説明

流体混合器

【課題】流体を迅速に混合させ、流体の混合により生成された粒子による流路の閉塞を回避した流体混合器を提供することを目的とする。
【解決手段】導入部と、導入部に挿入され、円柱部と円錐部とから成る円柱部材と、混合部とを備えた流体混合器において、導入部には、第1の流体が導入される第1の導入流路が設けられ、円柱部材には、第1の流体を円柱部材の全周方向に分配する第1の分配流路が設けられ、混合部には、少なくとも、第2の流体が導入される第2の導入流路と、円柱部材と同心円状であって、第1の流体と第2の流体が交互に配置されるように、第2の流体を分配する第2の分配流路と、円錐部と混合部との間の空間に設けられ、下流に向かうにつれて空間の重力方向と略垂直方向への断面積が大きく形成され、第2の分配流路からの第1及び第2の流体が混合される混合流路とが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体や気体などの流体の混合又は化学反応を、主に流路の幅が1mm未満のスケールで行う流体混合器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化学合成や化学分析の分野において、混合・反応時間の短縮及び副反応抑制のために、微細加工技術を用いて製作された数十〜数百μmの流路から成る流体混合器が使用されはじめている。このような流体混合器は、マイクロミキサ、又はマイクロリアクタと呼ばれる。
【0003】
マイクロミキサは、流路の代表長さが短く、流体の慣性力と粘性力の比を表わす無次元数であるレイノルズ数が小さいため、流れは層流となる。したがって、多種類の流体を混合する場合、主に分子拡散によって混合が進む。そこで、流路の代表長さを小さくするほど拡散距離が短縮されて迅速な混合と、それに伴う高効率な化学反応が可能となる。
【0004】
特開2007−69137号公報には、異なる2つの流体のノズルを円周上に複数配置して2流体が交互に流れる多層流を作り出し、下流である中心方向に流れるに従って、多層流の幅を減少させたマイクロリアクタが開示されている。
【0005】
このような特性を生かし、マイクロリアクタによって流体同士の反応により、均質な粒子を生成する試みがなされている。
【0006】
特開2005−46651号公報には、粒子を生じる反応液体とマイクロリアクタの内壁面の間に、反応に寄与しない流体を配置した構成が開示されている。
【0007】
また、特表2007−525319号公報では、反応液の導入流路と、合流・混合を行う部分の間に逆流防止弁を設けた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−69137号公報
【特許文献2】特開2005−46651号公報
【特許文献3】特表2007−525319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
マイクロリアクタで粒子を生成する目的は様々であるが、複数の流体を迅速に混合させることにより、粒子を生成させる反応の条件を均一に制御し、高品質な粒子を生成することは主な目的の1つである。
【0010】
特開2007−69137号公報では、流体を混合させる流路を徐々に狭めることにより、迅速な混合を行っているが、流体を混合させる流路が徐々に狭まる部分で、生成された粒子が閉塞しやすいという課題がある。
【0011】
特開2005−46651号公報では、生成された粒子の付着は抑止できるものの、反応に寄与しない流体を混合するため、均質な反応状態の制御が困難であるという課題がある。
【0012】
また、特開2005−46651号公報,特表2007−525319号公報では、流体を混合させる流路の代表長さや分割する形状・寸法を小さくすることにより、混合距離を小さくし、混合を行う構成である。このため、混合効率が流路の寸法に依存し、流路の寸法以上に混合速度を向上させることが困難という課題がある。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、流体を迅速に混合させ、流体の混合により生成された粒子による流路の閉塞を回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記目的を達成するために、導入部と、前記導入部に挿入され、円柱部と円錐部とから成る円柱部材と、前記導入部と前記円柱部材とを保持する混合部とを備え、少なくとも、第1及び第2の流体を混合する流体混合器において、前記第1の流体が導入される第1の導入流路と、前記第1の導入流路から導入された前記第1の流体を、前記円柱部材の全周方向に分配する第1の分配流路と、前記第2の流体が導入される第2の導入流路と、前記第2の導入流路から導入された前記第2の流体を、前記円柱部材と同心円状であって、前記第1の流体と前記第2の流体とが交互に配置されるように分配する第2の分配流路と、前記第1及び第2の分配流路からの前記第1及び第2の流体が合流する合流部と、前記円錐部と前記混合部との間の空間に設けられ、下流に向かうにつれて前記空間の重力方向と略垂直方向への断面積が大きく形成され、前記合流部からの前記第1及び第2の流体が混合される混合流路と、前記混合流路からの前記第1及び第2の流体を吐出する吐出流路とを備える。
