説明

流体ディスペンサ組立品

流体ディスペンサ組立品であって、流体ディスペンサ(101)と、ディスペンサに固定される様態でディスペンサと協働するパック(120)と、を有し、当該パックは固定用領域を有し、前記ディスペンサは固定用領域を収容する収容手段を有し、特徴となるのは、前記収容手段が、パックの前記固定用領域(121)を収容するために、2つの対向する長手方向グルーブ(111)の組を少なくとも1つ有することである、という前記組立品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体ディスペンサとパックとを有し、当該ディスペンサとパックとはパックをディスペンサに固定する様態で協働する、という流体ディスペンサ組立品に関する。
【背景技術】
【0002】
「流体」という用語は、液体、ペースト、あるいは粉末まで、適用面に塗布したり環境中に散布したりするのに適したものを指す。具体的には、こうした型のディスペンサ組立品は、薬剤、化粧品、さらには香水の分野で見られる。
従来技術として、特許文書:FR 2 784 361号で記述されている流体パッケージは、変形可能な駆動壁をパックに囲まれた形で備えたディスペンサを有し、当該パックがディスペンサの壁の駆動を可能にする、というものである。当該文書におけるディスペンサは、実質的に平らまたは薄い形状を示している。一方の側面では、ディスペンサは完全に平らであり、もう一方の面には、押下可能な駆動壁を形作る凸形ドームが形成されている。そうして、一方の手の1本の指などを用いて駆動壁を押さえると、ディスペンサの貯蔵器の内部容積が小さくなり、中に含まれる流体の一部を気体(例えば空気)と混合した形で放出させることができる。そうして、流体と空気との混合物がディスペンサの開口部から噴霧される。パックは、駆動壁を覆うフラップの形で、少なくともディスペンサの貯蔵器の上に広がっている。断面で見ると、パックはシリンダの部分の形をしている。言い換えれば、駆動壁を覆っているフラップはカーブした形状を示すが、パックの他の部分は、ディスペンサの平らな背面を覆っているに過ぎない。パックは、背面において、および/または、駆動壁が形作られた正面のエッジにおいて、ディスペンサに接触しているか固定されるかしている。それは、特別なディスペンサと特にそれに適合させた形のパックとを実装した、特別な型のディスペンサ組立品である。それは特に、サンプル用のディスペンサに適している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、ディスペンサとパックとによって形成されるディスペンサ組立品として、別の種類のものを定義することである。ただし、ケースやボックスのような形の覆いではなく、ディスペンサの少なくとも一部が目に見える状態にしながら、これを囲むものである。
本発明はまた、パックのディスペンサへの組み付けを簡単かつ速やかに(効果的には単一の操作で)行えるようにすることを目的とする。
【0004】
さらに、本発明は、より簡単にマーキングを付けられるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの目的を達成するために、本発明が提案するのは、流体ディスペンサ組立品であって、流体ディスペンサと、ディスペンサに固定される様態でディスペンサと協働するパックと、を有し、当該パックは固定用領域を有し、前記ディスペンサは固定用領域を収容する収容手段を有し、特徴となるのは、前記収容手段が、パックの前記固定用領域を収容するために、2つの対向する長手方向グルーブの組を少なくとも1つ有することである、という組立品である。
【発明の効果】
【0006】
また、前記収容手段と前記固定用領域とは、固定面を延びていること、とするのが効果的である。
また、別の特徴として、前記ディスペンサには、前記固定面を延びる長手方向軸が見られること、とする。
また、前記ディスペンサは、前記固定面を延びる長手方向の対称軸を規定する、全体的に筒形の形状を示していること、とするのが効果的である。
【0007】
また、効果的な特徴として、パックはディスペンサのグルーブに、スライドで嵌め込まれる。パックはグルーブ内の所定位置に固定すればよい。また、反対に、スライドさせて取り外せることにしてもよい。
また、本発明に関する効果的な特徴で、単独で保護されうるものとして、前記パックはハウジングを有し、当該ハウジングは少なくとも部分的には平らな形であって、固定用領域を形成する実質的に平らなエッジを形作っている。
【0008】
