説明

流動性物質容器のためのポートチューブおよび閉鎖構成物、構造体およびアセンブリ

【課題】ポートチューブおよび膜チューブを有する流動性物質容器閉鎖アセンブリを提供すること。
【解決手段】このポートチューブは、第1層および第2層を有し、第1層はポリマーブレンドであり、そして第2層は第1層内に同軸状に配置され;そして膜チューブは、ポートチューブ内に同軸状に配置される。この膜チューブは、外層、コア層および内層を有する。この第1層は、(a)第1のポリオレフィン、(b)第2のポリオレフィン;(c)高周波感受性ポリマー;および(d)第1の熱可塑性エラストマーのブレンドからなり、第2層は、第2の熱可塑性エラストマーからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、一般に流動性物質容器についての閉鎖物に関し、そしてより詳細には、医学的な流体容器のためのポートチューブアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
種々の医学的状態について患者を処置する方法として、静脈内または経腸的にのいずれかで流体を患者に提供することは一般的な医学的実践である。頻繁に、患者に投与される流体は、可撓性容器中に含まれる。可撓性容器を形成する1つの方法は、可撓性材料の2つのシートの周辺部のあたりでシートをシールして、流体漏れしないチャンバを作製することである。ポートチューブアセンブリは、頻繁に、液体チャンバと容器の外部との間の連絡をつくって、流体を容器中に導入する手段または容器から流体を分配する手段を提供するシーリングプロセスの間、シート間に配置される。ポートチューブアセンブリは、代表的に、容器の側壁に付着する外側のポートチューブを含み、そして膜チューブと呼ばれる第2のチューブは、ポートチューブ内に同軸状に置かれる。膜チューブは、ポートチューブアセンブリをシールする、膜または隔壁を有する。この膜は、代表的に、流体投与セットのスパイクによってスパイクされて、容器の内容物を患者と流体連絡させる。
【0003】
ポートチューブおよび膜チューブは、単層材料または多層材料から製造される。ポートチューブは、代表的に、ポリ塩化ビニルの内層を有し、そして膜チューブは、PVCの外層を有する。ポートチューブアセンブリを組立てるために、膜チューブは、シクロヘキサノンまたは他の適切な溶媒に浸され、そして望遠鏡様式でポートチューブ内に挿入される。この溶媒は、ポートチューブおよび膜チューブの両方のPVCを溶解し、これによって、膜チューブをポートチューブに気密シールする。
【0004】
PVC材料を非PVC含有材料で置換するために、医学的物品の多くの製造者によって多大な努力がなされた。可撓性PVC容器は、容器中に含まれる溶液内に浸出し得る可塑剤として公知の低分子量添加物を含む。本明細書中で参考として援用され、そして本明細書の一部を構成する、特許文献1および特許文献2は、医学的な流体容器におけるPVC材料を非PVC含有材料で置換することを開示する。
【0005】
本発明と同じ譲受人に譲渡された、特許文献3は、共押出された医療用等級の非PVCポートチュービングを開示する。このチュービングは、ポリプロピレンとSEBSとのブレンドの外層、連結層およびポリアミドとEVAとのブレンドのコア層を有する。
【0006】
本発明と同じ譲受人に譲渡された、特許文献4は、医療用チュービングおよび医療用容器を製造するための非PVC材料を開示する。特許文献4において開示される医療用チュービングを製造するためのポリマーブレンドは、以下の1つ以上とブレンドされたポリウレタンを含む:EVA、SEBS、PCCE、熱可塑性コポリエステルエラストマー。
【特許文献1】米国特許第5,998,019号明細書
【特許文献2】米国特許第5,849,843号明細書
【特許文献3】米国特許第5,356,709号明細書
【特許文献4】米国特許第5,533,992号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、流動性物質の容器(例えば、医療用容器および食品用容器)における使用のための、非PVCポートチューブ、非PVC膜チューブおよび非PVCポートチューブアセンブリを提供する。
【0008】
