説明

流体充填用カートリッジ及び流体システム

【課題】カートリッジと外部との電気的接続を確実に行うことを可能にすると共に、流体の排出量や注入量を正確に制御(管理)することを可能にする。
【解決手段】カートリッジ12は、排出液108を充填可能な容器本体16と、容器本体16の外表面に設けられた電気接続用端子30a〜30dとを有する。固体隔壁102、変形隔壁106、円板116及び円筒状伸縮隔壁124によって容器本体16内を仕切ることにより、排出液充填室110及び押し液充填室114が形成される。円板116及び円筒状伸縮隔壁124の位置変化と、変形隔壁106の変形により、排出液充填室110及び押し液充填室114の各容積が変化して、排出液108の排出量又は注入量が調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体又は気体等の流体を容器本体に充填可能なカートリッジであって、充填した流体を外部に排出するか、あるいは、外部から流体を前記容器本体に注入することが可能な流体充填用カートリッジに関する。
【0002】
また、本発明は、前記流体充填用カートリッジを基台又はチップに連結して、該流体充填用カートリッジに充填された流体を輸送するための流体システムに関する。
【背景技術】
【0003】
従来より、液体又は気体等の流体が容器本体に充填された流体充填用カートリッジをマイクロ流体チップ(以下、チップという。)に連結して、前記カートリッジから前記チップに流体を排出するか、あるいは、前記チップから前記カートリッジに流体を注入することにより、前記チップ内の流体に対する制御、例えば、流体の流量、圧力及び位置を制御することが広く行われている。
【0004】
特許文献1には、電気浸透流現象を発揮する液体を移送させる電気浸透流ポンプを有する液体容器(カートリッジ)が提案されている。しかしながら、このカートリッジには、該カートリッジからの液体の排出量や、外部から前記カートリッジへの液体の注入量を検出するためのセンサが備わっていない。
【0005】
そこで、特許文献2には、ポンプ、バルブ及びセンサを備えたカートリッジが提案されている。このカートリッジでは、前記ポンプ及び前記バルブを制御することにより液体を移送させ、一方で、前記液体の流量(排出量又は注入量)は、半導体技術を応用した熱センサにより検出される。しかしながら、特許文献2の技術では、液体の種類に応じて熱センサを別途較正する必要がある。
【0006】
これに対して、特許文献3には、液体容器(カートリッジ)の排出口の先に流量検出器(センサ)を別途設ける構成が提案されている。
【0007】
また、上述したカートリッジでは、センサが検出した液体の流量を示す検出信号を外部に確実に出力するための電気接続機構が求められている。
【0008】
特許文献4には、電気浸透流ポンプの駆動時にカートリッジ内の隔壁が変形することにより、該カートリッジ内の液体が外部に排出される構成が提案されている。しかしながら、特許文献4には、上述した電気接続機構について何ら提案されていない。
【0009】
これに対して、特許文献5には、電気浸透流ポンプが基台を介してチップに固定され、さらに、外部電源から前記基台を介して前記電気浸透流ポンプに直流電圧(制御信号)を供給するための電気接続機構について提案されている。
【0010】
また、液体の輸送方法に関して、特許文献6には、駆動液体と輸送液体とをバブルを介して切り分ける(非接触とする)ことにより、どのような種類の液体でも輸送可能であることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第3923426号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0195020号明細書
【特許文献3】米国特許第7465382号公報
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/0033338号明細書
【特許文献5】特開2006−22807号公報
【特許文献6】特開2006−275016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した特許文献3は、カートリッジにセンサを組み込むことができず、一方で、該カートリッジから外部への液体の排出量や、外部から前記カートリッジへの液体の注入量を正確に制御する必要がある場合に、前記排出口の先にセンサを配置して、前記液体の注入量や排出量を検出できるようにしたものである。
【0013】
しかしながら、特許文献3の技術では、前記カートリッジに前記センサが組み込まれていないので、該カートリッジから外部に液体を排出し、あるいは、前記カートリッジに液体を注入するための流路構成(送液駆動系)が複雑化且つ大型化する。このような問題は、マイクロ流路や携帯型送液系等の小型の送液駆動系を実現する上で大きな問題であり、流路構成が複雑化且つ大型化することにより該送液駆動系の安全性及び信頼性を確保することが困難になるおそれがある。
【0014】
このように、カートリッジの外部にセンサを設けた場合の液体の流量は、前記送液駆動系の性能により規定される。すなわち、前記センサが検出した前記送液駆動系での液体の流量に基づいて、前記カートリッジから排出される液体の排出量や、前記カートリッジに注入される液体の注入量が制御される。
【0015】
従って、特許文献3の技術では、カートリッジからの液体の排出量と目的とする排出量との誤差を検出し、検出した誤差が最小となるようにフィードバックする能動的な制御や、前記カートリッジへの液体の注入量と目的とする注入量との誤差を検出し、検出した誤差が最小となるようにフィードバックする能動的な制御は行われていない。
【0016】
また、上述したように、特許文献4及び5には、センサが検出した液体の排出量及び注入量を示す検出信号をカートリッジから外部に出力するための電気接続機構について何ら提案されていない。また、特許文献5では、電気浸透流ポンプと基台との間の電気的接続機構について提案されているが、カートリッジと基台内の流路とを接続したときに電気的な接続も併せて行なうことについては何ら提案されていない。さらに、特許文献6には、液体の輸送方法について提案されているが、カートリッジと基台又はチップとの電気的な接続や、センサについては何ら提案されていない。
【0017】
本発明は、前記の問題に鑑みなされたものであり、液体又は気体等の流体が容器本体に充填されたカートリッジにおいて、前記カートリッジと外部との電気的接続を確実に行うことを可能にすると共に、前記流体の排出量や注入量を正確に制御(管理)することを可能にする流体充填用カートリッジ及び流体システムを提供することを目的とする。
【0018】
また、本発明は、基台又はチップとの連結時に、前記カートリッジと前記基台又は前記チップとの電気的接続も併せて行なうことができる流体充填用カートリッジ及び流体システムを提供することを目的とする。
【0019】
さらに、本発明は、前記流体充填用カートリッジを基台又はチップに連結することにより、該流体充填用カートリッジに充填された流体を確実に輸送することができる流体システムを提供することを目的とする。
【0020】
さらにまた、本発明は、前記容器本体から外部への流体の排出量や、外部から前記容器本体に注入される流体の注入量を検出するセンサを別途外部に設けず、前記カートリッジに内蔵させることで、前記排出量や前記注入量を正確に制御(管理)することが可能となる流体充填用カートリッジを提供することを目的とする。
【0021】
さらにまた、本発明は、センサが検出した流体の排出量又は注入量を示す検出信号を確実にカートリッジから外部に出力するための電気接続機構を備えた流体充填用カートリッジ及び流体システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明に係る流体充填用カートリッジは、容器本体と、前記容器本体の外表面に設けられた第1の接続端子とを備え、