また、固定用領域は、向かい合う2つの領域部分を有し、これら領域部分は、両者の間に、ディスペンサの収容手段と協働するハウジングギャップを形作っていること、とするのが好ましい。固定用領域は、効果的な構成として、2つのハウジングギャップを有する。これら2つのハウジングギャップは、同じ1つの固定面で延びる形とすればよい。また、本発明の別の側面として、パックには、パック内部の切抜きの形で閉じたハウジングが形成されており、ディスペンサは全体がパックに囲まれた状態となる。この特長により、ディスペンサの未使用が保証される。なぜなら、キャップはディスペンサヘッド上でパックの一部(キャップ上に位置している部分)によってブロックされ、それによってアクセス不能の状態にされているからである。効果的な構成として、パックは平たいうえに薄く、平らなシートから作られている。また、本発明の別の側面として、ディスペンサは、本体を形作る貯蔵器を有し、収容手段は前記本体に形成されている、とすることもできる。ディスペンサは取り外し可能な保護キャップを有し、収容手段が前記キャップに形成されている、としてもよい。また、効果的な構成として、本発明のディスペンサは、貯蔵器を有し、当該貯蔵器は、側壁と、底面部と、そして、開口部とを有し、前記側壁には、対向する2つの長手方向グルーブの組が形成されており、当該グルーブは、底面と開口部との間で、壁の高さ方向の少なくとも一部にわたって延びている、とすることもできる。また、グルーブの各々は、2つの実質的に対向する長手方向の壁を、底面部コアによって相互接続された形で有し、前記壁は、実質的に固定面を延びていること、とするのが好ましい。各グルーブは長手方向のアクセス壁を有し、当該壁が延びる方向は、固定面に対して実質的に垂直である、としてもよい。各グルーブはV字グルーブの形をしており、当該V字グルーブは、実質的に固定面を延びる長手方向の固定用壁と、実質的に固定面に対して垂直に延びるアクセス壁とを形作っている、としてもよい。
【0009】
以上のことから、これらの壁により、ディスペンサへのパックの設置をより簡単にすることができる。すなわち、ディスペンサの壁に対してパックを押しつけるだけで固定することができ、パックはディスペンサのグルーブの中にスナップ留めされる。
本発明の別の側面として、パックは、切り離し線をはさんで相互接続された2つの部分から成り、パックの上側の部分を切り離せば、ディスペンサヘッドが現れて、容易に駆動できるようになる。本発明の効果的な特徴によれば、パックの厚みは一定となっている。また、パックは、効果的な構成として、局所的に永続的な様態でディスペンサに固定される。本発明のこの特長により、ディスペンサに確実に固定され、ユーザは取り外すことができない、というパックを得ることができる。ただし、変形例として、パックをディスペンサから取り外せるようにしてもよい。
【0010】
従って、パックは、多少とも硬さを有するシートの形とし、効果的な構成として単一の面を延びる複数エッジを有したハウジングを形作ることとすればよい。エッジは、ディスペンサの貯蔵器および/またはキャップに形成されたグルーブの中に固定されることになる。エッジをグルーブに固定する手段については、単なるクランプ留めでもよいが、接着剤や熱シール処理を用いてグルーブ内に接着してもよい。パックは、全体を平らにするのが好ましいが、プロフィールを付けた部分やレリーフにした部分を有していてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明について、これ以降、本発明のディスペンサ組立品に関し、非限定的な例としての6つの実施の形態を示す添付図面を参照しながら、さらに詳細に説明する。
図に示す6つの実施の形態において、ディスペンサ組立品は2つの構成部材を有する。すなわち、流体ディスペンサとパックとであり、パックとディスペンサとは、パックがディスペンサに固定される形となるような様態で協働する。留意すべき点として、発明の詳細な説明で示される参照番号は、連続する実施の形態において100ずつ加算される。最初となる第1の実施の形態では100番台の数字であり、最後となる第6の実施の形態では600番台となる。同一または同等の部材または領域については、10および1の位の数字は同一となり、100の位の数字のみが実施の形態ごとに異なる。
【0012】
ディスペンサについては、各実施の形態においてそれぞれ、101,201,301,401,501,601という番号で参照され、パックについては、それぞれ、120,220,320,420,520,620という番号で参照される。ディスペンサ101,201,401は同一のものである。
最初に、図1(a)〜(d)を参照しながら、第1の実施の形態のディスペンサ101およびパック120について詳細に説明する。
【0013】
本ディスペンサはサンプルとして使用することができるが、これを本発明にとって可能な唯一の実施の形態と考えるべきではない。サンプル用ディスペンサは、単に好ましい実施の形態を構成するに過ぎない。
