説明

流体サンプルを取り扱う方法及び装置

小体積サンプル取り扱い装置は第1及び第2の部分を備えた室を有する。流れ制御弁を有する導管は第1の部分に流体的に結合できる。第2の部分内の圧力は、液体サンプルが弁の開放に応答して弁に結合された針内へ吸入及び分配できるように、調整することができる。室の第1及び第2の部分はダイアフラムにより分離することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナノリットル寸法の流体サンプルのような小体積の流体サンプルの取り扱いに関する。
【背景技術】
【0002】
ナノリットル寸法範囲のサンプルのような小体積の流体サンプルを取り扱う能力はゲノミックス(genomics)及びプロテオミックス(proteomics) のようなバイオテクノロジーに関連する調査において重要となることがある。小体積のサンプルの取り扱いはまた薬物の発見、生細胞の分配、組み合わせ化学又は他の用途のためのような他の薬剤又は材料科学調査に使用される。
【0003】
このようなサンプル取り扱いを遂行する装置はしばしばマイクロ滴定濃度(microtiter)トレイのくぼみのような作業表面からサンプルを摘出即ち吸入するために使用される。マイクロ滴定濃度トレイは当業界において周知であり、普通、個々の液体サンプルを保持するために96個、384個又は他の数のくぼみを有する。サンプル取り扱い装置はまた作業表面上の所望の位置に液体サンプルを配置又は分配するために使用される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1つの態様においては、小体積の液体サンプルを吸入及び分配するための方法及び装置が提供される。
1つの例示的な実施の形態においては、液体サンプルを取り扱う装置はリザーバのガス部分からリザーバの液体部分を分離するダイアフラムを備えた流体リザーバを有する。導管は、弁の入力及び出力間の通路を開閉するようになったソレノイド弁の入力に、リザーバの液体部分を流体的に結合する。サンプル取り扱いチャンネルは、リザーバのガス部分内の圧力がソレノイド弁の通路の開放に応答して流体サンプルを吸入及び分配するためにサンプル取り扱いチャンネルを制御するように、ソレノイド弁の出力に流体連通する。
【0005】
本発明の1つの態様においては、可変圧力供給源はリザーバのガス部分内に制御されたガス圧力を提供する。可変圧力供給源はリザーバのガス部分内のガス圧力を制御するサーボ制御レギュレータ、雰囲気圧より低いガス圧力を提供する真空源及び(又は)雰囲気圧より高いガス圧力を提供するガス供給源を有することができる。
【0006】
本発明の1つの態様においては、コントローラは通路を開閉するようにソレノイド弁の作動を制御でき、リザーバのガス部分内のガス圧力を制御できる。
本発明の1つの態様においては、サンプル取り扱いチャンネル及びソレノイド弁はナノリットル寸法の液体サンプルを吸入及び分配するように構成され、配列される。
【0007】
本発明の1つの態様においては、複数のサンプル取り扱いチャンネルの各々はリザーバの液体部分に流体連通する対応するソレノイド弁と関連する。サンプル取り扱いチャンネルはマイクロ滴定濃度トレイのくぼみ又は他の作業表面と共働するようなパターンで配列することができる。
【0008】
本発明の1つの態様においては、ロボット装置は、液体サンプルが所望の位置で吸入及び分配されるように、作業表面に関してサンプル取り扱いチャンネルを移動させることができる。
【0009】
本発明の1つの態様においては、ダイアフラムはエラストマー材料のシートを含むことができる。
別の例示的な実施の形態においては、流体サンプルを取り扱う装置は流体供給源と、雰囲気圧に関して負圧及び正圧を提供するように構成され、配列された可変圧力供給源と、室内を第1及び第2の部分に分離する可撓性のダイアフラムを備えた室とを有する。第1の部分は流体供給源に流体連通することができ、第2の部分は可変圧力供給源に流体連通することができる。弁は室の第1の部分に流体連通することができ、針は弁に流体連通することができる。第2の部分内に負圧が存在する場合、弁が開いたときに、針は流体サンプルを吸入することができ、第2の部分内に正圧が存在する場合、弁が開いたときに、針は流体サンプルを分配することができる。
【0010】
別の例示的な実施の形態においては、ロボットで操作される工具を使用して液体サンプルを取り扱う方法は、導管に沿った流体流れ通路を開閉するように制御できる弁を備えた導管の第1の端部にサンプル取り扱いチャンネルを流体的に結合する工程を有する。導管の第2の端部はリザーバの液体部分に流体的に結合され、この場合、リザーバの液体部分はリザーバのバス部分から分離される。リザーバのガス部分内の圧力は、リザーバの液体部分内の液体が導管内へ強制流入されるように調整され、弁は、流体サンプルがサンプル取り扱いチャンネルから分配されるように、開かれる。リザーバのガス部分内の圧力はリザーバの液体部分内へ強制流入され、弁は、流体サンプルがサンプル取り扱いチャンネルにより吸入されるように、開かれる。
