説明

活性成分移送のための新規ガレン製剤系、その製造方法および用途

本発明は、長期安定性を有する新規ガレン製剤系に関する。この系は、経口吸収により胃を通過している間、活性成分、特に薬物が分解しないように保護することができる。特に、本発明は、厳密に疎水性固体脂質粒子の形態をなし、いかなる水、界面活性剤、乳化剤、微量の溶媒をも含有しないガレン製剤系であって、少なくとも1種の活性成分と、少なくとも1種の疎水性ワックスと、埋め込まれた前記活性成分を中和する少なくとも1種の薬剤とを含んでなるガレン製剤系に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、長期安定性を有する新規ガレン製剤系に関する。この系は、活性成分、特に薬物が経口吸収により胃を通過している間に分解されるのを防ぐことができる。
【0002】
本発明によるガレン製剤系を用いると、そのガレン製剤系に含有されているであろう活性成分の味を遮断し、該活性成分を安定化させ、該活性成分の放出特性を調節し、粘膜の被刺激性効果および活性成分の毒性を遮断することが更に可能となる。
【0003】
最も単純かつ最も実用的な治療的投与経路は、依然として経口経路である。フランスでは、薬物摂取の75%を占める(Pharmacie galenique, A. Le Hir-Editions Masson.)。経口経路用の剤形は、本質的には、液体形態および乾燥形態という2つの形態をなす。それらには、摂取の際にいかなる医療行為も必要としないという大きな利点がある。
【0004】
胃のpHは2〜6である。胃媒体が酸性であることにより、摂取した組成物に含有される活性成分は、組成物が腸(理論的には、組成物はここで腸粘膜を通して吸収され、血流に入る)に到達する前に分解されることがある。このような胃通過の悪影響は、望ましい効果を得るために最も効果的な形態で生物が前記活性成分を吸収するという所望の目的に沿わないことがある。それが医薬組成物に関するものであるので、この欠点はなおさら重大である。
【0005】
故に、経口経路により摂取される活性成分には、その活性成分が胃を通過しても分解されないことを保証できるキャリアが必要である。これは、本発明の目的の1つである。
【0006】
経口経路用の剤形、特に薬物の剤形に関する他の課題も周知である。これら剤形について頻発する課題はコンプライアンスである。
【0007】
コンプライアンスは、治療の有効性に直接影響を及ぼす主要な要因である。また、薬物の有効活用について言うと、コンプライアンスは、処方箋の表示に従って薬物治療を行う、すなわち、治療期間、摂取回数および計画を遵守するという行為として定義付けられる。不十分な投薬量または不十分な頻度で摂取すると、薬物は不活性であるか、またはそれ程効力を発しないという危険性がある。一過性疾患の場合、治療法のコンプライアンスが乏しいと、回復時期を遅らせ、再発を引き起こし、時に重篤な合併症の原因となる。慢性疾患の場合、コンプライアンスが乏しいと、回復不可能な弊害の原因となることがある。
【0008】
経口投与の際に直面する主要な困難は、具体的な形態により様々である。
【0009】
乾燥形態、錠剤、ゼラチンカプセル、カプセルの場合、欠点は嚥下と味である。高齢者、子供、精神的疾患を抱えた一部の人々などの一部の集団には、液体形態を適用すべきである。
【0010】
液体形態の場合、これを摂取するのは非常に容易であるが、この形態は、味の遮断および多くの活性成分の水相中での不安定性という未解決の課題に常に直面している。
【0011】
効果的に味を遮断するガレン製剤系を提案することも本発明の目的の1つである。
【0012】
最後に、形態にかかわらず、幾つかの活性成分、特に抗炎症剤などの薬物の摂取に際して直面する、被刺激性、粘膜毒性および胃毒性の問題も存在する。
【0013】
活性成分の放出を遅延させ、特に、活性成分が摂取中に胃の中で放出されないようにするガレン製剤系を提案することも本発明の目的の1つである。この特性は、酸性媒体中で安定である、すなわち酸性pHに対して抵抗性であるガレン製剤系を得ることを必要とする。
【0014】
文献PCT/US99/27981(第2ページ、4行目)に記載されるように、味の悪さを最小限に抑えるために使用される方法は様々である:甘味料の添加、風味料の添加、発泡製剤およびコーティング技術。味の遮断を試みているのはコーティング技術のみであり、その一方で、他の手法は調製物の親和力の向上を試みている。これらのコーティング技術はまた、胃の中での胃毒性活性成分の放出を防止するためのものでもある。
【0015】
コーティング技術は、ポリマーまたは混合物の隔離化合物層を活性成分の周囲に配置し、活性成分を外部媒体から隔離することからなる。多くの天然または合成のポリマー化合物がこの外側層を形成するために用いられている。主に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどのセルロース誘導体またはこれらの混合物が挙げられる。この技術は、放出速度の調節および胃保護について興味深い結果を示したが、当業者は、味の遮断が不十分であり、シロップや懸濁液などの水性形態の調製物と不相溶性である水中処方物については、長期にわたると以前として不安定であることを認識している。
【0016】
