説明

流動物攪拌装置

【課題】バッフル板を設定することによる部品点数または手間の増加を抑えることができて攪拌効果が高く、流動物を均一に混合することができる流動物攪拌装置を提供する。
【解決手段】回転ドラム12は、多角錐台形状をなして該多角錐台の底面に相当する多角形部14aを有する第1端部14と、多角錐台形状をなして該多角錐台の底面に相当する多角形部16aを有する第2端部16と、多角形部14aと多角形部16aとを連結する中央部18と、を有し、多角形部14aの複数の頂点14bと多角形部16aの複数の頂点16bとは、互いに回転中心軸24を中心とする円周方向においてずれた位置関係にあり、中央部18は、多角形部14aと多角形部16bの互いにずれた頂点14b、16b同士を結び回転中心軸24と非平行となった捻れた稜線18aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性のある粒状物、粉状物、液状物等の流動物を攪拌する流動物攪拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の流動物攪拌装置としては、特許文献1に記載されたものが知られている。この特許文献1に記載された装置は、粒状の製品を攪拌するために、回転ドラムを備えており、回転ドラムの内部に製品を入れて、回転ドラムを回転させることで、製品を攪拌している。
【0003】
そして、回転ドラムは、一方の端部と他方の端部で回転可能に支持されており、回転ドラムは、一方の端部に接続された第一の切頭部と、それに続く中央部と、中央部と他方の端部に接続された第二の切頭部と、を有しており、中央部の形状は多角形状断面または円形断面となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−237170号公報(段落0025〜0027)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、従来の回転ドラムの中央部の断面形状は多角形状または円形形状となっており、回転ドラムの回転によって回転ドラムの内周面に沿って流動物が流動するが、流動する方向が、相対的に回転ドラムの回転方向に沿った一定のものとなるために、回転方向に直交する方向への移動が少なく、攪拌効果が十分でない、という問題がある。
【0006】
このため、攪拌効果をより発揮させるために回転ドラムの内部にバッフル板を設けることも行われているが、部品点数が増加し、その取付のための手数がかかるという問題がある。
【0007】
本発明はかかる問題に鑑みなされたもので、バッフル板を設定することによる部品点数または手間の増加を抑えることができて攪拌効果が高く、流動物を均一に混合することができる流動物攪拌装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、水平方向を向いた回転中心軸を中心として回転可能となり、攪拌するべき流動物を内部に収容可能な回転ドラムを有する流動物攪拌装置において、
回転ドラムは、多角錐台形状をなして該多角錐台の底面に相当する第1多角形部を有する第1端部と、多角錐台形状をなして該多角錐台の底面に相当する第2多角形部を有する第2端部と、前記第1多角形部と前記第2多角形部とを連結する中央部と、を有し、
前記第1多角形部の複数の頂点と前記第2多角形部の複数の頂点とは、少なくともその一部の頂点において、2つの多角形部を回転中心軸の軸方向から見たときに互いにずれた位置関係にあり、前記中央部は、前記第1多角形部と前記第2多角形部の互いにずれた頂点同士を結び前記回転中心軸と非平行となった稜線を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のものにおいて、前記中央部には、前記回転中心軸と非平行な稜線が複数設けられており、該複数の稜線は、回転中心軸を中心とする円周方向で見て、回転中心軸に対してなす傾斜角度が、交互に逆向きをなすことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のものにおいて、前記中央部は、稜線と前記第1多角形部の辺または前記第2多角形部の辺とで囲まれた三角形の側面を有することを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のものにおいて、前記第1多角形部と前記第2多角形部とは、互いに合同の多角形形状をなしていることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のものにおいて、前記第1多角形部と前記第2多角形部とは、互いに合同の正多角形形状をなしており、回転中心軸を中心として、前記第1多角形部の頂点と前記第2多角形部の頂点は、互いに最も近接する頂点同士が(1/2)・360/n度(nは正多角形の頂点の数)ずれていることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項5記載のものにおいて、前記中央部の複数の稜線の少なくとも一部は、回転中心軸を中心として、互いに(3/2)・360/n度ずれた前記第1多角形部の頂点と前記第2多角形部の頂点とを結ぶものであることを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のものにおいて、前記回転ドラムの外側には、仕切板を介してケーシングが連結されており、ケーシングは、多角錐台形状をなしたケーシング第1端部と、多角錐台形状をなしたケーシング第2端部と、前記ケーシング第1端部の多角錐台の底面に相当する部分と前記ケーシング第2端部の多角錐台の底面に相当する部分とを連結するケーシング中央部と、ケーシング第1端部の多角錐台の頂面に相当する部分に連結され前記回転中心軸と同心上の第1円筒部と、ケーシング第2端部の多角錐台の頂面に相当する部分に連結され前記回転中心軸と同心上の第2円筒部と、を有し、
第1円筒部の端部は、前記第1端部の側面まで延設されており、第2円筒部の端部は、前記第2端部の側面まで延設されており、
第1円筒部には、前記ケーシング第1端部の各側面に対応するように、ケーシングの外部と第1円筒部内とを連通する外部開口と、第1円筒部内と前記第1端部及びケーシング第1端部の間の空間とを連通する内部開口が形成されており、
第2円筒部には、前記ケーシング第2端部の各側面に対応するように、ケーシングの外部と第2円筒部内とを連通する外部開口と、第2円筒部内と前記第2端部及びケーシング第2端部の間の空間とを連通する内部開口が形成されており、
前記第1円筒部の複数の外部開口のいずれかが排気ダクトに連通可能であり、
前記第2円筒部の複数の外部開口のいずれかが給気ダクトに連通可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1多角形部の複数の頂点と前記第2多角形部の複数の頂点とが、少なくともその一部の頂点において、互いに回転中心軸を中心としてずれた位置関係にあり、回転ドラムの中央部の稜線が回転中心軸に対して非平行となっているために、回転ドラムが回転中心軸を中心として回転したときに、内部の流動物が円周方向に沿って回転ドラムに対して相対移動するだけでなく、稜線に案内されて、第1端部から第2端部の方へまたは第2端部から第1端部の方へと移動することができる。こうして、流動物が異なる複数の方向へと流動するために、攪拌効果を高め流動物を均一に混合することができる。よって、バッフル板を設ける必要性を低減させることができ、部品点数及びその設定の手間の増加を抑えることができる。
【0016】
また、請求項2記載の発明によれば、稜線の傾斜角度が交互に逆向きとなっていることで、流動物が第1端部から第2端部の方への移動と、第2端部から第1端部の方への移動を交互に繰り返すことができて、攪拌効果をより一層高めることができる。
【0017】
また、請求項3記載の発明によれば、中央部が三角形の側面を有することで、強度及び剛性を高めることができる。
【0018】
また、請求項4記載の発明によれば、第1多角形部と第2多角形部とを合同の多角形形状とすることで、製造を容易にすることができる。
【0019】
また、請求項5記載の発明によれば、第1多角形部と第2多角形部とを合同の正多角形形状とし、頂点のずらし方を規則正しくすることで、製造を容易にすることができる。
【0020】
また、請求項6記載の発明によれば、中央部の稜線を回転ドラムのより内部に突出させることができて、攪拌効果をより一層高めることができる。
【0021】
