説明

流体用ガスケット

【課題】流体デバイスどうしの接続構造を見直し、増し締めをしなくても良好なシール性が維持できて、その組付け作業性も改善される流体用ガスケットを提供する。
【解決手段】第1流体デバイス1の流体給排口部1Aと、第2流体デバイス2の流体給排口部2Aとをシール接続すべく介装されるリング状の流体用ガスケットにおいて、各流体デバイス1,2の環状突起21,11に嵌合してシール部を構成するための一対の環状溝51を有する略H形の断面形状を呈するとともに、各環状突起21,11が対応する環状溝51にそれぞれ嵌め合わされた接合状態においては、各環状突起21,11と各環状溝51との夫々が径方向に圧接されて嵌合シール部10を形成するよう構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体デバイスどうしの接続部に用いられる流体用ガスケットに係り、詳しくは、半導体製造や医療・医薬品製造、食品加工、化学工業等の各種技術分野の製造工程等で取り扱われる高純度液や超純水、或いは洗浄液の配管系等における集積パネル、ポンプ、バルブ、アキュムレータ、フィルタ等の流体デバイスどうしをシール状態で連通接続させるために介装される流体用ガスケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記流体用ガスケットとして、例えば、流体デバイスの一例であるバルブと、流体通路が内部形成された集積パネルとを連通させるべく、それらの給排流路どうしを連通させる接続部に介装されるものがあり、特許文献1や特許文献2において開示された流体用ガスケットが知られている。特許文献1で開示される流体用ガスケットを用いた接続部は、一対の給排流路を近接させて配列し、夫々に独立したリング状のガスケットを介して複数のボルトで液密に接続連結させるものであり、特許文献2で開示される流体用ガスケットを用いた接続部は、一対の給排流路を近接させて配列し、それら一対の給排流路に対応する一対の流路孔を有した単一のガスケットを単一の外ねじナットを用いて接続連結させるものである。
【0003】
特許文献1や2に開示されている流体用ガスケット、およびそれを用いた接続部は、いずれも多数の流体デバイスを流体ブロックに集積させて取付ける構造、いわゆる集積配管構造を採るものであり、これは配管系全体のコンパクト化やモジュール化が可能となる点で有用なものである。
【特許文献1】特開2001−82609号公報
【特許文献2】特開平10−169859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1や2に開示された流体用ガスケットを用いた接続部の構造においては、流体用ガスケットが挟み込まれた一対のフランジ部どうしを所定の面圧に達するまでボルトを締付けることにより、有効なシール性能を出すようになる。しかしながら、ボルトの締付け力が時間と共に低下することは避けられないので、締付け力低下、即ちトルクダウンによるシール部からの漏れを防止するには定期的に増し締めを行う必要があった。このように、流体用ガスケットを用いてシールする構造においては非常に高い締付け力が必要になるので、流体デバイスの流体給排口部には高い強度が必要になるとともに、その接続連結するための作業性の点でも不利なものであった。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、流体デバイスどうしの接続部の構造を見直すとともに工夫を凝らすことにより、増し締めを殆ど行わなくても良好なシール性が維持できるとともに、その組付け作業性も改善される流体用ガスケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、管状の第1流体通路3,4が開口する第1流体給排口部1Aを備えた第1流体デバイス1の前記第1流体給排口部1Aと、管状の第2流体通路7,8が開口する第2流体給排口部2Aを備えた第2流体デバイス2の前記第2流体給排口部2Aとをシール状態で接続すべく、前記第1流体給排口部1Aに当接する第1端部g11(g21)と、前記第2流体給排口部2Aに当接する第2端部g12(g22)と、前記第1及び第2流体通路3,4,7,8どうしを連通するための流体経路W(W1、W2)とを有して、これら第1流体給排口部1Aと第2流体給排口部2Aとの間に介在されるリング状の流体用ガスケットにおいて、
前記第1端部g11(g21)が、前記第1流体給排口部1Aにおける前記第1流体通路3,4の外径側部分に形成される第1環状突起21(41)に嵌合してシール部S1を形成自在な第1環状溝51(61)を有し、かつ、前記第2端部g12(g22)が、前記第2流体給排口部2Aにおける前記第2流体通路7,8の外径側部分に形成される第2環状突起11(31)に嵌合してシール部S1を形成自在な第2環状溝51(61)を有して、略H形の断面形状を呈するとともに、
前記第1流体給排口部1Aと第2流体給排口部2Aとが互いに引寄せられて、前記第1環状突起21(41)と前記第1環状溝51とが、及び前記第2環状突起11(31)と前記第2環状溝51(61)とがそれぞれ嵌め合わされた接合状態においては、前記第1環状突起21(41)と前記第1環状溝51、及び前記第2環状突起11(31)と前記第2環状溝51がそれぞれ径方向に圧接されての嵌合シール部10が形成自在に構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の流体用ガスケットにおいて、前記各環状溝51を形成すべく前記第1及び第2端部g11(g21),g12(g22)のそれぞれにおける軸心方向に突出形成された内及び外周壁の端部52,53(62,63)には、前記第1及び第2流体給排口部1A,2Aの端部における前記環状突起21(41),11(31)の内及び外径側のそれぞれに形成される支え部22,23,12,13(42,43,32,33)との協働により、前記内及び外周壁の端部52,53(62,63)が前記環状溝51(61)と前記環状突起21(41),11(31)との嵌合に起因して拡がり変形することを抑制又は阻止するための拡張規制部Kが形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の流体用ガスケットにおいて、前記拡張規制部Kは、前記接合状態においては前記支え部22,23,12,13(42,43,32,33)に圧接されてシール部S2を形成するように構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の流体用ガスケットにおいて、前記拡張規制部Kは、前記支え部22,23,12,13(42,43,32,33)と前記環状突起21(41),11(31)とで囲まれて断面形状が奥窄まり状となる谷部24,25,14,15(44,45,34,35)に入り込み自在な先窄まり状の断面形状を有する前記内及び外周壁の端部である周壁端部52,53(62,63)で構成されるとともに、前記接合状態においては前記周壁端部52,53(62,63)に形成されるテーパ周面52a,53a(62a,63a)が、前記支え部22,23,12,13(42,43,32,33)における前記環状突起側のテーパ周面22a,23a,12a,13a(42a,43a,32a,33a)に圧接される状態に構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の流体用ガスケットにおいて、前記略H形の断面形状が、前記流体経路W(W1、W2)の軸心P方向に沿う中心線Z、及び、その中心線Zに直交する中心線Xの双方に関して線対称となるものに設定されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の流体用ガスケットが、フッ素樹脂によって形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、流体用ガスケットの端部に形成された環状溝は、これと流体デバイスの流体給排口部に形成された環状突起とが嵌合して径方向に圧接されての嵌合シール部が形成されるように構成されているので、第1,2流体給排口部間からの液漏れを阻止できて優れたシール性を得ることが可能になる。