説明

流動性、剛性および衝撃強さに優れたエチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂組成物

【課題】流動性および後加工性に優れて大型および薄膜の射出製品の成形が容易であり、高結晶性のポリプロピレンおよびエチレン−プロピレン共重合体の優れた特性によって剛性と衝撃強さに優れた樹脂組成物の提供。
【解決手段】アイソタクチックペンタッド分率が96%以上の高結晶性ホモポリプロピレン(A)80〜95質量%、およびエチレン/(エチレン+プロピレン)のモル比が0.15〜0.40のエチレン−プロピレン弾性共重合体(B)5〜20質量%を含む、前記高結晶性ホモポリプロピレン(A)と前記エチレン−プロピレン弾性共重合体(B)の絶対粘度の比率(A/B)が0.09〜0.33であるポリプロピレン樹脂100質量部と、核剤(C)0.05〜0.3質量部を含み、溶融指数80〜120g/10分のエチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性、剛性および衝撃強さに優れたエチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂組成物に関する。さらに具体的には、本発明は、高結晶性ホモポリプロピレン、エチレン−プロピレン弾性共重合体および剛性核剤を含むポリプロピレン樹脂組成物に関し、既存のエチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂に比べて流動性および後加工性に優れ、大型成形品または薄膜製品の成形が容易な高剛性エチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プロピレンが単独で重合されたホモポリプロピレンは、衝撃強さが低いため、重合の際にα−オレフィン、例えばエチレンと共に共重合することにより、衝撃強さを補完する技術が用いられている。このようなエチレン−プロピレンブロック共重合体は、優れた剛性および衝撃特性によって自動車部品、家電器具、工業部品、日常生活用品および包装容器などの射出成形品、包装用フィルムおよびシートなどに広範囲に用いられている。
【0003】
エチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂は、エチレン−プロピレン共重合体の含量が増加すると、衝撃強さは増加するが、剛性および耐熱性は低下するという問題点がある。したがって、一定の水準の衝撃強さを維持すると同時に剛性および耐熱性を向上させるために、いろいろな技術が提案されている。
【0004】
特許文献1には、重合の際にアイソタクティシティ(isotacticity)を上げて高剛性のポリプロピレンを製造する技術が開示されている。
また、特許文献2には、核磁気共鳴法による立体規則度指数がペンタッド法基準96%であり、分子量分布が広く、絶対粘度が3.0〜6.5dL/gのエチレン−プロピレン共重合体からなる、溶融指数3〜35g/10分のポリプロピレン樹脂組成物が開示されているが、ポリプロピレン樹脂の生産性、加工性および後加工性のために要求される最小限の溶融指数である80g/10分には大きく及ばないという問題点がある。
【0005】
高速または大型の射出品成形には高流動性のポリプロピレン樹脂製品が必須的に要求されるが、このためには、使用する樹脂の粘度を非常に低くしなければならない。樹脂の粘度を低めるためには射出時の温度を非常に高く設定する方法が考えられるが、この場合、高温による熱分解によって、色相の変化、物性の低下、耐熱安定性の低下などといった問題点が発生する。また、射出成形の際に十分な流動性を持たない場合には、過度な射出圧および残留応力によって、成形の後に撓んだりガス痕が生じたりするなどの問題点が発生するおそれがある。
【0006】
これらの問題を解決するために、低流動性の高結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂を製造した後、有機過酸化物を添加して人為的にポリプロピレン鎖を切断することにより、分子量を低めて樹脂の流動性を向上させる方法が使用されている。
【0007】
特許文献3および特許文献4には、エチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂に特定の有機過酸化物を特定の条件下で添加することにより、有機過酸化物の添加による剛性および衝撃強さの低下を最小化することを図った方法が開示されている。
また、特許文献5には、特定のエチレン−プロピレン共重合体に有機過酸化物を添加す
ることにより、高流動性のプロピレン−エチレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂を製造する方法が開示されている。
【0008】
