説明

流体システム

【課題】共通の中間支持体を用いながらも、中間支持体の部品点数の増加を招かず、構成を簡単化できる流体システムを提供する。
【解決手段】流体の状態を制御又は測定するための複数の流体機器40を配管50及び管継ぎ手24を用いて接続することにより構成した流体回路装置101と、前記流体回路装置101を保持する保持機構102とを具備した流体システム100であって、前記保持機構102が、ベース部材30と、前記流体回路装置101及び前記ベース部材30間に介在してこれらを結合する中間支持体10とを具備したものであり、前記中間支持体10が、その一端部を前記管継ぎ手24に、その他端部を前記ベース部材30に取り付けられて、前記管継ぎ手24を前記ベース部材30に接続するものである流体システム100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の状態を制御又は測定するための複数の流体機器を配管及び管継ぎ手を用いて接続することにより構成した流体回路装置と、前記流体回路装置を保持する保持機構とを具備した流体システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程等において用いられる流体回路装置には、複数の流体機器を縦横に配置し、隣り合う流体機器同士を配管及び管継ぎ手を用いて接続して、配管の高さを揃えて構成されたものがある。このような流体回路装置は、例えば、保持機構によって保持され、その保持機構は、基板のようなベース部材と、ブラケットのような中間支持体とを具備し、流体機器の底面とベース部材とを、中間支持体を介して固定するようにしている。
【0003】
しかして、流体機器の種類によっては、流体機器の底面から流体機器に固定された配管までの高さが異なるものがある。その場合、その高さの違いに応じて、中間支持体の高さを変えることにより、配管の高さを揃えるようにしている。従って、流体機器の種類に応じて、異なる高さの中間支持体を用いる必要がある。
【0004】
これに対し、流体機器に中間支持体を取り付けるのではなく、特許文献1に示すように、流体機器に固定された配管に中間支持体(特許文献1では支持媒体と呼んでいる)を取り付けるようにした流体機器取付構造が考えられている。このようなものであれば、同じ高さの共通の中間支持体を用いて、配管の高さを揃えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−264587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、配管に中間支持体をねじ等を用いて直接取り付けるのは、配管にねじ孔を設けることが難しく非現実的である。従って、特許文献1に記載の発明では、中間支持体を2つの部材で構成し、その各部材で配管を挟むようにしている(段落0087、0088、図6)。つまり、配管に中間支持体を取り付ける場合、中間支持体が配管を挟んだり配管に外嵌したりする特別の構造が必要になるため、部品点数の増加や構造の複雑化を招くおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、上記の問題を一挙に解決すべくなされたものであり、共通の中間支持体を用いながらも、中間支持体の部品点数の増加を招かず、構成を簡単化できる流体システムを提供することをその主たる所期課題とするものである。
【0008】
すなわち、本発明に係る流体システムは、流体の状態を制御又は測定するための複数の流体機器を配管及び管継ぎ手を用いて接続することにより構成した流体回路装置と、前記流体回路装置を保持する保持機構とを具備した流体システムであって、前記保持機構が、ベース部材と、前記流体回路装置及び前記ベース部材間に介在してこれらを結合する中間支持体とを具備したものであり、前記中間支持体が、その一端部を前記管継ぎ手に、その他端部を前記ベース部材に取り付けられて、前記管継ぎ手を前記ベース部材に接続するものである。
【0009】
