説明

流体作動機械および流体作動機械を動作させる方法

本発明は、流体作動機械を動作させる方法に関し、各サイクルで変位される作動流体の体積は選択可能であり、第1の作動室によって変位される作動流体の体積は、流体を変位させる作動室の適合性を考慮する。更なる態様において、本発明は、そのような流体作動機械を含む再生可能エネルギー装置などの電力吸収構造体にまで及ぶ。本発明は、より長寿命の流体作動機械および電力吸収構造体の動作を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体作動機械を動作させる方法、流体作動機械、コンピュータ・プログラム・コード、および電力吸収構造体に関する。より詳細には、本発明は、個々の作動室を制御している液圧ポンプまたはモータに関する。
【背景技術】
【0002】
最も一般的な容積式液圧機械において、流体室は、略正弦波関数に従う体積の周期的な変動を受ける。開状態で作動室と低圧源との間で電磁作動弁を保持することによって室をアイドル状態にしておくことができることは、欧州特許第0361927号明細書から知られている。従って、まず、各作動室に液体を充填する動作によって、そのような合成的に整流された機械の出力を変えてから、液体を低圧源に戻るのを阻止すべきか液体を圧力のかかった状態で出力マニホールドにポンプで注入すべきかを判断する。液体を低圧源にポンプで戻し注入することは、最小待ち時間で作動室の生産性が高くなることを可能にするけれども、作動室がアイドル状態である間に極めて少量の電力を消費する必要があることを意味する。
【0003】
欧州特許第0494236号明細書では、トルクを回転軸に加えるモータサイクルで液圧機械を使用でき、従って制御可能な双方向のエネルギーの流れを可能にする追加の動作形態を紹介している。
【0004】
国際公開第2008/012587号パンフレットでは、機械の軸(または出口)からトルク(または流れ)を増減することによって極めて迅速に事象に反応するように機械の作動室サイクルを調整する方法を紹介している。その調整により、元の基本的な必要トルク(または流れ)よりもトルク(または流れ)が増減される。
【0005】
前述の種類の機械(例えば、その機械の卓越した効率および制御性のために)を使用したい設計者は、互いにほぼ同じ程度に各回転でどの作動室も動作中である機械を使用した場合にわからない新たな難題に直面する。これらの難題には、差動摩耗、軸負荷平衡および共振がある。これらの難題はすべて、流体の時々不規則な変位および回転軸へのトルクの印加に起因しており、以下の段落で詳細に説明する。
【0006】
差動摩耗:長期にわたって、合成的に整流された機械では、統計的に一部のシリンダを他のシリンダよりも頻繁に使用することがある。これは、例えば国際公開第2008/009950号パンフレットに記載のように、異なる作動機能に特定のシリンダを時々接続する場合に特に問題である。これにより、優先された作動室は使用頻度の低い作動室よりも速く疲労または摩耗することがあるので、機械の寿命が短くなる。
【0007】
軸負荷平衡:多数の従来の流体作動機械は、同時に動作中の多数の作動室によって回転軸に加えられる半径方向力を互いに平衡または相殺させるように設計されている。しかし、合成的に整流された機械において一部の作動室が動作不能である場合、極めて高い不平衡力が、摩耗を増大し、または軸を保持する軸受に損傷を与えることさえあり、または軸自体を曲げることさえあり得る。
【0008】
共振:軸へのトルクの不規則な印加が望ましくない用途は、車両および風力タービンの変速機などの変速機を含む一方、流体の不規則な変位が望ましくない用途は、可動式および固定式液圧駆動材料取扱装置(フォークリフト、掘削機など)などの作動機能を有する用途を含む。これらの用途において、不規則性は、流体作動機械によって駆動されるまたは流体作動機械を駆動する部品および構造体に固有の機械的共振を励振するまたは悪化させることがある。例えば、車輪の不規則な駆動は、車軸の固有周波数で過度のねじり振動を引き起こすことがあり、または地面に対して作用する、そのように駆動された車輪からの不規則な力は、車両シャーシの部品の固有周波数で過度の構造振動を引き起こすことがある。材料取扱装置において、液圧アクチュエータへの流体の変位の不規則性は、例えば、フォークリフトの塔または掘削機の伸縮アームの固有周波数で過度の振動を引き起こすことがある。
【0009】
上述から、合成的に整流された流体作動機械からの出力トルクまたは流体変位の綿密な制御が非常に重要である多数の用途があることが分かる。本発明は、上述の種々の問題に対処することが狙いである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様において、本発明は、請求項1による流体作動機械を動作させる方法を提供し、本発明の好ましいまたはオプションの特徴が従属請求項に記載されている。
【0011】
作動流体の体積の選択は、例えば制御ユニットから受信された制御信号に従ってアクチュエータを動作させることによって実現可能である。しかし、本発明は、受信要求信号が示す要求を満たす時間平均流量を供給し続けながら、二次ニーズ(即ち、受信要求信号が示す要求を満たすこと以外のニーズ)に応じて作動室体積の個々のサイクル中に変位される流体の量を変えることに関する。よって、方法は、同じ総流量を与える個々の作動室による流体変位量の複数の組合せの中から、二次ニーズを満たす個々の作動室による流体変位量の組合せを選択するステップを含むことができ、従って、方法は一層適しておりまたは最適である。
【0012】
作動室によって変位されるべき作動流体の体積を選択する場合に作動室の適合性を考慮することにより、流体作動機械は、受信要求信号に応じて作動機能を満たす適量の流体を変位させることができ、作動室の適合性を考慮しなかった場合にあり得ない1つ以上の追加の考察を平衡がとれた状態に保つこともできる。通常、作動室によって変位されるべき作動流体の体積を選択する場合に適合性を考慮すると、流体作動機械によって生成される軸トルクリップルおよびピーク間流量は増加する。これは通常、好ましくない特性であると考えられるが、意外にも、要求と二次ニーズの両方に応じて作動室を選択した場合に増加リップルが利益になる状況もあることが分かっている。