この閉鎖アセンブリは、このアセンブリ内に同軸状に取り付けられたポートチューブおよび膜チューブを含む。このポートチューブは、第1層および第2層を有する。第1層は、第1層の重量の約25重量%〜約50重量%の量の第1成分を有する複数の成分のポリマーブレンドである。第1の成分は、ポリプロピレンおよびポリプロピレンコポリマーからなる群から選択される第1のポリオレフィンである。第2の成分は、第1層の重量の約0重量%〜約50重量%の量で存在し、そして第2のポリオレフィンである。この第2のポリオレフィンは、エチレンコポリマー、超低密度ポリエチレン、ポリブテン、ポリブタジエン、およびブテンエチレンコポリマーからなる群から選択される。第3の成分は、第1層の重量の約0重量%〜約40重量%の量存在し、そして高周波(「RF」)感受性ポリマーである。このRFポリマーは、ポリアミド、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンメタクリル酸コポリマー、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレア、エチレン酢酸ビニルコポリマー(このコポリマーの12重量%〜50重量%の酢酸ビニルコモノマー含量を有する)、エチレンアクリル酸メチルコポリマー(このコポリマーの12重量%〜40重量%のアクリル酸メチルコモノマー含量を有する)、エチレンビニルアルコール(このコポリマーの12モル%〜70モル%のビニルアルコールコモノマー含量を有する)からなる群から選択される。第4の成分は、約0%〜約40%の量で存在し、そして第1の熱可塑性エラストマーである。
【0009】
ポートチューブの第2層は、第1層内に同軸状に配置され、そして本発明の好ましい形態において、溶媒結合され得、そしてより好ましくは第2の熱可塑性エラストマーを含む、ポリマー材料である。必要に応じて、第2層は、約0重量%〜約20重量%のポリプロピレン、高密度ポリエチレン、シリカ、スリップ剤、脂肪アミド、アクラワックス(acrawax)などの添加物を含み得る。
【0010】
この膜チューブは、外層、コア層および内層を有する。この膜チューブの外層は、ポートチューブの第2層に溶媒結合され得る。本発明の好ましい形態において、この膜チューブの外層(A)は、以下のポリマーブレンドである:(1)外層の約0重量%〜約60重量%の第3のポリオレフィンおよび(2)外層の約40重量%〜約100重量%の第3の熱可塑性エラストマーという第2成分。コア層(B)は、外層に付着している。本発明の好ましい形態において、このコア層は、以下のポリマーブレンドである:(1)コア層の約35重量%〜約100重量%の第4の熱可塑性エラストマーおよび(2)コア層の約0重量%〜約65重量%の第4のポリオレフィン。
【0011】
この膜チューブの内層は、外層の反対側のコア層に付着している。内層は、以下の多成分のポリマーブレンドであり、そして好ましい形態において以下を有する:(1)内層の約25重量%〜約55重量%の第5のポリオレフィン、(2)エチレンコポリマー、超低密度ポリエチレン、ポリブテン、およびブテンエチレンコポリマーからなる群から選択される、内層の約0重量%〜約50重量%の第6のポリオレフィン;(3)ポリアミド、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンメタクリル酸コポリマー、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレア、エチレン酢酸ビニルコポリマー(このコポリマーの12重量%〜50重量%の酢酸ビニルコモノマー含量を有する)、エチレンアクリル酸メチルコポリマー(このコポリマーの12重量%〜40重量%のアクリル酸メチルコモノマー含量を有する)、エチレンビニルアルコール(このコポリマーの12モル%〜70モル%のビニルアルコールコモノマー含量を有する)からなる群から選択される、内層の約0重量%〜約40重量%の高周波感受性ポリマー;ならびに(4)内層の約0重量%〜約40重量%の第5の熱可塑性エラストマー。
【0012】
本発明は、さらに以下を提供する。
(項目1) 多層非PVCを含むチュービングであって、以下:
(a)ポリプロピレンおよびポリプロピレンコポリマーからなる群から選択される、第1層の約25重量%〜約50重量%の第1のポリオレフィン、(b)エチレンコポリマー、超低密度ポリエチレン、ポリブテン、ポリブタジエンおよびブテンエチレンコポリマーからなる群から選択される、該第1層の約0重量%〜約50重量%の第2のポリオレフィン;(c)ポリアミド、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンメタクリル酸コポリマー、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレア、エチレン酢酸ビニルコポリマー(酢酸ビニルコモノマーが、該コポリマーの12重量%〜50重量%)、エチレンアクリル酸メチルコポリマー(アクリル酸メチルコモノマー含量が、該コポリマーの12重量%〜40重量%)、エチレンビニルアルコール(ビニルアルコールコモノマー含量が、該コポリマーの12モル%〜70モル%)からなる群から選択される、該第1層の約0重量%〜約40重量%の高周波感受性ポリマー;(d)約0%〜約40%の第1の熱可塑性エラストマー
のポリマーブレンドの第1層;ならびに