ディスペンサ101は、貯蔵器110と、ポンプ140の形をとったディスペンサ部材と、固定リング130と、そして、取り外し可能なキャップ160とを有する。リング130とキャップ160とは必須の部品ではなく、状況によっては省くことができる。ポンプ140は、直接貯蔵器110の中に設置することが可能であり、キャップを持つ必要はない。本発明の説明のために選択したディスペンサ(すなわち、ポンプ140)を、本発明の文脈の中で唯一可能なディスペンサ部材と考えるべきではない。ポンプの代わりに、アプリケータ型またはクロージャ型のディスペンサエンドピースを用いても、同様に問題なく使用できるであろう。また、貯蔵器を閉じる単純なストッパもディスペンサ部材として用いることが可能であろう。
【0014】
貯蔵器110は底面部115と、開いた端部113を有する本体(または管)116とを有する。当該端部113には開口部が形作られており、この開口部を介して、貯蔵器内に流体を入れたり、流体を取り出したりすることができる。管116は、目に見える外表面114を有する。本実施の形態における面114の形状は、管116の高さ全体にわたって、円い筒状となっている。ただし、管116については、筒状ではあるが円くはない、あるいは、高さ方向および周囲のごく一部にわたってのみ部分的に筒状である、という形すら考えられる。筒状ではない外面も考えられるが、そうすると、本発明の製造および実装が両方とも複雑になってしまう。貯蔵器110はプラスチック素材で作るのが好ましいが、ガラスや金属で作ることも可能であろう。貯蔵器の容積は数ミリリットルとすればよい(例えば1〜10ミリリットル(mL)、好ましくは約2mL)。
【0015】
また、固定用リング130は、プラスチック素材の射出成形で作ることができ、従来通りの形として、貯蔵器の内側に嵌められるスカートと、ポンプ140をリング内の所定位置に保持するための収容手段と、貯蔵器110の頂上端部エッジ113の上に載る形で接する状態になる接触カラー131と、そして、カラー131から上向きに延びるブッシング132(必須ではない)とを有する。リングの機能は、ポンプを貯蔵器に対して安定した様態で固定することである。こうした、安定した形での固定は、ポンプを貯蔵器の中に直接嵌めることで実現できる。固定用リングの具体的な形状は、本発明にとって重要なものではない。ただし、留意すべき点として、カラー131の外径は、外表面114での管116の外径と実質的に等しく、それによって、カラー131は管116と一直線上に並んで上方向に延びる形となる。
【0016】
ポンプ140は、図では詳細を示していないが、リング内に嵌められるポンプ本体141を有する。ポンプ本体141は取入口を有し、当該取入口にはディップチューブ144を設けることもあり得る。チューブ144は、流体を取り出せるように、貯蔵器110の内部に延びる。反対側の端部に、ポンプ本体は、上下移動する駆動ロッドを備えている。当該ロッド上にはディスペンサヘッド142が設置されており、これは、本実施の形態では駆動プッシュボタンとして働く。ユーザは、指(好ましくは人差し指)を使ってプッシュボタンを押さえることで、ポンプを駆動することができる。プッシュボタンは更に投与開口部143を備え、当該開口部は、状況によっては、スプレー型とすることができる。滴の形での投与も考えられる。
【0017】
キャップ160には頂上端部面161が見られ、ここから、目に見える外面を形作る筒状ケース162が延びている。ケースの外面における外径は、実質的または厳密に、管116およびカラー131の外径と一致しており、それによって、キャップは管およびカラーと一直線上に並んで上方向に延び、全く不連続箇所が見られない状態となる。当然のことながら、ケースの形状は完全な筒状でなくともよい。
【0018】
図1(a)〜(d)に見られるように、サンプルディスペンサの形状は、一定で、全体的に筒状または管状となっている。本ディスペンサには、長手方向の対称面と長手方向の対称軸とが両方とも見られる。キャップは、カラー131に受け止められる形で接すると共に、ブッシング132とラビング(rubbing)接触する状態になる底面側端部を有する。
【0019】
本発明では、ディスペンサは収容手段111を有し、当該手段は、長手方向グルーブの形で貯蔵器110に形成されており、貯蔵器の管116の高さ方向の全体または一部にわたって延びている。本グルーブは、径方向に向かい合う様態で長手方向に延びる2本のグルーブによって成る。グルーブは底面部115から延び、管116に沿って上に進み、開いた頂上端部113の近くにまで達する。グルーブは、ほぼ平行に延びる形で、2つの対向する壁1111を有している。ただし、壁1111が相対角度を有する状態で延びる形も考えられる。壁1111は、それらの長手方向エッジの一方において、底面部コアで相互接続されていると同時に、もう一方の長手方向エッジでは、グルーブの中に開くアクセス開口部が形作られている。対向する壁1111は管116の外表面114につながっている。これは、図1(c)にはっきりと見られる。こうして、図面に見られるように、2つのグルーブ111が、内部にディップチューブ144が延びるディスペンサの軸方向対称軸に関して、対向する様態で延びている。グルーブに通じるアクセス開口部は径方向に見て対向している。
