説明

流動性材料を貯蔵及び分配する容器

流動性材料を貯蔵及び分配するパッケージ10は、入口端20及び出口端21を有する容器本体11を含む。容器本体11は、ある量の前記材料を保持するように構成されており、入口端20内に受け入れ可能であると共に容器本体11、12内を移動可能であるピストン30を有している。ピストン30の少なくとも一部は選択された媒体に対して選択的に透過性である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性材料を貯蔵及び分配する容器に関する。より詳細には、本発明は、入口端、アプリケーター又は分配端、及び内部に可動ピストン又はプラグを有するようなパッケージに関する。ピストンは、空気、水、汚染物質又は他の成分等の少なくとも1つの媒体を少なくとも部分的に透過可能である。
【背景技術】
【0002】
流動性材料を貯蔵及び分配する容器又はパッケージが多くの技術分野において既知である。本明細書において用いられる「流動性」材料又は同様の用語は、容器の吐出端に向かって方向付けられるか、又は容器の吐出端に向かって物理的に押されることによって搾り出すことができる任意の材料を意味する。この材料は、水のように低い粘度を有し得るか、又は流れに抵抗する高い粘度を有し得る。後者の場合、材料を流動させるために熱、振動又は他のエネルギーの印加が必要とされる場合が多い。そのような材料は全て本発明の概念において有用である。
【0003】
例えば、特許文献1は、特に歯科材料と共に使用するのに適している、カートリッジの形態である容器を示している。カートリッジは、容器本体すなわちカプセル、出口端すなわち吐出ニップル、及び入口端を有する。材料を、通常は入口端を通して容器本体内に入れた後で、ピストン又はプラグによって入口端を閉じる。ピストンは、機械的な力を加えられると吐出端に向かって移動するように容器本体内で移動可能である。したがって、材料は出口端に向かって移動させられて分配されることになる。
【0004】
そのような容器が充填されており、プラグが挿入されている場合のいくつかでは、空気の全てがプラグと容器の充填レベルとの間から除去されるわけではないことが見出されている。パッケージ内のこの捕捉された空気は、ばねのような性質を有する。すなわち、製品を搾り出す際にプラグが前進すると空気が圧縮し、プラグの移動が止まると空気が膨張してより多くの材料が容器から搾り出される。この作用は、エンドユーザーに一貫性のない材料の搾り出しを行わせる、すなわち、ユーザーが材料の流動を止めたいときに材料が流動し続けるという望ましくない影響を有する。ノズルから出る材料の望ましくない不要な流れというこの概念は、滲出と呼ばれる。
【0005】
滲出は、収容されている製品又は材料の正確な塗布を妨げ、エンドユーザーにとっては許容し難い。さらに、パッケージ内に捕捉される空気は、貯蔵及び運搬中の内容物と周囲環境との間の圧力差に起因して製品の漏出を引き起こす可能性がある。パッケージ内に捕捉される空気は、材料を搾り出す際に製品と混合され、製品中に空隙をもたらす可能性があり、場合によっては仕上がりの品質を落とす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,707,234号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、特許文献1におけるような容器の有用な貯蔵性及び分配性を有するが、充填中又は他の手順中に容器内に捕捉される空気を自己排気すると共に補填することができる、貯蔵及び分配用パッケージが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
概して、流動性材料を貯蔵及び分配するパッケージは、入口端及び出口端を有する容器本体を備えている。容器本体は、或る量の材料を保持するように構成されており、入口端内に受け入れ可能であると共に容器本体内で移動可能であるピストンを有している。ピストンの少なくとも一部は選択された媒体に対して選択的に透過性である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の概念によるパッケージの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の概念による、流動性材料を貯蔵及び分配するパッケージが、添付の図面において全体的に番号10で示されている。パッケージ10は、流動性材料(図示せず)を貯蔵する開放領域又はキャビティ(空洞)12を内部に有するように構成される容器本体11を有している。パッケージ10は入口端20及び出口端21を有している。必ずしも本発明の一部ではないが、1つの好ましいパッケージ10は、内部を通ってキャビティ12と大気との間で流体連通する通路23を有する吐出ニップル22が取り付けられている出口端21を有する。吐出ニップル22には、通路23を選択的に塞ぐ取り外し可能なキャップ24を取り付けることができる。
【0011】
予め選択された量の流動性材料(すなわち上述のような、任意の手段によって流動するように誘導されることができる材料)、例えば歯科用接着剤又は修復材を、工業技術分野において既知である標準的な製造技法によって、好ましくは入口端20を通してキャビティ12内に入れる。次いで、可動ピストン又はプラグ30を入口端20内に受け入れ、ピストン30が入口端20を閉じ、また少なくとも選択的に封止するようにする。ピストン30は、仮想線31によって示されるように、好ましくは出口端21に向かう方向へキャビティ12内で移動可能である。このように、材料(図示せず)を、例えばキャップ24を取り外した状態で通路23を通過させることによって出口端21に向かって移動させ、そこから大気へ吐出する。上記で示されたように、そのように移動させるために任意の機械的な力をピストン30に加えることができる。そうような力を誘発する特定の手段は本該技術分野において周知であり、例えばガンやシリンジを含む。全てのそのような手段は本発明の範囲内にあり、ピストン30を移動させるためにいくつかの手段が提供されていれば、手段を特定することは本発明に無用である。
【0012】