【0013】
流体を変位させて作動機能を実行する作動室(例えば、第1の作動室)の適合性は通常、力学的考察(流体の時間平均流量でない)に関連している。力学的考察は通常、流体作動機械によって変位される作動流体によって可動機械的構成要素に加えられる力の可動機械的構成要素への影響である。例えば、力学的考察は、流体作動機械の1つ以上の構成要素の摩耗、作動室による流体の変位の結果として機械に作用する正味の力、または流体作動機械によって駆動されるまたは流体作動機械を駆動する機械的構成要素内の共振を含む。作動室の適合性は、流体作動機械またはその流体作動機械の1つ以上の構成要素の保守要求間の予想時間または予想寿命に関連した力学的考察に関連してもよい。
【0014】
作動室の適合性は、例えば能動サイクルに対して作動室を選択する二次パラメータへの影響を予測する少なくとも1つの適合性手段を含んでもよい。要求信号は、例えば時間平均流体送出の要求であってもよく、二次パラメータは、時間平均流体送出を構成する個々の送出のタイミングの要件であってもよい。二次パラメータは、例えば、力学的考察に関する機械的パラメータ、流体作動機械の1つ以上の構成要素の摩耗に関するパラメータ、流体作動機械内の正味の力、または流体作動機械によって駆動されるまたは流体作動機械を駆動する機械的構成要素における機械的共振の大きさであってもよい。
【0015】
好ましくは、方法は、力学的考察に関する1つ以上の機械的パラメータの現在値を受信するステップを含む。機械的パラメータの現在値は、測定機械的パラメータまたは計算機械的パラメータであってもよい。通常、1つ以上の機械的パラメータの現在値を参照することによって作動室の適合性を判定する。通常、1つ以上の機械的パラメータの今後の予測値の1つ、一部または全部を参照して作動室の適合性を判定し、今後の予測値は、例えば能動サイクルに対して作動室を選択する力学的考察への影響および1つ以上の機械的パラメータの現在値を考慮する。通常、方法は、1つ以上の機械的パラメータの今後の予測値を参照して作動室の適合性を選択するステップを含み、今後の予測値は、例えば能動サイクルに対して作動室を選択する力学的考察への影響および1つ以上の機械的パラメータの現在値を考慮する。
【0016】
1つ以上の機械的パラメータの今後の予測値をその望ましい値の方へ至らせることに、例えば能動サイクルに対する第1の作動室の選択が、例えば能動サイクルに対する第2の作動室の選択よりも大きい影響を及ぼす場合、通常、第1の作動室の適合性は第2の作動室の適合性よりも高い。1つ以上の機械的パラメータの今後の予測値の望ましい値は通常、複数の機械的パラメータの今後の値を平衡させる値である。
【0017】
機械的パラメータは、例えば、個々の作動室および作動室の弁によって実行される能動サイクルの数と、能動サイクルの数および摩耗に対する現在の状態の付与(例えば、能動サイクル中の作動室内の圧力)によって通常重み付けされる弁摩耗または作動室の大きさと、作動室を駆動する軸に使用時に作動室によって加えられる力ベクトルと、作動機能によって駆動されるまたは作動機能を駆動する機械的構造体の相対的な位置、速度または加速度(角度位置、角速度または角加速度を含む)とを含む。
【0018】
複数の機械的パラメータがあり、複数の機械的パラメータの今後の値への影響を参照して作動室の適合性を判定するステップを方法が含んでもよい。特に、方法は、複数の機械的パラメータの今後の値を平衡させる場合、より高い適合性を判定するように作動室の適合性を判定するステップを含んでもよい。好ましくは、方法は、機械的パラメータの現在または今後の値の平衡を回復する、または現在または今後の値の間の平衡を増加するその作動室またはそれらの作動室を、例えば能動サイクルに対して選択するステップを含む。従って、好ましくは、方法は、機械的パラメータの現在または今後の値の間の不平衡を相殺する(または補償する)その作動室またはそれらの作動室を、例えば能動サイクルに対して選択するステップを含む。
【0019】
複数の機械的パラメータに対して平衡のとれた状態は通常、そのパラメータが所望のやり方で互いに関連していることを意味する。従って、パラメータは互いに同様であり、またはパラメータのベクトルの合計がゼロになり、または用途によって所望の比でパラメータが互いに関連している。
【0020】
通常、作動機能を実行する適合性を、各作動室に対して、作動室体積の1サイクルに少なくとも1回判定する。
【0021】
制御器は、作動室体積のサイクルと同相関係で前記電子制御可能弁を(例えば、制御信号を出力することによって)能動的に制御し、受信要求信号に応じて作動室の時間平均変位量を調節することができる。
【0022】
流体作動機械は、単にモータとしてまたは単にポンプとして機能することができる。代わりに、流体作動機械は、交互の動作形態でモータまたはポンプとして機能することもできる。
【0023】
好ましくは、各作動室は、作動室が作動流体の正味の変位を行う能動サイクルまたは作動室が作動流体の正味の変位を実質的に行わないアイドルサイクルを実行するように作動室体積の各サイクルで動作できる。各作動室は、能動サイクル中に作動流体の複数の体積のうち1つ(例えば、作動流体の体積の範囲)を変位させるように動作できるようにしてもよい。体積の前記範囲は不連続であってもよく、例えば、作動流体の体積の範囲は、実質的にない正味の流体変位量の第1の最小量から作動室の最大の正味の流体変位量のせいぜい25%または40%の第1の最大量、作動室の最大の正味の流体変位量の少なくとも60%または75%の第2の最小量から作動室の最大の正味の流体変位量の100%の領域の第2の最大量に及ぶ範囲を含んでもよい。これは、例えば、作動室体積の膨張または収縮行程の途中で弁を開閉できないような動作作動流体圧力が十分高い場合、または体積の連続範囲での動作が作動室、作動室の弁または流体作動機械の他の部品に損傷を与えるような流量が十分多い場合に生じることがある。
【0024】