【0020】
本発明では、対向する長手方向グルーブ111は両方とも、固定面P(図1(b)および1(c)に見られる)を延びている。固定面Pはディスペンサ101を通過し、これを対称的かつ同一の2つの部分に分けている(ディスペンサ開口部143の位置は除く)。固定面Pがディスペンサの対称面で延びる、あるいは、ディスペンサの対称軸が固定面P内で延びる形となっている。これは、ディスペンサの形状、具体的には、貯蔵器およびキャップの形状による。固定面については、ディスペンサの対称面に対して垂直な方向、平行な方向、あるいは、オフセット状態で延びる形とすることも可能であろう。
【0021】
壁1111については、固定面Pを延びる実質的に縦長の構造を保ちながら、プロフィール、ノッチ、ラプチャ(rupture)、またはスロープを備えた形で形成することも可能である。また、底面部コア110を、こうしたプロフィール、ノッチ、またはスロープを備える形で形成することもできる。
2つのグルーブから成るセットが収容部分を形成しており、当該部分は効果的な構成として、固定面Pで延びている。
【0022】
パック120は、効果的な構成として、プラスチック素材、金属、または両者の組み合わせから作ることができる。パックは、全体を平らにして単一の面でだけ延びるようにするのが好ましい。また、パックの壁の厚みについては、実質的または完全に一定とするのが好ましい。ただし、パックが完全には平らではない実施の形態を想像することも可能であり、その場合、パックは、全体的な面から外れる形で延びたプロフィール、グルーブ、モールディング、またはリムが形成されるが、パックの全体的にほぼ平らな外見が損なわれないようにする。また、一例として、パックにひだをつけることも考えられる。さらに、パックについては、部分的に筒状あるいは管状で、開いたまたは閉じた形状とすることまで可能である。
【0023】
本発明では、パック120が固定用ハウジング122を形作り、当該ハウジングは、本実施の形態では、パックの外側エッジから始まる形で形成された切り抜きの形となっている。よって、ハウジング122は、エッジ127によって形作られたアクセス通路126の位置で、外に向かって開いている。エッジ127の下では、2つの対向する長手方向エッジ121がハウジング122に形成されており、これらエッジ121は底面部エッジ1235によって相互接続されている。本発明では、エッジ127,121,1235の一部または全部によって、収容手段の位置でディスペンサ101と協働する固定用領域が形成される。好ましい構成として、固定用領域は対向する長手方向エッジ121によって形成されており、さらに、これらエッジが固定用領域部分を2つ形成し、当該領域部分は、ディスペンサ101を格納するためのハウジングギャップを両者の間に形作っている。
【0024】
ハウジング122は、図1(a)〜1(d)に示す実施の形態では、長手方向に見て中央または中心の位置を占めている。従って、ハウジング122が2つの側面フィン124を隔てる形となっているが、これらフィンは底面部プレート123によって相互接続されている。
本発明では、パック120の固定用領域121は、単一の面に位置している。ハウジング122に形成されたエッジは全て、好ましい形として、単一の面を延びている。さらに好ましい点として、パック全体が単一の面を延びている。
【0025】
本発明では、パックの固定用領域がディスペンサの収容手段と協働することで、パック120をディスペンサ101に固定する。さらに厳密に、そして好ましい形として、ハウジング122の対向する長手方向エッジ121のそれぞれが、ディスペンサの有する対向する長手方向グルーブのいずれかに挿入される。当然のことながら、エッジ121におけるパックの壁の厚みは、壁1111同士の間に取られたグルーブの幅にほぼ等しい。パックの壁の厚みについては、ハウジングのエッジをグルーブ内に確実に保持できるように、グルーブの幅よりもわずかに大きくするのがむしろ好ましい。エッジ121は、面Pにおける軸に沿ってスライド嵌め込みする形で、グルーブ111に嵌めることができる。変形例では、パック120をディスペンサ101に横から装着する形とすることができ、その場合は、変形させた後にスナップ留めするという方法で、ハウジング122のエッジ121を嵌める形となる。