このようなものであれば、中間支持体は管継ぎ手に取り付けられているので、高さの異なる中間支持体を用いる必要がなく、特許文献1と同じように、共通の中間支持体を用いることができる。また、例えば管継ぎ手は比較的肉厚であり、そこにねじ孔を設けることはさして困難ではないことから、中間支持体を柱状体などのような簡易な構造としても、この中間支持体をねじによって直接管継ぎ手に取り付けることが容易にできる。さらに、例えば、中間支持体を管継ぎ手及びベース部材に取り付けた後、流体機器を管継ぎ手を用いて接続したり、又は、流体機器を管継ぎ手を用いて接続した後、中間支持体を管継ぎ手及びベース部材に取り付けたりするなど、取付状況に応じて好適な取付手順を選択することができ、施工性を向上させることができる。また、配管施工後、例えばバルブのような流体機器が詰まった場合など、メンテナンスや交換のために流体機器を着脱する場合、従来であれば、中間支持体及び管継ぎ手それぞれを着脱させる必要があるとともに、取り外した管継ぎ手が落下してしまわないように保持する必要もあり、手間が掛かってしまう。これに対し、本願発明では、中間支持体が管継ぎ手に取り付けられているので、中間支持体を着脱させる必要がなく、管継ぎ手だけを着脱すればよい。しかもその管継ぎ手はベース部材に接続されているので、脱落しないように保持する必要がない。従って、メンテナンスや交換の際、流体機器の取り外し及び取り付けが容易にできる。
【0010】
配管レイアウトの自由度を向上させるためには、前記中間支持体が、前記管継ぎ手を前記ベース部材に旋回自在に接続するものが望ましい。
【0011】
前記中間支持体が、前記ベース部材に、少なくとも一定範囲内で姿勢を変えることができる又は移動できるようにガタを有して取り付けられたものであれば、前記ガタによって、流体機器や配管や管継ぎ手の寸法誤差を吸収することができる。
【0012】
前記ベース部材が、前記中間支持体の他端部をスライド嵌合させる第1スライド溝及び第2スライド溝を形成したものであり、前記第2スライド溝が、前記第1スライド溝からその延伸方向とは異なる方向に分岐するものであれば、例えば流体機器の追加により管継ぎ手の配置が変わる場合であっても、管継ぎ手を取り付けた中間支持体を第1スライド溝に沿って移動させて、管継ぎ手の配置を変えることができ、共通のベース部材を使いまわすことができる。また、第1スライド溝だけに中間支持体が配置された場合、流体回路装置が第1スライド溝に沿って移動してしまうので、別途流体回路装置を固定する部材を設ける必要がある。しかし、第1スライド溝とは異なる方向に延びる第2スライド溝を設けているので、第1スライド溝及び第2スライド溝に配置した中間支持体を介してベース部材と管継ぎ手とを取り付けることにより、別途固定のための部材を設けることなく、流体回路装置を固定することができる。
【0013】
中間支持体の取り付けや取り外しを簡単にするためには、前記第1スライド溝又は前記第2スライド溝に、前記中間支持体の他端部を挿通させることができる大きさの幅広部を設けたものが望ましい。
【0014】
前記ベース部材が、長尺矩形状をなす複数の板体を具備し、前記板体が互いに隙間を空けて配置され、前記隙間が前記第1スライド溝を形成するとともに、前記板体に第2スライド溝が形成されたものであれば、板体を加えることによって各スライド溝を増設したり、板体を除去することによって各スライド溝を減らしたり、板体を変更することによって第2スライド溝の位置等を変更したりすることができる。
【0015】
具体的な実施態様としては、前記中間支持体が、概略柱状をなし、その側周面に溝が設けられ、前記溝がスライド溝を形成する板体にはまるようにしたものが挙げられる。
【0016】
施工性をさらに向上させるためには、前記管継ぎ手が、隣り合うもの同士が互いに回転可能に連結された一連のユニット部材と、両端のユニット部材を連結して前記一連のユニット部材を環状にする締結具とを具備し、一対の配管の対向する端部に外嵌させるとともに前記締結具を締め付けることによってこれら配管同士を直列に接続するものであり、底部に位置する前記ユニット部材に、前記中間支持体が取り付けられるものが望ましい。従来であれば、配管に管継ぎ手を取り付ける際に、施工者が管継ぎ手を保持しなければならないが、このようなものであれば、管継ぎ手の底部のユニット部材をベース部材に保持させた後、管継ぎ手で配管を接続することができ、配管施工時に管継ぎ手を保持する必要がない。
【発明の効果】
【0017】
従って、本発明によれば、共通の中間支持体を用いながらも、中間支持体の部品点数の増加を招かず、構成を簡単化できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態における流体システムの側面図。
【図2】同実施形態における流体システムの平面図。
【図3】同実施形態における管継ぎ手の分解図。
【図4】同実施形態における管継ぎ手の固定状態を示す図。
【図5】同実施形態における管継ぎ手のA−A線縦断面図。
【図6】同実施形態における管継ぎ手の開放状態を示す図。
【図7】同実施形態におけるベース部材の全体斜視図。
【図8】同実施形態における中間支持体の全体斜視図。
【図9】同実施形態における中間支持体と管継ぎ手とを取り付けた状態を示す側面図。