なぜなら、嵌合シール部は、環状溝と環状突起との嵌合によって流体用ガスケットを軸方向ではなく、径方向に締付けることによるものであるから、第1及び第2流体デバイスどうしの圧接力が多少緩んでも有効なシール機能が維持されることとなり、増し締めが不要或いは殆ど行わなくても良いものとなって、長期に亘って優れたシール性能が維持できる。
【0013】
また、断面形状を略H形状としてあるので、流体用ガスケットを組付けるには、これを介した状態で第1及び第2流体デバイスどうしを単に互いに引寄せるだけで良く、組付け作業性に優れるとともに、径方向の寸法の肥大化が回避できてコンパクト性も改善することが可能になる。例えば、半導体製造設備における洗浄装置の配管系統にこのような接続構造を用いれば、良好なシール性を確保し得ながら装置の占有面積を減少できてコスト上有利であるとともに、大流路が確保されることによって循環流量を多くし、薬液の高純度化を高めて歩留まり向上に寄与できるという効果を奏することが可能である。
【0014】
ところで、凹に凸を挿入しての嵌合構造においては、例えこれら両者が互いに同じ材質のものであっても、凸側の部材は殆ど変化(圧縮変形)せず、凹側の部材が拡がり変形する傾向のあることが一般に知られている。そこで、本請求項1においては、流体用ガスケットに、流体デバイスの環状突起(凸)に挿入される凹である環状溝を形成する構成としてあるので、クリープや経時変化によって変形するのは、比較的小さな部品である流体用ガスケット側であって流体デバイス側は殆ど変形しないから、流体用ガスケットを交換するという廉価な手段により、長期に亘って良好なシール性能を維持し得る利点が得られる効果がある。
【0015】
その結果、流体デバイスの環状突起との嵌合によってシール部となる環状溝を有する略H形の断面形状とすることにより、流体デバイスどうしのシール接続構造において、増し締めを殆ど行わなくても良好なシール性が維持できて信頼性に優れるとともに、その組付け作業性やコンパクト性も改善可能な流体用ガスケットを提供することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、詳しくは実施例において述べるが、前述したように、流体デバイスの環状突起と流体用ガスケットの環状溝とが挿入されると、流体用ガスケットにおける環状溝を形成するための周壁端部が拡がり変形しようとするが、流体用ガスケットに形成された拡張規制部が流体デバイスの支え部と協働することにより、内外の周壁端部が環状溝と環状突起との嵌合に起因して拡がり変形することが抑制又は阻止されるようになる。従って、環状突起と環状溝との嵌合によるシール部が確実に機能する状態になり、所期通りの優れたシール性能が得られるとともに、その拡がり変形されないことによって周壁の厚みを薄くすることが可能になり、流体用ガスケットのコンパクト化も図れる。
【0017】
請求項3の発明によれば、環状突起に嵌合する環状溝の深さ寸法を設定する程度の簡単な工夫により、環状溝と環状突起との嵌合に伴う周壁端部の拡がり変形を抑制するための拡張規制部が、接合状態においては流体デバイスの支え部に圧接されてシール部としても機能するようになり、総合的によりシール性能が向上し得るように高機能化された付加価値の高い流体用ガスケットを提供することができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、接合状態における流体デバイスの支え部と流体用ガスケットの周壁端部との当接は、テーパ周面どうしが圧接される状態となるので、そのテーパ周面どうしの当接による分力作用により、流体用ガスケットと流体デバイスとが強く圧接されればされるほど周壁端部が環状突起により強く接触して、環状突起と環状溝との嵌合によるシール作用が強化されるようになる。勿論、拡張規制部と支え部との当接によるシール機能も強化されるので、トータルとしてのシール性能がより向上する流体用ガスケットが提供できる。
【0019】
請求項5の発明によれば、流体用ガスケットが上下左右に線対称となる断面が略H型のものに形成されるので、例えば非対称形状のものに比べてガスケットの製作が容易化されるとともに、各流体デバイスに嵌合される場合のバランス(強度バランス、組付けバランス)に優れたものにできる。
【0020】
請求項6の発明によれば、流体用ガスケットが耐薬品性及び耐熱性に優れた特性を有するフッ素系樹脂で形成されているので、流体が薬液であるとか化学液体であっても、或いは高温流体であっても流体デバイスとの当接部分が変形して漏れ易くなることがなく、良好なシール性が維持できるようになる。尚、フッ素系樹脂は、水素原子の一個以上をフッ素で置換したエチレンおよびその誘導体の重合によって得られる樹脂状物質であり、高温にも安定で、撥水性に優れる。また摩擦係数が小さく、耐薬品性もきわめて高く、電気絶縁性も高い点で好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明による流体用ガスケット、及びそれを用いた流体デバイスどうしの接続構造の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1〜図3は実施例1による接続構造関係の図を、図4,5は実施例2による接続構造関係の図を、図6〜図8は実施例3による接続構造関係の図を、図9,10は実施例4による接続構造関係の図をそれぞれ示す。なお、本発明における「流体デバイス」とは、集積パネル、バルブ、ポンプ、アキュムレータ、流体貯留容器、熱交換器、レギュレータ、圧力計、流量計、ヒーター、フランジ配管等のあらゆる流体関係のものの総称と定義する。
【0022】
〔実施例1〕
実施例1による流体用ガスケットを用いた流体デバイスどうしの接続構造を図1、図2に示す。即ち、この接続構造は、一対の円管状の流体通路3,4が内部形成された集積パネル(流体デバイスの一例)1と、これの上面1aにリング状の流体用ガスケットGを介して搭載される開閉バルブ、ストップバルブ等のバルブ(流体デバイスの一例)2とに跨って構成された縦向きの軸心Pを共有する単流路型のものである。つまり、給排用として一対の接続構造が互いに同一のものとして構成されている。
【0023】
集積パネル1は、図1、図2に示すように、PFAやPTFE等のフッ素樹脂製のパネル材(又はブロック材)5の内部に、パネル上面1aに開口する上下向きの縦通路3a,4aと横向きの横通路3b,4bとから成る一対の円管状の供給側流体通路(第1流体通路の一例)3,4が形成されたものである。この集積パネル1における給排流体通路3,4が開口する部分を第1流体給排口部1Aと称するものとし、この第1流体給排口部1Aにおいては、円管状の縦通路3a,4aのそれぞれが軸心Pを有する通路に形成されている。また、第1流体給排口部1Aには、その上端面に開口する各流体通路3,4の外径側部分のそれぞれには、軸心Pを中心とする環状で、かつ、上方に突出した内外の環状突起21を有する下第1シール端部t21及び下第2シール端部t22が形成されている。
