、澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウム、架橋型ポリビニルピロリドン、架橋型カルボキシメチルセルロース等の崩壊剤;保存剤;香料;酸味料;抗酸化剤;流動促進剤;界面活性剤;および着色剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。上述されたいずれの任意の成分も、第2の被覆層への使用にも適している。第1の被覆膜または第2の被覆膜のいずれかへの使用に適した組成物中の任意の成分の含有量は、当該各組成物の総湿重量を基準にして、通常、約1%〜約40%である。
【0034】
適切な界面活性剤には、合成起源および天然起源の両方から導き出されたイオン性材料および非イオン性材料の両方が含まれ、当該材料には、レシチン、グリセリルエステル、糖エステル、ポリソルベート、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、プロピレングリコールエステル、サッカロース脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。有用なポリソルベートの例には、トリオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ジグリセリン、乳酸パルミチン酸グリセリン(glycerol lactyl-palmitate)が含まれる。乳酸誘導体には、ステアロイル乳酸ナトリウムおよびステアロイル乳酸カルシウムが含まれる。界面活性剤が第1の被覆層中に存在する場合において、当該界面活性剤の含有量は、第1の被覆層の総重量を基準にして、約2%〜約10%である。
【0035】
第1の層被覆は、ウルスター被覆法(Wurster coating)または回転被覆法(rotor coating)等の流動床技術を用いて、溶液状で粒子コアに塗布されてもよい。有用な溶媒には、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の薬剤に適した有機溶媒;水等の水性溶媒;およびこれらの混合物のいずれかが含まれる。一つの適切な溶媒混合物には、約85:15〜約95:5の範囲の割合で、アセトンおよび水が含まれる。
【0036】
コア上の第1の層被覆の厚さは、通常、約1μm〜約20μm、例えば、約2μm〜約15μmまたは約4μm〜約9μmである。第1の層被覆は、第2の被覆が追加される前の被覆された粒子の総重量を基準にして、約5%〜約50%、例えば、約15%〜約25%の量で存在してもよい。
【0037】
被覆されたコア上の第2の被覆層の厚さは、通常、約1μm〜約20μm、例えば、約2μm〜約15μmまたは約4μm〜約9μmである。第2の被覆は、二つの被覆層を有する粒子の重量を基準にして、約2%〜約40%、例えば、約3%〜約20%または約5%〜約15%の量で存在している。
【0038】
第2の被覆層は、コアを第1の被覆層で被覆するための上述の方法のいずれかによって、当該被覆されたコアに塗布されてもよい。一つの方法において、第2の被覆層の成分は、適切な溶媒中で溶出され、結果として得られた被覆用溶液は、ウルスター被覆法または回転被覆法等の流動床技術を用いて、粒子コアに塗布される。有用な溶媒には、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の薬剤に適した有機溶媒;水等の水性溶媒;およびこれらの混合物のいずれかが含まれる。一つの適切な溶媒混合物は、エタノールおよび水である。この実施の形態において、被覆用溶液のエタノールの水に対する割合は、通常、約10:90〜約90:10の範囲、例えば、約50:50〜約80:20の範囲である。この技術分野における当業者であれば、被覆用溶液の塗布速度と溶媒の蒸発速度との平衡を達成して、第2の被覆が粒子上に均一に堆積されるようにし、粒子表面を過剰に湿潤させずに完全なフィルムを形成するために、溶液の噴霧速度、乾燥空気の温度および流速等の被覆条件が調節される必要があると容易に理解できる。上述の被覆法の詳細は、この技術分野において周知であり、例えば、リーバーマン(Lieberman)らによる「薬学的剤形−錠剤:第3巻(Pharmaceutical Dosage Forms - Tablets: Volume 3)」第3章:粒子被覆法(Particle Coating Methods)(1990年)に述べられている。当該文献は、参照によって、この明細書に組み込まれる。
【0039】
本発明の粒子から構成された錠剤は、この技術分野における公知の手段のいずれかによって作製されてもよい。従来の錠剤製造の方法には、直接圧縮(乾式混合)、乾式造粒後の圧縮、および、湿式造粒後の乾燥および圧縮が含まれる。他の方法には、チルソネーター(chilsonator)またはドロップローラー等の圧迫ローラー技術(compacting roller technology)の使用、あるいは、成型技術、鋳造技術または押出技術の使用が含まれる。これらの方法のすべては、この技術分野において周知であり、例えば、ラッチマン(Lachman)らによる「製薬産業の理論と実際(The Theory and Practice of Industrial Pharmacy,)」第11章(第3版、1986年)に詳述されている。当該文献は、参照によって、この明細書に組み込まれる。
【0040】
錠剤が直接圧縮法によって形成される場合の一つの実施の形態において、二つの被覆層を有する粒子と、他の適切な任意の成分との混合物は、直接圧迫される。混合後、所定体積の粒子は、回転式の錠剤プレス機の金型空間(die cavity)内に充填され、当該金型空間は、充填位置から圧迫位置まで「金型テーブル(die table)」の部品として連続的に回転する。当該粒子は、上方パンチ部と下方パンチ部との間で圧迫されて、排出位置へ送られるが、この排出位置では、結果として得られる錠剤が下方パンチ部によって金型空間から押し出され、かつ、固定された「取出し棒」によって排出用シュートまで案内される。
【0041】
