説明

流動棚装置

【課題】搬送物をコンベア上に滞留させることなく排出側へ確実に押し出して受け棚へ排出させる構成とした流動棚装置を提供する。
【解決手段】搬送物を重力作用によりコンベア4上を滑走させる流動棚10と、流動棚10の排出側Bで搬送物の滑り出しを一時止める係止バー7cを含む係止機構との組み合わせを、装置フレーム枠6の上下方向に複数段に設置して構成された流動棚装置1を、受け棚と並列する規定位置まで移動させると、係止機構が解除動作をして、コンベア4上の搬送物が受け棚へ排出される。流動棚10における搬送物の受入れ側Aには、流動棚10に沿って排出側Bへ移動する押出しバーを含む押出し機構が設置され、押出し機構は係止バー7cの解除動作に連動して押出しバーを搬送物の受入れ側Aから排出側Bへ移動させ同搬送物を受け棚へ押し出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、運搬容器等の搬送物をその重力作用により受入れ側から排出側へと滑走させて受け棚へ排出させる流動棚装置の技術分野に属し、更に云えば、搬送物をコンベア上に滞留させることなく排出側へ確実に押し出して受け棚へ排出させる構成とした流動棚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運搬容器等の搬送物を、その重力作用により受入れ側から排出側へ滑走させて受け棚へ排出させる流動棚装置は、例えば本出願人が先に出願した下記特許文献1にも開示されており、広く一般的に使用されている。
この特許文献1に開示された流動棚装置は、自由に回転するホイール又はローラを複数個列状に並べたコンベアを一定の間隔をあけて下り傾斜に配置して搬送物をその重力作用により前記コンベア上を滑走させる流動棚と、前記流動棚の排出側で前記搬送物の滑り出しを一時止める係止バーを含む係止機構との組み合わせを、装置フレーム枠の上下方向に複数段に設置して構成されている。この流動棚装置を、牽引台車等で受け棚と並列する規定位置まで移動させると、前記係止機構が解除動作をして、前記コンベア上の搬送物を前記受け棚へ排出することができる。
ところで、流動棚のような棚では、部品等をプラスチックス製コンテナーに収納し一時保管することが従来から行われており、様々な底面形状を持ったコンテナーが使用されている。なかには、底面がホイールに嵌り込むような凹凸面を有するコンテナーに入れた搬送物があったりする。また、ダンボール梱包品のようにホイールとの当たり面が凹んだりして、同搬送物がコンベア上の途中に止まって重力作用だけでは流れず受け棚へ排出できない事態が発生することがある。
そこで、例えば下記特許文献2及び3には、搬送物の受入れ側及び排出側にそれぞれ流動棚を上下移動させる駆動手段としてモータを取付け、同モータで流動棚の傾斜角度を適宜調整しながら、搬送物を受入れ側から排出側へ滑走させて排出させる流動棚装置が開示されている。
また、下記特許文献4には、コンベアに振動を加えて、同コンベア上で滑走する搬送物の滑走性を高めた流動棚装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2008−264918号公報
【特許文献2】特開平11−20912号公報
【特許文献3】特開平11−59824号公報
【特許文献4】特開2006−103876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献2及び3に開示された流動棚装置は、底面が粗い凹凸面を有する搬送物5や、ダンボール梱包品のような搬送物5であっても、モータを駆動させて流動棚を急な傾斜角度にすることで、同搬送物5を受け棚3へ排出することができる。しかし、流動棚を傾斜させるモータの駆動には、多大な電力供給が必要であり、この電力供給にコストが掛かり不経済であるし、コンセントがない場所では使用できない。また、角度を上げればそれだけ搬送物の流れ速度が速くなってしましい、停止時の衝撃も増加して搬送物の破損の原因になったり、受け渡し時に、搬送物の衝撃で受け棚が動いたりして、きっちり受け渡しができないなどの不都合が生じ易い。