前記容器本体は、該容器本体内を仕切る少なくとも1枚の隔壁と、前記隔壁によって前記容器本体内に形成され、流体を充填可能な少なくとも2以上の隔室とを有し、
前記隔壁は、前記容器本体内での位置を変化するか、又は、該隔壁を変形することにより、前記各隔室の容積を変化させて、前記各隔室に充填された前記流体の排出量又は前記各隔室への注入量を調整することを特徴としている。
【0023】
この発明によれば、外部から前記第1の接続端子を介して前記流体充填用カートリッジに信号を供給し、一方で、前記流体充填用カートリッジから前記第1の接続端子を介して外部に信号を出力することが可能になる。
【0024】
これにより、目的とする排出量又は注入量(単位時間当たりの流量)に従って、前記容器本体から外部に前記流体を排出し、又は、外部から前記容器本体に前記流体を注入することも可能となり、実際の排出量又は注入量を、目的とする排出量又は注入量に容易に制御(管理)することが可能になる。
【0025】
このように、本発明では、前記流体充填用カートリッジと外部との電気的接続を前記第1の接続端子を介して確実に行うことで、前記排出量や前記注入量を正確に制御(管理)することが可能になる。
【0026】
また、本発明に係る流体充填用カートリッジでは、前記流体を輸送可能な輸送路が設けられた基台又はチップと連結したときに、前記基台又は前記チップに設けられ、且つ、該第1の接続端子と対を成す第2の接続端子と、前記第1の接続端子とが電気的に接続されることが好ましい。
【0027】
また、本発明に係る流体システムは、
容器本体と前記容器本体の外表面に設けられた第1の接続端子とを備え、前記容器本体が、該容器本体内を仕切る少なくとも1枚の隔壁と、前記隔壁によって前記容器本体内に形成され、流体を充填可能な少なくとも2以上の隔室とを有する流体充填用カートリッジと、
前記流体を輸送可能な輸送路と、該第1の接続端子と対を成す第2の接続端子とが設けられた基台又はチップと、
を有し、
前記隔壁は、前記容器本体内での位置を変化するか、又は、該隔壁を変形することにより、前記各隔室の容積を変化させて、前記各隔室に充填された前記流体の排出量又は前記各隔室への注入量を調整し、
前記流体充填用カートリッジと前記基台又は前記チップとを連結したときに、前記第1の接続端子と前記第2の接続端子とが電気的に接続されることを特徴としている。
【0028】
これらの発明によれば、前記流体充填用カートリッジを前記基台又は前記チップに連結すれば、電気接続機構としての前記第1の接続端子と前記第2の接続端子とが電気的に接続されるので、前記流体充填用カートリッジに充填された前記流体を確実に輸送することができると共に、外部から前記第2の接続端子及び前記第1の接続端子を介して前記流体充填用カートリッジに信号を供給し、一方で、前記流体充填用カートリッジから前記第1の接続端子及び前記第2の接続端子を介して外部に信号を出力することが可能となる。
【0029】
この場合、前記容器本体内には、前記流体の排出量又は注入量を検出信号として出力するセンサ、前記流体を移送させるポンプ、前記ポンプを駆動するための電源、及び、前記センサが検出した前記排出量又は前記注入量に基づいて前記ポンプの駆動を制御する制御回路部のうち、少なくとも1つが前記第1の接続端子と電気的に接続されるように収容されている。
【0030】
従って、本発明では、前記流体充填用カートリッジの構成として、例えば、下記(a)〜(f)の形態を採用することが可能である。
【0031】
(a)前記流体充填用カートリッジに前記センサのみ組み込む。
【0032】
(b)前記流体充填用カートリッジに前記ポンプのみ組み込む。
【0033】
(c)前記流体充填用カートリッジに前記センサ及び前記ポンプを組み込む。
【0034】
(d)前記流体充填用カートリッジに前記センサ、前記ポンプ及び前記制御回路部を組み込む。
【0035】
(e)前記流体充填用カートリッジに前記センサ、前記ポンプ及び前記電源を組み込む。
【0036】
(f)前記流体充填用カートリッジに前記センサ、前記ポンプ、前記電源及び前記制御回路部を組み込む。
【0037】
これら(a)〜(f)の構成を採用することにより、前記流体充填用カートリッジと前記基台又は前記チップとを連結したときに、前記第1の接続端子と前記第2の接続端子とが電気的に接続されるので、外部から前記容器本体内の前記ポンプ又は前記制御回路部に信号を供給し、あるいは、前記容器本体内の前記センサ又は前記制御回路部から外部に信号を出力することが可能となる。
【0038】
特に、(b)、(c)及び(e)の場合には、外部から前記第2の接続端子及び前記第1の接続端子を介して前記ポンプを制御することが可能となる。また、(d)及び(f)の場合には、外部から前記第2の接続端子及び前記第1の接続端子を介して前記制御回路部に信号(オン信号又はオフ信号)を与えることにより、前記制御回路部から前記ポンプに対する制御開始又は制御停止を外部からコントロールすることが可能となる。
【0039】
また、前記センサが前記流体充填用カートリッジに内蔵されている(a)の場合には、外部に別途センサを設けることなく前記流体の排出量又は前記注入量を検出することができる。この場合でも、目的とする排出量又は注入量(単位時間当たりの流量)に従って前記容器本体から外部に前記流体を排出し、又は、外部から前記容器本体に前記流体を注入することができるので、実際の排出量又は注入量を、目的とする排出量又は注入量に容易に制御(管理)することが可能となる。
【0040】
この結果、前記容器本体から外部への流体の排出量や、外部から前記容器本体に注入される流体の注入量を検出するセンサを別途外部に設けず、前記カートリッジに内蔵させることにより、前記排出量や前記注入量を正確に制御(管理)することが可能となる。
【0041】
さらに、前記流体充填用カートリッジを前記基台又は前記チップに連結して前記第1の接続端子と前記第2の接続端子とを電気的に接続すれば、前記検出信号が前記流体充填用カートリッジから前記基台又は前記チップを介して外部に確実に出力されるので、前記排出量又は前記注入量を外部から管理し、且つ、観測することが容易になる。
【0042】
また、上記の流体充填用カートリッジにおいて、
前記隔壁は、前記容器本体内を仕切ることにより第1の隔室及び第2の隔室を形成させると共に、前記容器本体内での位置を変化するか、又は、該隔壁を変形することにより、前記第1の隔室の容積及び前記第2の隔室の容積を変化させることが可能な第1の隔壁であり、
前記第1の隔室には、前記第1の隔壁の位置を変化させるか、又は、前記第1の隔壁を変形させるための第1の流体が充填され、
前記第2の隔室には、前記第2の流体を外部に排出するか、又は、前記第2の流体を外部から注入するための開口が設けられている。
【0043】
この場合、前記第2の流体は、前記第2の隔室から前記開口を介して外部に排出されるか、あるいは、外部から前記開口を介して前記第2の隔室に注入される流体であり、一方で、前記第1の流体は、前記第2の流体を排出又は注入するために用いられる流体である。上記のように、前記第1の流体によって前記第1の隔壁の位置を変化させるか、又は、前記第1の隔壁を変形させることにより、前記第2の隔室からの前記第2の流体の排出や、該第2の隔室への前記第2の流体の注入を容易に制御することができるので、前記排出量や前記注入量をより正確に管理することが可能となる。
【0044】
また、前記第1の隔室には、該第1の隔室を仕切ることにより前記第2の隔室から遠位の第1の空間と前記第2の隔室側の第2の空間とを形成し且つ前記容器本体内での位置が固定された第2の隔壁が設けられ、前記第2の隔壁には、前記第1の空間と前記第2の空間との間で前記第1の流体を移送させる前記ポンプが組み込まれている。