【0015】
また、導入部と、前記導入部に挿入され、円柱部と円錐部とから成る円柱部材と、前記導入部と前記円柱部材とを保持する混合部とを備え、少なくとも、第1及び第2の流体を混合する流体混合器において、前記第1の流体が導入される第1の導入流路と、前記第1の導入流路から導入された前記第1の流体を、前記円柱部材の全周方向に分配する第1の分配流路と、前記第2の流体が導入される第2の導入流路と、前記第2の導入流路から導入された前記第2の流体を、前記円柱部材と同心円状であって、前記第1の流体と前記第2の流体とが交互に配置されるように分配する第2の分配流路と、前記第1及び第2の分配流路からの前記第1及び第2の流体が合流する合流部と、前記円錐部と前記混合部との間の空間に設けられ、重力方向と略垂直方向への断面積が略同じ面積となるように形成され、前記合流部からの前記第1及び第2の流体が混合される混合流路と、前記混合流路からの前記第1及び第2の流体を吐出する吐出流路とを備える。
【0016】
さらに、前記導入部には前記第1の導入流路が設けられ、前記円柱部材には前記第1の分配流路が設けられ、前記混合部には前記第2の導入流路,前記合流部,前記混合流路及び前記吐出流路が設けられる。
【0017】
さらに、前記第2の分配流路は、前記第1の流体の幅と前記第2の流体の幅の長さが略同じとなるように、前記第2の流体を分配する。
【0018】
さらに、前記第2の分配流路は、前記第1の流体の幅の数と前記第2の流体の幅の数が同数となるように、前記第2の流体を分配する。
【0019】
さらに、前記合流部での重力方向と略直交方向への断面積と前記吐出流路の断面積は、略等しくなる。
【0020】
さらに、前記円柱部材には、前記第1の流体が流れる第1の供給流路が設けられ、前記第1の供給流路が設けられた部分の前記円柱部材の径の長さは、前記第1の分配流路が設けられた部分の前記円柱部材の径の長さよりも長くする。
【0021】
さらに、前記導入部と前記混合部との間に設けられた導入部プレートを備え、前記混合部には、第3の流体が導入される第3の導入流路と、前記第3の導入流路から導入された前記第3の流体を、前記円柱部材と同心円状であり、前記第2の分配流路で前記第2の流体を分配する位置よりも前記円柱部材の中心から離れた位置であり、前記第1の流体,前記第2の流体,前記第3の流体の順に配置されるように分配する第3の分配流路が設けられる。
【0022】
さらに、前記第2の分配流路及び前記第3の分配流路は、前記第1の流体の幅,前記第2の流体の幅及び前記第3の流体の幅の長さが略同じとなるように、前記第2の流体及び前記第3の流体を分配する。
【0023】
さらに、前記第2の分配流路及び前記第3の分配流路は、前記第1の流体の幅の数,前記第2の流体の幅の数及び前記第3の流体の幅の数が同数となるように、前記第2の流体及び前記第3の流体を分配する。
【0024】
また、導入部と、前記導入部に挿入され、円柱部と円錐部とから成る円柱部材と、前記導入部と前記円柱部材とを保持する混合部とを備え、少なくとも、第1及び第2の流体を混合する流体混合器において、前記導入部には、前記第1の流体が導入される第1の導入流路が設けられ、前記円柱部材には、前記導入された前記第1の流体を前記円柱部材の全周方向に分配する第1の分配流路が設けられ、前記混合部には、前記第2の流体が導入される第2の導入流路と、前記円柱部材と同心円状であって、前記第1の流体と前記第2の流体が交互に配置されるように、前記第2の流体を分配する第2の分配流路と、前記第1及び第2の流体が合流する合流部と、前記円錐部と前記混合部との間の空間に設けられ、下流に向かうにつれて前記空間の重力方向と略垂直方向への断面積が大きく形成され、前記合流部からの前記第1及び第2の流体が混合される混合流路と、前記混合された前記第1及び第2の流体を吐出する吐出流路とが設けられる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、流体を迅速に混合させるとともに、流体の混合により生成された粒子による流路の閉塞を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施例1の流体混合器の断面図である。
