説明

流動体処理方法及びその装置

【課題】 高精度で撹拌が出来しかも生産性の高い、シンプルな構造の流動体処理方法を提供する。
【解決手段】 本願発明に係る方法は、被処理流動体に圧力を付与して導入部から導入すると共に、密封された流体通路中に配置されると共に互いに対向して当該通路の一部を構成する第1処理用面1及び第2処理用面2の少なくとも2つの処理用面と、両処理用面1,2を圧接する接面圧力付与機構とを用い、両処理用面1,2間にて、被処理流動体の撹拌の処理を行う。第1及び第2の少なくとも一方の処理用面に開口する、導入部とは別の供給通路から被処理流動体を導入し、第1処理用面1と第2処理用面2とは、上記接面圧力付与機構によって互いに圧接或いは近接された状態にされ、一方の処理用面の回転にて、被処理流動体が、第1処理用面1と第2処理用面2との間に流体膜を形成しながら両処理用面1,2間を通過することで、両被処理流動体について、所望の撹拌を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、分散乳化装置及び分散乳化方法に関し、詳しくは、塗料、インク、磁性体、セラミック、電池、接着剤、電子材料、液晶カラーフィルター、医薬品、化粧品、香料、食品などの、所望の懸濁物、乳化物、固体粒子、高分子溶液、スラリー等被処理流動体を得るのに適した分散乳化装置及び分散乳化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塗料、インク、磁性体、セラミック、電池、接着剤、電子材料、液晶カラーフィルター、医薬品、化粧品、香料、食品などの製造装置には、メディアミルと総称される分散装置が広く利用されている。この分散装置は、メディアと呼ばれるビーズやサンド、ボールなどの媒体が充填された分散室に、被処理流動体を投入し攪拌操作を行うことにより、被処理流動体にせん断力や衝撃力を与えて分散処理を行い、所望の分散状態を得るものである。
【0003】
ここで第一に問題になるのは、メディア同士間、メディアと装置の攪拌羽根との間、或いはメディアと容器内面との間の、磨耗によって、これらの一部が削られ、不純物として、被処理流動体内に混入する不都合である。また当然磨耗によって消耗した、メディアの補充、部品交換などが頻繁に発生し、手間やコストが掛かるものでもある。
【0004】
第二の問題について説明すると、より大きなせん断力を与えるために、またより小さい粒子径を求めるために、従来に比して粒径の小さなメディアの使用を必要とする場合が多々あり、例えば、直径が0.05mmや0.1mm程度の微小なメディアを使用する場合も見受けられ、相対的にメディア径の小さなものが求められる傾向にある。しかし、メディア径が小さくなればなるほどメディア一つ一つの質量が小さくなって被処理流動体の分散可能粘度域が狭まり、低粘度物しか対応できないものとなる。
【0005】
一方、このようなメディアミルの他にロールミルやコロイドミルが知られている。
コロイドミルは、上下ディスクの隙間に被処理流動体を通過させて、この被処理流動体にせん断力を与えるものである。この場合隙間は、間隙調整ハンドルで機械的に決定されるが、装置の物理的な精度から、実質数十ミクロン以上でしか調整できない(十ミクロン以下の調整は不可能であった)。また、これ以上隙間を狭めると回転軸の熱膨張や芯振れなどによる、ディスク同士の接触にて、大事故につながる恐れがある。
【0006】
ロールミルは、速度の違う2本もしくは3本のロールを異なる方向に回転させて被処理流動体にせん断力を与えるものである。これらのロール間の隙間は、機械的に調整される。この場合もコロイドミル同様に数十ミクロン以下の隙間調整が難しくロール間の圧力を調整するために適切なクラウンを取る必要があり作業に熟練を要しかつ危険を伴う。また装置自体が開放状態であり蒸発性の高い溶剤を含む被処理流動体には、不向きである。そしてコロイドミルもロールミルも被処理流動体にせん断力を効率良く与えるにはその大きな隙間に依存するため高粘度であることが条件となる。
【0007】
その他、高速回転式ホモジナイザーや高圧式ホモジナイザーも知られているが前者は、プレ分散装置として使用されており精密分散には不向きである。また、後者は、オリフィス部の磨耗や細管での詰まりや、更に増圧ポンプのシール磨耗など、工業設備として問題が多いことが知られている。
【0008】
このため、不純物の混入がなく、被処理流動体の適応粘度域が広く且つ被処理流動体に対して大きなせん断力を与えられると共に、高い精度で分散、乳化、破砕が可能な分散装置の開発が切望されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明は、上記事情に基づいてなされたものであり、メカニカルシールにおける軸封の機構を、分散や乳化のための手段として利用するという独創的な発想により、高精度で分散、乳化、破砕が出来しかも生産性の高い、シンプルな構造の分散乳化装置を提供することを可能とし、上記問題の解決を図る。
即ち、本願発明は、不純物の混入を防止することができると共に高精度の分散、乳化、破砕が可能な分散乳化装置を提供することを目的とする。
【0010】
特に、本願発明は、相対的に回転する少なくもと2つの処理用面間の間隔を所定の微小間隔に設定することができ、大きなせん断力を被処理流動体に与えることができる分散乳化装置を提供することを目的とする。
また、本願発明は、被処理流動体の適応粘度領域が広い分散乳化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願第1の発明は、次の流体処理方法を提供する。
即ちこの製造方法は、被処理流動体に圧力を付与して導入部から導入すると共にこの圧力を受けた被処理流動体が流される密封された流体流路に、第1処理用面1及び第2処理用面2 の少なくとも2つの相対的に接近離反可能な処理用面を接続し、両処理用面1,2 を接近させる接面圧力を付与し、更に、第1及び第2の少なくとも一方の処理用面に開口する、導入部とは別の供給通路から被処理流動体を導入し、第1処理用面1と第2処理用面2とを相対的に回転させ且つこれらの処理用面1,2間に被処理流動体を通過させて、被処理流動体の分散乳化又は攪拌処理を行うものである。少なくとも導入部から導入された被処理流動体に付与した上記の圧力を両処理用面1,2を離反させる離反力とし、当該離反力と上記接面圧力とを、処理用面1,2間の被処理流動体を介して均衡させることにより、両処理用面1,2間を微小間隔に維持し、導入部から導入された被処理流動体と供給通路から導入された被処理流動体とを流体膜として両処理用面1,2間を通過させ、これらの被処理流動体の分散乳化又は攪拌を行う。
【0012】
本願第2の発明は、次の流体処理方法を提供する。
即ち、この製造方法は、被処理流動体に圧力を付与して導入部から導入すると共にこの圧力を受けた被処理流動体が流される密封された流体流路に、第1処理用面1及び第2処理用面2 の少なくとも2つの相対的に接近離反可能な処理用面を接続し、両処理用面1,2 を接近させる接面圧力を付与し、更に、第1及び第2の少なくとも一方の処理用面に開口する、導入部とは別の供給通路から被処理流動体を導入し、第1処理用面1と第2処理用面2とを相対的に回転させ且つこれらの処理用面1,2間に被処理流動体を通過させて、被処理流動体の攪拌処理を行うものである。少なくとも導入部から導入された被処理流動体に付与した上記の圧力を両処理用面1,2を離反させる離反力とし、当該離反力と上記接面圧力とを、処理用面1,2間の被処理流動体を介して均衡させることにより、両処理用面1,2間を微小間隔に維持し、導入部から導入された被処理流動体と供給通路から導入された被処理流動体とを流体膜として両処理用面1,2間を通過させ、これらの被処理流動体の攪拌を行う。
【0013】
本願第3の発明は、上記本願第1又は第2の発明にあって、上記導入部より、反応性の高い被処理流動体を導入することを特徴とする流動体処理方法を提供する。
【0014】
本願第4の発明は、上記本願第1乃至3の何れかの発明にあって、上記供給通路より、導入部から導入された当該被処理流動体と違った物質を導入することを特徴とする流動体処理方法を提供する。
【0015】
本願第5の発明は、上記本願第1乃至4の何れかの発明にあって、上記供給通路より、導入部から導入される当該被処理流動体の一部を導入することを特徴とする流動体処理方法を提供する。
【0016】
本願第6の発明は、上記本願第1乃至5の何れかの発明にあって、次の構成を採る流動体処理方法を提供する。
即ち、この製造方法は、上記の被処理流動体への所定の圧力を付与は、流体圧付与機構にて行い、被処理流動体が流される密封された流体流路に設けられると共に、夫々互いに対向する位置に上記の第1処理用面1及び第2処理用面2の少なくとも2つの処理用面を備える、第1処理用部10と第1処理用部10を用い、回転駆動機構により、第1処理用部10と第2処理用部20とを相対的に回転させることにより、上記の通り第1処理用面1と第2処理用面2とを相対的に回転させ、第1処理用部10と第2処理用部20のうち少なくとも第2処理用部20に、受圧面を設け、且つ、この受圧面の少なくとも一部を第2処理用面2により構成し、受圧面にて、流体圧付与機構が流動体に付与する圧力を受けて第1処理用面1 から第2処理用面2を離反させる方向に移動させる力を発生させることを特徴とする。
【0017】
本願第7の発明は、上記本願第1乃至6の何れかの発明にあって、第1処理用面(1)及び第2処理用面(2)の少なくとも一方の、微振動やアライメントを調整する緩衝機構を用いることを特徴とする流動体処理方法を提供する。
【0018】