チュアブル錠が望ましい場合の複数の実施の形態において、粒子に対する圧迫度は、結果として得られるチュアブル錠が相対的に軟質である、すなわち、当該チュアブル錠が約6803.9kg/cm2(約15kp/cm2)、例えば約453.6kg/cm2〜約4536.0kg/cm2(約1kp/cm2〜約10kp/cm2)または約907.2kg/cm2〜約2721.5kg/cm2約(2kp/cm2〜約6kp/cm2)の硬度を有するように調整される。「硬度」は、シュロイニガー硬度試験器(Schleuniger hardness Tester)等の従来の薬学的硬度試験機器によって測定される場合の径方向の破断強さを記述するものとして、この技術分野で使用される用語である。寸法の異なる複数の錠剤にわたって値を比較するために、当該破断強さは、破断の領域に関して標準化される(錠剤の直径と厚さとを乗じた数値として概算されてよい)。このようなkg/cm2(kp/cm2)で表記される標準値は、この技術分野において、時々、錠剤の引張強度として示される。錠剤の硬度試験の一般的な説明は、リーバーマン(Lieberman)らによる2.薬学的剤形−錠剤(2 Pharmaceutical Dosage Forms - Tablets)第213頁〜第217頁、第327頁〜第329頁(第2版、1990年)(以下、「リーバーマン文献」という)に見出される。
【0042】
本発明の被覆用組成物の利点の一つは、米国薬局方(USP)第29号中に概説されるガイドラインに従う含量均一性分析によって実証されてもよい。特に、粒子状の活性成分に関する含量均一性は、サンプルが約6.0%未満、すなわち、約5.0%未満、または、約3.0%未満、または、約2.0%未満、または、約1.0%未満の全般的な相対標準偏差(RSD)を有するか否かを確認するために、一群(batch)中の無作為のサンプル10個の錠剤中の活性成分濃度を測定することによって、確認されてもよい。これにより、圧縮工程中に、錠剤穴開けパンチ機の表面に対して錠剤の材料の損失または付着がほとんどないことを示すはずである。
【0043】
本発明の被覆用組成物の性能を実証するための別の方法は、種々の時点で、酸性媒体中において放出される活性成分の量を確認することによる方法であり、すなわち、放出される活性成分の量が少ないほど、被覆用組成物の腸溶性の特質が高くなるのである。腸溶性被覆に関する適切な溶出法は、米国薬局方(USP)第29号中に開示されている。当該溶出法への使用に適した酸性媒体には、胃液および0.1規定の塩酸、並びに、動物またはヒトの胃腸管内に見出される酵素の状態を示す適切な酵素の添加を含む酸が含まれてもよい。分析中の種々の時点には、30分、60分、90分、120分、180分および240分が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
本発明の被覆用組成物の性能を実証するためのさらに別の方法は、上述のような被覆を有する粒子を圧縮する際に、錠剤の圧迫表面上から失われた材料の量を確認することによる方法であり、すなわち、失われた材料の量が少ないほど、被覆用組成物の腸溶性の特質が高くなるのである。この方法によれば、圧縮時に、所望重量の錠剤から喪失した材料の重量が測定されるが、圧縮時には、約30mg未満の材料減量分、例えば、約20mg未満または約10mg未満の材料減量分が失われる。この材料の潜在的な減量の結果として、本発明を用いて錠剤の重量変動を測定した場合の相対標準偏差(RSD)には、5.0%未満、例えば、3.0%未満、例えば、2.0%未満、例えば、1.0%未満の標準偏差が含まれる。
【0045】
活性成分は、本発明のチュアブル錠中に、薬学的に有効な量で存在しており、当該有効な量は、経口投与時に所望の治療効果を生じる量であり、この技術分野における当業者によって容易に決定できるものである。当該有効な量を決定する際には、投与される特定の活性成分、活性成分の生体利用特性、用法、患者の年令および体重、および他の因子が考慮される必要がある。
【0046】
別の実施の形態において、第2の活性成分は、錠剤のマトリックス内に存在してもよい。
【0047】
また、チュアブル錠には、マトリックス内の他の従来の成分が含有されてもよく、当該成分には、デキストロース、デキストロース一水和物、サッカロース、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリトリトール、乳糖およびこれらの混合物等の圧縮可能な水溶性炭水化物を含む充填剤;セルロース、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、澱粉、加工澱粉およびこれらの混合物、ならびに、特に、微結晶性セルロースを含む従来の乾燥結合剤;アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースおよびサッカリンを含む甘味剤;微結晶性セルロース、澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウム、架橋型ポリビニルピロリドン、架橋型カルボキシメチルセルロース等の崩壊剤;および、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルクおよびワックス等の滑剤が含まれる。また、チュアブル錠には、例えば、保存剤、香料、酸味料、抗酸化剤、流動促進剤、界面活性剤および着色剤を含む、薬学的に許容される助剤が組み入れられてもよい。
【0048】
本発明に従って作製された粒子は、被覆層が活性成分の溶出を阻止しないので、有利なことに、腸溶性、すなわち、緩衝された放出構造(buffered release profile)、例えば、緩衝されたアスピリンを有することを意図している即時放出の剤形に使用されてもよい。一つの実施の形態において、被覆された粒子は、当該粒子中に含有される特定の活性成分に関する米国薬局方(USP)の溶出関連仕様書の内容を満たしている。活性成分がアスピリンである場合の本発明の一つの実施の形態では、米国薬局方(USP)の溶出関連装置II(パドル式)を用いると、10%未満の活性成分が0.1規定の塩酸溶液中で120分以内に放出され、80%を超える活性成分がpH6.8のリン酸緩衝液中で90分で放出される。
【0049】