また、請求項7記載の発明によれば、ジャケット構造とすることができ、その際に、排気ダクト及び給気ダクトをケーシングの第1円筒部と第2円筒部のそれぞれの外径側に配置することができるので、これらのダクトが邪魔にならずに、コンパクトに納めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態による流動物攪拌装置の回転ドラムを表す側面図である。
【図2】図1の回転ドラムの正面図である。
【図3】図1の回転ドラムの斜視図である。
【図4】図1の流動物攪拌装置の断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態による流動物攪拌装置の回転ドラムを表す側面図である。
【図6】図5の回転ドラムの正面図である。
【図7】図5の回転ドラムの斜視図である。
【図8】図5の流動物攪拌装置の断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態の流動物攪拌装置をジャケット構造とした場合の断面図である。
【図10】図9の10−10線に沿って見た断面図である。
【図11】図9の11−11線に沿って見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図4は、本発明の第1実施形態による流動物攪拌装置10を表している。流動物攪拌装置10は、流動物を内部に収容する回転ドラム12を有しており、回転ドラム12は、その前後で回転軸20、22に連結される。回転軸20、22は、同一直線上を水平方向に延びており、回転ドラム12は、回転軸20、22の中心である回転中心軸24を中心として回転可能となっている。
【0024】
回転ドラム12は、一方の回転軸20に連結される第1端部14と、他方の回転軸22に連結される第2端部16と、第1端部14と第2端部16との間に挟まれた中央部18とを有する。
【0025】
第1端部14及び第2端部16は、それぞれ多角錐台形状をなしており、多角錐台の底面に相当する多角形部14a、16aが中央部18に連結される。
【0026】
第1端部14と第2端部16の多角形部14a、16aの位相角度は回転中心軸24に対して互いにずれており、例えば、多角形部14a、16aがn角形であるとすると、多角形部14a、16aのそれぞれの頂点14b、16bが回転中心軸24の回りに(1/2)・360/n度だけずれて配置される。
【0027】
中央部18は、第1端部14と第2端部16の多角形部14a、16aの一方の各頂点14b(または16b)から他方の最も近い2つの頂点16b(または14b)をそれぞれ結んだ稜線18aを有しており、即ち、一方の各頂点14b(または16b)からこの頂点に対してそれぞれ(1/2)・360/n度だけずれた他方の頂点16b(または14b)を結んだ稜線18aを有している。これによって、中央部18は、従来の各側面が矩形形状となり該側面及び稜線が回転中心軸24に対して平行な多角筒形状ではなく、各側面18bが三角形となりその側面18b及び稜線18aが回転中心軸24に対して非平行となった変形筒形状となっている。
【0028】
図示の例の場合、第1端部14及び第2端部16のそれぞれ多角形部14a、16aが互いに合同な正多角形となっているため、中央部18の各側面18bも合同の三角形となっている。
【0029】
中央部18の各側面18bは、孔無し板とするか、または、図示のように窓を形成することができる。そして、窓には盲孔板または図示のような多孔板18cが固定することができ、この多孔板18cを通って回転ドラム12内外の気体の流通が可能となっている。盲孔板または多孔板18cは側面18bに対して着脱可能に構成することも可能である。
【0030】
回転ドラム12は、好適にはステンレス、鉄等の金属素材で構成される。この回転ドラム12を製造するには、第1端部14、第2端部16及び中央部18を互いに溶接することで製造することができるが、それぞれの稜線及び境界付近を曲線を基調として成形することで、溶接ひずみを低減することができる。
【0031】
回転軸20、22は、図示しない軸受部に軸支される。回転軸20、22のいずれかには、モータ等の回転駆動源を直結とするか、またはチェーン、スプロケット、ギヤ等の任意の伝達機構を介することで、回転駆動源からの回転駆動力が伝達可能となっており、これによって、回転ドラム12を正逆のいずれかに回転させることができる。回転軸をモータ直結とした場合には、グリース等の潤滑剤を使用する必要がない。
【0032】