該第1層内に同軸状に配置され、そして第2の熱可塑性エラストマーである第2層、を含むチュービング。
(項目2) 前記ポリアミドが、2〜13の範囲内の炭素数を有するジアミンの縮合反応から生じる脂肪族ポリアミド、2〜13の範囲内の炭素数を有する二酸の縮合反応から生じる脂肪族ポリアミド、二量体脂肪酸の縮合反応から生じるポリアミド、およびアミド含有コポリマーからなる群から選択される、項目1に記載のチュービング。
(項目3) 前記ポリアミドが、二量体脂肪酸ポリアミドである、項目1に記載のチュービング。
(項目4) 前記第1のポリオレフィンが、2〜17個の炭素を有するα−オレフィンからなる群から選択されるモノマーと共重合したプロピレンである、項目1に記載のチュービング。
(項目5) 前記第1のポリオレフィンが、該第1のポリオレフィンの約1重量%〜約8重量%のエチレン含量を有するプロピレンおよびエチレンコポリマーである、項目4に記載のチュービング。
(項目6) 前記第1の熱可塑性エラストマーが、第1のスチレンおよび炭化水素コポリマーからなる群から選択される、項目1に記載のチュービング。
(項目7) 前記第1のスチレンおよび炭化水素コポリマーが、ジブロックを有するポリマー構造体、トリブロックを有するポリマー構造体、放射状ブロックを有するポリマー構造体、およびスターブロックを有するポリマー構造体の群から選択される、項目6に記載のチュービング。
(項目8) 前記第1の熱可塑性エラストマーが、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロックコポリマーである、項目7に記載のチュービング。
(項目9) 前記第1の熱可塑性エラストマーが、カルボン酸、カルボン酸のエステル、カルボン酸の無水物、エポキシド、および一酸化炭素からなる群から選択される基で官能化される、項目7に記載のチュービング。
(項目10) 前記第1の熱可塑性エラストマーが、官能化された無水マレイン酸である、項目9に記載のチュービング。
(項目11) 前記第2の熱可塑性エラストマーが、第2のスチレンおよび炭化水素コポリマーからなる群から選択される、項目1に記載のチュービング。
(項目12) 前記第2のスチレンおよび炭化水素コポリマーが、ジブロックを有するポリマー構造体、トリブロックを有するポリマー構造体、放射状ブロックを有するポリマー構造体、およびスターブロックを有するポリマー構造体の群から選択される、項目11に記載のチュービング。
(項目13) 前記第2の熱可塑性エラストマーが、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンおよびスチレン−エチレン−プロピレンからなる群から選択される、項目12に記載のチュービング。
(項目14) 前記第2の熱可塑性エラストマーが、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンジブロックコポリマー、およびスチレン−エチレン−ブテン−スチレントリブロックコポリマーを含む、項目13に記載のチュービング。
(項目15) 前記第2のポリオレフィンが、α−オレフィンからなる群から選択されるモノマーと共重合したエチレンである、項目1に記載のチュービング。
(項目16) 前記エチレンおよびα−オレフィンコポリマーが、単一部位の触媒を用いて得られる、項目15に記載のチュービング。
(項目17) 前記第2層が、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、シリカ、スリップ剤、脂肪族アミド、およびアクラワックスからなる群から選択される添加物をさらに含む、項目1に記載のチュービング。
(項目18) 前記添加物が、前記第2層の重量の約0%〜約20%の量で存在する、項目17に記載のチュービング。
(項目19) 多層非PVCを含むチュービングであって、以下:
(a)外層の約0重量%〜約60重量%の第1のポリオレフィンおよび(b)該外層の約40重量%〜約100重量%の第1の熱可塑性エラストマー、
のポリマーブレンドの外層;
該外層に付着したコア層であって、該コア層は、(a)該コア層の約35重量%〜約100重量%の第2の熱可塑性エラストマーおよび(b)該コア層の約0重量%〜約65重量%の第2のポリオレフィンのポリマーブレンドであるコア層;ならびに