本発明の二つの被覆層を有する粒子は、腸溶性およびストレス抵抗性である粒子を必要とする融解型チュアブル錠の剤形への使用に特に適しており、すなわち、当該被覆は製造中または咀嚼中の圧縮力で変形または破裂しないのである。この明細書で使用される場合、「融解型の剤形」は、殆ど咀嚼することなく、口腔内で30秒以内に容易に溶出する剤形を意味する。有利なことに、高度に可塑化した内側の層は、十分なストレス抵抗性を有する粒子を提供する。外側の層中の可塑剤の含有量を減少させることによって、結果として得られる本発明の粒子は、高い引張強度と、当該粒子上の非粘着性を有することになることから、錠剤の圧縮中での粘着問題を防止できる。チュアブル錠がエンボス加工される場合の実施の形態において、当該チュアブル錠の表面には、少なくとも約0.2mmの深さおよび少なくとも約1.0mmの幅を有する文字および数字のマーク部分が含まれてもよい。
【0050】
一つの実施の形態において、被覆された活性成分は、デキストロース一水和物およびスクラロースから構成されたマトリックス中に混合されている。デキストロース一水和物は、直接圧縮可能な形態の錠剤中に存在している。換言すれば、デキストロース一水和物は、約100μm〜約500μm、すなわち、例えば約100μm〜約250μmまたは約150μm〜約200μmの平均粒径を有している。本発明によれば、このような粒径は、滑らかでクリーミーな口あたりに加えて、調合剤(formulation)に対して適切な流動性および圧縮可能性を付与する点で有利である。錠剤中に存在するデキストロース一水和物の含有量は、通常、錠剤の全重量を基準にして、約15%〜約90%、すなわち、約25%〜約85%または約30%〜約75%である。
【0051】
本発明の特定の実施の形態は、以下の実施例によって示されている。本発明は、当該実施例で述べられる特定の事項に限定されないが、むしろ、添付された特許請求の範囲に限定される。特に言及しない限り、以下の百分率および割合は重量基準である。
【0052】
〔実施例〕
実施例1:腸溶放出被覆用溶液の調製
大気条件(ambient conditions)下で、純水中に、プロピレングリコール、メタクリル酸とメタクリレートとの陰イオン性コポリマー(「ユードラジットL30D-55」(Eudradit L 30 D-55))、および、モノステアリン酸グリセリン(GMS)を分散させ、結果的な分散物に、25.8%の被覆用材料が含有されるようにして、第1の被覆用溶液(I)を調製した。最終的な被覆の乾燥重量を基準にした、被覆用材料の重量%は、以下の表Aに示されるとおりである。
【表1】

【0053】
別の容器中において、大気条件下で、純水中に、プロピレングリコール、メタクリル酸とメタクリレートとの陰イオン性コポリマー(「ユードラジットL30D-55」(Eudradit L 30 D-55))、および、モノステアリン酸グリセリン(GMS)を分散させ、結果的な分散物に、20.6%の被覆用材料が含有されるようにして、第2の被覆用溶液(II)を調製した。最終的な被覆の乾燥重量を基準にした、被覆用材料の重量%は、以下の表Bに示されるとおりである。
【表2】

【0054】
実施例2:被覆された活性成分顆粒の調製
被覆されたアスピリン顆粒の調製:2000gの結晶アスピリン(「ロージン3025、20メッシュ結晶」(Rhodine 3025, 20 mesh crystals ))に対して、実施例1に記述された第1の被覆用溶液(I)および第2の被覆用溶液(II)を、順次かつ個別に、約30℃〜約32℃の製造温度および2.6バールの噴霧空気圧の条件下で、ウルスター挿入部(Wurster insert)を備えた、グラット社製の型式GPCG-5/9(Glatt GPCG-5/9)の流動床ユニット内で、約20g/分の噴霧速度で被覆した。
【0055】
結果として得られた、被覆されたアスピリン顆粒には、当該顆粒および二つの腸溶性被覆層の総乾燥重量を基準にして、両腸溶性被覆層が約41%含有され、第2の腸溶性被覆層だけでは、約8.5%、含有されていた。第2の被覆層を塗布する前において、結果として得られた、被覆されたアスピリン顆粒には、第1の被覆層を被覆した顆粒の総乾燥重量を基準にして、第1の被覆層が約35.5%含有されていた。
【0056】
実施例3:評価用の錠剤の製造
以下の表Cに示された全材料(カプセル内包型アスピリンを除く)を、30メッシュの篩(screen)を手動で、通過させた。結果として得られた混合物およびカプセル内包型アスピリンを、内容量約3.8L(4クオート)のV型混合装置内に配し、かつ、5分間、混合した。
【表3】

【0057】
結果として得られた混合物を混合装置から取り出すと共に、周囲径12.7mm(1/2インチ)の、平坦な表面を有し、縁に向けて斜面となった錠剤用の器具を用いて、毎分60回転の速度で、錠剤用の回転式プレス機上で圧縮し、その後、リーバーマン文献に述べられた硬度試験によって測定される場合に、770mgの重量を有し、かつ、約1814.4〜約3175.1kg(約4〜約7kp)の硬度範囲を呈すると共に、約5.4mm〜約5.9mmの厚さを有する錠剤を得た。この方法に従って、少なくとも1500個の錠剤を調製したところ、錠剤穴開パンチ機の表面に対する材料の粘着性は、可視的に観察されなかった。
【0058】
実施例4:溶出データの分析
アスピリン溶出試験:実施例3で製造されたアスピリン錠を、37℃、120分間、1000mLの0.1規定塩酸溶液(酸性段階)を収容している米国薬局方(USP)のタイプIの装置(バスケットタイプ、毎分100回転)中に配置した。アスピリン錠を取り出した後に、結果として得られる溶液20mL中のアスピリン濃度を分析した(「酸性サンプル」)。
【0059】
37℃、更に90分間、1000mLのpH6.8のリン酸緩衝液(緩衝段階)を収容している他の米国薬局方(USP)のタイプIの装置(バスケットタイプ、毎分100回転)中に上記と同一のアスピリン錠を配置した。アスピリン錠を取り出した後に、結果として得られる20mLの溶液中のアスピリン濃度を分析した(「塩基性サンプル」)。
【0060】