【0024】
バルブ(流体デバイスの一例)2は、図1、図2に示すように、PFAやPTFE等のフッ素樹脂製で上下方向視形状が円形のバルブケース6を有しており、そのバルブケース6の下端部は、底面6aから下方突出する状態で縦向きに配された円管状の供給側流体通路7と、この供給側流体通路7の横側方に離れて開口する状態で縦向きに配された円管状の排出側流体通路8とを有した第2流体給排口部2Aに形成されている。つまり、この第2流体給排口部2Aにおいては、円管状の供給側流体通路(第2流体通路の一例)7,8のそれぞれが軸心Pを有する通路に形成されている。つまり、バルブケース6下端には、一対のボルト挿通孔9aを有するPFAやPTFE等のフッ素樹脂又はその他の材料による取付フランジ9の一対が下方突出形成されており、流体通路7,8を有する管部9Aとフランジ部(外向きフランジ)9Bとで各取付フランジ9が形成されている。供給側の取付フランジ9が、下方突出する環状突起(第2環状突起の一例)11を有する上第1シール端部t11に形成され、排出側の取付フランジ9が、下方突出する環状突起(第2環状突起の一例)11を有する上第2シール端部t12に形成されている。
【0025】
一対の流体用ガスケットGは互いに同一のものであり、その構造を供給側の流体用ガスケットGを例に挙げて説明する。さて、流体用ガスケットGは、供給側の上下の流体給排口部1A,2Aの相対応する流体通路である縦通路3a及び供給側流体通路7どうしを連通すべく形成された管状の流体経路Wと、第1及び第2流体給排口部1A,2Aの端面に形成された上第1シール端部t11の環状突起11と下第1シール端部t21の上方突出する環状突起(第1環状突起の一例)21のそれぞれに嵌合すべく流体経路Wの外径側部分に形成された上環状溝(第2環状溝の一例)51、及び下環状溝(第1環状溝の一例)51を有するPFAやPTFE等のフッ素樹脂製のものに構成されている。
【0026】
つまり、流体用ガスケットGの断面形状は、上下一対の環状溝51,51と、これら環状溝51,51を形成するための内周壁54及び外周壁55とを有するとともに、上下の環状溝51,51は深さ及び幅が同一となる上下対称であり、かつ、内及び外周壁54,55も左右対称であって、第1及び第2流体給排口部1A,2Aの軸心P方向、即ち流体経路Wの軸心P方向に沿う縦中心Z、及び、その縦中心線Zに直交する横中心線Xの双方に関して線対称(ほぼ線対称でも良い)となる略H状の形状に形成されている。内周壁54の上下端部は、内周面54aである流体経路Wの上下端部が先拡がり状に外向き傾斜するテーパ内周面(テーパ周面の一例)52a,52aに形成されるとともに、外周壁55の上下端部も、その外周面55aの上下端部が内向き傾斜するテーパ外周面(テーパ周面の一例)53a,53aに形成されている。
【0027】
集積パネル1の第1流体給排口部1Aの下第1シール端部t21の環状突起21及びバルブ2の第2流体給排口部2Aの上第1シール端部t11における環状突起11の内及び外径側に、流体用ガスケットGにおける環状溝51を形成するために軸心P方向に突出形成された内外の周壁端部52a,53aが、環状溝51と環状突起11,21との嵌合によって拡がり変形するのを阻止する環状押え突起(支え部の一例)12,13,22,23が形成されている。
【0028】
上記環状押え突起に関する構造を、流体用ガスケットGと上第1シール端部t11とについて説明する。内外の環状押え突起12,13は対称のものであり、これらと環状突起11とで囲まれた谷部14,15が奥窄まり状(上窄まり状)となるように環状突起側の側周面が傾斜したテーパ外周面12a及びテーパ内周面13aを有する先窄まり状の環状突起に形成されている。つまり、上第1シール端部t11は、環状突起11とその内外の両側に形成される環状押え突起12,13及び谷部14,15の総称である。
【0029】
流体用ガスケットGの内外の周壁54,55の上端部は、環状押え突起12,13のテーパ外周面12aとテーパ内周面13aのそれぞれに当接するテーパ内周面52aとテーパ外周面53aを有して谷部14,15に入り込み自在な断面形状が先窄まり状の周壁端部(拡張規制部Kの一例)52,53に形成されている。これにより、接合状態(図1参照)においては、内外の周壁54,55の上端部である周壁端部52,53が対応する谷部14,15に入り込み、上第1シール端部t11のテーパ外周面12aと内周壁端部52のテーパ内周面52aとが圧接され、かつ、上第1シール端部t11のテーパ内周面13aと外周壁端部53のテーパ外周面53aとが圧接されるように構成されている。
【0030】
つまり、流体用ガスケットGの上端部には、環状溝51とその内外の環状シール突起52,53とで上シール部(第2端部の一例)g11が形成されており、同様に下端部には下シール部(第1端部の一例)g12が形成されている。上シール部g11は上第1シール端部t11と圧接嵌合して嵌合シール部10を形成し、下シール部g12は下第2シール端部t21と圧接嵌合して嵌合シール部10を形成する。
【0031】
嵌合シール部10の嵌合構造を、上第1シール端部t11と流体用ガスケットGの上シール部g11について詳細に説明すると、図2、図3に示すように、内外の谷部14,15どうし、及び内外の周壁端部52,53どうしはそれぞれが互いに対称であって、内外の谷部14,15全体の挟角α°と内外の周壁端部52,53全体の向い角β°との間には、α°<β°という関係が設定されており、好ましくはα°+(20〜40°)=β°という関係に設定すると良い。この構成により、上第1シール端部t11の上環状突起11と環状溝51とが嵌り合った接合状態(後述)では、上内環状押え突起12と上内周壁端部52とは、それらのテーパ外周面12aとテーパ内周面52aとが最内径側部分で圧接される状態となり(図3の仮想線を参照)、流体通路Wを通る流体がこれら外内のテーパ周面12a,52aどうしの間に入り込むことをも阻止する二次シール部S2として機能する利点が得られる。
【0032】
そして、上環状突起11の幅d1と上環状溝51の幅d2との間には、d1>d2という関係が設定されており、好ましくはd1×(0.6〜0.8)=d2という関係に設定すると良い。そして、上環状突起11の突出長さh1と上環状溝51の深さh2との間にはh1<h2という関係が設定されている。これらの構成により、上環状突起11と上環状溝51とが、詳しくは、上環状突起11の内外の両側周面と相対応する上環状溝51の内外の側周面とが強く圧接され、流体の漏れを阻止する優れたシール性能を発揮する一次シール部S1が形成されるとともに、上内環状押え突起12のテーパ外周面12aと上内周壁端部52のテーパ内周面52aとが圧接することになり、前述した二次シール部S2が良好に形成される利点がある。
【0033】