該外層の反対側にある、該コア層に付着した内層であって、該内層は、(a)該内層の約25重量%〜約55重量%の第3のポリオレフィン、(b)該内層の約0重量%〜約50重量%である、エチレンコポリマー、超低密度ポリエチレン、ポリブテンおよびブテンエチレンコポリマーからなる群から選択される第4のポリオレフィン;(c)該内層の約0重量%〜約40重量%である、ポリアミド、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンメタクリル酸コポリマー、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレア、エチレン酢酸ビニルコポリマー(該コポリマーの12重量%〜50重量%の酢酸ビニルコモノマー含量を有する)、エチレンアクリル酸メチルコポリマー(該コポリマーの12重量%〜40重量%のアクリル酸メチルコモノマー含量を有する)、エチレンビニルアルコール(該コポリマーの12モル%〜70モル%のビニルアルコールモノマー含量を有する)からなる群から選択される高周波感受性ポリマー;および(d)該内層の約0重量%〜約40重量%の第3の熱可塑性エラストマー、
のポリマーブレンドである、を含むチュービング。
(項目20) 前記ポリアミドが、2〜13の範囲内の炭素数を有するジアミンの縮合反応から生じる脂肪族ポリアミド、2〜13の範囲内の炭素数を有する二酸の縮合反応から生じる脂肪族ポリアミド、二量体脂肪酸の縮合反応から生じるポリアミド、およびアミド含有コポリマーからなる群から選択される、項目19に記載のチュービング。
(項目21) 前記ポリアミドが、二量体脂肪酸ポリアミドである、項目19に記載のチュービング。
(項目22) 前記第1のポリオレフィンが、ポリプロピレンホモポリマー、2〜17の炭素を有するα−オレフィンからなる群から選択されるモノマーと共重合したプロピレン、エチレンホモポリマーおよび2〜17の炭素を有するα−オレフィンからなる群から選択されるモノマーと共重合したエチレンからなる群から選択される、項目19に記載のチュービング。
(項目23) 前記第1のポリオレフィンが、該第1のポリオレフィンの約1重量%〜約8重量%のエチレン含量を有する、プロピレンおよびエチレンコポリマーである、項目22に記載のチュービング。
(項目24) 前記第2のポリオレフィンが、ポリプロピレンホモポリマー、2〜17の炭素を有するα−オレフィンからなる群から選択されるモノマーと共重合したプロピレン、エチレンホモポリマーおよび2〜17の炭素を有するα−オレフィンからなる群から選択されるモノマーと共重合したエチレンからなる群から選択される、項目19に記載のチュービング。
(項目25) 前記第3のポリオレフィンが、ポリプロピレンホモポリマー、2〜17の炭素を有するα−オレフィンからなる群から選択されるモノマーと共重合したプロピレン、エチレンホモポリマーおよび2〜17の炭素を有するα−オレフィンからなる群から選択されるモノマーと共重合したエチレンからなる群から選択される、項目19に記載のチュービング。
(項目26) 前記第1の熱可塑性エラストマーが、第1のスチレンおよび炭化水素コポリマーからなる群から選択される、項目19に記載のチュービング。
(項目27) 前記第1のスチレンおよび炭化水素コポリマーが、ジブロックを有するポリマー構造体、トリブロックを有するポリマー構造体、放射状ブロックを有するポリマー構造体およびスターブロックを有するポリマー構造体の群から選択される、項目26に記載のチュービング。
(項目28) 前記第1の熱可塑性エラストマーが、第1のスチレン−エチレン−ブテン−スチレンコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンコポリマーおよびスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンコポリマーから選択される、項目27に記載のチュービング。
(項目29) 前記第1の熱可塑性エラストマーが、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンジブロックコポリマーおよびスチレン−エチレン−ブテン−スチレントリブロックコポリマーである、項目28に記載のチュービング。
(項目30) 前記第2の熱可塑性エラストマーが、第2のスチレンおよび炭化水素コポリマーからなる群から選択される、項目19に記載のチュービング。
(項目31) 前記第2のスチレンおよび炭化水素コポリマーが、ジブロックを有するポリマー構造体、トリブロックコポリマーを有するポリマー構造体、スチレンおよび炭化水素スターブロックコポリマーを有するポリマー構造体、およびこれらのコポリマーを含むブレンドを有するポリマー構造体からなる群から選択される、項目30に記載のチュービング。
(項目32) 前記第2の熱可塑性エラストマーが、第2のスチレン−エチレン−ブテン−スチレンコポリマー、第2のスチレン−イソプレン−スチレンコポリマーおよび第2のスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンコポリマーから選択される、項目31に記載のチュービング。
(項目33) 前記第3の熱可塑性エラストマーが、第3のスチレンおよび炭化水素コポリマーからなる群から選択される、項目19に記載のチュービング。