好ましくは、方法は、流体を変位させて作動機能を実行する少なくとも1つの第2の作動室または複数の作動室の相対的適合性を考慮するステップも含む。少なくとも1つの第2の作動室の適合性は、第1の作動室の作動室体積のサイクルと同相でそのサイクルの直後の、直前の、同時の、またはそのサイクルと同時の作動室体積のサイクル中の第2の作動室の適合性であってもよい。好ましくは、直後は、第1の作動室の作動室体積のサイクルが終わる前に第2の作動室の作動室体積のサイクルが始まることを意味する。好ましくは、直前は、第1の作動室の作動室体積のサイクルが始まる前に第2の作動室の作動室体積のサイクルが終わることを意味する。好ましくは、同時は、時間内に重複する第1および第2の作動室の作動室体積のサイクルに対して適合性を判定することを意味する。
【0025】
好ましくは、少なくとも時々、少なくとも1つの第2の作動室と比較した相対的適合性の結果としてアイドルサイクルの代わりに能動サイクルを第1の作動室が実行するように、流体作動機械は動作できる。従って、少なくとも1つの第2の作動室は、不適合であり、その不適合に応じてアイドルサイクルの代わりに能動サイクルを第1の作動室が実行するようにするかどうかを判定するステップを方法は含んでもよい。好ましくは、前記第1の作動室によって変位される作動流体の選択体積を考慮して受信要求信号に応じて作動機能を実行するように、少なくとも1つの第2の作動室によって変位される作動流体の体積を選択する。前記第1の作動室によって変位される作動流体の選択体積を考慮して受信要求信号に応じて作動機能を実行するように、複数の第2の作動室によって変位される作動流体の体積を選択してもよい。受信要求信号に応じて正確に作動機能を実行するように、少なくとも1つの第2の作動室によって変位される作動流体の体積を選択してもよい。
【0026】
制御器は、アルゴリズムを計算するまたは別の方法で処理することができ、アルゴリズムは、適合性データを含む複数の入力データを考慮しており、作動機能を実行するのに第2の作動室が第1の作動室よりも適していることを示す適合性データを含む少なくとも一部の入力データに対して、第1の作動室は能動サイクルを実行すべきでないと判定するようにアルゴリズムは動作でき、作動機能を実行するのに第2の作動室が第1の作動室よりも適していないことを適合性データが示す場合を除いて同じ入力データに対して、第1の作動室は能動サイクルを実行すべきであると判定するようにアルゴリズムは動作できる。例えば、制御器は、内蔵プログラム(アルゴリズムを符号化した内蔵プログラム)を実行し、これによってアルゴリズムを処理することができる。換言すれば、制御器は、複数の入力データを受信し、入力データを処理して、第1の作動室は能動サイクルを実行すべきであるか否かを判定することができ、前記処理は、第2の作動室に対する第1の作動室の相対的適合性を判定するのに第1の作動室および第2の作動室に対応付けられた適合性データを処理するステップをさらに含む。
【0027】
制御器は、流体作動機械の作動室の体積サイクルの位相を示す位相信号を受信する位相入力を含んでもよい。位相信号を、位相センサ、例えば光学、磁気または誘導位相センサから受信してもよい。位相センサは、クランク軸(偏心クランク軸でもよい)の位相を検出することができ、制御器は、偏心クランク軸の検出位相から作動室位相を推測することができる。
【0028】
好ましくは、受信要求信号が示す要求が十分低い場合、流体を変位させて作動機能を実行するように動作できる1つ以上の作動室は、作動室体積の1つ以上のサイクル中に余っており、即ち、作動室が存在していなかったまたは動作していなかった場合、流体作動機械は、作動室体積の能動サイクルの全体の頻度を変えることなく要求を満たすのに十分な流体をとにかく変位させることができる。
【0029】
好ましくは、受信要求信号が示す要求が十分低い場合、作動機能を実行するのに利用できる作動室のうち少なくとも1つの作動室によって変位される流体の選択体積は、作動室体積の少なくとも一部のサイクルに対して実質的にゼロである。一部の実施形態では、受信要求信号が示す要求が十分低い場合、作動機能を実行するのに利用できる作動室のうち少なくとも1つの作動室は、作動室体積の少なくとも一部のサイクルに対してアイドルサイクルを実行する。作動流体の複数の体積のうち1つを変位させるように作動室が動作できる一部の実施形態では、受信要求信号が示す要求が十分低い場合、作動機能を実行するのに利用できる作動室のうち少なくとも1つの作動室によって変位される流体の選択体積は、作動室のうち少なくとも1つの前記作動室が変位させるように動作できる作動流体の最大体積未満である。
【0030】
受信要求信号は、作動機能を実行するのに変位される(例えば、受け取られるまたは出力される)べき作動流体の所望の体積を示してもよい。受信要求信号は、例えば所望の出力または入力圧力を示してもよい。受信要求信号は、作動機能を実行するのに流体を変位させる所望の速度を示してもよい。例えば、受け取られるまたは出力される流体の特性、受け取られるまたは出力される流体の圧力、または受け取られるまたは出力される流体の変位速度を監視して流体応答信号を与えるのに、流体応答センサを設けることができる。制御器は、流体応答信号および受信要求信号を比較し、例えば、作動室体積の各サイクルで1つ以上の前記作動室によって変位される作動流体の体積を選択して閉ループ制御を行うことができる。
【0031】
第1および第2の作動室の体積サイクルを(同相で)同期させてもよく、または第1の作動室の体積サイクルが第2の作動室の体積サイクルの前であったり、第2の作動室の体積サイクルが第1の作動室の体積サイクルの前であったりしてもよい。
【0032】
作動室の使用の履歴量で適合性を判定する実施形態では、好ましくは、使用の測定または予測は、使用時に1つ以上の動作パラメータから判定される重み付け係数を含む。前記動作パラメータは、少なくとも1つの弁の開閉タイミング、圧力、温度および/または流体状態(含水量、空気含有量、寿命を含む)を含んでもよい。
【0033】