また、内側の環状押え突起12の先端、及び周壁端部52,53の先端はピン角とならないようにカットされた形状、即ち、傾斜カット面12b、並びに先端カット面52b,53bに形成されている。これらの構成により、上内環状押え突起12の先端が流体通路W1側に若干広がり変形したとしても、もともとカットされた形状であることから、流体通路W1途中に大きく開いた断面三角形状の凹みができるだけとなり、その凹みに存在する流体が容易に流れ出すようになって実質的に液溜りが生じないようになる。加えて、その凹みの開き角度、即ち、傾斜カット面12bとテーパ内周面52aとの挟角は十分に大きく、表面張力による液溜りのおそれも回避される。また、環状突起11先端の内角及び外角は面取り加工された形状11aとしてあるので、幅の狭い環状溝51への圧入移動をかじり等の不都合なく円滑に行えるものとなっている。
【0034】
外側の環状押え突起13は、環状押え突起13のテーパ内周面13aに続く状態で、バルブケース6の下端部を形成するための下端内周部9bが存在しており、内側の環状押え突起12とは全体としての形状は異なる。そして、下第1シール端部t21に関しても、環状押え突起23のテーパ内周面23aに続く状態で、パネル材5の上端部を形成するための上端内周部5bが存在しており、やはり、内側の環状押え突起22とは全体としての形状が異なる。これら上及び下端内周部5b,9bは、流体用ガスケットGの上及び下シール部g11,g12を上及び下第1シール端部t11,t21に嵌め合わす際のガイドとして機能するとともに、テーパ内周面13a,23aと共に流体用ガスケットGの外周壁55の拡がり変形を阻止する機能も発揮可能である。
【0035】
なお、図6に仮想線で示すように、流体用ガスケットGの外周壁55に横突出するリング状の脱着フランジ1fを一体形成しておけば、第1又は第2流体給排口部1A,2Aから流体用ガスケットGを抜出す際に、工具や手指でフランジ1fを引張る等して外し易くすることができるという利点がある。この場合、脱着フランジ1fの厚みは、接合状態における第1及び第2流体給排口部1A,2Aどうしの間隙よりも小さい値とする。
【0036】
嵌合シール部10についてさらに詳述する。図2及び図3に示すように、環状押え突起(支え部)12,13における環状突起側のテーパ周面12a,13aの開き角(谷部14,15の開き角)Dは50〜70度の範囲の値(50°≦D°≦70°)に設定されており、周壁端部52,53のテーパ周面52a,53aの尖り角Eは60〜80度の範囲の値(60°≦D°≦80°)に設定されている。そして、開き角Dと尖り角Eとには、開き角Dに10〜20度を加えたものが尖り角Eとなる[D°+(10〜20°)=E°]ように設定されている。より好ましい値としては、開き角Dが69〜71度(D°=70±1°)、尖り角Eが79〜81度(E°=80±1°)、及び尖り角Eが開き角D+9〜11度(E°−D°=10±1°)に設定すると良い。
【0037】
また、環状押え突起12,13の傾斜カット面12b,13bのカット角Dsは49〜51度(Ds°=50°±1°)に設定されており、周壁端部52,53の先端カット面52b,53bの迎え角Esは124〜126度(Es°=125°±1°)に設定されている。このような角度設定により、テーパ外周面12aとテーパ内周面52aとには環状の線接触状態で当接されるようになり、シールリップ効果が二次シール部S2において発揮されるようになる。また、テーパ内周面13aとテーパ外周面53aとの間にも、それらの外径側端部においてシール作用が生じる。尚、図示は省略するが、下端内周部9bが存在しない場合(集積パネルや流体デバイスにおけるガスケットGとの嵌合部の断面形状が左右対称である場合)は、外側の環状押え突起13にも傾斜カット面12bと同様な傾斜カット面が形成され、前記シールリップ効果が生じる。
【0038】
つまり、前記第1流体給排口部1Aと前記第2流体給排口部2Aとが互いに引寄せられる方向である引寄せ方向に対する前記周壁端部52,53に形成されるテーパ周面52a,53a(テーパ内周面52a、テーパ外周面53a)の尖り角Eが、前記引寄せ方向に対する前記環状押え突起(支え部)12,13における環状突起11側のテーパ周面12a,13a(テーパ外周面12a、テーパ内周面13a)の開き角Dに10〜20度、好ましくは10度又はほぼ10度加えた値に設定されている。そして、前記尖り角Eが60〜80度、好ましくは80度又はほぼ80度に設定されている。
【0039】
このように尖り角E及び開き角Dを90度に近い鈍角的な値に設定する構成とすれば、環状押え突起12,13は、その径方向幅に比べて引寄せ方向(軸方向)の突出量が小さくなって相対的に強度、剛性が向上することとなり、拡張規制部Kである周壁端部52,53の拡がりを規制しながらも、自身(環状押え突起12,13)が径方向へ拡がり変形するおそれをより効果的に抑制することができる利点がある。そして、周壁端部52,53の谷部14,15への刺さり込みによってテーパ周面52a,53aが環状押え突起12,13を径方向に押し広げる分力を小さくでき、この点からも環状押え突起12,13の径方向への拡がり変形を抑制することができる。
【0040】
次に、維持手段Iについて説明する。維持手段Iは、図2、図3に示すように、集積パネル1の第1流体給排口部1Aとバルブ2の第2流体給排口部2Aとが互いに流体用ガスケットGを介して引寄せるとともに、その引寄せ作用によって、第1流体給排口部1Aの上第1シール端部t11と、流体用ガスケットGの上シール部g11とが、及び第2流体給排口部2Aの下第1シール端部t21と、流体用ガスケットGの下シール部g12とがそれぞれ嵌め合わされて各嵌合シール部10が形成される接合状態を維持するものに構成されている。即ち、第2流体給排雄口部2Aの環状突起11と流体用ガスケットGの上側の環状溝51とが、及び第1流体給排雄口部1Aの環状突起21と流体用ガスケットGの下側の環状溝51とがそれぞれ嵌め合わされる。
【0041】
維持手段Iの具体構造は、第2流体給排口部2Aのフランジ部9Bのボルト挿通孔9aに挿通される一対のボルト66と、一対のボルト挿通孔9a,9aに対応して第1流体給排口部1Aに(パネル材5に)形成されたナット部67,67とで構成されており、ボルト66をナット部67に螺着させての締め付け操作により、バルブ2を集積パネル1に引寄せ、かつ、その引寄せ状態を維持することができる引寄せ機能付の維持手段Iに構成されている。また、経時変化やクリープ等が生じて各嵌合シール部10の圧接力が低下した場合には、ボルト66を増し締めすることで対処することができ、良好なシール性能を維持することが可能である。
【0042】
〔実施例2〕
実施例2による流体用ガスケットを用いた流体デバイスどうしの接続構造を図4,5に示す。これは実施例1によるものと維持手段Iが異なるのみであり、その別構造の維持手段Iについて説明する。なお、図4,5においては、図1〜3に示す実施例1のものと対応する箇所には対応する符号を付してある。
【0043】
さて、別構造による維持手段Iは、図4及び図5に示すように、集積パネル1の上面に形成された平面視で円形を呈する突起状の第1流体給排口部1Aの外周部に雄ネジ1nを形成し、その雄ネジ1nに螺合自在な雌ネジ81nを備えた筒状ナット81と、バルブ2のバルブケース6の下端部に形成された外向きフランジ9に、環状の流体通路7の軸心P方向で干渉する二つ割り、または三つ割り以上の割型リング82とから構成されている。第1流体給排口部1Aの雄ネジ1nに雌ネジ81nを螺着させての筒状ナット81の締付け操作により、両流体給排口部1A,2Aを互いに流体用ガスケットGを介して接近する方向に引寄せ可能に、かつ、引寄せ状態を維持可能な引寄せ機能付きの維持手段Iに構成されている。
【0044】