以上のように構成される流動物攪拌装置において、流動物を回転軸20、22のいずれかを通して回転ドラム12内に投入した後、回転ドラム12を水平な回転中心軸24の周りで回転させる。
【0033】
流動物は、回転ドラム12の中央部18の底部において、回転ドラム12の回転に伴ってその中央部18の底部にある側面18bと一緒に移動すると共に、その側面18bが傾斜していくと、その傾斜に追従できずに、底部にある別の側面18bに向かって回転方向に沿って円周方向に相対移動する。
【0034】
図4に示すように、側面18bの稜線18aは、回転中心軸24に平行ではなく、傾斜しており、しかも、稜線18aの傾斜角度は、第1端部14から第2端部16に向かって下降する傾斜と、第1端部14から第2端部16に向かって上昇する傾斜との、逆向きとなった傾斜角度が、回転ドラム12の回転に従って、交互に繰り返されている。
【0035】
そのため、流動物は、回転ドラム12の回転に応じて、その回転方向に沿って円周方向に相対移動するだけでなく、稜線18aの傾斜に合わせて、第1端部14から第2端部16へ、また第2端部16から第1端部14へと交互に前後に移動し、異なる複数の方向へ流動するために、攪拌効果を高め流動物を均一に混合することができる。
【0036】
次に、図5〜図8は、本発明の第2実施形態による流動物攪拌装置を表している。第1実施形態と同様の部分は同じ符号を付している。
【0037】
この実施形態では、第1実施形態と同様に、第1端部14と第2端部16の多角形部14a、16aの位相角度は回転中心軸24に対して互いにずれており、中央部18は、第1端部14と第2端部16の多角形部14a、16aの一方の頂点14b(または16b)からこの頂点に対してそれぞれ(1/2)・360/n度だけずれた他方の頂点16b(または14b)を結んだ稜線18aを有している。さらに、この第2実施形態による中央部18は、稜線18aの他にまたは稜線18aの代わりに、第1端部14と第2端部16の多角形部14a、16aの一方の頂点14b(または16b)からこの頂点に対して(3/2)・360/n度だけずれた他方の頂点16b(または14b)を結んだ稜線18dも有している。
【0038】
この稜線18dは、図7及び図8に示すように、稜線18aよりも中央部18の内部へとより突出する。
【0039】
この稜線18dが結ばれるn角形の多角形部14a、16aの頂点14b、16bは、n個の頂点のうちから任意の頂点を選択することができ、1つの頂点14bと1つの頂点16bだけとし、1つの稜線18dを形成することも可能であり、図示のように複数の頂点14bと複数の頂点16bをそれぞれ結ぶ複数の稜線18dを形成することも可能である。複数の稜線18dを形成する場合、好ましくは、図7に示すように回転ドラム12の回転方向に沿って見たときに、ある稜線18dが頂点14bから頂点16bへと延びる場合に、次の稜線18dは頂点16bから頂点14bへと延びるように、交互の向きになるように、形成するとよい。
【0040】
以上のように構成される流動物攪拌装置においても第1実施形態と同様に、稜線18a、18dが形成されていることにより、流動物が前後に移動する効果を持たせることができる。さらには、この実施形態では、稜線18dが稜線18aよりも中央部18の内部へとより突出しているので、円周方向に相対移動する流動物に対して干渉する効果が高く、流動物の相対移動方向を変化させることができる。
【0041】
そして、好ましくは稜線18dは、第1端部14から第2端部16に向かって下降する傾斜と、第1端部14から第2端部16に向かって上昇する傾斜との、逆向きとなった傾斜角度が、回転ドラム12の回転方向に沿って見たときに、交互に繰り返されることになるので、回転ドラム12内に収容された流動物は、回転ドラム12の回転に応じて、その回転方向に沿って円周方向に相対移動するだけでなく、稜線18a、18dの傾斜に合わせて、第1端部14から第2端部16へ、また第2端部16から第1端部14へと前後に移動し、異なる複数の方向へ流動するために、攪拌効果を高め流動物を均一に混合することができる。
【0042】
流動物としては、粒状物、粉状物、液状物等の流動性を持つ食薬品、建築材料等の任意の材料とすることができ、固体状、液体状、ゲル状のものとすることができる。固体状以外の流動物とする場合または気体の流通の必要がない場合には、中央部18の側面18bの窓は省略することができ、側面18bは孔無し板とするとよい。本発明の流動物攪拌装置は、高い攪拌効果を以って、流動物の加熱若しくは冷却または流動物の被覆剤の被覆等を行わせる装置として使用することができる。