流体加圧作動室によって前記流体作動機械の回転可能軸に加えられる正味の力の測定または予測で適合性を判定する実施形態では、好ましくは、方法は、複数の作動室において作動流体と流体連通している1つ以上の圧力センサからの測定値を使用して正味の力を計算するステップを含む。好ましくは、作動室体積の1サイクルに2回以上、正味の力を予測または測定する。好ましくは、方法は、次の作動室体積サイクルの範囲内に入る点で正味の力を予測するステップを含む。好ましくは、方法は、第1の作動室の作動室体積の次のサイクルの開始前に、次のサイクルの後の点で正味の力を予測するステップを含む。好ましくは、正味の力は、半径方向の正味の力である。半径方向の正味の力は、回転可能軸の回転の軸と垂直に作用する力である。正味の力は、最大の正味の力、または平均の正味の力、または正味の力のある相対的推定値であってもよい。
【0034】
好ましくは、正味の力の計算は、作動室の物理的配置の知識を使用するステップを含む。好ましくは、正味の力の計算は、どの作動室が流体加圧されているかを記録するステップを含み、その作動室が能動サイクルを始めているかを記録するステップを含んでもよい。好ましくは、正味の力の計算は、回転可能軸への非流体力を考慮するステップを含む。好ましくは、非流体力は、ばね力、慣性力および重力を含む。任意の尺度(非線形尺度を含む)または任意の単位で正味の力を計算することができる。
【0035】
機械的構成要素の運動の測定または予測で適合性を判定する実施形態では、機械的構成要素の今後の運動の予測から各作動室の適合性を判定する。作動室は通常、予測された今後の運動のより高い適合性を有し、即ち、最も円滑な作動室は、最低加速度または最低ジャークまたはそれらの一部の組合せを有する。
【0036】
方法は、作動室の群の適合性を判定し、前記群の適合性を参照して単一の作動室の適合性を判定するステップを含んでもよい。単一の作動室自体のみに関連した適合性の大きさに属している作動室の1つ以上の群の適合性を参照して単一の作動室の適合性を判定してもよい。
【0037】
第2の態様において、本発明は、制御器と、周期的に変化する体積の複数の作動室とを含む流体作動機械であって、前記各作動室は、作動室体積の各サイクルで制御器によって選択できる作動流体の体積を変位させるように動作でき、制御器は、作動室体積の各サイクルで1つ以上の前記作動室によって変位される作動流体の体積を選択して受信要求信号に応じて作動機能を実行するように動作できる流体作動機械にまで及んでおり、流体作動機械は、第1の態様を参照して記載された方法のいずれかに従って動作される。
【0038】
第3の態様において、本発明は、流体作動機械制御器上で実行される場合、第1の態様を参照して記載された方法のいずれかに記載の流体作動機械を動作させるコンピュータ・プログラム・コードにまで及ぶ。
【0039】
第4の態様において、本発明は、少なくとも1つの機械的構成要素を含む電力吸収構造体を動作させる方法であって、周期的に変化する体積の複数の作動室を含む流体作動機械自体を電力吸収構造体はさらに含み、前記各作動室は、作動室体積の各サイクルに対して選択できる作動流体の体積を変位させるように動作でき、作動室体積の各サイクル中に1つ以上の前記作動室によって変位される作動流体の体積を選択して受信要求信号に応じて作動機能を実行するステップと、機械的構成要素の運動を測定または予測するステップと、作動機能の影響下で機械的構成要素の測定または予測された運動を考慮して作動室体積のサイクル中に第1の作動室によって変位される作動流体の体積を選択するステップとをさらに含む方法にまで及ぶ。
【0040】
影響下とは、流体作動機械が機械的構成要素を駆動でき、または機械的構成要素が流体作動機械を駆動でき、または両方が異なる時刻に駆動できることを意味する。好ましくは、電力吸収構造体は、周囲の環境から電力を吸収する。電力吸収構造体は、流体作動機械から電力を吸収してもよい。好ましくは、電力吸収構造体は、再生可能エネルギー装置であり、風力または潮力タービンであってもよい。電力吸収構造体は、車両、または車両の車輪または線路であってもよい。流体作動機械は、2つ以上の前記機械的構成要素を駆動するまたは前記機械的構成要素によって駆動されることができる。
【0041】
機械的構成要素は、流体作動機械の回転可能軸または流体作動機械の回転可能体を含んでもよく、または直接または間接的に前記回転可能部品に取り付けられた構成要素を含んでもよい。前記運動は、振動運動、加速度および/または速度であってもよい。前記運動は、回転運動、直線運動、または1つ以上の回転および直線運動の組合せであってもよい。運動は、主要固定ベースに対する機械的構成要素の運動を意味する絶対運動であってもよい。運動は、移動しているまたは移動可能である関連機械的構成要素に対する機械的構成要素の運動を意味する相対運動であってもよい。方法は、運動による機械的構成要素の機械的状態から作動室の適合性を判定するステップを含んでもよい。機械的状態は、応力、歪みまたは形状を含んでもよく、または動的応力、歪みまたは形状を含んでもよい。
【0042】
方法は、機械的構成要素の今後の運動を計算するステップを含んでもよい。方法は、機械的構成要素の今後の運動から作動室の適合性を判定するステップを含んでもよい。
【0043】
第5の態様において、本発明は、少なくとも1つの機械的構成要素を含む電力吸収構造体であって、流体作動機械をさらに含む電力吸収構造体にまで及んでおり、電力吸収構造体は、第4の態様の方法に従って動作できる。好ましくは、電力吸収構造体は、機械的構成要素の運動を判定するセンサを含む。好ましくは、流体作動機械の影響下での機械的構成要素の運動は予測可能または測定可能である。好ましくは、電力吸収構造体は、流体作動機械の影響下で機械的構成要素の運動を予測するコンピュータを含む。
【0044】