本願第8の発明は、上記本願第1乃至7の何れかの発明にあって、第1処理用面1及び第2処理用面2の一方又は双方の、磨耗などによる軸方向の変位を調整して、両処理用面1,2間の流体膜の膜厚を維持することを可能とする変位調整機構を用いることを特徴とする流動体処理方法を提供する。
【0019】
本願第9の発明では、上記本願第6乃至8の何れかの発明にあって、流体圧付与機構が、分散乳化又は攪拌の処理を施す被処理流動体に、一定の送り込み圧を掛けるコンプレッサなどの加圧装置であることを特徴とする流動体処理方法を提供する。
【0020】
本願第10の発明では、上記本願第1乃至9の何れかの発明にあって、上記の第1処理用面1と第2処理用面2との間の最大間隔を規定し、それ以上の両処理用面1,2の離反を抑止する離反抑止部を用いることを特徴とする流動体処理方法を提供する。
【0021】
本願第11の発明では、上記本願第1乃至10の何れかの発明にあって、上記の第1処理用面1と第2処理用面2との間の最小間隔を規定し、それ以上の両処理用面1,2の近接を抑止する近接抑止部を備えることを特徴とする流動体処理方法を提供する。
【0022】
本願第12の発明では、上記本願第1乃至11の何れかの発明にあって、第1処理用面1と第2処理用面2の双方を、互いに逆の方向に回転させるものであることを特徴とする流動体処理方法を提供する。
【0023】
本願第13の発明では、上記本願第1乃至12の何れかの発明にあって、上記第1処理用面1と第2処理用面2の一方或いは双方の温度を調整する、温度調整用のジャケットを用いることを特徴とする流動体処理方法を提供する。
【0024】
本願第14の発明では、上記本願第1乃至13の何れかの発明にあって、上記第1処理用面1及び第2処理用面2の一方或いは双方の少なくとも一部は、鏡面加工されたものであることを特徴とする流動体処理方法を提供する。
【0025】
本願第15の発明では、上記本願第1乃至14の何れかの発明にあって、上記第1処理用面1及び第2処理用面2の一方或いは双方は、凹部を備えたものであることを特徴とする流動体処理方法を提供する。
【0026】
本願第16の発明では、上記本願第1乃至15の何れかの発明にあって、両処理用面(1) (2)間に接面圧力を付与する接面圧力付与機構を用いることにより、接面圧力を付与しつつ相対的に回転する第1処理用面(1) と第2処理用面(2)との間に、導入部から導入される所定圧力の被処理流動体と、供給通路から導入される被処理流動体とを通すものであることを特徴とする流動体処理方法を提供する。
【0027】
本願第17の発明では、上記本願第6乃至16の何れかの発明にあって、次の構成を採る流動体処理方法を提供する。
即ち、この製造方法は、第1処理用部10と第2処理用部20のうち少なくとも第2処理用部20は、受圧面を備えるものであり、且つ、この受圧面の少なくとも一部が第2処理用面2により構成され、受圧面は、流体圧付与機構が被処理流動体に付与する圧力を受けて第1処理用面1から第2処理用面2を離反させる方向に移動させる力を発生させ、更に、第2処理用部20は、第2処理用面2と反対側を向く近接用調整面24を備えるものであり、近接用調整面24は、被処理流体に掛けた所定の圧力を受けて第1処理用面1に第2処理用面2を接近させる方向に移動させる力を発生させ、この近接用調整面24の面積A1と、第2処理用部20の上記受圧面の面積A2との面積比A1/A2を、バランス比Kとし、当該バランス比Kにより、被処理流動体から受ける全圧力の合力として、第1処理用面1に対する第2処理用面2の離反方向へ移動する力が決まるものであることを特徴とする。
【0028】
本願第18の発明は、次の構成を採る流動体処理装置を提供する。
即ちこの装置は、被処理流動体の導入部と、被処理流動体に圧力を付与する流体圧付与機構と、この圧力を受けた被処理流動体が流される、密封された流体流路に設けられた第1処理用部10と第1処理用部10に対して相対的に接近離反可能な第2処理用部20の少なくとも2つの処理用部と、これらの処理用部10,20において互いに対向する位置に設けられた第1処理用面1及び第2処理用面2の少なくとも2つの処理用面と、第1処理用部10と第2処理用部20とを相対的に回転させる回転駆動機構と、上記導入部とは別の供給通路とを備え、両処理用面1,2間にて、被処理流動体の攪拌の処理を行うものである。第1処理用部10と第2処理用部20のうち少なくとも第2処理用部20は、受圧面を備えるものであり、且つ、この受圧面の少なくとも一部が第2処理用面2により構成され、る。受圧面は、流体圧付与機構が流動体に付与する圧力を受けて第1処理用面1から第2処理用面2を離反させる方向に移動させる力を発生させる。供給通路は、第1及び第2の少なくとも一方の処理用面に開口する。接近離反可能且つ相対的に回転する第1処理用面1と第2処理用面2との間に、導入部から導入された所定圧力の被処理流動体と、供給通路にて他から投入される被処理流動体とが通され、これらの被処理流動体が流体膜を形成しながら両処理用面1,2間を通過して、攪拌される。
【発明の効果】
【0029】
本願第1乃至第18の発明は、導入部とは別に、供給通路を設け、当該供給通路を通じて他より、第1処理用面と第2処理用面との間の被処理流動体に直接違った物質または、被分断流動体の一部を投入することができる。
特に、反応性の高い被処理流動体を取り扱う場合に有効である。
即ち、本願第1乃至第18の発明は、処理を施す被処理流動体に対して、所望とする別途の物質や被処理流動体を、適宜混入することを可能として、装置の利用の範囲を広範なものとした。
また、高精度で分散、乳化、攪拌、破砕が出来しかも生産性の高い、シンプルな構造の処理装置及び処理方法を提供し得た。
即ち、メカニカルシールにおける軸封の機構を、分散や乳化、攪拌のための手段として利用することにより、高精度で分散、乳化、攪拌、破砕が出来しかも生産性の高い、シンプルな構造の処理装置及び処理方法を提供し得た。
特に、上気本願発明の実施によって、被処理流動体の送り込み圧力(流体圧)や、コンプレッションリング(第2処理用部)の背圧またメイティングリング(第1処理用部)の回転などで被処理流動体の粘度域に制限を受けず、被処理流動体膜の厚みを微小量から調整でき、従来の装置では、不可能であった数nm(ナノメートル)程度の超微粒子の処理をも可能としかつ、微振動やアライメント、軸方向変位など緩衝装置を設けているため不純物など発生無くして高度な分散状態を得ることが出来る。また簡単な機構であるため、装置の制御に熟練を要せず、無人化、自動化も容易であり、装置は安定稼動し生産性が高く安価に製作できる。
【0030】
特に、本願第7の発明では、緩衝機構を備えたフローティング構造を用いることにより、芯振れなどのアライメントを吸収し、接触による磨耗などを原因とする事故の危険性を排除することができる。
また、本願第8の発明では、上記の変位調整機構にて、第1処理用面及び第2処理用面の間隔を保ち、流体膜の膜厚を所定の厚みに維持することにより、長期に渡って、均一な高品質の処理を行うことが可能となった。
更に、本願第9の発明では、第1処理用面と第2処理用面との間の隙間を調整できるので、これにて上記の流体膜の厚みの調整が可能である。従って、当該調整にて所望の処理を選択し得る。
また、本願第10の発明では、第1処理用面と第2処理用面との間の隙間が必要以上に広がることを防止し、均一な分散や乳化の処理を確実且つ円滑に行うことを可能とした。
更にまた、本願第11では、第1処理用面と第2処理用面との間の隙間が必要以上に狭まることを防止し、処理を確実且つ円滑に行うことを可能とした。
特に、本願第12の発明では、第1処理用面と第2処理用面の双方を互いに逆の方向に回転させるとによって、より大きな剪断力を発生させることが可能となり、より微小なオーダーの分散や乳化を可能とし、また、より均一な高品質の処理を効率良く行うことを可能とした。
また、本願第13の発明では、温度調整用のジャケットにて、第1処理用面及び第2処理用面の一方或いは双方を、処理を行うのに適した温度に加熱或いは冷却することを可能として、より能率良くまた、精度の高い処理を可能とした。
そして、本願第14の発明では、鏡面加工にて、第1処理用面及び第2処理用面間における上記の処理をより高精度に行うことを可能とし、またより微細な分散や乳化の処理を実現し得た。
更に、本願第15の発明では、第1処理用面又は第2処理用面或いはその双方に凹部を形成することにより、攪拌能力を高めて、より効率的な処理を可能とし、また回転時凹部に動圧が発生することにより非接触で回転し確実に流体膜を形成する。
又更に、本願の第16の発明に係る分散乳化装置にあって、両処理用面間には、接面圧力付与機構により接面圧力が付与され、且つ、相対的に接近離反可能であると同時に回転する第1処理用面と第2処理用面との間に被処理流動体を通過させる。その結果、処理流動体により両処理用面間を離反させる方向に加えられる力と、接面圧力付与機構によって両処理用面間に付与される接面圧力とが均衡し、両処理用面間の間隔が所定の微小間隔に保たれるものであり、被処理流動体は流体膜を形成しながら両処理用面間を通過する。
上記の接面圧力付与機構については、第1処理用面と第2処理用面とを近接させる方向に力を加えるものであり、スプリング、空気圧又は油圧等の流体圧(正圧)の加圧装置、被処理流動体に掛けた所定の圧力受けて両処理用面を接近させる方向に働く接近用の受圧面の、少なくとも何れか一つにより構成することができる。
一方、このような接面圧力付与機構の押圧力(接面圧力)に抗する両処理用面を離反させる離反力としては、第1或いは第2処理用面などの被処理流動体に掛けた所定の圧力を離反方向に働かせる受圧面において受けた当該圧力、第1処理用面と第2処理用面とを相対的に回転させることによって生じた遠心力、空気圧又は油圧等の流体圧(負圧)を利用した吸引装置による吸引力、比処理流動体の粘性などを掲げることができる。