文献FR2795962およびWO98/47493に記載されるように、ポリアクリレートの誘導体、アンモニオメタクリレートポリマー、またはROHM Companyが提案するメタクリレートなどの他のポリマーも使用されてきた。特許文献WO02/092106に記載されるように、デンプン、特にポリカルボフィルおよびCarbopolを用いて多くの試験がなされてきた。
【0017】
これらのコーティング技術は当技術分野において周知である。一方では、特許文献WO00/30617およびWO02/092106に記載されるような、タービンまたは流動床においてコーティング溶液を噴霧することに基づく物理的コーティング法が挙げられ、他方では、米国特許第3,341,416号明細書に記載されるような、コアセルベーションまたは相分離に基づく物理化学的コーティングが挙げられる。これらの技術では全て、Prographarm companyの文献EP1194125に記載されるような、純粋な活性成分または活性成分顆粒の形態をなす混合物からなる中央粒子を被覆する1種以上の外側ポリマー層が他のキャリア材料と共に配置される。
【0018】
本発明者らは、元の分子の吸収特性を保持しつつ、味を遮断することは不可能であったと考えている。
【0019】
消化管のレベルでの即時放出は、口腔または胃の7より大きいpHに対して非常に感受性であるpH依存性ポリマーの使用によって調節され、これは最終処方物に酸を添加することを暗示している。
【0020】
これらのコーティング技術は、以下の幾つかの欠点を有する。
−胃保護が完全ではない。
−味の遮断が完全ではなく、苦味の強い化合物の場合、味はやはり非常に不快である。
−放出動態が変化する。
−コーティング粒子は、数百ミクロンのサイズであり、吸収により認知できる。この場合、それらの破損が味の悪さを招くことがある。
−コーティング法は複雑であり、多くの工程を含み、かつ費用が高い。
【0021】
これらの技術は、長期間安定なシロップの調製物とは適合しない。
【0022】
故に、これらの技術は、完全には満足できるものではない。
【発明の開示】
【0023】
全く驚くべき意外な方法で、本発明者らは、特許文献WO99/65448に記載の方法に従って調製され、かつ活性成分を含有する固体脂質粒子の組成物に配合される当該活性成分を中和する薬剤を添加することにより、胃の中で安定であると共に、消化管でのみ放出され、それにより胃保護を付与する疎水性粒子を得ることができることを見出した。
【0024】
更に、これらの組成物によれば、活性成分の放出特性を変えることなく、味を完全に遮断することが可能となる。
【0025】
故に、本発明は、
−胃保護、
−味の遮断、
−特に酸性媒体中での、活性成分の保護、
−放出特性を調節する可能性、
−粘膜被刺激性効果および幾つかの活性成分の毒性の遮断、
−味が遮断され、安定であり、かつpHに依存しない水性形態の調製物
を提供する新規ガレン製剤系を提案する。
【0026】
本発明によるガレン製剤系は、水に不溶性の疎水性化合物の混合物によって形成され、室温では固体状であり、かつ、含有され得る活性成分の加水分解または酸化反応のもととなり得る界面活性化合物、溶媒残渣および水を全く含まないことを特徴とする。このガレン製剤系は、親水性、疎水性または無機性を有する化合物を包含する能力を有する。
【0027】
故に、本発明の目的は、厳密に疎水性固体脂質粒子の形態をなし、厳密にいかなる水、界面活性剤、乳化剤または微量の溶媒をも含有しないガレン製剤系であって、少なくとも1種の活性成分と、少なくとも1種の疎水性ワックスと、配合された前記活性成分を中和する少なくとも1種の薬剤とを含んでなるガレン製剤系である。
【0028】
以下、本明細書において、「ガレン製剤系」、「脂質粒子」、更には「液滴」または「脂質液滴」という表現は同じ意味を有するものと理解される。
【0029】
本発明によれば、中和剤はアルカリ性化剤または酸性化剤であり得る。
【0030】
本発明の第一の実施態様によれば、中和剤は、炭酸、リン酸およびその誘導体、カルボン酸、たとえばクエン酸、乳酸、グリコール酸、酒石酸、安息香酸、プロピオン酸およびその誘導体、ベンジル酸、アスパラギン酸またはそれらの塩類、酸性アミノ酸類およびそれらの誘導体、脂肪酸、より一般的には医薬処方物で使用される酸化合物、たとえば米国薬局方の医薬成分表からの「酸性化剤」および「緩衝剤」のカテゴリーに記載される化合物、ならびに食品医薬品局が編集したGRAS表に記載されるものなどから選択され得る酸性化剤とされる。
【0031】
好ましくは、酸性化剤はクエン酸または酒石酸である。
【0032】
この第一の実施態様において、酸性化剤の量は、0.1質量%〜20質量%、好ましくは0.5質量%〜5質量%とすることができる。
【0033】
本発明の第二の実施態様によれば、中和剤は、アルカリ性化剤またはプロトンを捕捉できる薬剤とされ、たとえば弱酸または有機酸の医薬的に許容される塩類、特に米国薬局方の医薬成分表からの「アルカリ性化剤」および「緩衝剤」のカテゴリーに記載されるもの、ならびに食品医薬品局が編集したGRAS表に記載されるものとされる。
【0034】
アルカリ性化剤は、ナトリウム塩、カリウム塩またはマグネシウム塩、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、ならびにアルミニウム塩類、特にリン酸のアルミニウム塩、塩基性アミノ酸類、またはそれらの混合物から選択することができる。好ましくは、アルカリ性化剤は重炭酸ナトリウムとされる。
【0035】