第6の態様において、本発明は、少なくとも1つの機械的構成要素を含む電力吸収構造体のコンピュータモデルであって、周期的に変化する体積の複数の作動室を含む流体作動機械自体を電力吸収構造体はさらに含み、前記各作動室は、受信要求信号に応じて作動機能を実行するのに作動室体積の各サイクルに対して選択できる作動流体の体積を変位させるように動作でき、流体作動機械の影響下で少なくとも1つの前記機械的構成要素の運動を予測するように動作できるコンピュータモデルにまで及ぶ。コンピュータモデルは、流体作動機械の部分モデル、即ち、流体作動機械の特性の一部のみをシミュレートできるモデルを含んでもよい。好ましくは、コンピュータモデルは、流体作動機械の選択作動室によって生成されるトルクをシミュレートすることができる。コンピュータモデルは、機械的構成要素の部分モデル、即ち、機械的構成要素の特性の一部のみをシミュレートできるモデルを含んでもよい。好ましくは、コンピュータモデルは、流体作動機械の影響下で機械的構成要素の運動をシミュレートすることができる。コンピュータモデルは、コンピュータ読取り可能キャリア上に記憶されたデータおよびプログラム・コードを含んでもよい。コンピュータモデルは、プロセッサと電子的に連通しているメモリ内に記憶されたデータおよびプログラム・コードを含んでもよい。
【0045】
本発明の更なる態様において、作動室体積の複数のサイクルに対して流体作動機械を動作させる方法であって、流体作動機械は周期的に変化する体積の複数の作動室を含み、前記各作動室は、各サイクル(例えば、「能動」サイクルに対応する第1の体積および「アイドル」サイクルに対応する正味でない体積のうち1つ)中に作動流体の選択可能体積を変位させるように動作でき、各サイクル中に変位される作動流体の全体積が全体要求機能に従う(例えば、圧力、体積または他の適切な尺度に関する時間平均要求信号、および/または多くのサイクル中に変わったり変わらなかったりすることがある要求信号に従う)ように全体で複数の作動室を制御するステップと、各作動室の適合性を判定する(例えば、閾値として使用できる、または各作動室を作動(そのような作動は、例えば所与のサイクル中に変位させる作動流体の体積の選択を判定する)させるか否かを判定するように既存の閾値を修正するのに使用できる、絶対または相対値などに対する適合性値を判定する)適合性機能に従って個々に複数の作動室を制御するステップとを含む方法を提供する。このような方法は、例えば、負荷に与えられる時間平均トルク(または他の適切な尺度)を「全体」要求に従って変えることができるが、瞬時トルクを与える個々の作動室の選択を二次考察に従って時間内に変えることもできる構成に関する。本態様の具体的な特徴および用語は、以下の説明に関して上述の他の態様の特徴と異なる場合があることが分かり、そのような特徴および用語は一般に、交換可能であり、場合によっては、省略(その特徴は本発明の本質的な特徴であると明らかに指摘がない限り)または追加できることを当業者は分かる。
【0046】
予測を行うことへの上記言及は、例えば、適切な式に従って予測に関連した測定値を表すデータのセットを処理し、関連予測を表す予測値を出力するステップまたは手段を含むことができる。
【0047】
第2〜第6の態様の好ましいオプションの特徴は、第1の態様に記載の特徴に対応する。さらに、変更および修正を当業者に提示するように、本発明の範囲内で変更および修正を行うことができる。
【0048】
本発明の例の実施形態について、下記の図面を参照して今から例示する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明で使用するのに適した流体作動機械を示す。
【図2】本発明を実施するアルゴリズムの進行を例示する。
【図3】リングカム流体作動機械において不平衡力を減少する本発明の使用を示す。
【図4】風力タービン発電機において構造振動を除去する本発明の使用を示す。
【図5】セグメント化されたリングカムモータにおいてセグメント境界の上で作動されるローラに起因する損傷を避ける本発明の使用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、偏心カム9によって回転可能クランク軸8から駆動され、シリンダ内で往復運動して作動室の体積を周期的に変えるピストン6およびシリンダ4の内面によって規定される体積を有する複数の作動室2(文字A〜Hで個々に示す)を含む合成的に整流された液圧ポンプ/モータ1の形で流体作動機械を例示する。軸位置および速度センサ10は、軸の瞬時角位置および回転速度を判定し、信号線11を介して制御器12に通知し、制御器は各作動室のサイクルの瞬時位相を判定することができる。制御器は通常、使用時に内蔵プログラムを実行するマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラである。
【0051】
作動室は各々、対応付けられた作動室の方へ内側に面し、作動室から低圧マニホールド16に延びる通路を選択的に密封するように動作できる電子作動式面密封ポペット弁14の形の低圧弁(LPV)に対応付けられ、低圧マニホールド16は一般に、使用時に流体の正味の源または吸込みとして機能し、低圧ポート17を介して1つ以上の作動室、またはここに示すように実際にはすべての作動室を貯蔵槽(図示せず)に接続してもよい。LPVは、作動室内の圧力が低圧マニホールド内の圧力よりも低い場合、即ち吸入行程中に作動室を低圧マニホールドと流体連通させるために受動的に開くが、作動室を低圧マニホールドと流体連通させないためにLPV制御線18を介した制御器の能動制御下で選択的に閉じることができる、常時開電磁閉弁である。代替電子制御可能弁、例えば常時閉電磁開弁を使用してもよい。
【0052】
さらに、作動室は各々、圧力作動式送出弁の形の高圧弁(HPV)に対応付けられている。HPVは、作動室から外側に面し、作動室から高圧マニホールド22に延びる通路を密封するように動作でき、高圧マニホールド22は、使用時に流体の正味の源または吸込みとして機能し、1つ以上の作動室、またはここに示すように実際にはすべての作動室を高圧ポート24に接続してもよい。HPVは、作動室内の圧力が高圧マニホールド内の圧力を超える場合に受動的に開く常時閉圧力開逆止弁として機能する。また、HPVは、いったん対応付けられた作動室内の圧力によってそのHPVを開くと、HPV制御線26を介して制御器が開状態に選択的に保持できる常時閉電磁開逆止弁として機能することもできる。さらに、HPVは、作動室内でなく高圧マニホールド内で圧力がある場合に制御器の制御下で開くことができ、または部分的に開くことができる。圧力逃し弁28は、流体作動機械を損傷から保護することができる。
【0053】
