説明

流入排水制御装置、流入排水制御方法および流入排水制御プログラム

【課題】設備操作に要する判断時間を短縮化することを課題とする。
【解決手段】前記課題を解決するために、本発明の流入排水制御装置1は、流入排水槽51,54の計測情報である設備計測情報を用いて、流入排水施設の設備を制御する流入排水制御装置であって、気象情報の予測値である予測気象情報713を収集する情報収集部11と、設備計測情報を入力する入力部15と、予測気象情報713および設備計測情報を蓄積する蓄積部14と、予測気象情報713と、予め設定された流入遅延時間および予め設定された気象情報による流入排水槽への流入変化情報123とに基づいて、流入排水槽51の将来の情報である予測水量情報80を予測演算する予測演算部16と、予測水量情報80を出力する出力部17と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流入排水制御装置、流入排水制御方法および流入排水制御プログラム等の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
雨水排水施設における排水ポンプには、エンジンポンプやガスタービンポンプが使用される。近年は、高効率化と排水量増加に対応するため、エンジンポンプからガスタービンポンプに変わってきている。このガスタービンポンプは、一度停止されると排気ガス温度が一定値以下に下がらないと再起動することができない。また、これら排水ポンプは、電源を入れてから実際に運転が開始されるまでに数分はかかる。このように、排水ポンプの起動や停止には、5分〜30分を必要とするのが現状である。
【0003】
このような状況下、近年見られる都市型ゲリラ豪雨が発生すると、降雨を検知してから排水ポンプの電源を入れても排水が間に合わず、数分の間に雨水排水施設のポンプ井が雨水により溢れてしまう事態となる。
したがって、雨水排水施設の運用者は、積乱雲と降水量の状況把握による排水ポンプの起動タイミングと、雨水排水施設への雨水の流入量と排水量の状況把握による排水ポンプの停止タイミングとに十分注意して運用する必要がある。
【0004】
そのため、ゲリラ豪雨時の排水ポンプの運転は、過去の経験に基づく雨水の流入量、雨水排水施設に設置された雨量計が示す値および天気予報から、人の五感に頼った判断により行われている。また、流入元である上流設置の流量計や雨量計による制御での排水ポンプの運転も、人為判断で実施している。
しかし、この雨水の流入量の異常状態は、年数回程度しか発生せず、情報を得るための計測装置の維持管理費、運用人材確保について運用基盤強化のために改善が求められている。
【0005】
従来技術としては、過去の降雨量の時系列データから降雨の変動を取得し流入量を予測する手法(例えば、特許文献1)、降雨強度計の情報に合致する予測パターンから流入量を予測する手法(例えば、特許文献2)、予め設定された対象流域の雨量計を用いて施設への流入遅延時間を考慮して流入量を予測する手法(例えば、特許文献3)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−266072号公報
【特許文献2】特開2007−47108号公報
【特許文献3】特開2010−196369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これらに開示された技術では、過去のデータに基づいてモデルを構築し、そのモデルに従って将来の予測をしているため、通常の気象状況ではないゲリラ豪雨や台風といった状況下では、毎回変わるパターンに対応するのが困難であり、改善が求められていた。また、対象流域に雨量計を設置する手法は、施設外の計測装置の維持管理費用が掛かり、現実的ではないという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、設備操作に要する判断時間を短縮する流入排水制御装置、流入排水制御方法および流入排水制御プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の流入排水制御装置は、流入排水槽の計測情報である設備計測情報を用いて、流入排水施設の設備を制御する流入排水制御装置であって、気象情報の予測値である予測気象情報を収集する情報収集部と、前記設備計測情報を入力する入力部と、前記予測気象情報および前記設備計測情報が蓄積される蓄積部と、前記予測気象情報と、予め設定された流入遅延時間および予め設定された気象情報による前記流入排水槽への流入変化情報とに基づいて、前記流入排水槽の将来の情報である予測水量情報を予測演算する予測演算部と、前記予測水量情報を出力する出力部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、設備操作に要する判断時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る雨水排水施設と雨雲検知から河川排水までの全体を説明するための図である。
【図2】実施形態に係る雨水排水施設および流入排水制御装置の構成を示す図である。