酸性段階の時点での100%の能動的な放出と、緩衝段階の時点での100%の能動的な放出とをそれぞれ達成する理論濃度に調製した標準溶液と比較して、上記酸性サンプルおよび塩基性サンプルの双方中のアスピリンを定量分析した。波長277nmに設定した紫外線検出器を備えたウォーターズ社製の内径3mm×長さ150mmのマイクロボンダパックC18(C18 μ-Bondapak Waters)(登録商標)の高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い、注入量を10マイクロリットルとし、流速を1.0mL/分とし、0.1M(モル)のリン酸一アンモニウム(Ammonium Phosphate Monobasic)(pH2.90)のアセトニトリルに対する比率65:35を有する移動層を用いて、上述したサンプルを分析した。アスピリンのピーク時の保持容量は、約3.0mLであった。
【0061】
実施例3の手順に従って製造した6個の錠剤ごとに、上述のような手順を繰り返した。
【0062】
結果は、錠剤が酸性環境で、10%未満のアスピリン放出を呈し、かつ、pH6.8緩衝環境で、100%のアスピリン放出を呈することを示した。したがって、この実施例4は、本発明の被覆が、アスピリン粒子に対して有効な腸溶性の放出特性を付与することを示した。
【0063】
実施例5:ポリマー系フィルムの調製および当該ポリマー系フィルムのガラス転移温度(Tg)の分析
室温のビーカー中で、約0.5mLの脱イオン水と、プロピレングリコール(ダウ・ケミカル・コーポレイション(Dow Chemical Corporation)から市販されている)とを組み合わせることによって、以下の表Dに示された処方を有する五つのフィルムを、それぞれ調製した。当該組み合わせに、デグッサ・コーポレイション(Degussa Corporation)から市販された「ユードラジットL30D-55」(Eudragit L30D-55)ポリマーを混合しながら、添加した。その後に、五つの混合物を40℃のオーブン中に配置し、少なくとも12時間、乾燥した。乾燥して得られたフィルムのガラス転移温度(Tg)を、ティー・エイ・インストルメンツ・コーポレイション(TA Instruments Corporation)から市販された型式2920の示差走査熱量計を用いて、分析した。分析結果は、以下の表Dに示されている。
【表4】

【0064】
〔実施の態様〕
(1)腸溶性に被覆された粒子において、
a)活性成分を含有する粒子コアと、
b)前記粒子コアを実質的に覆い、かつ、表面を有する第1の層と、
c)前記第1の層の前記表面上に設けられた第2の層と、
を含み、
前記第1の層は、約40℃未満のガラス転移温度を有し、前記第2の層は、約56℃を超えるガラス転移温度を有する、粒子。
(2)実施態様(1)記載の粒子において、
前記第2の層は、前記第1の層を実質的に覆う、粒子。
(3)実施態様(1)記載の粒子において、
前記第1の層は、前記被覆された粒子の全重量を基準にして、約5%〜約50%の量で存在し、前記第2の層は、前記被覆された粒子の全重量を基準にして、約3%〜約20%の量で存在している、粒子。
(4)実施態様(1)記載の粒子において、
前記活性成分は、非ステロイド系抗炎症剤、アスピリン、アセトアミノフェン、偽エフェドリン、フェニルプロパノールアミン、クロルフェニラミン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、メクリジン、ファモチジン、ロペラミド、ラニチジン、シメチジン、アステミゾール、ロラタジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、セチリジン、制酸剤、モダフィニル、メチルフェニデート、オキシブチニン、および、これらの薬学的に許容される塩類、これらの代謝産物、および、これらの混合物からなる群より選択される、粒子。
(5)実施態様(1)記載の粒子において、
前記第1の層は、メタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマー;酢酸フタル酸セルロース;酢酸フタル酸ポリビニル;セラック;ヒプロメロースフタレート(hypromellose phthalate);または、これらの誘導体、コポリマー、もしくは、これらの混合物から構成されている、粒子。
(6)実施態様(5)記載の粒子において、
前記第1の層は、約800,000の平均分子量を有するメタクリル酸・メタクリル酸エステルコポリマーから構成されている、粒子。
(7)実施態様(1)記載の粒子において、
前記第1の層は、前記第1の層の総乾燥重量を基準にして、
a)約60%〜約80%のフィルム形成用材料であって、約70℃を超えるガラス転移温度を有する、フィルム形成用材料と、
b)約20%〜約40%の可塑剤と、
から構成されている、粒子。
(8)実施態様(1)記載の粒子において、
前記第1の層は、前記第1の層の総乾燥重量を基準にして、
a)約60%〜約80%のメタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマーであって、約70℃を超えるガラス転移温度を有する、メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマーと、
b)約20%〜約40%の可塑剤と、
から構成されている、粒子。
(9)実施態様(1)記載の粒子において、
前記第2の層は、前記第2の層の総乾燥重量を基準にして、
a)約80%〜約95%のフィルム形成用材料であって、約70℃を超えるガラス転移温度を有する、フィルム形成用材料と、
b)約5%〜約20%の可塑剤と、
から構成されている、粒子。
(10)実施態様(1)記載の粒子において、
前記第1の層は、前記第1の層の総乾燥重量を基準にして、
a)約60%〜約80%のフィルム形成用材料であって、メタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマー(methyacrylic acid-methyacrylic acid ester copolymer)、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル(polyvinylacetate phthalate)、セラック、ヒプロメロースフタレート、ならびに、これらの誘導体、コポリマー、および、これらの混合物からなる群より選択される、フィルム形成用材料と、
