説明

流体製品投与装置

本発明は、流体製品投与装置であって、流体製品が貯蔵された容器(10)と、前記容器(10)に貯蔵されている流体を投与する、例えばポンプまたは弁などの投与部材(20)と、そして、前記投与部材(20)を手動で駆動するための投与ヘッド(30)と、を有し、前記容器(10)は単一部品の多機能容器であり、(a)少なくとも1つの開口部(15)であって、投与部材(20)が駆動される度に容器内(10)に入りこむ空気をろ過するフィルター(50)を少なくとも1つ保持するように作られた前記開口部と、(b)前記容器(10)のネック(19)の上にオーバーモールド成形されたネックジョイント(18)と、のうち少なくとも1つの要素を有することである、という装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体製品の投与のための装置、さらに具体的に言えば、単一部品で作られた多機能容器に関する。
【背景技術】
【0002】
流体製品投与装置は公知である。一般的に、装置は投与するための製品が貯蔵された容器と、前記容器に取り付けられたポンプまたは弁などの投与装置と、前記投与装置を駆動するための投与ヘッドとを有する。容器の中の製品の種類によって、投与装置は複数の特性を有することがある。その特性とは、例えば投与装置の中に貯蔵された製品の汚染を防ぐ手段である。その特性には、投与装置が動作する度に容器に入り込む空気をろ過するために用いられるフィルター、もしくは投与装置からヘッドが引き離されないようにすることで、この位置における製品汚染を防ぐ手段が含まれることがある。同様に、この装置は一般的にネックシールを有し、当該ネックシールは容器のネックとアタッチメント部品の間に置かれており、当該アタッチメント部品は投与装置を容器に固定している。当該シールの配置が一般的に追加的な組み立てステップを必要とするため、投与装置の製造及び組み立てのコストは増加し、組み立ては複雑化されてしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記の問題を生じない流体製品投与装置を提供することを目的とする。
さらに具体的に言えば、本発明は、製造および組み立てが簡単かつ低コストな流体製品投与装置であって、単一部品にいくつかの機能的特性を一体化させることで、投与装置の正確な動作を容易にする、という装置を提供することを目的とする。
本発明のもう1つの目的は、構成要素の数が最小限である、という流体製品投与装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このため、本発明が目指すのは、流体製品投与装置であって、流体製品が貯蔵された容器と、前記容器に貯蔵されている流体を投与する、例えばポンプまたは弁などの投与ユニットと、そして、前記投与ユニットを手動で駆動するための投与ヘッドと、を有し、前記容器は単一部品で作られた多機能容器であり、(a)少なくとも1つの開口部であって、投与ユニットが駆動される度に容器内に入りこむ空気をろ過するフィルターを少なくとも1つ保持するように作られた前記開口部と、(b)前記容器のネックの上にオーバーモールド成形されたネックシールと、のうち少なくとも1つの要素を有する、という装置である。
【発明の効果】
【0005】
効果的な構成として、さらに前記容器は少なくとも1つの第1の径方向の突起を有し、当該第1の径方向の突起は前記投与ヘッドと協働することによって、前記ヘッドが引き離されるのを防ぐこととする。
効果的な構成として、さらに前記容器は少なくとも1つの第2の径方向の突起を有し、当該第2の径方向の突起は前記投与ヘッドと協働し、当該ヘッドに関して駆動時の休止位置(stop)を規定し、従って投与装置の駆動プロフィールを形作り、前記少なくとも1つの第2の径方向の突起は少なくとも1つの第1の径方向の突起から軸方向に間隔を置いた位置にあることとする。
【0006】
効果的な構成として、前記少なくとも1つのフィルターは前記少なくとも1つの開口部に収容され、当該フィルターは前記容器にスナップ留め、溶接、もしくはオーバーモールド成形されていることとする。
効果的な構成として、前記少なくとも1つのフィルターを保持するように作られた前記少なくとも1つの開口部は、前記容器の側壁に形成されることとする。
【0007】
効果的な構成として、前記容器は熱可塑性プラスチック素材などの合成素材のインジェクションブロー成形によって生成されることする。
効果的な構成として、前記オーバーモールド成形されたネックシールは射出した熱可塑性エラストマー素材(TPE)であり、容器とオーバーモールド成形されたネックシールとは、二重インジェクションブロー成形によって生成されることとする。
【0008】
効果的な構成として、容器の上部径方向表面は、前記オーバーモールド成形されたシールを保持するように作られた収容プロフィールを有することとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の他の特徴と効果とに関しては、非限定的な例として示す、添付図面を参照しながら、本発明のいくつの効果的な実施の形態についての以下に示す詳細な説明を読めば、さらに明らかになるだろう。