【図3】実施形態に係る流入排水制御装置における予測演算部の予測水位算出について説明するための図であり、(a)は、気象情報のうちの10分後予測雨量の一例を示す図である。(b)は、10分後予測雨量および現在雨量によるポンプ井の予測上昇水位の一例を示す図である。(c)は、ポンプ排水量および予測排水量の一例を示す図である。(d)は、ポンプ井水位および予測水位の一例を示す図である。
【図4】実施形態に係る流入排水制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】変形例に係る取水施設と雨雲検知から河川排水までの全体を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
図1は、実施形態に係る雨水排水施設50と雨雲検知から河川排水までの全体を説明するための図である。
積乱雲等の雨雲から降った雨は、側溝等を伝って雨水管路60に流れ込み、最終的に雨水排水施設(流入排水施設)50のポンプ井(流入排水槽)51に溜められ、排水ポンプ52で河川61に排水される。
前述したように、近年の都市型ゲリラ豪雨等による計画排水量を短時間で超える雨水流入に対しては、事前に排水ポンプ52を起動させる必要がある。また、あまり早く排水ポンプ52を起動させても、空運転できる時間は決まっているため、起動する適切なタイミングを知る必要がある。
【0013】
流入排水制御装置1は、この適切なタイミングを知るために、ポンプ井51に流入する雨水の流入量およびポンプ井51の水位を予測するものである。水位や流入量の予測には、気象庁の気象情報71を利用する。気象情報71は、気象観測所70から専用回線またはインターネット網を介して、気象情報配信会社73に送られる。流入排水制御装置1は、この気象情報71を、インターネット網を介して取得する。
【0014】
図2は、実施形態に係る雨水排水施設50および流入排水制御装置1の構成を説明する図である。
図2に示すように、雨水排水施設50では、雨水管路60を伝って流れてきた雨水は、ポンプ井51に溜められる。ポンプ井51に溜まった雨水は、排水ポンプ52により排水され、排水槽(流入排水槽)54に送られる。吐出弁53は、排水ポンプ52が停止した時に排水した雨水が逆流しないようにする逆止弁である。排水槽54に溜まった雨水は、河川61へ放流される。
【0015】
また、雨水排水施設50は、排水ポンプ52や吐出弁53を動かすために電源遮断を行うMCCB(Molded Case Circuit Breaker)41とMC(Magnet Contactor)42を備える動力盤40と、ポンプ井51の水位を計測するポンプ井水位計55と、排水槽54の水位を計測する排水槽水位計56と、排水ポンプ52の運転を制御する台数制御部20と、予測水位(予測水量情報)80を示す指示計31および警報を発する警報装置32を備える監視盤30と、を備えている。
【0016】
[流入排水制御装置1の構成]
次に、流入排水制御装置1の構成について引き続き図2を参照して説明する。
まず、概略を説明すると、図2に示すように、流入排水制御装置1は、予めフィルタ設定ファイル12aおよび演算設定ファイル12bを設定しておき、取得した気象情報71のうちから必要な情報を選択して取得し、演算により求めた予測水位(予測水量情報)80を出力するものである。
【0017】
流入排水制御装置1は、情報収集部11と、設定ファイル記憶部12と、フィルタ部13と、蓄積部14と、入力部15と、予測演算部16と、出力部17と、制御部18と、を備えている。
【0018】
情報収集部11は、気象情報71を取得するものである。気象情報71には、現在時刻711、拠点712、10分後予測雨量(予測気象情報)713、現在雨量(現在気象情報)714、現在潮位(現在気象情報)715、天候、気圧等の情報がある。
現在時刻711とは、現在雨量714や現在潮位715を観測した時刻であり、時分秒で表される。拠点712とは、レーダ雨量計の観測メッシュの各領域である。10分後予測雨量713とは、各拠点712における、現在時刻711から10分後までに予想される雨量である。現在雨量714とは、各拠点712における、10分前から現在時刻711までの雨量である。現在潮位715とは、現在時刻711の潮位(本発明の変形例で用いられる)である。
積乱雲等が発生すると、気象情報71が更新され、定期的に気象情報71が情報収集部11に送られてくる。
【0019】
設定ファイル記憶部12は、フィルタ設定ファイル12aおよび演算設定ファイル12bを記憶するものである。フィルタ設定ファイル12aは、後記するフィルタ部13で使用する設定値を格納するものである。演算設定ファイル12bは、後記する予測演算部16で使用する設定値を格納するものである。拠点121とは、雨水排水施設50に関連する拠点を予め設定したものである。流入遅延時間122とは、拠点からポンプ井51まで雨水が流れてくるのにかかる時間である。流入遅延時間122については、過去の経験則からおおよその時間が予めわかっている。雨量と水位変化の関係情報(気象情報による流入排水槽への流入変化情報)123とは、特定の拠点の雨量と、その雨水が流入したときのポンプ井51の水位の変化量との関係を、過去の経験則から予め設定したものである。例えば、拠点「2」において、雨量が「5mm」であれば、この雨水が流入したときにポンプ井51の水位は「5cm」上昇するというようなことが予めわかっている。Q−H特性カーブ124とは、ポンプ井および排水槽の水位からポンプ排水量を求めるための情報であり、ポンプ特性に依存するものである。警報閾値125とは、警報を発する水位の閾値であり、予め設定される。