上述のように、充填中又は他の手順中に、ある量の空気又は他の混入物質が所望の材料と共にキャビティ12内に捕捉される可能性がある。例えば、水、アルコール等の担体が材料と共に存在するか又はさらには材料自体から浸出する可能性があり、これらの媒体を除去することが望ましい場合がある。本発明によると、ピストン30は1つ又は複数のそのような媒体に対して少なくとも部分的に透過性であるため、選択された媒体をピストン30に通過させることによってパッケージ10から除去することができるが、分配するべき材料に対しては透過性ではない。このように、充填段階又はさらにはエンドユーザーが使用する際に、分配するべき材料を上述したようにピストン30の作用によって進めながら、望ましくないか又は選択された媒体をピストン30の作用を通して流し、パッケージ10から出すことができる。
【0013】
ピストン30が作製される特定の材料は、貯蔵・分配する材料自体に応じて変わる。例えば、ピストンは、シリコーン、エポキシ、ゴム、ガラス、セラミックス、磁器、陶材及びそれらの混合物から作製することができる。有用な高分子材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ナイロン−6等のポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエステル(PET)、低密度ポリエチレン(LDPE)及びそれらの混合物が挙げられる。ピストン30は、この場合も同様に貯蔵及び分配されるべき所定の材料の特定の必要性に応じて、可撓性材料、弾性材料、軟質材料又はさらには硬質材料から作製することができる。織物又はメッシュ、クリスタル、チューブ、グラニュール、不規則形状の材料等が本発明の範囲内にある。好ましい実施形態では、ピストン30は、外側の大気とキャビティ12内に貯蔵されている材料との間の封止を提供する。
【0014】
選択された多孔度の単一の材料から作製されるピストン30を提供すること、或いは選択された媒体若しくは実際には複数の選択された媒体が透過するか又は浸透する1つのみの部分又は選択された複数の部分を有するピストン30を作製することも本発明の範囲内にある。例えば、ピストン30の1つの部分を、強度のためにより強い材料から、又はその封止効果のために柔軟な材料から作製することができ、一方で1つ以上の他の部分には、選択された媒体(単数又は複数)に対して通過性であるか浸透性である。空気が透過する1つの部分、水が透過する他の部分を有するが、貯蔵又は分配するべき材料が透過する部分は有しないピストン30が一例である。媒体が所与の速度で選択的に透過するピストン30を提供することも本発明の範囲内にある。例えば、或る特定の用途では、ピストン30は、専ら徐々にではあるが選択された媒体に対して透過性とすることができる。そのようなピストン30を作製する材料、その細孔サイズ、形状等を適切に選択することによって、媒体を予め選択された速度でピストン30を透過させることができる。
【0015】
ピストンの代替として又はピストンに加えて、例えばキャップ24のような、選択された媒体に対して同様に透過性である他の構成要素を提供することも本発明の範囲内にある。媒体に対する選択された多孔度又は透過度を達成するのに用いる手段であるピストン30に関して本発明を説明したが、それは好ましい実施形態に過ぎない。パッケージ10の他の構成要素をそのように構成してもよい。同様に本明細書において、本発明を、媒体をパッケージ10から除去又は排出するのに有用であるものとして例示目的で説明した。キャビティ12内への媒体の進入を可能にする、本明細書において説明したようなパッケージ10を提供することも同様に本発明の範囲内にある。全てのそのような構成は本発明の範囲内にある。
【0016】
したがって、本明細書において説明したパッケージは本技術分野に有利に寄与することが明らかである。本発明は、単に例示目的で、本発明の範囲内にある変形をすべてもれなく示す意図なく、説明及び図示されている。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ定められるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性材料を貯蔵及び分配するパッケージであって、入口端及び出口端を有する容器本体を含み、該容器本体は、ある量の前記材料を保持するように構成されており、かつ前記入口端内に受け入れ可能であると共に該容器本体内を移動可能であるピストンを有しており、前記ピストンの少なくとも一部は選択された媒体に対して選択的に透過性であることを特徴とするパッケージ。
【請求項2】
前記ピストンが水に対して少なくとも部分的に透過性である請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記ピストンが空気に対して少なくとも部分的に透過性である請求項1に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記ピストンは空気に対して浸透性であるが、前記流動性材料に対しては浸透性ではない請求項3に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記ピストンは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエステル(PET)、低密度ポリエチレン(LDPE)及びそれらの混合物からなる群より選択される材料から作製されたものである請求項1に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記ピストンは、シリコーン、エポキシ、ゴム、ガラス、セラミックス、磁器、陶材及びそれらの混合物からなる群より選択される材料から作製されたものである請求項1に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記ピストンが織物である請求項1に記載のパッケージ。

【図1】
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【公表番号】特表2012−506826(P2012−506826A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533188(P2011−533188)
【出願日】平成21年10月26日(2009.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/005823
【国際公開番号】WO2010/047840
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(590004464)デンツプライ インターナショナル インコーポレーテッド (85)
【Fターム(参考)】