【図10】同実施形態における中間支持体を介して管継ぎ手及びベース部材を取り付けた状態を示す部分縦断面図。
【図11】同実施形態における流体システムの組立工程の初期状態を示す平面図。
【図12】同実施形態における流体システムの組立工程の途中経過を示す平面図。
【図13】本発明の他の実施形態における中間支持体と管継ぎ手とを取り付けた状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の一実施形態に係る流体システム100について、図面を参照して説明する。
【0020】
本実施形態に係る流体システム100は、例えば、半導体製造装置にプロセスガス等を供給するガスパネル装置を構成するものであり、図1に示すように、流体の状態を制御又は測定するための複数の流体機器40を配管50及び管継ぎ手24を用いて接続することにより構成した流体回路装置101と、前記流体回路装置101を保持する保持機構102とを具備する。なお、流体機器40とは、例えば、圧力センサ、マスフローコントローラ、バルブ等である。
【0021】
流体回路装置101は、図2に示すように、複数の流体機器40を縦横に配置して平面的に接続することにより構成したものである。より詳しくは、複数の流体機器40を直列に配置し、隣り合う流体機器40間を配管50及び管継ぎ手24を用いて接続して、横流体ラインを構成し、平行に並べた横流体ライン同士を同様に配管50及び管継ぎ手24を用いて接続して、縦流体ラインを構成して、各流体ラインによって流体回路装置101を構成している。なお、説明の便宜上、横流体ラインの延伸方向を横方向、縦流体ラインの延伸方向を縦方向とする。
【0022】
流体機器40を配管50及び管継ぎ手24を用いて接続する継ぎ手機構20について説明する。まず、配管50について説明する。配管50は、図3に示すように、流体機器40の導出入ポートに予め基端が接続してあり、その先端部には後述するフランジ部21が設けられている。なお、ここでは配管50には全て同一径のものを用いている。
【0023】
継ぎ手機構20は、図3に示すように、配管50の先端部外周に一体形成したフランジ部21と、フランジ部21間に介在するガスケット22と、フランジ部21同士の軸あわせをする位置決めリング23と、フランジ部21を圧接結合する管継ぎ手24とを具備する。
【0024】
フランジ部21は、図5に示すように、概略円環板状をなすものであり、その先端面(以下対向面ともいう)には、円環状をなす突起21aが設けられている。フランジ部21の裏面には、先端に向かうにつれ径が広がる傾斜面21bが形成されており、フランジ部21の側周面における先端部分21cには段部を形成して、側周面の他の部分よりも径が小さくなるように構成してある。
【0025】
ガスケット22は、図5に示すように、等厚円環板状をなし、その内径が配管50の内径と、その外径がフランジ部21の先端部分21cの外径と一致する。
【0026】
位置決めリング23は、図5に示すように、円筒形状をなし、その内径は、フランジ部21の先端部分21cの外径と一致するように設定され、フランジ部21の先端部分21cにガタ無く外嵌するようにしてある。
【0027】
管継ぎ手24は、図4に締結状態を、図6に開放状態を示すように、隣り合うもの同士が互いに回転可能に連結された一連のユニット部材25と、両端のユニット部材25を連結して前記一連のユニット部材25を環状にする締結具26とを具備するものである。各ユニット部材25(ここでは3つ)の内周面には、周方向にのびる有底嵌合溝が設けてある。そして、この嵌合溝の側面にはフランジ部21の裏面に形成した傾斜面21bに対応する傾斜面25bが形成されている。また、締結状態において底部に位置するユニット部材25には、肉厚部25aが設けられ、その肉厚部25aに設けられためねじ孔に連結部材(ここではボルト)が螺合して、後述する中間支持体10が取り付けられる。
【0028】
このような継ぎ手機構20によって、配管50同士を接続する場合には、まず、一方の配管50におけるフランジ部21の先端部分21cに位置決めリング23の一端部を外嵌させる。次に、位置決めリング23の他端部に、ガスケット22と他方の配管50に設けたフランジ部21先端部分21cとを順次はめ込む。これにより、各フランジ部21及びガスケット22が中心軸を一致させて保持される。
【0029】