また、特許文献4に開示された流動棚装置も、振動装置を駆動させてコンベアを振動させ、搬送物の滑走性を高めた構成であるが、該振動装置の駆動にはやはり多大な電力供給が必要であり電力供給にコストが掛かり不経済であるし、精密部品のような搬送物では、振動により破損する問題も発生する。
【0005】
本発明の目的は、専用の駆動手段を必要とせず、流れ難い搬送物をコンベア上に滞留させることなく排出側へ確実に押し出して受け棚へ排出させることができる流動棚装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る流動棚装置は、
自由に回転するホイール又はローラ40を複数個列状に並べたコンベア4を横方向へは一定の間隔をあけて、それぞれ下り傾斜に配置して搬送物5をその重力作用により前記コンベア4上を滑走させる構成とした流動棚10と、前記流動棚10の排出側Bで前記搬送物5の滑り出しを一時止める係止バー7cを含む係止機構7との組み合わせを、装置フレーム枠6の上下方向に複数段に設置して構成された流動棚装置1を、受け棚3と並列する規定位置まで移動させると、前記係止機構7が解除動作をして、前記コンベア4上の搬送物5を前記受け棚3へ排出する流動棚装置において、
前記流動棚10における搬送物5の受入れ側Aには、同流動棚10に沿って排出側Bへ移動する押出しバー9gを含む押出し機構9が設置され、該押出し機構9は前記係止バー7cの解除動作に連動して押出しバー9gを搬送物5の受入れ側Aから排出側Bへ移動させ同搬送物5を受け棚3へ押し出す構成であることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明に係る流動棚装置において、
装置フレーム枠6の排出側Bに回転軸11が垂直に設置されており、当該流動棚装置1が受け棚3と並列する規定位置まで移動されると、位置検出機構8により前記回転軸11が回転されること、
係止バー7cは、前記回転軸11の回転に連動する係止機構7によって、搬送物5の係止状態を解除する動作をして同搬送物5を受け棚3へ排出させる構成であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載した発明は、請求項2に記載した発明に係る流動棚装置において、
位置検出機構8は、受け棚3に設けられた突起部材8bと、前記流動棚装置1の回転軸11に固定された位置検出部材8aとで構成され、流動棚装置1が受け棚3と並列となる規定位置まで移動されると、前記位置検出部材8aが前記突起部材8bへ接触して前記回転軸11を回転させる構成であることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載した発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載した発明に係る流動棚装置において、
押出し機構9は、係止機構7の係止バー7cと一端を連結されたシーソバー9aと、前記シーソバー9aの他端と連結されたストッパー部材9bと、前記ストッパー部材9bを掛け止めるストッパーピン90dを備えたスライダ9dと、流動棚10の両側に上下方向へ長く配置され前記スライダ9dと連結された共通支持体9fと、該共通支持体9fを搬送物5の受入れ側Aから排出側Bへ移動させる駆動手段9eと、前記共通支持体9fにL形の両端を回転可能に支持され流動棚1に沿って搬送物5の排出側Bへ移動する押出しバー9gとで構成され、
前記係止バー7cの解除動作に連動してストッパー部材9bがストッパーピン90dを開放し、前記スライダ9d及び共通支持体9fが駆動手段によって移動され、前記押出しバー9gを搬送物5の受入れ側Aから排出側Bへ移動させ同搬送物5を受け棚3へ押し出す構成であることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載した発明は、請求項1〜4のいずれか一に記載した発明に係る流動棚装置において、
係止機構7は、係止バー7cを下方へ沈ませる解除動作により搬送物5の係止状態を解除し、搬送物5を受け棚3へ排出する構成であることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載した発明は、請求項5に記載した発明に係る流動棚装置において、