【0026】
図1(a)〜1(d)に示す実施の形態では、ハウジング122の固定用エッジ121は、収容グルーブ111と同じ固定面Pを延びている。加えて、図1(b)、1(c)に見られるように、パック全体も固定面Pを延びている。
本実施の形態では、パックは貯蔵器110までしか延びておらず、その頂上側端部はカラー131のすぐ下で止まっている。エッジ127は管の外側面114を囲む形で延びている。底面部115は、プレート123およびエッジ1235に対し、上に載る形で接触状態になる。
【0027】
ディスペンサ101はこうして、完全に中心にくる形で、パック120内に保持される。クリンプ留めや摩擦力などによる単純で物理的な固定技術だけで、充分にディスペンサをパック内に保持することができる。ただし、ハウジング122のエッジ121をディスペンサのグルーブ111に固定する手段としては、接着剤や熱シール処理を用いることも考えられる。
【0028】
パック120については、ある程度、変形に対して強固さを有するものとすることも可能である。そうすれば、外側の側面エッジを、ディスペンサ組立品を保持するためのハンドル領域として使えるので、人差し指を用いたポンプの駆動が可能となる。本ディスペンサ組立品の全体的な作りは、フラスコなどの形をした貯蔵器の上にディスペンサポンプが設置される形で構成された、従来通りのディスペンサのそれである。
【0029】
完全に、または実質的に平らな作りとなっていることで、パックには表示領域が作られ、ここに、あらゆる形のマーキングや中身の流体に関する情報を表示することができる。さらに、注目すべき点として、パックのためにディスペンサが外から見えない状態になることはない(収容手段の位置は例外)。そのため、ディスペンサについても、マーキング表示領域として利用できる。
【0030】
本ディスペンサ組立品の使用にあたっては、ユーザは、一方の手でこれを持ち、もう一方の手でキャップ160を取り外してから、パック120を介してディスペンサ組立品を保持しているのと同じ手を使ってディスペンサヘッドを駆動する。また、変形例として、ディスペンサへのパックの固定様態が永続的なものでない場合、ユーザは、使用前にパックを取り外すこともできる。
【0031】
図2(a)〜2(d)に示す実施の形態が実装しているディスペンサ201は、第1の実施の形態におけるディスペンサと、完全または実質的に同一である。しかし、パック220については、第1の実施の形態におけるパックと異なり、ファン224と位置をそろえる形で上向きに延びた、2つの側面拡張部225を更に有している。拡張部225は、弱くしたライン(line of weakness)228を介してフィン224に接続されており、当該ライン228は、拡張部225をパックの他の部分から分離するためのものである。拡張部225は、ハウジング222を上方向に延長し、拡張部エッジ227を形作る、という様態で延びている。図2(a)および2(d)を見れば、拡張部225がキャップ260の両側面で延びていることがはっきり見て取れる。これにより、キャップ260が取り外されても、2つの側面拡張部225が存在するため、ディスペンサヘッドを押下してディスペンサを駆動することは非常に困難である。対照的に、拡張部225が切り取られてしまえば、パックの全体的な作りは、実施の形態1における作りと実質的に類似したものになる。そうすれば、ディスペンサは容易に駆動できる。拡張部225により、マーキング表示領域を拡大することができると共に、装置が一度も使用されていないことをユーザに保証する未使用安全機能を提供することも可能となる。
【0032】
留意すべき点として、この第2の実施の形態のハウジング222も、アクセスパッセージ226の位置で外に向かって開いている。パック220をディスペンサ201に固定する手段は、クランプ留め、接着剤、熱シール処理、どんなものを用いてもよい。
図3(a)、3(b)に示す第3の実施の形態では、パック320は、第2の実施の形態において参照番号220で示したパックと同一とすることができる。ディスペンサ301が、第1および第2の実施の形態におけるディスペンサと異なるのは、キャップ360が収容手段366を有する点であり、当該手段もまた、対向する位置にある複数の長手方向グルーブの形にするのが効果的である。グルーブ366もまた共通の固定面Pを延びており、これは図3(b)に見られる。本実施の形態で、グルーブ366を形成するのは、キャップ360の筒状ケース362から突き出した側面補強部である。パック320に形成された補強部325のエッジ327は、キャップの両側でグルーブ366に嵌め込まれる。拡張部325は、単に力嵌めの形で保持することも可能であるし、それ以外に、接着剤や熱シール処理を用いて固定することもできる。パックは、キャップ360に固定されると共に、貯蔵器310にも、エッジ321をグルーブ311に嵌め込む形で固定されるため、弱くしたライン328の位置で拡張部325をパックの残り部分から分離しない限り、キャップ360を取り外すことはできない。その結果、本実施の形態でのパックは、装置が一度も使用されていないことを保証する機能も現実的に果たすことになる。パックを取り外さない限りキャップを取り外すことはできないからである。