筒状ナット81のバルブ2側(上側)に形成される内向きフランジ83の開口部83aは、外向きフランジ9の通過を許容するに足りる最小限の内径寸法に設定されている。割型リング82の外径は、筒状ナット81に入り込み自在となるよう雌ネジ81nの内径よりも僅かに小さい寸法に設定され、かつ、内径は、バルブ2の円形の第2流体給排口部2Aの外径部に外嵌自在となる最小限の寸法に設定されている。この場合、割型リング82を装備するには、第2流体給排口部2Aにおける外向きフランジ9を除いた径の細い部分の軸方向長さが、筒状ナット81の軸方向長さと割型リング82の厚さとの和を上回る値とすることが必要である。具体的には、図5(b)に示すように、バルブケース6の付根部6tに当接させた状態の筒状ナット81と外向きフランジ9との間の長さd3が、割型リング82の厚さd4よりも大きいこと(d3>d4)が条件となる。
【0045】
また、筒状ナット81における雌ネジ81nの内奥端部と内向きフランジ83との間に、割型リング82に軸方向に摺動自在で、かつ、割型リング82の幅寸法をカバーする軸心P方向長さを有する内周面部81mが軸心Pと同心にフラットな内周面に形成されている。すなわち、筒状ナット81の雌ネジ81nと内向きフランジ83との間における内径部81aが供給側流体通路7と同心にフラットな内周面に形成され、かつ、その内周面部81mの内径が断面矩形に形成された割型リング82の外径よりも極僅かに大きくした嵌め合い公差状態に寸法設定される一方、第2流体給排口部2Aの外径部が供給側流体通路7と同心にフラットな外周面に形成され、かつ,その外径部の外径と、割型リング82の内径とがほぼ同一径に形成される。これにより、筒状ナット81を螺進させた際に割型リング82が傾いて抉るような状態になったり、外向きフランジ9に筒状ナット81の螺進による軸心P方向の押圧力がうまく伝わらなかったりする、という不都合が生じることが防止され、有効に外向きフランジ9を押して、第1、第2流体給排口部1A,2Aを互いに接近する方向に良好に引寄せることができるようにされている。
【0046】
第1別構造の維持手段Iを用いて両流体給排口部1A,2Aどうしを接続連結する操作手順は次のようである。先ず、図5(a)に示すように、外向きフランジ9をやり過ごして筒状ナット81をバルブ2の第2流体給排口部2Aの外周に嵌装し、その最内奥側まで(付根部6tに当接するまで)移動させる。次いで、図5(b)に示すように、割型リング82を、外向きフランジ9と筒状ナット81の先端との間を通して第2流体給排口部2Aに外嵌装備させる。このとき又はその前に流体用ガスケットGをいずれかの流体給排口部1A,2Aの端面に環状突起11,21,31,41と環状溝51,61との仮嵌合を介して装着させておいてもよい。次いで、流体用ガスケットGを介して第1流体給排口部1Aを第2流体給排口部2Aにあてがい、その状態で筒状ナット81をスライド移動させてから締付け操作[図5(c)参照]することにより、図4に示す接続状態が得られる。なお、図5においては、上下に積層される集積パネル1とバルブ2とを、図面記載都合により横倒し状態で描いてある。
【0047】
〔実施例3〕
実施例3による流体用ガスケットを用いた流体デバイスどうしの接続構造を図6、図7に示す。この接続構造は、複数の管状の流体通路3,4が内部形成された集積パネル(流体デバイスの一例)1と、これの上面1aに内外の計2個のリング状の流体用ガスケットG1,G2を介して搭載される開閉バルブ、ストップバルブ等のバルブ(流体デバイスの一例)2とに跨って構成された縦向きの軸心Pを共有する同心状二重流路型のものである。
【0048】
集積パネル1は、図6、図7に示すように、PFAやPTFE等のフッ素樹脂製のパネル材(又はブロック材)5の内部に、パネル上面1aに開口する上下向きの縦通路3aと横向きの横通路3bとから成る管状の供給側流体通路3と、縦通路3aの外径側に形成されてパネル上面1aに開口する環状の縦リング通路4aとこれの底部に連通される横向きの横通路4bとで成る排出側流体通路4とが形成されたものである。この集積パネル1における給排流体通路(第1流体通路の一例)3,4が二重配管状に開口する部分を第1流体給排口部1Aと称するものとし、この第1流体給排口部1Aにおいては、管状の縦通路3aと環状の縦リング通路4aとが互いに同一の軸心Pを有する同心状の通路に形成されている。また、第1流体給排口部1Aには、その上端面に開口する各流体通路3,4の外径側部分のそれぞれには、軸心Pを中心とする環状で、かつ、上方に突出した内外の環状突起(第1環状突起の一例)21,41を有する下第1シール端部t21及び下第2シール端部t22が形成されている。
【0049】
バルブ(流体デバイスの一例)2は、図6、図7に示すように、PFAやPTFE等のフッ素樹脂製で上下方向視形状が円形のバルブケース6を有しており、そのバルブケース6の下端部は、底面6aに開口する状態でその中心に縦向きに配された管状の供給側流体通路7と、この供給側流体通路7の外径側に形成されて底面6aに開口する状態で縦向きに配された環状の排出側流体通路8とを有した第2流体給排口部2Aに形成されている。つまり、この第2流体給排口部2Aにおいては、管状の供給側流体通路7と環状の排出側流体通路8が互いに同一の軸心Pを有する同心状の通路に形成されている。そして、バルブケース6下端の外周部には、一対のボルト挿通孔9aを有するPFAやPTFE等のフッ素樹脂又はその他の材料による取付フランジ9が融着によって一体化されている。尚、バルブケース6と取付フランジ9とは、切削加工や成形加工によって一体形成された一体型のものでも良い。また、第2流体給排口部2Aには、その下端面に開口する各流体通路(第2流体通路の一例)7,8の外径側部分のそれぞれには、軸心Pを中心とする環状で、かつ、下方に突出した内外の環状突起(第2環状突起の一例)11,31を有する上第1シール端部t11及び上第2シール端部t12が形成されている。
【0050】
内外の流体用ガスケットG1,G2は径が異なるのみで断面形状は同一のものに形成されている。その構造を内側の第1流体用ガスケットG1を例に挙げて説明する。尚、説明を省略する外側の第2流体用ガスケットG2には、第1流体用ガスケットG1に対応する箇所には対応した符号を付す(例:54a→64a)ものとする。さて、第1流体用ガスケットG1は、第1,第2流体給排口部1A,2Aの相対応する流体通路である縦通路3a及び供給側流体通路7どうしを連通すべく形成された管状の流体経路W1と、第1及び第2流体給排口部1A,2Aの端面に形成された上第1シール端部t11の環状突起11と上第2シール端部t12の環状突起31のそれぞれに嵌合すべく流体経路W1の外径側部分に形成された上環状溝(第2環状溝の一例)51、及び下環状溝(第1環状溝の一例)51を有するPFAやPTFE等のフッ素樹脂製のものに構成されている。
【0051】
つまり、第1流体用ガスケットG1の断面形状は、上下一対の環状溝51,51と、これら環状溝51,51を形成するための内周壁54及び外周壁55とを有するとともに、上下の環状溝51,51は深さ及び幅が同一となる上下対称であり、かつ、内及び外周壁54,55も左右対称であって、第1及び第2流体給排口部1A,2Aの軸心P方向、即ち流体経路W1,W2の軸心P方向に沿う縦中心Z、及び、その縦中心線Zに直交する横中心線Xの双方に関して線対称(ほぼ線対称でも良い)となる略H状の形状に形成されている。内周壁54の上下端部は、内周面54aである流体経路W1の上下端部が先拡がり状に外向き傾斜するテーパ内周面52a,52aに形成されるとともに、外周壁55の上下端部も、その外周面55aの上下端部が内向き傾斜するテーパ外周面53a,53aに形成されている。