本願第17の発明では、上記のバランス比の設定により、被処理流動体に掛けた所定の圧力のうち、接面圧力付与機構による押圧力として作用するものと、離反力として作用するものとの、大小を決定することができる。
被処理流動体は、上記の接面圧力と離反力の均衡の上で、被処理流動体は所定の微小厚さを有する流動体(即ち、流体膜)を形成して、両処理用面間を通過するものであり、所定膜厚を示すように上記諸条件を調整することにより、両処理用面間の間隔が所定の微小間隔に保たれた状態となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面に基づき本願発明の実施の形態について説明する。
図1及び図2(A)へ本願発明の一実施の形態を示す。この図1は、本願発明に係る装置の一部切欠縦断面図である。図2(A)は、図1に示す分散乳化装置の要部略縦断面図である。
説明の便宜上、各図中、Uは上方を、Sは下方を示している。
先ず、装置の構成について説明する。
この装置は、被処理流動体に対する、ミクロン単位からナノメータ単位の微小なオーダーの分散や乳化の処理に適したものであり、液体同士、液体と固体(粉体)、固体(粉体)同士、気体と液体、或いは、気体と固体(粉体)について、上記の分散や乳化の処理を施すのに適したものである。
図1に示す通り、この分散乳化装置は、第1ホルダ11(メイティングリングホルダ)と、第1ホルダ11の前方(上方)に配置された第2ホルダ21(コンプレッションリングホルダ)と、第2ホルダ21と共に第1ホルダ11を覆うケース3と、流体圧付与機構Pと、接面圧付与機構4とを備える。
以下各部の構成について、順に説明する。
【0032】
第1ホルダ11には、第1処理用部10と、回転軸50と、攪拌羽根6とが設けられている。
第1処理用部10は、メイティングリングと呼ばれる金属製の環状体であり、鏡面加工された第1処理用面1を備える。
回転軸50は、第1ホルダ11の中心にボルトなどの固定具51にて固定されたものであり、その後端が電動機などの回転駆動装置5(回転駆動機構)と接続され、回転駆動装置5の駆動力を第1ホルダ11に伝えて、当該第1ホルダ11を回転させる。第1処理用部10は、回転軸50と同心に第1ホルダ11前部(上端)へ取り付けられ、回転軸50の回転にて、上記第1ホルダ11と一体となって回転する。また、攪拌羽根6は、プレ攪拌(分散乳化の前処理)を行うために設けられたものであり、第1ホルダ11前部(上面)において、環状の第1処理用部10の内側に、回転軸50と同心となるように第1ホルダ11に軸止されている。
【0033】
第1ホルダ11の前部(上面)には、第1処理用部10を受容することが可能な受容部が設けられており、当該受容部内にOリングと共に第1処理用部10をはめ込むことにて、第1ホルダ11への第1処理用部10の上記取付けが行われている。更に、第1処理用部10は、回り止めピン12にて、第1ホルダ11に対して回転しないように固定されている。但し回り止めピン12に代え、焼き嵌めなどの方法にて、回転しないように固定するものとしても良い。
上記の第1処理用面1は、第1ホルダ11から露出して、第2ホルダ21側を臨む。この第1処理用面1は、第1ホルダ11にはめ込まれてから、研磨やラッピング、ポリッシングなどの鏡面加工を施すのが好ましい。
第1処理用部10の材質は、セラミックや焼結金属、耐磨耗鋼、その他金属に硬化処理を施したものや、硬質材をライニングやコーティング、メッキなどを施工したものを採用する。特に、回転するため、軽量な素材にて第1処理用部10を形成するのが望ましい。
【0034】
上記のケース3は、軸挿通口31と、排出部32とを備えた有底の容器であり、その内部空間30に、上記の第1ホルダ11を収容する。軸挿通口31は、ケース3の底部中央に設けられ、ケース3の内外を連絡する貫通口であり、上記の回転軸50を挿通するものである。ケース3外部(下方)に配置された回転駆動装置5から上記の軸挿通口31を通じて回転軸50先端をケース3内部に挿通せしめ、上記の通りケース3内の第1ホルダ11と回転軸50とを接続する。
【0035】
第2ホルダ21には、第2処理用部20と、被処理流動体の導入部22と、接面圧力付与機構4とが設けられている。
第2処理用部20は、コンプレッションリングと呼ばれる金属製の環状体であり、鏡面加工された第2処理用面2と、第2処理用面2の内側に位置して当該第2処理用面2に隣接する受圧面23(以下離反用調整面23と呼ぶ。)とを備える。図示の通り、この離反用調整面23は、傾斜面である。第2処理用面2に施す鏡面加工は、第1処理用面1と同様の方法を採用する。また、第2処理用部20の素材についても、第1処理用部10と同様のものを採用する。離反用調整面23は、環状の第2処理用部20の内周面25と隣接する。
【0036】
第2ホルダ21の底部(下部)には、収容部40が形成され、その収容部40内に、上記のOリングと共に第2処理用部20が受容されている。また、回り止め45にて、第2処理用部20は、第2ホルダ21に対して回転しないよう、受容されている。上記の第2処理用面2は、第2ホルダ21から露出する。
第2ホルダ21は、図1に示すように、ケース3の開口部(上部)に配置されて当該開口部を覆い、周知の密閉手段33にて、ケース3の内部空間30を密閉する。この状態において、第2処理用面2は、ケース3内にて、第1処理用部10の第1処理用面1と対面する。
【0037】
流体圧付与機構Pは、第2ホルダ21の外部(上部)において、上記の導入部22と接続されている。この流体圧付与機構Pは、分散や乳化の処理を施す被処理流動体に、一定の送り込み圧を掛けるコンプレッサなどの加圧装置である。
【0038】
接面圧力付与機構4は、第1処理用面1に対して第2処理用面2を、圧接又は近接した状態に押圧するものであり、この接面圧力と流体圧力(被処理流動体の流体圧)等の両処理用面1、2間を離反させる力との均衡によって、上記の所定膜厚の流体膜を発生させる(言い換えれば、両処理用面1、2間の間隔を所定の微小間隔に保つ)。
具体的には、この実施の形態において、接面圧力付与機構4は、上記の収容部41と、収容部41の奥に(最深部)に設けられた発条受容部42と、スプリング43と、エア導入部44とにて構成されている。
但し、接面圧力付与機構4は、上記収容部41と、上記発条受容部42と、スプリング43と、エア導入部44の少なくとも、何れか1つを備えるものであればよい。
【0039】
収容部41は、収容部42内の第2処理用部20の位置を深く或いは浅く(上下に)変位することが可能なように、第2処理用部20を遊嵌している。
上記のスプリング43の一端は、発条受容部42の奥に当接し、スプリング43の他端は、収容部42内の第2処理用部20の前部(上部)と当接する。図1において、スプリング43は、1つしか現れていないが、複数のスプリング44にて、第2処理用部20の各部を押圧するものとするのが好ましい。即ち、スプリング43の数を増やすことによって、より均等な押圧力を第2処理用部20に与えることができるからである。従って、第2ホルダ21については、スプリング43が数本から数十本取付けられたマルチ型とするのが好ましい。
【0040】
この実施の形態において、上記の通りエア導入部44にて他から、空気を収容部42内に導入することを可能としている。このような空気の導入により、収容部42と第2処理用部20との間を加圧室として、スプリング43と共に、空気圧を押圧力として第2処理用部20に与えることができる。従って、エア導入部44から導入する空気圧を調整することにて、運転中に(第1処理用面1に対する第2処理用面2の)接面圧力を調整することが可能である。尚空気圧を利用するエア導入部44の代わりに、油圧などの他の流体圧にて押圧力を発生させる機構を利用しても実施可能である。
接面圧力付与機構4は、上記の押圧力(接面圧力)の一部を供給し調節する他、変位調整機構と、緩衝機構とを兼ねる。
詳しくは、接面圧力付与機構4は、変位調整機構として、始動時や運転中の軸方向への伸びや磨耗による軸方向変位にも、空気圧の調整によって追従し、当初の押圧力を維持できる。また、接面圧力付与機構4は、上記の通り、第2処理用部20を変位可能に保持するフローティング機構を採用することによって、微振動や回転アライメントの緩衝機構としても機能するのである。
【0041】
以上の構成を備えた第1の実施の形態に係る分散乳化装置にあっては、次の作用により、分散や乳化の処理がなされる。
まず、分散や乳化の処理を施す被処理流動体が、流体圧付与機構Pから一定の送圧を受けて、密閉されたケース3の内部空間へ、導入部22より導入される。他方、回転駆動装置5(回転駆動機構)によって、第1処理用部10が回転する。これにより、第1処理用面1と第2処理用面2とは微小間隔を保った状態で相対的に回転する。
ケース3の内部空間に導入された被処理流動体は、微小間隔を保った両処理用面1,2間で、流体膜となり、第1処理用面1の回転により第2処理用面2との間で剪断を受けることにて分散や乳化が施される。ここで、第1処理用面1と第2処理用面2とは、1μmから1mm(特に、1μmから10μm)の微小間隔に調整されることにより、数nm単位の超微粒子の分散をも可能とする。
処理された被処理流動体は、両処理用面1,2間を経て、排出部32から排出される。
尚、攪拌羽根6は、上記被処理流動体の送圧を受けて第1ホルダ11に対して回転し、上記の両処理用面1,2間における処理に先立ち、被処理流動体のプレ分散を行う。
【0042】
上記のように、第1処理用面1と第2処理用面2とは、機械的なクリアランスの設定では不可能とされたμm単位の微小間隔に調整され得るものであるが、そのメカニズムを次に説明する。