【0045】
この場合、前記ポンプを駆動して前記第1の空間と前記第2の空間との間で前記第1の流体を移送させることにより、前記第1の隔壁の位置を容易に変化させ、あるいは、前記第1の隔壁を容易に変形させることができるので、前記排出量や前記注入量の制御が一層容易なものとなる。
【0046】
また、前記第1の液体は、電気浸透流現象を発揮する液体であり、前記ポンプは、電気浸透流ポンプであることが好ましい。
【0047】
これにより、チップ内の微小流量の流体に対する位置制御を高精度に行うことが要求される流体システムに、本発明に係る流体充填用カートリッジを適用することが可能となる。
【0048】
この場合、前記容器本体内には、前記第1の隔壁及び前記容器本体と共働して前記第1の隔室を形成するための第3の隔壁が設けられ、前記第3の隔壁は、前記容器本体内での位置を変化することにより、前記第1の隔壁と共働して前記第1の隔室の容積及び前記第2の隔室の容積を変化させることが可能である。
【0049】
これにより、前記排出量や前記注入量を一層正確に制御することができる。
【0050】
ここで、前記センサは、下記(1)〜(3)のいずれかの検出方式によるセンサであることが望ましい。
【0051】
(1)前記センサは、前記容器本体に対する前記第1の隔壁の移動量、前記第1の隔壁の変形量、及び、前記容器本体に対する前記第3の隔壁の移動量のうち、少なくとも1つを電気抵抗の変化として検出する抵抗検出センサである。
【0052】
(2)前記センサは、前記容器本体に対する前記第1の隔壁の移動量、前記第1の隔壁の変形量、及び、前記容器本体に対する前記第3の隔壁の移動量のうち、少なくとも1つを電気容量の変化として検出する容量検出センサである。
【0053】
(3)前記センサは、前記容器本体に対する前記第1の隔壁の移動量、前記第1の隔壁の変形量、及び、前記容器本体に対する前記第3の隔壁の移動量のうち、少なくとも1つを光路長の変化又は位置の変化として検出する光検出センサである。
【0054】
上記(1)〜(3)のいずれの検出方式によるセンサであっても、前記第1の隔壁の移動量、前記第1の隔壁の変形量、及び、前記第3の隔壁の移動量は、前記第2の液体の排出量及び注入量に応じて変化する。従って、これらの変化量(移動量、変形量)に応じた電気抵抗の変化、電気容量の変化、あるいは、光路長の変化又は位置の変化と、前記第2の液体の排出量又は注入量との関係を予め計測しておけば、流体充填用カートリッジの使用時に、前記センサが検出した前記電気抵抗の変化、前記電気容量の変化、あるいは、前記光路長の変化又は前記位置の変化から前記第2の液体の排出量又は注入量を容易に求めることが可能となる。
【発明の効果】
【0055】
本発明に係る流体充填用カートリッジによれば、外部から第1の接続端子を介して前記流体充填用カートリッジに信号を供給し、一方で、前記流体充填用カートリッジから前記第1の接続端子を介して外部に信号を出力することが可能になる。
【0056】
これにより、目的とする排出量又は注入量(単位時間当たりの流量)に従って、容器本体から外部に流体を排出し、又は、外部から前記容器本体に前記流体を注入することも可能となり、実際の排出量又は注入量を、目的とする排出量又は注入量に容易に制御(管理)することが可能になる。
【0057】
このように、本発明では、前記流体充填用カートリッジと外部との電気的接続を前記第1の接続端子を介して確実に行うことで、前記排出量や前記注入量を正確に制御(管理)することが可能になる。
【0058】
また、本発明に係る流体充填用カートリッジ及び流体システムによれば、該流体充填用カートリッジを基台又はチップに連結すれば、電気接続機構としての第1の接続端子と第2の接続端子とが電気的に接続されるので、前記流体充填用カートリッジに充填された流体を確実に輸送することができると共に、外部から前記第2の接続端子及び前記第1の接続端子を介して前記流体充填用カートリッジに信号を供給し、一方で、前記流体充填用カートリッジから前記第1の接続端子及び前記第2の接続端子を介して外部に信号を出力することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施形態に係る流体システムの斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】図1のカートリッジの内部構成を説明するためのブロック図である。
【図4】図2及び図3の抵抗検出センサの一部構成を説明するための平面図である。
【図5】図3の抵抗検出センサを容量検出センサに置き換えたカートリッジの内部構成を説明するためのブロック図である。
【図6】図3の抵抗検出センサを光検出センサに置き換えたカートリッジの内部構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明に係る流体充填用カートリッジ及び流体システムの好適な実施形態を図1〜図6を参照しながら説明する。
【0061】
本実施形態に係る流体システム10は、図1に示すように、流体充填用カートリッジ12(以下、カートリッジ12ともいう。)と、該カートリッジ12が装着される基台14と、該基台14に連結される図示しないマイクロ流体チップ(チップ)とを有する。なお、図1は、2つのカートリッジ12をマニホールドとしての基台14に装着することにより、各カートリッジ12が基台14を介して前記チップに連結される場合を図示している。
【0062】
カートリッジ12は、図1及び図2に示すように、筒状の容器本体16と、該容器本体16を構成する排出液充填用筒部18の基台14側に装着された筒状の継手24及びコネクタ26と、容器本体16を構成し且つ排出液充填用筒部18に連結された押し液充填用筒部20に取り付けられる蓋部材22とを有する。
【0063】
この場合、カートリッジ12の蓋部材22、容器本体16及び継手24は、略同軸に構成されている。また、蓋部材22には、容器本体16内に連通する吸入口32が形成されている。さらに、コネクタ26の先端側には、基台14側に延在する4つの電気接続用端子(第1の接続端子)30a〜30dが設けられている。さらにまた、継手24における基台14側の外周面には、径方向に突出する突起28が設けられている。なお、突起28は、継手24の基台14側の外周面において、図1に示す位置と、該位置に対して180°回転した反対側の位置(図示せず)との2箇所にそれぞれ設けられている。
【0064】
一方、基台14のカートリッジ12側の表面には、各カートリッジ12の継手24にそれぞれ接続可能な2つの継手40と、各電気接続用端子30a〜30dにそれぞれ接続可能な8つの電気接続用端子(第2の接続端子)60a〜60dとがそれぞれ設けられている。
【0065】
この場合、各継手40には、基台14に固定された円柱状の基端部42と、基端部42の上面の外周部分から上方に延在する平面円弧状の2つの円弧状部44と、基端部42の上面の中心部から上方に延在する管路48とがそれぞれ設けられている。また、円弧状部44には、突起28の形状に対応した切欠46が形成されている。さらに、管路48には、該管路48と略同軸のカートリッジ接続孔50が形成されている。
【0066】
一方、各電気接続用端子60a〜60dは、それぞれ、各電気接続用端子30a〜30dの先端部を受容可能な略凹部状の形状とされている。
【0067】
突起28が設けられた継手24の外周部分は、回転可能に構成されている。従って、図1に示すように、突起28の位置が右側のカートリッジ12の位置にある状態で該カートリッジ12を基台14側に下降させると、継手24の先端部の内方と管路48とが嵌合すると共に、該継手24の先端部と継手40の基端部42の上面とが接触する。