先行技術の方法でサイクルごとにLPVまたはHPVを閉じるまたは開状態に保持するか否かを判定するだけでなく、制御器は、変化する作動室体積に対してLPVおよびHPVの閉の正確な位相を変えるのに開くことができる。ポート17、24上の矢印は、ポンプ形態、流れが逆のモータ形態における流体の流れを示す。
【0054】
図2は、本発明を実施し、次の通りに進行するアルゴリズムの動作を示す。各時刻ステップt1〜t13(連続する作動室A〜Hの最大体積の点で下降)において、レジスタは、ポンプ1の瞬時変位所要量、普通の方法で必要なトルク、圧力または流れに関連した変位所要量を表す値だけ増える。レジスタ値を線50で示す。先行技術の機械では、レジスタが基本閾値52(通常、1つの作動室の体積の100%に等しい)に達すると、制御器12は、対応する作動室の弁14、20を作動させて、ある量の流体をポンプで注入する(またはモータで運搬する)。その時、ポンプで注入された(またはモータで運搬された)流体の体積をレジスタから引いて、蓄積が次の時刻ステップで下レベルから始まる。このようにして、任意の所要の流れを一連の作動室の作動から生成することができる。
【0055】
この発明の方法は、他の作動室に対するある作動室の使用に対する適合性を表す、基本閾値52を修正して線54に示す調整閾値を生成する可変二次パラメータを提供する。従って、この発明および例による機械は、より適さない時刻、時刻t4で作動室Dを作動させる既知の機械に比べて、特に適した時刻、(印56で示す)t3で作動室Cを作動させる。次に、レジスタを新しいレベルに58のように減らす。時刻t5では基本閾値と調整閾値とが全く同様であるという点において、時刻t5の中立性を反映する。t7で、既知の機械は、基本閾値52を超えるレジスタ値50のために作動室Gを作動させているが、これは特に適さない作動室であるので、二次パラメータは調整閾値を上げる。代わりに、遅延時刻t8で作動室Hを作動させる。
【0056】
このようにして、本発明は、流体の同一平均処理量を維持しながら変位のタイミングを変えるように、使用に対する適合性を示す任意の適当な二次パラメータに基づいて、ある特定の作動室を優先したり避ける傾向があったりすることができる。
【0057】
任意の所与の時刻で使用できる多数の作動室を流体作動機械が有する場合(例えば、クランク軸の長さに沿って軸方向に離れたシリンダの2つ以上の面を有する多偏心機械、または多ローブカムを有する機械)、アルゴリズムでは、各時刻ステップで、例えばある作動室を別の作動室よりも優先する決定を行う作動室の各々に対して異なる調整閾値を使用してもよい。
【0058】
本発明を使用して、ポンプ/モータ1の作動室A〜Hの間で摩耗または疲労を均等に分散させることができる。作動室上で生じた履歴摩耗の制御器によって推定値から調整閾値を計算することができる。履歴摩耗予測は、単に、作動室を以前に使用した履歴回数である。代わりに、アルゴリズムでは、作動室使用時における特定の動作条件、例えば、速い軸速度または遅い軸速度、高圧または低圧、高温または低温、または任意の他の要因または摩耗に関連した要因の組合せにおけるシリンダ使用の単なる理由またはより強い重み付けの下で生じた摩耗量を推定または測定することによって摩耗を予測してもよい。アルゴリズムでは、各々の異なる予測手段を用いて、1つの作動室に対応付けられた異なる構成要素、例えば弁、ピストンまたはシリンダの摩耗の理由を別々に説明することができる。
【0059】
履歴摩耗のために一緒に作動室の群に対して調整閾値を調整することができる。クランク軸の長さに沿って軸方向に離れたシリンダの2つ以上の面を有する多偏心機械では、制御器は、偏心器の摩耗の理由を説明して、各偏心器に対応付けられた全作動室の調整閾値を変えることができる。多ローブカムを有する機械では、制御器は、各ローブの摩耗の理由を説明して、そのローブに一時的に対応付けられた各作動室の調整閾値を変えることができる。
【0060】
今まで説明では基本閾値を調整して過去の事象を反映させると仮定しているけれども、場合によっては、ある特定の作動室を実際に作動させるまたは作動させないというシナリオ下で今後の状況を調整閾値が表すまたはモデル化するのが有利であり可能である。
【0061】
図3(a)は、高トルクローラピストンポンプおよび高速回転液圧モータを含む液圧風力タービン変速機のポンプ用カムリング70を示す。そのようなローラピストンポンプでは、ローラ(図示せず)は、カムリング70上で転がり、ピストン(同様に図示せず)に接続され、次にピストンは、シリンダ内でサイクル摺動して、図1の流体作動機械内の作動室と類似の作動室を一緒に形成する。カムリングが方向72に回転すると、制御器は、前述の方法で(即ち、軸位置センサを基準として低圧弁および高圧弁の作動によって)作動室の加圧状態を制御し、従って、カムに作用するローラによって力74の印加を制御する。正味の力78に逆らってカムを適所に保持するのに軸受76を必要とする。
【0062】
先行技術の方法によって制御される機械では、カムの一方の側上の多数の作動室が作動されているけれども、反対側上の少数の作動室が作動されている、図3a)に示すような構成を容易に形成することがある。これにより、軸受76を不必要に摩耗させ、変形させ、または破壊さえすることがある大きい正味の力78が生成される。
【0063】
図3(b)は、問題の作動室が作動されている軸受上の正味の力の大きさを予測する二次パラメータが基本閾値を調整する、本発明の利益を有する機械の挙動を示す。どの作動室を作動させるかを判断する瞬間に、本発明によるポンプは、現在の要求を満たすのに作動される各可能な作動室または作動室の組合せに対して、次の作動室体積サイクルにわたって生じる正味の力のピークの大きさを計算して、最小の正味の力を生成するその作動室またはそれらの作動室の組合せ、またはある特定の閾値未満になる正味の力を生成する第1の作動室を作動させるように選択する。正味の力は、各作動室の幾何学的位置だけでなく作動室の孔の大きさおよび高圧マニホールドの圧力から計算される。
【0064】
正味の力のピークの大きさの代わりに、平均または他の手段を使用することもできる。1つの作動室サイクルの範囲の代わりに、長いまたは短い範囲を使用することもできる。従って、本発明の方法により、流体作動機械が、軸受76上の正味の力80を図3(a)における正味の力よりも小さくする、図3(b)に示す作動室を作動させるようにする。