(項目34) 前記第3のスチレンおよび炭化水素コポリマーが、ジブロックを有するポリマー構造体、トリブロックを有するポリマー構造体、スターブロックコポリマーを有するポリマー構造体およびこれらのコポリマーのブレンドを有するポリマー構造体からなる群から選択される、項目33に記載のチュービング。
(項目35) 前記第3の熱可塑性エラストマーが、第3のスチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロックコポリマーである、項目34に記載のチュービング。
(項目36) 前記第3の熱可塑性エラストマーが、カルボン酸、カルボン酸のエステル、カルボン酸の無水物、エポキシド、および一酸化炭素からなる群から選択される基で官能化されている、項目34に記載のチュービング。
(項目37) 前記第3の熱可塑性エラストマーが、無水マレイン酸で官能化されている、項目36に記載のチュービング。
(項目38) 前記第4のポリオレフィンが、α−オレフィンからなる群から選択されるモノマーと共重合したエチレンである、項目19に記載のチュービング。
(項目39) 前記第4のポリオレフィンが、エチレンおよびα−オレフィンコポリマーである、項目38に記載のチュービング。
(項目40) 前記エチレンおよびα−オレフィンコポリマーが、単一部位触媒を用いて得られる、項目39に記載のチュービング。
【0013】
これらの局面および他の局面、ならびに本発明の特性は、以下の図面および添付の明細書を参照して考察される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
本発明は、多くの異なる形態での実施形態が可能である。本発明の好ましい実施形態は、本開示が、本発明の原理の例示とみなされるべきであり、そして本発明の広い局面を例示される実施形態に限定することが意図されないという理解をともなって開示される。
【0015】
図1は、側壁12の間のチャンバ14を規定する、周辺縁部に沿ってシールされた側壁12を有する流動性物質容器10を示す。ポートチューブ閉鎖アセンブリ16は、容器の内容物へのアクセスを提供する。容器10は、好ましくは、非PVC含有材料から製造される。本発明の好ましい形態において、側壁12は、多成分ポリマーアロイ(例えば、本明細書中で参考として援用され、そして本明細書の一部を構成する、米国特許第5,686,527号に詳細に開示されるアロイ)から製造される。1つの特に適切なポリマーアロイは、ポリプロピレン、超低密度ポリエチレン、ポリアミドならびにスチレンおよび炭化水素ブロックコポリマーのブレンドである。図1において示される容器10は、医療適用(例えば、いくつか挙げると、静注溶液、腹膜透析溶液、薬物ならびに血液および血液成分の保存および送達)に特に適切である。このような容器はまた、食品を保存するために使用され得るか、腹膜透析のためのドレインバッグとして役立てるために使用され得るか、または他の消耗品を保存するために使用され得ることが企図される。
【0016】
「流動性物質」によって、重力の力によって流動する物質が意味される。それ故、流動性物質は、液体品および粉末化品または顆粒状品などの両方を含む。
【0017】
図2は、ポートチューブアセンブリ16を示す。このポートチューブアセンブリ16は、ポートチューブ18およびポートチューブ18内に同軸状に取り付けられた膜チューブ20を有する。膜チューブ20の流体通路22は、膜チューブ20の中間部分に配置された膜23によってシールされる。医療適用のために、膜23は、注入セットのスパイクによってスパイクされて、容器の内容物を、例えば、処置される患者の脈管系と流体連絡させ得る。
【0018】
本発明の好ましい形態において、ポートチューブ18は、多層構造体であり、そしてより好ましくは、第1層22および第2層24を有する。第1層22は、容器10の側壁12にシールされ得る(好ましくは、高周波シーリング技術を用いてシールされ得る)非PVC含有材料の層であるべきである。本発明の好ましい形態において、第1層22は、以下のポリマーブレンドである:(a)第1層の約25重量%〜約50重量%、より好ましくは約30重量%〜約40重量%の第1のポリオレフィン(ポリプロピレンおよびポリプロピレンコポリマーからなる群から選択される)、(b)第1層の約0重量%〜約50重量%、より好ましくは約5重量%〜約40重量%の、第2のポリオレフィン(ポリマーまたはα−オレフィン含有コポリマーであり、より好ましくはエチレンおよびα−オレフィンコポリマーである);(c)第1層の約0%〜約40%、より好ましくは約10%〜約40%の高周波感受性ポリマー(ポリアミド、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンメタクリル酸コポリマー、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレア、エチレン酢酸ビニルコポリマー(このコポリマーの12重量%〜50重量%の酢酸ビニルコモノマー含量を有する)、エチレンアクリル酸メチルコポリマー(このコポリマーの12重量%〜40重量%のアクリル酸メチルコモノマー含量を有する)、エチレンビニルアルコール(このコポリマーの12モル%〜70モル%のビニルアルコールコモノマー含量を有する)からなる群から選択される);ならびに(d)第1層の重量の約0%〜約40%、より好ましくは約10%〜約40%の熱可塑性エラストマー。