【0033】
エッジ327は固定用領域部分を形成し、これら部分はディスペンサを格納するための第2ハウジングギャップを形作っている。2つの固定用部分は、グルーブ311およびエッジ321と同じ、単一の固定面Pを延びる。
図4(a)〜4(f)に示す第4の実施の形態では、ディスペンサ401は、第1および第2の実施の形態におけるディスペンサと同一とすることができる。図4(d)に見られるように、貯蔵器410にだけ、単一の固定面Pに位置する形で、収容手段が形成されている。パック420には拡張部分425が設けられており、キャップ460を囲む形で延びている。拡張部分425と第2および第3の実施の形態における拡張部225、325との違いは、キャップ460の上を延びる頂上接続部分429を更に有する点である。その結果、パック420に形作られたハウジング422は、外に開いたアクセスパッセージを持たない点で上述のハウジングと異なったものになっている。そのため、ハウジングは、パック内部に設けられた切抜きまたはウィンドウの形となる。拡張部分425によって、表示領域は、第1、第2、第3および第4の実施の形態よりも更に広くなる。また、当該部分425は、キャップの取り外しを防止することで、未使用安全機能も果たす。弱くしたライン428の位置で拡張部分425を切り取った後に、初めてディスペンサの駆動が可能となる。
【0034】
図5(a)〜5(d)に示す第5の実施の形態では、パック520は、図4(a)〜4(f)における第4の実施の形態でのパックと同一である。ディスペンサ501は、第3の実施の形態のように、収容手段566をキャップ560上に有する。加えて、貯蔵器510の収容手段511の各々は、グルーブの全長または一部分にわたって長手方向に延びたアクセス壁570を有する。長手方向のアクセス壁570の各々には、固定面Pに対してほぼ垂直に伸びる構成要素が見られる(図5(b)参照)。アクセス壁570によって、グルーブ511を形成する壁5111の幅は短くなる。従って、パック520の固定用領域を形成しているエッジ521を、グルーブ511によって形成された収容手段に嵌め込むことが、より容易になる。2つのアクセス壁570の上にエッジ521をスライドさせる形でパック520をディスペンサ上に置くだけでよい。パックをディスペンサの上に押さえつけると、エッジはスライド移動し、最終的に、グルーブ511内にスナップ留めされた状態になる。アクセス壁570は、貯蔵器の管の外表面514の全体的には筒状の形状に、さらに不連続箇所を作り出す。
【0035】
図6(a)、6(b)に示す第6の実施の形態では、パック620は、第5の実施の形態におけるパックと同一とすることができる。対照的に、ディスペンサ601は、キャップ上の収容手段を有していない点で、上述のディスペンサと異なっている。さらに、本実施の形態では、グルーブ611はV字グルーブの形となっていて、実質的に底面部コアを有していない。そうして、各V字グルーブは、受け止め壁(bearing wall)6111を固定面Pの位置に有すると共に、嵌め壁またはアクセス壁671を、固定面に対してほぼ垂直に延びる形で有している。ただし、V字グルーブは、パックのエッジ621用のスナップ留めグルーブを提供することもできる。また、接着剤または熱シール処理によって、パックを受け止め壁6111に固定することも考えられる。
【0036】
全ての実施の形態において、収容手段はディスペンサに、固定用領域はパックに形成されており、両者とも同じ固定面Pで延びている。固定用領域は、1対または2対の固定用部分によって形成することができ、それらの各々は、貯蔵器および/またはキャップと協働する1対のエッジによって形成されている。
全ての実施の形態において、パックは、単一の面を延びるハウジングを有する。これは、ハウジングが、ボックスやケースのように3次元的ではなく、2次元的であることを意味する。ハウジングの2次元的特性は、独立して実装できる点で特徴的である。
【0037】
図には示していないが、固定面が、ディスペンサの対称軸を横切る状態、または直交する状態で延びている、という形を考えることもできる。