【0052】
集積パネル1の第1流体給排口部1Aの下第1及び下第2シール端部t21,t22の環状突起21,41及びバルブ2の第2流体給排口部2Aの上第1及び上第2シール端部t11、t12における環状突起11,31の内及び外径側に、各流体用ガスケットG1,G2における環状溝51,61を形成するために軸心P方向に突出形成された内外の周壁端部(拡張規制部Kの一例)52,53,62,63が、相対応する環状溝51,61と相対応する環状突起11,21,31,41との嵌合によって拡がり変形するのを阻止する環状押え突起(支え部の一例)12,13,22,23,32,33,42,43が形成されている。
【0053】
上記環状押え突起に関する構造を、第1流体用ガスケットG1と上第1シール端部t11とについて説明する。内外の環状押え突起12,13は対称のものであり、これらと環状突起11とで囲まれた谷部14,15が奥窄まり状(上窄まり状)となるように環状突起側の側周面が傾斜したテーパ外周面12a及びテーパ内周面13aを有する先窄まり状の環状突起に形成されている。つまり、上第1シール端部t11は、環状時突起11とその内外の両側に形成される環状押え突起12,13及び谷部14,15の総称である。
【0054】
第1流体用ガスケットG1の内外の周壁54,55の上端部は、環状押え突起12,13のテーパ外周面12aとテーパ内周面13aのそれぞれに当接するテーパ内周面52aとテーパ外周面53aを有して14,15に入り込み自在な先窄まり状の周壁端部52,53を有し、接合状態(図6参照)においては、内外の周壁54,55の上端部である周壁端部52,53が対応する谷部14,15に入り込み、上第1シール端部t11のテーパ外周面12aと第1流体用ガスケットG1のテーパ内周面52aとが圧接され、かつ、上第1シール端部t11のテーパ内周面13aと第1流体用ガスケットG1のテーパ外周面53aとが圧接されるように構成されている。
【0055】
つまり、第1流体用ガスケットG1の上端部には、環状溝51とその内外の周壁端部52,53とで上シール部(第2端部の一例)g11が形成されており、同様に下端部には下シール部(第1端部の一例)g12が形成されている。上シール部g11は上第1シール端部t11と嵌合して嵌合シール部10を形成し、下シール部g12は下第2シール端部t21と嵌合して嵌合シール部10を形成する。同様に、第2流体用ガスケットにも上シール部(第2端部の一例)g21と下シール部(第1端部の一例)g22とが形成されており、それぞれ上第2シール端部t12と下第2シール端部t22と嵌合して嵌合シール部10を形成する。
【0056】
嵌合シール部10の嵌合構造を、上第1シール端部t11と第1流体用ガスケットG1の上シール部g11について詳細に説明すると、図7、図8に示すように、内外の谷部14,15どうし、及び内外の周壁端部52,53どうしは互いに対称であって、内外の谷部14,15全体の挟角α°と内外の周壁端部52,53全体の向い角β°との間には、α°<β°という関係が設定されており、好ましくはα°+(20〜40°)=β°という関係に設定すると良い。この構成により、上第1シール端部t11の上環状突起11と環状溝51とが嵌り合った接合状態(後述)では、上内環状押え突起12と上内周壁端部52とは、それらのテーパ外周面12aとテーパ内周面52aとが最内径側部分で圧接される状態となり(図8の仮想線を参照)、流体通路W1(W)を通る流体がこれら外内のテーパ周面12a,52aどうしの間に入り込むのことをも阻止する二次シール部S2として機能する利点が得られる。
【0057】
そして、上環状突起11の幅d1と上環状溝51の幅d2との間には、d1>d2という関係が設定されており、好ましくはd1×(0.6〜0.8)=d2という関係に設定すると良い。そして、上環状突起11の突出長さh1と上環状溝51の深さh2との間にはh1<h2という関係が設定されている。これらの構成により、上環状突起11と上環状溝51とが、詳しくは、上環状突起11の内外の両側周面と相対応する上環状溝51の内外の側周面とが強く圧接され、流体の漏れを阻止する優れたシール性能を発揮する一次シール部S1が形成されるとともに、上内環状押え突起12のテーパ外周面12aと上内周壁端部52のテーパ内周面52aとが必ず当接することになり、前述した二次シール部S2が良好に形成される利点がある。
【0058】
また、環状押え突起12,13の先端、及び周壁端部52,53の先端はピン角とならないようにカットされた形状、即ち、傾斜カット面12b,13b、並びにカット面52b,53bに形成されている。これらの構成により、上内環状押え突起12の先端が流体通路W1側に若干広がり変形したとしても、もともとカットされた形状であることから、流体通路W1途中に大きく開いた断面三角形状の凹みができるだけとなり、その凹みに存在する流体が容易に流れ出すようになって実質的に液溜りが生じないようになる。加えて、その凹みの開き角度、即ち、傾斜カット面12bとテーパ内周面52aとの挟角は十分に大きく、表面張力による液溜りのおそれも回避される。また、環状突起11先端の内角及び外角は面取り加工された形状11aとしてあるので、幅の狭い環状溝51への圧入移動をかじり等の不都合なく円滑に行えるものとなっている。
【0059】
以上述べた嵌合シール部10の構造は、第1流体用ガスケットG1の下側、及び第2流体用ガスケットG2においても同様に構成されており、対応する箇所には対応する符号を付すものとする。第2流体用ガスケットG2は、径は異なるが断面形状に関しては第1流体用ガスケットG1のものと全く同じである。但し、第1及び第2流体給排口部1A,2Aの上第2シール端部t12と下第2シール端部t22については、その外周側に流体通路が存在しないので、それぞれ上第1シール端部t11と下第2シール端部t21とやや形状が異なる(図3参照)。
【0060】
即ち、図7に示すように、上第2シール端部t12に関しては、環状押え突起33のテーパ内周面33aに続く状態で、バルブケース6の下端部を形成するための下端内周部6bが存在している点である。この下端内周部6bは、第2流体用ガスケットG2の上シール部g21を上第2シール端部t12に嵌め合わす際のガイドとして機能するとともに、テーパ内周面33aと共に第2流体用ガスケットG2の外周壁65の拡がり変形を阻止する機能も発揮可能である(図3参照)。そして、下第2シール端部t22に関しては、外側の環状押え突起43の外周側にパネル材5、及びその上端部を形成するための上端内周部5bが存在している点である。上端内周部5bは、第2流体用ガスケットG2の下シール部g22を下第2シール端部t22に嵌め合わす際のガイドとして機能するとともに、下シール部g22と下第2シール端部t22との嵌め合せ時に、第2流体用ガスケットG2の下シール部g22の外周壁端部63の拡がり変形がテーパ内周面43aによって阻止される作用効果が強化されるのである。
【0061】