第1処理用面1と第2処理用面2とは、相対的に接近離反可能であり、且つ相対的に回転する。この例では、第1処理用面1が回転し、第2処理用面2が軸方向に摺動して第1処理用面に対して接近離反する。
よって、この例では、第2処理用面2の軸方向位置が、力(前述の接面圧力と離反力)のバランスによって、μm単位の精度で設定されることにより、両処理用面1,2間の微小間隔の設定がなされる。
【0043】
接面圧力としては、接面圧力付与機構4において、エア導入部44から正圧(空気圧)を付与した場合の当該圧力、スプリング43の押圧力を挙げることができる。
他方、離反力としては、離反側の受圧面(即ち、第2処理用面2及び離反用調整面23)に作用する流体圧と、第1処理用部1の回転による遠心力と、エア導入部44に負圧を掛けた場合の当該負圧とを挙げることができる。
そして、これらの力の均衡によって、第2処理用面2が第1処理用面1に対して所定の微小間隔を隔てた位置にて安定することにより、μm単位の精度での設定が実現する。
【0044】
離反力をさらに詳しく説明する。
まず、流体圧に関しては、密閉された流路中にある第2処理用部20は、流体圧付与機構Pから被処理流動体の送り込み圧力(流体圧)を受ける。その際、流路中の第1処理用面に対向する面(第2処理用面2と離反用調整面23)が離反側の受圧面となり、この受圧面に流体圧が作用して、流体圧による離反力が発生する。
次に、遠心力に関しては、第1処理用部10が高速にすると、流体に遠心力が作用し、この遠心力の一部は両処理用面1,2を互いに遠ざける方向に作用する離反力となる。
更に、上記のエア導入部44から負圧を(第2処理用部20へ)与えた場合には、当該負圧が離反力として作用する。
以上、本願の説明においては、第1第2の処理用面1,2を互いに離反させる力を離反力として説明するものであり、上記の示した力を離反力から排除するものではない。
【0045】
上述のように、密閉された被処理流動体の流路において、処理用面1,2 間の被処理流動体を介し、離反力と、接面圧力付与機構4が奏する接面圧力とが均衡した状態を形成することにより、両処理用面1,2 間に、分散・乳化の処理を行うのに適した流体膜を形成する。このように、この分散乳化装置は、処理用面1,2間に強制的に流体膜を介することにより、従来の機械的な分散装置では、機械的変形により不可能であった微小な間隔を、両処理用面1,2維持するを可能として、高精度な分散乳化の処理を実現したのである。
【0046】
言い換えると処理用面1,2 間における流体膜の膜厚は、上述の離反力と接面圧力の調整により、所望の厚みに調整し、必要とする分散乳化の処理を行うことができる。従って、流体膜の厚みを小さくしようとする場合、離反力に対して相対的に接面圧力が大きくなるように、接面圧力或いは離反力を調整すればよく、逆に流体膜の厚みを大きくようとすれば、接面圧力に対して相対的に離反力が大きくなるように、離反力或いは接面圧力を調整すればよい。
接面圧力を増加させる場合、接面圧力付与機構4において、エア導入部44から正圧(空気圧)を付与し、又は、スプリング43を押圧力の大きなものに変更或いはその個数を増加させればよい。
離反力を増加させる場合、流体圧付与機構Pの送り込み圧力を増加させ、或いは第2処理用面2や離反用調整面23の面積を増加させ、またこれに加えて、第2処理用部20の回転を調整して遠心力を増加させ或いはエア導入部44からの負圧(空気圧)を付与すればよい。スプリング43は、伸びる方向に押圧力を発する押し発条としたが、縮む方向に力を発する引き発条として、接面圧力付与機構4の構成の一部又は全部とすることが可能である。
【0047】
さらに、接面圧力及び離反力の増加減少の要素として、上記の他に分散粒子の径や粘度などの被処理流動体の性状も加えることができ、このような被処理流動体の性状の調整も、上記の要素の調整として、行うことができる。
【0048】
なお、離反力のうち、離反側の受圧面(即ち、第2処理用面2及び離反用調整面23)に作用する流体圧は、メカニカルシールにおけるオープニングフォースを構成する力として理解される。
メカニカルシールにあっては、第2処理用部20がコンプレッションリングに相当するが、この第2処理用部20に対して流体圧が加えられた場合に、第2処理用部2を第1処理用部1から離反する力が作用する場合、この力がオープニングフォースとされる。
より詳しくは、上記の第1の実施の形態のように、第2処理用部20に離反側の受圧面(即ち、第2処理用面2及び離反用調整面23)のみが設けられている場合には、送り込み圧力の全てがオープニングフォースを構成する。なお、 第2処理用部20の背面側にも受圧面が設けられている場合(具体的には、後述する図2(B)及び図9の場合)には、送り込み圧力のうち、離反力として働くものと接面圧力として働くものとの差が、オープニングフォースとなる。
【0049】
ここで、図2(B)を用いて、第2処理用部20の他の実施の形態について説明する。
図2(B)に示す通り、この第2処理用部20の収容部41より露出する部位であり且つ内周面側に、第2処理用面2と反対側(上方側)を臨む近接用調整面24が設けられている。
即ち、この実施の形態において、接面圧力付与機構4は、収容部41と、エア導入部44と、上記近接用調整面24とにて構成されている。但し、接面圧力付与機構4は、上記収容部41と、上記発条受容部42と、スプリング43と、エア導入部44と、上記近接用調整面24の少なくとも、何れか1つを備えるものであればよい。
【0050】
この近接用調整面24は、被処理流体に掛けた所定の圧力を受けて第1処理用面1に第2処理用面2を接近させる方向に移動させる力を発生させ、近接用接面圧力付与機構4の一部として、接面圧力の供給側の役目を担う。一方第2処理用面2(と前述の離反用調整面23と)は、被処理流体に掛けた所定の圧力を受けて第1処理用面1から第2処理用面2を離反させる方向に移動させる力を発生させ、離反力(の一部について)の供給側の役目を担うものである。
近接用調整面24と、第2処理用面2(及び離反用調整面23)とは、共に前述の被処理流動体の送圧を受ける受圧面であり、その向きにより、上記接面圧力の発生と、離反力の発生という異なる作用を奏する。
【0051】
この近接用調整面24の面積A1と、第2処理用部20の第2処理用面2と離反側受圧面23との合計面積A2との面積比(A1/A2)は、バランス比Kと呼ばれ、上記のオープニングフォースの調整に重要である。
近接用調整面24の先端と離反側受圧面23の先端とは、共に環状の第2調整用部20の内周面25(先端線L1)に規定されている。このため、近接用調整面24の基端線L2をどこに置くかの決定で、バランス比の調整が行われる。
即ち、この実施の形態において、被処理用流動体の送り出しの圧力をオープニングフォースとして利用する場合、第2処理用面2及び離反用調整面23との合計面積を、近接用調整面24の面積より大きいものとすることによって、その面積比率に応じたオープニングフォースを発生させることができる。
【0052】
上記のオープニングフォースについては、上記バランスライン、即ち近接用調整面24の面積A1を変更することで、被処理流動体圧力(流体圧)により調整できる。
摺動面実面圧P(接面圧力のうち流体圧によるもの)は次式で計算される。
P=P1×(K−k)+Ps
ここでP1は、被処理流動体の圧力(流体圧)を示し、Kは上記のバランス比を示し、kはオープニングフォース係数を示し、Psはスプリング及び背圧力を示す。
この(バランスラインの調整により)摺動面実面圧Pを調整することで処理用面1,2間を所望の微小隙間量(隙間幅)にし被処理流動体による流動体膜を形成させ所望のせん断力を与え分散、乳化、破砕などを行うのである。
【0053】
通常、両処理用面1,2間の流体膜の厚みを小さくすれば、分散・乳化粒子の径を小さくすることができる。逆に、当該流体膜の厚みを大きくすれば、分散・乳化粒子の径が大きくなる。従って、上記の摺動面実面圧P(以下面圧P)の調整により、両処理用面1,2間の間隔(隙間)を調整して、所望の径の分散・乳化粒子を得ることができる。
この関係を纏めると、上記の粒子の径を大きくする場合、バランス比を小さくし、面圧Pを小さくし、上記隙間を大きくして、上記膜厚を大きくすればよい。逆に、上記の粒子の径を小さくする場合、バランス比を大きくし、面圧Pを大きくし、上記隙間を小さくし、上記膜厚を小さくする。
このように、接面圧力付与機構4の一部として、近接用調整面24を形成して、そのバランスラインの位置にて、接面圧力の調整、即ち処理用面間の隙間を調整するものとしても実施可能である。
【0054】
上記の隙間の調整には、既述の通り、他に、前述のスプリング43の押圧力や、エア導入部44の空気圧を考慮して行う。また、流体圧即ち被処理流動体の送り圧力の調整や、更に、第1処理用部10(第1ホルダ11)の回転(遠心力)の調整(も、重要な調整の要素(パラメータ)である。
上述の通り、この装置は、第2処理用部20と、第2処理用部20に対して回転する第1処理用部10とについて、被処理流動体の送り込み圧力と当該回転遠心力、また接面圧力で圧力バランスを取り両処理用面に所定の流体膜を形成させ所望のせん断力を被処理流動体に与える構成にしている。またリングの少なくとも一方をフローティング構造とし芯振れなどのアライメントを吸収し接触による磨耗などの危険性を排除している。
【0055】
この図2(B)の実施の形態においても、上記の調整用面を備える以外の構成については、図1に示す実施の形態と同様である。
また、図2(B)に示す実施の形態において、図9に示すように、上記の離反側受圧面23を設けずに実施することも可能である。この場合、上記のバランス比Kは、近接用調整面24の面積A1と、第2処理用部20の第2処理用面2の面積A2との、面積比(A1/A2)となる。