【0068】
この状態で、継手24の外周部分を切欠46側に回転させると、突起28の一部が切欠46に嵌合して、図1の左側のカートリッジ12に示すように、基台14側の継手40に対してカートリッジ12の継手24が確実に結合されると共に、電気接続用端子30a〜30dの先端部が電気接続用端子60a〜60dの凹部に嵌合する。
【0069】
すなわち、図1において、右側のカートリッジ12では、該カートリッジ12の継手24と基台14側の継手40との間の機械的接続が成されていないと共に、電気接続用端子30a〜30dと電気接続用端子60a〜60dとの間の電気的接続が成されておらず、一方で、左側のカートリッジ12では、該カートリッジ12の継手24と基台14側の継手40との間の機械的接続が成されていると共に、電気接続用端子30a〜30dと電気接続用端子60a〜60dとの間の電気的接続も成されている。
【0070】
また、基台14における前記チップに対向する側面には2つの流路出口70が形成されている。また、基台14には、各流路出口70と各継手40のカートリッジ接続孔50とをそれぞれ接続する2つの流路(輸送路)76が形成されている。さらに、電気接続用端子60a〜60dには、電極リード線62a〜62dがそれぞれ電気的に接続されている。
【0071】
次に、図2〜図4を参照しながら、本実施形態に係るカートリッジ12の内部構成について、さらに詳しく説明する。
【0072】
図2は、図1のII−II線に沿った断面図であり、図3は、カートリッジ12の内部構成を模式化した流体システム10のブロック図であり、図4は、カートリッジ12内の抵抗検出センサ80の一部構成を示す平面図である。
【0073】
なお、図3及び図4では、カートリッジ12の内部構成の説明を容易化する目的で、継手24の図示を省略すると共に、カートリッジ12の一部構成を誇張して図示している。
【0074】
図2に示すように、排出液充填用筒部18に装着された継手24には、該継手24及び排出液充填用筒部18と略同軸の排出口(開口)100が形成されており、該排出口100は、継手24、40が接続されたときに、排出液充填用筒部18の上面側の凹部と継手40のカートリッジ接続孔50、流路76及び流路出口70とを連通させる。
【0075】
これに対して、押し液充填用筒部20では、上面側と底面側とが径方向に沿った薄肉部分として形成され、一方で、上面側と底面側との間の中間部分が径方向に沿った厚肉部分の固体隔壁(第2の隔壁)102として形成される。また、固体隔壁102に形成され且つ前記上面側(第1の空間105)と前記底面側(第2の空間107)とを連通する孔103の途中には、第1の空間105と第2の空間107との間で押し液(第1の液体)112を移動させる電気浸透流ポンプ104が配設されている。
【0076】
なお、第1の空間105は、固体隔壁102と、後述する円板116及び円筒状伸縮隔壁124とによって形成され、且つ、押し液112が充填可能な空間であり、一方で、第2の空間107は、固体隔壁102と、押し液充填用筒部20の内周面と、変形隔壁106とによって形成され、且つ、押し液112が充填可能な空間である。
【0077】
この場合、押し液充填用筒部20と排出液充填用筒部18との間には、ダイヤフラム等からなる変形隔壁(第1の隔壁)106が介挿されており、排出液充填用筒部18の上面側の凹部と変形隔壁106とによって排出液(第2の流体)108が充填される排出液充填室(第2の隔室)110が構成される。
【0078】
また、押し液充填用筒部20の上面側の凹部には、上下方向に伸縮自在の円筒状伸縮隔壁124が配設され、該円筒状伸縮隔壁124の蓋部材22側には円板116が取り付けられている。そのため、第3の隔壁を構成する円板116及び円筒状伸縮隔壁124と、押し液充填用筒部20の内周面と、固体隔壁102と、変形隔壁106とによって押し液112が充填される押し液充填室(第1の隔室)114が構成される。従って、押し液112は、押し液充填室114内において液密状態で保持される。
【0079】
また、円筒状伸縮隔壁124の外周面と押し液充填用筒部20の内周面との間には帯状の抵抗体120、122が固体隔壁102の上面から蓋部材22に向かって互いに対向するように配設されている。この場合、抵抗体120における蓋部材22に接触する一端部は、電気接続用端子30cと電気的に接続されると共に、抵抗体122における蓋部材22に接触する一端部は、電気接続用端子30dと電気的に接続されている。
【0080】
また、円板116の上面には直線状の導通配線126が配置され、該導通配線126の両端部は、導電性のばね部材128、130から導電性の接点部材132、134を介して抵抗体120、122をそれぞれ押圧すると共に、該ばね部材128、130及び接点部材132、134を介して抵抗体120、122と電気的に接続される。
【0081】
上記した導通配線126、ばね部材128、130、接点部材132、134及び抵抗体120、122により抵抗検出センサ80が構成され、該抵抗検出センサ80は、カートリッジ12が基台14に装着されていれば、電気接続用端子30c、30d、電気接続用端子60c、60d及び電極リード線62c、62dを介して処理部172を備えた制御回路部170に電気的に接続される。
【0082】
一方、電気浸透流ポンプ104は、孔103に沿って配設された電気浸透材140と、該電気浸透材140の上面側に配置され且つ複数の孔146が形成されたメッシュ状の電極142と、電気浸透材140の底面側に配置され且つ複数の孔148が形成されたメッシュ状の電極144とから構成される。この場合、カートリッジ12が基台14に装着されていれば、電極142は、電気接続用端子30a、60a及び電極リード線62aを介して、制御回路部170により制御される電源174に電気的に接続され、一方で、電極144は、電気接続用端子30b、60b及び電極リード線62bを介して電源174に電気的に接続される。
【0083】
なお、円板116と押し液充填用筒部20の内周面と蓋部材22とによって形成される吸入気体充填室118は、吸入口32を介して外部と連通する空間である。また、参照数字の150は、排出液108の液面を示す。
【0084】
ここで、流体システム10を構成する各構成要素の材質等について説明する。
【0085】
押し液112は、電気浸透流現象を発揮する水や電解質溶液等の電気浸透流ポンプ104の駆動によって、押し液充填室114内の第1の空間105と第2の空間107との間を移動可能な液体である。また、排出液108は、電気浸透流ポンプ104の駆動による押し液112の移動に起因して、排出液充填室110から基台14及び前記チップに排出され、あるいは、基台14及び前記チップから排出液充填室110に注入される液体であり、いかなる液体であってもよい。
【0086】
基台14及びチップは、排出液108に対して耐液性を有するプラスチックやガラスからなる。また、カートリッジ12は、全体的に、排出液108及び押し液112に対して耐液性を有する材料からなることが望ましい。
【0087】
具体的に、容器本体16を構成する排出液充填用筒部18及び押し液充填用筒部20や、蓋部材22及び円板116は、排出液108及び押し液112に対して耐液性を有するプラスチック材料、セラミックス、ガラスや、表面が電気絶縁処理された金属材料からなる。また、変形隔壁106及び円筒状伸縮隔壁124は、排出液108及び押し液112に対して耐液性を有し、且つ、外力によって伸縮又は変形が可能な弾力性のあるゴム等からなる。
【0088】
さらに、電気浸透流ポンプ104は、特許文献5に開示されている電気浸透流ポンプと同様の構造及び材質を採用することができる。従って、電気浸透流ポンプ104の具体的な構造、材質及び動作についての詳細な説明は省略する。
【0089】