係止機構7は、装置フレーム枠6の排出側Bに設置された回転軸11に一端を連結され同回転軸11の回転で直線的に駆動される伝動リンクバー7aと、同伝動リンクバー7aの他端部が連結された回転レバー7bと、同回転レバー7bへ基端部を結合された係止バー7cとで構成され、
前記回転軸11が回転すると、前記伝動リンクバー7aが前記回転レバー7bを回転させ、この回転レバー7bの回転にしたがい前記係止バー7cが下方へ沈んで搬送物5の係止状態を解除し、搬送物5を受け棚3へ排出する構成であることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載した発明は、請求項1〜6のいずれか一に記載した発明に係る流動棚装置において、
共通支持体9fの待機位置には、流動棚装置1のフレーム6に固定された規制部材9cが押出しバー9gの復帰動作を受け止めて押出しバー9gを押し下げる角度に設置されており、
押出しバー9gは、前記待機位置において規制部材9cにより、コンベア4のホイール又はローラ40の上面よりも下方に保持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明に係る流動棚装置は、流動棚10における搬送物5の受入れ側Aに、同流動棚10に沿って排出側Bへ移動する押出しバー9gを含む押出し機構9が設置され、該押出し機構9は排出側Bの係止バー7cの解除動作に連動して押出しバー9gが搬送物5の受入れ側Aから排出側Bへ移動させ、同搬送物5を受け棚3へ強制的に押し出す構成なので、流れ難い搬送物5を受入れ側Aから排出側Bへ強制的に押し出す。よって、同搬送物5はコンベア4上の途中で止まることがなく確実に押し出されて滞留する不具合は生じなく前記受け棚3へ排出させることができる。
請求項2、3及び5の発明に係る流動棚装置では、押出しバー9gは、流動棚装置1が牽引されて受け棚3と並列する規定位置へ到達すると、位置検出機構8の働きで係止機構7と連動する押出し機構9の働きで駆動させる構成なので、専用の駆動手段を必要としない。
請求項4、5及び6の発明に係る流動棚装置は、押出し機構及び係止機構が専用の駆動手段を必要としないで駆動するので、電力を必要としない。
請求項7の発明に係る流動棚装置は、共通支持体9fの待機位置に、流動棚装置1のフレーム6に固定された規制部材9cが押出しバー9gの復帰動作を受け止めて押出しバー9gを押し下げる角度に設置され、押出しバー9gは、待機位置において規制部材9cにより、コンベア4のホイール又はローラ40の上面よりも下方に保持されるので、搬送物5を受入れ側Aへ供給する際に、押出しバー9gが搬送物5の進入に邪魔にならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
流動棚10における搬送物5の受入れ側Aには、同流動棚10に沿って排出側Bへ移動する押出しバー9gを含む押出し機構9が設置され、該押出し機構9は前記係止バー7cの解除動作に連動して押出しバー9gを搬送物5の受入れ側Aから排出側Bへ移動させ、同搬送物5を受け棚3へ押し出す構成である。
【実施例1】
【0015】
以下に、本発明を図示した実施例に基づいて説明する。
図1に示す流動棚装置1は、縦材及び横材を組み合わせて形成した装置フレーム枠6の上下方向に、自由に回転するホイール40(又はローラ、以下同じ)を複数個列状に並べたコンベア4を横方向へは一定の間隔をあけて配置し、且つそれぞれは約1〜2度程度の下り傾斜に配置して、搬送物5をその重力作用により前記コンベア4上を滑走させる流動棚10が3段の構成で設置されている。また、前記流動棚10の排出側Bには、前記搬送物5の滑り出しを一時止める係止バー7cを含む係止機構7(図3及び4を参照)が、各段の流動棚10毎に組み合わせて設置されている。
前記コンベア4は、例えば本出願人が先に出願した再表2005−70792号公報や再表2006−103714号公報に既に開示されており、公知、周知に属するので、ここでは更なる説明を省略する。
【0016】
上記流動棚装置1の走行方向の前後に設けたベース部分12の底面には、キャスター13が取付けられており、図2に示すように当該流動棚装置1を複数台直列に連結した状態で、例えば牽引台車2により、或いは作業者によって、前記流動棚装置1は受け棚3と並列する規定位置まで移動させる。すると、図3に示す位置検出部材8aが突起部材8bに当たって回転軸11が回転されるので、図9に示すように前記係止機構7の係止バー7cが解除動作をして、前記コンベア4上の搬送物5が前記受け棚3へ排出される。