一方、第1及び第2流体用ガスケットG1,G2のうち、接合状態において内径側及び外径側の双方に流体通路7,8が存在する中間流体用ガスケットである第1流体用ガスケットG1は、これの外周部である外周面55aが、第1流体用ガスケットG1の外径側に存する第1流体給排口部1Aの環状の流体通路4aと第2流体給排口部2Aの環状の流体通路8とを連通する環状の流体経路W2を形成するための壁面となる状態に形成されている。このように第1流体用ガスケットG1の内外周面54a,55aの双方が流体通路W1,W2を形成する壁面を兼ねる構成とすれば、「第1流体用ガスケットG1の厚み」=「環状流体通路3a,7と管状流体通路4a,8との間隔」となり、第1及び第2流体給排口部1A,2Aの接続部をよりコンパクト化することが可能になる。
【0062】
なお、図6に仮想線で示すように、第2流体用ガスケットG2の外周壁65に横突出するリング状の脱着フランジ1fを一体形成しておけば、第1又は第2流体給排口部1A,2Aから第2流体用ガスケットG2を抜出す際に、工具や手指でフランジ1fを引張る等して外し易くすることができるという利点がある。この場合、脱着フランジ1fの厚みは、接合状態における第1及び第2流体給排口部1A,2Aどうしの間隙よりも小さい値とする。
【0063】
嵌合シール部10についてさらに詳述する。図7及び図8に示すように、環状押え突起(支え部)12,13における環状突起側のテーパ周面12a,13aの開き角(谷部14,15の開き角)Dは50〜70度の範囲の値(50°≦D°≦70°)に設定されており、周壁端部52,53のテーパ周面52a,53aの尖り角Eは60〜80度の範囲の値(60°≦D°≦80°)に設定されている。そして、開き角Dと尖り角Eとには、開き角Dに10〜20度を加えたものが尖り角Eとなる[D°+(10〜20°)=E°]ように設定されている。より好ましい値としては、開き角Dが69〜71度(D°=70±1°)、尖り角Eが79〜81度(E°=80±1°)、及び尖り角Eが開き角D+9〜11度(E°−D°=10±1°)に設定すると良い。
【0064】
また、環状押え突起12,13の傾斜カット面12b,13bのカット角Dsは49〜51度(Ds°=50°±1°)に設定されており、周壁端部52,53の先端カット面52b,53bの迎え角Esは124〜126度(Es°=125°±1°)に設定されている。このような角度設定により、テーパ外周面12aとテーパ内周面52a及びテーパ内周面13aとテーパ外周面53aの夫々は環状の線接触状態で当接されるようになり、シールリップ効果が二次シール部S2において発揮されるようになる。
【0065】
つまり、前記第1流体給排口部1Aと前記第2流体給排口部2Aとが互いに引寄せられる方向である引寄せ方向に対する前記周壁端部52,53に形成されるテーパ周面52a,53a(テーパ内周面52a、テーパ外周面53a)の尖り角Eが、前記引寄せ方向に対する前記環状押え突起(支え部)12,13における環状突起11側のテーパ周面12a,13a(テーパ外周面12a、テーパ内周面13a)の開き角Dに10〜20度、好ましくは10度又はほぼ10度加えた値に設定されている。そして、前記尖り角Eが60〜80度、好ましくは80度又はほぼ80度に設定されている。
【0066】
このように尖り角E及び開き角Dを90度に近い鈍角的な値に設定する構成とすれば、環状押え突起12,13は、その径方向幅に比べて引寄せ方向(軸方向)の突出量が小さくなって相対的に強度、剛性が向上することとなり、拡張規制部Kである周壁端部52,53の拡がりを規制しながらも、自身(環状押え突起12,13)が径方向へ拡がり変形するおそれをより効果的に抑制することができる利点がある。そして、周壁端部52,53の谷部14,15への刺さり込みによってテーパ周面52a,53aが環状押え突起12,13を径方向に押し広げる分力を小さくでき、この点からも環状押え突起12,13の径方向への拡がり変形を抑制することができる。
【0067】
次に、維持手段Iについて説明する。維持手段Iは、図6、図7に示すように、集積パネル1の第1流体給排口部1Aとバルブ2の第2流体給排口部2Aとが互いに第1及び第2流体用ガスケットG1,G2を介して引寄せるとともに、その引寄せ作用によって、第1流体給排口部1Aの上第1シール端部t11及び上第2シール端部t12と、第1及び第2流体用ガスケットG1,G2の上シール部g11,g21とが、及び第2流体給排口部2Aの下第1及び下第2シール端部t21,t22と、第1及び第2流体用ガスケットG1,G2の下シール部g12,g22とがそれぞれ嵌め合わされて各嵌合シール部10が形成される接合状態を維持するものに構成されている。即ち、第2流体給排雄口部2Aの環状突起11,31と第1及び第2流体用ガスケットG1,G2の上側の環状溝51,61とが、及び第1流体給排口部1Aの環状突起21,41と第1及び第2流体用ガスケットG1,G2の下側の環状溝51,61とがそれぞれ嵌め合わされる。
【0068】
維持手段Iの具体構造は、第2流体給排口部2Aの取付フランジ9のボルト挿通孔9aに挿通される一対のボルト66と、一対のボルト挿通孔9a,9aに対応して第1流体給排口部1Aに(パネル材5に)形成されたナット部67,67とで構成されており、ボルト66をナット部67に螺着させての締め付け操作により、バルブ2を集積パネル1に引寄せ、かつ、その引寄せ状態を維持することができる。また、経時変化やクリープ等が生じて各嵌合シール部10の圧接力が低下した場合には、ボルト66を増し締めすることで対処することができ、良好なシール性能を維持することが可能である。
【0069】
〔実施例4〕
実施例4による流体用ガスケットを用いた流体デバイスどうしの接続構造を図9に示す。これは実施例3によるものと維持手段Iが異なるのみであり、その別構造の維持手段Iについて説明する。なお、図9においては、図6,7に示す実施例3のものと対応する箇所には対応する符号を付してある。
【0070】
さて、別構造による維持手段Iは、図9、図10に示すように、集積パネル1の上面に形成された平面視で円形を呈する突起状の第1流体給排口部1Aの外周部に雄ネジ1nを形成し、その雄ネジ1nに螺合自在な雌ネジ81nを備えた筒状ナット81と、バルブ2のバルブケース6の下端部に形成された外向きフランジ9に、環状の流体通路7の軸心P方向で干渉する二つ割り、または三つ割り以上の割型リング82とから構成されている。第1流体給排口部1Aの雄ネジ1nに雌ネジ81nを螺着させての筒状ナット81の締付け操作により、両流体給排口部1A,2Aを互いに2個の流体用ガスケットG1,G2を介して接近する方向に引寄せ可能に、かつ、引寄せ状態を維持可能な引寄せ機能付きの維持手段Iに構成されている。
【0071】
筒状ナット81のバルブ2側(上側)に形成される内向きフランジ83の開口部83aは、外向きフランジ9の通過を許容するに足りる最小限の内径寸法に設定されている。割型リング82の外径は、筒状ナット81に入り込み自在となるよう雌ネジ81nの内径よりも僅かに小さい寸法に設定され、かつ、内径は、バルブ2の円形の第2流体給排口部2Aの外径部に外嵌自在となる最小限の寸法に設定されている。この場合、割型リング82を装備するには、第2流体給排口部2Aにおける外向きフランジ9を除いた径の細い部分の軸方向長さが、筒状ナット81の軸方向長さと割型リング82の厚さとの和を上回る値とすることが必要である。具体的には、図10(b)に示すように、バルブケース6の付根部6tに当接させた状態の筒状ナット81と外向きフランジ9との間の長さd3が、割型リング82の厚さd4よりも大きいこと(d3>d4)が条件となる。
【0072】