b)約20%〜約40%の可塑剤と、
から構成されている、粒子。
(11)実施態様(8)記載の粒子において、
前記可塑剤は、ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;グリセリン;クエン酸トリエチル;クエン酸トリブチル;セバシン酸ジブチル(dibutyl sebecate);植物油;界面活性剤;グリセリンのモノアセテート(mono acetate of glycerol);グリセリンのジアセテート;グリセリンのトリアセテート;トリアセチン;クエン酸アセチルトリブチル;コハク酸ジブチル;水素添加型ヒマシ油;脂肪酸類;置換型の(substituted)トリグリセリドおよびグリセリド;およびこれらの混合物からなる群より選択される、粒子。
(12)実施態様(9)記載の粒子において、
前記可塑剤は、ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;グリセリン;クエン酸トリエチル;クエン酸トリブチル;セバシン酸ジブチル;植物油;界面活性剤;グリセリンのモノアセテート;グリセリンのジアセテート;グリセリンのトリアセテート;トリアセチン;クエン酸アセチルトリブチル;コハク酸ジブチル;水素添加型ヒマシ油;脂肪酸類;置換型のトリグリセリドおよびグリセリド;およびこれらの混合物からなる群より選択される、粒子。
(13)実施態様(1)記載の粒子において、
前記第1の層は、少なくとも約70%の破断点伸び値を備える、粒子。
(14)実施態様(1)記載の粒子において、
前記第2の層は、アクリル酸エステルのコポリマーから構成されている、粒子。
(15)実施態様(1)記載の粒子において、
前記第2の層は、ポリメタクリル酸と、アクリル酸エステルおよびポリメタクリル酸エステルからなる群のうち少なくとも一つの部材との反応生成物を含むフィルム形成用材料から構成されている、粒子。
(16)実施態様(1)記載の粒子において、
前記第1の層は、前記第1の層の総乾燥重量を基準にして、少なくとも約50%の腸溶性ポリマーを含む、粒子。
(17)錠剤において、
実施態様(1)記載の粒子から構成された、錠剤。
【0065】
(18)チュアブル錠(chewable tablet)において、
実施態様(1)記載の粒子から構成された、チュアブル錠。
(19)実施態様(18)記載のチュアブル錠において、
前記活性成分は、非ステロイド系抗炎症剤、アスピリン、アセトアミノフェン、偽エフェドリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、クロルフェニラミン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、メクリジン、クロフェジアノール(chophedianol)、ファモチジン、ロペラミド、ラニチジン、シメチジン、アステミゾール、ロラタジン、モダフィニル、メチルフェニデート、オキシブチニン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、セチリジン、制酸剤、または、これらの薬学的に許容される塩類、これらの代謝産物、もしくは、これらの混合物である、チュアブル錠。
【0066】
(20)腸溶性に被覆された粒子から構成されたチュアブル錠において、
前記粒子は、
a)活性成分を含有する粒子コアと、
b)前記粒子コアを実質的に覆う第1の層であって、表面を有する、第1の層と、
c)前記第1の層の表面を実質的に覆う第2の層と、
を含み、
前記第1の層は、約40℃未満のガラス転移温度を有し、前記第2の層は、約56℃を超えるガラス転移温度を有し、前記第1の層は、メタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマー;酢酸フタル酸セルロース;酢酸フタル酸ポリビニル;セラック;ヒプロメロースフタレート;または、これらの誘導体、コポリマー、もしくは、これらの混合物から構成されている、チュアブル錠。
(21)実施態様(20)記載のチュアブル錠において、
前記第1の層は、約800,000の平均分子量を有するメタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマーから構成されている、チュアブル錠。
(22)実施態様(20)記載のチュアブル錠において、
前記第1の層は、前記第1の層の総乾燥重量を基準にして、
a)約60%〜約80%のフィルム形成用材料であって、約70℃を超えるガラス転移温度を有する、フィルム形成用材料と、
b)約20%〜約40%の可塑剤と、
から構成されている、チュアブル錠。
(23)実施態様(20)記載のチュアブル錠において、
前記第1の層は、前記第1の層の総乾燥重量を基準にして、
a)約60%〜約80%のメタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマーと、
b)約20%〜約40%の可塑剤と、
から構成されている、チュアブル錠。
(24)実施態様(20)記載のチュアブル錠において、
前記第1の層は、前記第1の層の総乾燥重量を基準にして、
a)約60%〜約80%のフィルム形成用材料であって、メタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、セラック、ヒプロメロースフタレート、ならびに、これらの誘導体、コポリマー、および、これらの混合物からなる群より選択される、フィルム形成用材料と、
b)約20%〜約40%の可塑剤と、
から構成されている、チュアブル錠。
(25)実施態様(22)記載のチュアブル錠において、