さらにまた、継手24、40は、排出液108に対して耐液性を有するプラスチックからなる。
【0090】
本実施形態に係る流体システム10及びカートリッジ12は、以上のように構成されるものであり、次に、その動作について、図1〜図4を参照しながら説明する。
【0091】
ここでは、排出液108が予め充填されたカートリッジ12を基台14に装着した後に、該カートリッジ12内の電気浸透流ポンプ104を駆動させて、カートリッジ12から基台14を介してチップに排出液108を排出(送液)し、あるいは、チップから基台14を介してカートリッジ12に排出液108を注入する場合について説明する。
【0092】
先ず、カートリッジ12を基台14に装着する前に、排出液充填室110に排出液108を充填する。排出液充填室110への排出液108の充填方法は、例えば、図示しないシリンジから継手24の排出口100を介して排出液充填室110に排出液108を充填する方法や、上記の基台14と同一構成の排出液充填用の基台にカートリッジ12を装着し、電気浸透流ポンプ104を駆動することにより、前記基台から排出口100を介して排出液充填室110に排出液108を充填する方法を採用することができる。
【0093】
このような方法によって排出液108が充填された排出液充填室110の状態が図2の右側のカートリッジ12に図示されている。図2では、排出液108の充填によって、右側のカートリッジ12の変形隔壁106が固体隔壁102側に変形すると共に、円筒状伸縮隔壁124が蓋部材22側に伸長し、この結果、円板116の位置が蓋部材22側にある状態を図示している。
【0094】
次に、上記のように予め排出液108が排出液充填室110に充填されたカートリッジ12を基台14に装着する。
【0095】
この場合、突起28の位置を図1の右側のカートリッジ12の位置にある状態で該カートリッジ12を基台14側に下降させると、継手24の先端部の内周面と管路48の外周面とが嵌合すると共に、該継手24の先端部と継手40の基端部42の上面とが接触する。
【0096】
このように、継手24と管路48とが嵌合した状態で、継手24の外周部分を切欠46側に回転させると、突起28の一部が切欠46に嵌合し、継手24、40が確実に結合されると共に、電気接続用端子30a〜30dの先端部も電気接続用端子60a〜60dの凹部に嵌合する。
【0097】
すなわち、継手24、40間の機械的接続によって、排出液充填室110は、継手24の排出口100を介して、継手40のカートリッジ接続孔50、基台14の流路76、流路出口70及びチップと連通する。
【0098】
また、電気接続用端子30a〜30d、60a〜60d間の電気的接続によって、電気浸透流ポンプ104の電極142は、電気接続用端子30a、60a及び電極リード線62aを介して電源174と電気的に接続され、一方で、電極144は、電気接続用端子30b、60b及び電極リード線62bを介して電源174と電気的に接続される。また、抵抗検出センサ80の抵抗体120は、電気接続用端子30c、60c及び電極リード線62cを介して制御回路部170と電気的に接続され、一方で、抵抗体122は、電気接続用端子30d、60d及び電極リード線62dを介して制御回路部170と電気的に接続される。
【0099】
以上が、カートリッジ12への排出液108の充填と、充填後のカートリッジ12の基台14への装着に関する説明である。
【0100】
次に、電気浸透流ポンプ104の駆動によるカートリッジ12から基台14及びチップへの排出液108の排出(送液)について説明する。
【0101】
上述のように、継手24、40間の機械的接続と、電気接続用端子30a〜30d、60a〜60d間の電気的接続とがそれぞれ成された状態で、制御回路部170から電源174に、電気浸透流ポンプ104の駆動を指示するための制御信号が出力されると、電源174は、電極リード線62a、62bから電気接続用端子60a、60b、30a、30bを介して電極142、144に電圧(例えば、直流電圧)を印加して、該電気浸透流ポンプ104を駆動させる。
【0102】
電気浸透流現象を発揮する押し液112は、電気浸透流ポンプ104の駆動によって、押し液充填室114の第1の空間105から電極142の孔146、電気浸透材140及び電極144の孔148を介して第2の空間107に移送される。これにより、第1の空間105の容積が減少して、円筒状伸縮隔壁124が固体隔壁102側に縮み、押し液充填用筒部20に対する円板116の位置が固体隔壁102側に移動する。例えば、図2の右側のカートリッジ12中の円板116の位置から左側のカートリッジ12中の円板116の位置に移動する。一方、第2の空間107では、該第2の空間107の容積が増加するので、変形隔壁106が継手24側に変形する。例えば、図2の右側のカートリッジ12中の変形隔壁106の形状から左側のカートリッジ12中の変形隔壁106の形状に変形する。
【0103】
このように、変形隔壁106が継手24側に変形するので、変形隔壁106の変形分に相当する容積の排出液108が排出口100からカートリッジ接続孔50を介して基台14に排出され、排出液108の液面150がカートリッジ12から基台14にまで移動するので、該排出液108を流路76及び流路出口70を介してチップに排出(送液)することが可能となる。
【0104】
ところで、カートリッジ12内には、抵抗検出センサ80が備わっている。
【0105】
この抵抗検出センサ80では、図2〜図4に示すように、電気接続用端子30cに対して抵抗体120の蓋部材22側が電気的に接続され、電気接続用端子30dに対して抵抗体122の蓋部材22側が電気的に接続され、さらに、導通配線126の両端部がばね部材128、130及び接点部材132、134を介して抵抗体120、122にそれぞれ電気的に接続されている。
【0106】
そのため、電気接続用端子30c、30dから抵抗検出センサ80を見た場合に、電気接続用端子30c、30d間には、抵抗体120の蓋部材22側から接点部材132、ばね部材128、導通配線126、ばね部材130及び接点部材134を介して抵抗体122の蓋部材22側に至る直列合成抵抗を有する抵抗器が電気的に接続されているとみなすことができる。
【0107】
従って、電気接続用端子30c、30dから抵抗検出センサ80を見たときの抵抗値は、前記抵抗器の抵抗値(前記直列合成抵抗)となる。
【0108】
また、前述のように、電気浸透流ポンプ104の駆動による押し液112の移動によって円筒状伸縮隔壁124が縮んで円板116の位置が固体隔壁102側に移動するので、前記抵抗器における抵抗体120の蓋部材22側から接点部材132までの抵抗値や、抵抗体122の蓋部材22側から接点部材134までの抵抗値が変化し、この結果、前記直列合成抵抗が変化する。
【0109】
すなわち、円板116の移動量、円筒状伸縮隔壁124の伸縮量及び変形隔壁106の変形量と、第1の空間105から第2の空間107に移動する押し液112の移動量と、押し液112の移動によって排出液充填室110から排出口100を介して基台14に排出される排出液108の排出量とは、それぞれ対応し、しかも、円板116の移動量、円筒状伸縮隔壁124の伸縮量及び変形隔壁106の変形量と、電気接続用端子30c、30dから抵抗検出センサ80を見たときの前記直列合成抵抗とは、それぞれ対応している(相関性がある)。
【0110】
従って、抵抗検出センサ80は、円板116の移動量、円筒状伸縮隔壁124の伸縮量及び変形隔壁106の変形量を、前記直列合成抵抗の変化として検出する。
【0111】