ところが、有機過酸化物を添加して流動性、すなわちポリプロピレン系樹脂の溶融指数を向上させた場合、狭い分子量分布によって加工性が低下し、後加工の際に臭いおよび塗装性不良などが発生するという問題点がある。
【0009】
特許文献6には、溶融指数80〜120g/10分の高結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂組成物が開示されているが、高溶融指数による剛性および衝撃強さの低下を防止するためのエチレン−プロピレン共重合体組成の最適化に対する条件について開示されていない。すなわち、ポリプロピレン樹脂組成物に高剛性および高衝撃強さの特性を与えるためのエチレン−プロピレン共重合体の分散および共重合体の大きさを制御するためには、ホモポリプロピレンとエチレン−プロピレン共重合体の界面張力の調節およびエチレン−プロピレン共重合体の分子量の調節によるエチレン−プロピレン共重合体の微細分布が必要であるが、これについては開示されたところが全くないという点で技術的限界を持つ。
【特許文献1】特開昭55−81125号公報
【特許文献2】韓国特許出願公開第2001−0109721号明細書
【特許文献3】欧州特許第1312617号明細書
【特許文献4】米国特許第6610792号明細書
【特許文献5】米国特許第6723829号明細書
【特許文献6】韓国特許出願公開第2001−0109865号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような従来の技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、エチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂の製造後に人為的に有機過酸化物を添加せず、流動性および後加工性に優れて大型および薄膜の射出成形製品の成形に適すると同時に、剛性と衝撃強さに優れた樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明によれば、アイソタクチックペンタッド分率(isotactic pentad fraction)が96%以上の高結晶性ホモポリプロピレン(A)80〜95質
量%、およびエチレン/(エチレン+プロピレン)のモル比が0.15〜0.40のエチレン−プロピレン弾性共重合体(B)5〜20質量%を含む、前記高結晶性ホモポリプロピレンと前記エチレン−プロピレン弾性共重合体の絶対粘度の比率(成分A/成分B)が0.09〜0.33であるポリプロピレン樹脂100質量部と、核剤(C)0.05〜0.3質量部を含む、溶融指数80〜120g/10分のエチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂組成物が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るエチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂組成物は、ホモポリプロピレン(A)、エチレン−プロピレン共重合体(B)および核剤(C)を含んでなる樹脂組成物であって、既存のエチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂に比べて流動性に優れる上、高結晶性ホモポリプロピレンおよびエチレン−プロピレン共重合体の優秀な特性によって剛性および衝撃強さに優れるという特徴を有する。このため、本発明の樹脂組成物は、自動車用部品や家電製品などの大型製品または薄膜製品の成形材料として適する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係るエチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂は、マトリックスとしてのホモポリプロピレン(A)、およびドメインとしてのエチレン−プロピレン共重合体(B)を含んでなり、エチレン−プロピレン共重合体(B)は、非結晶性のエチレン−プロピレン共重合体(Rubber)と半結晶性のエチレン共重合体(semicrystalline ethylene copolymer)(B)に区分される。
【0014】
エチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂に高剛性を与えるために、ホモポリプロピレン(A)は高い立体規則性を持つものでなければならない。すなわち、核磁気共鳴法(Nuclear Magnetic Resonance)上の立体規則度指数であるアイソタクチックペンタッド分率が96%以上のホモポリプロピレンが要求される。エチレン−プロピレン共重合体の溶融指数がホモポリプロピレンの溶融指数に比べて非常に大きいから、エチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂に高流動性を与えるためには、エチレン−プロピレン共重合体の溶融指数より非常に大きい溶融指数を持つホモポリプロピレン(A)を使用しなければならない。