【図2】実施例1の流体混合器の分解図である。
【図3】実施例1の流体混合器の別方向からの分解図である。
【図4】図1の点線部で囲まれた部分の拡大図である。
【図5】図4の断面線に示す断面図である。
【図6】実施例2の流体混合器の断面図である。
【図7】実施例3の流体混合器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
実施例1について、図1〜図5を用いて説明する。図1は、実施例1の流体混合器の断面図である。図2は、実施例1の流体混合器の分解図である。図3は、実施例1の流体混合器の別の角度から見た分解図である。
【0028】
実施例1の流体混合器は、少なくとも、導入部1、導入部1に挿入され、円柱部51と円錐部52とから成る円柱部材2、導入部1と円柱部材2を保持する混合部3の3つの部材を備える。導入部1には、第1の導入流路4及び第2の供給流路5が形成されている。円柱部材2には、第1の分配流路6が形成されている。混合部3には、第2の導入流路7、第2の分配流路8及び容器などに混合された流体を吐出する吐出流路9が形成されている。第1の分配流路6及び第2の分配流路8には、Oリング12,13が設けられている。
【0029】
円柱部材2の下端は、円錐状の突起になっている。図4に、図1の点線部の拡大図を示す。
【0030】
第1の分配流路6は、円柱部材2の当該部分の軸径を小さく形成することで、導入部1との間に生じる円状の隙間により形成される。また、第1の分配流路6より上部の円柱部材2の軸径は、導入部1の内径と略同じである。また、第1の分配流路6より下部の円柱部材2の軸径は、上部と軸の中心が同じであって、上部の軸径に比べ僅かに小さくなっている。さらに、導入部1の内部に形成された円筒の径は、上部と下部で略同じ長さである。したがって、導入部1と円柱部材2の円柱部分との間に、円柱部材2の径の差異により、第1の分配流路6から円環状の第1の供給流路10が形成される。即ち、第1の流体が流れる部分の円柱部材2の径の長さは、第1の分配流路6が設けられた部分の円柱部材2の径の長さよりも長く、第1の分配流路が設けられた部分から重力方向とは反対方向への円柱部材2の径の長さよりも短く形成されている。また、円柱部材2には、第1の供給流路10が設けられ、この第1の供給流路10が設けられた部分の円柱部材2の径の長さは、第1の分配流路6が設けられた部分の円柱部材2の径の長さよりも長く形成される。この構造により、第1の供給流路10を数十〜数百μmの均等な薄さの円環状の流路とすることが可能となり、円周全体で均等な流れ場とすることができる。
【0031】
混合部3には、円柱部材2の円錐部よりも円錐角の小さい円錐溝が形成されている。また、混合部3には、円柱部材2との間に混合流路11が形成されている。
【0032】
円柱部材2の上部は、円柱押さえ14,押さえ固定ネジ15,支持部材16によって固定されている。
【0033】
続いて、実施例1による混合・反応の過程を説明する。
【0034】
第1の導入流路4から導入された第1の流体は、第1の分配流路6で円柱部材2の全周に分配され、第1の供給流路10を通過する。同様に、第2の導入流路7から導入された第2の流体は、第2の分配流路8で円柱部材2の全周と同心円状に分配され、第2の供給流路5を通過して、合流部40で第1の流体と合流した後、混合流路11に導入される。
【0035】
図5は、図4で示した混合流路11周辺の断面図における、鉛直方向のA−A′断面,B−B′断面,C−C′断面の各々を示す図である。
【0036】
図5に示すように、第1の流体と第2の流体の合流直後である断面A−A′においては、第2の供給流路5を分割する数だけ第1の流体と第2の流体が円周上に交互に配置される。拡散による混合時間は、拡散方向の代表長さである流体間距離17で決まる。このため、図5の断面B−B′,断面C−C′に示すように、混合流路11内の流体間距離19,21を減少させることによって、混合時間を短縮することが可能となる。なお、拡散混合時間は、距離の二乗に比例するため、流体間距離が1/2になれば、混合時間はおよそ1/4と考えることができる。混合時間を1/10程度以上短縮させるためには、吐出流路9の直径を、第1の供給流路10と第2の供給流路5との合流部分の円柱部材2の円周の直径に対して、約1/3(混合時間1/9)以下にすることが望ましい。さらに、図4に示すように、混合流路11の第1の供給流路10と第2の供給流路5との合流部分から吐出流路9までの混合流路11の断面積を徐々に広げるように形成することが望ましい。または、図示はしていないが、第1の供給流路10と第2の供給流路5との合流部分から吐出流路9までの混合流路11の断面積をほぼ等しく形成することが望ましい。この構造により、混合流路11の各々の位置での平均流速は、徐々に低下する又は、略一定となるため、スムーズな流れとなり、混合流路11の閉塞を起しづらくなる。