【0043】
また、図示の例では、第1端部14及び第2端部16の多角形部14a、16aの多角形形状として正六角形となっているが、これに限るものではなく、正多角形以外の多角形とすることができ、または、六角形以外の多角形とすることもできる。あまり角数が多いと円形に近づき、頂点による攪拌効果が低減し、あまり角数が少なくても稜線による攪拌効果が低減するので、五〜九角形が好ましい。
【0044】
また、図示の例では、第1端部14及び第2端部16の多角形部14a、16aは、合同であるために製造が容易であるが、これに限るものではなく、多角形部14a、16aは非合同の多角形(例えば正多角形と非正多角形)とすることができ、または、頂点数の異なる多角形(例えば、六角形と八角形)とすることができる。このように非合同または頂点数の異なる多角形同士とする場合には、少なくとも多角径部14a、16aのそれぞれ複数の頂点14b、16bの少なくとも一部が回転中心軸24に対してずれるような位置関係になるようにするとよい。
【0045】
以上のように本発明の流動物攪拌装置によれば、回転中心軸24に対して非平行となった中央部18の稜線18a、18dによって攪拌効果を高めることができるために、回転ドラム12の内部にバッフル板を設ける必要性を低減させることができ、バッフル板の設定数を低減または0にすることができて、部品点数の増加及びその設定の手間を抑えることができる。
【0046】
図9は、本発明の第1実施形態の流動物攪拌装置において、回転ドラム12の外側にジャケット構造を設けた例であり、ジャケット構造によって回転ドラム12内に乾燥のための乾燥ガスまたは加熱/冷却のための気体を供給することが可能となっている。
【0047】
ジャケット構造は、回転ドラム12よりも一回り大きい相似形状をなし仕切板33を介して回転ドラム12と連結されるケーシング32によって構成される。
【0048】
ケーシング32は、第1端部34と、第2端部36と、第1端部34と第2端部36との間に挟まれた中央部38と、第1端部34が連結される第1円筒部40と、第2端部36が連結される第2円筒部42と、を有する。第1端部34及び第2端部36は、第1端部14及び第2端部16と同様にそれぞれ多角錐台形状をなしており、中央部38は、中央部18と同じ変形筒形状をなしている。
【0049】
第1円筒部40は、回転軸20の外側を同心上に配置されており、多角錐台形状の第1端部34の頂面に相当する部分が第1円筒部40の側面に連結されると共に、第1円筒部40の一方の端部は、第1端部14の側面まで延びて該側面に連結される。第1円筒部40の他方の端部は、第1蓋部44に連結されており、該第1蓋部44は、第1円筒部40の他方の端部を閉塞する。尚、回転軸20の端部は図示しない扉によって開閉可能となっており、該扉を開けて回転軸20から流動物を回転ドラム12内に投入可能となっており、また点検可能となっている。
【0050】
同様に、第2円筒部42は、回転軸22の外側を同心上に配置されており、多角錐台形状の第2端部36の頂面に相当する部分が第2円筒部42の側面に連結されると共に、第2円筒部42の一方の端部は、第2端部16の側面まで延びて該側面に連結される。第2円筒部42の他方の端部は、第2蓋部46に連結されており、該第2蓋部46は、回転軸22及び第2円筒部42の他方の端部を閉塞する。
【0051】
回転ドラム12とケーシング32との間に設けられる仕切板33は、第1端部14の稜線と第1端部34の対向する稜線同士を連結し、中央部18の稜線18aと中央部38の対向する稜線同士を連結し、第2端部16の稜線と第2端部36の対向する稜線同士を連結するように設けられる。
【0052】
仕切板33によって、第1端部14の1つの側面と第1端部34の対向する側面との間に形成される空間と、その空間に隣接し、中央部18の1つの側面と中央部38の対向する側面との間に形成される空間とが、多角形部14aの辺を跨いで1つの繋がった空間を形成するようになっている。同様に、第2端部16の1つの側面と第2端部36の対向する側面との間に形成される空間と、その空間に隣接し、中央部18の1つの側面と中央部38の対向する側面との間に形成される空間とが、多角形部16aの辺を跨いで1つの繋がった空間を形成するようになっている。