【0065】
図4は、塔104に回転可能に取り付けられ、3枚の翼108を支持するハブ106を有するナセル102を含む風力タービン発電機(電力吸収構造体としての機能を果たすWTG、100)を示す。ハブは、高圧線116および低圧線118によって互いに流体的に接続された高トルクローラピストン・リングカムポンプ112と高速回転モータ114とを含む液圧風力タービン変速機に軸110(概略的に図示)を介して接続されている。ポンプおよびモータは、図1を参照して説明された種類のものが好ましい。ポンプおよびモータという用語は、WTGにおいてそれらの最も一般的な動作を意味し、それらの形態でのみ動作する制限を必ずしも意味するのではない。高圧線116および低圧線118は、高圧ポート24および低圧ポート17にそれぞれ接続している。モータ114は、例えば、電力を配電網に供給するまたは電力を配電網から受け取る、同期または他の発電機またはモータ120に連結されている。
【0066】
制御器12は、軸速度センサ10および複数のセンサ122からの入力を用いて少なくともポンプの弁を制御する。センサは、加速度計、歪みゲージおよび相対位置センサであり、WTGの現在の構造的状態、例えば、塔または翼の望ましくない振動または共振状態を制御器に通知するのに使用される。
【0067】
使用時に、WTGは、図2を参照して上述されたアルゴリズムを使用することによって、本発明の利益を享受することができる。各時刻ステップで、制御器(第6の態様のコンピュータモデルとしての機能を果たす)は、WTGのポンプ、液圧系、塔および翼の既知の特性応答で提案の作動室の時間応答を畳み込むことによって、WTGの今後の運動(構造応答)を予測する。また、そのような予測では、センサ122から現在の運動(構造的状態)を使用する。運動の特定のパラメータ、例えば、測定値または複数の測定値の相対的な大きさを超えるかどうかのパラメータを使用して、可能な各作動室に対する調整閾値を生成する二次パラメータを基本閾値から計算してから、他の作動室と比較して適合性に基づいて作動室によって変位される体積を選択する。
【0068】
このようにして、先行技術によって制御されるポンプを駆動するWTGと比較して、WTGでは、構造振動が減少し、より長持ちし、より大きい困難を乗り切ることができ、または以前よりも軽量でコスト効率よく構成することができる。WTGの2つの部品の運動を、本発明によって望ましい均衡状態に復元することができる。
【0069】
図5は、2つ以上のセグメント130、132、複数のローラ136を駆動してシリンダ4内でピストン6を周期的に駆動する波形面134からなるカムリング70を示すローラピストン流体作動機械112の一部を示す。制御器12は、制御線18、26を介して能動低圧弁14およびオプションとして高圧弁20を制御して、それぞれ低圧マニホールド16および高圧マニホールド22から作動室を流体的に接続または分離する。制御器は、方向138に回転すると軸位置を測定する軸位置センサ10を有し、従ってセグメント境界140を認識する。セグメント境界は通常、好ましい動作または方向の形態でローラが作動室の上で転がる場合に作動室を加圧しない、即ちローラがセグメント境界を横切る場合に常時ローラに負荷をかけないように配置されている。例えば、方向138に回転し好ましくはポンプとして動作される、図5に示す機械では、ローラが、関連した作動室の膨張行程でセグメント境界を横切る。
【0070】
使用時に、例えば保守目的で少なくとも時々モータとして動作し、または逆方向にポンプとして動作する流体作動機械を必要とすることがある。この場合、先行技術の機械では、負荷がかかった状態でローラがセグメント境界を横切るように作動室が作動され、損傷および摩耗が生じる。しかし、本発明の方法を用いた機械では、軸位置センサから得られ、作動された作動室により負荷状態のローラがセグメント境界を横切るかどうかを予測する二次パラメータを使用して、どの作動室を作動させるかを選択し、その結果、長期にわたって所望の出力を維持しながら損傷および摩耗を避ける。
【0071】
導入部に列挙された用途を含む、本発明の利益を享受する多数の他の用途が存在する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的に変化する体積の複数の作動室を含む流体作動機械を動作させる方法であり、前記各作動室は、作動室体積の各サイクルに対して選択できる作動流体の体積を変位させるように動作でき、作動室体積の各サイクル中に1つ以上の前記作動室によって変位される作動流体の前記体積を選択して受信要求信号に応じて作動機能を実行するステップを含む方法であって、流体を変位させて前記作動機能を実行する第1の作動室の適合性を考慮して作動室体積のサイクル中に第1の作動室によって変位される作動流体の前記体積を選択することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記流体作動機械は、制御器と、低圧マニホールドおよび高圧マニホールドへの各作動室の接続を調節するように動作できる各作動室に対応付けられた少なくとも1つの弁とを含み、各作動室に対応付けられた少なくとも1つの弁は、作動室体積のサイクル中に変位される作動流体の前記体積を選択する前記制御器の能動制御下で電子的に制御可能であり、前記制御器は、前記要求信号を受信して、作動室体積のサイクルと同相関係で前記電子制御可能弁を能動的に制御し、前記受信要求信号に応じて作動室体積の各サイクルで前記作動室のうち1つ以上の作動室による流体の変位量を選択する、請求項1に記載の流体作動機械を動作させる方法。
【請求項3】
作動室体積の個々のサイクル中に前記第1の作動室によって変位される流体の量は、前記第1の作動室が適していない場合よりも前記第1の作動室が適している場合の方が多い、請求項1または2に記載の流体作動機械を動作させる方法。
【請求項4】
流体を変位させて前記作動機能を実行する少なくとも1つの第2の作動室の相対的適合性を考慮するステップも含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体作動機械を動作させる方法。