前記可塑剤は、ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;グリセリン;ソルビトール;クエン酸トリエチル;クエン酸トリブチル;セバシン酸ジブチル;植物油;界面活性剤;グリセリンのモノアセテート;グリセリンのジアセテート;グリセリンのトリアセテート;天然ゴム;トリアセチン;クエン酸アセチルトリブチル;シュウ酸ジエチル;リンゴ酸ジエチル;フマル酸ジエチル;マロン酸ジエチル;フタル酸ジオクチル;コハク酸ジブチル;グリセロールトリブチレート(glyceroltributyrate);水素添加型ヒマシ油;脂肪酸類;置換型のトリグリセリドおよびグリセリド;ならびにこれらの混合物からなる群より選択される、チュアブル錠。
(26)実施態様(23)記載のチュアブル錠において、
前記可塑剤は、ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;グリセリン;ソルビトール;クエン酸トリエチル;クエン酸トリブチル;セバシン酸ジブチル;植物油;界面活性剤;グリセリンのモノアセテート;グリセリンのジアセテート;グリセリンのトリアセテート;天然ゴム;トリアセチン;クエン酸アセチルトリブチル;シュウ酸ジエチル;リンゴ酸ジエチル;フマル酸ジエチル;マロン酸ジエチル;フタル酸ジオクチル;コハク酸ジブチル;グリセロールトリブチレート;水素添加型ヒマシ油;脂肪酸類;置換型のトリグリセリドおよびグリセリド;ならびにこれらの混合物からなる群より選択される、チュアブル錠。
(27)実施態様(20)記載のチュアブル錠において、
前記第1の層は、少なくとも約70%の破断点伸び値を備える、チュアブル錠。
(28)実施態様(20)記載のチュアブル錠において、
前記第2の層は、アクリル酸エステルのコポリマーから構成されている、チュアブル錠。
(29)実施態様(20)記載のチュアブル錠において、
前記第2の層は、ポリメタクリル酸と、アクリル酸エステルおよびポリメタクリル酸エステルからなる群のうち少なくとも一つの部材との反応生成物を含むフィルム形成用材料から構成されている、チュアブル錠。
(30)実施態様(20)記載のチュアブル錠において、
前記第1の層は、前記第1の層の総乾燥重量を基準にして、少なくとも約20%の腸溶性ポリマーを含む、チュアブル錠。
【0067】
(31)少なくとも一つの第1の粒子と少なくとも一つの第2の粒子とから構成されたチュアブル錠において、
前記第1の粒子は、
a)第1の活性成分を含有する第1の粒子コアと、
b)前記第1の粒子コアを実質的に覆う第1の層であって、表面を有する、第1の層と、
c)前記第1の層の前記表面上に設けられた第2の層であって、約56℃を超えるガラス転移温度を有する、第2の層と、
から構成されており、
前記第1の層は、約40℃未満のガラス転移温度を有し、かつ、メタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマー;酢酸フタル酸セルロース;酢酸フタル酸ポリビニル;セラック;ヒプロメロースフタレート;または、これらの誘導体、コポリマー、もしくは、これらの混合物から構成されており、
前記第2の粒子は、第2の活性成分を含有する第2の粒子コアを含む、チュアブル錠。
(32)実施態様(31)記載のチュアブル錠において、
前記第2の層は、アクリル酸エステルのコポリマーから構成されている、チュアブル錠。
(33)実施態様(31)記載のチュアブル錠において、
前記第2の層は、ポリメタクリル酸と、アクリル酸エステルおよびポリメタクリル酸エステルからなる群のうち少なくとも一つの部材との反応生成物を含むフィルム形成用材料から構成されている、チュアブル錠。
【0068】
(34)腸溶性に被覆された粒子から構成された融解型の剤形において、
前記粒子は、
a)活性成分を含有する粒子コアと、
b)前記粒子コアを実質的に覆う第1の層であって、表面を有する、第1の層と、
c)前記第1の層の前記表面を実質的に覆う第2の層と、
を含み、
前記第1の層は、約40℃未満のガラス転移温度を有し、前記第2の層は、約56℃を超えるガラス転移温度を有し、前記第1の層は、メタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマー;酢酸フタル酸セルロース;酢酸フタル酸ポリビニル;セラック;ヒプロメロースフタレート;または、これらの誘導体、コポリマー、もしくは、これらの混合物から構成されている、剤形。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腸溶性に被覆された粒子において、
a)活性成分を含有する粒子コアと、
b)前記粒子コアを実質的に覆い、かつ、表面を有する第1の層と、
c)前記第1の層の前記表面上に設けられた第2の層と、
を含み、
前記第1の層は、約40℃未満のガラス転移温度を有し、前記第2の層は、約56℃を超えるガラス転移温度を有する、粒子。
【請求項2】
請求項1記載の粒子において、
前記第2の層は、前記第1の層を実質的に覆う、粒子。
【請求項3】
請求項1記載の粒子において、
前記第1の層は、前記被覆された粒子の全重量を基準にして、約5%〜約50%の量で存在し、前記第2の層は、前記被覆された粒子の全重量を基準にして、約3%〜約20%の量で存在している、粒子。
【請求項4】
請求項1記載の粒子において、
前記活性成分は、非ステロイド系抗炎症剤、アスピリン、アセトアミノフェン、偽エフェドリン、フェニルプロパノールアミン、クロルフェニラミン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、メクリジン、ファモチジン、ロペラミド、ラニチジン、シメチジン、アステミゾール、ロラタジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、セチリジン、制酸剤、モダフィニル、メチルフェニデート、オキシブチニン、および、これらの薬学的に許容される塩類、これらの代謝産物、および、これらの混合物からなる群より選択される、粒子。
【請求項5】
請求項1記載の粒子において、
前記第1の層は、メタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマー;酢酸フタル酸セルロース;酢酸フタル酸ポリビニル;セラック;ヒプロメロースフタレート;または、これらの誘導体、コポリマー、もしくは、これらの混合物から構成されている、粒子。
【請求項6】
請求項5記載の粒子において、