次に、図6に示すように、両端のユニット部材25が締結具26によって連結されていない開放状態における、管継ぎ手24の嵌合溝にフランジ部21を嵌め込む。そして、図4に示すように、管継ぎ手24の両端のユニット部材25を締結具26によって結合して締め付ける。これにより、管継ぎ手24の内径が狭まり、嵌合溝の傾斜面25bが、フランジ部21の傾斜面21bを径方向に押圧する。その際、図5に示すように、フランジ部21の傾斜面21bによって、フランジ部21を軸方向に密着させる向きに押圧する分力が発生し、この分力によって、フランジ部21同士が、その円環突起21aをガスケット22に食い込ませて圧着し、配管50同士が気密に接続される。
【0030】
保持機構102は、図1に示すように、ベース部材30と、前記流体回路装置101及び前記ベース部材30間に介在してこれらを結合する中間支持体10とを具備する。
【0031】
ベース部材30は、図7に示すように、概略面板状をなすものであり、その一面(以下取付面ともいう)に中間支持体10を介して流体回路装置101を取り付けるものである。ベース部材30は、複数の板体33と、一対の保持板34と、板体33と保持板34とを連結する連結部材35(ここではボルト)とを具備する。
【0032】
板体33は、横方向に延びる長尺矩形状をなす等厚板であり、それらの長手方向の長さは一致する。板体33は、その面板部を面一にし、かつ互いに隙間を空けて平行に並べてある。両端に配置された板体33を除く全ての板体33には、後述する第2スライド溝32が厚み方向に貫通させてある。その板体33の下面端部には、厚みのある細長い板状をなす一対の保持板34を、連結部材35を用いて取り付けてある。
【0033】
ベース部材30には中間支持体10の他端部をスライド嵌合させる第1スライド溝31及び第2スライド溝32が形成してある。第1スライド溝31は、各板体33の間に横方向に伸びる隙間が形成するものであり、第2スライド溝32は、第1スライド溝31からその延伸方向とは異なる方向(ここでは第1スライド溝31に直交する方向である縦方向)に分岐するように形成してある。ここで、板体33には同じ位置に第2スライド溝32を形成して、それらの板体33を並べた状態において、第2スライド溝32が一直線上に並ぶようにしてあるが、板体33の第2スライド溝32を異なる位置に設けて、第2スライド溝32がずれるように構成しても構わない。
【0034】
中間支持体10は、図8に示すように、中空の概略円柱状をなすものであり、その一端部を管継ぎ手24に、その他端部をベース部材30に取り付けられて、管継ぎ手24をベース部材30に接続するものである。具体的に中間支持体10は、頭部11と、台座部13と、頭部11及び台座部13とを接続する首部12とを具備し、一体に形成されている。
【0035】
頭部11は、概略円筒形状をなし、その上面に溝状をなす凹部15が設けてある。台座部13は、概略円筒形状をなし、首部12は、頭部11及び台座部13よりも細い概略円筒形状をなす。そして、頭部11の下面及び台座部13の上面及び首部12の側周面が、中間支持体10の側周面に円環形状をなす溝16を形成するとともに、頭部11及び台座部13及び首部12の内周面が、頭部11及び台座部13及び首部12の内部を軸方向に貫通する貫通孔14が形成するように構成してある。
【0036】
図9に示すように、中間支持体10の凹部15には、管継ぎ手24の底部に設けられた肉厚部25aが嵌め込まれている。図10に示すように、連結部材(ここではボルト)が、中間支持体10の貫通孔14を貫通し、管継ぎ手24の肉厚部25aに設けられためねじ孔に螺合して、管継ぎ手24と中間支持体10とを連結している。
【0037】
図10に示すように、中間支持体10の溝16の幅は、板体33の厚みよりも若干大きく設定してある。また、中間支持体10の首部12の外径は、各スライド溝31、32の幅よりも若干小さく、中間支持体10の頭部11及び台座部13の外径は、各スライド溝31、32の幅よりも大きく設定してある。このように構成された溝16は、スライド溝31、32を形成する板体33にはまっており、その結果、中間支持体10をベース部材30に旋回自在に接続するとともに、中間支持体10を、ベース部材30に少なくとも一定範囲内で姿勢を変えることができる又は移動できるようにガタを有して取り付けている。なお、旋回自在に接続するとは、ベース部材30の取付面に対して垂直な軸を中心軸として回転することができ、その全ての回転角度において、中間支持体10がベース部材30に接続された状態を保つことができることをいう。
【0038】
図2に示すように、中間支持体10は各スライド溝31、32に配置されており、その中間支持体10には管継ぎ手24が取り付けられている。横流体ラインの流体機器40は第1スライド溝31に配置された管継ぎ手24によって接続され、縦流体ラインの流体機器40は第2スライド溝32に配置された管継ぎ手24によって接続されている。