【0037】
閉塞の原因としては、混合流路11内で流れる流体が粒子を含む、又は、粒子を生じつつある場合において、混合流路11内の最小寸法部分が問題となる。実施例1では、断面A−A′の最小寸法部分18に対して、下流に移動するにつれて断面B−B′では断面B−B′の最小寸法部分20に拡大し、断面C−C′ではさらに吐出流路9の直径に拡大する。即ち、混合流路11の第1の供給流路10と第2の供給流路5との合流部分から吐出流路9にかけて、断面A−A′の最小寸法部分18,断面B−B′の最小寸法部分20及び吐出流路9の直径である断面C−C′の最小寸法部分22が徐々に拡大するように形成されている。この構造により、混合後の狭窄部位がなく、固形粒子による閉塞を抑止することが可能となる。
【0038】
前述した迅速な混合効果を得るためには、図5の断面A−A′に示すように、合流直後の第1及び第2の流体の配置を円周上に均等に形成することが重要となる。第1の流体と第2の流体が導入される流量等に影響を受けずに、上記した配置とするためには、混合流路11の合流部の断面A−A′の最小寸法部分(導入部1と円柱部材2との間の距離)18が、第2の供給流路5の流路幅と同等又はそれ以下とし、円周上に渡って断面A−A′の最小寸法部分18を略均等な幅にする。さらに、前述したように、混合時間をさらに短縮して、混合流路11での流れをスムーズにするために、第1の供給流路10と第2の供給流路5との合流部分の円柱部材2の円周直径が、吐出流路9よりも大きな直径をもちつつ、混合流路11の断面積を一定、又は徐々に広げるように形成する。このためには、断面A−A′の最小寸法部分18は、円柱部材2の円周の直径に対して、出来るだけ小さくする必要がある。これを容易に実現するために、実施例1に示したように、導入部1の内径と円柱部材2の外径との差で隙間を形成する方法を適用する。この方法を適用することにより、導入部1の内径と円柱部材2の外径との差が大きく、導入部1の中心軸と円柱部材2の中心軸とが一致した円環状流路を精度良く形成することができる。また、このように、円環状流路を形成することにより、第1の導入流路4の表面積を増やすことができるため、流体の温度制御の効率を向上させることが可能となる。
【0039】
また、粒子を生成する反応では、長時間運転させることにより、徐々に混合流路11の内壁面に粒子が蓄積する場合がある。このような場合において、混合流路11が閉塞する可能性は、流体を供給する時の送液する圧力等を監視することで検知可能ではある。しかし、実施例1によれば、円柱部材2は、円柱押さえ14,押さえ固定ネジ15を開放操作することによって、容易に取り外せるため、混合流路11を開放することが可能となる。このため、混合流路11の状態を確認する作業を容易にするとともに、混合流路11のメンテナンスを容易にすることが可能となる。
【0040】
上記した構造を形成する材質として、各種金属、特に耐食性の高いステンレスや耐食性ニッケル合金,ガラスなどの結晶性の材料,フッ素樹脂やポリエーテルケトンなどのプラスチックなどを、目的の原料液の性質,腐食性や、反応の発熱性などに応じ選択することが出来る。
【0041】
以上記載した実施例1によれば、極薄い環状流路の2つの流体の合流部において、円周方向に2つの流体が交互に配置された多層流を形成できる。この多層流は、円錐状の流路を流れる際に円周の長さが縮小するため、拡散混合の代表長さが縮小し、高い混合性能が得られる。また、この時、円錐状の流路の最小間隔である内面と外面の距離は徐々に離れるため狭窄部分がなく、生成粒子による閉塞を抑制することができる。
【0042】
また、混合の前段階で均一な薄膜様の円環流れを形成し、流路の表面積を大きくすることで、温度制御性が高まる。また、狭い流路を均一に流れることで、合流部前後で局所的な逆流やよどみ部を生じず、閉塞を防止する。
【0043】
また、混合流路は、流路の内面を形成する円筒部材を上流側にはずすことで、容易に混合流路の内部の確認,洗浄が可能となる。
【0044】
これらの効果によって、効率的に高品質な粒子合成を行うことが可能となる。
【0045】
実施例2について、図6を用いて説明する。図6は、実施例2の流体混合器の断面図である。
【0046】
実施例2の流体混合器は、実施例1の流体混合器の導入部1と混合部3との間に、導入部プレート23を追加した構造である。
【0047】