前記第1の層は、約800,000の平均分子量を有するメタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマーから構成されている、粒子。
【請求項7】
請求項1記載の粒子において、
前記第1の層は、前記第1の層の総乾燥重量を基準にして、
a)約60%〜約80%のフィルム形成用材料であって、約70℃を超えるガラス転移温度を有する、フィルム形成用材料と、
b)約20%〜約40%の可塑剤と、
から構成されている、粒子。
【請求項8】
請求項1記載の粒子において、
前記第1の層は、前記第1の層の総乾燥重量を基準にして、
a)約60%〜約80%のメタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマーであって、約70℃を超えるガラス転移温度を有する、メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマーと、
b)約20%〜約40%の可塑剤と、
から構成されている、粒子。
【請求項9】
請求項1記載の粒子において、
前記第2の層は、前記第2の層の総乾燥重量を基準にして、
a)約80%〜約95%のフィルム形成用材料であって、約70℃を超えるガラス転移温度を有する、フィルム形成用材料と、
b)約5%〜約20%の可塑剤と、
から構成されている、粒子。
【請求項10】
請求項1記載の粒子において、
前記第1の層は、前記第1の層の総乾燥重量を基準にして、
a)約60%〜約80%のフィルム形成用材料であって、メタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、セラック、ヒプロメロースフタレート、ならびに、これらの誘導体、コポリマー、および、これらの混合物からなる群より選択される、フィルム形成用材料と、
b)約20%〜約40%の可塑剤と、
から構成されている、粒子。
【請求項11】
請求項8記載の粒子において、
前記可塑剤は、ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;グリセリン;クエン酸トリエチル;クエン酸トリブチル;セバシン酸ジブチル;植物油;界面活性剤;グリセリンのモノアセテート;グリセリンのジアセテート;グリセリンのトリアセテート;トリアセチン;クエン酸アセチルトリブチル;コハク酸ジブチル;水素添加型ヒマシ油;脂肪酸類;置換型のトリグリセリドおよびグリセリド;およびこれらの混合物からなる群より選択される、粒子。
【請求項12】
請求項9記載の粒子において、
前記可塑剤は、ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;グリセリン;クエン酸トリエチル;クエン酸トリブチル;セバシン酸ジブチル;植物油;界面活性剤;グリセリンのモノアセテート;グリセリンのジアセテート;グリセリンのトリアセテート;トリアセチン;クエン酸アセチルトリブチル;コハク酸ジブチル;水素添加型ヒマシ油;脂肪酸類;置換型のトリグリセリドおよびグリセリド;およびこれらの混合物からなる群より選択される、粒子。
【請求項13】
請求項1記載の粒子において、
前記第1の層は、少なくとも約70%の破断点伸び値を備える、粒子。
【請求項14】
請求項1記載の粒子において、
前記第2の層は、アクリル酸エステルのコポリマーから構成されている、粒子。
【請求項15】
請求項1記載の粒子において、
前記第2の層は、ポリメタクリル酸と、アクリル酸エステルおよびポリメタクリル酸エステルからなる群のうち少なくとも一つの部材との反応生成物を含むフィルム形成用材料から構成されている、粒子。
【請求項16】
請求項1記載の粒子において、
前記第1の層は、前記第1の層の総乾燥重量を基準にして、少なくとも約50%の腸溶性ポリマーを含む、粒子。
【請求項17】
錠剤において、
請求項1記載の粒子から構成された、錠剤。
【請求項18】
チュアブル錠において、
請求項1記載の粒子から構成された、チュアブル錠。
【請求項19】
請求項18記載のチュアブル錠において、
前記活性成分は、非ステロイド系抗炎症剤、アスピリン、アセトアミノフェン、偽エフェドリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、クロルフェニラミン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、メクリジン、クロフェジアノール、ファモチジン、ロペラミド、ラニチジン、シメチジン、アステミゾール、ロラタジン、モダフィニル、メチルフェニデート、オキシブチニン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、セチリジン、制酸剤、または、これらの薬学的に許容される塩類、これらの代謝産物、もしくは、これらの混合物である、チュアブル錠。
【請求項20】
腸溶性に被覆された粒子から構成されたチュアブル錠において、
前記粒子は、
a)活性成分を含有する粒子コアと、
b)前記粒子コアを実質的に覆う第1の層であって、表面を有する、第1の層と、
c)前記第1の層の表面を実質的に覆う第2の層と、
を含み、
前記第1の層は、約40℃未満のガラス転移温度を有し、前記第2の層は、約56℃を超えるガラス転移温度を有し、前記第1の層は、メタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマー;酢酸フタル酸セルロース;酢酸フタル酸ポリビニル;セラック;ヒプロメロースフタレート;または、これらの誘導体、コポリマー、もしくは、これらの混合物から構成されている、チュアブル錠。
【請求項21】
請求項20記載のチュアブル錠において、
前記第1の層は、約800,000の平均分子量を有するメタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマーから構成されている、チュアブル錠。
【請求項22】
請求項20記載のチュアブル錠において、
前記第1の層は、前記第1の層の総乾燥重量を基準にして、
a)約60%〜約80%のフィルム形成用材料であって、約70℃を超えるガラス転移温度を有する、フィルム形成用材料と、