【0011】
別の例示的な実施の形態においては、ロボットで操作される工具を使用して液体サンプルを取り扱う方法は、リザーバ内に収容された流体がリザーバから押し出されて、リザーバに接続した導管内へ強制移動されるように、リザーバ内のガス圧力を上昇させる工程を有する。導管を通る流れを制御する弁は開くことができ、流体サンプルは導管に流体的に結合されたサンプル取り扱いチャンネルから分配することができる。リザーバ内のガス圧力は、リザーバに接続した導管内に収容された流体がリザーバ内へ強制移動させられるように、低下させることができる。導管を通る流れを制御する弁は開くことができ、流体サンプルはサンプル取り扱いチャンネル内へ吸入することができる。
【0012】
本発明のこれら及び他の態様は例示的な実施の形態の以下の説明から明らか及び(又は)明白となろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係る例示的な実施の形態を添付図面に基づき説明するが、同様の符号は同様の素子を示すものとする。
本発明の1つの態様においては、サンプル取り扱い方法及び装置は可変流体圧力を使用して流体サンプルを吸入及び分配できる。1つの例示的な実施の形態においては、室は可撓性の膜即ちダイアフラムにより分離された2つの部分を有することができる。室の第1の部分はソレノイド作動弁のような制御弁に流体連通することができる。室の第2の部分は雰囲気圧に関する負圧及び正圧間で第2の部分内の圧力を変化させることのできる可変圧力供給源に流体連通することができる。室の第2の部分内の圧力を制御することにより、室の第1の部分内の流体は、制御弁を通して所望の方向に流れさせることができる。例えば、室の第2の部分内の圧力が雰囲気圧以下となるように調整された場合、流体は制御弁から離れて室の第1の部分に向かう方向へ引き出すことができる。代わりに、室の第2の部分内の圧力が雰囲気圧以上となるように調整された場合、第1の部分内の流体を制御弁の方へ流れさせることができる。この構成は制御弁を通る高精度に制御された流れを提供することができる。その理由は、室の第1の部分内の流体の背後の駆動圧力を極めて精確に制御できるからである。これは、室から制御弁へ又は制御弁から流体を強制的に流れさせる可動のピストンを使用する装置のような他の装置とは異なる。このような装置では、流体流れを駆動するために使用される圧力は精確に知られていないか又は精確に制御することができない。例えば、液体で満たされた室内の定量供給ピストンの小さな運動は、液体が非圧縮性であるため、室内の圧力を大幅に変化させることがある。その結果、室から出るように液体を押圧する駆動圧力は作動中に大幅に変化することがあり、制御弁を通る体積的な流量を変化させる可能性がある。
【0014】
図1は本発明に係る液体サンプル取り扱い装置100の概略ブロック線図である。この例示的な実施の形態においては、1又はそれ以上の針1は、マイクロ滴定濃度トレイのくぼみのような1又はそれ以上の作業領域上で、分離されたDNA断片又は他の生物学的な物質等を含むゲルである液体サンプルを摘出又は配置することができる。試薬、DNA断片、タンパク質、生物細胞等を含む任意の適当なサンプル形式を針1により取り扱うことができる。
【0015】
針1における流体流れの制御は、少なくとも部分的に、導管33を介して室3に流体的に結合された弁2を使用して、遂行される。室3はダイアフラム34により第2の部分32から分離された第1の部分31を有することができる。ダイアフラム34はエラストマー材料のシートのような可撓性の部材を含むことができる。代わりに、ダイアフラム34は第1及び第2の部分31、32間で圧力を伝達する任意の適用な材料又は装置とすることができる。1つの実施の形態においては、ダイアフラム34は、両方の部分内の圧力が平衡する即ち互いに等しくなるように第2の部分32内のガス圧力が第1の部分31へ伝達されるように、配列される。
【0016】
第1の部分31は流体タンク又は他のリザーバのような流体供給源4からの液体で満たすことができる。液体は弁2まで第1の部分31及び導管33を完全に満たすことができる。第1の部分31内の液体は蒸留水、液体試薬又は他の物質のような任意の適当な液体とすることができる。
【0017】