本発明のこの特定の実施態様によれば、アルカリ性化剤の量は、0.1質量%〜30質量%、好ましくは1質量%〜10質量%とすることができる。
【0036】
本発明の特定の実施態様によれば、ガレン製剤系は更に、タルクを含まない。
【0037】
本発明の更に別の特定の実施態様によれば、脂質粒子は、45℃、好ましくは37.5℃までの温度で固体である。
【0038】
本発明の別の特定の実施態様によれば、脂質粒子は球状である。
【0039】
本発明による疎水性ワックスにより、ガレン製剤系は、植物、動物または無機ワックスのうちの1種以上のワックス、または1種以上のワックスと、少なくとも1種の非両親媒性油との混合物からなってもよい。
【0040】
ガレン製剤系は、融点、および硬度などの物理化学特性が調節されていてもよい少なくとも1種の疎水性化合物を更に含むことができる。疎水性化合物の例としては、蜜ロウまたはパーム油が挙げられる。
【0041】
経口経路またはその他の投与方法による吸収と、毒性、生体適合性、非免疫原性および生分解性の点で適合できる好適な組成物が選択されるべきである。この場合、これらの成分は、形成された粒子が活性成分を含有し、その味を遮断し、かつ安定化させるという特性を保持するように、経口投与のために既に使用されている成分、たとえば食品医薬品局によるGRAS表に定義されるものから選択される。
【0042】
故に、本発明によれば、ワックスは、本発明の要件に適合するものとして知られている既知のワックスから選択することができる。特に、ワックスは、
−トリグリセリドおよび誘導体、
−パーム油、
−カルナウバロウ、
−キャンデリラロウ、
−アルファロウ、
−カカオ脂、
−オゾケライト、
−植物ワックス、たとえばオリーブ樹ワックス、ライスワックス、硬化ホホバロウまたは花の無水ロウ、
−蜜ロウまたは改質蜜ロウ
から選択することができる。
【0043】
本発明の特定の実施態様によれば、ワックスは、ワックス混合物であってもよい。
【0044】
本発明によれば、15℃〜70℃、好ましくは30℃〜45℃の融点を有するワックスまたはワックス混合物を使用することができる。
【0045】
本発明によれば、ワックスの量は、0.5%〜99%、好ましくは1%〜50%とすることができる。
【0046】
本発明によるガレン製剤系は、油性、ペースト状または固形の添加物、脂溶性または水溶性の活性成分を更に含有してもよい。
【0047】
他の化合物、たとえば高分子量脂肪アルコール、好ましくは12〜30の偶数の炭素原子を有する直鎖および飽和脂肪酸、高分子量の酸とアルコールとのエステル、とりわけ、4〜20の偶数の炭素原子を有する直鎖および飽和脂肪酸と、14〜32の偶数の炭素原子を有する直鎖および飽和アルコールとのエステルを使用することができる。いずれの場合にせよ、得られた混合物は、15℃〜70℃の最終融点、界面活性化合物の不在、疎水性挙動および水による非湿潤性を特徴とするべきである。上述のワックスに加えて、本発明による組成物は、
−5〜9,000センチストークスの粘度を有する疎水性シリコーン油、シクロメチコン、
−親油性の有機フッ素化油、
−ペルヒドロスクアレン
から選択される油または混合物を含有してもよい。
【0048】
オレイン酸アルコール、ラノリン、ヒマワリ油、パーム油、オリーブオイル、脂肪酸および脂肪アルコールなどの他の油性化合物を使用してもよいが、得られた油性混合物は、疎水性挙動、水との混和性欠如、および15℃〜70℃、好ましくは30℃〜45℃の融点を特徴とするべきである。
【0049】
粘性を調節するために、粘土またはそれらの油性分散液、フェニル化シリコーンゴム、デンプン、脂肪構造化剤を組成物中に導入することも可能である。
【0050】
密度および可塑性が調節されていてもよい無機充填剤などの幾つかの化合物が、ガレン製剤系の疎水性マトリクスに添加されてもよい。無機化合物から、タルク、カオリンを選択することが有利である。
【0051】
本発明による脂質粒子のサイズは0.5ミクロン〜1,500ミクロン、好ましくは10ミクロン〜250ミクロンであってもよい。
【0052】
本発明による脂質粒子は、それらが含有し得る、特に水性酸処方物において酸性pHで非常に高い安定性を有する活性成分の放出を遅延させることにより、脂質粒子が胃媒体などの酸性pHを有する媒体と接触した際に、その活性成分を保護し、かつその味を完全に遮断するという利点を有する。
【0053】
本明細書において、「活性な」という用語は、化粧品、医薬品、バイオテクノロジーにおいて、獣医学分野において、または食品において使用され得るあらゆる物質を指すのに使用される。特に、本発明によれば、活性成分は、疾患を診断、治癒、軽減、治療または予防するためにヒトまたは他の動物に有利に投与され得る活性な治療物質であってもよい。
【0054】
本発明によれば、活性成分は、親水性、疎水性または無機性を有するいかなる化合物であってもよい。
【0055】
本発明によれば、活性成分は、ガレン製剤系に溶解されていても、分散されていてもよい。
【0056】
勿論、本発明によれば、活性成分は、活性成分の混合物であってもよい。
【0057】
活性成分は、精油、香味料、顔料、充填剤、染料、酵素および補酵素、ならびに他の活性物質から選択することができる。
【0058】
本発明によるガレン製剤系に配合されてもよい活性成分としては、ビタミンまたはプロビタミンA、B、C、D、E、PPおよびそれらのエステル、カロテノイド、抗ラジカル物質、ヒドロキシ酸、防腐剤、色素沈着または炎症に作用する分子、生物学的抽出物が挙げられる。