ディスペンサへのパックの固定をより容易にするために、固定用領域または収容手段に、固定状態を向上させるための手段を設けることも可能である。例として、パックに形成されたプロフィールに対して相補的な関係の特別なプロフィールをグルーブに持たせることも考えられる。また、固定用領域が、両側面エッジを接続する接続エッジ沿いにも延びる、という形も考えられる。さらに、ディスペンサの貯蔵器の底面部に収容グルーブを設けることも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】(a)本発明の第1の実施の形態を構成するディスペンサ組立品を示す正面図である。(b)(a)に示すディスペンサ組立品を示す側面図である。(c)(a)における切断線A−Aでの水平方向断面図である。(d)ディスペンサ組立品を斜め上から見た斜視図である。
【図2】(a)第2の実施の形態を構成するディスペンサ組立品を示す正面図である。(b)(a)に示すディスペンサ組立品を示す側面図である。(c)(a)のディスペンサ組立品を、パックからディスペンサを分離した状態で示す図である。(d)(a)のディスペンサ組立品を示す斜視図である。
【図3】(a)第3の実施の形態を構成するディスペンサ組立品を示す斜視図であって、パックを収容する収容手段が見られるキャップを有した組立品を示す図である(b)第3の実施の形態を示す側面図である。
【図4】(a)本発明の第4の実施の形態を構成するディスペンサ組立品を示す正面図である。(b)(a)のディスペンサ組立品を示す側面図である。(c)(a)における切断線B−Bでの水平方向断面図である。(d)本発明の第4の実施の形態を構成するディスペンサ組立品を斜め上から見た斜視図であり、パックからディスペンサを分離した状態で示す図である。(e)本発明の第4の実施の形態を構成するディスペンサ組立品を斜め上から見た斜視図であり、パックをディスペンサに固定した状態で示す図である。
【図5】(a)本発明の第5の実施の形態を構成するディスペンサ組立品を示す側面図である。(b)(a)における切断線C−Cでの水平方向断面図である。(c)本発明の第5の実施の形態を構成するディスペンサ組立品を斜め上から見た斜視図であり、パックからディスペンサを分離した状態で示す図である。(d)本発明の第5の実施の形態を構成するディスペンサ組立品を斜め上から見た斜視図であり、パックをディスペンサに固定した状態で示す図である。
【図6】(a)本発明の第6の実施の形態を構成するディスペンサ組立品を斜め上から見た斜視図であり、パックからディスペンサを分離した状態で示す図である。(b)本発明の第6の実施の形態を構成するディスペンサ組立品の水平方向断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ディスペンサ組立品であって、
流体ディスペンサ(101;201;301;401;501;601)と、
ディスペンサに固定される様態でディスペンサと協働するパック(120;220;320;420;520;620)と、を有し、当該パックは固定用領域(121;221;321,327;421;521,527;621)を有し、前記ディスペンサは固定用領域を収容する収容手段(111;211;311,366;411;511,566;611)を有し、
特徴となるのは、
前記収容手段が、パックの前記固定用領域(121;221;321,366;421;521,566;621)を収容するために、2つの対向する長手方向グルーブ(111;211;311,327;411;511,527;611)の組を少なくとも1つ有することである、
という前記組立品。
【請求項2】
前記収容手段と前記固定用領域とは、固定面(P)を延びていること、
を特徴とする請求項1に記載のディスペンサ組立品。
【請求項3】
前記ディスペンサ(101;201;301;401;501;601)には、前記固定面(P)を延びる長手方向軸が見られること、
を特徴とする請求項2に記載のディスペンサ組立品。
【請求項4】
前記ディスペンサ(101;201;301;401;501;601)は、前記固定面を延びる長手方向の対称軸を規定する、全体的に筒形の形状を示していること、
を特徴とする請求項2または3に記載のディスペンサ組立品。
【請求項5】
前記パック(120;220;320;420;520;620)はハウジング(122;222;322;422;522;622)を有し、当該ハウジングは少なくとも部分的には平らな形であって、固定用領域(121;221;321,327;421;521,527;621)を形成する実質的に平らなエッジを形作っていること、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のディスペンサ組立品。
【請求項6】
固定用領域は、向かい合う2つの領域部分(121;221;321,327;421;521,527;621)を有し、これら領域部分は、両者の間に、ディスペンサの収容手段(111;211;311,366;411;511,566;611)と協働するハウジングギャップを形作っていること、