【0020】
フィルタ部13は、情報収集部11が取得した気象情報71のうちから必要な情報を選択して取得するものである。フィルタ部13は、フィルタ設定ファイル12aを参照し、気象情報71から一致するものを選択して取得する。例えば図2に示すように、フィルタ設定ファイル12aに、拠点、10分後予測雨量、現在雨量、現在潮位が設定されているため、フィルタ部13は、これらの情報を気象情報71から選択して取得する。
【0021】
蓄積部14は、フィルタ部13が取得した情報を蓄積するものである。また、蓄積部14は、後記する入力部15が取得した情報も蓄積する。蓄積する時系列データは、少なくとも数十分可能である。
入力部15は、ポンプ井51の水位であるポンプ井水位、排水槽54の水位である排水槽水位およびMC−AUX(AUXiliary)(接触器動作接点)43を介して接続される複数の排水ポンプ52等(図示せず)の状態を把握する信号を取得するものである。ポンプ井水位は、秒単位で蓄積部14に蓄積される。
【0022】
予測演算部16は、ポンプ井水位、排水槽水位、10分後予測雨量713、現在雨量714、流入遅延時間122、雨量と水位変化の関係情報123およびQ−H特性カーブ124から、予想されるポンプ井51の上昇水位である予測水位80を予測演算するものである。詳細は後記する。
【0023】
出力部17は、予測水位80を指示計31に出力するものである。また、出力部17は、予測水位80が警報閾値125を超えた場合には、予測水位80を警報装置32に出力し、警報装置32は、警報を発したり、対応する機器への自動運転信号等を出力したりする。
また、出力部17は、予測水位80を台数制御部20へ出力し、台数制御部20は、この予測水位80に基づいて、MC42を入切させることで排水ポンプ52の運転台数を制御する。
【0024】
[予測水位算出方法]
次に、予測演算部16における予測水位算出方法について、図3を参照して説明する。
図3(a)は、気象情報71のうちの10分後予測雨量713の一例を示す図である。横軸は時間、縦軸は10分後予測雨量である。現在時刻が時刻「15:30」の気象情報71が、情報収集部11に送られてきた状況であるとする。符号101は、現在時刻が時刻「15:30」の10分後予測雨量であり、「15mm」である。なお、10分後予測雨量は、定期的に送られてくる。
【0025】
図3(b)は、10分後予測雨量および現在雨量によるポンプ井51の予測上昇水位の一例を示す図である。横軸は時間、縦軸は予測上昇水位である。演算設定ファイル12bには、拠点が「2」の流入遅延時間は、「5分」と設定されている。また、雨量と水位変化の関係情報は、「y=10x」である。ここで、xは、雨量、yは、予測上昇水位とする。このグラフでは、簡単のため、過去に算出された予測上昇水位を考慮していない。すなわち、時刻「15:30」に得られた10分後予測雨量および現在雨量によるもののみ図示している。なお、過去に算出された予測上昇水位を考慮するときは、足し合わせる等すればよい。
【0026】
予測演算部16は、時刻「15:30」の時点において、10分後予測雨量「15mm」と、雨量と水位変化の関係情報「y=10x」とから、10分後予測雨量によるポンプ井の予測上昇水位103「15cm」を算出する。この予測上昇水位103の時刻は、10分後の雨量であることと、流入遅延時間「5分」であることから、現在時刻「15:30」から15分後の時刻「15:45」となる。このようにして、予測上昇水位103が定まる。
【0027】
次に、予測演算部16は、時刻「15:30」の時点において、時刻「15:30」における現在雨量「5mm」と、雨量と水位変化の関係情報「y=10x」とから、現在雨量によるポンプ井の予測上昇水位102「5cm」を算出する。この予測上昇水位102の時刻は、現在の雨量であることと、流入遅延時間「5分」であることから、現在時刻「15:30」から5分後の時刻「15:35」となる。このようにして、予測上昇水位102が定まる。
【0028】
次に、予測演算部16は、予測上昇水位102と予測上昇水位103の時刻の前後の時刻の予測上昇水位を線形補間等によって算出する。なお、排水ポンプの起動や停止に5分〜30分を必要とするため、予測演算部16は、30分程度先の予測上昇水位まで算出する。
【0029】
図3(c)は、ポンプ排水量および予測排水量の一例を示す図である。横軸は時間、縦軸はポンプ排水量である。予測演算部16は、ポンプ井水位および排水槽水位と、Q−H特性カーブと、排水ポンプ運転台数とから、ポンプ排水量を算出する。また、予測演算部16は、過去一定の時間のポンプ排水量のデータから線形補間等により、将来のポンプ排水量である予測排水量を算出する。