【0059】
活性成分はまた、保存料、抗酸化剤、染料および顔料、細胞および細胞小器官、または特に皮膚または粘膜の病変などの病変の治療を目的とした医薬成分から選択されてもよい。
【0060】
本発明によるガレン製剤系に配合されてもよい治療活性成分の例としては、抗生物質、デキストロメソルファンおよびその誘導体またはコデインなどの鎮咳薬、ケトコナゾールのようなアゾール化合物などの抗真菌剤、アンフォテリシンBおよびベンズイミダゾール誘導体などの抗寄生虫剤、プログアニル、クロロキンなどの抗マラリア剤、吸着剤、ホルモンおよび誘導体、ニコチン、抗ヒスタミン剤、コルチコイド、アリールカルボン酸化合物、イブプロフェンおよびケトプロフェンなどのステロイドおよび非ステロイド抗炎症剤、抗アレルギー剤、パラセタモールおよびサリチル酸塩化合物などの鎮痛剤、ノルアミドピリジンおよびその誘導体、局所麻酔薬、鎮痛剤、抗ウイルス剤、抗体、シクロスポリンおよびタクロリムスなどの免疫系に作用する分子、アルキル化剤、ニトロソウレア、有機白金化合物、タキソイドおよびそれらの誘導体、ビンカアルカロイドなどの細胞増殖抑制剤および抗癌剤、スタチンおよびフィブラートなどの脂質低減剤、血管拡張剤、血管収縮剤、ホスホジエステラーゼおよびアンギオテンシン変換酵素の阻害剤、ニトロ化および抗狭心症性誘導体、ジルチアゼムなどの抗不整脈薬、β−アドレナリン遮断薬、カルシウム阻害剤、抗利尿薬および利尿薬、気管支拡張薬、アヘン剤および誘導体、バルビツール剤、ベンゾジアゼピン、中枢神経系に作用する分子、核酸、インスリンおよびカルシトニンなどのペプチド、アントラセン化合物、パラフィン油、ポリエチレングリコール、無機塩類、鎮痙薬、胃酸分泌抑制剤、特にオメプラゾール、ランソプラゾール、エソメプラゾールおよびそれらの誘導体を含むベンズイミダゾールのクラス、胃壁保護薬、粘土およびポリビニルピロリドン、デンプンが挙げられる。この包括的な列挙は、制限的なものではない。
【0061】
本発明によれば、脂質粒子は、活性成分を包含した後、15℃〜70℃、好ましくは30℃〜45℃の融点を有する。
【0062】
粒子への活性成分の最大充填量は、前記粒子の重量を基準として、0.02%〜75%、特に5%〜50%の範囲であり得る。
【0063】
本発明の更に別の実施態様によれば、本発明によるガレン製剤系に非中和脂肪酸を導入することができる。この非中和脂肪酸は、本発明の要件に適合するいずれの非中和脂肪酸であってもよい。非中和脂肪酸は、4〜18個の炭素原子を有する直鎖脂肪酸、たとえばミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸またはオレイン酸から選択されてもよい。
【0064】
本発明の特定の実施態様によれば、非中和脂肪酸は、非中和脂肪酸の混合物からなってもよい。
【0065】
本発明によれば、非中和脂肪酸は、0.5質量%〜75質量%、好ましくは1質量%〜30質量%の脂肪酸レベルで使用されてもよい。
【0066】
当業者は、これらの活性成分をガレン製剤系に配合する際、粒子が、使用温度では固体であり、好ましくは0.5ミクロン〜1,500ミクロン、好ましくは0.5ミクロン〜100ミクロンのサイズを有し、かつ、pHが高くても水性処方物中で非常に高い安定性を有しつつも、放出特性を変えることなく完全に味を遮断することができるように、好適な脂質組成物が選択されるべきであることを認識している。更に、活性成分を更に含む前記ガレン製剤系を製造するための方法が適用できることが必要である。
【0067】
本発明によれば、活性成分を更に含むガレン製剤系は、特許文献WO99/65448に記載される方法に従って製造することができる。
【0068】
本方法のこの実施態様によれば、適度な加熱による混合によって粒子が得られる。より詳細には、第1工程において、前記ワックス、および使用する場合には前記非中和脂肪酸を、最も融点が高い化合物の融点よりも2℃または3℃高い温度で攪拌して、混合する。第2工程において、激しい攪拌を維持しながら、前記中和剤および前記活性成分を添加する。第3工程において、前記第1工程で得られた混合物と不混和性であり、該混合物と予め同じ温度にされており、かつ、0.1g/l〜30g/l、好ましくは0.2g/l〜20g/lのゲル化剤濃度を有するゲル中に、前記第1工程で得られた混合物を分散することによって、前記活性成分を含む脂質液滴を形成する。第4工程において、注入が完了した直後に、前記混合物の凝固温度下で前記液滴を速やかに冷却し、次いで、エタノールを含有していてもよい水で洗浄する。第5工程において、洗浄された粒子をふるいわけによって回収し、次いで乾燥させる。
【0069】
ホットメルティング技術と比較して、本発明による方法は、組成物中にいかなる乳化剤も両親媒性生成物も含まないので、冷却による凝固段階において安定した分散が得られる。
【0070】
本発明による方法の特定の実施態様によれば、脂質粒子の表面から活性成分を完全に除去することが必要である場合、この実施態様は、エタノールを含む洗浄混合物を用いて、得られた粒子を洗浄する工程を含む。この場合、洗浄混合物に存在するエタノールは、脂質粒子の表面に存在し得ると共に、不快な味を発生させることもある、存在し得る活性成分を完全に洗い流すことができるので、本方法にとって必須である。従って、本発明による方法のこの特定の実施態様によれば、ガレン製剤系の異なる成分(ワックスおよび非中和脂肪酸を含まない)と、活性成分との混合が、本方法の第1工程において達成される。この混合は、最も高い融点を有する化合物の融点よりも2℃または3℃高い高温条件下で達成される。当業者は、全ての成分を分散するのに適する攪拌方法を適用する必要があることを認識している。