【0015】
エチレン−プロピレン共重合体(B)の含量、分子量、組成、粒子サイズおよび分布はポリプロピレン樹脂組成物の物性に影響を与える主要要素となる。
【0016】
エチレン−プロピレン共重合体(B)の含量が大きくなると、衝撃強さは増加するが、逆に引張強度および剛性は低下する。すなわち、本発明に係るポリプロピレン樹脂組成物において、エチレン−プロピレン共重合体(B)の含量が5質量%より少ないと衝撃強さが低下し、エチレン−プロピレン共重合体(B)の含量が20質量%より多いと剛性が低下するという問題が発生する。
【0017】
エチレン−プロピレン共重合体の分子量は、エチレン−プロピレン共重合体を重合する気相反応器に注入される組成中の水素濃度(水素/エチレン)によって決定され、絶対粘度によって測定される。エチレン−プロピレン共重合体(B)の分子量が小さいとドメインであるエチレン−プロピレン共重合体の大きさが小さくなる。本発明への使用に適した分子量を持つエチレン−プロピレン共重合体(B)を生成するための水素濃度(水素/エチレン)は0.005〜0.030のモル比であることが好ましい。水素/エチレンのモル比が0.030より大きい場合にはエチレン−プロピレン共重合体の大きさが小さくなり、衝撃の吸収に不十分となり、水素/エチレンのモル比が0.005より小さい場合にはエチレン−プロピレン共重合体の大きさが大きくなりすぎて均一な分散が達成されず、部分的に衝撃強さが低下するという問題がある。
【0018】
ところで、エチレン−プロピレン共重合体の分子量のみでエチレン−プロピレン共重合体の大きさおよび分布を調節するには限界がある。よって、エチレン−プロピレン共重合体の分子量、エチレン−プロピレン共重合体(B)とホモポリプロピレン(A)の絶対粘度の比率、およびエチレン−プロピレン共重合体の組成を共に調節しなければ、優れた剛性および衝撃強さは得られない。
【0019】
エチレン−プロピレン共重合体(B)とホモポリプロピレン(A)の絶対粘度の比率は、母体であるホモポリプロピレン(A)と衝撃吸収剤の役割を果たすエチレン−プロピレン共重合体(B)間の相溶性に関連する変数であって、各成分の絶対粘度の比率(=成分Aの絶対粘度/成分Bの絶対粘度)は0.09〜0.33であることが好ましい。絶対粘度の比率が0.09より小さい場合、または絶対粘度の比率が0.33より大きい場合には、エチレン−プロピレン共重合体(B)がホモポリプロピレン(A)内で固まって存在するか或いは不均一に分散することになるため、優れた衝撃強さおよび剛性を持つエチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂を製造することができなくなる。
【0020】
エチレン−プロピレン共重合体(B)の組成は、エチレン/(エチレン+プロピレン)のモル比によって調節される。この比率が大きければ、主としてエチレン共重合体が生成され、その比率が小さければ、エチレン−プロピレンランダム共重合体が生成される。エチレン−プロピレン共重合体のプロピレン含量が増加すると、ホモプロピレンとエチレン−プロピレン共重合体間の界面張力が弱くなってエチレン−プロピレン共重合体の分散が良好となるため、得られるエチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂が優れた剛性および衝撃強さを持つこととなる。
【0021】
具体的には、エチレン−プロピレン共重合体において、エチレン/(エチレン+プロピレン)のモル比が0.10より小さい場合には、エチレン−プロピレン共重合体の大きさが非常に小さくなるため分散は良好となるが、反面、完全に混合されて単一相を形成するので衝撃強さが弱くなるという問題がある。
逆に、エチレン/(エチレン+プロピレン)のモル比が0.40より大きい場合には、半結晶性のエチレン共重合体(semicrystalline ethylene copolymer)の生成およびホモポリプロピレンとエチレン−プロピレン弾性共重合体間の界面張力によって衝撃強さが弱くなるという問題がある。
【0022】
また、エチレン−プロピレン共重合体の大きさは0.5〜2.0μmであることが好ましいが、エチレン−プロピレン共重合体の大きさが0.5μmより小さい場合または2.0μmより大きい場合には、衝撃を吸収することができなくて衝撃強さが不良になる。
【0023】