【0019】
ポートチューブ18の第2層24は、膜チューブ20に溶媒結合され得る非PVC含有材料の層である。本発明の好ましい形態において、第2層24は、熱可塑性エラストマーであるか、または第2層24の約80重量%〜約100重量%の量の熱可塑性エラストマーと第2層24の約0重量%〜約20重量%のプロピレン含有ポリマーとのブレンドである。ポートチューブおよび膜チューブアセンブリを、蒸気滅菌した場合に、ポートチューブが膜チューブにより強固に付着するように、第2層24が、オートクレーブの温度でわずかに軟化することもまた所望されるが任意である。
【0020】
図面中に示されるように、第1層は、第2層よりも厚い厚さを有する。本発明の好ましい形態において、第1層は、約15ミル〜約40ミル、そしてより好ましくは約20ミル〜約30ミルの厚さを有する。第2層は、約2ミル〜約10ミル、そしてより好ましくは約3ミル〜約7ミルの厚さを有する。
【0021】
膜チューブ20は、非PVC含有材料から製造されるべきであり、そして(好ましくは、溶媒結合技術を用いて)ポートチューブ18に結合され得るべきである。溶媒結合は、当該分野において周知である。溶媒結合は、代表的に、溶媒をポリマー材料に適用して、ポリマーを部分的に溶解する工程を含む。この溶解された状態の間、溶解されたポリマー材料は、ポリマー材料が結合されるべき材料(例えば、別のポリマー)と接触させられる。本発明の材料の溶媒結合のための適切な溶媒は、いくつか名前を挙げると、少なくとも以下の芳香族溶媒を含む:シクロヘキサン、シクロヘキサノン、トルエン、テトラヒドロフラン、クメン、キシレン、ジエチルベンゼン、デカリン、テトラリン、およびアミルベンゼン。
【0022】
従って、膜チューブをポートチューブに溶媒結合するために、ポートチューブと接触させられるべき膜チューブの一部を、代表的には、膜チューブの該当部分を溶媒に浸漬することによって、溶媒に曝露する。次いで、膜チューブは、望遠鏡様式で膜チューブ中に挿入され、ここで強い結合が形成される。
【0023】
本発明の好ましい形態において、膜チューブ20は、外層30、コア層32および内層34を有する多層構造体である。本発明の好ましい形態において、外層30は、以下のポリマーブレンドである:(a)外層の約0重量%〜約60重量%、より好ましくは約20重量%〜約55重量%、そして最も好ましくは約30重量%〜約50重量%のポリオレフィン、および(b)外層の約40重量%〜約100重量%、より好ましくは約45重量%〜約80重量%、そして最も好ましくは約50重量%〜約70重量%の熱可塑性エラストマー。
【0024】
また、本発明の好ましい形態において、コア層32は、以下のポリマーブレンドである:(a)コア層の約35重量%〜約100重量%、より好ましくは約50重量%〜約90重量%、そして最も好ましくは70重量%〜約90重量%の熱可塑性エラストマー、および(b)コア層の約0重量%〜約65重量%、より好ましくは約10重量%〜約50重量%、そして最も好ましくは約10重量%〜約重量30%のポリオレフィン。
【0025】
また、本発明の好ましい形態において、内層34は、以下のポリマーブレンドである:(a)内層の約25重量%〜約55重量%、より好ましくは約25重量%〜約40重量%のポリオレフィン;(b)内層の約0重量%〜約50重量%、より好ましくは約0重量%〜約40重量%、そして最も好ましくは約0重量%〜約20重量%のポリオレフィン(α−オレフィン含有ポリマーおよびα−オレフィン含有コポリマー、より好ましくは、エチレンおよびα−オレフィンコポリマーからなる群から選択される、);(c)内層の約0重量%〜約40重量%、より好ましくは、約15%〜約40%の高周波感受性ポリマー(ポリアミド、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンメタクリル酸コポリマー、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレア、エチレン酢酸ビニルコポリマー(このポリマーの12重量%〜50重量%の酢酸ビニルコモノマー含量を有する)、エチレンアクリル酸メチルコポリマー(このコポリマーの12重量%〜40重量%のアクリル酸メチルコモノマー含量を有する)、エチレンビニルアルコール(このコポリマーの12モル%〜70モル%のビニルアルコールコモノマー含量を有する)からなる群から選択される);ならびに(d)内層の約0重量%〜約40重量%、より好ましくは約15重量%〜約40重量%の熱可塑性エラストマー。