を特徴とする請求項5に記載のディスペンサ組立品。
【請求項7】
パック(420;520;620)には、パック内部の切抜きの形で閉じたハウジング(422;522;622)が形成されており、ディスペンサ(401;501;601)は全体がパックに囲まれた状態となること、
を特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のディスペンサ組立品。
【請求項8】
パック(120;220;320;420;520;620)は平たいうえに薄く、効果的な構成として、平らなシートから作られていること、
を特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のディスペンサ組立品。
【請求項9】
ディスペンサ(101;201;301;401;501;601)は、本体(116;216;316;416;516;616)を形作る貯蔵器(110;210;310;410;510;610)を有し、収容手段(111;211;311;411;511;611)は前記本体に形成されていること、
を特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のディスペンサ組立品。
【請求項10】
ディスペンサ(301;501)は取り外し可能な保護キャップ(360;560)を有し、収容手段(366;566)が前記キャップに形成されていること、
を特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のディスペンサ組立品。
【請求項11】
ディスペンサは貯蔵器(110;210;310;410;510;610)を有し、当該貯蔵器は、側壁(114;214;314;414;514;614)と、底面部(115;215;315;415;515;615)と、そして、開口部(113;213;313;413;513;613)とを有し、
前記側壁には、対向する2つの長手方向グルーブの組(111;211;311;411;511;611)が形成されており、当該グルーブは、底面と開口部との間で、壁の高さ方向の少なくとも一部にわたって延びていること、
を特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のディスペンサ組立品。
【請求項12】
グルーブ(111;211;311;411;511;611)の各々は、2つの実質的に対向する長手方向の壁(1111;2111;3111;4111;5111;6111)を、底面部コア(1110;2110;3110;4110;5110;6110)によって相互接続された形で有し、前記壁は、実質的に固定面(P)を延びていること、
を特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のディスペンサ組立品。
【請求項13】
各グルーブは長手方向のアクセス壁(570)を有し、当該壁(570)が延びる方向は、固定面(P)に対して実質的に垂直であること、
を特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のディスペンサ組立品。
【請求項14】
各グルーブはV字グルーブの形をしており、当該V字グルーブは、実質的に固定面(P)を延びる長手方向の固定用壁(6111)と、実質的に固定面(P)に対して垂直に延びるアクセス壁(671)とを形作っていること、
を特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のディスペンサ組立品。
【請求項15】
パックは、ディスペンサのグルーブの中に、スライドによって嵌め込まれること、
を特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載のディスペンサ組立品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−509011(P2007−509011A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536145(P2006−536145)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【国際出願番号】PCT/FR2004/050521
【国際公開番号】WO2005/042371
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(502343252)バルワー エス.アー.エス. (144)
【Fターム(参考)】