【0039】
本実施形態の流体システム100を組み立てる工程の一例について説明する。図11に示すように、ベース部材30の第2スライド溝32の基端部の一部には、切り欠きを形成して、その第1スライド溝31と第2スライド溝32との分岐部36を、中間支持体10の他端部を挿通させることができる大きさにしてある。この切り欠きが形成された分岐部36が、請求項でいう幅広部37に相当する。その幅広部37に対して、管継ぎ手24を取り付けた中間支持体10を挿通させる。そして中間支持体10の首部12が幅広部37に挿通している状態で、中間支持体10を各スライド溝31、32に沿って移動させて、中間支持体10の溝16に板体33をはめこむ。同様に中間支持体10をベース部材30に取り付けていき、図12に示すように、第1スライド溝31及び第2スライド溝32に中間支持体10を複数配置する。なお、幅広部37が形成されていない第1スライド溝31に中間支持体10を取り付けるには、保持板34を取り外して、ベース部材30の側面から中間支持体10をスライドさせるようにしている。
【0040】
さらに、管継ぎ手24を、両端のユニット部材25が締結具26によって連結されていない開放状態にする。そして、底部に位置するユニット部材25に対向させた配管50を載せた後、管継ぎ手24を締結状態にして流体機器40同士を接続する。組立工程の他の例としては、流体機器40を管継ぎ手24を用いて接続した後、中間支持体10を管継ぎ手24及びベース部材30に取り付けるようにしたものが挙げられる。なお、流体機器40を取り外すときは、逆の手順で行う。
【0041】
本実施形態に係る流体システム100によれば、中間支持体10は管継ぎ手24に取り付けられているので、高さの異なる中間支持体10を用いる必要がなく、共通の中間支持体10を用いることができる。また、管継ぎ手24は比較的肉厚であり、そこにねじ孔を設けることはさして困難ではないことから、中間支持体10を柱状体などのような簡易な構造としても、この中間支持体10をねじによって直接管継ぎ手24に取り付けることが容易にできる。さらに、中間支持体10を管継ぎ手24及びベース部材30に取り付けた後、流体機器40を管継ぎ手24を用いて接続したり、又は、流体機器40を管継ぎ手24を用いて接続した後、中間支持体10を管継ぎ手24及びベース部材30に取り付けたりするなど、取付状況に応じて好適な取付手順を選択することができ、施工性を向上させることができる。
【0042】
また、同じ位置に第2スライド溝32を形成した板体33を用いているので、第2スライド溝32を一列に並べることができ、第2スライド溝32に配置した管継ぎ手24を用いて、複数の流体機器40を直列に接続して構成された横流体ライン同士を接続することができる。さらに、第1スライド溝31とは異なる方向に延びる第2スライド溝32を設けているので、第1スライド溝31及び第2スライド溝32に配置した中間支持体10を介してベース部材30と管継ぎ手24とを取り付けることにより、別途固定のための部材を設けることなく、流体回路装置101を固定することができる。加えて言えば、各スライド溝31、32の分岐部36を幅広部37としているので、各スライド溝31、32の途中から中間支持体10を着脱することができる。
【0043】
なお、本発明は本実施形態に限られるものではない。例えば、各スライド溝の連結部の一部を幅広部としたが、各スライド溝の連結部の全てを幅広部としても良いし、各スライド溝の連結部でない部分に幅広部を設けても良い。また、中間支持体は幅広部から挿通させるものとしたが、ベース部材の保持板を取り外して、ベース部材の側面から挿通させてもよい。
【0044】
中間支持体はベース部材にネジ止め等によって連結されるものであってもよい。第2スライド溝は第1スライド溝から分岐するものとしたが、板体の短手方向の側面から、第1スライド溝の延伸方向とは異なる方向に延びるものとしてもよい。
【0045】
加えて言えば、継ぎ手機構は位置決めリングを具備するものとしたが、位置決めリングを省略して構成してもよい。このようなものであれば、部品点数を減らすことができるとともに、流体機器を着脱する際に、流体機器に接続された配管を位置決めリングの幅だけ軸方向に移動させて、位置決めリングを着脱する必要がなく、配管施工を容易にできる。特に、平行に並べた横流体ライン同士を接続する縦流体ラインの流体機器を着脱する場合のような、流体機器の軸方向の移動が制限されている場合、この効果は一層顕著なものとなる。
さらに、図13に示すように、割れ等を防止すべく強度維持のために、ユニット部材25の中間部に、外側に張り出す肉厚部25eを設けても良い。この肉厚部25eは、ユニット部材の幅と同じであっても良いし、それより小さくても良い。要は、強度維持のための最低限の大きさであることが望ましい。