b)約20%〜約40%の可塑剤と、
から構成されている、チュアブル錠。
【請求項23】
請求項20記載のチュアブル錠において、
前記第1の層は、前記第1の層の総乾燥重量を基準にして、
a)約60%〜約80%のメタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマーと、
b)約20%〜約40%の可塑剤と、
から構成されている、チュアブル錠。
【請求項24】
請求項20記載のチュアブル錠において、
前記第1の層は、前記第1の層の総乾燥重量を基準にして、
a)約60%〜約80%のフィルム形成用材料であって、メタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、セラック、ヒプロメロースフタレート、ならびに、これらの誘導体、コポリマー、および、これらの混合物からなる群より選択される、フィルム形成用材料と、
b)約20%〜約40%の可塑剤と、
から構成されている、チュアブル錠。
【請求項25】
請求項22記載のチュアブル錠において、
前記可塑剤は、ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;グリセリン;ソルビトール;クエン酸トリエチル;クエン酸トリブチル;セバシン酸ジブチル;植物油;界面活性剤;グリセリンのモノアセテート;グリセリンのジアセテート;グリセリンのトリアセテート;天然ゴム;トリアセチン;クエン酸アセチルトリブチル;シュウ酸ジエチル;リンゴ酸ジエチル;フマル酸ジエチル;マロン酸ジエチル;フタル酸ジオクチル;コハク酸ジブチル;グリセロールトリブチレート;水素添加型ヒマシ油;脂肪酸類;置換型のトリグリセリドおよびグリセリド;ならびにこれらの混合物からなる群より選択される、チュアブル錠。
【請求項26】
請求項23記載のチュアブル錠において、
前記可塑剤は、ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;グリセリン;ソルビトール;クエン酸トリエチル;クエン酸トリブチル;セバシン酸ジブチル;植物油;界面活性剤;グリセリンのモノアセテート;グリセリンのジアセテート;グリセリンのトリアセテート;天然ゴム;トリアセチン;クエン酸アセチルトリブチル;シュウ酸ジエチル;リンゴ酸ジエチル;フマル酸ジエチル;マロン酸ジエチル;フタル酸ジオクチル;コハク酸ジブチル;グリセロールトリブチレート;水素添加型ヒマシ油;脂肪酸類;置換型のトリグリセリドおよびグリセリド;ならびにこれらの混合物からなる群より選択される、チュアブル錠。
【請求項27】
請求項20記載のチュアブル錠において、
前記第1の層は、少なくとも約70%の破断点伸び値を備える、チュアブル錠。
【請求項28】
請求項20記載のチュアブル錠において、
前記第2の層は、アクリル酸エステルのコポリマーから構成されている、チュアブル錠。
【請求項29】
請求項20記載のチュアブル錠において、
前記第2の層は、ポリメタクリル酸と、アクリル酸エステルおよびポリメタクリル酸エステルからなる群のうち少なくとも一つの部材との反応生成物を含むフィルム形成用材料から構成されている、チュアブル錠。
【請求項30】
請求項20記載のチュアブル錠において、
前記第1の層は、前記第1の層の総乾燥重量を基準にして、少なくとも約20%の腸溶性ポリマーを含む、チュアブル錠。
【請求項31】
少なくとも一つの第1の粒子と少なくとも一つの第2の粒子とから構成されたチュアブル錠において、
前記第1の粒子は、
a)第1の活性成分を含有する第1の粒子コアと、
b)前記第1の粒子コアを実質的に覆う第1の層であって、表面を有する、第1の層と、
c)前記第1の層の前記表面上に設けられた第2の層であって、約56℃を超えるガラス転移温度を有する、第2の被覆層と、
から構成されており、
前記第1の層は、約40℃未満のガラス転移温度を有し、かつ、メタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマー;酢酸フタル酸セルロース;酢酸フタル酸ポリビニル;セラック;ヒプロメロースフタレート;または、これらの誘導体、コポリマー、もしくは、これらの混合物から構成されており、
前記第2の粒子は、第2の活性成分を含有する第2の粒子コアを含む、チュアブル錠。
【請求項32】
請求項31記載のチュアブル錠において、
前記第2の層は、アクリル酸エステルのコポリマーから構成されている、チュアブル錠。
【請求項33】
請求項31記載のチュアブル錠において、
前記第2の層は、ポリメタクリル酸と、アクリル酸エステルおよびポリメタクリル酸エステルからなる群のうち少なくとも一つの部材との反応生成物を含むフィルム形成用材料から構成されている、チュアブル錠。
【請求項34】
腸溶性に被覆された粒子から構成された融解型の剤形において、
前記粒子は、
a)活性成分を含有する粒子コアと、
b)前記粒子コアを実質的に覆う第1の層であって、表面を有する、第1の層と、
c)前記第1の層の前記表面を実質的に覆う第2の層と、
を含み、
前記第1の層は、約40℃未満のガラス転移温度を有し、前記第2の層は、約56℃を超えるガラス転移温度を有し、前記第1の層は、メタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマー;酢酸フタル酸セルロース;酢酸フタル酸ポリビニル;セラック;ヒプロメロースフタレート;または、これらの誘導体、コポリマー、もしくは、これらの混合物から構成されている、剤形。

【公表番号】特表2009−541337(P2009−541337A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516651(P2009−516651)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/071431
【国際公開番号】WO2007/149801
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(506105814)マクニール−ピーピーシー・インコーポレーテツド (69)
【Fターム(参考)】