図2(B)や図9に示す実施の形態のように、近接用調整面24を設ける場合、近接用調整面24の面積A1を上記の面積A2よりも大きいものとすること、即ちメカニカルシールにおけるアンバランス型とすることにより、オープニングフォースを発生させずに、逆に、被処理流動体に掛けられた所定の圧力は、全て接面圧力として働くことになる。このような設定も可能であり、この場合、他の離反力を大きくすることにより、両処理用面1,2を均衡させることができる。
【0056】
上記の実施の形態において、既述の通り、スプリング43は、摺動面(処理用面)に均一な応力を与える為に、取付け本数は、多いほどよい。但し、このスプリング43については、図3(A)へ示すように、シングルコイル型スプリングを採用することも可能である。これは、図示の通り、中心を環状の第2処理用部20と同心とする1本のコイル型スプリングである。
第2処理用部20と第2ホルダ21との間のシールには、既述の通りOリングを用いるのがよいが、このようなOリングに代え、或いはOリングと共に、図3(B)へ示すベローズ26や、図3(C)へ示すダイアフラム27を設けても実施可能である。
【0057】
図4に示すように、第2ホルダ21には、第2処理用面2(第2処理用部20)とを、冷却或いは加熱して、その温度を調整することが可能な温度調整用ジャケット46が設けられている。また、ケース3にも、同様の目的の温度調整用ジャケット35が設けられている。
第2ホルダ21の温度調整用ジャケット46は、第2ホルダ21内において、収容部41の側面に形成された水回り用の空間であり、第2ホルダ21の外部に通じる通路47,48と連絡している。通路47,48は、何れか一方が温度調整用ジャケット46に、冷却用或いは加熱用の媒体を導入し、何れか他方が当該媒体を排出する。
また、ケース3の温度調整用ジャケット35は、ケース3の外周を被覆する被覆部34にて、ケース3の外周面と当該被覆部34との間に設けられた、加熱用水或いは冷却水を通す通路である。
この実施の形態では、第2ホルダ21とケース3とが、上記の温度調整用のジャケットを備えるものとしたが、第1ホルダ11にも、このようなジャケットを設けて実施することが可能である。
【0058】
接面圧力付与機構4の一部として、図1及び図2に示す構成と共に、図5に示すシリンダ機構7を設けて実施することも可能である。
このシリンダ機構7は、第2ホルダ21内に設けられたシリンダ空間部70と、シリンダ空間部70を収容部41と連絡する連絡部71と、シリンダ空間部70内に収容され且つ連絡部71を通じて第2処理用部20と連結されたピストン体72と、シリンダ空間部70上部に連絡する第1ノズル73と、シリンダ空間部70下部に第2ノズル74と、シリンダ空間部70上部とをピストン体72との間に介された発条などの押圧体75とを備えたものである。
【0059】
ピストン体72は、シリンダ空間部70内にて上下に摺動可能であり、ピストン体72の当該摺動にて第2処理用部20が上下に摺動して、第1処理用面1と第2処理用面2との間の隙間を変更することができる。
具体的には、コンプレッサなどの圧力源(図示せず。)と第1ノズル73とを接続し、第1ノズル73からシリンダ空間部70内のピストン体72上方に空気圧(正圧)を掛けることにて、ピストン体72を下方に摺動させ、第2処理用部20を第1及び第2処理用面1,2間の隙間を狭める(閉じる方向に移動させる)ことができる。またコンプレッサなどの圧力源(図示せず。)と第2ノズル74とを接続し、第2ノズル74からシリンダ空間部70内のピストン体72下方に空気圧(正圧)を掛けることにて、ピストン体72を上方に摺動させ、第2処理用部20を第1及び第2処理用面1,2間の隙間を広げる(開く方向に移動させる)ことができる。このように、ノズル73,74にて得た空気圧で、接面圧力を調整できるのである。
【0060】
収容部41内における第2処理用部20の上部と、収容部41の最上部との間に余裕があっても、ピストン体7がシリンダ空間部70の最上部70aと当接するよう設定することにより、このシリンダ空間部70(の最上部70a)が、両処理用面1,2間の隙間の幅の上限を規定する。即ち、ピストン体7とシリンダ空間部70の最上部70aとが、両処理用面1,2の離反を抑止する離反抑止部(両処理用面1,2間の隙間の最大開き量を規制する機構)として機能する。
【0061】
また、両処理用面1,2とが当接していなくても、ピストン体7がシリンダ空間部70の最下部70bと当接するよう設定することにより、このシリンダ空間部70(の最下部70b)が、両処理用面1,2間の隙間の幅の下限を規定する。即ち、ピストン体7とシリンダ空間部70の最下部70bとが、両処理用面1,2の近接を抑止する近接抑止部(両処理用面1,2間の隙間の最小開き量を規制する機構)として機能する。
このように上記隙間の最大及び最小の開き量を規制しつつ、ピストン体7とシリンダ空間部70の最上部70aとの間隔z1(換言するとピストン体7とシリンダ空間部70の最下部70bとの間隔z2)を上記ノズル73,74の空気圧にて調整する。
【0062】
ノズル73,74は、別個の圧力源に接続されたものとしてもよく、一つの圧力源を切り換えて(つなぎ換えて)接続するものとしてもよい。
また圧力源は、正圧を供給するものでも負圧を供給するものでも何れでも実施可能である。真空などの負圧源と、ノズル73,74とを接続する場合、上記の動作は反対になる。
前述の他の接面圧力付与機構4に代え或いは前述の接面圧力付与機構4の一部として、このようなシリンダ機構7を設けて、被処理流動体の粘度や性状によりノズル73,74に接続する圧力源の圧力や間隔z1,z2の設定を行い流動体液膜の厚みを所望値にしせん断力をかけ分散,乳化,破砕を行うことができる。特に、このようなシリンダ機構7にて、洗浄時や蒸気滅菌時など摺動部の強制開閉を行い洗浄や滅菌の確実性を上昇させることも可能とした。
【0063】
図6(A)〜(C)に示すように、第1処理用部10の第1処理用面1に、第1処理用部10の中心側から外側に向けて(径方向について伸びる)溝状の凹部13…13を形成して実施してもよい。この場合、図6(A)へ示すように、凹部13…13は、第1処理用面1上をカーブして或いは渦巻き状伸びるものとして実施可能であり、図6(B)へ示すように、個々の凹部13がL字状に屈曲するものであっても実施可能であり、また、図6(C)に示すように、凹部13…13fは真っ直ぐ放射状に伸びるものであっても実施可能である。
【0064】
また、図6(D)へ示すように、図6(A)〜(C)の凹部13は、第1処理用面1の中心側に向かう程深いものとなるように勾配をつけて実施するのが好ましい。また、溝状の凹部13は、連続したものの他、断続するものであっても実施可能である。
この様な凹部13を形成することにより被処理流動体の吐出量(供給量)の増加または発熱量の減少への対応や、キャビテーションコントロールなど効果がある。
上記の図6に示す各実施の形態において、凹部13は、第1処理用面1に形成するものとしたが、第2処理用面2に形成するものとしても実施可能であり、更には、第1及び第2の処理用面1,2の双方に形成するものとしても実施可能である。
【0065】
処理用面に、上記の凹部13やテーパを設けない場合、若しくは、これらを処理用面の一部に偏在させた場合、処理用面1,2(平滑部)の面粗度が被処理流動体(流体)に与える影響は、上記(凹部13を形成するもの)に比して、大きいものとなる。従って、このような場合、被処理流動体(流体)の微粒子が小さくなればなるほど、面粗度を下げる(きめの細かいものとする)必要がある。特にナノサイズの微粒子が対象となる場合その処理用面の面粗度については、既述の鏡面(鏡面加工を施した面)とするほうが所望のせん断力を与える上で有利である。
【0066】
図7に示すように、導入部22とは別に、第2処理用部20に第2処理用面2に開口する供給通路28を設け、当該供給通路28を通じて他より、第1処理用面1と第2処理用面2との間の被処理流動体(流体)に直接違った物質または、被分断流動体の一部を投入するものとしても実施可能である。このように構成した場合、プレ分散を省きたい場合や、反応性の高い被処理流動体を取り扱う場合に有効である。
【0067】
図1に示す実施の形態において、不動の第2処理用部20(第2ホルダ21)に対して、第1処理用部10(第1ホルダ11)が回転駆動装置5より回転力を受けて回転するものであった。この他、図8に示すように、第2ホルダ21を、別途の副回転駆動装置52へ別途の回動軸53(以下副回動軸53と呼ぶ。)を介して接続して、第1ホルダ11と逆方向に回転させるものとしても、より大きな剪断力を得る上で、効果的である。
この場合、前述の回転軸50と上記の副回転軸53とは、同心に配置される。そして。被処理流動体(流体)の導入部22は、副回転駆動装置52の内部及び副回転軸53に設けられた中空の通路として形成され、ロータリージョイント(図示せず。)を利用して、被処理流動体(流体)を、副回転駆動装置52の反対側(上方)より、第2処理用部20の中心へ放出する。このようにケース3内に導入されて両処理用面1,2間にて処理された被処理流動体は、排出部32より外部へ排出される。
【0068】
この図11に示す装置では、回転速度を上げて大きなせん断力を得ようとする場合、極めて有効である。またこの場合、第1ホルダ11と第2ホルダ21の回転の速さ(回転数)は、同じとしても、異なるものとしても何れでも実施可能である。
この図8に示す実施の形態では、攪拌用羽根6は、設けていない。
【0069】
図3乃至図8に示す実施の形態においても、特に明示した以外の構成については図1又は図2に示す実施の形態と同様である。