本発明は、投与するための製品を容器に貯蔵しているすべての流体製品投与装置に適応しており、前記容器にはポンプもしくは弁などの投与ユニットが何らかの形で取り付けられており、当該ユニットは投与ヘッドもしくは駆動プッシャが設置されており、当該投与ヘッドもしくは駆動プッシャを駆動することで前記容器に貯蔵されている製品が投与される。図1から図3はそれぞれ本発明の3つの異なった実施の形態を表している、しかし明らかなように、本発明はこの3つの実施の形態のいかなる組み合わせもカバーしている。図4は特に1つの変形例を示しており、この変形例は、図1から図3で説明された3つの実施の形態を実装している。
【0010】
図は投与装置を非常に概略的に示している。当該投与装置は容器10を含んでおり、当該容器の上には投与ユニット20、さらに具体的に言えばポンプ、が設置されている。明らかなように、投与装置20はポンプとは異なる形、例えば弁の形、で作ってもよい。投与ヘッド30(または手動駆動プッシャ)がポンプ20に取り付けられているため、ポンプは手動で駆動できる。ポンプを駆動するために、ユーザは通常ヘッド部分を軸方向に押し、その結果ポンプ本体内部でポンプピストンが移動され、容器内に貯蔵されている製品1ドーズ分が投与される。ポンプ20を異なる形で駆動してもよい。ポンプ20を何らかのアタッチメントリング、例えば図で示したような圧着可能なリング、またはスナップ留めもしくはネジ留めできるリング、によって容器10に取り付けることも可能である。
本発明により、単一部品で作られた多機能容器10が実現され、以下の説明で述べるような1つもしくは複数の機能的特性を有する、とすることができる。
【0011】
図1と図4を参照する。容器10は少なくとも1つの第1の径方向の突起 11を含み、当該第1の径方向の突起は投与ヘッド30、さらに具体的に言えば、前記投与ヘッド30の側面スカートに設けられた径方向ショルダー31と協働するように作られている、とすることができる。図1から見て取れるように、前記少なくとも1つの第1の径方向の突起11と前記投与ヘッド30との協働により、ヘッド30が引き離される事態は防止される。それにより、特にシャッターが設けられた場合、投与開口部(図示せず)における製品の密封と汚染防止とが保証される。さらに、効果的な構成として、第1の径方向の突起11を利用し、投与ユニットの上死点において、ストップ位置(stop position)、即ち休止位置(rest position)を規定することもできる。投与ヘッドは容器10の周囲に取り付けることが可能であり、具体的に言えば、突起11は例えば、ショルダー31を前記突起上にスナップ留めまたはクリック留めする、という形で作ることができる。突起11は、ヘッド30と協働する一連の環状フランジまたは1つもしくは複数に別れた突起によって形成することもできる。効果的な構成として、容器は少なくとも1つの第2の突起を含んでいるとしてもよく、当該第2の突起は投与ヘッド30と協働し、当該ヘッドに関して駆動時の休止位置(stop)を規定するように作られている。さらに厳密に言えば、この第2の径方向の突起12(必須ではない)は、投与装置の駆動位置を規定する手段を提供する。そのため、明らかなように、当該第2の径方向の突起は第1の突起11から軸方向に間隔を置いた位置にあり、ヘッド30が2つの突起11、12の間で移動することができるようになっている。効果的な構成として、第2の突起12を用いると、例えばヘッドと前記突起の間に設 けられた取り外し可能なクリップと協働させることにより、移動セキュリティ機能を実行させることもできる。また、径方向の突起のうち一方もしくは両方を用いて、初回使用確認器を規定したり、さらには、複数ドーズ機能を提供することもできる。初回使用確認器の規定のためには壊れやすい部品を用い、複数ドーズ機能の提供のためには投与装置の駆動ストロークを複数のサブストローク(sub-stroke)に分け、各サブストロークを1ドーズに対応付ける。
【0012】
図2と図4は少なくとも1つの開口部15を含む容器を示している。当該開口部は少なくとも1つのフィルター50をもつように作られ、当該フィルターはポンプ20の駆動が1回終わるたびに容器10の内部に入り込む空気をろ過する。通気口である開口部15は、効果的な構成として、容器10の側壁に形成されており、当該開口部はフィルター50の収容プロフィールを有し、当該フィルターは収容プロフィールの位置で前記容器10に、例えばスナップ留め、溶接、またはオーバーモールド成形される、としてもよい。
【0013】
図3と図4は、ネックシール18を含んだ容器10を示しており、当該ネックシールは容器10のネック19にオーバーモールド成形されている。この実施形では、容器10の上にポンプ20を組み立てる工程が単純になる。ネックシールが容器にオーバーモールド成形されていることにより、ネックシールの容器上の位置がすでに前もって決められているからである。効果的な構成として、容器10のネック19、具体的には容器10の上部径方向表面には、前記オーバーモールド成形されたシール18を保持するように作られた収容プロフィール17がある。
【0014】
この発明の1つの特別な効果は、多機能容器10が、成形もしくはインジェクションブロー成形によって単一部品から作られている、という点である。効果的な構成として、この容器は例えば熱可塑性プラスチック素材などの合成素材で作られる。オーバーモールド成形されたシールを容器が含む実施の形態において、当該シールは射出された熱可塑性エラストマー素材(TPE)で作ればよく、そうすれば、容器10とオーバーモールド形成されたシール18とを二重インジェクションブロー成形によって生成することも可能である。