導入部1には、第1の導入流路4,第2の導入流路24,第2の分配流路25及び第2の供給流路5が形成されている。円柱部材2には、第1の分配流路6が形成されている。導入部プレート23には、第3の供給流路26が形成されている。混合部3には、導入部プレート23の追加に伴い、第3の導入流路27,第3の分配流路28及び吐出流路9が形成されている。また、混合部3に設けられた第3の分配流路28は、第3の導入流路27から導入された第3の流体を、第1の流体,第2の流体,第3の流体の順に配置されるように分配する。このために、第3の分配流路は、円柱部材2と同心円状であり、第2の分配流路25で第2の流体を分配する位置よりも円柱部材2の中心から離れた位置に設けられる。
【0048】
導入部1及び導入部プレート23には、円柱部材2の第1の分配流路6より上側と同等の直径を持つ円孔(図示せず)が形成されている。導入部プレート23に形成された円孔は、位置決めピン等(図示せず)を用いて、中心軸を円柱部材2の中心軸にあわせて固定されている。第2の分配流路25及び第3の分配流路28は、第1の流体の幅,第2の流体の幅及び第3の流体の幅の長さが略同じとなるように、第2の流体及び第3の流体を分配する。また、第2の分配流路25及び第3の分配流路28は、第1の流体の幅の数,第2の流体の幅の数及び第3の流体の幅の数が同数となるように、第2の流体及び第3の流体を分配する。
【0049】
実施例2によれば、第1,第2及び第3の流体を合流部50で混合させる場合において、3つの流体を均等に円周上に配置し、混合流路11を用いて円周の中心方向に縮小することにより、迅速な混合を行うことが可能となる。
【0050】
実施例3について、図7を用いて説明する。図7は、実施例3の流体混合器の断面図である。
【0051】
実施例3の流体混合器は、実施例1の構造と比較した場合、混合流路31の形状が異なる。実施例3では、第1及び第2の流体が合流部40で合流した直後から吐出流路9までの混合流路31は、混合流路31の水平方向(重力方向に対して略垂直方向)の断面積が略等しくなるように形成されている。
【0052】
実施例3の構造により、混合流路31の各断面の平均流速はどの位置でも等しくなるため、混合流路31によどみ部分が発生したり、局所的に混合された流体の力が集中する可能性が低くなる。このため、流体同士の反応が安定して、生成される粒子が一定の大きさになりやすくなる。さらに、生成された粒子が、混合流路11,吐出流路9に付着して、これらの流路を閉塞させてしまうことも抑止することが可能となる。また、実施例2の流体混合器に適用しても同様の効果があることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0053】
1 導入部
2 円柱部材
3 混合部
4 第1の導入流路
5 第2の供給流路
6 第1の分配流路
7,24 第2の導入流路
8,25 第2の分配流路
9 吐出流路
10 第1の供給流路
11 混合流路
12,13,29,30 Oリング
14 円柱押さえ
15 押さえ固定ネジ
16 支持部材
17,19,21 多層流を形成する二液の流体間距離
18 断面A−A′の最小寸法部分
20 断面B−B′の最小寸法部分
22 断面C−C′の最小寸法部分
23 導入部プレート
26 第3の供給流路
27 第3の導入流路
28 第3の分配流路
31 混合流路
40,50 合流部
51 円柱部
52 円錐部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入部と、前記導入部に挿入され、円柱部と円錐部とから成る円柱部材と、前記導入部と前記円柱部材とを保持する混合部とを備え、少なくとも、第1及び第2の流体を混合する流体混合器において、
前記第1の流体が導入される第1の導入流路と、
前記第1の導入流路から導入された前記第1の流体を、前記円柱部材の全周方向に分配する第1の分配流路と、
前記第2の流体が導入される第2の導入流路と、
前記第2の導入流路から導入された前記第2の流体を、前記円柱部材と同心円状であって、前記第1の流体と前記第2の流体とが交互に配置されるように分配する第2の分配流路と、
前記第1及び第2の分配流路からの前記第1及び第2の流体が合流する合流部と、
前記円錐部と前記混合部との間の空間に設けられ、下流に向かうにつれて前記空間の重力方向と略垂直方向への断面積が大きく形成され、前記合流部からの前記第1及び第2の流体が混合される混合流路と、
前記混合流路からの前記第1及び第2の流体を吐出する吐出流路とを備えたことを特徴とする流体混合器。
【請求項2】
導入部と、前記導入部に挿入され、円柱部と円錐部とから成る円柱部材と、前記導入部と前記円柱部材とを保持する混合部とを備え、少なくとも、第1及び第2の流体を混合する流体混合器において、
前記第1の流体が導入される第1の導入流路と、
前記第1の導入流路から導入された前記第1の流体を、前記円柱部材の全周方向に分配する第1の分配流路と、