【0071】
次に、第2工程では、非界面活性のゲル化流動化剤を用いて製造したゲル中に、第1工程で得られた混合物を分散させることにより、活性成分を含む脂質液滴を形成する。前記混合物はゲルとは混和できず、ゲルは予め同じ温度にされており、ゲル化剤濃度は0.1g/l〜30g/l、好ましくは0.2g/l〜20g/l、すなわち分散液を凝固させるのに十分な高濃度である。
【0072】
たとえば、リアクタの基部に位置する入口を通して、ゲル内部に組成物を注入するのが好ましいこともある。注入している間中維持すべき攪拌は、組成物を分散させるためのアンカーを備えたベーンと、所望のサイズを有する分散液滴を形成するための3枚羽根プロペラを備えた第2ベーンとを有するという特徴を有する。この最後の工程は、組成物の注入中に液滴が徐々に得られるので、きわめて高速である。液滴がゲル中で凝固するので、注入終了後に攪拌を維持する必要はない。
【0073】
本方法の第3工程において、注入が完了した直後に、混合物の凝固温度下で液滴を速やかに冷却し、次いで洗浄する。
【0074】
洗浄段階により、不快な味を発生し得る残留物が粒子の表面に存在しなくなるので、洗浄段階は非常に重要である。
【0075】
故に、本発明による方法の実施態様はいずれも、水およびエタノール(エタノールの割合が0%〜25%)からなる洗浄混合物を使用することにより、粒子の洗浄を達成してもよい。
【0076】
最後に、第4工程において、洗浄された粒子をふるいわけによって回収し、次いで乾燥させる。得られた粒子は、サイズ均一性が大きく、特別な注意を払わなくても工業的に取り扱うことができる。
【0077】
当業者は、音波処理または静的ミキサーのような他の分散方法を使用してもよいことを認識している。
【0078】
故に、本発明による方法は高速であると共に、長時間にわたる繊細な攪拌工程を必要としない。この方法によれば、活性成分は、組成物の様々な成分を混合する第1工程の直後に、ガレン製剤系に配合されてもよい。
【0079】
本方法に従って分散媒として使用されるゲルを形成するのに適する非界面活性のゲル化流動化剤としては、カルボキシビニルポリマー、たとえば疎水性基または界面活性基によって修飾されていないポリアクリル系ポリマー、カラゲーナン、多糖増粘剤および多糖ゲル化剤、たとえばキサンタンガム、グアーガムおよびカロブガム、アルギン酸塩、セルロース誘導体、ペクチン、寒天、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0080】
活性成分を含む脂質粒子は、あらゆる組成物、特にあらゆる化粧品、医薬品、獣医学的または食品組成物に配合されてもよい。
【0081】
故に、本発明の目的はまた、活性成分を含有する少なくとも1種の脂質粒子を含む組成物である。
【0082】
本発明による組成物は更に、その態様またはレオロジーを改変することを目的とするいかなる添加物を含んでもよい。
【0083】
たとえば、粒子の流動性を向上させる潤滑剤、たとえばタルク、デンプン、シリカ粉末、帯電防止剤を、粒子の乾燥粉末に添加してもよい。
【0084】
勿論、本発明による組成物は、十分なガレン処方物の形態であってもよい。
【0085】
有利な実施態様において、本発明による粒子は、水性懸濁液、シロップおよびサッシェ内に適用される。
【0086】
最後に、粒子はまた、標準のガレン処方物、たとえばカプセル、ゼラチンカプセル、顆粒、経口用粉末、分散性粉末、錠剤、水分散性および口腔分散性錠剤内に適用されてもよい。
【0087】
本発明の別の態様によれば、組成物は、注射可能な経路による投与のため、特に埋込型の持続放出形態を調製するために使用されてもよい。
【0088】
この場合、本発明による脂質粒子は、好ましくは0.5μm〜5μmのサイズを有するように分離される。それら粒子をふるいわけ、投与方法に適合するサイズ分布を得ることが好ましい。
【0089】
それらのワックス組成は、注射可能な経路の要件を満たすように選択される。
【0090】
このガレン製剤形態を用いると、乳化重合法を用いて得られるポリマー粒子が直面する、溶媒および界面活性化合物の使用による毒性の問題を排除することができる。
【0091】
本発明による粒子を用いると、ワックスマトリクス1グラム当たり0.10〜3グラムの活性成分充填量が得られる。
【0092】
当業者は、カプセル化技術を用いてもこれらのレベルを達成することはできないことを認識している。最後に、粒子の分解は、ポリ乳酸−グリコール酸ポリマーをベースとする注射可能な粒子の場合に生じ得るので、いかなる炎症反応も生じない。
【0093】
以下の実施例は制限的なものではなく、本発明を例証するためにのみ使用される。
【実施例】
【0094】
実施例1:35℃の融点を有するオメプラゾール含有粒子の調製
オメプラゾール含有粒子100gを製造するための実施例。
【0095】
TG1組成物
35℃の融点を有する飽和トリグリセリドの混合物
(ABITECからのCaptex(登録商標)):79g
重炭酸ナトリウム: 1g
オメプラゾール: 20g
【0096】
粒子を調製するための手順:
サーモスタット制御された容器において、最も高い融点を有する化合物を、その溶融温度よりも2℃高い温度に調節し、次いで、最も高い融点を有するものから最も低い融点を有するものまで様々な化合物を徐々に添加する。
【0097】
混合物の温度を徐々に低下させ、得られた新たな混合物の溶融温度よりも5℃高い温度に保持する。
【0098】
オメプラゾールを最後に添加する。Turraxブランドのタービンタイプの攪拌システムを速度10,000回転/分で用いて、脂質相にこれらの成分を分散させる。混合物は均質であり、0.2%のカルボポールUltrez10を含む流動化水性ゲル600mlにその混合物を添加する。このゲルは、ソーダでpH7±1に中和され、予め脂質混合物と同じ温度にされ、3枚羽根プロペラを有する攪拌システムを備えたリアクタに収容される。
【0099】
組成物の添加中、3枚羽根プロペラの攪拌速度は180rpm±90である。
【0100】
組成物の添加が完了した後、攪拌を3秒間維持し、次いで停止する。
【0101】
次いで、分散液を15℃に冷却する。
【0102】
粒子をふるいわけによって回収し、次いで純水で洗浄し、その後回収して乾燥させる。
【0103】
このようにして得られた粒子の平均サイズは230ミクロンである。
【0104】
実施例2:いかなるアルカリ性化剤も使用しない、35℃の融点を有するオメプラゾール含有粒子の調製
粒子100gを製造するための実施例。
【0105】
TG2組成物
35℃の融点を有する飽和トリグリセリドの混合物
(ABITECからのCaptex(登録商標)):80g
オメプラゾール: 20g
【0106】
実施例1に記載された手順に従って粒子を調製する。
【0107】
実施例3:38℃に等しい融点を有するオメプラゾール含有粒子の調製
粒子100gを製造するための実施例。
【0108】
TG3組成物
38℃の融点を有するカプリン酸、カプリル酸
およびラウリン酸のトリグリセリド: 79g
重炭酸ナトリウム: 1g
オメプラゾール: 20g
【0109】
実施例1に記載された手順に従って粒子を調製する。
【0110】
実施例4:42℃に等しい融点を有するオメプラゾール含有粒子の調製
粒子100gを製造するための実施例。
【0111】
TG4組成物
38℃の融点を有するカプリン酸、カプリル酸
およびラウリン酸のトリグリセリド: 75.05g
パラフィン: 3.95g
重炭酸ナトリウム: 1.00g
オメプラゾール: 20.00g
【0112】
実施例1に記載された手順に従って粒子を調製する。
【0113】
実施例5:いかなるアルカリ性化剤も使用しない、42℃に等しい融点を有するオメプラゾール含有粒子の調製
粒子100gを製造するための実施例。
【0114】
TG5組成物
38℃の融点を有するカプリン酸、カプリル酸
およびラウリン酸のトリグリセリド: 76g
パラフィン: 4g
オメプラゾール: 20g
【0115】
実施例1に記載された手順に従って粒子を調製する。
【0116】
実施例6:38℃に等しい融点を有する塩酸オキシテトラサイクリン含有粒子の調製
粒子100gを製造するための実施例。
【0117】
TG6組成物
38℃の融点を有するカプリン酸、カプリル酸
およびラウリン酸のトリグリセリド: 79g
微粉化した酒石酸: 1g
塩酸オキシテトラサイクリン: 20g
【0118】
実施例1に記載された手順に従って粒子を調製する。
【0119】
実施例7:酸をアルカリ性化または中和するための薬剤を含有する、またはしないオメプラゾール粒子の、酸媒体中での抵抗性および長期安定性に関する比較
酸媒体中での抵抗性に関する試験
酸性pHに対する抵抗性を測定するために、調製物を37.5℃にてpH1.2の攪拌した媒体内に置いた。pH=6.8に中和した後、オメプラゾールレベルの投薬を行うことにより、酸性pHに対する抵抗性を時間の関数として測定する。
【0120】
図1にまとめた結果は、本発明によるオメプラゾール処方物ならびにMOPRAL(登録商標)の顆粒が酸性pHに対して抵抗性であることを示している。遊離オメプラゾールは、数分以内に分解される。抽出後、HPLCによってオメプラゾールを投薬する。
【0121】
安定性に関する試験
先の実施例による処方物から調製されたオメプラゾール微粒子の安定性に関する試験。不純物レベルを測定することによって、安定性を評価する。
【0122】
【表1】

【0123】
欧州薬局方(European Pharmacopoeia)に従って、不純物を測定する。
【0124】
【表2】

【0125】
HPLCによって、オメプラゾールレベルを経時的に追跡記録する。
【0126】
表2および表3の結果は、アルカリ性化剤を含有する組成物がより高い安定性を有することを示している。
【0127】
実施例8:様々な処方物に関する、ラットに投与されたオメプラゾールの血漿濃度の経時変化
これらのテストは、本発明による微粒子がいかなるバイオアベイラビリティの低下をも誘発しないことを確認することを目的としている。
【0128】
試験は、本発明による様々なオメプラゾール含有粒子の主要なバイオアベイラビリティパラメータを、MOPRAL(登録商標)の名称でAstraより市販されている従来形態のマイクロ顆粒と比較することによって行われる。
【0129】
様々なオメプラゾール処方物に関する、主要なバイオアベイラビリティパラメータの値を表3にまとめた。
【0130】
【表3】

【0131】
バイオアベイラビリティパラメータの試験は、Sprague Dawley種のラットについて行われる。それらの結果は、本発明による粒子がいかなるバイオアベイラビリティの低下も誘発しないことを示している。