【0030】
図3(d)は、ポンプ井水位および予測水位80の一例を示す図である。予測演算部16は、予測上昇水位から予想されるポンプ井51への流入量である予測流入量を算出し、この予測流入量から予測排水量を減算し、得られた結果を水位変化に変換し、この水位変化に現在のポンプ井水位を加算することで、予測水位80を算出する。なお、流入または排水した量と水位の変化との変換は、ポンプ井の水平断面積を用いる等して求められる。また、予測演算部16は、ポンプ排水量から水位変化を算出し、予測上昇水位からこの水位変化を減算することによって、予測水位80を算出してもよい。
また、以上の説明では、簡単のため、拠点121は、1か所としたが、拠点が複数か所であっても、予測上昇水位を足し合わせる等すればよい。
【0031】
なお、流入排水制御装置1は、図示を省略したCPU(Central Processing Unit)やメモリを搭載した一般的なコンピュータで実現することができる。このとき、流入排水制御装置1は、コンピュータを、前記した各機能部として機能させる流入排水制御プログラムによって動作する。また、流入排水制御装置1は、IC(Integrated Circuit)やLSI(Large Scale Integration)等のハードウェア回路で実現してもよい。
【0032】
[流入排水制御装置1の動作]
次に、流入排水制御装置1の動作について図4(構成は適宜図2)を参照して説明する。
図4のフローチャートに示すように、ステップS11において、情報収集部11は、気象情報71を取得する。
ステップS12において、フィルタ部13は、フィルタ設定ファイル12aに予め設定された情報を、気象情報71から選択して取得する。取得した情報は、蓄積部14に蓄積される。
ステップS13において、入力部15は、ポンプ井51および排水槽54の水位を取得する。取得したポンプ井51および排水槽54の水位は、蓄積部14に蓄積される。
【0033】
ステップS14において、予測演算部16は、10分後予測雨量713と、流入遅延時間122と、雨量と水位変化の関係情報123とを参照して、予測上昇水位を算出する。また、予測演算部16は、現在雨量714と、流入遅延時間122と、雨量と水位変化の関係情報123とを参照して、予測上昇水位を算出する。さらに、予測演算部16は、算出した予測上昇水位の時刻の前後の予測上昇水位を線形補間によって算出する。
ステップS15において、予測演算部16は、予測上昇水位を基に、ポンプ井51への予測流入量を算出する。
【0034】
ステップS16において、予測演算部16は、過去のポンプ排水量を基に、予測排水量を算出する。
ステップS17において、予測演算部16は、予測流入量および予測排水量を基に、ポンプ井51の予測水位80を算出する。
ステップS18において、制御部18は、予測水位80が予め設定した閾値を超えたか否かを判定する。
【0035】
予測水位80が予め設定した閾値を超えない場合は(ステップS18・No)、制御部18は、ステップS11に戻って、処理を続ける。
一方、予測水位80が予め設定した閾値を超えた場合は(ステップS18・Yes)、ステップS19において、出力部17は、警報信号を出力する。
以上により、この処理は、終了する。
【0036】
本実施形態により、突発的なゲリラ豪雨の急激な雨水流入に対応するために、排水ポンプを適切なタイミングで起動や停止をすることができる。
また、従来、様々な要因を考慮して人為判断により緊急機器操作を行っていたが、予測水位や予測流入量といった最小限の情報提供により、人為判断材料の縮減による判断時間の短縮化が図られる。
【0037】
また、施設外の計測装置の代替手段を公の情報である気象庁情報に集約することで、施設外の計測装置の定期点検等の維持管理費用の軽減化、予測誤差の縮小を図ることができる。
また、予測水位と予め設定した閾値との判定にて、対応する機器への自動運転信号を出力することで、施設運用者の緊急操作時の負荷軽減を図ることができる。
【0038】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、例えば次のように変更することができる。
【0039】
図5は、取水施設50Bと雨雲検知から河川排水までの全体を説明するための図である。
図5に示すように、河口近郊の取水施設50Bにおいては、台風や津波による潮位変化の際、塩水取水防止のための取水ゲート57やローラゲート(図示せず)を開閉する操作を人為判断で実施している。
潮位の情報は、気象衛星72によるデータを基に気象情報71に、現在潮位715として格納される。この現在潮位715を基に、将来の潮位を予測し、塩分測定62と合わせて、取水ゲート57の開閉操作を適切なタイミングで行うことができる。
【0040】
また、本発明の実施形態では、フローチャートのステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。