【0026】
本発明の好ましい形態において、外層30は、約3ミル〜約15ミル、そしてより好ましくは約3ミル〜約10ミルの厚さを有する。コア層32は、約10ミル〜約35ミル、そしてより好ましくは約10ミル〜約30ミルの厚さを有する。内層34は、約3ミル〜約15ミル、そしてより好ましくは約5ミル〜約10ミルの厚さを有する。
【0027】
熱可塑性エラストマーとしては、スチレンおよび炭化水素コポリマー、EPDM、ならびにエチレンプロピレンゴムが挙げられる。スチレンは、置換スチレンであってもよく、非置換スチレンであってもよい。スチレンおよび炭化水素コポリマーは、ジブロック、トリブロック、スターブロックを含めて、ブロックコポリマーであり得、これはまた、ランダムコポリマー、ならびに当業者に公知の他の型のスチレンおよび炭化水素コポリマーであり得る。それ故、スチレンおよび炭化水素コポリマーとしては、例えば、スチレン−ブテン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソブテン−スチレンおよび当該分野において周知の多数の他の多様なスチレンおよび炭化水素コポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。このスチレンおよび炭化水素コポリマーはまた、種々の型の上記で同定されたスチレンおよび炭化水素コポリマーのブレンドであり得る。
【0028】
このスチレンおよび炭化水素コポリマーは、カルボン酸基、カルボン酸の無水物、カルボン酸のエステル、エポキシ基および一酸化炭素によって改変されるか、または官能化され得る。本発明の好ましい形態において、ポートチューブ18の第1層22、および膜チューブ20の内層34の熱可塑性エラストマーは、約2重量%以下の量の無水マレイン酸基を有するSEBSコポリマーである。このようなコポリマーは、商品名KRATON(商標登録)FG1924XおよびFG1901XでShell Chemical Companyによって販売される。
【0029】
ポートチューブ18の第2層24および膜チューブ20の外層30の熱可塑性エラストマーは、好ましくは、スチレンおよびジエンコポリマーであり、より好ましくは、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンコポリマー、およびスチレン−イソプレン−スチレンコポリマーからなる群から選択される。より好ましくは、第2層の熱可塑性エラストマーは、エチレンブテンコポリマーであり、そしてより好ましくはスチレン−エチレン−ブテン−スチレンコポリマーである。このようなコポリマーが、溶媒結合に十分に適することが見出されている。適切なSEBSコポリマーは、商品名KRATON(商標登録)KG1657でShell Chemical Companyによって販売される。
【0030】
膜チューブのコア層の熱可塑性エラストマーは、高い割合のトリブロックを含有するSEBSコポリマーである。適切なポリマーは、商品名KRATON(商標登録)KG1660、KG1652およびKG1650でShell Chemical Companyによって販売される。
【0031】
適切なポリプロピレンポリマーは、ホモポリマーおよびコポリマーを含む。適切なコモノマーは、2〜17の炭素を有するα−オレフィンであり、そして最も好ましくは、コポリマーの約1重量%〜約8重量%の量のエチレンである。
【0032】
適切なα−オレフィン含有ポリマーとしては、2〜17の炭素を有するα−オレフィンの、ホモポリマー、コポリマーおよびインターポリマー(interpolymer)が挙げられる。ポートチューブ18の第1層22および膜チューブ20の内層34の適切なエチレンα−オレフィンコポリマーは、ASTMD−792によって測定した場合、約0.915g/ccより低い密度、より好ましくは約0.905g/ccより低い密度を有し、そして一般に超低密度(very low density)ポリエチレン(VLDPE)、超低密度(ultra low density)ポリエチレン(ULDPE)などと称される。本発明の好ましい形態において、エチレンおよびα−オレフィンコポリマーは、単一部位触媒(例えば、メタロセン触媒、バナジウム触媒など)を用いて得られる。数ある中でも適切な触媒系は、米国特許第5,783,638号および同第5,272,236号に開示される触媒系である。適切なエチレンおよびα−オレフィンコポリマーとしては、商品名AFFINITYでDow Chemical Companyによって、商品名ENGAGEでDupont−Dowによって、商品名EXACTでExxonによって、そして商品名MARLEXでPhillips Chemical Companyによって販売されるものが挙げられる。