【0132】
実施例9:ランソプラゾール含有粒子の調製
粒子100gを製造するための実施例。
【0133】
組成:
38℃の融点を有するカプリン酸、カプリル酸
およびラウリン酸のトリグリセリド: 70.0g
カプリン酸およびラウリン酸のトリグリセリド: 9.5g
重炭酸ナトリウム: 0.5g
ランソプラゾール: 20.0g
【0134】
実施例1に記載された手順に従って粒子を調製する。
【0135】
実施例10:エリスロマイシンを含有する粒子
エリスロマイシンを含有する粒子120gを製造するための実施例。
【0136】
組成:
カプリン酸およびカプリル酸のトリグリセリド: 73g
カプリン酸およびラウリン酸のトリグリセリド: 10g
トリラウリン: 5g
重炭酸ナトリウムおよびリン酸ナトリウム(80/20): 2g
エリスロマイシン: 30g
【0137】
すなわち、乾燥粒子120gはエリスロマイシン30gを含有している。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】図1は、医薬形態(MOPRAL(登録商標))と比較した、遊離オメプラゾール(遊離OM)または本発明による粒子の形態のオメプラゾール(TG3、TG4)の、酸性媒体中での抵抗性テストで得られた結果を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厳密に疎水性固体脂質粒子の形態をなし、厳密にいかなる水またはいかなる界面活性剤またはいかなる乳化剤またはいかなる微量の溶媒をも含有しないガレン製剤系であって、少なくとも1種の活性成分と、少なくとも1種の疎水性ワックスと、配合された前記活性成分を中和する少なくとも1種の薬剤とを含んでなる、ガレン製剤系。
【請求項2】
前記中和剤がアルカリ性化剤または酸性化剤である、請求項1に記載のガレン製剤系。
【請求項3】
45℃、好ましくは37.5℃までの温度で固体である、請求項1または2に記載のガレン製剤系。
【請求項4】
前記脂質粒子が球状である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガレン製剤系。
【請求項5】
前記疎水性ワックスが、植物、動物もしくは無機ワックスであるか、または少なくとも1種のワックスと少なくとも1種の非両親媒性油との混合物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のガレン製剤系。
【請求項6】
前記ワックスの量が、0.5%〜99%、好ましくは1%〜55%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のガレン製剤系。
【請求項7】
少なくとも1種の疎水性化合物を更に含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のガレン製剤系。
【請求項8】
前記ワックスが、15℃〜75℃、好ましくは30℃〜45℃の融点を有するものである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のガレン製剤系。
【請求項9】
前記ワックスが、トリグリセリドおよび誘導体、パーム油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、アルファロウ、カカオ脂、オゾケライト、植物ワックス、たとえばオリーブ樹ワックス、ライスワックス、硬化ホホバロウまたは花の無水ロウ、蜜ロウまたは改質蜜ロウから選択されるものである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のガレン製剤系。
【請求項10】
前記酸性化剤が、炭酸、リン酸およびその誘導体、カルボン酸、たとえばクエン酸、乳酸、グリコール酸、酒石酸、安息香酸、プロピオン酸およびその誘導体、ベンジル酸、アスパラギン酸またはそれらの塩類、酸性アミノ酸類およびそれらの誘導体、脂肪酸類、より一般的には医薬処方物で使用される酸化合物から選択されるものである、請求項1〜9のいずれか一項に記載のガレン製剤系。
【請求項11】
前記酸性化剤がクエン酸または酒石酸である、請求項10に記載のガレン製剤系。
【請求項12】
前記酸性化剤の量が、0.1質量%〜20質量%、好ましくは0.5質量%〜5質量%である、請求項10または11に記載のガレン製剤系。
【請求項13】
前記アルカリ性化剤が、弱酸または有機酸の医薬的に許容される塩類から選択されるものである、請求項1〜9のいずれか一項に記載のガレン製剤系。
【請求項14】
前記アルカリ性化剤が、ナトリウム塩、カリウム塩またはマグネシウム塩、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウムまたは水酸化カリウム、ならびにアルミニウム塩類、特にリン酸のアルミニウム塩、塩基性アミノ酸類、またはそれらの混合物から選択されるものである、請求項13に記載のガレン製剤系。
【請求項15】
前記アルカリ性化剤の量が、0.1質量%〜30質量%、好ましくは1質量%〜10質量%である、請求項13または14に記載のガレン製剤系。
【請求項16】
0.5ミクロン〜1,500ミクロン、好ましくは10ミクロン〜250ミクロンのサイズを有する脂質粒子の形態をなす、請求項1〜15のいずれか一項に記載のガレン製剤系。
【請求項17】