第2の部分32は空気のようなガスで全体的に満たすことができる。ガスは所望に応じて第2の部分32内の圧力を調整することのできる可変圧力供給源を介して第2の部分32へ提供することができる。この実施の形態における可変圧力供給源は第2の部分32内のガスの圧力を制御できるレギュレータ5を有する。1つの実施の形態においては、レギュレータ5は、コントローラ10の制御の下に第1及び(又は)第2の部分31、32内に所望の圧力を維持するために例えば圧力センサからのフィードバックを使用するサーボ制御レギュレータである。可変圧力供給源はまた第2の部分32内の圧力の調整を補助するためにレギュレータ5及び(又は)第2の部分32に結合されたガス供給源6及び(又は)真空源7を有することができる。例えば、第2の部分32内の圧力を上昇させたい場合、所望の圧力が得られるまで、ガス供給源6からのガスを第2の部分32へ提供することができる。逆に、第2の部分32内の圧力を低下させたい場合、ガスが第2の部分32から除去されて、圧力が適当に減少するように、第2の部分32を真空源7に結合することができる。ガス供給源6及び真空源7は圧力源又は真空源を提供するために任意の適当な素子を有することができる。例えば、ガス供給源6はコンプレッサ、ポンプ、圧縮ガスタンク、その他を有することができる。真空源7は真空ポンプ、ベンチュリ型の真空装置又は他の適当な構成を有することができる。レギュレータ5はまた、第2の部分32内の圧力を精確に制御できるように、任意の適当な形をとることができる。
【0018】
サンプル取り扱い装置100の弁2、流体供給源4、レギュレータ5及び任意の他の適当な部分はコントローラ10により制御することができる。すなわち、コントローラ10は、装置100が必要に応じてサンプルを吸入及び分配するために作動するように、装置100の素子に関して信号を出力したり受け取ったりすることができる。コントローラ10は、有線及び(又は)無線リンクによるような任意の適当な方法で及び任意の適当なフォーマット及び(又は)通信プロトコルで、送信及び受信を行うことができる。コントローラ10は任意の適当な多目的データ処理装置を有することができ、この装置は適当にプログラムされた多目的コンピュータ又は多目的コンピュータのネットワーク及び他の関連装置とすることができるか又はこれらを有することができる。このような関連装置は所望の入力/出力又は他の機能を遂行するのに必要な通信装置及び(又は)他の回路又は素子を含むことができる。コントローラ10はまた、全体としての主要な即ち中央の処理区分と、中央処理区分の制御の下での種々の異なる特定の計算、機能及び他の処理の遂行に貢献する装置レベルの制御及び分離区分とを各々有する、特定の単目的集積回路(例えばASIC)又はASICアレイとして少なくとも部分的に実行することができる。コントローラはまた、例えば別個の素子回路又はプログラム可能な論理装置のようなハード有線電子又は論理回路のような複数の別個の貢献するプログラム可能な集積回路又は他の電子回路又は装置を使用して実行することができる。コントローラはまた、情報表示装置、キーボードの如きユーザー入力装置、ユーザー指標装置、タッチスクリーン又は他のインターフェイス、データ貯蔵装置又は他の電子回路又は素子のような他の装置を有することができる。コントローラ10は、サンプルが所望の位置において摘出及び配置されるように、サンプル取り扱い装置100の部分を移動させるためのロボットアーム又は装置を有するロボット制御装置の一部とすることができる。ロボット制御装置は、当業界で既知のような、装置の部分の位置決めを直接補助するための機械観察装置を有することができる。
【0019】
針1により液体サンプルを吸入するため、コントローラ10は、圧力が雰囲気圧よりも適当に低くなるように、第2の部分32内の圧力を調整することをレギュレータ5に指示することができる。例えば、レギュレータ5は、適当に低い圧力が第2の部分内に確立されるように、第2の部分32を真空源7に流体的に結合することができる。第2の部分32内の比較的低い圧力は、第1の部分31において圧力が降下するように、ダイアフラム34を図1の左方へ実質上押圧することができる。従って、コントローラ10が弁2を開かせたとき、導管33から第1の部分31内へ液体を引き戻すことができる。その結果、針1における液体サンプルは作業表面から針1内へ引き戻すこと即ち吸引することができる。第2の部分32内の圧力及び(又は)弁2を有効に開く時期の精密な制御は針1により吸引されるサンプルの体積の精確な制御を可能にできる。ある状況においては、ガス又は空気の気泡は針1内に吸引された液体サンプルを導管33及び第1の部分31内の制御液体から分離させることができる。例えば、第1の部分31及び導管33からの液体は弁2を通る通路を満たし、弁2を幾分越えて針1の方へ延びることができる。ガス気泡は針1内のサンプルから液体を分離することができる。このような分離を提供することにより、第1の部分31内の制御液体とサンプルとの混合を阻止することができる。
【0020】