その他、本発明は各構成を組み合わせてもよく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0046】
100・・・流体システム
101・・・流体回路装置
102・・・保持機構
10・・・中間支持体
24・・・管継ぎ手
30・・・ベース部材
31・・・第1スライド溝
32・・・第2スライド溝
33・・板体
40・・・流体機器
50・・・配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の状態を制御又は測定するための複数の流体機器を配管及び管継ぎ手を用いて接続することにより構成した流体回路装置と、前記流体回路装置を保持する保持機構とを具備した流体システムであって、
前記保持機構が、ベース部材と、前記流体回路装置及び前記ベース部材間に介在してこれらを結合する中間支持体とを具備したものであり、
前記中間支持体が、その一端部を前記管継ぎ手に、その他端部を前記ベース部材に取り付けられて、前記管継ぎ手を前記ベース部材に接続するものである流体システム。
【請求項2】
前記中間支持体が、前記管継ぎ手を前記ベース部材に旋回自在に接続する請求項1記載の流体システム。
【請求項3】
前記中間支持体が、前記ベース部材に、少なくとも一定範囲内で姿勢を変えることができる又は移動できるようにガタを有して取り付けられた請求項1又は2記載の流体システム。
【請求項4】
前記ベース部材が、前記中間支持体の他端部をスライド嵌合させる第1スライド溝及び第2スライド溝を形成したものであり、
前記第2スライド溝が、前記第1スライド溝からその延伸方向とは異なる方向に分岐するものであることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の流体システム。
【請求項5】
前記第1スライド溝又は前記第2スライド溝に、前記中間支持体の他端部を挿通させることができる大きさの幅広部を設けた請求項4記載の流体システム。
【請求項6】
前記ベース部材が、長尺矩形状をなす複数の板体を具備し、前記板体が互いに隙間を空けて配置され、前記隙間が前記第1スライド溝を形成するとともに、前記板体に第2スライド溝が形成された請求項4又は5記載の流体システム。
【請求項7】
前記中間支持体が概略柱状をなし、その側周面に溝が形成され、当該溝が前記スライド溝を形成する前記板体にはまって、前記中間支持体が前記ベース部材に接続される請求項6記載の流体システム。
【請求項8】
前記管継ぎ手が、隣り合うもの同士が互いに回転可能に連結された一連のユニット部材と、両端のユニット部材を連結して前記一連のユニット部材を環状にする締結具とを具備し、一対の配管の対向する端部に外嵌させるとともに前記締結具を締め付けることによってこれら配管同士を直列に接続するものであり、
底部に位置する前記ユニット部材に、前記中間支持体が取り付けられる請求項1乃至7いずれか記載の流体システム。
【請求項9】
流体の状態を制御又は測定するための複数の流体機器を配管及び管継ぎ手を用いて接続することにより構成した流体回路装置とともに用いられるものであって、
ベース部材と、前記流体回路装置及び前記ベース部材間に介在してこれらを結合する中間支持体とを具備し、
前記中間支持体が、その一端部を前記管継ぎ手に、その他端部を前記ベース部材に取り付けられて、前記管継ぎ手を前記ベース部材に接続して、前記流体回路装置を保持する保持機構。
【請求項10】
流体の状態を制御又は測定するための複数の流体機器を配管及び管継ぎ手を用いて接続することにより構成した流体回路装置と、前記流体回路装置を保持するベース部材とともに用いられるものであって、
前記流体回路装置及び前記ベース部材間に介在してこれらを結合するものであり、その一端部を前記管継ぎ手に、その他端部を前記ベース部材に取り付けられて、前記管継ぎ手を前記ベース部材に接続する中間支持体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−37050(P2012−37050A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151992(P2011−151992)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(594165734)イハラサイエンス株式会社 (40)
【出願人】(000127961)株式会社堀場エステック (88)
【Fターム(参考)】