【0017】
即ち、上記流動棚装置1には、図1に示した牽引台車2の走行方向の前側であって装置フレーム枠6の排出側Bの縦材に沿い、回転軸11が垂直に立てて設置されている。よって、当該流動棚装置1が牽引台車2等によって受け棚3と並列する規定位置まで移動されると、図3及び4に示す位置検出機構8により前記回転軸11は流動棚装置1の内側(図3及び4のa方向)へ回転される。
【0018】
上記位置検出機構8は、図3及び4に示すように、受け棚3に設けられた突起部材8bと、流動棚装置1の回転軸11に固定された位置検出部材8aとで構成されている。前記突起部材8bは、具体的に図示することを省略した受け棚3の縦材又は横材に、前記流動棚装置1の位置検出部材8aが衝突するように突き出た配置で設けられている。一方、前記位置検出部材8aは、前記回転軸11に片持ち状態で突き出た配置に固定されている。この位置検出部材8aの先端は、前記突起部材8bとの接触性を高めるため、少し外側へ折り曲げた形状に形成されている。
【0019】
上記搬送物5の排出を一時止める係止バー7cは、図3及び4に示すように、上記回転軸11の回転に連動する係止機構7によって、下方(d方向)へ沈む解除動作をして、搬送物5の係止状態を解除し、重力作用に滑走する同搬送物5を受け棚3へ排出する。
即ち、前記係止機構7は、回転軸11に取付けられた回転伝達部材7dに一端を連結され同回転軸11の回転を直線的運動として伝える伝動リンクバー7aと、同伝動リンクバー7aの他端部を連結した回転レバー7bと、上端の軸7iを中心に回動する回転レバー7bへ基端部7eを結合された係止バー7cとで構成されている。
前記回転レバー7bには、伝動リンクバー7aの取付け位置を調整する調節孔7h…が複数個設けられており、前記伝動リンクバー7aの取付け位置を適宜変更することで、前記係止バー7cが下方へ沈む動作量を調節できる。また、前記回転レバー7bには、同回転レバー7bを排出側Bへ引っ張る駆動バネ7fが取付けられ、回転レバー7bとリンクさせた係止バー7cを常に元に復帰させ、係止バー7cが排出を一時止める状態を確保している。そして、各段の流動棚10に設置された前記係止バー7cは、垂直方向の共通縦バー7gによって共通に支持され、各段の係止バー7cの動きを統一している。
したがって、前記回転軸11が、位置検出機構8によってa方向へ回転すると、前記伝動リンクバー7aがb方向へ移動して前記回転レバー7bをc方向へ回転させ、この回転レバー7bの回転にしたがい前記係止バー7cが下方dへ沈む解除動作をして、搬送物5の係止状態を解除する。
【0020】
次に、前記流動棚10における搬送物5の受入れ側Aには、図5〜9に示すように、同流動棚10に沿って前記搬送物5を排出側Bへ移動させる押出しバー9gを含む押出し機構9が設置されている。該押出し機構9は、上記係止バー7cの解除動作(図中のd方向)に連動して押出しバー9gを搬送物5の受入れ側Aから排出側Bへ移動させ、同搬送物5を受け棚3へ押し出す構成である。
【0021】
上記押出し機構9の具体的な構成は、図6〜9に示すように、上記係止機構7の係止バー7cを共通に支持する共通縦バー7gにシーソバー9aが、一端をピン90aで連結されている。前記シーソバー9aの他端は、フック部を備えたストッパー部材9bの一端部と可撓状態に緩く差し込み接合されている。このシーソバー9aの中間部分は、コンベア4と平行に渡されたフレーム部材(図示は省略)にピン91aで連結されており、両端を上下移動可能に構成している。前記ストッパー部材9bの基端部分は、装置フレーム6の縦材に連結されており、形状を一端部側へ重心を偏らせているので、ストッパー部材9bの自重がシーソバー9aの他端と安定した接触を実現している。従って、係止バー9cの動きがシーソバー9aを経由して、ストッパー部材9bへとスムーズな動きの伝達が可能となっている。