【0033】
本発明の好ましい形態において、ポートチューブアセンブリは、以下の物理的特性を満たす:(1)平均の約35lbより下のスパイク挿入力を有する、(2)平均の約5lbよりも大きいスパイク除去力を有する。ポートチューブから膜チューブを分離する引き抜く力は、スパイク除去力よりも大きい。
【0034】
以下は、本発明の非限定的な実施例である。
【実施例】
【0035】
(実施例)
外層と内層とを有する2層ポートチューブを、共押出しした。内層は、0.006インチの厚さを有し、そしてSEBSから製造した。外層は、0.026インチの厚さを有し、そして外層の35重量%ポリプロピレン/5重量%超低密度ポリエチレン/30重量%二量体脂肪酸ポリアミド/無水マレイン酸官能基を有する30重量%SEBSのポリマーブレンドから製造した。
【0036】
内層、コア層および外層を有する3層膜チューブを共押出しした。内層は、30重量%ポリプロピレン/35重量%二量体脂肪酸ポリアミド/35重量%SEBSのポリマーブレンドである。コア層は、85%SEBSと15%ポリプロピレンとのブレンドであった。外層は、45%SEBSおよび55%ポリプロピレンであった。内層は0.003インチ、コア層は0.023インチ、そして外層は0.006インチの厚さを有していた。
【0037】
ポリマーシーティングを、10重量%の二量体脂肪酸ポリアミド、35重量%の超低密度ポリエチレン、45重量%のポリプロピレンおよび無水マレイン酸官能基を有する10重量%SEBSのブレンドから押出した。
【0038】
2枚の長方形のポリマーシーティングを、レジストレーションに置き、そしてポーチを規定する3つの周辺縁部に沿ってシールした。ポートチューブセグメントを、ポーチの開放端に挿入し、容器を規定する最後の周辺縁部をシールしながら、ポーチの開放端をヒートシールした。膜チューブセグメントを、シクロヘキサノンに浸漬し、そして望遠鏡様式で、ポートチューブセグメント内に挿入した。
【0039】
容器を、機械テスターに直接ボルトでしっかりととめた。ポートチューブを、機械テスターのクロスヘッドに付着させたスパイクに付着させた。テスターのクロスヘッド速度を、20インチ/分にセットした。クロスヘッドを、ポートチューブにおける所望のスパイク挿入深さに達成するようにセットした。テスターにより、スパイク挿入力およびスパイク除去力の測定を可能にした。50回の試験後のスパイク挿入値の平均は、13.31 lbfであった。50回の試験についてのスパイク除去力の平均は、10.37 lbfであった。これらの測定を、スパイクを膜チューブ中に24時間置いた後に行った。
【0040】
テスターをまた、容器からポートチューブを除くためか、さもなくば容器もしくはポートチューブを損傷するために必要な引き抜く力を測定するために使用した。ポートチューブを、容器がボルトでしっかりととめられている容器テスター中に挿入した。28回の試験についての引き抜く力の平均は、30.04 lbfであった。この試験を、容器を蒸気滅菌する前に行った。容器を蒸気滅菌した後の30回の試験についての値は、42.68 lbfであった。
【0041】
前述から、多数のバリエーションおよび改変が、本発明の精神および範囲から逸脱することなくもたらされ得ることが、観察される。本明細書中に例示される特定の装置に関して限定がないことが、意図されるか、または推測されるべきであることが、理解されるべきである。当然、添付の特許請求の範囲によって、特許請求の範囲の範囲内に入るような全てのこのような改変が包含されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、ポート閉鎖アセンブリを有する流動性物質容器の平面図である。
【図2】図2は、本発明のポートチューブの横断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
図面に記載のチュービング。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−220973(P2008−220973A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107335(P2008−107335)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【分割の表示】特願2002−554492(P2002−554492)の分割
【原出願日】平成14年1月4日(2002.1.4)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【Fターム(参考)】