針1からサンプルを分配するため、レギュレータ5は、圧力が雰囲気圧より高くなるように、第2の部分32内の圧力を調整することができる。例えば、レギュレータ5は、第2の部分32内に所望の圧力が得られるまで、第2の部分32をガス供給源6に流体的に結合することができる。第2の部分32内の比較的高い圧力はダイアフラム34を実質的に右方へ押圧移動させることができ、第1の部分31及び導管33内の圧力を増大させる。その結果、弁2が開いたとき、流体は第1の部分31から導管33内へ移動することができ、それ故、針1内の液体サンプルを作業表面上に分配させる。針1から分配されるサンプルは前以て吸入されたサンプルとすることができ、または、第1の部分31及び導管33内の試薬のような液体は精確な体積で針1から分配することができる。
【0021】
吸入又は分配されるサンプルの体積の精確な制御は第2の部分32内に確立された圧力及び(又は)弁2を開くタイミングに基づいて制御することができる。弁2の開閉タイミングは、弁が10Hz又はそれ以上のHzのような高周波数で開閉するように、弁内のソレノイドアクチュエータへパルス電気信号を供給することにより制御することができる。弁を迅速に開閉することにより、弁を通過できる液体の量を精確に制御できる。例えば、コントローラ10は第2の部分32内の与えられた圧力に対して各開/閉サイクルにつき弁を通過する液体の量を表す情報を記憶することができる。所望の体積のサンプルを吸入/分配するため、コントローラは所望のサンプル体積を、サイクル当り弁を通過する体積で割って、弁を開閉すべきサイクルの総数を与えることができる。次いで、コントローラは各分配/吸入作動に対してサイクルの総数分だけ弁を開/閉させるために適当な信号を弁へ提供することができる。これは、図示の実施の形態において体積制御がどのようにして遂行できるかの単なる一例であることを理解されたい。コントローラはサンプルのための所望の体積制御を遂行するための任意の適当な工程を使用することができる。
【0022】
図2は図1に示すものよりも幾分一層詳細な形での装置100の概略ブロック線図である。この図示の実施の形態においては、装置100は、第1の部分31、導管33、弁2及び針1からすべての流体を最初に除去することにより液体サンプルを取り扱う際に使用するために準備することができる。装置のこれらの部分を空にするため、弁12は加圧二酸化炭素ガスの源13のようなガス源を第1の部分31に流体的に結合するように調整することができる。弁16は、第1の部分31内の流体が弁16を通ってドレン14へ排出できるように、開くことができる。弁2はまた、加圧ガスが導管33、弁2及び針1からすすぎリザーバ又は他の容器11内へ流体を押し込むように、開くことができる。装置が空になった後、蒸留水の源41のような流体供給源からの流体により、第1の部分31をすすぐことができる。弁12は、第1の部分31が液体で満たされるように、蒸留水の源41を第1の部分31に結合することができる。弁2はまた、蒸留水又は他の適当な液体で導管33及び針1をすすぐことができるように、開くことができる。
【0023】
すすぎ動作が完了した後、弁12、16、2は閉じることができ、装置はサンプルの取り扱いのために使用することができる。例えば、第1の部分31内の蒸留水、試薬又は他の流体を針1から分配すべき場合、弁51はレギュレータ5からのガス供給ライン61を第2の部分32に結合することができる。これは、弁2が開いたときに、第1の部分31内の液体が針1から出て導管33内へ流入させられるように、第2の部分31内に適当な圧力を生じさせることができる。代わりに、弁51は真空供給ライン71を第2の部分32に結合することができる。真空は任意の適当な方法で生じさせることができるが、この図示の実施の形態においては、真空源7は、開いたときに、ライン71内に真空を生じさせるベンチュリ様の素子を通して加圧ガスを流通させることのできる弁72を有する。第2の部分32内に適当に低い圧力が生じると、弁2が開いたときに、導管33から及び作業表面から針1内へ流体を引き戻させることができる。理解できるように、弁2が開いたときに、サンプルが針1から分配されるように、第2の部分32内の圧力を適当に上昇させることにより、針1において吸入された液体サンプルを分配することができる。
【0024】
上に示した図示の実施の形態においては、室3は単一の導管33及び弁2に結合されるが、任意の適当数の導管33、弁2及び(又は)針1を室3に流体的に結合することができる。例えば、数個の導管33を第1の部分31に結合することができ、各導管は対応する弁及び針1に通じる。その結果、各弁を開閉制御することにより、数個の針1の各々のための流体流れを制御することができる。この構成は、サンプル取り扱い装置が特定の針においてサンプルを個々に吸入又は分配するのを許容し、数個の針1からサンプルを同時に吸入又は分配するのを許容する。
【0025】