前記ストッパー部材9bのフック部を掛け止めるストッパーピン90dを備えたスライダ9dが、前記スライダ9dの平行移動を補助する伸縮自在の斜材92dとピン95dで連結されている。斜材92dの下端部は、図7に示すように流動棚装置1のベース部分12にピン96dで回動可能に取付けられている。前記斜材92dは、同じく下端を前記ベース部分12とピン97dで連結した支持部材93dによって支持されており、両者は前記スライダ9dの移動と一緒に搬送物5の受入れ側Aから排出側Bへ移動する。前記スライダ9dは、流動棚10の両側に沿って上下方向へ長く配置されて前記スライダ9dと共にレール部材9h上をスライド移動する共通支持体9fとワイヤー91dで連結されている。前記スライダ9d及び共通支持体9fは、同スライダ9dに一端を連結されたワイヤ90eを常時排出側Bへ引っ張る駆動手段9eによって、搬送物5の受入れ側Aから排出側Bへ駆動する構成とされている。前記流動棚1に沿ってほぼ平行移動する押出しバー9gは、その両端をL形のクランク状に形成して前記共通支持体9fに回転可能に取付けられて設置されている。
【0022】
上記共通支持体9fの待機位置(図7に示す搬送物の受入れ側Aの位置)には、基端側を流動棚装置1のフレーム枠6へ固定された規制部材9cが押出しバー9gの復帰動作を受け止めて押し下げる角度に設置されている。よって、押出し機構9をレール部材9h上に沿って前記待機位置まで持って行く動作に合わせて前記規制部材9cに当たって押し下げられた押出しバー9gは、コンベア4のホイール40の上面よりも下方へ押し下げた状態とされ、搬送物5を受入れ側Aへ供給する際に、押出しバー9gが該搬送物5の進入に邪魔にならない。今度は反対に、係止機構7の係止バー7cが解除動作すると、前記押出しバー9gは、共通支持体9fに取付けられた引っ張りバネ90gによってホイール40の上面よりも上方に起き上がって搬送物5に当たりながらレール部材9h上に沿って駆動手段9eに引っ張られて、搬送物5を排出側Bへ押して排出させる。
【0023】
即ち、図8に示すように、前記係止バー7cの下方移動が共通縦バー7gを下に下げ、これがシーソバー9aに伝わり、ストッパー部材9bがストッパーピン90dを開放し、前記スライダ9d及び共通支持体9fが駆動手段9eによって前記レール部材9hに沿って移動され、図9に示すように、前記押出しバー9gを搬送物5の受入れ側Aから排出側Bへ移動させ、同搬送物5を受け棚3へ押し出す。したがって、搬送物5が流動棚10上へ滞留する不都合は生じない。
前記搬送物5を受け棚3へ排出させた後には、前記スライダ9d及び共通支持体9fを、作業者が図5に示すハンドル94dを操作して受け入れ側Aに戻し、該スライダ9dのストッパーピン90dをストッパー部材9bに掛け止めて元の状態に戻す。
【0024】
したがって、本実施例の流動棚装置1は、流れ難い搬送物5を受入れ側Aから排出側Bへ強制的に押し出ので、同搬送物5はコンベア4上の途中で止まることがなく確実に押し出されて滞留する不具合は生じなく受け棚3へ排出させることができる。また、前記押出しバー9gは、流動棚装置1が牽引されて受け棚3と並列する規定位置へ到達すると位置検出機構8の働きで係止機構7と連動する押出し機構9の働きで駆動される構成なので、専用の駆動手段を必要としない。
【0025】
以上に実施形態を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の実施形態の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施例に係る流動棚装置を示す斜視図である。
【図2】流動棚装置と受け棚の関係を示す説明図である。
【図3】位置検出機構と係止機構を示す拡大図である。
【図4】位置検出機構と係止機構により搬送物を排出させる状態を示した説明図である。
【図5】走行方向の後側から見た流動棚装置の説明図である。
【図6】押出し機構を示す拡大図である。
【図7】押出し機構の待機状態を示す説明図である。
【図8】押出し機構の駆動により搬送物を押し出す状態を示す説明図である。
【図9】押出し機構の駆動により搬送物を押し出す状態を示す説明図である。
【0027】
1 流動棚装置
10 流動棚
11 回転軸
2 牽引台車
3 受け棚
4 コンベア
40 ホイール
5 搬送物
6 装置フレーム枠
7 係止機構
7a 伝動リンクバー
7b 回転レバー
7c 係止バー
8 位置検出機構
8a 位置検出部材
8b 突起部材
9 押出し機構
9a シーソバー