図1に示す実施の形態では、プレ分散を目的とする攪拌羽根6を有するものを示したが、この他、プレ分散としない場合は、このような攪拌羽根6を持たないものとしても実施可能である(図示しない)。但し、分散や乳化の処理の円滑のためには、プレ分散するもののほうが、そうでないものより好ましい。
【0070】
また、上記各実施の形態において、被処理流動体は、環状の第2処理用部2或いは第1処理用部10の内側から外側に移動するものとした。この他、処理される被処理流動体を第2処理用部2或いは第1処理用部10の外部からその内部へ移動させることによって、第1処理用面1と第2処理用面2との間を通過させるものとしてもよい(図示しない)。例えば、図1に示す装置の排出部を導入部として、導入部を排出部とするように変更して実施することも可能である。この場合、図1に示す排出部側から加圧する。但し、図1に示す導入部側から負圧で吸引するものとしても実施可能である。
【0071】
このように、被処理流動体の移動を、第2処理用部2或いは第1処理用部10の外部からその内部へ向けて行う場合、図6(E)に示すように、第1処理用部10の第1処理用面1に、第1処理用部10の外側から中心側に向けて伸びる溝状の凹部13…13を形成して実施することも可能である。このような図6(E)に示す凹部13…13を形成することにより、前述のバランス比については、100%以上のアンバランス型とするのが好ましい。この結果、回転時に、上記の溝状の凹部13…13に動圧が発生し、両処理用面1,2は確実に非接触で回転でき、接触による磨耗などの危険がなくなる。
この図6(E)に示す実施の形態において、被処理流体の圧力による離反力は、凹部13の内端13aにて発生する。
【0072】
また、上記の各実施の形態において、ケース3内は全て密封されたものとしたが、この他、第1処理用部10及び第2処理用部20の内側のみ密封され、その外側は開放されたものとしても実施可能である。即ち、第1処理用面1及び第2処理用面2との間を通過するまでは流路は密封され、被処理流動体は送圧を全て受けるものとするが、通過後は、流路は開放され処理後の被処理流動体は送圧を受けないものとしてもよい。
加圧装置は、既述のとおり、コンプレッサを用いて実施するのが好ましいが、常に被処理流動体に所定の圧力を掛けることが可能であれば、他の手段を用いて実施することも可能である。例えば、被処理流動体の自重(位置エネルギー)を利用して、常に一定の圧力を被処理流動体に付与するものとしても実施可能である。
【0073】
本願発明に係る分散乳化方法について総括すると、被処理流動体に所定の圧力を付与し、この所定の圧力のを受けた被処理流動体が流される密封された流体流路に、第1処理用面1及び第2処理用面2の少なくとも2つの接近離反可能な処理用面を接続し、両処理用面1,2を接近させる接面圧力を付与し、第1処理用面1と第2処理用面2とを相対的に回転させることにより、メカニカルシールにおいてシールに利用される流体膜を、被処理流動体を用いて発生させ、メカニカルシールと逆に(流体膜をシールに利用するのではなく)、当該流体膜を第1処理用面1及び第2処理用面2の間から敢えて漏らして、分散乳化の処理を両面間1,2にて、膜とされた被処理流動体に施し回収することを特徴とするものである。
このような画期的な分散乳化処理の方法により、従来困難とされた両処理用面1,2間の間隔を1μから1mmとする調整、特に、1〜10μとする調整を可能とした。
【0074】
上記の実施の形態に開示された装置は、以下の通りである。
まず第1に、この分散乳化装置は、被処理流動体に所定の圧力を付与する流体圧付与機構と、この所定圧力の被処理流動体が流される密封された流体流路に設けられた第1処理用部10と第1処理用部10に対して相対的に接近離反可能な及び第2処理用部20の少なくとも2つの処理用部と、これらの処理用部10,20において互いに対向する位置に設けられた第1処理用面1及び第2処理用面2の少なくとも2つの処理用面と、第1処理用部10と第2処理用部20とを相対的に回転させる回転駆動機構とを備える。両処理用面1,2間にて、被処理流動体の分散乳化の処理を行うものである。第1処理用部10と第2処理用部20のうち少なくとも第2処理用部20は所定のバランス比に設定された受圧面を備えるものであり、且つ、この受圧面の少なくとも一部が第2処理用面2により構成され、接近離反可能且つ相対的に回転する第1処理用面1と第2処理用面2との間に所定圧力の被処理流動体が通されることにより、上記被処理流動体が所定膜厚の流体膜を形成しながら両処理用面1,2間を通過することで、当該被処理流動体について、所望の分散乳化状態を得るものである。
ここで、分散又は乳化の処理とは、文字通り、分散や乳化を含むことは勿論、分散や乳化以外の攪拌や、粉砕も含むものである。
【0075】
上記の分散乳化装置は、第1処理用面1と第2処理用面2の間隔を、機械的に一定に保つという従来の方式とは全く異なる発想により、所定の微小間隔に設定するようにしたものである。
上記の通り、メカニカルシールに用いられ原理を利用して、受圧面を所定のバランス比に設定しておくことにより、被処理用流動体に掛けた所定の圧力を、第1処理用部10及び第2処理用部20の接近又は離反に作用させる。
受圧面として、第2処理用面2は、両処理用部を離反させる方向に、上記の所定の圧力を作用させる。
【0076】
第2処理用部20には、必要に応じて、第2処理用面2の他、第2処理用面2と反対側を臨む受圧面(近接用調整面)と、第2処理用面2と同じ側に形成された受圧面(離反用調整面)とを設定することができる。
この場合第2処理用面2と離反用調整面とは、被処理用流動体に掛けた所定の圧力を受けて、第1処理用部10に対して第2処理用部20を離反させる方向に移動させる力を発生する。但し不要であれば、上記の離反用調整面は、設けなくてもよい(ここで、離反用調整面を設ける場合は、第2処理用面2と離反用調整面の双方を纏めて離反用面と称する。離反用調整面を設けない場合、離反用面は、第2処理用面2そのものである)。
そして、近接用調整面は、被処理用流動体に掛けた所定の圧力を受けて、第1処理用部10に対して第2処理用部20を接近させる方向に移動する力を発生する(近接用調整面が複数ある場合、全近接用調整面を纏めて近接用面と呼ぶ。近接用調整面が1つの場合は、当該近接用調整面のみが近接用面である)。
この場合、このような両処理用部を接近させる方向に上記所定の圧力を働かせる近接用面の面積と、離反用面の面積との比(面積比)をバランス比と呼び、近接用面の面積を離反用面の面積よりも大きくすることによって、上記所定の圧力のうち両処理用部を接近する方に働く力を離反させる方に働く力よりも大きいものとすることができる。
逆に、離反用面の面積を近接用面の面積よりも大きくすることによって、上記所定の圧力のうち両処理用部を離反する方に働く力を接近させる方に働く力よりも大きいものとすることができる。
また、上記の近接用面を設けないことにより、上記所定の圧力を全て離反用面で受け、当該所定の圧力の全てを上記の離反に働く力とすることができる。
【0077】
これにて、他の要因によって生じた、両処理用部を接近させる力或いは離反させる力に対して、被処理用流動体に掛けた所定の圧力による両処理用部の接近又は離反の作用とを均衡させ、上記第1処理用面1と第2処理用面2との間に所望の微小な膜厚の流体膜を形成することができるのである。
即ち、このように、両処理用面1、2間を微小間隔に調整することにより、必要な大きさの剪断力を被処理流動体に付与することができる。その結果、従来得ることがでなかった精度の高い(均質な)分散乳化や、或いは、従来得ることができなかった微小なオーダーに調整された乳化或いは分散を、実現することも可能とした。即ち、被処理流動体に対して、両処理用面1,2間を通過する際、一定の微小隙間で大きなせん断力が与えられるものであり、二次凝集した微粒子を一次粒子に解砕し、また大きな結晶を微細化し、また油滴を微粒化し効率的に分散乳化が達成できる。よって、ロールミルやコロイドミルでは不可能であった、10ミクロン以下のオーダーに調整された、乳化或い分散状態の被処理流動体を得ることも可能となった。
しかも、従来のメディアミルのように被処理流動体中へメディアを投入することが不要となるため、不純物の混入を抑制することができる。
【0078】
第2に、上記において、第1処理用面1及び第2処理用面2の少なくとも一方の、微振動やアライメントを調整する緩衝機構を備えることを特徴とする分散乳化装置を開示する。
このように、緩衝機構を備えたフローティング構造を用いることにより、芯振れなどのアライメントを吸収し、接触による磨耗などを原因とする事故の危険性を排除することができる。
【0079】
第3に、上記において、第1処理用面1及び第2処理用面2の一方又は双方の、磨耗などによる軸方向の変位を調整して、両処理用面1,2間の流体膜の膜厚を維持することを可能とする変位調整機構を備えた分散乳化装置を開示する。
この変位調整機構にて、第1処理用面1及び第2処理用面2の間隔を保ち、流体膜の膜厚を所定の厚みに維持することにより、長期に渡って、均一な高品質の分散又は乳化を行うことが可能となった。
【0080】
第4に、上記において、被処理流動体に加える圧力の調整機構を備えたことを特徴とする分散乳化装置を開示する。
このように第1処理用面1と第2処理用面2との間の隙間を調整できるので、これにて上記の流体膜の厚みの調整が可能である。従って、当該調整にて所望の分散や乳化の処理を選択し得る。
【0081】
第5に、上記において、上記の第1処理用面1と第2処理用面2との間の最大間隔を規定し、それ以上の両処理用面1,2の離反を抑止する離反抑止部を備える分散乳化装置を開示する。