弁2は任意の適当な電気制御弁又はその他とすることができる。1つの例示的な実施の形態においては、弁2はコネチカット州、ウエストブルック(Westbrook) のザ・リー社(The Lee Company) により提供されたほぼ10ナノリットル又はそれ以上の寸法のサンプルを分配できるソレノイド弁とすることができる。このような弁は、コントローラ10から提供されるパルス信号に基づき、例えば1200Hzまでの高周波数で開閉できる。このような作動は弁に結合された針により吸入及び(又は)分配されるサンプルの精確な定量供給を許容する。針はまた、任意の適当な形式及び(又は)寸法のものとすることができる。1つの実施の形態においては、針は、サファイアまたは他の同様の材料でステンレス鋼のチューブの内部をライニングするような宝石加工されたチューブ(jeweled tubes)又は他のチャンネルを有することができる。針は代わりに例えばプラスチックで作った交換可能なチップを受け入れることができる。
【0026】
種々の例示的な実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は説明した実施の形態に限定されない。従って、説明した実施の形態の多くの代替、修正及び変形が当業者にとって明らかであることは明白である。従って、ここで述べたような本発明の実施の形態は例示的なもので、限定を意図するものではない。本発明から逸脱することなく、種々の変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るサンプル取り扱い装置の概略図である。
【図2】本発明に係るサンプル取り扱い装置の一層詳細な概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体サンプルを取り扱う装置において、
流体リザーバであって、同流体リザーバの液体部分を上記流体リザーバのガス部分から分離するダイアフラムを有する流体リザーバと;
入力及び出力を有し、上記入力と上記出力との間の通路を開閉するようになったソレノイド弁と;
上記リザーバの上記液体部分を上記ソレノイド弁の上記入力に流体的に結合する導管と;
上記ソレノイド弁の上記出力に流体連通するサンプル取り扱いチャンネルと;
を有し、上記リザーバの上記ガス部分内の圧力が上記ソレノイド弁の上記通路の開放に応答して流体サンプルを吸入及び分配するように上記サンプル取り扱いチャンネルを制御することを特徴とする装置。
【請求項2】
上記リザーバの上記ガス部分内に制御されたガス圧力を提供する可変圧力供給源を更に有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記可変圧力供給源が上記リザーバの上記ガス部分内のガス圧力を制御するサーボ制御レギュレータを有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
上記可変圧力供給源が雰囲気圧よりも低いガス圧力を提供する真空源と、雰囲気圧よりも高いガス圧力を提供するガス供給源とを有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
上記通路を開閉するために上記ソレノイド弁の作動を制御し、上記リザーバの上記ガス部分内のガス圧力を制御するコントローラを更に有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
上記ソレノイド弁が高周波数で開閉するように制御されることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
上記サンプル取り扱いチャンネル及び上記ソレノイド弁がナノリットル寸法の液体サンプルを吸入及び分配するように構成され、配列されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
上記サンプル取り扱いチャンネルが宝石加工された針を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
上記リザーバの上記液体部分に流体連通した対応するソレノイド弁に各々関連する複数のサンプル取り扱いチャンネルを更に有し、同サンプル取り扱いチャンネルがマイクロ滴定濃度トレイのくぼみと共働するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
液体サンプルが所望の位置で吸入及び分配されるように、作業表面に関して上記サンプル取り扱いチャンネルを移動させるロボット装置を更に有することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
上記ダイアフラムがエラストマー材料のシートを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
液体サンプル取り扱い装置において、
流体供給源と;