この場合、押し液112の移動量及び排出液108の排出量と、円板116の移動量、円筒状伸縮隔壁124の伸縮量及び変形隔壁106の変形量と、前記直列合成抵抗の変化との関係(比例関係)を予め計測しておき、その計測結果(例えば、上記の比例関係を示すグラフ又はテーブル)を処理部172に記憶しておく。そして、電気浸透流ポンプ104の駆動時に、抵抗検出センサ80は、電気接続用端子30c、30d、60c、60d及び電極リード線62c、62dを介して制御回路部170に前記直列合成抵抗を出力する。処理部172は、入力された前記直列合成抵抗と前記グラフ又は前記テーブルとに基づいて、現在の排出液108の排出量を求め(換算し)、実際の排出量が目的とする排出量になっているか否かを判定する。そして、実際の排出量が目的とする排出量に一致していないと処理部172が判定した場合に、制御回路部170は、実際の排出量と目的とする排出量との偏差に応じた制御信号を電源174に出力し、電源174は、前記制御信号に基づいて、電気浸透流ポンプ104の電極142、144に印加している電圧を、該制御信号に応じた電圧に変更する(例えば、直流電圧の電圧値を調整する)。
【0112】
このように、排出液108の実際の排出量に応じた直列合成抵抗が制御回路部170にフィードバックされるので、カートリッジ12から排出される排出液108の排出量を、目的とする排出量に容易に管理(制御)することができる。
【0113】
以上が、電気浸透流ポンプ104の駆動によるカートリッジ12から基台14及びチップへの排出液108の排出(送液)についての説明である。
【0114】
次に、電気浸透流ポンプ104の駆動によるチップ及び基台14からカートリッジ12への排出液108の注入(吸入、充填)について説明する。
【0115】
この場合、電源174は、排出液108の排出時に電極142、144に印加した電圧とは逆極性の電圧を該電極142、144に印加する。
【0116】
これにより、押し液112は、電気浸透流ポンプ104の駆動によって、押し液充填室114の第2の空間107から第1の空間105に移送され、この結果、第2の空間107の容積が減少して、変形隔壁106が固体隔壁102側に変形する。例えば、図2の左側のカートリッジ12中の変形隔壁106の形状から右側のカートリッジ12中の変形隔壁106の形状に変形する。
【0117】
このように、変形隔壁106が固体隔壁102側に変形するので、変形隔壁106の変形分に相当する容積の排出液108が、基台14からカートリッジ接続孔50及び排出口100を介して排出液充填室110に注入され、一方で、変形隔壁106の変形分に相当する容積の押し液112が第2の空間107から第1の空間105に移送されて、円筒状伸縮隔壁124が蓋部材22側に伸長して、押し液充填用筒部20に対する円板116の位置が蓋部材22側に移動する。例えば、図2の左側のカートリッジ12中の円板116の位置から右側のカートリッジ12中の円板116の位置に移動する。
【0118】
この場合でも、円板116の移動量、円筒状伸縮隔壁124の伸縮量及び変形隔壁106の変形量と、第2の空間107から第1の空間105に移動する押し液112の移動量と、押し液112の移動による排出液充填室110への排出液108の注入量とは、それぞれ対応し、しかも、円板116の移動量、円筒状伸縮隔壁124の伸縮量及び変形隔壁106の変形量と、電気接続用端子30c、30dから抵抗検出センサ80を見たときの前記直列合成抵抗とは、それぞれ対応している(相関性がある)。
【0119】
そこで、押し液112の移動量及び排出液108の注入量と、円板116の移動量、円筒状伸縮隔壁124の伸縮量及び変形隔壁106の変形量と、前記直列合成抵抗の変化との比例関係を示す計測結果(例えば、上記の比例関係を示すグラフ又はテーブル)を処理部172に記憶させておき、抵抗検出センサ80が電気接続用端子30c、30d、60c、60d及び電極リード線62c、62dを介して制御回路部170に前記直列合成抵抗を出力したときに、処理部172は、入力された前記直列合成抵抗と前記グラフ又は前記テーブルとに基づいて、現在の排出液108の注入量を求め(換算し)、実際の注入量が目的とする注入量になっているか否かを判定する。そして、実際の注入量が目的とする注入量に一致していないと処理部172が判定した場合に、制御回路部170は、実際の注入量と目的とする注入量との偏差に応じた制御信号を電源174に出力し、電源174は、前記制御信号に基づいて、電気浸透流ポンプ104の電極142、144に印加している電圧を、該制御信号に応じた電圧に変更する(例えば、直流電圧の電圧値を調整する)。
【0120】
このように、排出液108の実際の注入量に応じた直列合成抵抗が制御回路部170にフィードバックされるので、カートリッジ12に注入される排出液108の注入量を、目的とする注入量に容易に管理(制御)することができる。
【0121】
以上が、電気浸透流ポンプ104の駆動によるチップ及び基台14からカートリッジ12への排出液108の注入(吸入、充填)についての説明である。
【0122】
以上説明したように、本実施形態に係る流体システム10及びカートリッジ12によれば、抵抗検出センサ80がカートリッジ12に内蔵されているので、外部に別途センサを設けることなく排出液108の排出量又は注入量を検出することができる。これにより、目的とする排出量又は注入量(単位時間当たりの流量)に従って容器本体16から外部に排出液108を排出し、又は、外部から容器本体16に排出液108を注入することができるので、実際の排出量又は注入量を、目的とする排出量又は注入量に容易に制御(管理)することが可能となる。
【0123】
このように、本実施形態では、容器本体16から外部への排出液108の排出量や、外部から容器本体16に注入される排出液108の注入量を検出する抵抗検出センサ80を別途外部に設けず、カートリッジ12に内蔵させることにより、排出液108の排出量や注入量を正確に制御(管理)することが可能となる。
【0124】
また、カートリッジ12において、排出液108は、排出液充填室110から排出口100を介して外部に排出されるか、あるいは、外部から排出口100を介して排出液充填室110に注入される流体であり、一方で、押し液112は、排出液108を排出又は注入するために用いられる流体である。押し液112によって変形隔壁106を変形させることにより、排出液充填室110からの排出液108の排出や、排出液充填室110への排出液108の注入を容易に制御することができるので、排出液108の排出量や注入量をより正確に管理することが可能となる。
【0125】
さらに、押し液112を電気浸透流現象を発揮する流体とし、電気浸透流ポンプ104を駆動して第1の空間105と第2の空間107との間で押し液112を移送させることにより、変形隔壁106を容易に変形させることができるので、排出液108の排出量や注入量の制御が一層容易なものとなる。
【0126】
また、チップ内の微小流量の排出液108に対する位置制御を高精度に行うことが要求される流体システム10に、カートリッジ12を適用することも可能となる。
【0127】
さらに、円筒状伸縮隔壁124を伸縮させて円板116の位置を変化させることにより、変形隔壁106と共働して排出液充填室110の容積及び押し液充填室114の容積を変化させることができるので、排出液108の排出量や注入量を一層正確に制御することが可能となる。
【0128】
さらにまた、変形隔壁106の変形量、円筒状伸縮隔壁124の伸縮量、円板116の移動量は、排出液108の排出量及び注入量に応じて変化するので、これらの変化量(変形量、伸縮量、移動量)に応じた電気接続用端子30c、30d間の直列合成抵抗の変化と、排出液108の排出量又は注入量との関係を予め計測しておき、その計測結果を処理部172に記憶させておけば、カートリッジ12の使用時に、抵抗検出センサ80が検出した直列合成抵抗の変化から排出液108の排出量又は注入量を容易に求めることが可能となる。
【0129】