【0053】
第1円筒部40と第1蓋部44と第1端部14とで囲まれた環状空間は、前記仕切板33を延長するように設けられた仕切板35によって円周方向に仕切られている。
【0054】
同様に、第2円筒部42と第2蓋部46と第2端部16とで囲まれた環状空間は、前記仕切板33を延長するようにして設けられた仕切板35によって円周方向に仕切られている(図11参照)。
【0055】
第1円筒部40の側面には、第1端部34の各側面に対応するようにして、ケーシング32外部と第1円筒部40内とを連通する外部開口40aが形成されており、また、各外部開口40aと同軸上には、第1円筒部40内と、第1端部14及び第1端部34の間の空間とを連通する内部開口40bが形成されている。これらの複数の外部開口40aと複数の内部開口40bは、それぞれ仕切板35によって仕切られた空間毎に設けられる。
【0056】
同様に、第2円筒部42の側面には、第2端部36の各側面に対応するようにして、ケーシング32外部と第2円筒部42内とを連通する外部開口42aが形成されており、また、各外部開口42aと同軸上には、第2円筒部42内と、第2端部16及び第2端部36の間の空間とを連通する内部開口42bが形成されている。これらの複数の外部開口42aと複数の内部開口42bは、それぞれ仕切板35によって仕切られた空間毎に設けられる。
【0057】
第1円筒部40の外側には排気ダクト50が配設され、第2円筒部42の外側には給気ダクト52が配設される。排気ダクト50及び給気ダクト52は固定されており、ケーシング32に対して摺動可能となっている。そのため、排気ダクト50及び給気ダクト52は、第1円筒部40及び第2円筒部42との摺動を円滑にするべくMCナイロン、真鍮などの潤滑素材製とするとよい。そして、排気ダクト50は、第1円筒部40の1つまたは同時に複数の外部開口40aと整合して連通可能となっており、給気ダクト52は、第2円筒部42の1つまたは同時に複数の外部開口42aと整合して連通可能となっている。
【0058】
以上のように構成される流動物攪拌装置においては、回転ドラム12及びケーシング32が一緒に回転して、前実施形態で説明したように、回転ドラム12内の流動物が攪拌される。
【0059】
同時に、給気ダクト52からは給気が行われ、給気ダクト52と整合する第2円筒部42の外部開口42aから、その外部開口42aに対応する内部開口42bを通過し、第2端部16と第2端部16との間の空間を通り、それに繋がる中央部18と中央部38との間の空間を通り、中央部18の側面18bの窓18cを通過して、回転ドラム12内に流入可能となっている。
【0060】
一方、回転ドラム12内から流出する気体は、中央部18の側面18bの窓18cを通過して、中央物18と中央部38との間の空間を通り、それに繋がる第1端部14と第1端部14との間の空間を通り、内部開口40bを通過し、その内部開口40bに対応し排気ダクト50の開口50aと整合する外部開口40aから排気ダクト50を通して排気される。
【0061】
回転ドラム12が回転するときに、流動物は回転ドラム12の底部の回転方向寄りの部分に溜まるので、この給気ダクト52の開口52aの位置は、流動物に対向する回転ドラム12の中央部18の窓18cから気体が流入するように設定され、排気ダクト54の開口54aの位置は、流動物が溜まる位置の中央部18の窓18cから気体が流出するように設定されるとよい。
【0062】
このようなジャケット構造を構成することで、確実に気体の流路を形成することができ、また、不使用時に、洗浄液を給気ダクト52から排気ダクト50に向けて流すことで、回転ドラム12内の洗浄を行うこともできる。
【0063】
給気ダクト52及び排気ダクト50を、ケーシング30の第1円筒部40、42の外径側に配置することができるため、ダクト50、52を含めた全体の寸法が全体的に拡張せずにコンパクトに納めることができる。
【符号の説明】
【0064】
10 流動物攪拌装置
12 回転ドラム
14 第1端部
14a 多角形部(第1多角形部)
14b 頂点
16 第2端部
16a 多角形部(第2多角形部)
16b 頂点
18 中央部
18a 稜線
18d 稜線
24 回転中心軸
32 ケーシング