このため、第1処理用面1と第2処理用面2との間の隙間が必要以上に広がることを防止し、均一な分散や乳化の処理を確実且つ円滑に行うことを可能とした。
【0082】
第6に、上記において、上記の第1処理用面1と第2処理用面2との間の最小間隔を規定し、それ以上の両処理用面1,2の近接を抑止する近接抑止部を備える分散乳化装置を開示する。
これによって、第1処理用面1と第2処理用面2との間の隙間が必要以上に狭まることを防止し、均一な分散や乳化の処理を確実且つ円滑に行うことを可能とした。
【0083】
第7に、上記において、第1処理用面1と第2処理用面2の双方が、互いに逆の方向に回転するものである分散乳化装置を開示する。
このように、第1処理用面1と第2処理用面2の双方を互いに逆の方向に回転させるとによって、より大きな剪断力を発生させることが可能となり、より微小なオーダーの分散や乳化を可能とし、また、より均一な高品質の分散や乳化を効率良く行うことを可能とした。
【0084】
第8に、上記において、上記第1処理用面1と第2処理用面2の一方或いは双方の温度を調整する、温度調整用のジャケットを備える分散乳化装置を開示する。
このような温度調整用のジャケットにて、第1処理用面1及び第2処理用面2の一方或いは双方を、分散や乳化の処理を行うのに適した温度に加熱或いは冷却することを可能として、より能率良くまた、精度の高い分散や乳化の処理を可能とした。
【0085】
第9に、上記において、上記第1処理用面1及び第2処理用面2の一方或いは双方の少なくとも一部は、鏡面加工されたものである分散乳化装置を開示する。
【0086】
このような鏡面加工にて、第1処理用面1及び第2処理用面2間における上記分散や乳化の処理をより高精度に行うことを可能とし、またより微細な分散や乳化の処理を実現し得た。
【0087】
第10に、上記において、上記第1処理用面1及び第2処理用面2の一方或いは双方は、凹部を備えたものである分散乳化装置を開示する。
このように第1処理用面1又は第2処理用面2或いはその双方に凹部を形成することにより、攪拌能力を高めて、より効率的な分散や乳化の処理を可能とし、また回転時凹部に動圧が発生することにより非接触で回転し確実に流体膜を形成する。
【0088】
第11に、次の分散乳化装置を開示する。この装置は、被処理流動体に所定の圧力を付与する流体圧付与機構と、この所定圧力の被処理流動体が流される密封された流体流路に接続された第1処理用面1及び第2処理用面2の少なくとも2つの相対的に接近離反可能な処理用面と、両処理用面1,2間に接面圧力を付与する接面圧力付与機構と、第1処理用面1と第2処理用面2とを相対的に回転させる回転駆動機構と、を備えることにより、両処理用面1,2間にて、被処理流動体の分散乳化の処理を行うものである。そして、接面圧力が付与されつつ相対的に回転する第1処理用面1と第2処理用面2との間に所定圧力の被処理流動体が通されることにより、上記被処理流動体が所定膜厚の流体膜を形成しながら両処理用面1,2間を通過することで、当該被処理流動体について、所望の分散乳化状態を得るものである。
【0089】
この分散乳化装置にあっては、密封された流体流路に接続された第1処理用面11と第2処理用面12の間に、所定の圧力が付与された被処理流動体が通され、これにより、第1処理用面11と第2処理用面12とを離反させる力が作用する。他方、両処理用面1、2間には、接面圧力付与機構により接面圧力が付与され、且つ、相対的に接近離反可能であると同時に回転する第1処理用面1と第2処理用面2との間に被処理流動体を通過させる。その結果、処理流動体により両処理用面1、2間を離反させる方向に加えられる力と、接面圧力付与機構によって両処理用面1,2間に付与される接面圧力とが均衡し、両処理用面1、2間の間隔が所定の微小間隔に保たれるものであり、被処理流動体は流体膜を形成しながら両処理用面1、2間を通過する。
【0090】
上記の接面圧力付与機構については、第1処理用面1と第2処理用面2とを近接させる方向に力を加えるものであり、スプリング、空気圧又は油圧等の流体圧(正圧)の加圧装置、被処理流動体に掛けた所定の圧力受けて両処理用面1,2を接近させる方向に働く接近用の受圧面の、少なくとも何れか一つにより構成することができる。
【0091】
一方、このような接面圧力付与機構の押圧力(接面圧力)に抗する両処理用面1,2を離反させる離反力としては、第1或いは第2処理用面1,2などの被処理流動体に掛けた所定の圧力を離反方向に働かせる受圧面において受けた当該圧力、第1処理用面1と第2処理用面2とを相対的に回転させることによって生じた遠心力、空気圧又は油圧等の流体圧(負圧)を利用した吸引装置による吸引力、比処理流動体の粘性などを掲げることができる。
【0092】
上記のバランス比の設定により、被処理流動体に掛けた所定の圧力のうち、接面圧力付与機構による押圧力として作用するものと、離反力として作用するものとの、大小を決定することができる。
被処理流動体は、上記の接面圧力と離反力の均衡の上で、被処理流動体は所定の微小厚さを有する流動体(即ち、流体膜)を形成して、両処理用面1、2間を通過するものであり、所定膜厚を示すように上記諸条件を調整することにより、両処理用面1、2間の間隔が所定の微小間隔に保たれた状態となる。
【0093】
第12に、次の分散乳化方法を開示する。この方法は、被処理流動体に所定の圧力を付与し、この所定の圧力を受けた被処理流動体が流される密封された流体流路に、第1処理用面1 及び第2処理用面2の少なくとも2つの相対的に接近離反可能な処理用面を接続し、両処理用面1、2を接近させる接面圧力を付与し、第1処理用面1と第2処理用面2とを相対的に回転させ且つこれらの処理用面1、2 間に被処理流動体を通過させて、当該被処理流動体の分散乳化の処理を行うものであり、少なくとも被処理流動体に付与した上記の所定の圧力を両処理用面1、2 を離反させる離反力とし、当該離反力と上記接面圧力とを、処理用面1、2 間の被処理流動体を介して均衡させることにより、両処理用面1、2間を所定の微小間隔に維持し、被処理流動体を所定の厚みの流体膜として両処理用面1、2間を通過させて、所望の分散乳化状態を得るものである。
【0094】
上記第1〜12によって、不純物の混入がなく、被処理流動体の適応粘度域が広く且つ被処理流動体に対して大きなせん断力を与えられると共に、高い精度で分散、乳化、破砕が可能な分散乳化装置及び分散乳化方法を提供することを可能とした。高精度で分散、乳化、破砕が出来しかも生産性の高い、シンプルな構造の分散乳化装置及び分散乳化方法を提供し得た。
即ち、メカニカルシールにおける軸封の機構を、分散や乳化のための手段として利用することにより、高精度で分散、乳化、破砕が出来しかも生産性の高い、シンプルな構造の分散乳化装置及び分散乳化方法を提供し得た。
特に、上気本願発明の実施によって、被処理流動体の送り込み圧力(流体圧)や、コンプレッションリング(第2処理用部)の背圧またメイティングリング(第1処理用部)の回転などで被処理流動体の粘度域に制限を受けず、被処理流動体膜の厚みを微小量から調整でき、従来の装置では、不可能であった数nm(ナノメートル)程度の超微粒子の分散をも可能としかつ、微振動やアライメント、軸方向変位など緩衝装置を設けているため不純物など発生無くして高度な分散状態を得ることが出来る。また簡単な機構であるため、装置の制御に熟練を要せず、無人化、自動化も容易であり、装置は安定稼動し生産性が高く安価に製作できる。
上述の第1〜第12の装置及び方法について、別途の導入路を特定したものが本願発明である。
即ち、本願発明は、上記第1〜第12の装置及び方法において、上記の流体通路とは独立した別途の導入路を備え、上記第1処理用面11と第2処理用面12の少なくとも何れ一方に、上記の導入路に通じる開口部を備え、導入路から送られてきた移送物を、上記処理中の被処理流動体に導入することが可能なものである分散乳化装置を提供する。
このように、処理を施す被処理流動体に対して、所望とする別途の物質や被処理流動体を、適宜混入することを可能として、装置の利用の範囲を広範なものとした。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本願発明の一実施の形態に係る装置の一部切欠縦断面図である。
【図2】(A)は上記装置の要部略縦断面図であり、(B)は他の実施の形態の要部略縦断面図である。
【図3】(A)は更に他の実施の形態の要部略縦断面であり、(B)は又他の実施の形態の要部略縦断面図であり、(C)は又更に他の実施の形態の要部略縦断面図である。
【図4】更に又他の実施の形態の要部略縦断面図である。
【図5】又他の実施の形態の要部略縦断面図である。
【図6】(A)は更に他の実施の形態の要部略横断面であり、(B)は又他の実施の形態の要部略横断面図であり、(C)は又更に他の実施の形態の要部略横断面図であり、(D)は又他の実施の形態の一部切欠要部略縦断面図であり、(E)は更に他の実施の形態の要部略横断面である。
【図7】更に他の実施の形態の要部略縦断面図である。
【図8】又更に他の実施の形態の縦断面図である。
【図9】又更に他の実施の形態の要部略縦断面図である。
【符号の説明】
【0096】
1 第1処理用面
2 第2処理用面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理流動体に圧力を付与して導入部から導入すると共にこの圧力を受けた被処理流動体が流される密封された流体流路に、第1処理用面(1)及び第2処理用面(2) の少なくとも2つの相対的に接近離反可能な処理用面を接続し、両処理用面(1) (2) を接近させる接面圧力を付与し、更に、第1及び第2の少なくとも一方の処理用面に開口する、導入部とは別の供給通路から被処理流動体を導入し、