【0041】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 流入排水制御装置
11 情報収集部
12 設定ファイル記憶部
12a フィルタ設定ファイル
12b 演算設定ファイル
13 フィルタ部
14 蓄積部
15 入力部
16 予測演算部
17 出力部
18 制御部
20 台数制御部
30 監視盤
31 指示計
32 警報装置
40 動力盤
50 雨水排水施設(流入排水施設)
50B 取水施設(流入排水施設)
51 ポンプ井(流入排水槽)
52 排水ポンプ
53 吐出弁
54 排水槽(流入排水槽)
55 ポンプ井水位計
56 排水槽水位計
57 取水ゲート
60 雨水管路
61 河川
70 観測所
71 気象情報
72 気象衛星
73 気象情報配信会社
80 予測水位(予測水量情報)
102 予測上昇水位
103 予測上昇水位
121 拠点
122 流入遅延時間
123 雨量と水位変化の関係情報(気象情報による流入排水槽への流入変化情報)
124 Q−H特性カーブ
125 警報閾値
711 現在時刻
712 拠点
713 10分後予測雨量(予測気象情報)
714 現在雨量(現在気象情報)
715 現在潮位(現在気象情報)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入排水槽の計測情報である設備計測情報を用いて、流入排水施設の設備を制御する流入排水制御装置であって、
気象情報の予測値である予測気象情報を収集する情報収集部と、
前記設備計測情報を入力する入力部と、
前記予測気象情報および前記設備計測情報が蓄積される蓄積部と、
前記予測気象情報と、予め設定された流入遅延時間および予め設定された気象情報による前記流入排水槽への流入変化情報とに基づいて、前記流入排水槽の将来の情報である予測水量情報を予測演算する予測演算部と、
前記予測水量情報を出力する出力部と、
を有することを特徴とする流入排水制御装置。
【請求項2】
前記予測演算部は、前記予測気象情報と、予め設定された流入遅延時間および予め設定された気象情報による前記流入排水槽への流入変化情報とに基づいて、前記流入排水槽の将来の上昇水位である予測上昇水位を算出し、前記算出した予測上昇水位の時刻の前後の前記予測上昇水位を補間して算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の流入排水制御装置。
【請求項3】
前記予測演算部は、現在気象情報と、予め設定された流入遅延時間および予め設定された気象情報による前記流入排水槽への流入変化情報とに基づいて、前記流入排水槽の将来の上昇水位である予測上昇水位を算出し、前記予測気象情報から算出した前記予測上昇水位と前記現在気象情報から算出した前記予測上昇水位の時刻の前後の前記予測上昇水位を補間して算出する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の流入排水制御装置。
【請求項4】
前記気象情報は、雨量または潮位である
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の流入排水制御装置。
【請求項5】
前記予測演算部は、ポンプ井の水位であるポンプ井水位と、排水槽の水位である排水槽水位と、ポンプ排水量を計算するためのQ−H特性カーブとを用いて、ポンプ井のポンプ排水量を算出する
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の流入排水制御装置。
【請求項6】
前記出力部は、予め設定した閾値と前記予測水量情報を比較し、前記予測水量情報が前記閾値を超える場合は、警報信号を出力する
ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の流入排水制御装置。
【請求項7】
流入排水槽の計測情報である設備計測情報を用いて、流入排水施設の設備を制御する流入排水制御装置における流入排水制御方法であって、
前記流入排水制御装置の制御部は、
気象情報の予測値である予測気象情報を収集し、
前記設備計測情報を入力部を介して入力し、
前記予測気象情報および前記設備計測情報を蓄積し、
前記予測気象情報と、予め設定された流入遅延時間および予め設定された気象情報による前記流入排水槽への流入変化情報とに基づいて、前記流入排水槽の将来の情報である予測水量情報を予測演算し、
前記予測水量情報を出力する
ことを特徴とする流入排水制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の流入排水制御方法をコンピュータに実行させるための流入排水制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−172320(P2012−172320A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32749(P2011−32749)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】