【請求項5】
作動室体積の個々のサイクル中に前記第1の作動室によって変位される流体の量は、第2の前記作動室が前記第1の作動室よりも相対的に適していた場合よりも多い、請求項4に記載の流体作動機械を動作させる方法。
【請求項6】
各作動室は、前記作動室が作動流体の正味の変位を行う能動サイクルまたは前記作動室が作動流体の正味の変位を実質的に行わないアイドルサイクルを実行するように作動室体積の各サイクルで動作でき、少なくとも時々、前記第1の作動室は、前記第2の作動室の不適合の結果としてアイドルサイクルの代わりに能動サイクルを実行する、請求項4または5に記載の流体作動機械を動作させる方法。
【請求項7】
各作動室は、前記作動室が作動流体の正味の変位を行う能動サイクルまたは前記作動室が作動流体の正味の変位を実質的に行わないアイドルサイクルを実行するように作動室体積の各サイクルで動作でき、少なくとも時々、前記第1の作動室は、前記第2の作動室よりも大きい適合性を有する結果としてアイドルサイクルの代わりに能動サイクルを実行する、請求項4〜6のいずれか一項に記載の流体作動機械を動作させる方法。
【請求項8】
前記第1の作動室によって変位される作動流体の前記選択体積を考慮して前記受信要求信号に応じて前記作動機能を実行するように、前記少なくとも1つの第2の作動室によって変位される作動流体の前記体積を選択する、請求項4〜7のいずれか一項に記載の流体作動機械を動作させる方法。
【請求項9】
前記第1の作動室の体積サイクルは、前記第2の作動室の体積サイクルよりも早くまたは遅く段階的に調整される、請求項4〜8のいずれか一項に記載の流体作動機械を動作させる方法。
【請求項10】
適合性を、1つ以上の作動室の使用の履歴量で判定する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の流体作動機械を動作させる方法。
【請求項11】
適合性を、流体加圧作動室によって前記流体作動機械の回転可能軸に加えられる正味の力の測定または予測で判定する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の流体作動機械を動作させる方法。
【請求項12】
機械的構成要素の運動を測定または予測するステップであって、前記運動は前記流体作動機械の影響を受けるステップと、その測定または予測に応じて各作動室の前記適合性を判定するステップとを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の流体作動機械を動作させる方法。
【請求項13】
前記受信要求信号が示す要求が十分低い場合、前記作動機能を実行するのに利用できる前記作動室のうち少なくとも1つの作動室によって変位される流体の前記選択体積は、作動室体積の少なくとも一部のサイクルに対して実質的にゼロである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の流体作動機械を動作させる方法。
【請求項14】
複数のサイクルに対して流体作動機械を動作させる方法であって、前記流体作動機械は周期的に変化する体積の複数の作動室を含み、前記各作動室は、各サイクル中に作動流体の選択可能体積を変位させるように動作でき、
各サイクル中に変位される作動流体の全体積が全体要求機能に従うように全体で前記複数の作動室を制御するステップと、
各作動室の適合性を判定する適合性機能に従って個々に前記複数の作動室を制御するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
制御器と、周期的に変化する体積の複数の作動室とを含む流体作動機械であり、前記各作動室は、作動室体積の各サイクルで前記制御器によって選択できる作動流体の体積を変位させるように動作でき、前記制御器は、作動室体積の各サイクルで1つ以上の前記作動室によって変位される作動流体の前記体積を選択して受信要求信号に応じて作動機能を実行するように動作できる流体作動機械であって、前記制御器は、流体を変位させて前記作動機能を実行する第1の作動室の適合性を考慮して作動室体積のサイクルで第1の作動室によって変位される作動流体の前記体積を選択するように動作できることを特徴とする流体作動機械。
【請求項16】
流体作動機械制御器上で実行される場合、請求項1〜14のいずれか一項に記載の前記流体作動機械を動作させるコンピュータ・プログラム・コード。
【請求項17】
少なくとも1つの機械的構成要素を含む電力吸収構造体であって、周期的に変化する体積の複数の作動室を含む流体作動機械自体をさらに含み、前記各作動室は、作動室体積の各サイクルに対して選択できる作動流体の体積を変位させるように動作でき、方法は、作動室体積の各サイクル中に1つ以上の前記作動室によって変位される作動流体の前記体積を選択して受信要求信号に応じて作動機能を実行するステップを含み、前記方法は、前記機械的構成要素の運動を測定または予測するステップと、前記作動機能の影響下で前記機械的構成要素の前記測定または予測された運動を考慮して作動室体積のサイクル中に第1の作動室によって変位される作動流体の前記体積を選択するステップとをさらに含む電力吸収構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−523515(P2012−523515A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501391(P2012−501391)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【国際出願番号】PCT/GB2011/050354
【国際公開番号】WO2011/104543
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(509066031)アルテミス インテリジェント パワー リミティド (25)
【氏名又は名称原語表記】ARTEMIS INTELLIGENT POWER LIMITED
【Fターム(参考)】