完製品の機械的強度を補完するために、本発明に係るポリプロピレン樹脂組成物に添加される核剤(C)は、ジベンジリデンソルビトール、ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、ジメチルベンジリデンソルビトール、アルキル安息香酸アルミニウム塩、有機リン金属塩、およびこれらの混合物から選択され得る。好ましい核剤の含量はポリプロピレン100質量部に対して0.05〜0.3質量部であって、核剤の含量が0.05質量部より少ないと十分な剛性および耐熱性を確保することができなくなるが、核剤の含量が0.3質量部より多くてもそれ以上の物性向上は見られない。
【0024】
本発明に係る樹脂組成物には、必要に応じて公知の添加剤、例えば酸化防止剤、中和剤、安定剤などがさらに含まれてもよい。
【0025】
一般に、ポリプロピレン系樹脂が自動車用部品の製造に使用されるためには、5.0kg・cm/cm以上のIzod衝撃強さと300kg/cm2以上の引張強度が要求され
るが、従来から使用されてきた例えばタルクなどの無機添加物の添加のみではこのような衝撃強さおよび引張強度の水準を同時に達成することはできない。本発明に示されているように、ホモポリプロピレンの立体規則性、エチレン−プロピレン共重合体の分子量および組成、界面張力、大きさおよび分布などの総合的な調節によって、エチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂を製造しなければならない。
【0026】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0027】
本発明の実施例および比較例で製造されたポリプロピレンの物性評価方法は次の通りである。
1)溶融指数:ASTM D1238に準拠して、測定温度230℃、荷重2.16Kgの条件下で測定した。
2)立体規則度:13C−NMRを用いてホモポリプロピレン分子鎖のうちペンタッド
単位でアイソタクチック分率を測定した。
3)曲げ弾性率:ASTM D790に準拠して、測定温度23℃の条件下で射出試片に対して測定した。
4)Izod衝撃強さ:ASTD D256に準拠して、測定温度23℃の条件下で射出試片に対して測定した。
5)キシレン溶融分:重合実験で得られた一定量の試料を一定量のキシレンと共に丸底フラスコに入れ、沸点まで温度を加えて約1時間溶解させた後、常温まで徐冷して再結晶し、キシレンに溶融された部分を抽出し、キシレンを蒸発させ、残った試料の百分率を測定した。
6)絶対粘度:プロピレン−エチレン共重合体を135℃でデカリン(デカヒドロナフタレン)に溶かした後、粘度計で絶対粘度を測定した。
7)旋回流:150トンの射出機を用いて温度210℃でスパイラル金型に射出し、射出された試片の長さを測定した。
8)電子顕微鏡の撮影:試片を液体窒素に浸して冷却した後、マイクロトーム機で断面を切断し、シクロヘキサン溶液内に入れて超音波洗浄機内で1時間放置させて試料内のエチレン−プロピレン弾性体を溶かした後、金で蒸着させてZEOL社の電子顕微鏡で試料内のエチレン−プロピレン弾性共重合体の大きさおよび分散を観察した。
【0028】
下記の方法によって実施例および比較例で使用した組成物を製造した。
1.成分(A)の製造
重合反応装置に水素およびプロピレンを順次注入した後、60〜80℃、35〜40気圧の下でスラリーバルク重合を行った。溶融指数は水素の量で調節した。
2.成分(B)の製造
前述したように、成分(A)であるホモプロピレンの重合が完了した後、未反応のプロピレンを除去し、常圧に降圧した後、70〜80℃、10〜15気圧の下でモノマーとしてエチレンとプロピレンを注入し、溶融指数調節剤として水素を注入してガス相で重合を連続的に行うことにより、エチレン−プロピレン共重合体である成分(B)を得た。
この段階において、弾性共重合体内のエチレン−プロピレン組成比は、表1に示したエチレン/(エチレン+プロピレン)のモル比で調節した。絶対粘度は水素/エチレンのモル比で調節した。
3.ペレットおよび試験試片の製造
前記段階から得た樹脂に、前記樹脂100質量部を基準として、1次酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤であるペンタエリトリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−プロピオネート](Pentaerythrityl-tetrakis[3-(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxy-phenyl)-propionate])0.05質量部、2次酸化防止
剤としてリン系酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)ホスフェート(Tris(2,4-di-tert-butylphenyl)phosphate)0.10質量部、中和剤としてステアリン酸カルシウム0.05質量部、核剤としてアルキル安息香酸アルミニウム塩0.10質量部を混合し、ツインスクリュー押出機でペレットを製造した後、東信油圧社の150トン射出機でASTM規格の射出試片を製造して物性を測定した。表1および図1〜図3にその結果を示した。