雰囲気圧に関して負圧及び正圧を提供するように構成され配列された可変圧力供給源と;
室であって、同室内を第1及び第2の部分に分離する可撓性のダイアフラムを有し、上記第1の部分が上記流体供給源に流体連通し、上記第2の部分が上記可変圧力供給源に連通しているような室と;
上記室の上記第1の部分に流体連通する弁と;
上記弁に流体連通する針と;
を有し、上記第2の部分内の負圧は、上記弁が開いたときに、上記針により流体サンプルを吸入させ、当該第2の部分内の正圧は、当該弁が開いたときに、当該針により流体サンプルを分配させることを特徴とする装置。
【請求項13】
上記可変圧力供給源が上記室の上記第2の部分内のガス圧力を制御するサーボ制御レギュレータを有することを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
上記可変圧力供給源が上記雰囲気圧より低いガス圧力を提供する真空源と、雰囲気圧より高いガス圧力を提供するガス供給源とを有することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
開閉するように上記弁を制御し、上記室の上記第2の部分内の圧力を制御するコントローラを更に有することを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項16】
上記弁がソレノイド弁であることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項17】
上記針及び上記弁がナノリットル寸法の液体サンプルを吸入及び分配するように構成され、配列されることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項18】
上記室の上記第1の部分に流体連通した対応する弁に各々関連する複数の針を更に有し、同針がマイクロ滴定濃度トレイのくぼみと共働するように配置されることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項19】
液体サンプルが所望の位置で吸入及び分配されるように、作業表面に関して上記針を移動させるロボット装置を更に有することを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
上記可撓性のダイアフラムがエラストマー材料のシートを含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項21】
ロボットで操作される工具を使用して液体サンプルを取り扱う方法において、
導管に沿った流体流れ通路を開閉するように制御できる弁を有する上記導管の第1の端部にサンプル取り扱いチャンネルを流体的に結合する工程と;
リザーバのガス部分から分離された同リザーバの液体部分に、上記第1の端部とは反対側の上記導管の第2の端部を流体的に結合する工程と;
上記リザーバの上記液体部分内の液体が上記導管内へ流し込まされるように、当該リザーバの上記ガス部分内の圧力を調整し、流体サンプルが上記サンプル取り扱いチャンネルから分配されるように、上記弁を開く工程と;
上記導管内の液体が上記リザーバの上記液体部分内へ流し込まされるように、当該リザーバの上記ガス部分内の圧力を調整し、流体サンプルが上記サンプル取り扱いチャンネルにより吸入されるように、上記弁を開く工程と;
を有することを特徴とする方法。
【請求項22】
ロボットで操作される工具を使用して液体サンプルを取り扱う方法において、
リザーバ内に収容された流体が同リザーバから押し出されて、同リザーバに接続された導管内へ強制移動させられるように、上記リザーバ内のガス圧力を上昇させる工程と;
上記導管を通る流れを制御する弁を開く工程と;
上記導管に流体的に結合されたサンプル取り扱いチャンネルから流体サンプルを分配する工程と;
上記リザーバに接続された上記導管内に収容された流体が当該リザーバ内へ強制移動させられるように、該リザーバ内のガス圧力を低下させる工程と;
上記導管を通る流れを制御する弁を開く工程と;
上記サンプル取り扱いチャンネル内へ流体サンプルを吸入させる工程と;
を有することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−502986(P2007−502986A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523951(P2006−523951)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/026453
【国際公開番号】WO2005/016535
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(503220129)プロテダイン・コーポレーション (9)
【Fターム(参考)】