【0015】
以上の説明のとおり、図1、図2と図3で示したこれら3つの実施の形態は必要に応じていかなる形で組み合わせてもよく、それによって、単一部品で作られていながら、同時に複数機能の実行が可能な単一部品多機能容器を提供することができる。組み合わせは特に図4に示してある。そのため、本発明は、流体製品投与装置の構成要素の数を制限できる。それによって本投与装置の製造及び組み立ては単純化され、従ってコストは下がる。
【0016】
ここまで、本発明について、その特定の実施の形態を参照しながら説明してきたが、明らかなように、本発明は前記実施の形態により限定されるものではない。それどころか、当業者であれば、添付された請求の範囲に規定された本発明の範囲を逸脱しない形で、本発明に多くの有用な変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態による流体製品投与装置の水平断面を部分的に示す概略図である。
【図2】図1と同様な図で、本発明の第2の実施の形態を示す図である。
【図3】図1と図2と同様な図で、本発明の第3の実施の形態を示す図である。
【図4】図1乃至3と同様の概略図で、図1乃至3の実施の形態が組み込まれた投与装置を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体製品投与装置であって、
流体製品が貯蔵された容器(10)と、
前記容器に貯蔵されている流体を投与する、例えばポンプまたは弁などの投与ユニット(20)と、
そして、前記投与ユニット(20)を手動で駆動するための投与ヘッド(30)と、を有し、
特徴となるのは、
前記容器(10)は単一部品で作られた多機能容器であり、
(a)少なくとも1つの開口部(15)であって、投与ユニット(20)が駆動される度に容器内(10)に入りこむ空気をろ過するフィルター(50)を少なくとも1つ保持するように作られた前記開口部と、
(b)前記容器(10)のネック(19)の上にオーバーモールド成形されたネックシール(18)と、のうち少なくとも1つの要素を有することである、
という流体製品投与装置。
【請求項2】
さらに前記容器は少なくとも1つの第1の径方向の突起(11)を有し、当該第1の径方向の突起は前記投与ヘッド(30)と協働することによって、前記ヘッド(30)が引き離されるのを防ぐこと、
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
さらに前記容器(10)は少なくとも1つの第2の径方向の突起(12)を有し、当該第2の径方向の突起は前記投与ヘッド(30)と協働し、当該ヘッド(30)に関して駆動時の休止位置(stop)を規定し、従って投与装置の駆動プロフィールを形作り、前記少なくとも1つの第2の径方向の突起(12)は少なくとも1つの第1の径方向の突起(11)から軸方向に間隔を置いた位置にあること、
を特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのフィルター(50)は前記少なくとも1つの開口部(15)に収容され、当該フィルターは前記容器(10)にスナップ留め、溶接、もしくはオーバーモールド成形されていること、
を特徴とする請求項の1乃至3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのフィルター(50)を保持するように作られた前記少なくとも1つの開口部(15)は、前記容器(10)の側壁に形成されること、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記容器(10)は熱可塑性プラスチック素材などの合成素材のインジェクションブロー成形によって生成されること、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記オーバーモールド成形されたネックシール(18)は射出した熱可塑性エラストマー素材(TPE)であり、容器(10)とオーバーモールド成形されたネックシール(18)とは、二重インジェクションブロー成形によって生成されること、
を特徴とする請求項の1乃至6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
容器(10)の上部径方向表面は、前記オーバーモールド成形されたシール(18)を保持するように作られた収容プロフィール(17)を有すること、
を特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−509010(P2007−509010A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536140(P2006−536140)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【国際出願番号】PCT/FR2004/050506
【国際公開番号】WO2005/040010
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(502343252)バルワー エス.アー.エス. (144)
【Fターム(参考)】