【0029】
【表1】

【0030】
表1に示すように、実施例1および実施例2は、絶対粘度の比率が0.09〜0.33の範囲で製造されたものである。
一方、比較例1および比較例2は絶対粘度の比率が0.09〜0.33の範囲を外れたものである。
また比較例3および比較例4は絶対粘度の比率が0.09〜0.33の範囲で製造されたものであるが、比較例3の場合はペンタッド分率が96%より小さく、比較例4の場合は気相反応器におけるエチレン−プロピレン弾性共重合体の重合条件が本発明に係る実施例1および2とは異なる。
さらに比較例5は、全ての条件は実施例1および2と同様であるが、但し成分Bの含量が21質量%と非常に高い。
また、比較例2および3においては、重合されたポリプロピレンに有機過酸化物を人為的に添加してポリプロピレン系樹脂の溶融指数を高めたものである。
【0031】
表1に示されている実験結果の如く、本発明に係る実施例1および2の組成物は、5.0kg・cm/cm以上のIzod衝撃強さと300kg/cm2以上の引張強度を示し
ており、比較例1〜5に比べて全体的に優れた機械的物性、流動性、臭いおよび塗装性などの後加工特性を示すことができた。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施例1に係るエチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂組成物を3000倍で拡大した電子顕微鏡写真である。
【図2】従来の技術に係る比較例1のエチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂組成物を500倍で拡大した電子顕微鏡写真である。
【図3】従来の技術に係る比較例4のエチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂組成物を2000倍で拡大した電子顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイソタクチックペンタッド分率が96%以上の高結晶性ホモポリプロピレン(A)80〜95質量%、およびエチレン/(エチレン+プロピレン)のモル比が0.15〜0.40のエチレン−プロピレン弾性共重合体(B)5〜20質量%を含む、前記高結晶性ホモポリプロピレン(A)と前記エチレン−プロピレン弾性共重合体(B)の絶対粘度の比率(A/B)が0.09〜0.33であるポリプロピレン樹脂100質量部と、核剤(C)0.05〜0.3質量部を含む、溶融指数80〜120g/10分のエチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項2】
前記エチレン−プロピレン弾性共重合体(B)は、水素濃度(水素/エチレン)が0.005〜0.030のモル比で共重合させて作られることを特徴とする、請求項1に記載のエチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項3】
前記エチレン−プロピレン弾性共重合体は、0.5〜2.0μmの大きさを有し、前記樹脂内に均一に分散していることを特徴とする、請求項1に記載のエチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリプロピレン樹脂組成物は、Izod衝撃強さが5.0kg・cm/cm以上であり、引張強度が300kg/cm2以上であることを特徴とする、請求項1に記載のエ
チレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項5】
前記核剤は、ジベンジリデンソルビトール、ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、ジメチルベンジリデンソルビトール、アルキル安息香酸アルミニウム塩、有機リン金属塩、およびこれらの混合物からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載のエチレン−プロピレンブロック共重合体系ポリプロピレン樹脂組成物。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−19208(P2009−19208A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182659(P2008−182659)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(507354242)エスケー エナジー 株式会社 (19)
【Fターム(参考)】