15℃〜70℃、好ましくは30℃〜45℃の溶融温度を有する、請求項1〜16のいずれか一項に記載のガレン製剤系。
【請求項18】
前記粒子への活性成分の最大充填量が、前記粒子の重量を基準として、0.02%〜75%、特に5%〜50%の範囲である、請求項1〜17のいずれか一項に記載のガレン製剤系。
【請求項19】
非中和脂肪酸を更に含有してなる、請求項1〜18のいずれか一項に記載のガレン製剤系。
【請求項20】
前記非中和脂肪酸が、4〜18個の炭素原子を有する直鎖脂肪酸、たとえばミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸またはオレイン酸から選択されるものである、請求項19に記載のガレン製剤系。
【請求項21】
前記脂肪酸の脂肪酸レベルが、0.5質量%〜75質量%、好ましくは1質量%〜30質量%である、請求項19または20に記載のガレン製剤系。
【請求項22】
前記活性成分が、ビタミンまたはプロビタミンA、B、C、D、E、PPおよびそれらのエステル、カロテノイド、抗ラジカル物質、ヒドロキシ酸、防腐剤、色素沈着または炎症に作用する分子、生物学的抽出物、抗生物質、抗真菌剤、抗寄生虫剤、抗マラリア剤、吸着剤、ホルモンおよび誘導体、ニコチン、抗ヒスタミン剤、ステロイドおよび非ステロイド抗炎症剤、サリチル酸塩化合物、抗アレルギー剤、鎮痛剤、局所麻酔薬、抗ウイルス剤、抗体、およびシクロスポリン、タクロリムスなどの免疫系に作用する分子、フィブラートおよびスタチンなどの脂質低減剤、細胞増殖抑制剤および抗癌剤、鎮痛剤、血管拡張剤、血管収縮剤、ホスホジエステラーゼおよびアンギオテンシン変換酵素の阻害剤、ニトロ化および抗狭心症性誘導体、β−アドレナリン遮断薬、カルシウム阻害剤、抗利尿薬および利尿薬、気管支拡張薬、アヘン剤および誘導体、バルビツール剤、ベンゾジアゼピン、中枢神経系に作用する分子、核酸、ペプチド、アントラセン化合物、パラフィン油、ポリエチレングリコール、無機塩類、鎮痙薬、胃酸分泌抑制剤、特にオメプラゾール、ランソプラゾールおよびエソメプラゾールを含むベンズイミダゾールのクラス、胃壁保護薬、粘土およびポリビニルピロリドン、デンプンから選択されるものである、請求項1〜21のいずれか一項に記載のガレン製剤系。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか一項に記載のガレン製剤系を製造するための方法であって、
−第1工程において、前記ワックス、および使用する場合には前記非中和脂肪酸を、攪拌下、最も高い融点を有する化合物の融点よりも2℃または3℃高い温度に調節して、混合し、
−第2工程において、激しい攪拌を維持しながら、前記中和剤および前記活性成分を添加し、
−第3工程において、前記第1工程で得られた混合物と不混和性であり、該混合物と予め同じ温度にされており、かつ、0.1g/l〜30g/l、好ましくは0.2g/l〜20g/lのゲル化剤濃度を有するゲル中に、前記第1工程で得られた混合物を分散することによって、前記活性成分を含む脂質液滴を形成し、
−第4工程において、注入が完了した直後に、前記混合物の凝固温度下で前記液滴を速やかに冷却し、次いで、エタノールを含有していてもよい水で洗浄し、
−第5工程において、洗浄された粒子をふるいわけによって回収し、次いで乾燥させる
ことを含む、方法。
【請求項24】
洗浄混合物において、エタノールの割合が0%〜25%、好ましくは1%〜10%である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ゲルが、カルボキシビニルポリマー、たとえば疎水性基または界面活性基によって修飾されていないポリアクリル系ポリマー、カラゲーナン、多糖増粘剤および多糖ゲル化剤、たとえばキサンタンガム、グアーガムおよびカロブガム、アルギン酸塩、セルロース誘導体、ペクチン、寒天、またはこれらの混合物から選択される、非界面活性のゲル化流動化剤を用いて製造されるものである、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の少なくとも1種のガレン製剤系を含んでなる、組成物。
【請求項27】
化粧品、医薬、獣医学的または食品組成物である、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
経口経路または注射による投与に用いるための、請求項26または27に記載の組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2008−525389(P2008−525389A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547574(P2007−547574)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【国際出願番号】PCT/FR2005/003247
【国際公開番号】WO2006/070117
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(505358129)
【氏名又は名称原語表記】ORALANCE PHARMA
【住所又は居所原語表記】Incubateur Paris Biotech,24 rue du Faubourg Saint Jacques,F−75014 Paris France
【Fターム(参考)】