第1処理用面(1)と第2処理用面(2) とを相対的に回転させ且つこれらの処理用面(1) (2)間に被処理流動体を通過させて、被処理流動体の分散乳化又は攪拌処理を行うものであり、
少なくとも導入部から導入された被処理流動体に付与した上記の圧力を両処理用面(1)(2) を離反させる離反力とし、当該離反力と上記接面圧力とを、処理用面(1) (2) 間の被処理流動体を介して均衡させることにより、両処理用面(1) (2)間を微小間隔に維持し、導入部から導入された被処理流動体と供給通路から導入された被処理流動体とを流体膜として両処理用面(1) (2)間を通過させ、これらの被処理流動体の分散乳化又は攪拌を行うものであることを特徴とする流動体処理方法。
【請求項2】
被処理流動体に圧力を付与して導入部から導入すると共にこの圧力を受けた被処理流動体が流される密封された流体流路に、第1処理用面(1)及び第2処理用面(2) の少なくとも2つの相対的に接近離反可能な処理用面を接続し、両処理用面(1) (2) を接近させる接面圧力を付与し、更に、第1及び第2の少なくとも一方の処理用面に開口する、導入部とは別の供給通路から被処理流動体を導入し、
第1処理用面(1)と第2処理用面(2) とを相対的に回転させ且つこれらの処理用面(1) (2)間に被処理流動体を通過させて、被処理流動体の攪拌処理を行うものであり、
少なくとも導入部から導入された被処理流動体に付与した上記の圧力を両処理用面(1)(2) を離反させる離反力とし、当該離反力と上記接面圧力とを、処理用面(1) (2) 間の被処理流動体を介して均衡させることにより、両処理用面(1) (2)間を微小間隔に維持し、導入部から導入された被処理流動体と供給通路から導入された被処理流動体とを流体膜として両処理用面(1) (2)間を通過させ、これらの被処理流動体の攪拌を行うものであることを特徴とする流動体処理方法。
【請求項3】
上記導入部より、反応性の高い被処理流動体を導入することを特徴とする請求項1又は2記載の流動体処理方法。
【請求項4】
上記供給通路より、導入部から導入された当該被処理流動体と違った物質を導入することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の流動体処理方法。
【請求項5】
上記供給通路より、導入部から導入される当該被処理流動体の一部を導入することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の流動体処理方法。
【請求項6】
上記の被処理流動体への所定の圧力を付与は、流体圧付与機構にて行い、
被処理流動体が流される密封された流体流路に設けられると共に、夫々互いに対向する位置に上記の第1処理用面(1)及び第2処理用面(2)の少なくとも2つの処理用面を備える、第1処理用部(10)と第1処理用部(10)を用い、
回転駆動機構により、第1処理用部(10)と第2処理用部(20)とを相対的に回転させることにより、上記の通り第1処理用面(1)と第2処理用面(2) とを相対的に回転させ、
第1処理用部(10)と第2処理用部(20)のうち少なくとも第2処理用部(20)に、受圧面を設け、且つ、この受圧面の少なくとも一部を第2処理用面(2)により構成し、受圧面にて、流体圧付与機構が流動体に付与する圧力を受けて第1処理用面(1) から第2処理用面(2)を離反させる方向に移動させる力を発生させることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の流動体処理方法。
【請求項7】
第1処理用面(1)及び第2処理用面(2)の少なくとも一方の、微振動やアライメントを調整する緩衝機構を用いることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の流動体処理方法。
【請求項8】
第1処理用面(1)及び第2処理用面(2) の一方又は双方の、磨耗などによる軸方向の変位を調整して、両処理用面(1) (2)間の流体膜の膜厚を維持することを可能とする変位調整機構を用いることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の流動体処理方法。
【請求項9】
流体圧付与機構は、分散乳化又は攪拌の処理を施す被処理流動体に、一定の送り込み圧を掛けるコンプレッサなどの加圧装置であることを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載の流動体処理方法。
【請求項10】
上記の第1処理用面(1)と第2処理用面(2) との間の最大間隔を規定し、それ以上の両処理用面(1) (2)の離反を抑止する離反抑止部を用いることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の流動体処理方法。
【請求項11】
上記の第1処理用面(1)と第2処理用面(2) との間の最小間隔を規定し、それ以上の両処理用面(1) (2)の近接を抑止する近接抑止部を備えることを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の流動体処理方法。
【請求項12】
第1処理用面(1) と第2処理用面(2)の双方を、互いに逆の方向に回転させるものであることを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の流動体処理方法。
【請求項13】
上記第1処理用面(1)と第2処理用面(2)の一方或いは双方の温度を調整する、温度調整用のジャケットを用いることを特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の流動体処理方法。
【請求項14】
上記第1処理用面(1)及び第2処理用面(2)の一方或いは双方の少なくとも一部は、鏡面加工されたものであることを特徴とする請求項1乃至13の何れかに記載の流動体処理方法。
【請求項15】
上記第1処理用面(1)及び第2処理用面(2)の一方或いは双方は、凹部を備えたものであることを特徴とする請求項1乃至14の何れかに記載の流動体処理方法。
【請求項16】
両処理用面(1) (2)間に接面圧力を付与する接面圧力付与機構を用いることにより、接面圧力を付与しつつ相対的に回転する第1処理用面(1) と第2処理用面(2)との間に、導入部から導入される所定圧力の被処理流動体と、供給通路から導入される被処理流動体とを通すものであることを特徴とする請求項1乃至15の何れかに記載の流動体処理方法。
【請求項17】
第1処理用部(10)と第2処理用部(20)のうち少なくとも第2処理用部(20)は、受圧面を備えるものであり、且つ、この受圧面の少なくとも一部が第2処理用面(2)により構成され、受圧面は、流体圧付与機構が被処理流動体に付与する圧力を受けて第1処理用面(1) から第2処理用面(2)を離反させる方向に移動させる力を発生させ、
更に、第2処理用部(20)は、第2処理用面(2)と反対側を向く近接用調整面(24)を備えるものであり、近接用調整面(24)は、被処理流体に掛けた所定の圧力を受けて第1処理用面(1)に第2処理用面(2)を接近させる方向に移動させる力を発生させ、
この近接用調整面(24)の面積(A1)と、第2処理用部(20)の上記受圧面の面積(A2)との面積比(A1/A2)を、バランス比(K)とし、当該バランス比(K)により、被処理流動体から受ける全圧力の合力として、第1処理用面(1)に対する第2処理用面(2)の離反方向へ移動する力が決まるものであることを特徴とする請求項6乃至16の何れかに記載の流動体処理方法。
【請求項18】
被処理流動体の導入部と、
被処理流動体に圧力を付与する流体圧付与機構と、
この圧力を受けた被処理流動体が流される、密封された流体流路に設けられた第1処理用部(10)と第1処理用部(10)に対して相対的に接近離反可能な第2処理用部(20)の少なくとも2つの処理用部と、
これらの処理用部(10)(20)において互いに対向する位置に設けられた第1処理用面(1)及び第2処理用面(2)の少なくとも2つの処理用面と、
第1処理用部(10)と第2処理用部(20)とを相対的に回転させる回転駆動機構と、
上記導入部とは別の供給通路とを備え、
両処理用面(1) (2)間にて、被処理流動体の攪拌の処理を行うものであり、
第1処理用部(10)と第2処理用部(20)のうち少なくとも第2処理用部(20)は、受圧面を備えるものであり、且つ、この受圧面の少なくとも一部が第2処理用面(2)により構成され、受圧面は、流体圧付与機構が流動体に付与する圧力を受けて第1処理用面(1) から第2処理用面(2)を離反させる方向に移動させる力を発生させ、
供給通路は、第1及び第2の少なくとも一方の処理用面に開口するものであり、
接近離反可能且つ相対的に回転する第1処理用面(1) と第2処理用面(2)との間に、導入部から導入された所定圧力の被処理流動体と、供給通路にて他から投入される被処理流動体とが通され、これらの被処理流動体が流体膜を形成しながら両処理用面(1) (2)間を通過して、攪拌されることを特徴とする流動体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−6442(P2008−6442A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−241592(P2007−241592)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【分割の表示】特願2002−207533(P2002−207533)の分割
【原出願日】平成14年7月16日(2002.7.16)
【出願人】(595111804)エム・テクニック株式会社 (38)
【Fターム(参考)】