33、35 仕切板
34 第1端部(ケーシング第1端部)
36 第2端部(ケーシング第2端部)
38 中央部(ケーシング中央部)
40 第1円筒部
40a 外部開口
40b 内部開口
42 第2円筒部
42a 外部開口
42b 内部開口
50 排気ダクト
52 給気ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向を向いた回転中心軸を中心として回転可能となり、攪拌するべき流動物を内部に収容可能な回転ドラムを有する流動物攪拌装置において、
回転ドラムは、多角錐台形状をなして該多角錐台の底面に相当する第1多角形部を有する第1端部と、多角錐台形状をなして該多角錐台の底面に相当する第2多角形部を有する第2端部と、前記第1多角形部と前記第2多角形部とを連結する中央部と、を有し、
前記第1多角形部の複数の頂点と前記第2多角形部の複数の頂点とは、少なくともその一部の頂点において、2つの多角形部を回転中心軸の軸方向から見たときに互いにずれた位置関係にあり、前記中央部は、前記第1多角形部と前記第2多角形部の互いにずれた頂点同士を結び前記回転中心軸と非平行となった稜線を有することを特徴とする流動物攪拌装置。
【請求項2】
前記中央部には、前記回転中心軸と非平行な稜線が複数設けられており、該複数の稜線は、回転中心軸を中心とする円周方向で見て、回転中心軸に対してなす傾斜角度が、交互に逆向きをなすことを特徴とする請求項1記載の流動物攪拌装置。
【請求項3】
前記中央部は、稜線と前記第1多角形部の辺または前記第2多角形部の辺とで囲まれた三角形の側面を有することを特徴とする請求項1または2記載の流動物攪拌装置。
【請求項4】
前記第1多角形部と前記第2多角形部とは、互いに合同の多角形形状をなしていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の流動物攪拌装置。
【請求項5】
前記第1多角形部と前記第2多角形部とは、互いに合同の正多角形形状をなしており、回転中心軸を中心として、前記第1多角形部の頂点と前記第2多角形部の頂点は、互いに最も近接する頂点同士が(1/2)・360/n度(nは正多角形の頂点の数)ずれていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の流動物攪拌装置。
【請求項6】
前記中央部の複数の稜線の少なくとも一部は、回転中心軸を中心として、互いに(3/2)・360/n度ずれた前記第1多角形部の頂点と前記第2多角形部の頂点とを結ぶものであることを特徴とする請求項5記載の流動物攪拌装置。
【請求項7】
前記回転ドラムの外側には、仕切板を介してケーシングが連結されており、ケーシングは、多角錐台形状をなしたケーシング第1端部と、多角錐台形状をなしたケーシング第2端部と、前記ケーシング第1端部の多角錐台の底面に相当する部分と前記ケーシング第2端部の多角錐台の底面に相当する部分とを連結するケーシング中央部と、ケーシング第1端部の多角錐台の頂面に相当する部分に連結され前記回転中心軸と同心上の第1円筒部と、ケーシング第2端部の多角錐台の頂面に相当する部分に連結され前記回転中心軸と同心上の第2円筒部と、を有し、
第1円筒部の端部は、前記第1端部の側面まで延設されており、第2円筒部の端部は、前記第2端部の側面まで延設されており、
第1円筒部には、前記ケーシング第1端部の各側面に対応するように、ケーシングの外部と第1円筒部内とを連通する外部開口と、第1円筒部内と前記第1端部及びケーシング第1端部の間の空間とを連通する内部開口が形成されており、
第2円筒部には、前記ケーシング第2端部の各側面に対応するように、ケーシングの外部と第2円筒部内とを連通する外部開口と、第2円筒部内と前記第2端部及びケーシング第2端部の間の空間とを連通する内部開口が形成されており、
前記第1円筒部の複数の外部開口のいずれかが排気ダクトに連通可能であり、
前記第2円筒部の複数の外部開口のいずれかが給気ダクトに連通可能であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の流動物攪拌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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