また、筒状ナット81における雌ネジ81nの内奥端部と内向きフランジ83との間に、割型リング82に軸方向に摺動自在で、かつ、割型リング82の幅寸法をカバーする軸心P方向長さを有する内周面部81mが軸心Pと同心にフラットな内周面に形成されている。すなわち、筒状ナット81の雌ネジ81nと内向きフランジ83との間における内径部81aが供給側流体通路7と同心にフラットな内周面に形成され、かつ、その内周面部81mの内径が断面矩形に形成された割型リング82の外径よりも極僅かに大きくした嵌め合い公差状態に寸法設定される一方、第2流体給排口部2Aの外径部が供給側流体通路7と同心にフラットな外周面に形成され、かつ、その外径部の外径と、割型リング82の内径とがほぼ同一径に形成される。これにより、筒状ナット81を螺進させた際に割型リング82が傾いて抉るような状態になったり、外向きフランジ9に筒状ナット81の螺進による軸心P方向の押圧力がうまく伝わらなかったりする、という不都合が生じることが防止され、有効に外向きフランジ9を押して、第1、第2流体給排口部1A,2Aを互いに接近する方向に良好に引寄せることができるようにされている。
【0073】
第1別構造の維持手段Iを用いて両流体給排口部1A,2Aどうしを接続連結する操作手順は次のようである。先ず、図10(a)に示すように、外向きフランジ9をやり過ごして筒状ナット81をバルブ2の第2流体給排口部2Aの外周に嵌装し、その最内奥側まで(付根部6tに当接するまで)移動させる。次いで、図10(b)に示すように、割型リング82を、外向きフランジ9と筒状ナット81の先端との間を通して第2流体給排口部2Aに外嵌装備させる。このとき又はその前に第1及び第2流体用ガスケットG1,G2をいずれかの流体給排口部1A,2Aの端面に環状突起11,21,31,41と環状溝51,61との仮嵌合を介して装着させておいてもよい。
【0074】
次いで、両流体用ガスケットG1,G2を介して第1流体給排口部1Aを第2流体給排口部2Aにあてがい、その状態で筒状ナット81をスライド移動させてから締付け操作[図10(c)参照]することにより、図9に示す接続状態が得られる。なお、図10においては、上下に積層される集積パネル1とバルブ2とを、図面記載都合により横倒し状態で描いてある。
【0075】
本明細書の実施例においては、環状押え突起12,13,22,23,32,33,42,43のうち、環状押え突起13,23は、環状押え壁部13,23と読み代える場合(図2,3)があり、また環状押え突起33,43は、環状押え壁部33,43と読み代えるものとし、これら環状押え突起12,22,32,42と、環状押え突起13,23又は環状押え壁部13,23と、環状押え壁部33,43とを総称して「環状押え部分」と呼ぶものとする。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】集積パネルとバルブとの接続構造を示す断面図(実施例1)
【図2】図1の接続構造に用いる流体用ガスケットと流体給排口部の要部の断面図
【図3】図2の環状突起と環状溝との嵌合構造を示す要部の拡大断面図
【図4】図1の維持手段の別構造を示す要部の断面図(実施例2)
【図5】図4の維持手段を有する接続構造の接続手順を示す説明図
【図6】集積パネルとバルブとの同心状多重流路接続構造を示す断面図(実施例3)
【図7】図6の接続構造に用いる流体用ガスケットと流体給排口部の要部の断面図
【図8】図7の環状突起と環状溝との嵌合構造を示す要部の拡大断面図
【図9】図6の維持手段の別構造を示す要部の断面図(実施例4)
【図10】図9の維持手段を有する接続構造の接続手順を示す説明図
【符号の説明】
【0077】
1 第1流体デバイス
1A 第1流体給排口部
2 第2流体デバイス
2A 第2流体給排口部
3,4 第1流体通路
7、8 第2流体通路
10 嵌合シール部
21,41 第1環状突起
22,23,12,13,42,43,32,33 支え部
22a,23a,12a,13a,42a,43a,32a,33a テーパ周面
24,25,14,15,44,45,34,35 谷部
11,31 第2環状突起
51,61 第1環状溝、第2環状溝
52,53,62,63 周壁端部
52a,53a62a,63a テーパ周面
G,G1,G2 流体用ガスケット
K 拡張規制部
P 流体経路の軸心
S1,S2 シール部
W,W1,W2 流体経路
X 中心線
Z 流体経路の軸心方向に沿う中心線
g11,g21 第1端部
g12,g22 第2端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状の第1流体通路が開口する第1流体給排口部を備えた第1流体デバイスの前記第1流体給排口部と、管状の第2流体通路が開口する第2流体給排口部を備えた第2流体デバイスの前記第2流体給排口部とをシール状態で接続すべく、前記第1流体給排口部に当接する第1端部と、前記第2流体給排口部に当接する第2端部と、前記第1及び第2流体通路どうしを連通するための流体経路とを有して、これら第1流体給排口部と第2流体給排口部との間に介在されるリング状の流体用ガスケットであって、
前記第1端部が、前記第1流体給排口部における前記第1流体通路の外径側部分に形成される第1環状突起に嵌合してシール部を形成自在な第1環状溝を有し、かつ、前記第2端部が、前記第2流体給排口部における前記第2流体通路の外径側部分に形成される第2環状突起に嵌合してシール部を形成自在な第2環状溝を有して、略H形の断面形状を呈するとともに、
前記第1流体給排口部と第2流体給排口部とが互いに引寄せられて、前記第1環状突起と前記第1環状溝とが、及び前記第2環状突起と前記第2環状溝とがそれぞれ嵌め合わされた接合状態においては、前記第1環状突起と前記第1環状溝、及び前記第2環状突起と前記第2環状溝がそれぞれ径方向に圧接されての嵌合シール部が形成自在に構成されている流体用ガスケット。
【請求項2】
前記各環状溝を形成すべく前記第1及び第2端部のそれぞれにおける軸心方向に突出形成された内及び外周壁の端部には、前記第1及び第2流体給排口部の端部における前記環状突起の内及び外径側のそれぞれに形成される支え部との協働により、前記内及び外周壁の端部が前記環状溝と前記環状突起との嵌合に起因して拡がり変形することを抑制又は阻止するための拡張規制部が形成されている請求項1に記載の流体用ガスケット。
【請求項3】
前記拡張規制部は、前記接合状態においては前記支え部に圧接されてシール部を形成するように構成されている請求項2に記載の流体用ガスケット。
【請求項4】
前記拡張規制部は、前記支え部と前記環状突起とで囲まれて断面形状が奥窄まり状となる谷部に入り込み自在な先窄まり状の断面形状を有する前記内及び外周壁の端部である周壁端部で構成されるとともに、前記接合状態においては前記周壁端部に形成されるテーパ周面が、前記支え部における前記環状突起側のテーパ周面に圧接される状態に構成されている請求項3に記載の流体用ガスケット。
【請求項5】
前記略H形の断面形状が、前記流体経路の軸心方向に沿う中心線、及び、その中心線に直交する中心線の双方に関して線対称となるものに設定されている請求項1〜4の何れか一項に記載の流体用ガスケット。
【請求項6】
フッ素樹脂で形成されている請求項1〜5の何れか一項に記載の流体用ガスケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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