この場合、抵抗検出センサ80では、導通配線126の両端部がばね部材128、130及び接点部材132、134を介して抵抗体120、122をそれぞれ押圧し、電気接続用端子30c、30dから抵抗検出センサ80を見たときの抵抗値が前記直列合成抵抗となる。これにより、円板116が押し液充填用筒部20の内周面に対して傾いた状態で該円板116の位置が上下方向に変化しても、抵抗検出センサ80は、排出液108の排出量又は注入量に応じた直列合成抵抗を検出することができる。
【0130】
すなわち、第1の空間105の容積は、円筒状伸縮隔壁124の円筒の中心における高さに比例するので、円板116が傾いていても、抵抗検出センサ80が円板116の位置の変化に応じた直列合成抵抗を検出することで、処理部172は、排出液108の排出量又は注入量を正確に換算することができる。
【0131】
さらに、カートリッジ12を基台14に装着すれば、カートリッジ12の継手24と基台14の継手40とが機械的に接続されると共に、電気接続用端子30a〜30dと電気接続用端子60a〜60dとが電気的に接続されるので、排出液108の排出量又は注入量を示す直列合成抵抗(検出信号)をカートリッジ12から基台14を介して外部に確実に出力することが可能となると共に、排出液108の排出量及び注入量を外部から管理し、且つ、観測することが容易になる。また、カートリッジ12に充填された排出液108を基台14を介して確実に輸送することも可能となる。
【0132】
なお、本実施形態は、上記の説明に限定されることはなく、種々の変更が可能であることは勿論である。
【0133】
図5は、抵抗検出センサ80に代替して容量検出センサ184をカートリッジ12内に配設した場合を示すブロック図である。
【0134】
図5では、蓋部材22側に電気接続用端子30cに接続される平面状の電極180が配設され、一方で、円板116側に電気接続用端子30dに接続される平面状の電極182が配設されている。
【0135】
この場合、円板116の位置が変化すれば、電極180、182間の電気容量が変化するので、容量検出センサ184は、排出液108の排出量又は注入量の変化を電気容量の変化として検出する。
【0136】
一方、処理部172内には、上記の電気容量の変化と排出液108の排出量又は注入量の変化との関係を示す計測結果(グラフ又はテーブル)が記憶されており、容量検出センサ184が電気容量を検出したときに、処理部172は、検出した電気容量に応じた排出液108の排出量又は注入量を求める。
【0137】
図6は、抵抗検出センサ80に代替して光検出センサ192をカートリッジ12内に配設した場合を示すブロック図である。
【0138】
図6では、蓋部材22側に電気接続用端子30c、30dに接続される光検出センサ192が配設され、一方で、円板116側には反射面190が形成されている。
【0139】
この場合、光検出センサ192は、投射光Lfを反射面190に向かって投光し、反射面190で反射した投射光Lfを反射光Lrとして受光する。円板116の位置が変化すれば、投射光Lfを投光してから反射光Lrを受光するまでの時間や、該時間に応じた光路長が変化するので、光検出センサ192は、排出液108の排出量又は注入量の変化を投射光Lf及び反射光Lrの光路長の変化又は反射面190(円板116)の位置の変化として検出する。
【0140】
一方、処理部172内には、上記の光路長の変化又は反射面190の位置の変化と排出液108の排出量又は注入量の変化との関係を示す計測結果(グラフ又はテーブル)が記憶されており、光検出センサ192が光路長の変化又は位置の変化を検出したときに、処理部172は、検出した光路長の変化又は位置の変化に応じた排出液108の排出量又は注入量を求める。
【0141】
図5及び図6の場合であっても、処理部172において、排出液108の排出量又は注入量を容易に求めることが可能となるので、上述した本実施形態の各効果を容易に得ることができる。
【0142】
また、本実施形態では、カートリッジ12に充填される流体が排出液108及び押し液112の液体である場合について説明したが、双方の流体が気体であっても、あるいは、一方の流体が気体で、他方の流体が液体であってもよい。この場合、押し液充填室114に充填される流体が電気浸透流現象を発揮しない流体(液体)であれば、電気浸透流ポンプ104に代替して該流体を移送可能な任意のポンプを採用すればよい。
【0143】
さらに、本実施形態では、ダイヤフラムのような変形隔壁106により排出液充填室110の容積を変化させるようにしているが、円板116及び円筒状伸縮隔壁124のように、位置を変化させるような隔壁としてもよい。一方、円板116及び円筒状伸縮隔壁124についても、変形隔壁106のように、形状を変化させるような隔壁としてもよい。
【0144】
すなわち、本実施形態で説明した変形隔壁106、円板116及び円筒状伸縮隔壁124の各隔壁は、排出液充填室110の容積を変化させて排出液108の排出量又は注入量を調整できるようなものであれば、位置を変化させるような隔壁や、形状を変形させるような隔壁のいずれも採用することが可能である。
【0145】
さらにまた、本実施形態では、カートリッジ12内に電気浸透流ポンプ104と、抵抗検出センサ80、容量検出センサ184又は光検出センサ192とを配設し、一方で、制御回路部170及び電源174をカートリッジ12外に配置した場合について説明したが、本実施形態では、排出液108の排出量又は注入量を正確に且つ容易に管理できればよいので、電気浸透流ポンプ104を外部に配置して、抵抗検出センサ80、容量検出センサ184又は光検出センサ192のセンサのみカートリッジ12に配設してもよい。
【0146】
このように、本実施形態では、カートリッジ12を基台14に連結すれば、電気接続機構としての電気接続用端子30a〜30dと電気接続用端子60a〜60dとが電気的に接続されるので、カートリッジ12に充填された排出液108を確実に輸送することができると共に、外部から電気接続用端子60a〜60d、30a〜30dを介してカートリッジ12に信号を供給し、一方で、カートリッジ12から電気接続用端子30a〜30d、60a〜60dを介して外部に信号を出力することが可能となる。
【0147】
つまり、本実施形態では、カートリッジ12と基台14との連結によって、電気接続用端子30a〜30d、60a〜60dの電気的接続も併せて行われるので、カートリッジ12内には、電気浸透流ポンプ104、電源174、制御回路部170及びセンサのうち、少なくとも1つが収容される構成を採用することができる。
【0148】
従って、本実施形態では、例えば、(1)上記した電気浸透流ポンプ104及びセンサがカートリッジ12に内蔵された構成、(2)センサのみカートリッジ12に内蔵された構成、(3)電気浸透流ポンプ104、制御回路部170及びセンサがカートリッジ12に内蔵された構成、(4)電気浸透流ポンプ104、電源174及びセンサがカートリッジ12に内蔵された構成、(5)電気浸透流ポンプ104、電源174、制御回路部170及びセンサがカートリッジ12に内蔵された構成、(6)電気浸透流ポンプ104のみカートリッジ12に内蔵された構成を採用することが可能である。
【0149】
このような(1)〜(6)の構成を採用することにより、カートリッジ12と基台14とを連結したときに、電気接続用端子30a〜30d、60a〜60dが電気的に接続されて、外部から電気浸透流ポンプ104又は制御回路部170に信号を供給し、あるいは、センサ又は制御回路部170から外部に信号を出力することが可能となる。
【0150】