前記第2の流体が導入される第2の導入流路と、
前記第2の導入流路から導入された前記第2の流体を、前記円柱部材と同心円状であって、前記第1の流体と前記第2の流体とが交互に配置されるように分配する第2の分配流路と、
前記第1及び第2の分配流路からの前記第1及び第2の流体が合流する合流部と、
前記円錐部と前記混合部との間の空間に設けられ、重力方向と略垂直方向への断面積が略同じ面積となるように形成され、前記合流部からの前記第1及び第2の流体が混合される混合流路と、
前記混合流路からの前記第1及び第2の流体を吐出する吐出流路とを備えたことを特徴とする流体混合器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の流体混合器において、
前記導入部には前記第1の導入流路が設けられ、前記円柱部材には前記第1の分配流路が設けられ、前記混合部には前記第2の導入流路,前記合流部,前記混合流路及び前記吐出流路が設けられたことを特徴とする流体混合器。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の流体混合器において、
前記第2の分配流路は、前記第1の流体の幅と前記第2の流体の幅の長さが略同じとなるように、前記第2の流体を分配することを特徴とする流体混合器。
【請求項5】
請求項4に記載の流体混合器において、
前記第2の分配流路は、前記第1の流体の幅の数と前記第2の流体の幅の数が同数となるように、前記第2の流体を分配することを特徴とする流体混合器。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の流体混合器において、
前記合流部での重力方向と略直交方向への断面積と前記吐出流路の断面積は、略等しいことを特徴とする流体混合器。
【請求項7】
請求項3に記載の流体混合器において、
前記円柱部材には、前記第1の流体が流れる第1の供給流路が設けられ、
前記第1の供給流路が設けられた部分の前記円柱部材の径の長さは、前記第1の分配流路が設けられた部分の前記円柱部材の径の長さよりも長いことを特徴とする流体混合器。
【請求項8】
請求項3に記載の流体混合器において、
前記導入部と前記混合部との間に設けられた導入部プレートを備え、
前記混合部には、第3の流体が導入される第3の導入流路と、前記第3の導入流路から導入された前記第3の流体を、前記円柱部材と同心円状であり、前記第2の分配流路で前記第2の流体を分配する位置よりも前記円柱部材の中心から離れた位置であり、前記第1の流体,前記第2の流体,前記第3の流体の順に配置されるように分配する第3の分配流路が設けられたことを特徴とする流体混合器。
【請求項9】
請求項8に記載の流体混合器において、
前記第2の分配流路及び前記第3の分配流路は、前記第1の流体の幅,前記第2の流体の幅及び前記第3の流体の幅の長さが略同じとなるように、前記第2の流体及び前記第3の流体を分配することを特徴とする流体混合器。
【請求項10】
請求項9に記載の流体混合器において、
前記第2の分配流路及び前記第3の分配流路は、前記第1の流体の幅の数,前記第2の流体の幅の数及び前記第3の流体の幅の数が同数となるように、前記第2の流体及び前記第3の流体を分配することを特徴とする流体混合器。
【請求項11】
導入部と、前記導入部に挿入され、円柱部と円錐部とから成る円柱部材と、前記導入部と前記円柱部材とを保持する混合部とを備え、少なくとも、第1及び第2の流体を混合する流体混合器において、
前記導入部には、前記第1の流体が導入される第1の導入流路が設けられ、
前記円柱部材には、前記導入された前記第1の流体を前記円柱部材の全周方向に分配する第1の分配流路が設けられ、
前記混合部には、前記第2の流体が導入される第2の導入流路と、前記円柱部材と同心円状であって、前記第1の流体と前記第2の流体が交互に配置されるように、前記第2の流体を分配する第2の分配流路と、前記第1及び第2の流体が合流する合流部と、前記円錐部と前記混合部との間の空間に設けられ、下流に向かうにつれて前記空間の重力方向と略垂直方向への断面積が大きく形成され、前記合流部からの前記第1及び第2の流体が混合される混合流路と、前記混合された前記第1及び第2の流体を吐出する吐出流路とが設けられたことを特徴とする流体混合器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−247071(P2010−247071A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99514(P2009−99514)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】