9b ストッパー部材
9c 規制部材
9d スライダ
90d ストッパーピン
9e 駆動手段
9f 共通支持体
9g 押出しバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由に回転するホイール又はローラを複数個列状に並べたコンベアを横方向へは一定の間隔をあけて、それぞれ下り傾斜に配置して搬送物をその重力作用により前記コンベア上を滑走させる構成とした流動棚と、前記流動棚の排出側で前記搬送物の滑り出しを一時止める係止バーを含む係止機構との組み合わせを、装置フレーム枠の上下方向に複数段に設置して構成された流動棚装置を、受け棚と並列する規定位置まで移動させると、前記係止機構が解除動作をして、前記コンベア上の搬送物を前記受け棚へ排出する流動棚装置において、
前記流動棚における搬送物の受入れ側には、同流動棚に沿って排出側へ移動する押出しバーを含む押出し機構が設置され、該押出し機構は前記係止バーの解除動作に連動して押出しバーを搬送物の受入れ側から排出側へ移動させ同搬送物を受け棚へ押し出す構成であることを特徴とする、流動棚装置。
【請求項2】
装置フレーム枠の排出側に回転軸が垂直に設置されており、当該流動棚装置が受け棚と並列する規定位置まで移動されると、位置検出機構により前記回転軸が回転されること、
係止バーは、前記回転軸の回転に連動する係止機構によって、搬送物の係止状態を解除する動作をして同搬送物を受け棚へ排出させる構成であることを特徴とする、請求項1に記載した流動棚装置。
【請求項3】
位置検出機構は、受け棚に設けられた突起部材と、前記流動棚装置の回転軸に固定された位置検出部材とで構成され、流動棚装置が受け棚と並列となる規定位置まで移動されると、前記位置検出部材が前記突起部材へ接触して前記回転軸を回転させる構成であることを特徴とする、請求項2に記載した流動棚装置。
【請求項4】
押出し機構は、係止機構の係止バーと一端を連結されたシーソバーと、前記シーソバーの他端と連結されたストッパー部材と、前記ストッパー部材に掛け止められるストッパーピンを備えたスライダと、流動棚の両側に上下方向へ長く配置され前記スライダと連結された共通支持体と、前記共通支持体を搬送物の受入れ側から排出側へ移動させる駆動手段と、前記共通支持体にL形の両端を回転可能に支持され流動棚に沿って搬送物の排出側へ移動する押出しバーとで構成され、
前記係止バーの解除動作に連動してストッパー部材がストッパーピンを開放し、前記スライダ及び共通支持体が駆動手段によって移動され、前記押出しバーを搬送物の受入れ側から排出側へ移動させ同搬送物を受け棚へ押し出す構成であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した流動棚装置。
【請求項5】
係止機構は、係止バーを下方へ沈ませる解除動作により搬送物の係止状態を解除し、搬送物を受け棚へ排出する構成であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載した流動棚装置。
【請求項6】
係止機構は、装置フレーム枠の排出側に設置された回転軸に一端を連結され同回転軸の回転で直線的に駆動される伝動リンクバーと、同伝動リンクバーの他端部が連結された回転レバーと、同回転レバーへ基端部を結合された係止バーとで構成され、
前記回転軸が回転すると、前記伝動リンクバーが前記回転レバーを回転させ、この回転レバーの回転にしたがい前記係止バーが下方へ沈んで搬送物の係止状態を解除し、搬送物を受け棚へ排出する構成であることを特徴とする、請求項5に記載した流動棚装置。
【請求項7】
共通支持体の待機位置には、流動棚装置のフレームに固定された規制部材が押出しバーの復帰動作を受け止めて押出しバーを押し下げる角度に設置されており、
押出しバーは、前記待機位置において規制部材により、コンベアのホイール又はローラの上面よりも下方に保持されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載した流動棚装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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