特に、(1)、(4)及び(6)の場合には、外部から電気接続用端子30a〜30d、60a〜60dを介して電気浸透流ポンプ104を制御することが可能となる。また、(3)及び(5)の場合には、外部から電気接続用端子30a〜30d、60a〜60dを介して制御回路部170に信号(オン信号又はオフ信号)を与えることにより、制御回路部170から電気浸透流ポンプ104に対する制御開始又は制御停止を外部からコントロールすることが可能となる。
【0151】
さらにまた、本実施形態では、図2中のカートリッジ12を模式化したものが図3、図5及び図6中のカートリッジ12であることを説明したが、カートリッジ12の構成を図3、図5及び図6の構成としてもよいことは勿論である。
【0152】
また、本実施形態では、筒状のカートリッジ12について説明したが、該カートリッジ12の設置条件や仕様等に応じて、例えば、カートリッジ12の形状を薄肉の筒状(円盤状)、楕円の筒状又は立方体形状としても、上記の各効果が得られることは勿論である。
【0153】
さらに、本実施形態では、カートリッジ12を基台14に連結して使用する場合について説明したが、基台14に連結せず、カートリッジ12単独で使用することも可能である。この場合、外部から電気接続用端子30a〜30dに対して信号を直接供給し、あるいは、電気接続用端子30a〜30dから外部に信号を直接出力することができるので、カートリッジ12を基台14に連結して使用する場合と同様に、排出液108の実際の排出量又は注入量を、目的とする排出量又は注入量に容易に制御(管理)することが可能になる。
【0154】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0155】
10…流体システム
12…カートリッジ
14…基台
16…容器本体
18…排出液充填用筒部
20…押し液充填用筒部
22…蓋部材
24、40…継手
26…コネクタ
30a〜30d、60a〜60d…電気接続用端子
76…流路
80…抵抗検出センサ
100…排出口
102…固体隔壁
104…電気浸透流ポンプ
105…第1の空間
107…第2の空間
108…排出液
110…排出液充填室
112…押し液
114…押し液充填室
116…円板
124…円筒状伸縮隔壁
184…容量検出センサ
192…光検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、前記容器本体の外表面に設けられた第1の接続端子とを備え、
前記容器本体は、該容器本体内を仕切る少なくとも1枚の隔壁と、前記隔壁によって前記容器本体内に形成され、流体を充填可能な少なくとも2以上の隔室とを有し、
前記隔壁は、前記容器本体内での位置を変化するか、又は、該隔壁を変形することにより、前記各隔室の容積を変化させて、前記各隔室に充填された前記流体の排出量又は前記各隔室への注入量を調整することを特徴とする流体充填用カートリッジ。
【請求項2】
請求項1記載のカートリッジにおいて、
前記容器本体内には、前記流体の排出量又は注入量を検出信号として出力するセンサ、前記流体を移送させるポンプ、前記ポンプを駆動するための電源、及び、前記センサが検出した前記排出量又は前記注入量に基づいて前記ポンプの駆動を制御する制御回路部のうち、少なくとも1つが前記第1の接続端子と電気的に接続されるように収容されていることを特徴とする流体充填用カートリッジ。
【請求項3】
請求項2記載のカートリッジにおいて、
前記隔壁は、前記容器本体内を仕切ることにより第1の隔室及び第2の隔室を形成させると共に、前記容器本体内での位置を変化するか、又は、該隔壁を変形することにより、前記第1の隔室の容積及び前記第2の隔室の容積を変化させることが可能な第1の隔壁であり、
前記第1の隔室には、前記第1の隔壁の位置を変化させるか、又は、前記第1の隔壁を変形させるための第1の流体が充填され、
前記第2の隔室には、前記第2の流体を外部に排出するか、又は、前記第2の流体を外部から注入するための開口が設けられていることを特徴とする流体充填用カートリッジ。
【請求項4】
請求項3記載のカートリッジにおいて、
前記第1の隔室には、該第1の隔室を仕切ることにより前記第2の隔室から遠位の第1の空間と前記第2の隔室側の第2の空間とを形成し、且つ、前記容器本体内での位置が固定された第2の隔壁が設けられ、
前記第2の隔壁には、前記第1の空間と前記第2の空間との間で前記第1の流体を移送させる前記ポンプが組み込まれていることを特徴とする流体充填用カートリッジ。
【請求項5】
請求項4記載のカートリッジにおいて、
前記第1の液体は、電気浸透流現象を発揮する液体であり、
前記ポンプは、電気浸透流ポンプであることを特徴とする流体充填用カートリッジ。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1項に記載のカートリッジにおいて、
前記容器本体内には、前記第1の隔壁及び前記容器本体と共働して前記第1の隔室を形成するための第3の隔壁が設けられ、
前記第3の隔壁は、前記容器本体内での位置を変化することにより、前記第1の隔壁と共働して、前記第1の隔室の容積及び前記第2の隔室の容積を変化させることが可能であることを特徴とする流体充填用カートリッジ。
【請求項7】
請求項6記載のカートリッジにおいて、
前記センサは、前記容器本体に対する前記第1の隔壁の移動量、前記第1の隔壁の変形量、及び、前記容器本体に対する前記第3の隔壁の移動量のうち、少なくとも1つを電気抵抗の変化として検出する抵抗検出センサであることを特徴とする流体充填用カートリッジ。
【請求項8】
請求項6記載のカートリッジにおいて、
前記センサは、前記容器本体に対する前記第1の隔壁の移動量、前記第1の隔壁の変形量、及び、前記容器本体に対する前記第3の隔壁の移動量のうち、少なくとも1つを電気容量の変化として検出する容量検出センサであることを特徴とする流体充填用カートリッジ。
【請求項9】
請求項6記載のカートリッジにおいて、
前記センサは、前記容器本体に対する前記第1の隔壁の移動量、前記第1の隔壁の変形量、及び、前記容器本体に対する前記第3の隔壁の移動量のうち、少なくとも1つを光路長の変化又は位置の変化として検出する光検出センサであることを特徴とする流体充填用カートリッジ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のカートリッジにおいて、
前記流体を輸送可能な輸送路が設けられた基台又はチップと連結したときに、前記基台又は前記チップに設けられ、且つ、該第1の接続端子と対を成す第2の接続端子と、前記第1の接続端子とが電気的に接続されることを特徴とする流体充填用カートリッジ。
【請求項11】
容器本体と前記容器本体の外表面に設けられた第1の接続端子とを備え、前記容器本体が、該容器本体内を仕切る少なくとも1枚の隔壁と、前記隔壁によって前記容器本体内に形成され、流体を充填可能な少なくとも2以上の隔室とを有する流体充填用カートリッジと、
前記流体を輸送可能な輸送路と、該第1の接続端子と対を成す第2の接続端子とが設けられた基台又はチップと、
を有し、
前記隔壁は、前記容器本体内での位置を変化するか、又は、該隔壁を変形することにより、前記各隔室の容積を変化させて、前記各隔室に充填された前記流体の排出量又は前記各隔室への注入量を調整し、
前記流体充填用カートリッジと前記基台又は前記チップとを連結したときに、前記第1の接続端子と前記第2の接続端子とが電気的に接続されることを特徴とする流体システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−265847(P2010−265847A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119197(P2009−119197)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(506320875)ナノフュージョン株式会社 (6)
【Fターム(参考)】